1日１０句１０００句を詠む　第20回

鈴童の遊び

No.	句	季　　語	季	作句日
1	先触れの纏が跳ねる花万燈	万燈	秋	15.10.5.
2	江戸前のパレードが行く御命講	御命講	秋	15.10.5.
3	御命講お会式桜ちらほらと	御命講	秋	15.10.5.
4	万燈をかき分けて行く花万燈	万燈	秋	15.10.5.
5	江戸前のリズムにぎやか御命講	御命講	秋	15.10.5.
6	日蓮忌うちわ太鼓がどんつくと	日蓮忌	秋	15.10.5.
7	日蓮忌聖者が街にやって来し	日蓮忌	秋	15.10.5.
8	デキシージャズ似合ひさふなり万灯会	万灯会	秋	15.10.5.
9	底抜けの明るさ満てる万灯会	万灯会	秋	15.10.5.
10	サッチモが紛れてゐるや万灯会	万灯会	秋	15.10.5.
11	花万燈見上げて頸の痛きかな	万燈	秋	15.10.5.
12	はにかんで頬を染めをり思ひ草（武蔵野・野川公園吟行）	思ひ草	秋	15.10.6.
13	十月の桜静かに咲きにけり	十月桜	秋	15.10.6.
14	十月の桜楚々とも寂しとも	十月桜	秋	15.10.6.
15	山栗を拾えどどれも虚栗	栗	秋	15.10.6.
16	風呼んで段戸襤褸菊絮を吹く	草の絮	秋	15.10.6.
17	杖つけける爺も足止む実蔓	実蔓	秋	15.10.6.
18	からたちの少し煤けて金の玉	枳殻（からたち）	秋	15.10.6.
19	昔男髪整へしさね葛	実蔓	秋	15.10.6.
20	業平も髪に塗り込む実蔓	実蔓	秋	15.10.6.
21	少女らは襟に緑の牛膝（いのこづち）	牛膝	秋	15.10.6.
22	秋深し隣家の人の名は知らず	秋深し	秋	15.10.7.
23	コンビニで「お袋の味」秋深し	秋深し	秋	15.10.7.
24	高齢と言われしみじみ秋深し	秋深し	秋	15.10.7.
25	山々の日々に華やぎ秋深む	秋深し	秋	15.10.7.
26	鯛焼きの餡に立つ湯気秋深し	秋深し	秋	15.10.7.
27	鯛焼きの餡に湯気立ち秋深し	秋深し	秋	15.10.7.
28	洞門に差し込む光り秋深し	秋深し	秋	15.10.7.
29	バーボンのホット紅茶や秋深し	秋深し	秋	15.10.7.
30	バーボンの湯割り傾け深む秋	秋深し	秋	15.10.7.
31	千枚田稲負鳥の影よぎる	稲負鳥	秋	15.10.7.
32	ハケの水集めて野川弾む秋	秋	秋	15.10.8.
33	朝焼けの街やわらかに秋の風	秋風	秋	15.10.8.
34	かたりことり朝を告げゆく秋の風	秋風	秋	15.10.8.
35	冬山は耐える山なり黙の山	冬の山	冬	15.10.8.
36	トンネルを抜けてまた入る冬の山	冬の山	冬	15.10.8.
37	冬山の腹よぎり行く北陸路	冬の山	冬	15.10.8.
38	兵馬俑並ぶがごとし冬連山	冬の山	冬	15.10.8.
39	雪嶺の白衣に上がる雪けむり	雪嶺	冬	15.10.8.
40	熊狐狸眠らせ冬の山	冬の山	冬	15.10.8.
41	雪嶺は恐さを秘めて美しき	雪嶺	冬	15.10.8.
42	熊仕留めマタギ走らす雪の山	雪嶺	冬	15.10.8.
43	パソコンに向ひ夜なべの灯は消へず	夜なべ	秋	15.10.9.
44	夜なべして丑三つどきの湯船かな	夜なべ	秋	15.10.9.
45	夜なべの手休めてカップ麺食めり	夜なべ	秋	15.10.9.
46	朝刊のバイクで止める夜なべかな	夜なべ	秋	15.10.9.
47	晩酌の酔ひを醒まして夜なべかな	夜なべ	秋	15.10.9.
48	パソコンに向ひ夜なべのキーを打つ	夜なべ	秋	15.10.9.
49	肉まんを食む女高生秋うらら	秋うらら	秋	15.10.9.
50	秋うらら車内で始める化粧かな	秋うらら	秋	15.10.9.
51	塩パンが人気のパン屋秋うらら	秋うらら	秋	15.10.9.
52	秋うらら竿竹売りの拡声器	秋うらら	秋	15.10.9.
53	庭鋏かちかち唄ふ松手入	松手入	秋	15.10.9.
54	庭鋏鳴りて始まる松手入	松手入	秋	15.10.9.
55	鋏鳴り黙の庭師の松手入	松手入	秋	15.10.9.
56	三脚に足だけ見える松手入	松手入	秋	15.10.9.
57	始まりも終りもひそと松手入	松手入	秋	15.10.9.
58	庭師来てひねもす黙の松手入	松手入	秋	15.10.9.
59	夜なべして早や朝刊のバイク音	夜なべ	秋	15.10.10.
60	方丈が二言三言松手入れ	松手入	秋	15.10.10.
61	三脚に地下足袋見へる松手入れ	松手入	秋	15.10.10.
62	松手入れ鋏の音の生む静寂	松手入	秋	15.10.10.
63	松手入れ鋏の音の静寂かな	松手入	秋	15.10.10.
64	庭師来て静寂の中の松手入れ	松手入	秋	15.10.10.
65	夜なべして丑三つどきの風呂に入り	夜なべ	秋	15.10.10.
66	毬栗のまだ青々と秋燕忌	秋燕忌	秋	15.10.10.
67	乗越を矢のやふに過ぐ雁の棹	雁の棹	秋	15.10.10.
68	乗越を悠々渡る雁の棹	雁の棹	秋	15.10.10.
69	乗越を乱れも見せず雁の棹	雁の棹	秋	15.10.10.
70	コルトーのピアノでショパン夜長かな	夜長	秋	15.10.10.
71	何ごとも祖がありてこそ守武忌	守武忌	秋	15.10.10.
72	一家言聞きつ味はふ走り蕎麦	走り蕎麦	秋	15.10.10.
73	新蕎麦を仏頂面で打つ店主	新蕎麦	秋	15.10.10.
74	講釈もお代の内か走り蕎麦	走り蕎麦	秋	15.10.10.
75	新走いただいて食む走り蕎麦	走り蕎麦	秋	15.10.10.
76	氏素性聞かされて食む走り蕎麦	走り蕎麦	秋	15.10.10.
77	氏素性味に加へて走り蕎麦	走り蕎麦	秋	15.10.10.
78	新蕎麦の講釈聞きて肩が凝り	新蕎麦	秋	15.10.10.
79	新蕎麦や由緒ありすぎ呑み込めず	新蕎麦	秋	15.10.10.
80	俯けの笊に盛られし走り蕎麦	走り蕎麦	秋	15.10.10.
81	新しきせいろに盛られ走り蕎麦	走り蕎麦	秋	15.10.10.
