1日１０日１０００句を詠む第16回

鈴童の遊び
一日十句以上千句を詠む

(第１６回）

Ｎｏ．	句	季語	季	作句日
1	白魚の味なき味の踊り食ひ	白魚	春	15.2.23.
2	白魚の踊りつ喉を越しにけり	白魚	春	15.2.23.
3	白魚の踊りつ喉を地獄落ち	白魚	春	15.2.23.
4	御所桜てふややこしき椿咲く（茅ヶ崎市・氷室椿庭園で）	椿	春	15.2.24.
5	咲く花のために掃かるや落椿	落椿	春	15.2.24.
6	上向きも下向きもみな落椿	落椿	春	15.2.24.
7	一夜明けしみの浮びし落椿	落椿	春	15.2.24.
8	地に転げ熊手に掃かる落椿	落椿	春	15.2.24.
9	椿落ち匂宮の名ぞ哀し	落椿	春	15.2.24.
10	落椿足で蹴られて伏せにけり	落椿	春	15.2.24.
11	梅に似しただそれだけが檉柳梅（ぎょりゅうばい）（氷室椿庭園で）	梅	春	15.2.24.
12	甲羅干す亀啼くふりをしてゐたり（茅ヶ崎市・松籟庵で）	亀鳴く	春	15.2.24.
13	江の島のぼかしを見せる春霞	春霞	春	15.2.24.
14	江の島をぼかして見せる春霞	春霞	春	15.2.24.
15	冴返る伊那に小さき井月墓	冴返る	春	15.2.24.
16	湘南に雄三通り冴返る	冴返る	春	15.2.24.
17	梅の庭雀を招く一茶句碑（茅ヶ崎・松籟庵で）（一茶句碑　竹にいざ梅にいざとや親雀）	梅	春	15.2.24.
18	吐くごとく煙霧となりて杉の花	杉の花	春	15.2.25.
19	瀬の音に耳傾ける猫柳	猫柳	春	15.2.25.
20	背の音に頷ひてゐる猫柳	猫柳	春	15.2.25.
21	囀りについステップを踏むこころ	囀り	春	15.2.25.
22	どれもみな新顔ばかり春の鳥	春の鳥	春	15.2.25.
23	一声で雲突き抜くや初ひばり	初ひばり	春	15.2.25.
24	残る鴨岸部に上がり昼寝かな	残り鴨	春	15.2.25.
25	湘南に雄三通りうららけし	うららけし	春	15.2.26.
26	波の背を滑るサーファー春霞	春霞	春	15.2.26.
27	豊後梅あした咲くよと蕾割れ	梅	春	15.2.27.
28	緋毛氈梅の花舞ふ野点かな	梅	春	15.2.27.
29	二月果つ際に咲き初む豊後梅	豊後梅	春	15.2.27.
30	片栗の花滑降の姿見せ	片栗の花	春	15.2.27.
31	喜んで食べられている蕗の薹	蕗の薹	春	15.2.27.
32	食べられて嬉しさうなり蕗の薹	蕗の薹	春	15.2.27.
33	ほろ苦き旨さ噛みしめ蕗の薹	蕗の薹	春	15.2.27.
34	明日葉をぽきぽきと摘み海女帰る	明日葉	春	15.2.27.
35	明日葉をぽきぽき手折り海女帰る	明日葉	春	15.2.27.
36	土破る音のするかに茗荷竹	茗荷竹	春	15.2.27.
37	矢衾となりて空向く茗荷竹	茗荷竹	春	15.2.27.
38	雨去りて雫纏ひし茗荷竹	茗荷竹	春	15.2.27.
39	雨上り雫つるりと茗荷竹	茗荷竹	春	15.2.27.
40	芽を摘めば走り根ごそと茗荷竹	茗荷竹	春	15.2.27.
41	鴬菜引けば背に聞く初音かな	鴬菜	春	15.2.27.
42	背を屈め黙々と引く鴬菜	鴬菜	春	15.2.27.
43	摘み取れど蛙の面の葱坊主	葱坊主	春	15.2.27.
44	天婦羅にして溜飲を葱坊主	葱坊主	春	15.2.27.
45	畝に添ひ素首点々葱坊主	葱坊主	春	15.2.27.
46	畝に添ひ素首落とせし葱坊主	葱坊主	春	15.2.27.
47	無住寺の静寂に咲けり花樒	花樒	春	15.2.27.
48	ひっそりと無住の寺の花樒	花樒	春	15.2.27.
49	堂守の老婆の手向く花樒	花樒	春	15.2.27.
50	ここからは墓地と教へて樒咲く	樒咲く	春	15.2.27.
51	棕櫚縄で縛る青竹垣手入れ	垣手入れ	春	15.2.27.
52	別荘に縁なき身なり鳥曇	鳥曇	春	15.2.27.
53	残る鴨引く鴨ありて谷津干潟	残り鴨・引き鴨	春	15.2.27.
54	惜しげなく贈り賜る黄沙かな	黄沙	春	15.2.27.
55	落ちこぼれ道草もなし上り鮎	上り鮎	春	15.2.27.
56	こでまりのゆらりゆらりと咲きにけり	こでまり	春	15.2.28.
57	径白く塗り替へてゐる雪柳	雪柳	春	15.2.28.
58	紫木蓮花を開けば重たげに	紫木蓮	春	15.2.28.
59	裾乱し呷る昼酒紫木蓮	紫木蓮	春	15.2.28.
60	おぼろ夜や前行く人の千鳥足	朧夜	春	15.2.28.
61	朧夜や句会帰りの微醺かな	朧夜	春	15.2.28.
62	時計見る酔眼朦朧灯もおぼろ	朧	春	15.2.28.
63	呆けたるか酔いかと自問道おぼろ	朧	春	15.2.28.
64	蘖の幹太くして天を突く	蘖	春	15.2.28.
65	耕運機軽やかに繰る八十路かな	耕運機	春	15.2.28.
66	耕運機農を支へて田を返す	耕運機	春	15.2.28.
67	蘖の幹艶やかに伸び盛り	蘖	春	15.2.28.
68	紫木蓮仇な年増の裾乱れ	紫木蓮	春	15.2.28.
69	裾乱し恋に溺れる紫木蓮	紫木蓮	春	15.2.28.
70	裾乱る女の痴態紫木蓮	紫木蓮	春	15.2.28.
71	陽炎の揺らめく彼方富士も揺れ	陽炎	春	15.2.28.
72	陽炎を見遣りつ食みしゆで卵	陽炎	春	15.2.28.
73	ジーゼルカー陽炎を追ふローカル線	陽炎	春	15.2.28.
74	陽炎を追越し離陸するジャンボ	陽炎	春	15.2.28.
75	一輪車腰くねくねとかげろひぬ	陽炎	春	15.2.28.
76	甲羅干す亀のあくびや鳴く準備	亀鳴く	春	15.2.28.
77	鳴け鳴けと言はれ亀鳴く万年目	亀鳴く	春	15.2.28.
78	万年の命果つる日亀鳴けり	亀鳴く	春	15.2.28.
79	亀だって啼きたきときのありしかな	亀鳴く	春	15.2.28.
80	亀鳴くを待つ間に亀の笑いけり	亀鳴く	春	15.2.28.
81	五十年時経し内裏雛飾る	雛飾る	春	15.3.1.
82	五十年変わらぬ二人内裏雛	内裏雛	春	15.3.1.
83	どぶろくも白酒のうち雛まつり	雛祭	春	15.3.1.
84	瓜実の顔つややかに雛の部屋	雛	春	15.3.1.
85	皺白髪なき内裏雛五十年	内裏雛	春	15.3.1.
86	内裏雛だけを飾りて老夫婦	内裏雛	春	15.3.2.
87	歳月を積み残したる内裏雛	内裏雛	春	15.3.2.
88	老いの家は内裏ですます雛祭	雛祭	春	15.3.2.
89	子作りに夜を待ち焦がる内裏雛	内裏雛	春	15.3.2.
90	うふふふと睦む声する雛の部屋	雛	春	15.3.2.
91	うふふふと雛の寝所の睦み声	雛	春	15.3.2.
92	好きよ好き忍び声洩る雛の部屋	雛	春	15.3.2.
93	痺れたの脚を揉んでと妃雛	雛	春	15.3.2.
94	夜の更けて洩れし睦言雛の部屋	雛	春	15.3.2.
95	内裏雛瞳はなぜかすずろなり	内裏雛	春	15.3.2.
96	白酒に頬を染めたる下戸の妻	白酒	春	15.3.2.
97	亀鳴くを待つ吾を見て亀笑ふ	亀鳴く	春	15.3.2.
98	だみ声で亀鳴きたるかげろげろと	亀鳴く	春	15.3.2.
99	道鏡に巨根伝説亀鳴けり	亀鳴く	春	15.3.2.
100	亀鳴くや桂郎の亀裏返し	亀鳴く	春	15.3.2.
101	道鏡召し亀を鳴かせし女帝かな（孝謙女帝）	亀鳴く	春	15.3.3.
102	内裏雛だけを飾りて老いの家	内裏雛	春	15.3.3.
103	十輪の初咲きうれし豊後梅	豊後梅	春	15.3.3.
104	なんとまあお初十輪豊後梅	豊後梅	春	15.3.3.
105	春の雨回転木馬客一人	春雨	春	15.3.3.
106	春雨の雪呼びさうな暗さかな	春雨	春	15.3.3.
107	霾や鶯餅となる愛車	霾	春	15.3.3.
108	霾や庭の車は黄粉餅	霾	春	15.3.3.
109	霾や領土を削る気前よさ	霾	春	15.3.3.
110	霾（よな）ぼこり高天原の神世から	霾ぼこり	春	15.3.3.
111	春雨や春雨サラダ付くランチ	春雨	春	15.3.3.
112	堂々と領土を侵す黄沙かな	黄沙	春	15.3.3.
113	ビッグバンド「バトル」で揺るる春の宵	春の宵	春	15.3.3.
114	露座仏の胎で音聞く春の雷	春雷	春	15.3.3.
115	見習いのまだたどたどし春の雷	春雷	春	15.3.3.
116	半身削ぎ武甲の山のかぎろひぬ	かぎろい	春	15.3.3.
117	陽炎と化して波乗る男たち	陽炎	春	15.3.3.
118	オフショアの波に乗る影春霞	春霞	春	15.3.3.
119	山笑ひ初めて旅に出る支度	山笑ふ	春	15.3.3.
120	山笑ふ車窓を見ずに繰るスマホ	山笑ふ	春	15.3.3.
121	お接待のお茶いただけば山笑ふ	山笑ふ	春	15.3.3.
