１日１０句１０００句を詠む＿第２８回

鈴童の遊び

No.
1	青春の修羅懐かしき猫の恋	猫の恋	春	17.2.13.
2	猫柳大往生の師の訃聞く（高木良多先生１２日逝去９３歳）	猫柳	春	17.2.13.
3	青春の修羅朧なり猫の恋	猫の恋	春	17.2.14.
4	磴一歩一歩と登る遍路寺	遍路	春	17.2.14.
5	スマホ繰り山路を辿る徒歩遍路	遍路	春	17.2.14.
6	魚は氷に上り深きを鮫の群れ	魚は氷に上る	春	17.2.14.
7	魚は氷に上り狭庭を兜太鮫	魚は氷に上る	春	17.2.14.
8	魚は氷に上る穴釣り山中湖	魚は氷に上る	春	17.2.14.
9	魚が氷に上る湖面の穴の数	魚は氷に上る	春	17.2.14.
10	魚が氷に上り果てたる穴の数	魚は氷に上る	春	17.2.14.
11	魚が氷に上り無念の穴の数	魚は氷に上る	春	17.2.14.
12	初午や屋敷稲荷の赤幟	初午	春	17.2.14.
13	初午の御籤三回吉凶吉	初午	春	17.2.14.
14	芝焼に火の用心の消防車	芝焼	春	17.2.15.
15	消防車待機の中で芝焼けり	芝焼	春	17.2.15.
16	蟻穴を出て位置確認のそぶり	蟻穴を出づ	春	17.2.21.
17	初蝶の舞へば始まる農の修羅	初蝶	春	17.2.21.
18	初蝶に農緊張の青菜畑	初蝶	春	17.2.21.
19	初蝶に緊張走る青菜畑	初蝶	春	17.2.21.
20	宙を飛ぶ西郷どんや熊ン蜂	熊蜂	春	17.2.21.
21	不器用に目玉を擦る春の蠅	春の蠅	春	17.2.21.
22	一匹だけ生れ出たかに春の蠅	春の蠅	春	17.2.21.
23	今年また茶の間に一匹春の蠅	春の蠅	春	17.2.21.
24	生き伸びて祠抜け出す春蚊かな	春の蚊	春	17.2.21.
25	出し抜けに枝を離れし落椿	落椿	春	17.2.21.
26	落花にも阿吽の呼吸玉椿	椿	春	17.2.21.
27	高熱に春一番も夢うつつ	春一番	春	17.2.22.
28	咳込みて夢錯綜の春の風邪	春	春	17.2.22.
29	春北風に白銀の富士引き締まる	春北風	春	17.2.22.
30	白魚丼温めしとも言ひきれず	白魚	春	17.2.22.
31	やらせろはちとあけすけなうかれ猫	うかれ猫	春	17.2.22.
32	なんとなく撫でて過ぎたり猫柳	猫柳	春	17.2.22.
33	片栗の花の風切るなぞへかな	片栗の花	春	17.2.22.
34	片栗の花みな同じ向き風切れり	片栗の花	春	17.2.22.
35	堅香子の花が風呼ぶ午後三時	堅香子	春	17.2.22.
36	木漏れ日に身震ひしたる節分草	節分草	春	17.2.22.
37	水菜畑鷲掴みして引く農婦	水菜	春	17.2.22.
38	野仏に供えられたる蕗の薹	蕗の薹	春	17.2.22.
39	蕗の薹てんぷらで出る夕餉かな	蕗の薹	春	17.2.22.
40	山門のあたりかぎろふ磴百段	陽炎	春	17.2.23.
41	ダリの時計だらりと垂れてかげろへり	陽炎	春	17.2.23.
42	陽炎を吹き飛ばして過ぐ新幹線	陽炎	春	17.2.23.
43	園児らが陽炎の奥へ抜けにけり	陽炎	春	17.2.23.
44	寅もゐた矢切の渡しかぎろへり	陽炎	春	17.2.23.
45	かぎろひて人影のなき避難地区	陽炎	春	17.2.23.
46	一畑の役目果たして茎立ちぬ	茎立	春	17.2.23.
47	茎立たせそしらることもありにけり	茎立	春	17.2.23.
48	茎立や風に乗り来る般若経	茎立	春	17.2.23.
49	茎立て華やぎ見せる札所道	茎立	春	17.2.23.
50	師の熱き骨を拾ひぬ西行忌（高木良多先生)	西行忌	春	17.2.23.
51	師の温き骨を拾ひぬ西行忌	西行忌	春	17.2.23.
52	初雲雀その声を追ひ影を追ふ	初雲雀	春	17.2.23.
53	雲雀鳴き多摩の横山雲一片	雲雀	春	17.2.23.
54	雲一片なき蒼天に揚雲雀	揚雲雀	春	17.2.23.
55	揚雲雀一直線に落ちにけり	揚雲雀	春	17.2.23.
56	畑の背に初雲雀聞き腰伸ばす	初雲雀	春	17.2.23.
57	畑で背に聞く初ひばり腰伸びぬ	初雲雀	春	17.2.23.
58	漁師の庭日を呼び集め白子干	白子干	春	17.2.23.
59	白子干す大網の下あくび猫	白子干	春	17.2.23.
60	偏頭痛斜めに走る春の雷	春雷	春	17.2.24.
61	蒼天へ声を刻みに揚雲雀	揚雲雀	春	17.2.24.
62	垂直に声を刻みて雲雀落つ	雲雀	春	17.2.24.
63	天空に鈴の音残し落ひばり	落雲雀	春	17.2.24.
64	ぎしぎしとペダルを漕げば初雲雀	初雲雀	春	17.2.24.
65	ペダル漕ぐ母の背で聞く揚ひばり	揚雲雀	春	17.2.24.
66	一気呵成影取り残す揚ひばり	揚雲雀	春	17.2.24.
67	初ひばり間尺に合はぬ超高層	初雲雀	春	17.2.24.
68	浮雲に鈴転がして揚ひばり	揚雲雀	春	17.2.24.
69	蒼天に音符の帯や揚ひばり	揚雲雀	春	17.2.24.
70	揚ひばり帰路を測りし高さかな	揚雲雀	春	17.2.24.
71	重力を突き放したる揚ひばり	揚雲雀	春	17.2.24.
72	揚ひばり空に撒きたる音の蝌蚪	揚雲雀	春	17.2.24.
73	揚ひばり空に撒きたる８連符	揚雲雀	春	17.2.24.
74	妻恋の呼ぶ音鋭く夕雉子（きぎす）	雉	春	17.2.25.
75	妻恋の鋭き呼ぶ音夕雉子	雉	春	17.2.25.
76	雉鳴ひて宵闇迫るなぞへ畑	雉	春	17.2.25.
77	雉啼ひて苔むす城址暮れにけり	雉	春	17.2.25.
78	峡を吹く風に妻呼ぶ夕雉子	雉	春	17.2.25.
79	峡深く妻呼ぶ雉の声髙し	雉	春	17.2.25.
80	渓深く切裂くごとく雉鳴けり	雉	春	17.2.25.
81	雉啼ひて俄かに暮るる峡の里	雉	春	17.2.25.
82	雉鳴けり干戈苔むす城址かな	雉	春	17.2.25.
83	廃村のなぞへの道や夕雉子	雉	春	17.2.25.
84	山の背に夕日落として遠雉子	雉	春	17.2.25.
85	寅の立つ矢切の渡しかぎろへり	陽炎	春	17.2.25.
86	雉啼ひて苔むす城址暮れなずむ	雉	春	17.2.25.
87	茎立の畝を揺らしてかくれんぼ	茎立	春	17.2.26.
88	長命寺詣でて直行桜餅	桜餅	春	17.2.26.
89	詣でし後墨堤に出て桜餅	桜餅	春	17.2.26.
90	隅田川うららに流れ桜餅	桜餅	春	17.2.26.
91	葉ごと食み葉を剥がし食み桜餅	桜餅	春	17.2.26.
92	地に直に花列華やぐクロッカス	クロッカス	春	17.2.26.
93	地を割りて吹出し咲けりクロッカス	クロッカス	春	17.2.26.
94	地を割りて花列華やぐクロッカス	クロッカス	春	17.2.26.
95	春菊を庭隅に摘み農事とす	春菊	春	17.2.26.
96	春菊を庭隅に摘む畑仕事	猫柳	春	17.2.26.
97	身荒さみし風邪後の散歩猫柳	猫柳	春	17.2.26.
98	身荒涼と風邪後の散歩猫柳	猫柳	春	17.2.27.
99	風船と子供の頭並びゆく	風船	春	17.2.27.
100	風船で遊ぶ子猫の日がなかな	風船	春	17.2.27.
101	風船をきゅっと捻ればピコ太郎	風船	春	17.2.27.
102	風船をきゅっきゅと捻りのび太でき	風船	春	17.2.27.
103	リカちゃんも捻ってはいと風船師	風船	春	17.2.27.
104	茎立ちて故はなけれど急かさるる	茎立	春	17.2.27.
105	茎立ちて幼子うねを走りけり	茎立	春	17.2.27.
106	陽炎の海で波乗るシルエット	陽炎	春	17.2.27.
107	陽炎の後ずさり追ひ磴百段	陽炎	春	17.2.27.
108	歪みつつ陽炎纏ひ昼のバス	陽炎	春	17.2.27.
109	地を割って花いきなりのクロッカス	クロッカス	春	17.2.27.
110	地を割って一二の三でクロッカス	クロッカス	春	17.2.27.