82	竹青きせいろに盛られ走り蕎麦	走り蕎麦	秋	15.10.11.
83	船上の賄ひ漁夫の裂膾	裂膾	秋	15.10.11.
84	指で裂き漁夫の賄ふ裂膾	裂膾	秋	15.10.11.
85	秋うらら靴新しくすたすたと	秋麗	秋	15.10.11.
86	秋うらら新しい靴心地よし	秋麗	秋	15.10.11.
87	池の面に曇天映る寒露かな	寒露	秋	15.10.11.
88	肌寒や暖房までは入れかねど	肌寒	秋	15.10.11.
89	うそ寒や曇天見上げふと吐息	うそ寒	秋	15.10.11.
90	ベランダの鉢を取り込む暮の秋	暮の秋	秋	15.10.11.
91	乗越をやや乱れたる雁の棹	雁の棹	秋	15.10.11.
92	船溜ごとりと鳴らす望の潮	望の潮	秋	15.10.11.
93	スマホの手伸ばして写す運動会	運動会	秋	15.10.11.
94	ギネス向け種目も混ざる運動会	運動会	秋	15.10.11.
95	杉玉の青々として新走	新走	秋	15.10.11.
96	高らかに啜る音させ走り蕎麦	走り蕎麦	秋	15.10.11.
97	啜る音競ひ合うふかに走り蕎麦	走り蕎麦	秋	15.10.11.
98	水嵩の増えし野川や秋茜	秋茜	秋	15.10.11.
99	鷹女には肘鉄喰らふ石蕗の花	石蕗の花	秋	15.10.11.
100	鷹女から三下り半の石蕗の花	石蕗の花	秋	15.10.11.
101	鷹女にはだんまり堪える石蕗の花	石蕗の花	秋	15.10.11.
102	赤南瓜ハローウィンの出番かな	南瓜	秋	15.10.11.
103	郷に入り異人も啜る走り蕎麦	走り蕎麦	秋	15.10.11.
104	戸惑いつ異人も啜る走り蕎麦	走り蕎麦	秋	15.10.12.
105	散歩犬尿をかけをり曼珠沙華	曼珠沙華	秋	15.10.12.
106	尿かける犬に泰然曼珠沙華	曼珠沙華	秋	15.10.12.
107	爆買いのお国言葉も菊供養	菊供養	秋	15.10.12.
108	境内は人人人の菊供養	菊供養	秋	15.10.12.
109	仲見世の人並み切れぬ菊供養	菊供養	秋	15.10.12.
110	香煙を浴びる人の輪菊供養	菊供養	秋	15.10.12.
111	菊供養異国言葉も飛び交ひぬ	菊供養	秋	15.10.12.
112	吾もまた花食ふ人や菊膾	菊膾	秋	15.10.12.
113	差向ひ蝶も立ち寄れ菊膾	菊膾	秋	15.10.12.
114	菊膾しみじみ食みて独り酒	菊膾	秋	15.10.12.
115	突き出しは色鮮やかな菊膾	菊膾	秋	15.10.12.
116	モナリザのごとき女将や菊膾	菊膾	秋	15.10.12.
117	箸先にちょこっと挟む菊膾	菊膾	秋	15.10.12.
118	品書きにもってのほかと菊膾	菊膾	秋	15.10.12.
119	日の光集めて育つ吊し柿	吊し柿	秋	15.10.12.
120	残照と色張り合ひし柿簾	柿簾	秋	15.10.12.
121	残照にずしりと重き柿簾	柿簾	秋	15.10.12.
122	一村の軒下ずらり柿簾	柿簾	秋	15.10.12.
123	日を浴びて風に吹かれて吊し柿	吊し柿	秋	15.10.12.
124	数珠玉の黒光りして日暮れかな	数珠玉	秋	15.10.12.
125	数珠玉に触れて句帳に一句詠む	数珠玉	秋	15.10.12.
126	ドヤ顔を見せて富士山初冠雪（初冠雪＝１０．１１．）	富士山初冠雪	秋	15.10.12.
127	路地奥に初冠雪の富士遠見	富士山初冠雪	秋	15.10.12.
128	路地奥に初冠雪の富士仰立てり	富士山初冠雪	秋	15.10.12.
129	秋空に初冠雪の富士を指す	富士山初冠雪	秋	15.10.12.
130	富士飾る初冠雪や秋茜	富士山初冠雪・秋茜	秋	15.10.12.
131	人人人人で埋まりし万灯会（15.10.12.池が身本門寺）	万灯	秋	15.10.13.
132	九十と六段登る花万灯	花万燈	秋	15.10.13.
133	九十と六段登り花万燈	花万燈	秋	15.10.13.
134	お会式桜数へるほどは咲き初めり	お会式桜	秋	15.10.13.
135	人人人人の中行く花万燈	花万燈	秋	15.10.13.
136	お会式桜ひいふうみいと数へけり	お会式桜	秋	15.10.13.
137	太鼓打ち纏跳ねをり花万灯	花万燈	秋	15.10.13.
138	江戸前で花万燈の御練りかな	花万燈	秋	15.10.13.
139	お会式桜健気に咲けり御堂前	お会式桜	秋	15.10.13.
140	人波をかき分けて行く花万燈	花万燈	秋	15.10.13.
141	榧の実の拾ふ人なく踏まれけり	榧の実	秋	15.10.13.
142	熟したる棗見上ぐる他所の庭	棗の実	秋	15.10.13.
143	胡桃割る父懐かしき五平餅	胡桃	秋	15.10.13.
144	銀杏の実腐臭なければ拾ひしに	銀杏の実	秋	15.10.13.
145	橡の実を拾ひて橡餅思ひけり	橡の実	秋	15.10.13.
146	お会式桜健気に咲けり御堂前	お会式桜	秋	15.10.13.
147	秋深し単線の駅暮れなずむ	秋深し	秋	15.10.14.
148	艶やかに喰らいどきなる柿買へり	柿	秋	15.10.14.
149	滑らかに誠に甘き富有柿	柿	秋	15.10.14.
150	柿喰えば艶やかな種二つほど	柿	秋	15.10.14.
151	艶やかに柿はつるりとひんやりと	柿	秋	15.10.14.
152	粛然と皿に置かれし柿三個	柿	秋	15.10.14.
153	絵手紙の太き輪郭富有柿	柿	秋	15.10.14.
154	柿の皮とぐろを巻きし皿の上	柿	秋	15.10.14.
155	晩酌を終えて柿喰う男かな	柿	秋	15.10.14.
156	晩酌の後たる柿を食う不思議	柿	秋	15.10.14.
157	渋抜けて樽柿ほどの熟女かな	柿	秋	15.10.14.
158	絵手紙をはみ出してゐる富有柿	柿	秋	15.10.14.
159	秋うらら拝むポーズで五郎丸	秋うらら	秋	15.10.15.
160	満月の種も仕掛けもなく昇り	満月	秋	15.10.15.
161	万灯会怒涛の太鼓乱れ打ち	日蓮忌	秋	15.10.15.
162	乱れ打つ怒涛の太鼓御命講	御命講	秋	15.10.15.
163	狂熱の太鼓の乱打日蓮忌	日蓮忌	秋	15.10.15.