122	お接待姥の訛りや山笑ふ	山笑ふ	春	15.3.3.
123	お茶飲めとお接待の声山笑ふ	山笑ふ	春	15.3.3.
124	読めぬ句碑指でなぞれば山笑ふ	山笑ふ	春	15.3.3.
125	軽やかに瀬音弾ませ春の水	春の水	春	15.3.3.
126	枯れ川に瀬音戻りし春の水	春の水	春	15.3.3.
127	鮠走る次つぎ走る春の川	春の川	春	15.3.3.
128	矢継ぎ早鮠走る影春の川	春の川	春	15.3.3.
129	矢継ぎ早鮠走らせる春の川	春の川	春	15.3.3.
130	春の海ざぶりざぶりと打つ渚	春の海	春	15.3.3.
131	春泥にたじろぎ知らぬ子らが行く	春泥	春	15.3.3.
132	小さき水車回す父と子春の川	春の川	春	15.3.3.
133	ごとごとと陽炎を追ふジーゼルカー	陽炎	春	15.3.4.
134	お手玉の男雛女雛も雛段に	雛	春	15.3.4.
135	お手玉の男雛女雛の上がり降り	雛	春	15.3.4.
136	老いの家に華やぎ残し納屋へ雛	雛	春	15.3.4.
137	甘酒に隠し酒足し雛の宴	雛	春	15.3.4.
138	啓蟄やコンビニとなる畑一枚	啓蟄	春	15.3.4.
139	いまでしょう妻が渡せし春セーター	春セーター	春	15.3.4.
140	納税期お呼びかからぬ老ひ淋し	納税期	春	15.3.4.
141	春山や一年ぶりの登山靴	春山	春	15.3.4.
142	道筋をつけ終へし蜷あと一歩	蜷	春	15.3.4.
143	水温む川面に映る髪薄し	水温む	春	15.3.4.
144	突出しはあら懐かしき田螺かな	田螺	春	15.3.4.
145	乗っ込みの鮒釣る二人無言なり	乗っ込み鮒	春	15.3.4.
146	かつ丼にふわりと緑三つ葉芹	三葉芹	春	15.3.5.
147	蓋取れば香りほのかに三つ葉芹	三葉芹	春	15.3.5.
148	気が付けばそこここどこもつくづくし	土筆	春	15.3.5.
149	あらここにそこにもあるわつくづくし	土筆	春	15.3.5.
150	筆不精せっせと土筆摘む可笑し	土筆	春	15.3.5.
151	筆不精せっせと土筆摘んでをり	土筆	春	15.3.5.
152	筆不精せっせと土筆摘みにけり	土筆	春	15.3.5.
153	道の駅顔写真見つ蕨買ふ	蕨	春	15.3.5.
154	芹蕨土筆も並ぶ道の駅	芹蕨土筆	春	15.3.5.
155	海風を背に海女が摘む浜防風	防風	春	15.3.5.
156	仕事終え海女の摘みゆく浜防風	防風	春	15.3.5.
157	うまいよと海女がくれたる浜防風	防風	春	15.3.5.
158	廃屋の庭を覆いし花薺	花薺	春	15.3.5.
159	廃屋を包むがごとく花薺	花薺	春	15.3.5.
160	覚めぬなら大往生の春の夢	春	春	15.3.5.
161	お菜にと海女のくれたる浜防風	防風	春	15.3.5.
162	お菜にと海女にもらひし浜防風	防風	春	15.3.5.
163	山茱萸（さんしゅゆ）の花靄のなか過疎の村	山茱萸	春	15.3.2.
164	露座仏の胎で聞きたる春の雷	春雷	春	15.3.5.
165	まんさくや寝癖直さで咲きにけり	万作	春	15.3.5.
166	お菜にと浜防風を海女がくれ	防風	春	15.3.6.
167	春泥のゴム長掴む底力	春泥	春	15.3.6.
168	ゴム長を掴む力や春の泥	春泥	春	15.3.6.
169	がっしりとゴム長掴む春の泥	春泥	春	15.3.6.
170	春泥にたじろぎ知らぬ作業靴	春泥	春	15.3.6.
171	春泥の道を辿れば観音経	春泥	春	15.3.6.
172	春の泥回り道せぬ放ち鶏	春泥	春	15.3.6.
173	春泥のなかを駆け抜く放ち鶏	春泥	春	15.3.6.
174	春泥を除け行くもをり放ち鶏	春泥	春	15.3.6.
175	山伏の草鞋踏み込む春の泥	春泥	春	15.3.6.
176	逃げ水や舗装道路の凸と凹	逃げ水	春	15.3.6.
177	去勢組増えて恋猫すべもなし	恋猫	春	15.3.6.
178	恋猫のだみ声知らぬ去勢猫	恋猫	春	15.3.6.
179	恋をする高鳴り知らぬ去勢猫	恋猫	春	15.3.6.
180	去勢猫恋のバトルを知らざりき	猫の恋	春	15.3.6.
181	去勢猫恋のバトルを知らぬまま	猫の恋	春	15.3.6.
182	去勢猫増えて恋猫影薄れ	恋猫	春	15.3.6.
183	恋やつれ知らず肥満の去勢猫	恋猫	春	15.3.6.
184	雑草と呼ばれ良しとす蓬かな	蓬	春	15.3.6.
185	うふふふと妖し声する雛の部屋	雛	春	15.3.7.
186	うふふふと忍ぶ声する雛の部屋	雛	春	15.3.7.
187	うふふふと声忍ばせて雛の部屋	雛	春	15.3.7.
188	梅伐られ鳥無き里の吉野郷	梅	春	15.3.7.
189	梅無くば鳥も来ずなり吉野郷	梅	春	15.3.7.
190	古株に命の証しひこばゆる	ひこばえ	春	15.3.7.
191	切株に命の息吹きひこばゆる	ひこばえ	春	15.3.7.
192	ひこばえやトトロの杜に日のこぼる	ひこばえ	春	15.3.7.
193	朧夜の道でキスせし昔かな	朧夜	春	15.3.7.
194	独りかと思えば二人おぼろの夜	朧夜	春	15.3.7.
195	朧夜や去勢されたる猫過る	朧夜	春	15.3.7.
196	耕運機鍬持つ時間奪ひけり	耕運機	春	15.3.7.
197	耕しの鍬置き三時の茶碗酒	耕す	春	15.3.7.
198	花咲いてああ接骨木（にわとこ）と気づきけり	接骨木	春	15.3.7.
199	葉桜や花より団子桜餅（課題詠:葉桜　季重なり）	葉桜	夏	15.3.7.
200	葉桜やがぶりと食みし桜餅	葉桜	夏	15.3.7.
201	葉桜の若葉一枚笛にして	葉桜	夏	15.3.7.
202	葉桜やグリーンロードの名の証し	葉桜	夏	15.3.8.
203	葉桜やグリーンロードの名を証す	葉桜	夏	15.3.8.
204	葉桜やグリーンロードを風走る	葉桜	夏	15.3.8.
205	葉桜や花の残りが風に舞ふ	葉桜	夏	15.3.8.
206	葉桜や花の残りを風に載せ	葉桜	夏	15.3.8.
207	葉桜に窓擦らるるバス通り	葉桜	夏	15.3.8.
208	葉桜や地下足袋軽き人力車	葉桜	夏	15.3.8.
209	葉桜や肩をすぼめて抜けるバス	葉桜	夏	15.3.8.
210	葉桜の陰に小さきさくらんぼ	葉桜	夏	15.3.8.
211	葉桜やタイムカプセル掘り出す日	葉桜	夏	15.3.8.
212	葉桜の木陰黒々季は夏に	葉桜	夏	15.3.8.
213	葉桜を捥いで笛吹く翁をり	葉桜	夏	15.3.8.
214	葉桜を捥ぎし草笛ハイトーン	葉桜	夏	15.3.8.
215	葉桜を捥ぎし草笛天を突く	葉桜	夏	15.3.8.
216	葉桜のベンチで含むチョコの粒	葉桜	夏	15.3.8.
217	葉桜で草笛吹けば夕日落つ	葉桜	夏	15.3.8.
218	上水の川辺燃立つ紅つつじ	躑躅	春	15.3.8.
219	たばかりて亀鳴くと詠み特選句	亀鳴く	春	15.3.8.
220	寄居虫（やどかり）やいつも中古の家暮らし	寄居虫	春	15.3.8.
221	春の夢三途の川で目覚めけり	春の夢	春	15.3.8.
222	背をついと押されて落ちる椿かな	落椿	春	15.3.8.
223	富良野路や見渡す限りリラの花	リラの花	春	15.3.8.
224	井伊大老眠る墓所あり花馬酔木	花馬酔木	春	15.3.8.
225	擂鉢を押へて母の木の芽和	木の芽和	春	15.3.8.
226	擂鉢を持たされ母の木の芽和	木の芽和	春	15.3.8.
227	古池にとぽんとぽんと夏蛙（夏蛙・雨蛙・青蛙＝季語:夏）	夏が得る	夏	15.3.8.
228	大波に攫はれ子亀旅立てり	亀の子	夏	15.3.8.
229	牛蛙ぼうぼうと吼ゆ菖蒲苑	牛蛙	夏	15.3.8.
230	葉桜を唇に一枚ハイトーン	葉桜	夏	15.3.9.
231	葉桜を唇に挟めばハイトーン	葉桜	夏	15.3.9.
232	一生に何度住替ふごうなかな	寄居虫・ごうな	春	15.3.9.
233	新居背負い一歩踏み出すごうなかな	ごうな	春	15.3.9.
234	殻割りてまだ刺動く海胆啜る	海胆	春	15.3.9.
235	つばくろや低く過りし交差点	燕	春	15.3.9.
236	老いの目にしかと捉へし飛燕かな	燕	春	15.3.9.
237	初つばめ人住まぬ家の古巣かな	初燕	春	15.3.9.
238	初つばめ古巣確かめ村回り	初燕	春	15.3.9.
239	初燕ビルの高さを測りをり	初燕	春	15.3.9.
240	過疎の村つばくろ戻り祝い餅	燕	春	15.3.9.
241	道の駅「つばめの巣あり」の札揺るる	燕	春	15.3.9.
242	古巣の無事告げるがごとく初つばめ	初燕	春	15.3.9.
243	諫言の賢人絶へて春の黙	春	春	15.3.9.
244	鳥曇り諫言知らぬ人哀し	鳥曇	春	15.3.9.
245	寄居虫の逃げるに石をぶつける子	寄居虫	春	15.3.9.
246	踏まずともよきに蟻踏む人のをり	蟻	夏	15.3.9.
247	立ち話しつつ蟻踏む輩かな	蟻	夏	15.3.9.