111	長命寺子規も食みたる桜餅	桜餅	春	17.2.27
112	ムスカリは他人の空似ヒヤシンス	ヒヤシンス	春	17.2.27
113	風信子呟ひてみるヒヤシンス	ヒヤシンス	春	17.2.27
114	道の端をピンクに染めてオキザリス	オキザリス	春	17.2.27
115	花片喰ちと恐持てのオキザリス	オキザリス	春	17.2.27
116	花片喰恐持ての名もオキザリス	オキザリス	春	17.2.27
117	苧環や市女笠ゆく女旅	苧環	春	17.2.27
118	苧環やなぞへ登りし市女笠	苧環	春	17.2.27
119	苧環や秩父往還走り雨	苧環	春	17.2.27
120	おだまきや秩父往還雨走る	苧環	春	17.2.27
121	苧環や面を隠す市女笠	苧環	春	17.2.27
122	魚が氷に上りて果てし穴の数	魚が氷に上る	春	17.2.27
123	雉啼けば俄かに暮るる峡の里	雉・雉子	春	17.2.27
124	陽炎を纏ひ歪みし昼のバス	陽炎	春	17.2.27
125	蜑（あま）の庭日を呼び集め白子干	白子干	春	17.2.27
126	紅霞む河津桜や人の波	櫻	春	17.2.28
127	おだまきや都大路の市女笠	苧環	春	17.2.28
128	恋忘れ部屋でうたた寝去勢猫	恋猫	春	17.2.28
129	白足袋の薄き埃や花疲れ	花疲れ	春	17.2.28
130	紅落とす女のうなじ花疲れ	花疲れ	春	17.2.28
131	帯解けばひとひら舞ひぬ花疲れ	花疲れ	春	17.2.28
132	横座り痺れしミニの花疲れ	花疲れ	春	17.2.28
134	ミニの脚胡坐もかけず花疲れ	花疲れ	春	17.2.28
135	ミニの脚持て余しゐる花筵	花筵	春	17.2.28
136	膝を抱くミニの女の花筵	花筵	春	17.2.28
137	女子会のミニ大の字に花筵	花筵	春	17.2.28
138	陽炎の後ずさりする磴百段	陽炎	春	17.2.28
139	陽炎を纏ひ歪みつ昼のバス	陽炎	春	17.2.28
140	陽炎の後ずさり行く磴百段	陽炎	春	17.2.28
141	逆富士映す湖面や柳絮とぶ	柳絮	春	17.2.28
142	白無垢の忍野の富士や柳絮舞ふ	柳絮	春	17.2.28
143	柳絮飛ぶ湖畔の茶店串団子	柳絮	春	17.2.28
144	老夫婦めおと雛のみ飾りけり	雛	春	17.3.1
145	内裏雛だけ飾り老いの家	内裏雛	春	17.3.1
146	茶箪笥に夫婦雛置く老いの家	雛	春	17.3.1
147	正装のお内裏さまも夜は睦み	内裏雛	春	17.3.1
148	灯を消せばそっと相寄る夫婦雛	雛	春	17.3.1
149	皺一つ白髪ひと筋なき雛	雛	春	17.3.1
150	爪お切りしましょと夜更け雛の間	雛	春	17.3.1
151	やり方を忘れましたと睦む雛	雛	春	17.3.1
152	濁り酒雛と分かちていただきぬ	雛	春	17.3.1
153	雛まつり今宵は吾も濁り酒	雛	春	17.3.1
154	レジ袋最後の一つ雛あられ	雛あられ	春	17.3.1
155	ひたむきに吉野を埋む山桜	山桜	春	17.3.1
156	ひたむきに吉野包みて山桜	山桜	春	17.3.1
157	人は人桜は桜吉野山	櫻	春	17.3.1
158	豊後梅含羞の紅ほのとさす	梅	春	17.3.1
159	八十路して花満願の吉野山	花	春	17.3.1
160	巡り来て花満願の吉野山	花	春	17.3.1
161	巡り来て花満願の吉野かな	花	春	17.3.1
162	巡り来て吉野の山の桜花	櫻	春	17.3.1
163	中も奥も吉野を埋む山桜	山桜	春	17.3.1
164	山襞を埋めて吉野の山桜	山桜	春	17.3.1
165	花に酔ひ花に呆けつ吉野ゆく	花	春	17.3.1
166	花に酔ひ花に呆けし吉野かな	花	春	17.3.1
167	西行の心で花の吉野山	」花	春	17.3.1
168	魚が氷に上り果てたる穴の数	魚が氷に上る	春	17.3.1
169	それぞれの思ひを運び遍路ゆく	遍路	春	17.3.1
170	ズック靴とりどり並ぶ遍路宿	遍路宿	春	17.3.1
171	ジーパンの若き遍路の速歩かな	遍路	春	17.3.2.
172	渚ゆく母子遍路のシルエット	遍路	春	17.3.2.
173	大入日金波眩しき遍路道	遍路	春	17.3.2.
174	大入日急ぐ遍路の黒い影	遍路	春	17.3.2.
175	スマホ出し宿確認の遍路かな	遍路	春	17.3.2.
176	道後の湯浸かり経読む遍路かな	遍路	春	17.3.2.
177	接待にぽつりぽつりと老遍路	遍路	春	17.3.2.
178	朝発ちの鈴の音続く遍路宿	遍路宿	春	17.3.2.
179	脱藩の竜馬の道をゆく遍路	遍路	春	17.3.2.
180	剃髪の尼僧もゐたり遍路宿	遍路宿	春	17.3.2.
181	夕映えに動く影絵の遍路かな	遍路	春	17.3.2.
182	アフリカへ発つてふ医師の遍路笠	遍路笠」	春	17.3.2.
183	お遍路に媼声掛く伊予訛り	遍路	春	17.3.2.
184	位牌持ち後半分てふ老遍路	遍路	春	17.3.2.
185	陽炎を纏ひ近づく昼のバス	陽炎	春	17.3.2.
186	おだまきや都大路を市女笠	苧環	春	17.3.2.
187	かぎろひて人影のなき津波地区	陽炎	春	17.3.2.
188	おだまきや秩父往還暮れなずむ	苧環	春	17.3.2.
189	陽炎の後ずさりする磴百段	陽炎	春	17.3.2.
190	詠み続けむ詠み続けむや桃の花	桃の花	春	17.3.2.
191	詠み続けむ巡り来りし雛祭	雛祭	春	17.3.３.
192	雛祭われには遠き耳の日に	雛祭	春	17.3.３
193	祭済み雛戻りゆく納戸かな	雛	春	17.3.３
194	黴臭き言葉となりし上巳かな	上巳	春	17.3.３
195	手巻寿司にぎやかに食む雛の宴	雛	春	17.3.３
196	雛の宴幼も嬉々と手巻寿司	雛	春	17.3.３
197	内裏雛正座崩さず五十年	内裏雛	春	17.3.３
198	取り出して飾りてしまふ雛かな	雛	春	17.3.３
199	わが家紋忘れて眺む雛の紋	雛	春	17.3.３
200	内裏雛引き目清しくほのと笑み	内裏雛	春	17.3.３
201	雛包む和紙も古たり五十年	雛	春	17.3.３
202	お遍路に接待の声伊予訛り	遍路	春	17.3.4.
203	雛飾り娘等だれも見にも来ず	雛飾り	春	17.3.4.
204	内裏雛引き目清しくほのと坐す	内裏雛	春	17.3.4.
205	お内裏にまた来年と雛納め	雛納め	春	17.3.4.
206	老妻と雛と並んで自撮りかな	雛	春	17.3.4.
207	茶箪笥の寂しくなりぬ雛納め	雛納め	春	17.3.4.
208	お疲れと納屋に戻せし内裏雛	内裏雛	春	17.3.4.
209	遠富士の白無垢眩し雛納め	雛納め	春	17.3.4.
210	大川の煮え滾りたる空襲忌（東京大空襲３．１０．）	東京大空襲忌	春	17.3.4.
211	雛あられあてに昼間の赤ワイン	雛あられ	春	17.3.4.
212	雛納め少し湿りしあられ食む	雛納め	春	17.3.4.
213	ビキニ忌や狂気の国のなほ在りて	ビキニ忌	春	17.3.4.
214	陽炎を纏ひゆらりと昼のバス	陽炎	春	17.3.4.
215	陽炎を纏ひゆらゆら昼のバス	陽炎	春	17.3.4.
216	蜑の庭光集めて白子干	白子干	春	17.3.4.
217	蒼天に鈴転がして揚ひばり	揚ひばり	春	17.3.4.
218	ジーパンの若き遍路の足速し	遍路	春	17.3.4.
219	剃髪の若き尼僧や遍路宿	遍路宿	春	17.3.4.
220	陽炎の後ずさりゆく磴百段	陽炎	春	17.3.4.
221	陽炎の後ずさりせし磴百段	陽炎	春	17.3.4.
222	朝発ちの鈴の音聞こゆ遍路宿	遍路宿	春	17.3.4.
223	朝発ちの鈴の音清し遍路宿	遍路宿	春	17.3.4.
224	亀鳴くを耳に天寿の師は逝けり	亀鳴く	春	17.3.5.
225	川底にゆらりと太き蝌蚪の紐	蝌蚪の紐	春	17.3.5.
226	蝌蚪すべて黒き粒なり不気味なり	蝌蚪	春	17.3.5.
227	佃煮になるかと思ふ蝌蚪の数	蝌蚪	春	17.3.5.
228	池の底犇めく命蝌蚪の群れ	蝌蚪	春	17.3.5.
229	抜き足の鳥影知るや蝌蚪の群れ	蝌蚪	春	17.3.5.
230	鳥語知る術あらまほし春の鳥	春の鳥	春	17.3.5.
231	口笛で鶯呼ぶやパパゲーノ	鶯	春	17.3.5.
232	雉鳴けば岩穿つかにこだませり	雉	春	17.3.5.
233	雉子二声たちまち戻る寂かな	雉子	春	17.3.5.
234	ハーケンを打ち込むごとく雉子鳴けり	雉子	春	17.3.5.
235	小綬鶏の少し早口ちょっとこい	小綬鶏	春	17.3.5.
236	おだまきや昔大路は市女笠	苧環	春	17.3.6.
237	陽炎の後ずさりする磴百段	陽炎	春	17.3.6.
238	なんとなく触れし椿の落ちにけり	落椿	春	17.3.6.
239	落椿母子で綴るネックレス	落椿	春	17.3.6.
240	触れたらば待ってましたと椿落つ	落椿	春	17.3.6.
241	初蝶に緊張走る農の顔	初蝶	春	17.3.6.
242	畑に立つ農には憎き蝶の舞ひ	蝶	春	17.3.6.
243	ふっと落つ深きたくらみ落椿	落椿	春	17.3.6.
244	花びらをはらりはらりと散椿	散椿	春	17.3.6.
245	てんでんに五色の花の散椿	散椿	春	17.3.6.
246	花びらのひらりと添ひて桜餅	桜餅	春	17.3.6.
247	ブラジャーに桜吹雪の一片が	桜吹雪	春	17.3.6.
248	幼元気ぴょんぴょんと行く山桜	山桜	春	17.3.7.
249	山桜一期一会の奥千本	山桜	春	17.3.7.
250	見上ぐれば唄唇に花辛夷	辛夷	春	17.3.7.
251	蒼天に唄浮び来る花辛夷	辛夷	春	17.3.7.
252	まず唄が唇をつく花辛夷	辛夷	春	17.3.7.
253	まず唄が浮かぶ唇花辛夷	辛夷	春	17.3.7.
254	花びらを六方に向け辛夷揺る	辛夷	春	17.3.7.
255	何ごとか語りかけ来る花辛夷	辛夷	春	17.3.7.
256	辛夷咲く花びらどれも曲りをり	辛夷	春	17.3.7.
257	唇にあの唄を載せ花辛夷	辛夷	春	17.3.7.
258	北国の空先駆けて花こぶし	辛夷	春	17.3.7.
259	スニーカーとりどり並ぶ遍路宿	遍路宿	春	17.3.7.
260	蒼天に音符鏤め揚ひばり	揚雲雀	春	17.3.7.
261	抜き足の鳥影迫る蝌蚪の群れ	蝌蚪	春	17.3.7.
262	花びらのひらりと添ひし桜餅	桜餅	春	17.3.7.
263	雉子啼ひて俄かに暮るる峡の里	雉子	春	17.3.7.
264	列作るとげ抜き地蔵楓の芽	楓の芽	春	17.3.8.
265	水光るとげ抜き地蔵楓の芽	楓の芽	春	17.3.8.
266	江戸前の小紋の紅や楓の芽	楓の芽	春	17.3.8.
267	西日射すとげ抜き地蔵花楓	花楓	春	17.3.8.
268	うこぎ飯メニューにありし道の駅	五加木（うこぎ）	春	17.3.8.
269	枸杞飯と言ふが出されし山の宿	枸杞飯	春	17.3.8.
270	山菜の店の昼餉は五加木（うこぎ）飯	五加木飯	春	17.3.8.
271	山宿や季節の馳走うこぎ飯	五加木飯	春	17.3.8.
272	懐石に顔を出したる五加木飯	五加木飯	春	17.3.8.
273	山伏の炊いてくれたる五加木飯	五加木飯	春	17.3.8.