164	乗りに乗る乱れ太鼓や万灯会	日蓮忌	秋	15.10.15.
165	乱れ打つ太鼓のるつぼ御命講	御命講	秋	15.10.15.
166	団扇太鼓街を包みし日蓮忌	日蓮忌	秋	15.10.15.
167	万灯会鉦と太鼓のるつぼかな	日蓮忌	秋	15.10.15.
168	団扇太鼓乱れたぎりし日蓮忌	日蓮忌	秋	15.10.15.
169	サッチモも楽隊連れて万灯会	日蓮忌	秋	15.10.15.
170	日蓮忌聖者の街の乱れ打ち	御命講	秋	15.10.15.
171	血沸き肉踊らせて日蓮忌	日蓮忌	秋	15.10.15.
172	自然薯の長きを折らず掘る翁	自然薯	秋	15.10.15.
173	自然薯を掘り出す根気一時間	自然薯	秋	15.10.15.
174	自然薯の剛直が良し一直線	自然薯	秋	15.10.15.
175	自然薯と言ふ名がうれし山の芋	自然薯・山芋	秋	15.10.15.
176	一直線曲がるを嫌ふ山の芋	山の芋	秋	15.10.15.
177	密集に息詰まらせて鯔跳べり	鯔飛ぶ	秋	15.10.15.
178	鯔跳んで水輪おちこち凪の海	鯔飛ぶ	秋	15.10.15.
179	屋形船舫ふ運河に鯔が跳ぶ	鯔飛ぶ	秋	15.10.15.
180	鯔跳んで島影黒き日暮れかな	鯔飛ぶ	秋	15.10.15.
181	太鼓打ち纏跳ねゆく花万灯	花万灯	秋	15.10.16.
182	鳴り響く乱れ太鼓や万灯会	万灯会	秋	15.10.16.
183	お会式桜うちわ太鼓にほぐれ咲く	お会式桜	秋	15.10.16.
184	万灯会鉦と太鼓が街包む	万灯会	秋	15.10.16.
185	乗越を飛び来る鳥や雁来紅	雁来紅	秋	15.10.16.
186	乗越を鳥渡り来ぬ雁来紅	雁来紅	秋	15.10.16.
187	老友と高きに登り菊の酒	高きに登る	秋	15.10.16.
188	しみじみと差しつ差されつ温め酒	温め酒	秋	15.10.16.
189	鯔跳んで散歩の犬が後ずさり	鯔	秋	15.10.16.
190	蓑虫にちちよと問はれいまは亡し	蓑虫	秋	15.10.16.
191	子規遺せし遊び句可笑し秋うらら	秋うらら	秋	15.10.16.
192	うちわ太鼓街を包みて御命講	御命講	秋	15.10.16.
193	朝顔のアンテナに伸び縦に咲く	朝顔	秋	15.10.17.
194	朝顔の二階を越えて花の列	朝顔	秋	15.10.17.
195	アンテナに朝顔伸びて万国旗	朝顔	秋	15.10.17.
196	鯔跳んで散歩の犬がわんと吼え	鯔跳ぶ	秋	15.10.17.
197	鯔跳んで散歩の犬を驚かす	鯔跳ぶ	秋	15.10.17.
198	跳ぶ鯔に一瞥残し猫去りぬ	鯔跳ぶ	秋	15.10.17.
199	跳ねる鯔一瞥もせず猫よぎる	鯔跳ぶ	秋	15.10.17.
200	エアコンを暖房にするそぞろ寒	そぞろ寒	秋	15.10.17.
201	ベランダの鉢を取り込むそぞろ寒	そぞろ寒	秋	15.10.17.
202	ベランダの鉢部屋に入れ冬隣	冬隣	秋	15.10.17.
203	朝寒や水をごくりと山頭火	朝寒	秋	15.10.17.
204	穭穂の緑霞ませ千枚田	穭穂	秋	15.10.17.
205	穭穂に風渡りゆく棚田かな	穭穂	秋	15.10.17.
206	朝寒や水をごくりと山頭火	朝寒	秋	15.10.17.
207	穭穂の緑に染まる千枚田	穭穂	秋	15.10.17.
208	穭穂に風渡りゆく棚田かな	秋の声穂	秋	15.10.17.
209	藁塚に背中の温し本を読む	藁塚	秋	15.10.17.
210	藁塚の温み背中に読む詩集	藁塚	秋	15.10.17.
211	藁塚の温み背中に修司の詩	藁塚	秋	15.10.17.
212	日を吸ひて藁塚温し山頭火	藁塚	秋	15.10.17.
213	藁塚に背を温める山頭火	藁塚	秋	15.10.17.
214	補聴器を外ししみじみ秋の声	秋の声	秋	15.10.18.
215	補聴器を外せば聞ゆ秋の声	秋の声	秋	15.10.18.
216	補聴器を外せば深き秋の声	秋の声	秋	15.10.18.
217	夜の厨水飲み終へて秋の声	秋の声	秋	15.10.18.
218	音もなく降る雨に聞く秋の声	秋の声	秋	15.10.18.
219	深夜バス降りて路地裏秋の声	秋の声	秋	15.10.18.
220	園庭に灯りが一つ秋の声	秋の声	秋	15.10.18.
221	六地蔵色なき風の中に立つ	色無き風	秋	15.10.18.
222	乗越を越え来る風も秋の風	秋風	秋	15.10.18.
223	ひつじ田の隅に積まれし捨て案山子	穭田	秋	15.10.18.
224	秋深し時計の針に追はれ来て（山本和夫歌集若狭から翻案）	秋深し	秋	15.10.18.
225	積み木積み崩して秋は深まりぬ（同）	秋深し	秋	15.10.18.
226	峠越ゆ風よ運べと吊り舟草（同）	吊り舟草	秋	15.10.18.
227	名田庄の峠懐かし蔓りんどう（同）	竜胆	秋	15.10.18.
228	鰯雲かかる峠や鹿の糞（同）	鰯雲	秋	15.10.18.
229	焙烙の椎の実食えと祖母の声（同）	椎の実	秋	15.10.18.
230	うぐいす来詠むか描くか否聴かん（同）	鶯	春	15.10.18.
231	椿山千種紡ぎし小鳥かな（同）	椿	春	15.10.18.
232	ちゅっちゅっと守宮泣く夜やそぞろ寒	守宮・そぞろ寒	夏・秋	15.10.18.
233	胸張って稲棒並びし棚田かな	稲棒（ぼっち）	秋	15.10.19.
234	鮎料理食めば窓越し崩れ簗	崩れ簗	秋	15.10.19.
235	城址濠埋めし萍紅葉かな	萍紅葉	秋	15.10.19.
236	錦秋のただ中駆ける九十九折	錦秋	秋	15.10.19.
237	植林抜け柞（ははそ）もみじの燃へる尾根	柞もみじ	秋	15.10.19.
238	暗き抜け柞（ははそ）もみじの尾根うれし	柞もみじ	秋	15.10.19.
239	里山は柞もみじと落葉雨	柞もみじ	秋	15.10.19.
240	草紅葉楕円のボール子らが追ふ	草紅葉	秋	15.10.19.
241	三代の医院を包む蔦紅葉	蔦紅葉	秋	15.10.19.