248	春夕焼け朱が朱に染まる加賀の門	春夕焼け	春	15.3.9.
249	蚯蚓見つぷいと横向き過る猫	蚯蚓	夏	15.3.9.
250	嬉々として蟻の列踏む子を叱る	蟻	夏	15.3.9.
251	あら私置いてかれたと木守柿（木守柿＝季語：秋）	木守柿	秋	15.3.10.
252	置いてかれべそかいてゐる木守柿	木守柿	秋	15.3.10.
253	亀鳴くと秘密ばらした奴は誰	亀鳴く	春	15.3.10.
254	亀鳴いて蚯蚓も啼けば蝉の黙	亀鳴く	春・夏	15.3.10.
255	菜の花を添へて釘煮の届きけり(10)	菜の花	春	15.3.10.
256	不貞腐れても白鵬の浪花場所	浪花場所	春	15.3.11.
257	浪花でも白鵬仕切る大相撲	浪花場所	春	15.3.11.
258	山葵田を瀬音抑えて水走る	山葵田	春	15.3.11.
259	抜かれては武骨褒めらる山葵かな	山葵	春	15.3.11.
260	武骨ほど良しと褒めらる山葵抜く	山葵	春	15.3.11.
261	清流が辛味育む山葵かな	山葵	春	15.3.11.
262	虚無僧を知らぬ子ばかり貝母咲く	貝母の花	春	15.3.11.
263	懐に網目隠して貝母咲く	貝母の花	春	15.3.11.
264	虚無僧や編笠百合の由来かな	編笠百合	春	15.3.11.
265	明るさが命と咲くや花ミモザ	ミモザ	春	15.3.11.
266	綿菓子を千切りしごとく春の雲	春	春	15.3.11.
267	お遍路が列くねらせて行く山の道	遍路	春	15.3.11.
268	摘んできたと妻に渡せしつくしんぼ	土筆	春	15.3.11.
269	土筆早や杉菜となりてゐたりけり	土筆・杉菜	春	15.3.11.
270	たんぽぽに「やあ」とあいさつ犬ふぐり	たんぽぽ	春	15.3.11.
271	土筆摘み戻ればほんの一握り	土筆	春	15.3.11.
272	春うらら古来稀から早や十とせ	春うらら	春	15.3.11.
273	お遍路の列がくねりし山の道	遍路	春	15.3.11.
274	万亭を割れば一力大石忌	大石忌	春	15.3.11.
275	風船がゆらりと空へ桃子の忌（桃子忌２００８年４月２日）	桃子忌	春	15.3.11.
276	阿鼻叫喚身も世もあらぬ猫の恋	恋猫	春	15.3.12.
277	賑やかに河津桜の紅遠目	桜	春	15.3.12.
278	行幸の休息の間や竹の秋（府中市郷土の森博物館吟行句）	竹の秋	春	15.3.12.
279	しろがねの毛虫揺るるや猫柳（同上）	猫柳	春	15.3.12.
280	香を競ひ色を競ひて梅千本	梅	春	15.3.12.
281	育つ子の顔出し間近竹の秋（同上）	竹の秋	春	15.3.12.
282	恐竜像子らと合唱♪春が来た（同上）	春	春	15.3.12.
283	鳥曇見上ぐ仮設の老ひさみし	鳥曇	春	15.3.12.
284	梅林と道を隔てて桃の花	梅・桃	春	15.3.13.
285	白き桃紅き桃咲く一枝に	桃	春	15.3.13.
286	月影てふ早緑の梅吾を呼べり	梅	春	15.3.13.
287	月影てふ早緑きざす枝垂れ梅	梅	春	15.3.13.
288	街道の見上ぐる高木夏みかん	夏蜜柑	春	15.3.13.
289	酸っぱさの記憶目覚ます夏蜜柑	夏蜜柑	春	15.3.13.
290	井月がふらりと来たり濃山吹	山吹	春	15.3.13.
291	恋猫の季節静かに去勢猫	恋猫	春	15.3.13.
292	梅千本多摩の横山霞けり	梅	春	15.3.13.
293	供花筒の菜の花映ゆる辻地蔵	菜の花	春	15.3.13.
294	供花筒に菜の花二本辻地蔵	菜の花	春	15.3.13.
295	ご破算で願いましては春の昼	春昼	春	15.3.13.
296	春昼や色鉛筆は十二色	春昼	春	15.3.13.
297	春昼や三メートルの桂剥き	春昼	春	15.3.13.
298	春昼の見習い励む桂剥き	春昼	春	15.3.13.
299	春昼やただひたすらに桂剥き	春昼	春	15.3.14.
300	衰えを突き付けられて春の昼	春昼	春
301	朧夜や「抜けられます」を行く荷風（旧玉ノ井）	朧夜	春	15.3.14.
302	朧夜や昔ここには偏奇館（麻布市兵衛町）	朧夜	春	15.3.14.
303	その昔ヌードスタジオ影朧	朧	春	15.3.14.
304	朧夜や眼鏡のレンズ拭いてみる	朧夜	春	15.3.14.
305	朧夜や眼鏡のレンズ拭いてなほ	朧夜	春	15.3.14.
306	じじじじと街灯啼きし路地おぼろ	朧	春	15.3.14.
307	切株に蘖立ちてまた百年	蘖	春	15.3.14.
308	トラクター音軽やかに耕せり	耕す	春	15.3.14.
309	トラクター音軽やかに春の耕	春耕	春	15.3.14.
310	おぼろ夜や前行く影の千鳥足	朧夜	春	15.3.14.
311	朧夜や仁王出られぬ仁王門	朧夜	春	15.3.14.
312	夜ならずともすべて朧と老いし友	朧	春	15.3.14.
313	繰り返し五十回目の雛納め	雛納め	春	15.3.15.
314	昼と夜を表と裏に月日貝	月日貝	春	15.3.15.
315	昼と夜を背と腹にして月日貝	月日貝	春	15.3.15.
316	お出でよと鋏振りをり潮まねき	潮まねき	春	15.3.15.
317	蜷の道太くし直す田螺かな	蜷・田螺	春	15.3.15.
318	筆竜胆寸足らずして日溜りに	筆竜胆	春	15.3.15.
319	片栗や空飛ぶポーズ向風	片栗	春	15.3.15.
320	砂に生え砂を褥のはまにがな（はまにがな＝浜防風、防風）	はまにがな	春	15.3.15.
321	藍微塵とはなるほどの勿忘草（藍微塵＝勿忘草）	藍微塵・勿忘草	春	15.3.15.
322	春落葉季に背くとは言はぬべし	春落葉	春	15.3.15.
323	朧夜や昔キスした同じ路地	朧夜	春	15.3.15.
324	朧夜や恐竜像が歩きをり	朧夜	春	15.3.15.
325	朧夜や女帝の伽する僧道鏡	朧夜	春	15.3.15.
326	朧夜や犬と分け合ふホームレス	朧夜	春	15.3.15.
327	朧夜や恐竜像が歩き出す	朧夜	春	15.3.15.
328	徘徊かと声掛けらるる朧月	朧月	春	15.3.16.
329	徘徊かと声掛けらるる朧かな	朧	春	15.3.16.
330	「家わかる？」声掛けられし朧道	朧	春	15.3.16.
331	徘徊の翁にされし朧道	朧	春	15.3.16.
332	さて命いくつ連なる蝌蚪の紐	蝌蚪の紐	春	15.3.16.
333	神様の奇抜な仕掛け蝌蚪の紐	蝌蚪の紐	春	15.3.16.
334	連なりし命育む蝌蚪の紐	蝌蚪の紐	春	15.3.16.
335	紐揺らし飛び出て来たる蝌蚪の群れ	蝌蚪	春	15.3.16.
336	古池や紐が吐き出す蝌蚪の群れ	蝌蚪	春	15.3.16.
337	ほっこりと黄花の優し沈丁花	沈丁花	春	15.3.16.
338	背を反らせ声噛み殺す紫木蓮	紫木蓮	春	15.3.16.
339	六地蔵影も六体蝶が舞ふ	蝶	春	15.3.17.
340	火灯窓つばくろ過る銀閣寺	燕	春	15.3.17.
341	銀閣の火灯窓開け春の風	春風	春	15.3.17.
342	畑打も田打も独り耕耘機	耕耘機	春	15.3.17.
343	小さき田に合せて小さき耕耘機	耕耘機	春	15.3.17.
344	小さき田にこれまた小さき耕耘機	耕耘機	春	15.3.17.
345	小さき畑くるりくるりと耕耘機	耕耘機	春	15.3.17.
346	往き戻り往き戻りして耕耘機	耕耘機	春	15.3.17.
347	耕耘機降りて昼餉の握り飯	耕耘機	春	15.3.17.
348	鋤鍬で耕し終へて茶碗酒	耕	春	15.3.17.
349	農継がぬ息子に頼む耕耘機	耕耘機	春	15.3.17.
350	畑打やくるりくるりと耕耘機	畑打・耕耘機	春	15.3.17.
351	銚釐（ちろり）から注ぐ温酒朧月	朧月	春	15.3.18.
352	銚釐（ちろり）から温酒受けて朧月	朧月	春	15.3.18.
353	輸入して賞味期限と捨てる春	春	春	15.3.19.
354	亀売る店亀鳴くほどの閑古鳥	亀鳴く	春	15.3.19.
355	鶯を聞きつコンビニ弁当食ふ	鶯	春	15.3.19.
356	春が来たのそりのそりと牛が行く	春	春	15.3.19.
357	菜の花やのそりのそりと牛が行く	菜の花	春	15.3.19.
358	菜の花や牛がゆっくり草を食む	菜の花	春	15.3.19.
359	散る梅や出を待つ花の深呼吸	梅	春	15.3.19.
360	桜言ふ準備万端整へり	桜	春	15.3.19.
361	開けとの号砲を待つ桜かな	桜	春	15.3.19.
362	足踏みつ開花の合図待つ桜	桜	春	15.3.19.
363	花冷えやテロの根断てぬ負の時代	花冷え	春	15.3.19.
364	散る梅をあつめて路地の潦（にはたづみ）	梅	春	15.3.19.
365	葉桜やほっと一息つきし木々	葉桜	夏	15.3.20.
366	葉桜の緑の下で握り飯	葉桜	夏	15.3.20.
367	葉桜や多摩の横山川向う	葉桜	夏	15.3.20.
368	葉桜や多摩の横山とんび舞ふ	葉桜	夏	15.3.20.
369	葉桜が窓を撫で行く路線バス	葉桜	夏	15.3.20.
370	さんざめく日々は終りて花は葉に	葉桜	夏	15.3.20.