274	うこぎ飯お替りしたる山の宿	五加木飯	春	17.3.8.
275	楤（たら）の芽の煮つけを菜にうこぎ飯	楤の芽・五加木飯	春	17.3.8.
276	陽炎と距離を縮めず走るバス	陽炎	春	17.3.8.
277	無人駅かげろふ遊ぶホームかな	陽炎	春	17.3.9.
278	踏青や子ら遊ばせてママスマホ	踏青	春	17.3.9.
279	山門に陽炎立ちて磴百段	陽炎	春	17.3.9.
280	スカイツリー霞て見えず多摩丘陵	霞	春	17.3.9.
281	かげろふの立つ校庭でボール蹴る	陽炎	春	17.3.9.
282	かぎろへる札所の道や鈴の音	陽炎	春	17.3.9.
283	佐保姫のミニ軽快に踊りゆく	佐保姫	春	17.3.9.
284	佐保姫やタンデム漕ぎしミニ二人	佐保姫	春	17.3.9.
285	佐保姫のミニの似合いし富良野かな	佐保姫	春	17.3.9.
286	雉子鳴くや岩穿つかにこだませり	雉子	春	17.3.9.
287	おだまきや秩父往還暮れ早し	苧環	春	17.3.9.
288	桜島何事もなく霞みけり	霞	春	17.3.9.
289	火の島の何事もなく霞みけり	霞	春	17.3.9.
290	ビル高し裾から霞む副都心	霞	春	17.3.9.
291	鈴の音を残し発ち行く遍路かな	遍路	春	17.3.10.
292	袴付け卒業女子のハイヒール	卒業子	春	17.3.10.
293	臨月のお腹抱えて卒業子	卒業子	春	17.3.10.
294	師を仰ぐ歌を省きて卒業式	卒業式	春	17.3.10.
295	屋根替の作業は日がな横歩き	屋根替	春	17.3.10.
296	春闘の言葉聞かれぬ幸不幸	春闘	春	17.3.10.
297	春の野に踊る生足チア乙女	春の野	春	17.3.10.
298	陽炎を纏ひて来り路線バス	陽炎	春	17.3.10.
299	青き踏み鳥語に似たる子らの声	踏青	春	17.3.10.
300	小流れの瀬音聞きつつ芹を摘む	芹	春	17.3.10.
301	野芹摘みまずお隣りへお裾分け	芹	春	17.3.10.
302	晩酌のあてにほどよき土筆摘む	土筆	春	17.3.10.
303	早口に恋のＣＭ百千鳥	百千鳥	春	17.3.11.
304	どれもみな早口ばかり百千鳥	百千鳥	春	17.3.11.
305	囀りの坩堝と化して雑木山	囀	春	17.3.11.
306	囀りやママチャリ並ぶ小公園	囀	春	17.3.11.
307	姦しやトトロの森の百千鳥	百千鳥	春	17.3.11.
308	濁声の混じる余地なし百千鳥	百千鳥	春	17.3.11.
309	濁声の混じらぬ不思議百千鳥	百千鳥	春	17.3.11.
310	囀の尽きて寂しき雑木山	囀	春	17.3.11.
311	クスコスの郵便馬車や百千鳥	百千鳥	春	17.3.11.
312	囀りの鳥語解せば面白き	囀	春	17.3.11.
313	囀りやどれも早口ラブコール	囀	春	17.3.11.
314	帯解けば一片こぼる花疲れ	花疲れ	春	17.3.11.
315	花びらのひとひら添ひし桜餅	桜餅	春	17.3.11.
316	花びらのひとひらこぼれ桜餅	桜餅	春	17.3.11.
317	陽炎のホームで遊ぶ無人駅	陽炎	春	17.3.11.
318	陽炎の遊ぶホームや無人駅	陽炎	春	17.3.11.
319	茎立つや岬を洗ふ太平洋	茎立	春	17.3.12.
320	茎立ちて遅れを告げる畑仕事	茎立	春	17.3.12.
321	畑仕事遅るるほどに茎立ぬ	茎立	春	17.3.12.
322	茎立ちてかくれんぼうの子ら走る	茎立	春	17.3.12.
323	茎立ちて農を焦らす畑仕事	茎立	春	17.3.12.
324	茎立ちの速きに追はる畑仕事	茎立	春	17.3.12.
325	茎立ちに追い立てらるる農夫婦	茎立	春	17.3.12.
326	茎立ちて灯台の道黄一色	茎立	春	17.3.12.
327	作業遅れ咎める如く茎立てり	茎立	春	17.3.12.
328	茎立や岬行き交ふ貨物船	茎立	春	17.3.12.
329	茎立や武甲はけふも身を削る	茎立	春	17.3.12.
330	陽炎の独り遊びや無人駅	陽炎	春	17.3.12.
231	陽炎の人待つ風情無人駅	陽炎	春	17.3.12.
232	むぐらにも命弾みし若葉かな	葎若葉	春	17.3.13.
233	若芝や母円陣の中の嬰	若芝	春	17.3.13.
234	草若葉後ずさりする子犬かな	草若葉	春	17.3.13.
235	古草やまだまだと言ふ声聞こゆ	古草	春	17.3.13.
236	廃ホテル色鮮やかに蔦若葉	蔦若葉	春	17.3.13.
237	三階の出窓に伸びて蔦若葉	蔦若葉	春	17.3.13.
238	妻の呼ぶ庭のをちこち茗荷竹	茗荷竹	春	17.3.13.
239	即売棚葉を付けしまま春大根	春大根	春	17.3.13.
240	吟行の足止め土手の野蒜摘む	野蒜	春	17.3.13.
241	それぞれが摘みし野蒜の一掴み	野蒜	春	17.3.13.
242	湯潜れば目に沁む緑鶯菜	鶯菜	春	17.3.13.
243	黒土のほくほくとして水菜摘む	水菜	春	17.3.13.
244	来ずなりぬ置き薬屋の紙風船	風船	春	17.3.14.
245	葉も食みてつぎは葉を剥く桜餅	桜餅	春	17.3.14.
246	ほうれん草スープの緑披露宴	ほうれん草	春	17.3.14.
247	母懐かし赤い根甘きほうれん草	ほうれん草	春	17.3.14.
248	味噌和えの萵苣懐かしき母の味	萵苣	春	17.3.14.
249	大壺に三十本のチューリップ	チューリップ	春	17.3.14.
250	頸長き支え毅然とチューリップ	チューリップ	春	17.3.14.
251	お絵描きで描けぬ子はなしチューリップ	チューリップ	春	17.3.14.
252	おめでとうお幸せにとチューリップ	チューリップ	春	17.3.14.
253	渚にはいつも一片さくら貝	桜貝	春	17.3.14.
254	渚にはいつも片方さくら貝	桜貝	春	17.3.14.
255	潮引けば常に片方桜貝	桜貝	春	17.3.14.
256	二枚貝渚の別れ桜貝	桜貝	春	17.3.14.
257	改築の軒に戻りし番燕	燕	春	17.3.14.
258	改築の軒忘れずに番燕	燕	春	17.3.14.
259	町工場主自慢の巣に燕	燕	春	17.3.14.
260	狭き巣に肩寄せ騒ぐ燕の子	燕	春	17.3.14.
261	「落石に注意」に似たり軒燕	燕	春	17.3.14.
262	電線に並び一息つくつばめ	燕	春	17.3.14.
263	改築の軒にうれしき帰燕かな	燕	春	17.3.14.
264	三段切れのの字で収め春の宵	春宵	春	17.3.14.
265	物陰を離れし二人春の宵	春宵	春	17.3.14.
266	裏道を選ぶ二人や春の宵	春宵	春	17.3.14.
267	履物の薄き埃や花疲れ	花疲れ	春	17.3.14.
268	つばくらめ向うの国は平和かな	燕	春	17.3.14.
269	気を付けよぽとりと落すつばくらめ	燕	春	17.3.14.
270	宙返りまた宙返りつばくらめ	燕	春	17.3.14.
271	観覧車乗って後悔初つばめ	初燕	春	17.3.14.
272	持ち帰り弁当の店初燕	初燕	春	17.3.14.
273	校庭の子らに曲技の初つばめ	初燕	春	17.3.14.
274	新幹線ひらりと飛燕過りたり	燕	春	17.3.14.
275	新幹線過る飛燕や師は白寿	燕	春	17.3.14.
276	ご用心ぽとりと落すつばくらめ	燕	春	17.3.15.
277	初燕向うの国は平和かな	初燕	春	17.3.15.
278	蜂に綿つけて追ひ行く信濃人	蜂	春	17.3.15.
279	蜂に綿つけて追ひ行く信濃かな	蜂	春	17.3.15.
280	躙り口蜂連れて來し茶の湯客	蜂	春	17.3.15.
281	花移る蜜蜂の脚垂れしまま	蜂	春	17.3.15.
282	蜂一匹算を乱せし茶の湯客	蜂	春	17.3.15.
283	仁王像鼻から抜けし雀蜂	蜂	春	17.3.15.
284	春蚊出づ人刺す気力無き風情	春の蚊	春	17.3.15.
285	春の蚊の微かな声や地蔵堂	春の蚊	春	17.3.15.
286	拾ふのはいつも片ひら桜貝	桜貝	春	17.3.15.
287	拾ふのはいつも片方桜貝	桜貝	春	17.3.15.
288	陽炎の独り遊ぶや無人駅	陽炎	春	17.3.15.
289	紙風船置き薬屋の来ずなりぬ	風船	春	17.3.15.
290	前山も奥山もみな山桜	山桜	春	17.3.16.
291	山桜一期一会の奥千本	山桜	春	17.3.16.
292	山茱萸の前に立つ人後光射す	山茱萸	春	17.3.16.
293	山茱萸の黄金の靄に目の霞む	山茱萸	春	17.3.16.
294	接写せし山茱萸の花みなぼやけ	山茱萸	春	17.3.16.
295	山茱萸の花に伸びたる嬰児の手	山茱萸	春	17.3.16.
296	山茱萸の花に小さき虫の影	山茱萸	春	17.3.16.
297	山茱萸や花満開の朝ぼらけ	山茱萸	春	17.3.16.
298	投函のポストの先に花山茱萸	山茱萸	春	17.3.16.
299	従兄弟への便り投函山茱萸咲く	山茱萸	春	17.3.16.
300	ポストまで千五百歩や山茱萸咲く	山茱萸	春	17.3.16.
301	山茱萸の花なぜなぜと嬰児の手	山茱萸	春	17.3.16.
302	山茱萸に爪先立ちて嬰児の手	山茱萸	春	17.3.17.
303	春の蚊の微かに鳴けり地蔵堂	春の蚊	春	17.3.17.
304	枯木から火を噴く色や牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
305	枯枝に命吹き出す牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
306	枯枝に焔あげをり牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
307	枯枝に焔かと見し牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
308	目覚めける命燃え立つ牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
309	触れたれば火傷せむかと牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
310	噴出せる間合い計りし牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
311	枯枝に真紅燃立つ牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
312	枯枝に噴出す真紅牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
313	枯枝に紅蓮噴出す牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
314	牡丹の芽見つめるほどに焔立つ	牡丹の芽	春	17.3.17.
315	本堂の木魚鳴りをり牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
316	本堂の木魚に緩急牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
317	枯枝に炎吹き出す牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
318	牡丹の芽作務衣の僧が箒止む	牡丹の芽	春	17.3.17.