242	三代の医院を告げる蔦紅葉	蔦紅葉	秋	15.10.19.
243	絵のようにチャペルを包む蔦紅葉	蔦紅葉	秋	15.10.19.
244	満天星（どうだん）の火焔を凌ぎ燃へ立てり	満天星紅葉	秋	15.10.19.
245	鈴懸の実のたわわ告げ風一陣	鈴懸の実	秋	15.10.20.
246	草分けし覚へなけれどゐのこづち	牛膝（ゐのこづち）	秋	15.10.20.
247	夕暮れて単線の駅秋深し	秋深し	秋	15.10.20.
248	独り待つ単線の駅秋深し	秋深し	秋	15.10.20.
249	胸にまで飛びついてゐるゐのこづち	ゐのこづち	秋	15.10.20.
250	山蛭の怖さなけれどゐのこづち	ゐのこづち	秋	15.10.20.
251	ゐのこづち翅あるごとく胸に背に	ゐのこづち	秋	15.10.20.
252	人の眼の弛みて気づくゐのこづち	ゐのこづち	秋	15.10.20.
253	バス停で慌ててはがすゐのこづち	ゐのこづち	秋	15.10.20.
254	遠足のどの子の服もゐのこづち	ゐのこづち	秋	15.10.20.
255	手も翅も持たず飛びつくゐのこづち	ゐのこづち	秋	15.10.20.
256	びっしりと幼泣き出すゐのこづち	ゐのこづち	秋	15.10.20.
257	パンタロン颯爽と行く草虱	草虱	秋	15.10.20.
258	きゃっきゃっと園児声上ぐ草虱	草虱	秋	15.10.20.
259	朝練の走るコースや草虱	草虱	秋	15.10.20.
260	おぞましき昔懐かし草虱	草虱	秋	15.10.20.
261	裾の色緑に変る草虱	草虱	秋	15.10.20.
262	草じらみ取り終へしときバス来たり	草虱	秋	15.10.20.
263	草虱こん畜生と取る男	草虱	秋	15.10.20.
264	草じらみ顔赤くして取る少女	草虱	秋	15.10.20.
265	藤の実のひょろりひょろりと下がりけり	藤の実	秋	15.10.21
266	晴れ渡る深き空色臭木の実	臭木の実	秋	15.10.21
267	秋天の色写し取り臭木の実	臭木の実	秋	15.10.21
268	草木染始まるを待つ臭木の実	臭木の実	秋	15.10.21
269	臭木の実ずしりと重き袋かな	臭木の実	秋	15.10.21
270	朝寒や路地を四角に風渡る	朝寒	秋	15.10.21
271	一位の実小鳥を真似て食めば甘し	一位の実	秋	15.10.21
272	焼きそばの屋台に列の文化祭	文化祭	秋	15.10.21
273	生徒らが別の顔見せ文化祭	文化祭	秋	15.10.21
274	部屋ごとに意匠を凝らし文化祭	文化祭	秋	15.10.21
275	湯屋番で拍手をもらふ文化祭	文化祭	秋	15.10.21
276	Ｇパンが大股でゆく秋遍路	秋遍路	秋	15.10.21
277	Ｇパンがすたすたと行く秋遍路	秋遍路	秋	15.10.21
278	鈴の音の凜と響けり秋遍路	秋遍路	秋	15.10.21
279	色なき風遍路の鈴のよく響く	色なき風	秋	15.10.21
280	花野ゆく遍路の後ろ姿かな	花野	秋	15.10.21
281	たまゆらの読経朗々秋遍路	秋遍路	秋	15.10.21
282	色なき風遍路の鈴の響きけり	色なき風	秋	15.10.22
283	息止めて深呼吸して鰯雲	鰯雲	秋	15.10.22
284	いわし雲みすゞ弔ふ鰯かな	鰯雲	秋	15.10.22
285	北陸路能登を目指せばいわし雲	鰯雲	秋	15.10.22
286	秋日や三味線（しゃみ）の音冴えトテチテシャン	秋日	秋	15.10.22
287	秋団扇子規のふぐりの重さかな（睾丸をのせて重たき団扇哉＝子規の句へのオマージュ）	秋団扇	秋	15.10.22
288	秋団扇子規のふぐりの重さ知り	秋団扇	秋	15.10.22
289	秋団扇子規のふぐりを載せにけり	秋団扇	秋	15.10.22
290	残すにも捨てるもならず秋団扇	秋団扇	秋	15.10.22
291	かさこそと囁き返す菊枕	菊枕	秋	15.10.22
292	廃屋の軒に破れし秋簾	秋簾	秋	15.10.22
293	廃屋や破れかぶれの秋簾	秋簾	秋	15.10.22
294	秋風鈴早く仕舞へと鳴りにけり	秋風鈴	秋	15.10.22
295	ツィーツィー庭でかしまし鶸の声	鶸（ひわ）	秋	15.10.22
296	いわし雲はるばる高き広さかな	鰯雲	秋	15.10.22
297	髙き天見る暇なしのスマホかな	天髙し	秋	15.10.22
298	踏ん張りし徽軫（ことじ）灯籠暮の秋（春耕・能登秋季鍛錬大会持参句）	暮れの秋	秋	15.10.23
299	四股を踏む徽軫（ことじ）灯籠暮の秋	暮れの秋	秋	15.10.23
300	四股を踏む徽軫（ことじ）灯籠紅葉映ゆ	紅葉	秋	15.10.23
301	秋深しひょいと四股踏む徽軫かな	秋深し	秋	15.10.23
302	能登の古寺句碑開眼の暮の秋	暮れの秋	秋	15.10.23
303	能登の古寺句碑開眼の秋気かな	秋気	秋	15.10.23
304	句碑開眼能登の古刹に秋気満つ	秋気	秋	15.10.23
305	句碑開眼能登の古刹の秋気かな	秋気	秋	15.10.23
306	四股を踏む紅葉の池の徽軫かな	紅葉	秋	15.10.23
307	雁行橋色なき風と渡りけり	色なき風	秋	15.10.23
308	雁渡し背に受け渡る雁行橋	雁渡し	秋	15.10.23
309	雁渡しさざ波立てし雁行橋	雁渡し	秋	15.10.23
310	雁行てふ橋の名風雅紅葉映ゆ	紅葉	秋	15.10.23
311	唐崎の松に始まる冬支度	冬支度	秋	15.10.23
312	能登の秋師の句碑開く嬉しき日 (15.10.25.能登の明蓮寺で）	秋	秋	15.10.23
313	能登の秋産土刻む波朗句碑	秋	秋	15.10.23
314	紅葉の山々穿ち北陸路	紅葉	秋	15.10.23
315	紅葉の山を穿ちて北陸路（１５．１０．２３．）	紅葉	秋	15.10.23
316	紅葉の山を抜け行く北陸路（１５．１０．２３．）	紅葉	秋	15.10.23
317	秋深し潮騒聞きつ能登を行く	秋深し	秋	15.10.23
318	恙なく波朗句碑開く能登の秋	秋	秋	15.10.23
319	産土に波朗句碑開く能登の秋	秋	秋	15.10.23