371	花は葉に緑の長き上水路	葉桜	夏	15.3.20.
372	葉桜の草笛高く響きけり	葉桜	夏	15.3.20.
373	一つだに上向く花のなき馬酔木	馬酔木	春	15.3.20.
374	佃煮にしてよいほどの蝌蚪の群れ	蝌蚪	春	15.3.20.
375	鷺一羽密と近寄る蝌蚪の群れ	蝌蚪	春	15.3.20.
376	風鐸に負けじと枝の花馬酔木	馬酔木	春	15.3.20.
377	目立つのを厭ひて咲くや花青木	花青木	春	15.3.20.
378	雪柳腰の高さで花吹雪	雪柳	春	15.3.20.
379	園児らの目線で吹雪く雪柳	雪柳	春	15.3.20.
380	こらこらっ犬の小便木瓜の花	木瓜の花	春	15.3.20.
381	低きゆえ犬の小便木瓜の花	木瓜の花	春	15.3.20.
382	日の差してまた翳りたる誓子の忌	誓子忌	春	15.3.20.
383	ひとの句を貶す俳人冬の蠅	冬の蠅	冬	15.3.20.
384	伝へたき報告多し百千鳥	百千鳥	春	15.3.21.
385	あれこれと報告弾む百千鳥	百千鳥	春	15.3.21.
386	鴉だけかあと済ませり百千鳥	百千鳥	春	15.3.21.
387	おしゃべりがおしゃべりを生む百千鳥	百千鳥	春	15.3.21.
388	長旅の苦労話か百千鳥	百千鳥	春	15.3.21.
389	百千鳥聖徳太子が千人も	百千鳥	春	15.3.21.
390	これだけは言っておかなと百千鳥	百千鳥	春	15.3.21.
391	かしましく大樹膨れる百千鳥	百千鳥	春	15.3.21.
392	てんでんに鳴いて日の落つ百千鳥	百千鳥	春	15.3.21.
393	この話聞いて聞いてと百千鳥	百千鳥	春	15.3.21.
394	胸弾むことの多くて百千鳥	百千鳥	春	15.3.21.
395	どの顔も香をたべてゐる桜餅	桜餅	春	15.3.21.
386	墨堤に香を食む人や桜餅	桜餅	春	15.3.21.
397	長命寺詣でてうれし桜餅	桜餅	春	15.3.21.
398	お土産に買ってから食む桜餅	桜餅	春	15.3.21.
399	茶の代り所望して食む桜餅	桜餅	春	15.3.21.
400	三つ目に妻が駄目出す桜餅	桜餅	春	15.3.21.
401	吸ふ息と吐く息で鳴く匂鳥	匂鳥・鶯	春	15.3.22.
402	吸ひてほー吐きてほけきょと匂鳥	匂鳥	春	15.3.22.
403	吸ひて鳴き吐きて鳴きをり匂鳥	匂鳥	春	15.3.22.
404	仏生会このめでたき日逝く人も（4．8．虚子忌）	仏生会	春	15.3.22.
405	仏生会寺を巡りて茶を注ぐ	仏生会	春	15.3.22.
406	花吹雪く寺を巡りて甘茶汲む	仏生会	春	15.3.22.
407	花ひと片甘茶の盃に浮かびけり	甘茶	春	15.3.22.
408	花びらのひと片浮ぶ花御堂	花御堂	春	15.3.22.
409	花びらのゆらりと舞ひし灌仏会	灌仏会	春	15.3.22.
410	蒼天の寺を巡りて汲む甘茶	甘茶	春	15.3.22.
411	寺巡り祖母の甘茶の懐かしき	甘茶	春	15.3.22.
412	乾く間もなく立ち尽くす甘茶仏	甘茶仏	春	15.3.22.
413	知らぬ間に靄になりたる春の雲	春の雲	春	15.3.23.
414	捨て鉢のあそこにここに野の菫	菫	春	15.3.23.
415	知らぬ間に茎をのばして菫草	菫草	春	15.3.23.
416	菫草供花にはできぬ背の低さ	菫草	春	15.3.23.
417	日の差して翳りし庭の菫かな	菫	春	15.3.23.
418	井月の糞掃衣ゆく伊那の春	春	春	15.3.23.
419	井月の歩調に合はす春の雲	春の雲	春	15.3.23.
420	千両と井月の声伊那も春	春	春	15.3.23.
421	井月のしゃがむ川辺や蝌蚪の群れ	蝌蚪の群れ	春	15.3.23.
422	井月や春の川辺の虱取り	春の川	春	15.3.23.
423	鯉の背に花びら載せる桜かな	桜	春	15.3.23.
424	花びらを背に寄る鯉や桜咲く	桜	春	15.3.24.
425	蘖（ひこばへ）や祖父の形見の鳩時計	蘖	春	15.3.24.
426	蘖や百年鳴りし鳩時計	蘖	春	15.3.24.
427	野良猫の立つる尾長しひこばゆる	蘖ゆる	春	15.3.24.
428	さくら咲く人いろいろにいろいろに	桜	春	15.3.24.
429	何はあれ一つのけじめ桜咲く	桜	春	15.3.24.
430	恙なし梅散り初めて桜咲く	桜	春	15.3.24.
431	さくらさくらさくらさくらと合い言葉	桜	春	15.3.24.
432	浮かれでもせねば寂しき桜花	桜	春	15.3.24.
433	花の宴列長々と手洗所	花	春	15.3.24.
434	ゲートボール終り花見の円座かな	花	春	15.3.24.
435	染井吉野雪崩を打ちて満開に	染井吉野	春	15.3.24.
436	舗装路になぜか一株菫草	菫草	春	15.3.24.
437	アスファルト破りて小さき菫草	菫草	春	15.3.24.
438	舗装路に根性菫咲く二輪	菫	春	15.3.24.
439	野の菫場所を選ばぬど根性	菫	春	15.3.24.
440	野の菫犬の尿にもへこたれず	菫	春	15.3.24.
441	捨て鉢の陰に健気な壺すみれ	壺すみれ	春	15.3.25.
442	捨て鉢の陰に咲きをり壺すみれ	壺すみれ	春	15.3.25.
443	おはようとまずたんぽぽに声をかけ	たんぽぽ	春	15.3.25.
444	社旗立てて春風の街パッカード	春風	春	15.3.25.
445	春風や即身仏の御座す寺	春風	春	15.3.25.
446	蹲踞して沈思黙考青蛙	青蛙	春	15.3.25.
447	紫陽花の葉の一つずつ青蛙	青蛙	春	15.3.25.
448	ぴょんと跳ねまた蹲踞する土蛙	土蛙	春	15.3.25.
449	絵を抜けし鳥獣戯画の蛙かな	蛙	春	15.3.25.
450	やいおぬし鳥獣戯画の蛙かな	蛙	春	15.3.25.
451	躊躇してひょいと飛び立つ巣立鳥	巣立鳥	春	15.3.25.
452	躊躇してひょいと飛び行く巣立鳥	巣立鳥	春	15.3.25.
453	高々と梢に近く鴉の巣	鴉の巣	春	15.3.25.
454	日を受けて何やら光る鴉の巣	鴉の巣	春	15.3.25.
455	銀漢を海に移して蛍烏賊	蛍烏賊	春	15.3.25.
456	銀漢を海に下ろして蛍烏賊	蛍烏賊	春	15.3.25.
457	逡巡し尻込みの果て巣立鳥	巣立鳥	春	15.3.25.
458	飯蛸や全部食はれて影もなし	飯蛸	春	15.3.25.
459	飯蛸やどこも余さず食まれけり	飯蛸	春	15.3.25.
460	椀の蓋取ればゆらりと大蛤	蛤	春	15.3.25.
461	焼き蛤たぎりし醤油こぼれけり	焼蛤	春	15.3.25.
462	貝母咲くモスクの内の意匠かな	貝母の花	春	15.3.26.
463	家の角ひとむら目立つ黄水仙	黄水仙	春	15.3.26.
464	乳首にも個性のありて春の色	春	春	15.3.26.
465	月おぼろ乳房の浮ぶ露天風呂	朧月	春	15.3.26.
466	縄暖簾ひょいと潜るや花木五倍子	花木五倍子	春	15.3.26.
467	世之介や乳を尋ねて春の海	春の海	春	15.3.26.
468	保母も靴脱いで園児と野に遊ぶ	野遊び	春	15.3.26.
469	吟行や誰からとなく野蒜摘む	野蒜	春	15.3.26.
470	足滑る土手で摘みたる野蒜食ふ	野蒜	春	15.3.26.
471	散策の土産は野蒜決めて摘む	野蒜	春	15.3.26.
472	路地裏に日を呼び込むやいたち草	いたちぐさ・連翹	春	15.3.27.
473	裏路地の華やいでゐるいたち草	いたちぐさ	春	15.3.27.
474	裏路地の華やぐ季節いたち草	いたちぐさ	春	15.3.27.
475	もこもことこでまりの花盃上げん	こでまり	春	15.3.27.
476	もっこりと咲くこでまりに風遊ぶ	こでまり	春	15.3.27.
477	こでまりの花を潜りてゆく園児	こでまり	春	15.3.27.
478	ちょっかいの風にいやいや団子花	団子花・こでまり	春	15.3.27.
479	雪柳雪降るごとく花散らす	雪柳	春	15.3.27.
480	飽きもせず風と遊ぶや雪柳	雪柳	春	15.3.27.
481	雪柳いやいやしつつ花撒けり	雪柳	春	15.3.27.
482	風立ちて薄暮の径の雪柳	雪柳	春	15.3.27.
483	尾を立てて野良の横切る猫柳	猫柳	春	15.3.27.
484	雪柳遊び呆けてなほ遊ぶ	雪柳	春	15.3.27.
485	雪柳遊び呆けて薄暮かな	雪柳	春	15.3.27.
486	首長き花瓶華やぐ雪柳	雪柳	春	15.3.27.
487	花瓶では風雅の淑女雪柳	雪柳	春	15.3.27.
488	どの花も小枝撓わせ紫木蓮	紫木蓮	春	15.3.28.
489	狂はしき想ひ乱るや紫木蓮	紫木蓮	春	15.3.28.
490	狂ふ恋修羅を見せゐる紫木蓮	紫木蓮	春	15.3.28.
491	胸はだけ狂恋の修羅紫木蓮	紫木蓮	春	15.3.28.
492	胸はだけ裾を乱して紫木蓮	紫木蓮	春	15.3.28.
493	あられなく裾の乱るる紫木蓮	紫木蓮	春	15.3.28.
494	花韮の毅然と咲ける薄暮かな	花韮	春	15.3.29.
495	花韮や薄暮を呼んで白き列	花韮	春	15.3.29.