319	枯淡にも燃ゆるものあり牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
320	枯枝に青春戻る牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
321	回春の焔たぎらせ牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
322	命いま発火点なり牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
323	庭下駄の和尚見回る牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
324	猛りたる心抑えて牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
325	猛りたる心鎮めて牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
326	聖域を触るるにあらじ牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
327	火と燃えて大輪となる牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
328	火と燃ゆるこころ抑えて牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
329	敷藁を外し膨らむ牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
330	般若経唱える声や牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
331	春の字を百回書きぬ牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
332	青春は戸惑いばかり牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
333	青春の鬱勃問ふや牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
334	青春の鬱勃問はん牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
335	青春に鬱勃ありて牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
336	青春は振り向ひてこそ牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
337	青春の溜息深し牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
338	青春は吐息溜息牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
339	燃え滾るものを隠して牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
340	枯枝に花を咲かせぬ牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.17.
341	紙風船富山の薬来ずなりぬ	風船	春	17.3.18.
342	波に引かれ波に押されて桜貝	桜貝	春	17.3.18.
343	思い出の海に戻さん桜貝	桜貝	春	17.3.18.
344	鎮魂の碑に埋込みし桜貝	桜貝	春	17.3.18.
345	ひかがみを見せて拾ひし桜貝	桜貝	春	17.3.18.
346	教え子の無言でくれし桜貝	桜貝	春	17.3.18.
347	アルバムからぽとりと落ちぬ桜貝	桜貝	春	17.3.18.
348	古手紙転げ出て来し桜貝	桜貝	春	17.3.18.
349	ひとひらに海の音聴く桜貝	桜貝	春	17.3.18.
350	そっと入れし棺の隅の桜貝	桜貝	春	17.3.18.
351	避難地区渚に残る桜貝	桜貝	春	17.3.18.
352	ひかがみに乙女の色気桜貝	桜貝	春	17.3.18.
353	ひとひらに詰まる思い出桜貝	桜貝	春	17.3.18.
354	ひとひらに胸ときめきし桜貝	桜貝	春	17.3.18.
355	青春の記憶留めて桜貝	桜貝	春	17.3.18.
356	柳絮飛ぶ安曇野行けば道祖神	柳絮	春	17.3.18.
357	御柱立ちし諏訪湖の柳絮かな	柳絮	春	17.3.18.
358	御柱遠見に湖上柳絮舞ふ	柳絮	春	17.3.18.
359	雪渓の光る白馬や柳絮舞ふ	柳絮	春	17.3.18.
360	茎立ちの速きが急かす畑仕事	茎立	春	17.3.18.
361	雪渓の光る白馬や柳絮舞ふ	柳絮	春	17.3.18.
362	御柱望む湖上を柳絮飛ぶ	柳絮	春	17.3.18.
363	御柱望む湖上に柳絮舞ふ	柳絮	春	17.3.18.
364	かぎろひし摩文仁の丘の礎かな	陽炎	春	17.3.18.
365	桜貝転げ出て来し古手紙	桜貝	春	17.3.19.
366	波に引かれ波に戻され桜貝	桜貝	春	17.3.19.
367	狭庭さへ少し浮き立つ春の宵	春の宵	春	17.3.19.
368	華やげる幕間のロビー春の宵	春の宵	春	17.3.19.
369	春の宵雷門は人の渦	春の宵	春	17.3.19.
370	ビストロも盛り塩をして春の宵	春の宵	春	17.3.19.
371	春宵やＯＢ会のはしご酒	春の宵	春	17.3.19.
372	ほろ酔ひの頬撫でる風春の宵	春の宵	春	17.3.19.
373	頬撫でる風心地よき春の宵	春の宵	春	17.3.19.
374	句会後の小酌楽し春の宵	春の宵	春	17.3.19.
375	燃え滾るものを滲ませ牡丹の芽	牡丹の芽	春	17.3.20.
376	へぼ将棋十番指せし日永かな	日永	春	17.3.20.
377	へぼ将棋五勝五敗の日永かな	日永	春	17.3.20.
378	囀りに鳥の名さがすオノマトペ	囀	春	17.3.20.
379	囀りて生きとし生きる仲間かな	囀	春	17.3.20.
380	囀りを五線譜に採り吹いてみる	囀	春	17.3.20.
381	囀りの大合唱や雑木山	囀	春	17.3.20.
382	ひと吹きの笛に囀りぴたと止む	囀	春	17.3.20.
383	囀りにとぐろを解く長い影	囀	春	17.3.20.
384	囀りにゆっくり解くとぐろかな	囀	春	17.3.20.
385	囀れる鳥語に笑みし弥勒像	囀	春	17.3.20.
386	囀りを解す弥勒の微笑かな	囀	春	17.3.20.
387	ぽくぽくと打たるる木魚春の昼	春の昼	春	17.3.20.
388	鈴の音の澄みしご詠歌花祭り	花祭り	春	17.3.20.
389	鉦に銅鑼木魚の響く花祭り	花祭り	春	17.3.20.
390	鉦に銅鑼木魚響けり花祭り	花祭り	春	17.3.20.
391	木魚鳴る緩急高低春の昼	春の昼	春	17.3.20.
392	春昼や緩急高低木魚の音	春昼	春	17.3.20.
393	礎から陽炎の立つ摩文仁かな	陽炎	春	17.3.21.
394	へぼ将棋十連敗の日永かな	日永	春	17.3.21.
395	こぼるには未だ日数あり雪柳	雪柳	春	17.3.21.
396	どの枝も踊り疲れし雪柳	雪柳	春	17.3.21.
397	どの枝も風に頷く雪柳	雪柳	春	17.3.21.
398	散歩犬片足揚げし雪柳	雪柳	春	17.3.21.
399	忙し気に花枝揺らす雪柳	雪柳	春	17.3.21.
400	雪柳揺れて知らせる風の道	雪柳	春	17.3.21.
401	風誘ひ風と遊ぶや雪柳	雪柳	春	17.3.21.
402	深大寺脊山の道の雪柳	雪柳	春	17.3.21.
403	踊り跳ね風と戯る小米桜（＝雪柳）	雪柳	春	17.3.21.
404	花筒で踊り忘れぬ雪柳	雪柳	春	17.3.21.
405	雪柳小花ほろほろこぼれけり	雪柳	春	17.3.21.
406	ひと枝ごと花を連ねし雪柳	雪柳	春	17.3.21.
407	ほろほろと小花を零す雪柳	雪柳	春	17.3.21.
408	どの枝も踊り呆けて雪柳	雪柳	春	17.3.21.
409	どの枝も風にお任せ雪柳	雪柳	春	17.3.21.
410	囀やたいへんなこと言ってるやも	囀	春	17.3.21.
411	墨堤や四個食ひたる桜餅	桜餅	春	17.3.21.
412	葉もむしゃと次いで葉を剥き桜餅	桜餅	春	17.3.21.
413	いやよとは女のセリフ春の昼	春の昼	春	17.3.21.
414	囀りに鳥類図鑑のオノマトペ	囀	春	17.3.22.
415	多詠多捨実践したる日永かな	日永	春	17.3.22.
416	のどけしや鳥語に笑みし弥勒仏	長閑	春	17.3.22.
417	パソコンに向ひこっくりのどけしや	長閑	春	17.3.22.
418	坊さんが単車で走る彼岸かな	彼岸	春	17.3.22.
419	仏壇の牡丹餅供へ彼岸入り	彼岸入り	春	17.3.22.
420	牡丹餅は餡子と黄粉彼岸来る	彼岸	春	17.3.22.
421	弁当に牡丹餅入れし彼岸かな	彼岸	春	17.3.22.
422	弁当は牡丹餅五つ彼岸来る	彼岸	春	17.3.22.
423	無住寺の雨戸開きし入彼岸	入彼岸	春	17.3.22.
424	住職と総代の声彼岸入り	彼岸入り	春	17.3.22.
425	副住職檀家を巡る彼岸かな	彼岸	春	17.3.22.
426	弁当の牡丹餅分ける彼岸かな	彼岸	春	17.3.22.
427	仁王像鼻からひょいと雀蜂	蜂	春	17.3.22.
428	超絶の燕返しや地に五寸	燕	春	17.3.22.
429	本開き鬼平とゐる春の宵	春の宵	春	17.3.23.
430	釈尊が天指し地指す花御堂	花御堂	春	17.3.23.
431	日がな濡れ鼻むずむずと甘茶仏	甘茶仏	春	17.3.23.
432	ちっちゃーい園児声上ぐ甘茶仏	甘茶仏	春	17.3.23.
433	脹らみし蕾天向く紫木蓮	紫木蓮	春	17.3.23.
434	花開く間合い計るや紫木蓮	紫木蓮	春	17.3.23.
435	白一色異彩を放つ花御堂	花御堂	春	17.3.23.
436	寺巡るどこも小さき甘茶仏	甘茶仏	春	17.3.23.
437	服濡らしべそかく子供灌仏会	灌仏会	春	17.3.23.
438	寺巡り甘茶の味の飲み比べ	甘茶	春	17.3.23.
439	花びらの風に乗り来る仏生会	仏生会	春	17.3.23.
440	紫木蓮ぬったりと花開きけり	紫木蓮	春	17.3.24.
441	けだし見せ艶然と咲く紫木蓮	紫木蓮	春	17.3.24.
442	しどけなく恋に疲れて紫木蓮	紫木蓮	春	17.3.24.
443	火照りたる肌持て余し紫木蓮	紫木蓮	春	17.3.24.
444	着崩して余韻に浸る紫木蓮	紫木蓮	春	17.3.24.
445	情炎を身に纏ふかに紫木蓮	紫木蓮	春	17.3.24.
446	恋をして恋に疲れし紫木蓮	紫木蓮	春	17.3.24.
447	情痴果て立膝したる紫木蓮	紫木蓮	春	17.3.24.
448	恋に生き恋に果つるや紫木蓮	紫木蓮	春	17.3.24.
449	立膝を割りて気だるき紫木蓮	紫木蓮	春	17.3.24.
450	恋をまだ知らぬ蕾や紫木蓮	紫木蓮	春	17.3.24.
451	恋を知り恋に身を果つ紫木蓮	紫木蓮	春	17.3.24.
452	情炎の残り火ちろと紫木蓮	紫木蓮	春	17.3.24.
453	肉筆の春画のをんな紫木蓮	紫木蓮	春	17.3.24.
454	「恋」一字刻みし墓碑や紫木蓮	紫木蓮	春	17.3.24.
455	亀鳴くを聞ひた人なしされど鳴く	亀鳴く	春	17.3.24.
456	俳人に科学者もゐて亀鳴く句	亀鳴く	春	17.3.24.
457	俳諧の洒落の一つや亀鳴けり	亀鳴く	春	17.3.24.
458	失恋の亀かも知れず泣きっ面	亀鳴く	春	17.3.24.
459	咽び泣く亀かも知れず岩の陰	亀鳴く	春	17.3.24.
460	渚にはいつもひとひら桜貝	桜貝	春	17.3.25.
461	詩集から転げ出でしは桜貝	桜貝	春	17.3.25.
462	臍の緒の箱といっしょに桜貝	桜貝	春	17.3.25.
463	臍の緒の箱から出し桜貝	桜貝	春	17.3.25.
464	身を焦がし呆け顔なる紫木蓮	紫木蓮	春	17.3.25.
465	立膝を少し崩して紫木蓮	紫木蓮	春	17.3.25.