320	四股踏みし徽軫灯籠紅葉映ゆ	紅葉	秋	15.10.23
321	秋深し能登黒瓦夜を早やむ	秋深し	秋	15.10.23
322	艶やかに能登黒瓦秋びより	秋日和	秋	15.10.23
323	艶やかに能登黒瓦雁渡る	雁渡る	秋	15.10.23
324	うちわ太鼓叩く地響き御命講	御命講	秋	15.10.24
325	夕日浴び憤怒極むや雁来紅	雁来紅	秋	15.10.24
326	三色の意匠ととのへ雁来紅	雁来紅	秋	15.10.24
327	色遣いサイケに仕上げ葉鶏頭	葉鶏頭	秋	15.10.24
328	眺むほど心昂ぶる雁来紅	雁来紅	秋	15.10.24
329	神経に稲妻走る雁来紅	雁来紅	秋	15.10.24
330	小料理の暖簾に夕日雁来紅	雁来紅	秋	15.10.24
331	老友と高きに登り酒を酌む	高きに登る	秋	15.10.24
332	大風呂敷広げし柄の鰯雲	鰯雲	秋	15.10.24
333	マンションの手抜き騒ぎや鰯雲	鰯雲	秋	15.10.24
334	色なき風潮の香伝ふ能登の旅	色なき風	秋	15.10.24
335	色なき風潮の香のする能登めぐる	色なき風	秋	15.10.24
336	艶やかに能登黒瓦雁渡し	雁渡し	秋	15.10.24
337	巌門を穿つ色濃き秋の潮	秋の潮	秋	15.10.24
338	巌門を穿ち続けて秋の潮	秋の潮	秋	15.10.24
339	巌門を穿つ音する秋の潮	秋の潮	秋	15.10.24
340	旅に履く靴を試して花野道	花野道	秋	15.10.24
341	雁行てふ橋の名ゆかし紅葉舞ふ	紅葉	秋	15.10.24
342	雁行てふ橋の名ゆかし紅葉映ゆ	紅葉	秋	15.10.24
343	あけびの実餅食ふごとく食みにけり	通草	秋	15.10.25
344	あけびの実羽二重餅のごとく食む	通草	秋	15.10.25
345	海桐（とべら）の実赤き口開け能登の海	海桐の実	秋	15.10.25
346	巌門に波濤砕けり海桐の実	海桐の実	秋	15.10.26
347	巌門を穿ち飛び散る秋の潮	秋の潮	秋	15.10.26
348	巌門を股くぐりする秋の潮	秋の潮	秋	15.10.26
349	巌門の股をくすぐる秋の潮	秋の潮	秋	15.10.26
350	秋ぐみの色鮮やかに能登入日	秋茱萸	秋	15.10.26
351	千里浜に千鳥啼き初み冬隣	冬隣	秋	15.10.26
352	揚羽蝶居残り決めて石蕗（つわ）の花	石蕗の花	秋	15.10.26
353	石蕗の花居残り決めし揚羽呼ぶ	石蕗の花	秋	15.10.26
354	千枚田山裾濡らす秋の潮（白米〈しろよね〉千枚田で）	秋の潮	秋	15.10.26
355	白米の棚田の先は秋の潮	秋の潮	秋	15.10.26
356	波朗句碑産土に開き梅もどき	梅擬	秋	15.10.27
357	海桐の実赤き口開け能登快晴	海桐の実	秋	15.10.27
358	海桐の実真紅の喉を覗かせり	海桐の実	秋	15.10.27
359	奥能登の浜を歩めば茱萸赤し	茱萸・秋茱萸	秋	15.10.27
360	穭田に変りて棚田烟りけり（能登の白米千枚田で）	穭田	秋	15.10.27
361	穭田になりし棚田の薄みどり	穭田	秋	15.10.27
362	茱萸ふふみ槙の実食んで能登の旅	茱萸	秋	15.10.27
363	腹割ってさあ食へと言ふ通草かな	通草(あけび）	秋	15.10.27
364	秋夕焼け金色放つ能登瓦	秋夕焼け	秋	15.10.27
365	艶やかに能登黒瓦冬隣	冬隣	秋	15.10.27
366	あけびの実腹を開きて招きをり	通草	秋	15.10.28
367	秋晴れや古刹の屋根の能登瓦	秋晴れ	秋	15.10.28
368	秋晴れの空に艶やか能登瓦	秋晴れ	秋	15.10.28
369	穭田の裾引く先は能登の海	穭田	秋	15.10.28
370	窓岩てふ巨大オブジェや能登秋潮	秋潮	秋	15.10.28
371	窓岩てふ巨大オブジェや雁の棹	雁の棹	秋	15.10.28
372	窓岩てふ巨大オブジェや雁渡る	雁渡る	秋	15.10.28
373	窓岩を潜り抜けたり秋茜	秋茜	秋	15.10.28
374	千里浜（ちりはま）の渚ドライブ能登秋天	秋天	秋	15.10.28
375	千里浜に早や千鳥啼き能登晩秋	晩秋	秋	15.10.28
376	巌門を轟き潜る秋の潮	秋の潮	秋	15.10.29
377	巌門に寄せる色濃き秋の潮	秋の潮	秋	15.10.29
378	朝市のお婆たくまし能登晩秋	晩秋	秋	15.10.29
379	深秋や夏百日を待つ塩田	深秋	秋	15.10.29
380	百日の筋目の句碑や秋の潮	秋の潮	秋	15.10.29
381	塩田の過酷休ませ秋の潮	秋の潮	秋	15.10.29
382	茱萸ふふみそぞろに歩む能登の浜	茱萸	秋	15.10.29
383	能登の秋しぶき飛び来る忘れ潮	秋	秋	15.10.29
384	石蕗の花ともに揺れをり黒揚羽	石蕗の花・蝶	秋・春	15.10.29
385	赤き口開き目を惹く海桐の実	海桐の実	秋	15.10.29
386	夕映えて茱萸の実赤き能登の浜	茱萸	秋	15.10.30
387	槙の実の赤きを揺らす雁渡し	雁渡し	秋	15.10.30
388	深秋と折り合ひつけて石蕗の花	石蕗の花	秋	15.10.30
389	行く秋と肩を並べて石蕗の花	石蕗の花	秋	15.10.30
400	嫌ひでも好きでもよろし石蕗の花	石蕗の花	秋	15.10.30
401	残蝶の揚羽満つ吸ふ石蕗の花	石蕗の花	春・秋	15.10.30
402	黒揚羽年越す用意石蕗の花	石蕗の花	春・秋	15.10.30
403	口裂けし女伝説海桐の実	海桐の実	秋	15.10.30
404	巌門の天の高きを鳶舞へり	天髙し	秋	15.10.30
405	巌門の天の高きを鳶舞ふ	天髙し	秋	15.10.30
406	朝市のお婆の声や能登深秋	深秋	秋	15.10.31
407	選別を違へ悔みつ菜を間引く	間引き菜	秋	15.10.31
408	入日浴び主丹精の富有柿	柿	秋	15.10.31
409	朱色映え山梔子の実の夕明かり	山梔子の実	秋	15.10.31
410	賽銭箱角に尻向け放屁虫	放屁虫	秋	15.10.31