496	夕映えや花韮の花端然と	花韮	春	15.3.29.
497	山吹の揺れるともなく揺らぎけり	山吹	春	15.3.29.
498	かはたれの川辺に寂と濃山吹	濃山吹	春	15.3.29.
499	海棠の花を透かして日の盛り	海棠	春	15.3.29.
500	海棠やボールを足で繰る少年	海棠	春	15.3.29.
501	つくづくと分らぬ花や海老根咲く	海老根	春	15.3.29.
502	どこがどうと言ふこともなし海老根咲く	海老根	春	15.3.29.
503	往還に頑固したたか花薊	薊	春	15.3.29.
504	無愛想もまた潔し花薊	薊	春	15.3.29.
505	群生の薊かきわけ八合目	薊	春	15.3.29.
506	絶倫のおめき野太し牛蛙	牛蛙	春	15.3.29.
507	牛蛙吼えて菖蒲の花揺らす（季語:牛蛙＝春、花菖蒲＝夏）	牛蛙・花菖蒲	春・夏	15.3.29.
508	歩き遍路追い越して行くバス遍路	遍路	春	15.3.29.
509	ランドセル手が出足が出一年生	一年生	春	15.3.29.
510	春愁ひいつもかたひらさくら貝	さくら貝	春	15.3.29.
511	八十路来る老ひし吾にも春愁ひ	春愁い	春	15.3.29.
512	気が付けば頭掻きをり三月尽	三月尽	春	15.3.29.
513	五月雨や一草庵の酒の瓶（山頭火終焉の松山市・一草庵）	五月雨	夏	15.3.29.
514	建売の幟音立つ青嵐（6月号課題詠:青嵐）	青嵐	夏	15.3.29.
515	青あらし多摩の横山なで斬りに	青嵐	夏	15.3.29.
516	子らの蹴る球押し返す青あらし	青嵐	夏	15.3.29.
517	青木が原揺さぶりかける青嵐	青嵐	夏	15.3.29.
518	柴又の寅さん像や青あらし	青嵐	夏	15.3.29.
519	子規庵の硝子戸騒ぐ青あらし	青嵐	夏	15.3.29.
520	相次し不穏の言葉青あらし	青嵐	春	15.3.30.
521	九条を守る輪に入れ翁草	翁草	春	15.3.30.
522	九条を守る輪繋げ翁草	翁草	春	15.3.30.
523	相次いで不穏の言葉三月尽	三月尽	春	15.3.30.
524	戦争を知らぬ怖さや春暗し	春暗し	春	15.3.30.
525	無知怖し八紘一宇花の冷え	花冷え	春	15.3.30.
526	戦争に近づく怖さ春暗し	春暗し	春	15.3.30.
527	温い日と寒い日が待つ桜かな	桜	春	15.3.30.
528	花守の幹撫でさする目の優し	花守	春	15.3.30.
529	スマホ繰りつ調子合せる花見の座	花見	春	15.3.30.
530	引き返す波が残せしさくら貝	桜貝	春	15.3.31.
531	そっと波残してゆきしさくら貝	桜貝	春	15.3.31.
532	片方は少し小さき二輪草	二輪草	春	15.3.31.
533	どの花も首垂れ懺悔おきな草	翁草	春	15.3.31.
534	首垂れて肩の凝らぬか翁草	翁草	春	15.3.31.
535	芝桜千花万花の大勝負	芝桜	春	15.3.31.
536	芝桜パステル色の原野かな	芝桜	春	15.3.31.
537	エリカ抱へその女の名もえりか	エリカ	春	15.3.31.
538	指さすは天上天下甘茶仏	甘茶仏	春	15.3.31.
539	吸ひてほー吐いてほけきょと花見鳥	花見鳥	春	15.3.31.
540	引き返す波の忘れしさくら貝	桜貝	春	15.3.31.
541	子規庵の硝子戸鳴らす青あらし	青嵐	春	15.3.31.
542	政治家の軽き言葉や万愚節	万愚節	春	15.4.1.
543	何のこと首傾げらる万愚節	万愚節	春	15.4.1.
544	投薬を求める患者四月馬鹿	四月馬鹿	春	15.4.1.
545	これだけは定着しない四月馬鹿	四月馬鹿	春	15.4.1.
546	胃カメラが鼻から入る万愚節	万愚節	春	15.4.1.
547	にべもなきネット書き込み四月馬鹿	四月馬鹿	春	15.4.1.
548	アメリカと戦争うそー万愚節	万愚節	春	15.4.1.
549	遍路宿ウオッシュレットも付きにけり	遍路宿	春	15.4.1.
550	Ｇパンの若き遍路の速歩かな	遍路	春	15.4.1.
551	波寄する渚伝ひに行く遍路	遍路	春	15.4.1.
552	磯に降り深呼吸する遍路かな	遍路	春	15.4.1.
553	小豆島遍路がふたり路地に立つ	遍路	春	15.4.1.
554	母子遍路おさなは赤いズック靴	遍路	春	15.4.1.
555	母子遍路おさなの握る小さき杖	遍路	春	15.4.1.
556	路地奥に鈴の音する島遍路	遍路	春	15.4.1.
557	路地奥に鈴の音響く島遍路	遍路	春	15.4.1.
558	行きまひょか大師促す遍路かな	遍路	春	15.4.1.
559	行きまひょか大師促し発つ遍路	遍路	春	15.4.1.
560	行きまひょか同行二人発つ遍路	遍路	春	15.4.1.
561	けふだけはほんとのことを万愚節	万愚節	春	15.4.1.
562	金繕ひお薄いただく光悦忌	光悦忌	春	15.4.1.
563	伊達こそが江戸座のいのち其角の忌	其角忌	春	15.4.1.
564	遍路鈴首長くして待つ放哉	遍路	春	15.4.1.
565	遍路鈴耳欹てて待つ放哉	遍路	春	15.4.1.
566	乳房踊る季節も近し三鬼の忌	三鬼忌	春	15.4.1.
567	釈尊の生まれし日なり椿寿の忌	椿寿忌	春	15.4.1.
568	春の鳶らせんを描き悠然と	春の鳥	春	15.4.1.
569	春の鳶らせんを描き高みへと	春の鳥	春	15.4.1.
570	内緒だが天婦羅がよし葱坊主	葱坊主	春	15.4.1.
571	道の駅「天婦羅用」と葱坊主	葱坊主	春	15.4.1.
572	庭の隅かきわけて摘む茗荷竹	茗荷竹	春	15.4.1.
573	山吹の揺れるともなく揺らぎをり	山吹	春	15.4.1.
574	葱坊主天婦羅で出す珍味かな	葱坊主	春	15.4.2.
575	また出たりお邪魔坊主や葱坊主	葱坊主	春	15.4.2.
576	ひょいひょいと頭突き出す葱坊主	葱坊主	春	15.4.2.
577	葱坊主天婦羅にして食うたるで	葱坊主	春	15.4.2.
578	葱坊主嫁にも行かぬ娘老ひ	葱坊主	春	15.4.2.
579	百姓を泣かせるものに葱坊主	葱坊主	春	15.4.2.
580	摘み取れどまた明日には葱坊主	葱坊主	春	15.4.2.
581	摘み取れどまた明日出る葱坊主	葱坊主	春	15.4.2.
582	出ることで農夫泣かせる葱坊主	葱坊主	春	15.4.2.
583	葱畑摘めども摘めど葱坊主	葱坊主	春	15.4.2.
584	すくすくと育ちすぎだよ葱坊主	葱坊主	春	15.4.2.
585	おら知らぬ顔で居並ぶ葱坊主	葱坊主	春	15.4.2.
586	葱坊主まあ悪たれの代名詞	葱坊主	春	15.4.2.
587	葱坊主あらあらここにあそこにも	葱坊主	春	15.4.2.
588	葱坊主の頭ぷかぷか朝の椀	葱坊主	春	15.4.2.
589	出だしたら止めどもなしの葱坊主	葱坊主	春	15.4.2.
590	農作業ねぎ坊主摘む仕事増え	葱坊主	春	15.4.2.
591	農作業仕事を増やす葱坊主	葱坊主	春	15.4.2.
592	一つ摘めば二つ増えるや葱坊主	葱坊主	春	15.4.2.
593	どや顔で立ち並びたる葱坊主	葱坊主	春	15.4.2.
594	葱坊主いたずら坊主の面をして	葱坊主	春	15.4.2.
595	葱坊主いたずら坊主もかくやかと	葱坊主	春	15.4.2.
596	戦争を知らぬ怖さや万愚節	万愚説	春	15.4.2.
597	小望月遠見してゐる桜かな	桜	春	15.4.2.
598	小望月遠見の桜咲き満てり	桜	春	15.4.2.
599	夜桜を見上ぐる空に小望月	夜桜	春	15.4.2.
600	咲き満ちしさくらに懸かる小望月	桜	春	15.4.2.
601	小望月さくら咲き満つ薄暮かな	桜	春	15.4.2.
602	小望月万朶のさくら照らしけり	桜	春	15.4.2.
603	咲き満てる桜早くも散り初むか	桜	春	15.4.2.
604	咲き満てる桜早くも吹雪初む	桜	春	15.4.2.
605	咲き満てる万朶早くも花吹雪	花吹雪	春	15.4.2.
606	満月の遠見してゐる桜かな	桜	春	15.4.3.
607	散るために咲きしと思ふ花吹雪	花吹雪	春	15.4.3.
608	花びらのなんと冷たき桜かな	桜	春	15.4.3.
609	鮮やかなミドルシュートや里桜	里桜	春	15.4.3.
610	鮮やかなミドルシュートや桜舞ふ	桜	春	15.4.3.
611	人も湯も桜吹雪の露天風呂	桜吹雪	春	15.4.3.
612	露天風呂髪も乳首も花吹雪	花吹雪	春	15.4.3.
613	僧正の御練りの緋傘花吹雪	花吹雪	春	15.4.3.
614	大僧正桜吹雪の御練りかな	桜吹雪	春	15.4.3.
615	咲きてすぐ散るを惜しまず花吹雪	花吹雪	春	15.4.3.
616	糞掃衣（ふんぞうえ）纏ふ井月花吹雪	桜吹雪	春	15.4.3.
617	満開の桜を照らす小望月	桜	春	15.4.3.
618	満月の夜幽玄の花吹雪	花吹雪	春	15.4.3.
619	蕗味噌を舐りつ一献また一献	蕗味噌	春	15.4.3.
620	蕗味噌や二合徳利傾けつ	蕗味噌	春	15.4.3.
621	田楽に舌焼き酒を流し込む	田楽	春	15.4.3.