466	葺替の作業は日がな横歩き	葺替	春	17.3.25.
467	二日酔ひ浅蜊汁だけ飲んだ朝	浅蜊	春	17.3.25.
468	さらさらと音ある朝餉蜆汁	蜆汁	春	17.3.25.
469	蜆汁納豆のある朝餉かな	蜆汁	春	17.3.25.
470	三菜に一椀加ふ蜆汁	蜆汁	春	17.3.26.
471	明日を知らず砂吐く浅蜊夜の厨	浅蜊	春	17.3.26.
472	しじみ汁老ひし夫婦の朝餉かな	蜆汁	春	17.3.26.
473	金婚を過ぎし夫婦のしじみ汁	蜆汁	春	17.3.26.
474	塗り椀を大蛤の独り占め	蛤	春	17.3.26.
475	身の裡の遺物気にしつ烏貝	烏貝	春	17.3.26.
476	老夫婦朝餉の椀はしじみ汁	蜆汁	春	17.3.26.
477	若鮎の身の軽やかに上りけり	若鮎	春	17.3.26.
478	薄墨の透けるがごとく上り鮎	上り鮎	春	17.3.26.
479	薄墨の透けるほどなり上り鮎	上り鮎	春	17.3.26.
480	若鮎の清流上る影速し	若鮎	春	17.3.26.
481	清流を飛ぶがごとくに上り鮎	上り鮎	春	17.3.26.
482	柳絮舞ふ付和雷同の人に似て	柳絮	春	17.3.27.
483	天と地に継承の意思柳絮舞ふ	柳絮	春	17.3.27.
484	柳絮無心風に託せし命かな	柳絮	春	17.3.27.
485	柳絮とぶ花子のゐない象舎かな	柳絮	春	17.3.27.
486	柳絮とぶ標高髙き小海線	柳絮	春	17.3.27.
487	柳絮飛ぶ一つ一つに命乗せ	柳絮	春	17.3.27.
488	道祖神多き安曇野柳絮とぶ	柳絮	春	17.3.27.
489	道祖神辿る安曇野柳絮舞ふ	柳絮	春	17.3.27.
490	残照の安曇野の道柳絮舞ふ	柳絮	春	17.3.27.
491	風鐸の鎖とも見ゆ花木五倍子	木五倍子の花	春	17.3.27.
492	花きぶし鎖を走る雨雫	木五倍子の花	春	17.3.27.
493	縄のれん掻き分くやうに花きぶし	木五倍子の花	春	17.3.27.
494	春画てふ江戸の風雅や紫木蓮	紫木蓮	春	17.3.27.
495	にょきと出てにょきにょき伸びしヒヤシンス	ヒヤシンス	春	17.3.28.
496	異形楽し華鬘の花の横並び	華鬘草	春	17.3.28.
497	碇草木魚聞ゆる寺の池	碇草	春	17.3.28.
498	風来ればふわりふわりと碇草	碇草	春	17.3.28.
499	花韮や去年と同じ場所で会ふ	花韮	春	17.3.28.
500	山道でぎょっと足止むまむし草	まむし草	春	17.3.29.
501	茎柄に息を呑ませてまむし草	まむし草	春	17.3.29.
502	山宿の庭に迎へし海老根蘭	海老根	春	17.3.29.
503	シャベル手に盗掘の人えびね掘る	海老根	春	17.3.29.
504	つくつくと土を破りて茗荷竹	茗荷竹	春	17.3.29.
505	物語伝えて咲けり熊谷草	熊谷草	春	17.3.29.
506	老武者の勇猛伝え熊谷草	熊谷草	春	17.3.29.
507	谷津干潟鋏かちかち汐まねき	汐まねき	春	17.3.30.
508	子が捉え鋏空切る汐まねき	汐まねき	春	17.3.30.
509	一小節指揮繰り返す汐まねき	汐まねき	春	17.3.30.
510	戻れよと夕日うながす汐まねき	汐まねき	春	17.3.30.
511	いざやいざ鬨の腕振る汐まねき	汐まねき	春	17.3.30.
512	青空や棚のをちこち梨の花	梨の花	春	17.3.30.
513	春惜しむ余命を思ふ歳となり	春惜しむ	春	17.3.30.
514	春惜しむ心のいまだ残りをり	春惜しむ	春	17.3.30.
515	春惜しみ手巻き寿司食ふ夕餉かな	春惜しむ	春	17.3.30.
516	春惜しみ余命を思ふ誕生日	春惜しむ	春	17.3.30.
517	けふ越えし平均寿命春惜しむ	春惜しむ	春	17.3.30.
518	春惜しむ暇なき日々の懐かしき	春惜しむ	春	17.3.30.
519	蒼天に浮雲一つ梨の花	梨の花	春	17.3.30.
520	手の届く高さに咲けり梨の花	梨の花	春	17.3.30.
521	梨棚に花咲く里はとの曇り	梨の花	春	17.3.30.
522	梨棚に白い花咲く甲斐快晴	梨の花	春	17.3.30.
523	梨棚に白い花咲く甲斐路かな	梨の花	春	17.3.30.
524	砂丘へと続く里道梨の花	梨の花	春	17.3.30.
525	右利きと左利きあり汐まねき	汐まねき	春	17.3.30.
526	汐まねき干潟の上の阿波踊り	汐まねき	春	17.3.30.
527	潮引けば手踊り始む汐まねき	汐まねき	春	17.3.30.
528	鋏振り求愛ダンス汐まねき	汐まねき	春	17.3.30.
529	ひょいひょいと鋏振りをり汐まねき	汐まねき	春	17.3.30.
530	鋏振り雌に呼びかく汐まねき	汐まねき	春	17.3.30.
531	妻娶る鋏踊りや汐まねき	汐まねき	春	17.3.30.
532	花の下食べ呑む人のさんざめき	汐まねき	春	17.3.31.
533	犬走る桜咲き添ふドッグラン	櫻	春	17.3.31.
534	犬走る桜吹雪のドッグラン	櫻	春	17.3.31.
535	三年の廃屋の庭桜咲く	櫻	春	17.3.31.
536	ブルドーザー地上げの桜切り倒す	櫻	春	17.3.31
537	観桜やトイレは人の長い列	櫻	春	17.3.31.
538	妖艶な染井に混ざり山桜	櫻	春	17.3.31.
539	スマホ繰り時に自撮りの桜かな	櫻	春	17.3.31.
540	夜桜の人追ひ立つるにわか雨	櫻	春	17.3.31.
541	西行とともに花見る吉野山	櫻	春	17.3.31.
542	歩数計確かめ向かふ奥千本	櫻	春	17.3.31.
543	さくらさくらさくらに満つる吉野山	櫻	春	17.4.1.
544	さくらさくら辿りつ来り奥千本	櫻	春	17.4.1.
545	えいえいおう利き腕振りし汐まねき	汐まねき	春	17.4.1.
546	来てよ来て雌を客引く汐まねき	汐まねき	春	17.4.1.
547	嫁求め腕振りダンス汐まねき	汐まねき	春	17.4.1.
548	求愛の腕振りダンス汐まねき	汐まねき	春	17.4.1.
549	求愛の鋏ダンスや汐まねき	汐まねき	春	17.4.1.
550	利き腕の鋏誇示して汐まねき	汐まねき	春	17.4.1.
551	汐まねき腕振り千回嫁募集	汐まねき	春	17.4.1.
552	鋏振り嫁取り競ふ汐まねき	汐まねき	春	17.4.1.
553	潮引けば鋏のダンス汐まねき	汐まねき	春	17.4.1.
554	近ごろはきのうもきょうも四月馬鹿	四月馬鹿	春	17.4.1.
555	遊びから日常となる四月馬鹿	四月馬鹿	春	17.4.1.
556	臍の緒の箱にひとひら桜貝	桜貝	春	17.4.1.
557	ウルトラの燕返しや地に五寸	燕	春	17.4.1.
558	たんぽぽを追い立て咲けり仏の座（仏の座＝季語：冬）	たんぽぽ	春	17.4.1.
559	春宵や駅前はいまフラッシュモブ	春宵	春	17.4.2.
560	コンコースフラッシュモブに春の宵	春宵	春	17.4.2.
561	鬼平が左馬と酒酌む春の宵	春宵	春	17.4.2.
562	鬼平の犯科帳読む春の宵	春宵	春	17.4.2.
563	鬼平と市中見廻り春の宵	春宵	春	17.4.2.
564	暮六つや江戸浮かれ出す春の宵	春宵	春	17.4.2.
565	暮六つや八百八丁春の宵	春宵	春	17.4.2.
566	着流しの鬼平巡視春の宵	春宵	春	17.4.2.
567	鬼平の気分で歩く春の宵	春宵	春	17.4.2.
568	春宵の愉悦鬼平犯科帳	春宵	春	17.4.2.
569	原発の懲りない稼働春の宵	春宵	春	17.4.2.
570	桜吹雪駆け抜けて行く子と犬と	桜吹雪	春	17.4.3.
571	桜吹雪転げ駆け抜く子と犬と	桜吹雪	春	17.4.3.
572	路線バス花渋滞で現れず	花	春	17.4.3.
573	山の墓地桜吹雪の中にあり	桜吹雪	春	17.4.3.
574	花見きてスマホ繰る人をちこちに	花見	春	17.4.3.
575	花の下酒を酌みつつ繰るスマホ	花	春	17.4.3.
576	スマホ繰りつ花の道行く花見客	花見	春	17.4.3.
577	花夕焼け不忍の池下る道	花	春	17.4.3.
578	花天井透かして見ゆる月の影	花	春	17.4.3.
579	ちらちらと月影見ゆる花天井	花	春	17.4.3.
580	社務所にも風の持て来る花吹雪	花吹雪	春	17.4.3.
581	社務所にも会釈なく舞ふ花吹雪	花吹雪	春	17.4.3.
582	バス停に人の列なす花渋滞	花	春	17.4.3.
583	あらと言ひまあと応ずる花見かな	花見	春	17.4.3.
584	冷やよりも熱いのがいい花の宴	花の宴	春	17.4.3.
585	臍の緒の箱に入りたる桜貝	花の宴	春	17.4.3.
586	臍の緒の箱から転ぐ桜貝	桜貝	春	17.4.4.
587	無人駅ホームを守る花あしび	花馬酔木	春	17.4.4.
589	碧落と墨書をしたり花馬酔木	花馬酔木	春	17.4.4.
590	鬼平を読む昼下がり花あしび	花馬酔木	春	17.4.4.
591	スマホ繰る尊徳像や花馬酔木	花馬酔木	春	17.4.4.
592	勿忘草出合えば歌の浮かびけり	勿忘草	春	17.4.4.
593	松の芯天突く庭や尊徳像	松の芯	春	17.4.4.
594	廃校の尊徳像や緑立つ	緑立つ	春	17.4.4.
595	園児らの声甲高し松の芯	松の芯	春	17.4.4.
596	緑立つ築山の奥尊徳像	緑立つ	春	17.4.4.
597	柳絮飛ぶ歴史遺産の奉安殿	柳絮	春	17.4.4.
598	柳絮舞ふあちこち欠けし奉安殿	柳絮	春	17.4.4.
599	百本もつくつく立ちし土筆んぼ	土筆	春	17.4.4.
600	勿忘草見つけて歌の浮かびけり	勿忘草	春	17.4.5.