411	寅さんの句碑にちょこんと赤とんぼ	赤とんぼ	秋	15.10.31
412	鯔跳ねて蠢く群れの背に落下	鯔	秋	15.10.31
413	冠雪の山から来たか秋茜	秋茜	秋	15.10.31
414	能登朝市喧噪をゆく秋茜	秋茜	秋	15.10.31
415	秋夕焼けたちまち消ゆる能登の海	秋夕焼け	秋	15.10.31
416	枕辺に波打つ音や能登晩秋	晩秋	秋	15.10.31
417	枕辺に潮騒響く能登晩秋	晩秋	秋	15.10.31
418	白波が白波追ひて秋の浜	秋	秋	15.11.1
419	おどろおどろ御陣乗太鼓能登秋霜	秋霜	秋	15.11.1
420	冬近し能登の荒磯の波しぶき	冬近し	秋	15.11.1
421	波の花舞へば猛りし陣太鼓	波の花	冬	15.11.1
422	筋雲に秋を惜しみて十一月	筋雲	秋	15.11.1
423	千枚田山裾洗ふ秋の海	秋の海	秋	15.11.1
424	するすると柿むく女（ひと）の指見とれ	柿	秋	15.11.1
425	白魚の指で剥かるる富有柿	柿	秋	15.11.1
426	しなやかに柿むく女のネックレス	柿	秋	15.11.1
427	縁側で老尼と食みし富有柿	柿	秋	15.11.1
428	豊穣の柿の木残す廃校舎	柿	秋	15.11.2
429	到来の柿頬張りつ子規思ふ	柿	秋	15.11.2
430	ごみ出しに傘さして行く初しぐれ	初時雨	冬	15.11.2
431	放哉の孤独地獄や初しぐれ	初時雨	冬	15.11.2
432	放哉の吐息聞へる時雨かな	時雨	冬	15.11.2
433	能登の海波音荒き時雨かな	時雨	冬	15.11.2
434	初時雨早や夕刊のバイク音	初時雨	冬	15.11.2
435	初しぐれ矢切の渡し濡れて行く	初時雨	冬	15.11.2
436	初しぐれ矢切の渡し傘さして	初時雨	冬	15.11.2
437	寅さん像いなせに濡れて初時雨	初時雨	冬	15.11.2
438	街道の野菊ひねもす揺れ通し	野菊	秋	15.11.2
439	初しぐれ冬の寒さを道連れに	初時雨	冬	15.11.2
440	熱々の茶をお代りし初時雨	初時雨	冬	15.11.2
441	熱々の茶をしみじみ初時雨	初時雨	冬	15.11.2
442	末枯れの野の真ん中に小さき墓地	末枯れ	秋	15.11.2
443	末枯れの一本道の道遠し	末枯れ	秋	15.11.2
444	末枯れの野中の道の日暮れかな	末枯れ	秋	15.11.2
445	末枯れ道黄泉比良坂かも知れず	末枯れ	秋	15.11.2
446	殻割れて海桐の種の赤き映ゆ	海桐の実	秋	15.11.2
447	つくづくと十六ささげ長きかな	十六ささげ	秋	15.11.2
448	エアコンを暖房にして初時雨	初時雨	冬	15.11.2
449	吾亦紅零す雫や初しぐれ	初時雨	冬	15.11.2
450	初時雨濡れそぼちしは烏瓜	初時雨	冬	15.11.2
451	藪枯らし引けばずるずるしたたかに	藪枯らし	秋	15.11.2
452	藪枯らし引けばずるりとしたたかに	藪枯らし	秋	15.11.2
453	藪枯らし引けばずるりと伸びにけり	藪枯らし	秋	15.11.2
454	海鳴りを腹で聞きをり能登秋天	秋天	秋	15.11.2
455	百日の旱を祈る能登塩田	旱（ひでり）	夏	15.11.3
456	百日の旱に賭ける能登塩田	旱	夏	15.11.3
457	百日の旱を祈る能登塩士	旱	夏	15.11.3
458	旱こそ豊年満作能登塩田	旱	夏	15.11.3
459	旱待ち百日浜辺塩作り	旱	夏	15.11.3
460	旱待ち夏百日の塩づくり	旱	夏	15.11.3
461	大釜に夏百日の塩づくり	夏	夏	15.11.3
462	大釜に夏百日の塩生まる	夏	夏	15.11.3
463	大釜に塩炊き上ぐる劫暑かな	劫暑	夏	15.11.3
464	大釜に塩炊き上ぐる暮の秋	暮の秋	秋	15.11.3
465	ひと夏の百日が生む能登の塩	夏	夏	15.11.3
466	夏百日祈り塩田冬ごもり（能登塩田で）	冬籠もり	冬	15.11.3
467	百日のひでり筋目の能登塩田	旱	夏	15.11.3
468	百日のひでり筋目の塩田かな	旱	夏	15.11.3
469	乱れ打つ団扇太鼓や万灯会	万灯会	秋	15.11.3
470	朝市のお婆らの声能登晩秋	晩秋	秋	15.11.3
471	松茸の香だけ嗅がせて貰ひけり	松茸	秋	15.11.4
472	土瓶蒸つい肘張りていただけり	土瓶蒸	秋	15.11.4
473	土瓶蒸し三々九度の様で呑む	土瓶蒸	秋	15.11.4
474	一口で呑むを憚る土瓶蒸	土瓶蒸	秋	15.11.4
475	一献を交すがごとく土瓶蒸	土瓶蒸	秋	15.11.4
476	小盃三度傾け土瓶蒸	土瓶蒸	秋	15.11.4
477	松茸を網焼きにして喰ふ至福	松茸	秋	15.11.4
478	松茸の夢で男根握り締め	松茸	秋	15.11.4
479	檜葉敷きし太き松茸どや顔で	松茸	秋	15.11.4
480	松茸で座の盛り上る鍋料理	松茸	秋	15.11.4
481	松茸で座を盛り上げる鍋料理	松茸	秋	15.11.4
482	毒茸ただ見るだけと保母叫ぶ	毒茸	秋	15.11.4
483	触れたきは紅艶やかな毒茸	毒茸	秋	15.11.4
484	トトロの森魔女が育てし毒茸	毒茸	秋	15.11.4
485	標本の蝶丑三つに羽搏けり（季語：蝶＝春）	蝶	春	15.11.4
486	標本の蝶丑三つの羽音かな	蝶	春	15.11.4
487	エゴサーチする人つつむ夜寒かな	夜寒	秋	15.11.4
488	エゴサーチ地獄を掘りし夜寒かな	夜寒	秋	15.11.4
489	個性なき塀の落書冬隣	冬隣	秋	15.11.4
490	商魂の筋書き走るハローウィン	ハローウィン	秋	15.11.4
491	たくらみでほくそ笑む顔ハローウィン	ハローウィン	秋	15.11.4
492	たくらんでほくそ笑む翳ハローウィン	ハローウィン	秋	15.11.4
493	たくらまれ踊り撥ねるやハローウィン	ハローウィン	秋	15.11.4
494	流木はやはり流木冬隣	冬隣	秋	15.11.4
495	標本の蝶の羽搏く夜寒かな	夜寒	秋	15.11.4
496	標本の蝶動き出す夜寒かな	夜寒	秋	15.11.4