622	田楽に舌焼き酒を走らせる	田楽	春	15.4.3.
623	田楽で舌焼くことも酒の徳	田楽	春	15.4.3.
624	青饅の色鮮やかを頂きぬ	青饅	春	15.4.3.
625	舌を焼くほどの熱さを蜆汁	蜆汁	春	15.4.3.
626	一椀の蜆汁だけ啜る朝	蜆汁	春	15.4.3.
627	白魚の二品で飲む今宵かな	白魚	春	15.4.3.
628	唐揚げの白魚皿で鳴きにけり	白魚	春	15.4.3.
629	春の宵二軒目の待つはしご酒	春宵	春	15.4.3.
630	日の眩し瀬を飛ぶごとく柳鮠	柳鮠	春	15.4.3.
631	壺焼きのするりと抜けし栄螺食む	栄螺	春	15.4.3.
632	春の蠅追えど懲りずに戻りくる	春の蠅	春	15.4.3.
633	どや顔で作る隊列葱坊主	葱坊主	春	15.4.4.
634	摘み取れどひょいと出て来る葱坊主	葱坊主	春	15.4.4.
635	摘み取れどどや顔で増ゆ葱坊主	葱坊主	春	15.4.4.
636	葱坊主一つ摘まれりゃ二つ増ゆ	葱坊主	春	15.4.4.
637	葱坊主摘めば摘むほど増えにけり	葱坊主	春	15.4.4.
638	間引き菜の間引く端からへたりけり	間引き菜	秋	15.4.4.
639	間引き菜や間引き違へて罪深し	間引き菜	秋	15.4.4.
640	花冷えの中で散り行く花無言	花冷え	春	15.4.4.
641	さらさらと音なき音や花吹雪	花吹雪	春	15.4.4.
642	車座にゆるキャラのゐる花の宴	花の宴	春	15.4.4.
643	花冷えや車座の輪の縮みけり	花冷え	春	15.4.4.
644	無言歌を目で聴く心地花吹雪	花吹雪	春	15.4.4.
645	車座でスマホ繰りゐる花見かな	花見	春	15.4.4.
646	花の宴トイレの前は長い列	花の宴	春	15.4.4.
647	春竜胆あそこにここに山の角	春竜胆	春	15.4.4.
648	山道の日当たりの窪春りんどう	春竜胆	春	15.4.4.
649	杣道の窪にちょこんと筆竜胆	筆竜胆	春	15.4.4.
650	杣道の窪に咲きをり筆竜胆	筆竜胆	春	15.4.4.
651	甲高き少年の声鮠掬ふ	鮠	春	15.4.4
652	あとすこし背伸びをせぬか筆竜胆	筆竜胆	春	15.4.4.
653	瀬の音のしゃがめば近し芹を摘む	芹	春	15.4.4.
654	瀬の音の時折変調芹を摘む	芹	春	15.4.4.
655	瀬の音の変るときあり芹を摘む	芹	春	15.4.4.
656	瀬の音の変るを聞きつ芹摘めり	芹	春	15.4.4.
657	春昼や半音上がる瀬音かな	春昼	春	15.4.4.
658	春昼や瀬音半音上がりたり	春昼	春	15.4.4.
659	春昼や猫も杓子もスマホ繰る	春昼	春	15.4.4.
660	春昼や猫も杓子も手にスマホ	春昼	春	15.4.4.
661	杣道の窪に二輪の筆竜胆	竜胆	春	15.4.5.
662	春大根小ぶりながらも形よし	春大根	春	15.4.5.
663	春大根百円単位の直販所	春大根	春	15.4.5.
664	ぼったりと気だるげに咲く紫木蓮	紫木蓮	春	15.4.5.
665	洗はれてひと際眩し春大根	春大根	春	15.4.5.
666	濃緑の葉の照り愛でつ椿餅	椿餅	春	15.4.5.
667	濃緑の葉の艶で呼ぶ椿餅	椿餅	春	15.4.5.
668	花冷えやバス待つ人の手にスマホ	花冷え	春	15.4.5.
669	スマホ繰る刑でもあるか桜冷え	桜冷え	春	15.4.5.
670	スマホ繰る刑罰と見ゆ花の冷え	花冷え	春	15.4.5.
671	島影に燃える入日や花遍路	遍路	春	15.4.5.
672	さくら咲く咲いたら早くちりぬるを	桜	春	15.4.5.
673	糞掃衣甘茶滴る花御堂	甘茶・花御堂	春	15.4.5.
674	悠然と桜を賞でる小望月	桜	春	15.4.6.
675	悠然と桜賞でるや小望月	桜	春	15.4.6.
676	悠然と桜賞でをり小望月	桜	春	15.4.6.
677	雑踏の桜高見の小望月	春疾風	春	15.4.6.
678	スマホ繰るシジフォスの刑春疾風	春疾風	春	15.4.6.
679	スマホ繰る受刑の徒らの花見かな	花見	春	15.4.6.
680	スマホ繰るデートの二人春の蠅	春の蠅	春	15.4.6.
681	濃緑の葉の艶で食む椿餅	椿餅	春	15.4.6.
682	スマホ繰るパフエの先に春の蠅	春の蠅	春	15.4.6.
683	子にあらずさび抜き頼む鮨の客	鮨	夏	15.4.6.
684	春北風に帆を膨らませ帆曳船	春北風	春	15.4.6.
685	春北風を呼んで網曳く帆曳船	春北風	春	15.4.6.
686	春北風を相方にして帆曳かな	春北風	春	15.4.6.
687	霞ヶ浦春光まぶし帆曳船	春光	春	15.4.6.
688	春北風や待ってましたと帆曳船	春北風	春	15.4.7.
689	葱坊主いたずら坊主の面構え	葱坊主	春	15.4.7.
690	花愛でつ葉もむしゃむしゃと桜餅	桜餅	春	15.4.7.
691	花吹雪地を白塗りに変へにけり	花吹雪	春	15.4.7.
692	雪原を行くがごときや花吹雪	花吹雪	春	15.4.7.
693	何とまあ流れを埋めし花筏	花筏	春	15.4.7.
694	花吹雪被りつ早やも著莪咲けり	花吹雪・著莪	春夏	15.4.7.
695	川面埋め鴨封じたる花筏	花筏	春	15.4.7.
696	花いかだ突き破りたる鯉の群れ	花筏	春	15.4.8.
697	花筏崩し崩して鯉の群れ	花筏	春	15.4.8.
698	春陰の雨は冷たし灌仏会	春陰・灌仏会	春	15.4.8.
699	散り敷ける花びら踏みて灌仏会	灌仏会	春	15.4.8.
700	雨に濡れ寺をめぐりぬ甘茶寺	甘茶寺	春	15.4.8.
701	雨に濡れ寺をめぐりぬ灌仏会	灌仏会	春	15.4.8.
702	雨に濡れ吾もあやかり甘茶仏	甘茶仏	春	15.4.8.
703	降りしきる雪の御堂や灌仏会	灌仏会	春	15.4.8.
704	白凱々雪の降り摘む花御堂	花御堂	春	15.4.8.
705	花ふぶき雪の加はる仏生会	仏生会	春	15.4.8.
706	雪被り寒さに耐へる甘茶仏	甘茶仏	春	15.4.8.
707	春雪や温き甘茶の灌仏会	灌仏会	春	15.4.8.
708	しんしんと雪降りしきる花まつり	雪・花祭	冬春	15.4.8.
709	花祭りなんじゃもんじゃに春の雪	花祭・春の雪	春	15.4.8.
710	春筍を踏みしか痛と小さき声	春筍	春	15.4.8.
712	牡丹雪指差し給ふ甘茶仏	甘茶仏	春	15.4.8.
713	びっくりの連続雪の仏生会	仏生会	春	15.4.8.
714	葱坊主いたずら坊主ののほほ顔	葱坊主	春	15.4.9.
715	わが庭に四五本ばかり諸葛菜	諸葛菜	春	15.4.9.
716	茎立ちて大根キャベツ菜の花に	茎立・菜の花	春	15.4.9.
717	菜の花に還る大根キャベツかな	菜の花	春	15.4.9.
718	薄き身の骨皮せせる蒸鰈	蒸鰈	春	15.4.9.
719	干鱈の塩に誘はれ盃重ね	干鱈	春	15.4.9.
720	干鱈の塩が誘ふ独り酒	干鱈	春	15.4.9.
721	棒鱈を齧りつ呑みし番屋酒	棒鱈	春	15.4.9.
722	戻り雪降りしきるなり花御堂	花御堂	春	15.4.9.
723	舞ひ散るは雪と桜の仏生会	仏生会	春	15.4.9.
724	花冷えの四日つづきを散りしきる	花冷え	夏	15.4.10.
725	筍を足裏で見つけ掘り出せり	竹の子・筍	夏	15.4.10.
726	竹の子を足裏で探る手だれかな	竹の子	夏	15.4.10.
727	竹の子を足裏で見つけ掘る名人	竹の子	夏	15.4.10.
728	乳房踊るテニスコートや夏まぶし	夏	夏	15.4.10.
729	サーファーのボードが走る夏の波	夏	夏	15.4.10.
730	海風に乗りしサーファー夏立ちぬ	立夏	夏	15.4.10.
731	連山の緑を深め夏立ちぬ	立夏	夏	15.4.10.
732	連山の緑濃くして空は夏	夏	夏	15.4.10.
733	夏雲を浮かべて連山緑濃し	夏雲	夏	15.4.10.
734	夏霞ごしに連山緑濃し	夏霞	夏	15.4.11.
735	春の虹雲間に淡く懸かりけり	春の虹	春	15.4.11.
736	春の虹密と懸かりて密と消ゆ	春の虹	春	15.4.11.
737	雲間から顔出すごとく春の虹	春の虹	春	15.4.11.
738	春暁や音も立てずに白き降る	春暁	春	15.4.11.
739	春暁や雨戸を繰れば白き舞ふ	春暁	春	15.4.11.
740	接骨木（にわとこ）の花霞立つ農の庭	接骨木	春	15.4.11.
741	接骨木の花たなびけり農の庭	接骨木	春	15.4.11.
742	褐色の群花紛らせ青木咲く	花青木	春	15.4.11.
743	紛らせる工夫凝らして花青木	花青木	春	15.4.11.
744	青木が原揺さぶりて行く青嵐	青嵐	夏	15.4.11.
745	天水の水吹き飛ばし青嵐	青嵐	夏	15.4.11.
746	大鷹を遊ばせてゐる青嵐	青嵐	夏	15.4.11.
747	大仏の胎内で聞く青嵐	青嵐	夏	15.4.11.
748	露座仏の胎で聞きゐる春あらし	春嵐	夏	15.4.11.