601	勿忘草ふと唇に歌浮かぶ	勿忘草	春	17.4.5.
602	をだまきや友逝く知らせ受話器置く	苧環	春	17.4.5.
603	放置せし庭華やげり諸葛菜	諸葛菜	春	17.4.5.
604	放置せし庭むらさきに諸葛菜	諸葛菜	春	17.4.5.
605	勝手咲き庭を埋めたる諸葛菜	諸葛菜	春	17.4.5.
606	菜の花や鬼平がゆく川向ふ	菜の花	春	17.4.5.
607	農学部御用の畑や花大根	花大根	春	17.4.5.
608	農夫病み放置畑の花大根	花大根	春	17.4.5.
609	豌豆の花つぎつぎに空目指す	豌豆の花	春	17.4.5.
610	花ゑんどう蝶を夢見し風情あり	花豌豆	春	17.4.5.
611	花ゑんどう蝶を夢見て風呼べり	花豌豆	春	17.4.5.
612	舗装路の割れ目に小さき菫草	菫草	春	17.4.6.
613	石畳細き隙間の花すみれ	花菫	春	17.4.6.
614	バス停のポールの根方一夜草	一夜草（＝菫草）	春	17.4.6.
615	通学路踏まれず咲けり一夜草	一夜草	春	17.4.6.
616	道の端小さき菫のさり気なく	菫	春	17.4.6.
617	土煙上がるあきる野葱坊主	葱坊主	春	17.4.6.
618	豊穣の白を揺らして李咲く	李の花	春	17.4.6.
619	一夜明けまた増えてゐる葱坊主	葱坊主	春	17.4.6.
620	ほんとうは花恥ずかしき葱坊主	葱坊主	春	17.4.6.
621	頼まれもせぬに突き出る葱坊主	葱坊主	春	17.4.6.
622	凸凹と背丈ちぐはぐ葱坊主	葱坊主	春	17.4.6.
623	塩田の跡てふ川畔さくら咲く (あきる野市日ノ出町平井川の塩田耕地で）	櫻	春	17.4.6.
624	妹に優しいき目線二輪草	二輪草	春	17.4.6.
625	妹に目線優しき二輪草	二輪草	春	17.4.6.
626	花陰に小さき妹二輪草	二輪草	春	17.4.7.
627	あきる野や山並み望む茶の畑	茶畑	春	17.4.7.
628	あきる野や春疾風の土ぼこり	春疾風	春	17.4.7.
629	のらぼうてふ油菜闌ける多摩の里	油菜	春	17.4.7.
630	花なれど頭丸めて葱坊主	葱坊主	春	17.4.7.
631	あきる野や白こんもりと花すもも	李の花	春	17.4.7.
632	放置畑覆い尽して花なずな	花なずな	春	17.4.7.
633	人の手の抜けし地を埋め花なずな	花なずな	春	17.4.7.
634	人の手の回らぬ畑や花なずな	花なずな	春	17.4.7.
635	丸めたる頭の青き葱坊主	葱坊主	春	17.4.7.
636	剃り跡の青き尼僧や葱坊主	葱坊主	春	17.4.7.
637	花韮やあきる野に立つ土煙	花韮	春	17.4.7.
638	青き踏み鳥語に変る子らの声	青き踏む	春	17.4.8.
639	人の手の余る畑埋め花なずな	花なずな	春	17.4.7.
640	浮雲の空動かねど春疾風	春疾風	春	17.4.7.
641	葱坊主出て苦虫農の顔	葱坊主	春	17.4.7.
642	寺巡り印をいただく仏生会	仏生会	春	17.4.8.
643	舞ひ込みし花びら揺るる甘茶仏	甘茶仏	春	17.4.8.
644	寺巡り甘茶テイスト灌仏会	灌仏会	春	17.4.8.
645	ローカル線寺の背走る仏生会	仏生会	春	17.4.8.
646	善男と善女列なす花御堂	花御堂	春	17.4.8.
647	花御堂並ぶ善男善女かな	花御堂	春	17.4.8.
648	艶やかに濡れ立ち給ふ甘茶仏	甘茶仏	春	17.4.8.
649	との曇る空指さして甘茶仏	甘茶仏	春	17.4.8.
650	ひと花ずつ園児が挿せる花御堂	花御堂	春	17.4.8.
651	寺ごとに味もいろいろ灌仏会	灌仏会	春	17.4.8.
652	寺めぐり一万歩超ゆ仏生会	仏生会	春	17.4.8.
653	護摩焚きつ読経雄叫ぶ花会式（金峰山寺の花会式）	花会式	春	17.4.8.
654	花杏悠然と揺るつむじ風	花杏	春	17.4.9.
655	しどけなく乱れ咲きをり紫木蓮	紫木蓮	春	17.4.9.
656	しどけなく乱れ咲くかな紫木蓮	紫木蓮	春	17.4.9.
657	持て余す重き花びら紫木蓮	紫木蓮	春	17.4.9.
658	辛夷咲くハケにせせらぐ水の音	辛夷	春	17.4.9.
659	風無くも間断のなき花吹雪	花吹雪	春	17.4.9.
660	霧雨に濡るる丁字の花雫	丁字の花（＝沈丁花）	春	17.4.9.
661	山並みの煙る里雨花あんず	花杏	春	17.4.9.
662	万歩計覗いてどっと花疲れ	花疲れ	春	17.4.9.
663	しっぽりと濡れて重たき紫木蓮	紫木蓮	春	17.4.9.
664	四方向き群れ咲く花やヒヤシンス	ヒヤシンス	春	17.4.9.
665	風信子風がそよろと過ぎりけり	風信子（＝ヒヤシンス）	春	17.4.9.
666	春風の揺らす小枝に梅坊主	春風・梅の実	春・夏	17.4.10.
667	葉も出ぬに早や枝先に梅坊主	梅の実	夏	17.4.10.
668	無人駅降り立つホーム初燕	初燕	春	17.4.10.
669	駅舎抜けまた引き返すつばくらめ	つばくらめ	春	17.4.10.
670	投函のポストをよぎりつばくらめ	つばくらめ	春	17.4.10.
671	急坂のなぞへに眩し鼬草	鼬草	春	17.4.10.
672	日を浴びて光を返すいたち草	鼬草	春	17.4.10.
673	底抜けに明るき葎いたち草	鼬草	春	17.4.10.
674	連翹の離るるほどに輝けり	連翹（＝鼬草）	春	17.4.10.
675	連翹に心浮き立つ通学路	連翹	春	17.4.10.
676	連翹の道ではスマホやめなさい	連翹	春	17.4.10.
677	連翹の花の香ひそとかぐはしき	連翹	春	17.4.10.
678	燕返し見せて飛び去るつばくらめ	つばくらめ	春	17.4.11.
679	鮮やかな燕返しやつばくらめ	つばくらめ	春	17.4.11.
680	小次郎の燕返しでつばくらめ	つばくらめ	春	17.4.11.
681	翻りまた翻りつばくらめ	つばくらめ	春	17.4.11.
682	つばくらや燕返しの太刀一閃	つばくら	春	17.4.11.
683	燕返しかくのごとくと岩燕	燕	春	17.4.11.
684	過るかと見せて返せしつばくらめ	つばくらめ	春	17.4.11.
685	菜の花の畑連なりて水車小屋	菜の花	春	17.4.11.
686	無人駅出れば菜の花畑かな	菜の花	春	17.4.11.
687	川床を埋めて眩しき花菜かな	花菜	春	17.4.11.
688	一茎の花菜挿したる予約席	花菜	春	17.4.11.
689	寸止めを見せて飛び去るつばくらめ	つばくらめ	春	17.4.11.
690	よさこいの宿坊で食む初鰹（初鰹：夏）	初鰹	夏	17.4.12.
691	異教徒の姿も混じる遍路かな	遍路	春	17.4.12.
692	ご詠歌を上ぐる遍路の鈴の音	遍路	春	17.4.12.
693	異教徒も遍路と巡る伊予路かな	遍路	春	17.4.12.
694	異教徒もお接待受くへんろ道	遍路	春	17.4.12.
695	車座の宴に嬌声花吹雪	花吹雪	春	17.4.12.
696	鬼平と酌む蕎麦前酒春の夢	春の夢	春	17.4.12.
697	口開けて春睡深きバスの客	春睡	春	17.4.12.
698	春眠やスマホずり落つ女高生	春眠	春	17.4.12.
699	磯菜摘む蜑ひょいひょいと岩伝い	磯菜摘	春	17.4.12.
700	蜑の背を濡らす飛沫（しぶき）や磯菜摘み	磯菜摘	春	17.4.12.
701	招かざる鳥影を背に汐まねき	汐まねき	春	17.4.12.
702	木魚打つ音に緩急汐まねき	汐まねき	春	17.4.12.
703	鋏振る恋のシグナル汐まねき	汐まねき	春	17.4.12.
704	鋏振る百万匹の汐まねき	汐まねき	春	17.4.13.
705	干潟埋め恋の腕ふり汐まねき	汐まねき	春	17.4.13.
706	鳥取の砂丘を指呼に梨の花	梨の花	春	17.4.13.
707	暮れなずむ甲府盆地や梨の花	梨の花	春	17.4.13.
708	棚に手の届く高さに梨の花	梨の花	春	17.4.13.
709	鎮守の森抜ければ里は梨の花	梨の花	春	17.4.13.
710	受粉終えミセスの風情梨の花	梨の花	春	17.4.13.
711	碧落に白浮き立たす梨の花	梨の花	春	17.4.13.
712	梨花の里渡り行くジーゼルカー	梨の花	春	17.4.13.
713	梨花に一家総出の受粉かな	梨の花	春	17.4.13.
714	蕎麦前のビール飲み干し春惜しむ	春惜しむ	春	17.4.13.
715	花吹雪まとひ絵を描くつむじ風	花吹雪	春	17.4.14.
716	花吹雪纏ひて風の形なす	花吹雪	春	17.4.14.
717	神田川まことに長き花筏	花筏	春	17.4.14.
718	列島はどこを向いても桜かな	桜	春	17.4.14.
719	トランプや四海不穏の桜の季	桜	春	17.4.14.
720	多才多能修司溜息啄木忌	啄木忌	春	17.4.14.
721	古郷の訛り廃れし啄木忌	啄木忌	春	17.4.14.
722	紋白に緊張走る農の人	紋白蝶	春	17.4.15.
723	隠沼に人影はなし春りんどう	春竜胆	春	17.4.15.
724	隠沼に人影見えず春りんどう	春竜胆	春	17.4.15.
725	駿河路やなぞへに続く茶の畑	茶畑	春	17.4.15.
726	百万の鈴の房なす馬酔木かな	馬酔木	春	17.4.15.
727	百万の鈴音聴かせよ花馬酔木	馬酔木	春	17.4.15.
728	ことりとも鳴らず揺るるや花馬酔木	馬酔木	春	17.4.15.
729	行きゆきて桜さくらの吉野かな	桜	春	17.4.16.
730	行きゆきて桜さくらの吉野山	桜	春	17.4.16.
731	吉野山埋む万朶の花浄土	花	春	17.4.16.
732	花に酔ひ花に疲れし吉野かな	花	春	17.4.16.
733	吉野朝仮寓に舞ひし桜かな	桜	春	17.4.16.
734	後醍醐帝仮の御所跡さくら舞ふ	桜	春	17.4.16.
735	咲き満ちて吉野をちこち花吹雪	花吹雪	春	17.4.16.