497	自動車が自動で走る夜寒かな	夜寒	秋	15.11.4
498	なんとでも詠んでおくれと烏瓜	烏瓜	秋	15.11.4
499	何ごとも成行くままと烏瓜	烏瓜	秋	15.11.4
500	弔いし同じ数かな鰯雲	鰯雲	秋	15.11.4
501	駄句ばかり佳句の出て来ぬ夜寒かな	夜寒	秋	15.11.4
502	臍で茶を沸かし飲みたき夜寒かな	夜寒	秋	15.11.4
503	枯れ蔓の切れる日もあり烏瓜	烏瓜	秋	15.11.4
504	枯れ蔓に採る人もなき烏瓜	烏瓜	秋	15.11.4
505	夕映えに胸を張りをり烏瓜	烏瓜	秋	15.11.4
506	人間の忖度なんぞ烏瓜	烏瓜	秋	15.11.4
507	枯れ蔓の切れれば土に烏瓜	烏瓜	秋	15.11.4
508	物の怪もときに吐息や烏瓜	烏瓜	秋	15.11.4
509	初春や八十路に掛かる第一歩	初春	新年	15.11.5
510	初春や八十路に一歩踏み出しぬ	初春	新年	15.11.5
511	初春や八十路踏み出す仕儀となり	初春	新年	15.11.5
512	戦争を知る一人なり年迎ふ	年迎え	新年	15.11.5
513	焼きいもを食みし尼僧のおならかな	焼きいも	秋	15.11.5
514	焼き芋を食みつ老尼の小さきプウ	焼きいも	秋	15.11.5
515	芋食みて老尼慎ましおならかな	芋	秋	15.11.5
516	芋食みておならをぷうとする老尼	芋	秋	15.11.5
517	芋食みておなら可愛い老尼かな	芋	秋	15.11.5
518	焼きいもを恐れ尼僧の便秘かな	焼きいも	秋	15.11.5
519	衣裳のみ愛でらる不幸葉鶏頭	葉鶏頭	秋	15.11.5
520	雪吊の下端微妙に傾がせて	雪吊	冬	15.11.6
521	雪吊に手練れの技のきびきびと	雪吊	冬	15.11.6
522	雪吊を了へし園庭日の温し	雪吊	冬	15.11.6
523	雪吊や光溢るる日の続く	雪吊	冬	15.11.6
524	雪吊や光眩しい三日晴れ	雪吊	冬	15.11.6
525	雪吊の仕上げを待って晴れ続き	雪吊	冬	15.11.6
526	雪吊や親方の声きびきびと	雪吊	冬	15.11.6
527	雪吊と二文字書けば美の世界	雪吊	冬	15.11.6
528	雪吊と書けば誘ふ景色あり	雪吊	冬	15.11.6
529	雪吊に雪はなくとも一風情	雪吊	冬	15.11.6
530	雪吊に雪待つ風情曇り空	雪吊	冬	15.11.6
531	雪吊や無用の用の一つにも	雪吊	冬	15.11.6
532	雪吊や無用の用の美しき	雪吊	冬	15.11.6
533	雪吊や無用の用の奥深し	雪吊	冬	15.11.6
534	雪吊や冬と言ふ名のアートかな	雪吊	冬	15.11.6
535	雪吊の遊び心の奥ゆかし	雪吊	冬	15.11.6
536	雪吊を了へて小春日続きけり	雪吊	冬	15.11.6
537	杜鵑草夕日眩しといふ風情	杜鵑草	秋	15.11.6
538	群れ咲ける野の杜鵑草草野球	杜鵑草	秋	15.11.6
539	群れ咲ける野の杜鵑草ドローン飛ぶ	杜鵑草	秋	15.11.6
540	真弓の実赤き濡れ色恋の色	檀・真弓	秋	15.11.6
541	頸痛くなるほど見上ぐ檀の実	檀	秋	15.11.6
542	ダンプカー五台続けり真弓の実	真弓	秋	15.11.6
543	枝しなる無患子の実の重さかな	無患子	秋	15.11.6
544	無患子のくすむ黄金の実がぽとり	無患子	秋	15.11.6
545	文字に惚れ無患子拾ふ母と子と	無患子	秋	15.11.6
546	茶の花のどれもてんでに下向けり	茶の花	冬	15.11.6
547	能登巌門見下ろす崖の海桐の実	海桐の実	秋	15.11.6
548	巌門を白き波打ち海桐の実	海桐の実	秋	15.11.6
549	厭わねどやや生臭き鶏頭花	鶏頭	秋	15.11.6
550	卑猥まで言はねど妖し鶏頭花	鶏頭	秋	15.11.6
551	フレームの野菜見目良く育てられ	フレーム・温室	冬	15.11.7
552	大根を洗ひ積み上げ艶めけり	大根洗ふ	冬	15.11.7
553	久米仙人大根洗ひの始まるぞ	大根洗ふ	冬	15.11.7
554	大根を洗えば美脚昂ぶるや	大根洗ふ	冬	15.11.7
555	干大根日の経つほどに柔らかき	干大根	冬	15.11.7
556	日を頼み風を頼みて掛大根	掛大根	冬	15.11.7
557	目安にはお婆の乳房懸大根	懸大根	冬	15.11.7
558	禅寺の作務衣の僧や落葉焚	落葉焚	冬	15.11.7
559	門跡寺尼僧作務衣で落葉焚	落葉焚	冬	15.11.7
560	寒柝の響きも失せて街寡黙	寒柝	冬	15.11.7
561	寒柝を打つ上手あり下手もあり	寒柝	冬	15.11.7
562	寒柝の一打に続く子らの声	寒柝	冬	15.11.7
563	火鉢置く和室無くなり庭の池	火鉢	冬	15.11.7
564	句会楽し雪見障子の茶室かな	雪見障子	冬	15.11.7
565	箸先でこのわた啜る酒の膳	海鼠腸	冬	15.11.7
566	枯れ花も散らさず冬の八仙花	冬	冬	15.11.8
567	枯れ花も散らさず冬の七変化	冬	冬	15.11.8
568	姥花の堂々冬の七変化	冬	冬	15.11.8
569	背に師走負ゆれど漫ろ十一月	十一月	冬	15.11.8
570	秋天を時雨引き継ぐ今朝の冬	今朝の冬	冬	15.11.8
571	初時雨人影まばら陶器市	初時雨	冬	15.11.8
572	初しぐれ手持無沙汰の陶器市	初時雨	冬	15.11.8
573	塩釜の焚き終へし日や冬立てり	立冬	冬	15.11.8
574	マスクする人咳の人冬めきぬ	冬めく	冬	15.11.8
575	冬立つ日名も形よく初時雨	初時雨	冬	15.11.8
576	巌門を穿つ白波能登しぐれ	時雨	冬	15.11.8
577	バス停にマスク並びて初時雨	初時雨	冬	15.11.8
578	冬が来るその先触れのマスクかな	冬	冬	15.11.8
579	ポケットに入るる小さき熊手買ひ	熊手	冬	15.11.8
580	ポケットに入るサイズの熊手買ふ	熊手	冬	15.11.8
581	どや顔で熊手担いで行く親爺	熊手	冬	15.11.8
582	北風の国際通り三の酉	三の酉	冬	15.11.8