749	俳号の呼ばれてうれし青嵐	青嵐	夏	15.4.11.
750	大鷹の空高く舞ふ青嵐	青嵐	夏	15.4.1２.
751	風の道走る大鷹青あらし	青嵐	夏	15.4.1２.
752	風の道飛ぶや大鷹青あらし	青嵐	夏	15.4.1２.
753	風の道たしかにありて青嵐	青嵐	夏	15.4.1２.
754	渓深く吊り橋揺るる青嵐	青嵐	夏	15.4.1２.
755	祖谷渓に切り込むごとく青嵐	青嵐	夏	15.4.1２.
756	山いくつ越へて来しかな青嵐	青嵐	夏	15.4.1２.
757	山吹の花被さりし六地蔵	山吹	春	15.4.1２.
758	山吹の陰で餅つく道祖神	山吹	春	15.4.1２.
759	山吹の陰で子づくり道祖神	山吹	春	15.4.1２.
760	挿木して後事を託す悠久	挿木	春	15.4.1２.
761	挿木して庭の鉄幹育ちけり	挿木	春	15.4.1２.
762	山吹や拘り見せぬ花の群れ	山吹	春	15.4.1２.
763	山吹は磊落な花咲き揺るる	山吹	春	15.4.1２.
764	川辺暗し花灯を務む濃山吹	山吹	春	15.4.1２.
765	牡丹雪降りしきりたる灌仏会	牡丹雪・灌仏会	冬春	15.4.1２.
766	灌仏会雪詠まずして雨とはなに	灌仏会・雪	春冬	15.4.1２.
767	朱を点じ蕾芍薬夏を呼ぶ	芍薬	夏	15.4.1２.
768	春の蠅五日過ごして立ち去れり	春の蠅	春	15.4.1２.
769	春の蠅五日わが家の同居人	春の蠅	春	15.4.1２.
770	花冷えの五日同居の蠅去れり	花冷え	春	15.4.1２.
771	花冷えの五日同居の蠅逃がす	花冷え	春	15.4.1２.
772	血の色で足止まらせる落椿	落椿	春	15.4.1２.
773	血の色で地を染め上げし落椿	落椿	春	15.4.1２.
774	血の色は血にあらずして落椿	落椿	春	15.4.1２.
775	鈴懸の大樹となりし並木道	鈴懸	春	15.4.13.
776	鈴懸や天突くほどの並木道	鈴懸	春	15.4.13.
777	魚島を目視高まるエンジン音	魚島	春	15.4.13.
778	魚島を告げる鴎に逸る船	魚島	春	15.4.13.
779	乱舞する鴎の下に魚の島	魚島	春	15.4.13.
780	魚島の大きさ告げる鳥の数	魚島	春	15.4.13.
781	魚島見ゆ船長の指示次つぎと	魚島	春	15.4.13.
782	魚島や漁師逸らす宝島	魚島	春	15.4.13.
783	船長の声弾みたり魚島見ゆ	魚島	春	15.4.13.
784	海原を盛りて魚島向ひ来る	魚島	春	15.4.13.
785	海原を盛り上げ来たる魚の島	魚島	春	15.4.13.
786	海原を空へ押し上げ魚の島	魚島	春	15.4.13.
787	海原を押し上げて来る魚の島	魚島	春	15.4.13.
788	魚島見ゆ船長の声高まりぬ	魚島	春	15.4.13.
789	情報を交す囀り朝の森	囀り	春	15.4.13.
790	園庭の子らの囀り鳥に似て	囀り	春	15.4.13.
791	園庭の子らの囀り鳥語なり	囀り	春	15.4.13.
792	庭隅に野の贈り物花大根	花大根	春	15.4.13.
793	菜種梅雨スパゲティはたらことす	菜種梅雨	春	15.4.13.
794	たらこソース爆ぜる平鍋なたね梅雨	菜種梅雨	春	15.4.13.
795	季を告げて庭のをちこち坪すみれ	菫	春	15.4.13.
796	我が道を行く証し見せ坪すみれ	菫	春	15.4.13.
797	狭庭をば埋め尽くしたし坪すみれ	菫	春	15.4.13.
798	狭庭をば埋め尽くさぬか坪すみれ	菫	春	15.4.13.
799	逞しさ秘めて楚々たる坪すみれ	菫	春	15.4.13.
800	狂おしく乱す花びら紫木蓮	紫木蓮	春	15.4.13.
801	散り乱る花びら無残紫木蓮	紫木蓮	春	15.4.13.
802	艶花の散れば老残紫木蓮	紫木蓮	春	15.4.13.
803	ランドセル手が出足が出一年生	一年生	春	15.4.14.
804	交番の巣燕留守居務めをり	巣燕	春	15.4.14.
805	人に慣れ人に守られ軒つばめ	燕	春	15.4.14.
806	春眠の覚めて口惜し夢半ば	春眠	春	15.4.14.
807	山道の日当たりの窪春りんどう	春竜胆	春	15.4.14.
808	座禅草達磨坐したる気配あり	座禅草	春	15.4.14.
809	夜道来て鳴き声懐かし遠蛙	遠蛙	春	15.4.14.
810	喇叭吹く少年ひとり四月尽	四月尽	春	15.4.15.
811	メーデーの死語になりつつある時代	メーデー	夏	15.4.15.
812	見上ぐれば満天の星遠蛙	遠蛙	春	15.4.15.
813	はけ道の湧水の窪座禅草	座禅草	春	15.4.15.
814	瀬の音を聞きつ眺めし錨草	座禅草	春	15.4.15.
815	瀬の音の間近に咲けり碇草	碇草	春	15.4.15.
816	花と花縺れて咲けり錨草	錨草	春	15.4.15.
817	いかり草花を縺らせ咲きにけり	錨草	春	15.4.15.
818	錨草花の縺れのややこしく	錨草	春	15.4.15.
819	通り過ぐ風に頷くいかり草	錨草	春	15.4.15.
820	てんでんに首振り絡む碇草	碇草	春	15.4.15.
821	錨草てんでに首振り縺れをり	錨草	春	15.4.15.
822	影武者を百騎そろへて熊谷草	熊谷草	春	15.4.15.
823	弁慶の白頭巾にも似て熊谷草	熊谷草	春	15.4.15.
824	熊谷草影武者百騎揃い踏み	熊谷草	春	15.4.15.
825	雨雫したたる母衣や熊谷草	熊谷草	春	15.4.15.
826	戦場（いくさば）を駆け抜く母衣や熊谷草	熊谷草	春	15.4.15.
827	ダンディに母衣靡かせて熊谷草	熊谷草	春	15.4.15.
828	熊谷草母衣を靡かせ敵誘ふ	熊谷草	春	15.4.15.
829	老ひ隠し母衣靡かせる熊谷草	熊谷草	春	15.4.15.
830	母衣の陰白髪隠すや熊谷草	熊谷草	春	15.4.15.
831	亀鳴けば蚯蚓も腹ももらい鳴き	亀鳴く	春	15.4.15.
832	亀鳴くを万年待つと頑固即物	亀鳴く	春	15.4.15.
833	亀鳴けば蚯蚓這い出る季も近し	亀鳴く	春	15.4.15.
834	暮れの春早や梅の実の吹き初めり	暮れの春	春	15.4.15.
835	暮れの春早や梅の実の吹き出しぬ	暮れの春	春	15.4.15.
836	仄暗き居場所を占めて濃山吹	濃山吹	春	15.4.15.
837	日照り雨（そばえ）過ぎぼっと明るむ濃山吹	濃山吹	春	15.4.15.
838	日照り雨止みほのと明るむ濃山吹	濃山吹	春	15.4.15.
839	山吹の一叢咲きて夕明かり	山吹	春	15.4.15.
840	朱の鳥居続く彼方に濃山吹	濃山吹	春	15.4.15.
841	ゆで玉子つるりと剥けて花曇	花曇	春	15.4.15.
842	春陰やつるりと剥けしゆで玉子	春陰	春	15.4.15.
843	春陰のベンチで食みしゆで玉子	春陰	春	15.4.15.
844	春陰の顔顔顔がスマホ繰る	春陰	春	15.4.15.
845	春陰のマスクを付けてスマホ繰る	春陰	春	15.4.15.
846	春陰やスマホ繰る指みな速し	春陰	春	15.4.15.
847	春陰の車内はスマホ繰る男女	春陰	春	15.4.15.
848	春陰や三毛の長き尾天を指す	春陰	春	15.4.16.
849	春陰や隣の三毛が尾を立てり	春陰	春	15.4.16.
850	春陰や同じ動作でスマホ族	春陰	春	15.4.16.
851	春陰や笑い止まらぬ本を読む	春陰	春	15.4.16.
852	春陰や笑い止まらぬ本らしい	春陰	春	15.4.16.
853	花曇り閲覧室のあくびの子	花曇	春	15.4.16.
854	花曇り閲覧室の大あくび	花曇	春	15.4.16.
855	春陰や閲覧室の大あくび	春陰	春	15.4.16.
856	春陰やあくびのうつる自習室	春陰	春	15.4.16.
857	春陰やあくびをうつす自習室	春陰	春	15.4.16.
858	花曇うんち出そうと一年生	花曇	春	15.4.16.
859	花曇ぷーと音した読書室	花曇	春	15.4.16.
860	舟漕ぎつスマホ繰る指春うらら	春うらら	春	15.4.16.
861	先生もおならするのと一年生	一年生	春	15.4.16.
862	亀鳴くをまてば万年目に逝けり	亀鳴く	春	15.4.16.
863	すきっ腹ぐぐっと亀の鳴きにけり	亀鳴く	春	15.4.16.
864	亀鳴けりどうやらおぬしすきっ腹	亀鳴く	春	15.4.16.
865	亀鳴くはどうやら腹のあたりなり	亀鳴く	春	15.4.16.
866	亀鳴かす秘策発見すきっ腹	亀鳴く	春	15.4.16.
867	腹空かす難民キャンプ亀鳴けり	亀鳴く	春	15.4.16.
868	花曇り読み聞く母子の目に涙	花曇	春	15.4.17.
869	挿木せし日の遥かなり老梅樹	挿木	春	15.4.17.
870	亀鳴く日ありやなしやと池に立つ	亀鳴く	春	15.4.17.
871	亀鳴くをダシに句を詠む日永かな	亀鳴く	春	15.4.17.
872	娘等の記念の挿木亭々と	挿木	春	15.4.17.
873	葉より先実を膨らます老梅樹	梅の実	夏	15.4.17.
874	日照雨去り雲間に薄き春の虹	春の虹	春	15.4.17.
875	揚げ立てのコロッケ食めば春の虹	春の虹	春	15.4.17.