736	奥千本芭蕉掬せし苔清水	苔清水	夏	17.4.16.
737	深吉野に芭蕉も掬ふ苔清水	苔清水	夏	17.4.16.
738	西行庵芭蕉も掬す苔清水	苔清水	夏	17.4.16.
739	冷たきを掬ひて旨し苔清水	苔清水	夏	17.4.16.
740	桜見つ桜に酔ひつ奥千本	桜	春	17.4.16.
741	咲き満てる吉野をちこち花吹雪	花吹雪	春	17.4.17.
742	満開も葉桜もあり吉野山	桜	春	17.4.17.
743	西行の小さき庵苔清水	苔清水	夏	17.4.17.
744	さくらさくらどこもさくらの吉野かな	桜	春	17.4.17.
745	山峡を覆ふ桜や花疲れ	花疲れ	春	17.4.17.
746	奥千本苔むす屋根の西行庵		春	17.4.17.
747	鑑真に見せたきさくら吉野山	桜	春	17.4.17.
748	南朝帝無念の御所寺さくら舞ふ	桜	春	17.4.17.
749	女人高野室生河畔に蛙聴く	蛙	春	17.4.17.
750	かはず鳴く女人高野の室生寺	蛙	春	17.4.17.
751	長谷寺や長き石廊つばめ過ぐ	燕	春	17.4.17.
752	吉野山万朶の桜惜し気なし	桜	春	17.4.17.
753	室生寺や雨を誘ひて蛙鳴く	帰る	春	17.4.17.
754	かぎろひの丘にも桜吉野郷	桜	春	17.4.17.
755	満開の桜の根方鬼あざみ	桜	春	17.4.18.
756	思索せる花の風情や座禅草	座禅草	春	17.4.18.
757	小流れの小さきせせらぎ座禅草	座禅草	春	17.4.18.
758	日に向ひ奥仄暗き座禅草	座禅草	春	17.4.18.
759	日に向ひ日蔭を作る座禅草	座禅草	春	17.4.18.
760	湧水の流れ緩やか座禅草	座禅草	春	17.4.18.
761	いささかの神秘めきたる座禅草	座禅草	春	17.4.18.
762	達磨さん席外しをり座禅草	座禅草	春	17.4.18.
763	雨降れど傘は要らずや座禅草	座禅草	春	17.4.18.
764	少しずつ向きを違へし座禅草	座禅草	春	17.4.18.
765	せせらぎに影を映して座禅草	座禅草	春	17.4.18.
766	野蒜摘む母と子のゐるなぞへかな	野蒜	春	17.4.19.
767	ポケットに句帖収めて野蒜摘む	野蒜	春	17.4.19.
768	野蒜摘みつ夕餉のレシピあれこれと	野蒜	春	17.4.19.
769	野蒜摘みつ酒肴のレシピあれこれと	野蒜	春	17.4.19.
770	動くとも見えぬ浮雲野蒜摘み	野蒜	春	17.4.19.
771	酢味噌よし胡麻和えもよし野蒜摘む	野蒜	春	17.4.19.
772	水張りてさざなみ光る千枚田	田水張る	春	17.4.19.
773	水張れば白鷺集ふ代田かな	代田	春	17.4.19.
774	水張って棚田それぞれ月の影	田水張る	春	17.4.19.
775	夕風に水の匂ひの代田かな	代田	春	17.4.19.
776	一村を水に浮かぶる代田かな	代田	春	17.4.19.
777	つばくろに化す日を夢に飛燕草	つばくろ	春	17.4.19.
778	つばくろと思へど飛べぬ飛燕草	つばくろ	春	17.4.20.
779	つばくろを夢見て揺るる飛燕草	つばくろ	春	17.4.20.
780	花終えし吉野の山の若葉風	若葉風	夏	17.4.20.
781	花散りて若葉綾なす吉野山	若葉	夏	17.4.20.
782	新緑に変りし吉野奥千本	新緑	夏	17.4.20.
783	西行庵座像に優し若葉風	若葉風	夏	17.4.20.
784	艶やかに日を透かしをり柿若葉	柿若葉	夏	17.4.20.
785	柿若葉ともに見上げし句友逝く	柿若葉	夏	17.4.20.
786	風光る名主屋敷の樫若葉	樫	夏	17.4.20.
787	五重塔包む大樹や樟若葉	樟若葉	夏	17.4.20.
788	宿坊に初鰹食む土佐路かな	初鰹	夏	17.4.20.
789	麦笛の鳴らぬ子一人味噌っかす	麦笛	夏	17.4.21.
790	麦笛の鳴らず泣きべそ女の子	麦笛	夏	17.4.21.
791	麦笛を吹く少年の背の孤独	麦笛	夏	17.4.21.
792	分譲の家びっしりと風薫る	風薫る	夏	17.4.21.
793	キャリーバッグ車輪姦し風薫る	風薫る	夏	17.4.21.
794	キャリーバッグ行き交うホーム風薫る	風薫る	夏	17.4.21.
795	街角の赤いポストや風薫る	風薫る	夏	17.4.21.
796	あちこちに防犯カメラ風薫る	風薫る	夏	17.4.21.
797	かさぶたをそっと剥がす子風薫る	風薫る	夏	17.4.21.
798	国宝の寺の回廊風薫る	風薫る	夏	17.4.21.
799	国宝の寺の石廊風薫る	風薫る	春	17.4.21.
800	吉野山三万本の花見かな	花見	春	17.4.21.
801	吉野山三万本の大花見	花見	春	17.4.21.
802	吉野山一期一会の花見かな	花見	春	17.4.21.
803	桜さくら全山覆ふ吉野山	桜	春	17.4.22.
804	桜さくら全山包む吉野山	桜	春	17.4.22.
805	街なかの防犯カメラ風薫る	風薫る	夏	17.4.22.
806	眼の合ひし防犯カメラ風薫る	風薫る	夏	17.4.22.
807	薫風や防犯カメラに赤っかんべ	風薫る	夏	17.4.22.
808	母の日や逢う日も近き八十路かな	母の日	夏	17.4.22.
809	ノーブラの胸元軽ろし若葉風	若葉風	夏	17.4.22.
810	ノーブラの胸の尖りや若葉風	若葉風	夏	17.4.22.
811	土佐造り大皿で出る初鰹	初鰹	夏	17.4.22.
812	大皿を直箸で食ふ初鰹	初鰹	夏	17.4.22.
813	大皿に箸突き出して初鰹	初鰹	夏	17.4.22.
814	厚切りを一口で食ふ初鰹	初鰹	夏	17.4.22.
815	にんにくと生姜効かせて初鰹	初鰹	夏	17.4.22.
816	宿坊に初鰹出る土佐路かな	初鰹	夏	17.4.22.
817	初鰹食み尽したる土佐造り	初鰹	夏	17.4.22.
818	大皿を食み尽したる初鰹	初鰹	夏	17.4.22.
819	鬼平も舌鼓打ち初鰹	初鰹	夏	17.4.22.
820	庵主坐す西行庵に春惜しむ	春惜しむ	春	17.4.23.
821	竹樋の滴り掬くす苔清水	苔清水	夏	17.4.23.
822	西行を偲びつ掬くす苔清水	苔清水	夏	17.4.23.
823	鋏振り総員恋の汐まねき	汐まねき	春	17.4.23.
824	一期一会大和の旅に春惜しむ	春惜しむ	春	17.4.23.
825	長谷寺の長き石廊春惜しむ	春惜しむ	春	17.4.23.
826	室生寺を濡らす霖雨や春惜しむ	春惜しむ	春	17.4.23.
827	磴登り女人高野に春惜しむ	春惜しむ	春	17.4.23.
828	室生寺や巨木の黙に春惜しむ	春惜しむ	春	17.4.23.
829	比べなき吉野の山の花浄土	花	春	17.4.23.
830	吉野山桜に浮かぶ蔵王堂	桜	春	17.4.23.
831	山里にけんもほろろと雉の声	雉	春	17.4.23.
832	山畑の静寂切裂き雉鳴けり	雉	春	17.4.23.
833	妻恋いの鋭き二声きぎす鳴く	きぎす	春	17.4.23.
834	渓深し妻恋ふ雉の声渡る	雉	春	17.4.23.
835	西行庵座像の耳に雉の声	雉	春	17.4.23.
836	室生寺の巨木の黙や春惜しむ	春惜しむ	春	17.4.23.
837	春惜しむ命を惜しむこともまた	春惜しむ	春	17.4.24.
838	作文の添削済ませ春惜しむ	春惜しむ	春	17.4.24.
839	春惜しみ山のあなあな圓歌逝く	春惜しむ	春	17.4.24.
840	西行が庵の外へ四月尽	四月尽	春	17.4.24.
841	鼻の奥むずむずとして四月尽	四月尽	春	17.4.24.
842	吉野行思い出残し四月尽	四月尽	春	17.4.24.
843	西行がそこにゐそふな苔清水	苔清水	夏	17.4.24.
844	浮雲のぽかりぽかりと暮の春	暮れの春	春	17.4.24.
845	葉を残し吹雪く桜や吉野山	桜吹雪	春	17.4.24.
846	年少の園児も慣れて四月尽	四月尽	春	17.4.24.
847	白鷺の日ごと数増す代田かな	代田	夏	17.4.24.
848	岩肌を刻む鳴き音や恋の雉	雉	春	17.4.24.
849	山峡に二声鋭く雉鳴けり	雉	春	17.4.24.
850	山峡に恋の高鳴り雉二声	雉	春	17.4.24.
851	座禅草人の足止め踞ませる	座禅草	春	17.4.25.
852	つぎつぎと覗き込まれて座禅草	座禅草	春	17.4.25.
853	葉桜や身の細りたる武甲山	葉桜	夏	17.4.25.
854	葉桜の葉陰にちらと残り花	葉桜	夏	17.4.25.
855	荒川の瀬音涼しき岩上堂（秩父２０願札所で）	涼しい	夏	17.4.25.
856	瀬音聴くもみじ若葉の岩上堂	若葉	春	17.4.25.
857	身細りの武甲の峰や若葉風	若葉風	春	17.4.25.
858	秩父路や青葉若葉の観音寺（２１番札所で）	青葉・若葉	春	17.4.25.
859	重たげに枝撓らせて八重桜（２２番童子堂で）	桜	春	17.4.25.
860	幼顔したる仁王や春霞（２２番童子堂で）	春霞	春	17.4.25.
861	石楠花や梵鐘響く音楽寺（２３番札所、秩父困民党立て籠もり寺）	石楠花	春	17.4.25.
862	秩父路や札所巡れば葱坊主	葱坊主	春	17.4.26.
863	露濡れの筍ごろと直販台	筍	夏	17.4.26.
864	宅配の走る若者四月尽	四月尽	春	17.4.26.
865	クロネコはいつも小走り四月尽	四月尽	春	17.4.26.
866	花蘇芳色艶やかに四月尽	四月尽	春	17.4.26.
867	札所への野道埋めて踊子草	踊子草	春	17.4.26.
868	花桃と妍競ふかに八重桜	花桃・八重桜	春	17.4.26.
869	すもも咲きあんずも咲きし札所道	李・杏子	春	17.4.26.
870	春霞む武甲仰ぎつ札所訪ふ	春霞	春	17.4.26.
871	春霞む武甲遠見の札所かな	春霞	春	17.4.26.
872	鶯も正調なりし音楽寺（秩父２３番札所）	鶯	春	17.4.26.
873	手の届く棚の高さに梨の花	梨の花	春	17.4.26.
874	箱庭の木陰の二人キス人形	箱庭	夏	17.4.27.
875	箱庭の木陰に置きしキス人形	箱庭	夏	17.4.27.
876	箱庭の山のあなあな円歌逝く	箱庭	夏	17.4.27.
877	箱庭の橋蹴飛ばして逃げる三毛	箱庭	夏	17.4.27.
878	箱庭に棟割長屋子ら遊ぶ	箱庭	夏	17.4.27.
879	箱庭の街角に立つ紙芝居	箱庭	夏	17.4.27.
880	箱庭の路地の駄菓子屋おばあさん	箱庭	夏	17.4.27.
881	箱庭にミゼット走る昭和かな	箱庭	夏	17.4.27.
882	箱庭の路地のをちこち子ら走る	箱庭	夏	17.4.27.
883	箱庭の路地のべーごま子らの声	箱庭	夏	17.4.27.
884	箱庭の夕日が丘を懐かしむ	箱庭	夏	17.4.27.
885	鏡には吾の頭も羽抜鶏	羽抜鶏	夏	17.4.28.
886	朝練の子ら追いかける羽抜鶏	羽抜鶏	夏	17.4.28.
887	バランスを崩し転げる羽抜鶏	羽抜鶏	夏	17.4.28.
888	川縁に貼り付くよふに羽抜鶏	羽抜鶏	夏	17.4.28.
889	鶏舎中散らばる羽毛羽抜鶏	羽抜鶏	夏	17.4.28.
890	哀れともいとおかしとも羽抜鶏	羽抜鶏	夏	17.4.28.
891	あらあらと言ふ目で見合ふ羽抜鶏	羽抜鶏	夏	17.4.28.
892	鳥肌を露はに走る羽抜鶏	羽抜鶏	夏	17.4.28.
893	羽毟る手間の省けり羽抜鶏	羽抜鶏	夏	17.4.28.
894	吾もまた疎林の頭羽抜鶏	羽抜鶏	夏	17.4.28.
895	また生える日の羨まし羽抜鶏	羽抜鶏	夏	17.4.28.
896	神域を駆け巡りをり羽抜鶏	羽抜鶏	夏	17.4.28.
897	ハゲ白髪春惜しみをり長寿国	春惜しむ	春	17.4.28.
898	ハゲ白髪春惜しみ合ふ句会かな	春惜しむ	春	17.4.28.
899	花吹雪纏ひて風の姿なす	花吹雪	春	17.4.28.
900	崩壊のすすむ洋館蔦茂る	茂る	夏	17.4.29.
901	風止まるトトロの森の茂りかな	茂る	夏	17.4.29.
902	緑濃き青木ヶ原の茂りかな	茂る	夏	17.4.29.
903	廃線路包む木立の茂りかな	茂る	夏	17.4.29.
904	森茂り「まむし注意」の札立てり	茂る	夏	17.4.29.
905	「まむし注意」札立つ森の茂りかな	茂る	夏	17.4.29.
906	樹々茂る奥に轟く滝の音	茂る	夏	17.4.29.
907	茂る葉や日の斑の踊る尊徳像	茂る	夏	17.4.29.
908	樟茂り日の斑の踊る尊徳像	茂る	夏	17.4.29.
909	樟茂り日の斑こぼれる根方かな	茂る	夏	17.4.29.
910	茂りたる樹間に鹿の眼が四つ	茂る	夏	17.4.29.
911	森の池天窓となる葉の茂り	茂る	夏	17.4.29.
912	吉野山全山いつか花は葉に	花は葉に	夏	17.4.29.
913	蔵王堂浮かべし吉野花は葉に	花は葉に	夏	17.4.29.
914	大欅茂り雉鳩ででぽぽー	花は葉に	夏	17.4.29.
915	表札が三枚並び鉄線花	鉄線花	夏	17.4.30.
916	表札は三世帯らし鉄線花	鉄線花	夏	17.4.30.
917	画然とフェンス華やぐ鉄線花	鉄線花	夏	17.4.30.
918	着流しの鬼平が行く小判草	小判草	夏	17.4.30.
919	これがもし鳴れば面白小判草	小判草	夏	17.4.30.
920	風吹けばちゃりんと響け小判草	小判草	夏	17.4.30.
921	庭隅の造幣局や小判草	小判草	夏	17.4.30.
922	ままごとをする子もをらじ小判草	小判草	夏	17.4.30.
923	千両箱ずしりと重し小判草	小判草	夏	17.4.30.
924	小判草一輪挿しに挿してみる	小判草	夏	17.4.30.
925	道の端に数百両の小判草	小判草	夏	17.4.30.
926	一両が米一石や小判草	小判草	夏	17.4.30.
927	狸からもらふ一両小判草	小判草	夏	17.4.30.
928	小判草干して金貨を造る夢	小判草	夏	17.4.30.
929	散歩犬尿かけてゆく小判草	小判草	夏	17.4.30.
930	夏来ぬと空に声あり梢（うれ）揺るる	夏	夏	17.4.30.
931	梢（うれ）揺らす風の輝き夏立ちぬ	立夏	夏	17.4.30.
932	水切りの石の弾みや風光る	風光る	春	17.4.30.
933	水切りの石軽やかに風薫る	風薫る	夏	17.5.1.
934	水切りの小石弾ませ風薫る	風薫る	夏	17.5.1.
935	スマホ撮り若葉背にしてＶサイン	若葉	夏	17.5.1.
936	足元に若葉広がる観覧車	若葉	夏	17.5.1.
937	花は葉に仮設テントの陶器市	花は葉に	夏	17.5.1.
938	秩父路や札所を過る若葉風	若葉風	夏	17.5.1.
939	滑り台子らにぎやかに若葉風	若葉風	夏	17.5.1.
940	札所寺鐘の音運ぶ若葉風	若葉風	夏	17.5.1.
941	観覧車遥か下方を若葉風	若葉風	夏	17.5.1.
942	観覧車足元過る若葉風	若葉風	夏	17.5.1.
943	観覧車下界のをちこち鯉のぼり	鯉のぼり	夏	17.5.1.
944	消しゴムで消えぬ訛りや修司の忌（修司忌：５月4日）	修司忌	夏	17.5.1.
945	湧水の流れ煌めき座禅草	座禅草	春	17.5.2.
946	風の名も薫風となる暦繰る	薫風	夏	17.5.2.
947	風の名も薫風となる月初め	薫風	夏	17.5.2.
948	風の名も薫風となるカレンダー	薫風	夏	17.5.2.
949	五月場所大川端の触れ太鼓	五月場所	夏	17.5.2.
950	夏場所や大川端の触れ太鼓	夏場所	夏	17.5.2.
951	薫風や川面に響く寄せ太鼓	薫風	夏	17.5.2.
952	風薫る大川端や寄せ太鼓	風薫る	夏	17.5.2.
953	薫風に幟はためき寄せ太鼓	薫風	夏	17.5.2.
954	青梅の臀初々し触れてみる	青梅	夏	17.5.2.
955	尻揃え日々育ち行く実梅かな	実梅	夏	17.5.2.
956	戦争せず平和憲法記念の日	憲法記念日	夏	17.5.3.
957	声上げよ平和憲法記念の日	憲法記念日	夏	17.5.3.
958	変へると言ふ変へないと言ふ憲法の日	憲法記念日	夏	17.5.3.
959	改憲にあれこれ理屈憲法の日	憲法記念日	夏	17.5.3.
960	改憲は阻止の一言憲法の日	憲法記念日	夏	17.5.3.
961	衣更へネクタイ外しクールビズ	衣更へ	夏	17.5.3.
962	芍薬の盛り零るかに大花瓶	芍薬	夏	17.5.3.
963	芍薬を描き牡丹と問はれけり	芍薬	夏	17.5.3.
964	芍薬の花を背にして自撮りかな	芍薬	夏	17.5.3.
965	芍薬の花を揺らして土ぼこり	芍薬	夏	17.5.3.
966	芍薬の花壇しきりに土埃	芍薬	夏	17.5.3.
967	芍薬の花にちょっかい旋風	芍薬	夏	17.5.3.
968	はなもげらくんくんふらりかぜかほる	風薫る	夏	17.5.3.
969	ほらひひぬえてほほへひとたちしなつ	立夏	夏	17.5.3.
970	ははへりとほほらにとへほかざりぶぐ	飾り武具	夏	17.5.3.
971	はらへららささよりがぶりはつかつを	初鰹	夏	17.5.3.
972	花吹雪纏ひて風の姿かな	花吹雪	春	17.5.4.
973	鯉のぼり立ててお子様ランチ来る	鯉のぼり	夏	17.5.4.
974	矢車の音からからと竿撓る	矢車	夏	17.5.4.
975	ベランダに布団と並び鯉のぼり	鯉のぼり	夏	17.5.4.
976	ベランダにベランダサイズの鯉のぼり	鯉のぼり	夏	17.5.4.
977	風呑んで五色あざやか吹流し	吹き流し	夏	17.5.4.
978	鰻屋の庭で泳ぐは鯉のぼり	鯉のぼり	夏	17.5.4.
979	鰻屋の煙で育つ鯉のぼり	鯉のぼり	夏	17.5.4.
980	鰻屋の煙に噎せる鯉のぼり	鯉のぼり	夏	17.5.4.
981	庫裡に立つ和尚の孫の鯉のぼり	鯉のぼり	夏	17.5.4.
982	風呼んで縺れを解きし吹き流し	吹き流し	夏	17.5.4.
983	さび抜きのお子様寿司に鯉のぼり	鯉のぼり	夏	17.5.4.
984	ただ見とれ見とれ吉野の桜かな	桜	春	17.5.4.
985	蜜吸ひの虫に優しや針槐	針槐（＝アカシアの花）	夏	17.5.5.
986	風吹けば花を踊らせ針えんじゅ	針槐	夏	17.5.5.
987	花房の白を踊らせ針えんじゅ	針槐	夏	17.5.5.
988	木漏れ日の際に金蘭微笑めり	金蘭	春	17.5.5.
989	杳とせしなぞへにひそと咲く金蘭	金蘭	春	17.5.5.
990	おみたらし社前に肩寄せ猫の目草	猫の目草	夏	17.5.5.
991	気づかずに踏まる山路のすみれ草	菫草	春	17.5.5.
992	伽藍の軒飾る夢持ち宝鐸草	宝鐸草	夏	17.5.5.
993	馬面の花群れ咲けり宝鐸草	宝鐸草	夏	17.5.5.
994	浅間山春の野芥子に迎へられ	野芥子	春	17.5.5.
995	竹柵にひょこりと咲けり半鐘蔓	半鐘蔓	春	17.5.5.
996	過ぎてから後戻りせし金瘡小草（きらんそう）	きらん草	春	17.5.5.
997	金蘭と銀蘭見つけ深呼吸	金蘭・銀蘭	春	17.5.5.
998	気が付けば地獄の釜の蓋匍匐（ほふく）	地獄の釜の蓋（＝きらん草）	春	17.5.5.
999	熊蜂やメタボながらにホバリング	熊蜂	春	17.5.5.
1000	欄干を測る尺取きすげ橋	尺取虫	夏	17.5.5.

♪ＢＧＭ：Gaetano Braga［Angel's Serenade］arranged by Pian♪


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