876	基地発ちしジェット機潜る春の虹	春の虹	春	15.4.17.
877	春の虹架かる雲間を鷹一羽	春の虹	春	15.4.17.
878	甲羅干す亀鳴かぬまま日照雨過ぐ	亀鳴く	春	15.4.17.
879	鳴かんとす亀濡らし行く日照雨かな	亀鳴く	春	15.4.17.
880	竹の子を足裏で見つけ掘る農夫	竹の子	春	15.4.18.
881	竹の子を足裏で見つけ掘りにけり	竹の子	春	15.4.18.
882	戦争ノー言い続けむと百千鳥	百千鳥	春	15.4.18.
883	囀りて囀りてなほ護憲	囀り	春	15.4.18.
884	万緑の山並み高し無人駅	万緑	春	15.4.18.
885	万緑の山並み走る無人駅	万緑	春	15.4.18.
886	菜の花の中で声するかくれんぼ	菜の花	春	15.4.18.
887	菜の花の供花に混りし花大根	菜の花・花大根	春	15.4.18.
888	初蝶の数にぎやかに花菜畑	花菜	春	15.4.18.
889	花大根咲きし一角広ごれり	花大根	春	15.4.18.
890	花菜畑頭が走る鬼ごっこ	花菜	春	15.4.19.
891	竹の子を足裏で探り行く農夫	竹の子	春	15.4.19.
892	青木ヶ原揺さぶりかける青嵐	青嵐	春	15.4.19.
893	花いかだ背で破りゆく鯉の群れ	花筏	春	15.4.19.
894	春昼やあくびをうつす自習室	春昼	春	15.4.19.
895	春陰やあくびうつして自習室	春陰	春	15.4.19.
896	春陰や琉球処分またするか	春陰	春	15.4.20.
897	春陰や琉球処分してならじ	春陰	春	15.4.20.
898	春陰や琉球処分と言ふ悪夢	春陰	春	15.4.20.
899	春陰や琉球処分甦る	春陰	春	15.4.20.
900	春陰や琉球処分解く日あれ	春陰	春	15.4.20.
901	春陰や琉球処分解く日いつ	春陰	春	15.4.20.
902	春陰や琉球処分許すまじ	春陰	春	15.4.20.
903	春陰や廊下の奥に立つ不穏	春陰	春	15.4.20.
904	建前の柱を濡らす菜種梅雨	菜種梅雨	春	15.4.20.
905	養生のシートだらりと菜種梅雨	菜種梅雨	春	15.4.20.
906	谷津干潟満ち引く潮に蘆の角	蘆の角	春	15.4.21.
907	満ち引ける干潟に芽吹く芦の角	芦の角	春	15.4.21.
908	水鳥の入れ替わり見つ蘆の角	蘆の角	春	15.4.21.
909	さざ波の語り掛けをり芦の角	芦の角	春	15.4.21.
910	ひたひたと潮満ち始む芦の角	芦の角	春	15.4.21.
911	潮引きて風にそよげる芦の角	芦の角	春	15.4.21.
912	潮引きて顔出す蟹や芦の角	芦の角	春	15.4.21.
913	潮引きて蟹の顔出す芦の角	芦の角	春	15.4.21.
914	干潟吹く風柔らかに芦の角	芦の角	春	15.4.21.
915	ゆっくりと潮満ちるなか芦の角	芦の角	春	15.4.21.
916	西没日水面嵩ます芦の角	芦の角	春	15.4.21.
917	満ち潮に水面波立つ芦の角	芦の角	春	15.4.21.
918	畑低く目を掠めたり初燕	初燕	春	15.4.22.
919	秋留野の畑広がりて燕飛ぶ	燕	春	15.4.22.
920	篭脱けの画眉鳥騒ぐ暮の春	暮の春	春	15.4.22.
921	蒼天を鏤め清し犬ふぐり	犬ふぐり	春	15.4.22.
922	鶯を真似る悪知恵画眉鳴けり	鶯	春	15.4.22.
923	尺蠖虫くの字のピッチ上げにけり	尺蠖虫	夏	15.4.22.
924	尺蠖の幼てんでにくの字書く	尺蠖虫	夏	15.4.22.
925	介山の眠る禅寺著莪の花	著莪	夏	15.4.22.
926	轟轟と春の水引く取水堰	春の水	春	15.4.22.
927	花霞む多摩の横山取水堰	霞	春	15.4.22.
928	にはたづみ被ひて赤し桜蘂	桜蘂降る	春	15.4.22.
929	熊谷草影武者百騎母衣姿	熊谷草	春	15.4.22.
930	影武者の母衣を揃へて熊谷草	熊谷草	春	15.4.23.
931	影武者の母衣揃へたる熊谷草	熊谷草	春	15.4.23.
932	夏近し男ようぞめ可憐花	夏近し	春	15.4.24.
933	白無垢の花嫁笑めり夏初め	初夏	夏	15.4.24.
934	清水の舞台吹き上ぐ首夏の風	首夏	夏	15.4.24.
935	香水や戦ふ女の身ごしらへ	香水	夏	15.4.24.
936	香水をよろひて帯をひと叩き	香水	夏	15.4.24.
937	香水に生身隠していざ出陣	香水	夏	15.4.24.
938	香水をネグリジェにしてベッドイン	香水	夏	15.4.24.
939	香水を男変われば違ヘけり	香水	夏	15.4.24.
940	けふはこの香水に変へデートかな	香水	夏	15.4.24.
941	香水の移り香貰ふラッシュかな	香水	夏	15.4.24.
942	香水の香を強めたる意味を解く	香水	夏	15.4.24.
943	香水に噎せて年増に睨まれぬ	香水	夏	15.4.24.
944	柿若葉日の明るさを気づかせり	柿若葉	夏	15.4.24.
945	柿若葉夕餉の膳の天婦羅に	柿若葉	夏	15.4.24.
946	若葉風紗のカーテンを揺らしをり	若葉	夏	15.4.24.
947	実と競ひ日ごと数増す梅若葉	若葉	夏	15.4.24.
948	赤銅に染まりし道や桜蘂	桜蘂	春	15.4.24.
949	並木道朱色に染めて桜蘂	桜蘂	春	15.4.24.
950	二人静三人咲きも争はず	二人i静	春	15.4.24.
951	がっしりと骨太がよし春竜胆	春竜胆	春	15.4.24.
952	苗代茱萸知らぬ子ばかり里の道	苗代茱萸	春	15.4.24.
953	ハケの水尻を洗ふや座禅草	座禅草	春	15.4.24.
954	けふもまたしゃがんで覗く座禅草	座禅草	春	15.4.24.
955	立ち止まる視線の先に座禅草	座禅草	春	15.4.24.
956	瞑想を深めて二つ座禅草	座禅草	春	15.4.24.
957	改築の軒場にうれし雛燕	燕の子	夏	15.4.25.
958	庫裡裏に和尚の榾木春子生ふ	春子(春茸）	春	15.4.25.
959	夫婦とも誕生月や四月尽	四月尽	春	15.4.25.
960	齢重ね誕生月の四月尽	四月尽	春	15.4.25.
961	花楚々と男ようぞめ四月尽	四月尽	春	15.4.25.
962	紅白の並木はなやぐ花水木	花水木	春	15.4.25.
963	縄文の雲古の化石風薫る	風薫る	夏	15.4.25.
964	枝といふ枝に噴き出す梅若葉	若葉	夏	15.4.25.
965	重なれど影を作らぬ柿若葉	柿若葉	夏	15.4.25.
966	日の光透けて影なき柿若葉	柿若葉	夏	15.4.25.
967	賽銭箱置かぬ禅寺四月尽	四月尽	春	15.4.25.
968	春惜しみ急山道を一歩ずつ	春惜しむ	春	15.4.25.
969	急山道一枚脱いで春惜しむ	春惜しむ	春	15.4.25.
970	薫風や眼下遥かに羽村堰	薫風	夏	15.4.25.
971	山二つ上り下りして春惜しむ	春惜しむ	春	15.4.25.
972	庫裡裏で榾木の春子摘む和尚	春子(春茸）	春	15.4.25.
973	尺蠖の空を掴むや棹の先	尺蠖	春	15.4.26.
974	草笛のエデンの東夕暮れり	草笛	春	15.4.26.
975	西入日草笛を吹く父と子と	草笛	春	15.4.26.
976	草笛のときに外れて吹かれけり	草笛	春	15.4.26.
977	草笛の寮歌しみじみ流れけり	草笛	春	15.4.26.
978	草笛で寮歌を吹きし卒寿翁	草笛	春	15.4.26.
979	火襷の壺しみじみと夏来る	夏	春	15.4.26.
980	草むしりすればひょこひょこ茗荷竹	草取り・茗荷竹	春	15.4.26.
981	草陰のあそこにここに茗荷竹	茗荷竹	春	15.4.26.
982	茗荷竹庭に顔出し二三寸	茗荷竹	春	15.4.26.
983	土割りて早や二三寸茗荷竹	茗荷竹	春	15.4.26.
984	草むしり花大根は抜かず置く	草取り・花大根	夏春	15.4.26.
985	わが影をぐんぐん伸ばす夕西日	西日	夏	15.4.26.
986	久々に孫とすき焼き暮の春	暮の春	春	15.4.27.
987	蕎麦屋では冷麦で売る冷そうめん	冷麦・冷素麺	夏	15.4.27.
988	蕎麦屋では冷麦と書く冷そうめん	冷麦・冷素麺	夏	15.4.27.
989	素麺を冷麦で売る蕎麦屋かな	冷麦・冷素麺	夏	15.4.27.
990	ガラス器に氷光らせ夏料理	夏料理	夏	15.4.27.
991	ガラス器の臍に氷の冷やし酒	冷酒	夏	15.4.27.
992	ガラス器の臍に氷の酒冷えて	冷酒	夏	15.4.27.
993	ガラス器と氷と光夏料理	夏料理	夏	15.4.27.
994	ガラス器を運ぶ白地も夏料理	夏料理	夏	15.4.27.
995	ガラス盃のど走り行く冷やし酒	冷酒	夏	15.4.27.
996	柏餅味噌餡ばかり食べる孫	柏餅	夏	15.4.27.
997	リーゼント白靴姿ゐない夏	白靴・夏	夏	15.4.27.
998	羅にすててこ姿下駄の音	羅	夏	15.4.27.
999	段々と跳ねつつ下る滝の音	滝	夏	15.4.27.
1000	脳天の薄きを狙ひ滴れり	滴り	夏	15.4.27.

♪ＢＧＭ：Ｖｉｖａｌｄｉ[四季から春]arranged by Reinmusik♪

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