583	をちこちで手締めの響き大熊手	熊手	冬	15.11.8
584	をちこちで手締め始まる酉の市	熊手	冬	15.11.8
585	爆買ひの男も値切る大熊手	熊手	冬	15.11.8
586	神仏まこと仲良きお酉さま	お酉さま	冬	15.11.8
587	金欲しと本音隠さぬ酉の市	酉の市	冬	15.11.8
588	お酉さま詣でし後は神谷バー	お酉さま	冬	15.11.8
589	お酉さま詣でた後の縄のれん	お酉さま	冬	15.11.8
590	お酉さま詣で駆け込む縄のれん	お酉さま	冬	15.11.8
591	酉の市馴染みの店の同窓会	酉の市	冬	15.11.8
592	酉の市立ち寄る店の古馴染	酉の市	冬	15.11.8
593	女将また八十路近しや三の酉	三の酉	冬	15.11.8
594	ちゃん付けの顔が立ち寄る酉の市	酉の市	冬	15.11.8
595	人波が道を開けゆく大熊手	熊手	冬	15.11.8
596	上水の鯉の大口四温かな	三寒四温	冬	15.11.９
597	三寒の七日続きし四温かな	三寒四温	冬	15.11.９
598	三寒のバス停長き人の列	三寒四温	冬	15.11.９
599	三寒のバス停マスクとスマホかな	三寒四温	冬	15.11.９
600	洗面の蛇口湯に替へ四温なる	三寒四温	冬	15.11.９
601	三寒も四温も擦るスマホ族	三寒四温	冬	15.11.９
602	正ちゃん帽被り四温の街を行く	三寒四温	冬	15.11.９
603	焼き立てのパンをトレイに四温かな	三寒四温	冬	15.11.９
604	ごみ出しのあいさつ交す四温かな	三寒四温	冬	15.11.９
605	サッカーの子ら三寒を蹴り走る	三寒四温	冬	15.11.９
606	わがたつきつくづく冬のきりぎりす	冬	冬	15.11.９
607	冬泉に湯気立つ朝の寒気かな	冬泉	冬	15.11.10
608	冬の水掬めば鋼の重さあり	冬の水	冬	15.11.10
609	箸先でこのわた啜る酒客かな	海鼠腸	冬	15.11.10
610	箸先でこのわた啜る酒の席	海鼠腸	冬	15.11.10
611	箸先でこのわた啜る音可笑し	海鼠腸	冬	15.11.10
612	箸先でこのわた啜る大男	海鼠腸	冬	15.11.10
613	箸先でこのわた啜る男どち	海鼠腸	冬	15.11.10
614	大綿は飛んで儚さ教へけり	大綿	冬	15.11.10
615	綿虫を吹き出すごとく夕茜	綿虫	冬	15.11.10
616	綿虫にやはり心臓ある不思議	綿虫	冬	15.11.10
617	雲低くなりたる空の冬めけり	冬めく	冬	15.11.10
618	朝顔の咲き咲き濡れて初しぐれ	朝顔・初時雨	秋・冬	15.11.10
619	朝顔の色褪めゆくや初時雨	朝顔・初時雨	秋・冬	15.11.10
620	朝顔の花数濡らし初時雨	朝顔・初時雨	秋・冬	15.11.10
621	冬晴れや英語で走る俥引き（浅草雷門前で）	冬晴れ	冬	15.11.10
622	寂聴の女の焔（ほむら）初しぐれ	初時雨	冬	15.11.10
623	天辺の禿ありありと初時雨	初時雨	冬	15.11.10
624	紅葉の湯萎びしものを沈めけり	紅葉	秋	15.11.10
625	うふふふと早や睦言の夕時雨	夕時雨	冬	15.11.10
626	初しぐれ老ひのすさびの句は詠まじ	初時雨	冬	15.11.10
627	怒髪天突くには足らじ木の葉髪	木の葉髪	冬	15.11.10
628	身の果てと思へば寂し木の葉髪」	木の葉髪	冬	15.11.10
629	頼りなくなりしはナニに木の葉髪	木の葉髪	冬	15.11.10
630	何もかも赦して渡る去年今年	去年今年	冬	15.11.10
631	新暦反りを直して年始め	年初め	冬	15.11.10
632	ヘッドライト灯り始めり冬の雁	冬の雁	冬	15.11.10
633	鳴き上る冬の雲雀や取水堰	冬雲雀	冬	15.11.11
634	乗越を少し乱れて冬の雁	冬の雁	冬	15.11.11
635	冬うらら十七音の叙景かな	冬うらら	冬	15.11.11
636	庭に来し寒禽何を告げゐしや	寒禽	冬	15.11.11
637	寒禽と囀り交す笛欲しき	寒禽	冬	15.11.11
638	情報を交し飛び去る冬の鳥	冬の鳥	冬	15.11.11
639	手短に囀り交し去る寒禽	寒禽	冬	15.11.11
640	里山の静寂切裂く冬の鵙	冬の鵙	冬	15.11.11
641	冬夕焼け鵙一閃の声残す	冬夕焼け・鵙	冬	15.11.11
642	空焦がす入日の刻や冬の鵙	冬の鵙	冬	15.11.11
643	余命減るほどに気忙し冬の鵙	冬の鵙	冬	15.11.11
644	秋ぐみの色浮き立たす能登入日	茱萸	秋	15.11.11
645	雪吊や雪はなくとも一風情	雪吊	冬	15.11.11
646	たわわなる柿の木残る廃校舎	柿	秋	15.11.11
647	石蕗の花年越す蝶を止まらせて	石蕗の花	冬	15.11.12
648	御命講コーヒー啜りピザを食む	御命講	秋	15.11.12
649	お会式の団扇太鼓や人洪水	お会式	秋	15.11.12
650	日蓮忌うちわ太鼓のカーニバル	日蓮忌	秋	15.11.12
651	水圧で泥跳ね上げて蓮根掘り	蓮根掘る	冬	15.11.12
652	河原から空に落ち込む冬雲雀	冬雲雀	冬	15.11.12
653	洗はれて美脚に変る大根かな	大根	冬	15.11.12
654	青首のずらりと並ぶ大根畑	大根	冬	15.11.12
655	凍蝶に触れんとすれば飛びにけり	凍蝶	冬	15.11.12
656	凍ててなほ春待つ気力立羽蝶	凍蝶	冬	15.11.12
657	名を変へて総身喰はるる海鼠かな	海鼠	冬	15.11.12
658	このわたこのこ総身喰はるる海鼠かな	海鼠	冬	15.11.12
659	寄鍋に箸突き合ふ三世代	寄鍋	冬	15.11.12
660	寄鍋に蟹牡蠣鱈の寄り合へり	寄鍋	冬	15.11.12
661	寄鍋の蓋を開ければ滾りをり	寄鍋	冬	15.11.12
662	寄鍋を囲めばみんな声高に	寄鍋	冬	15.11.12
663	寄鍋を囲めば誰も饒舌に	寄鍋	冬	15.11.12
664	綿虫の吹き出て来たる夕茜	綿虫	冬	15.11.13
665	賑やかに寄鍋突くしゃれこうべ	寄鍋	冬	15.11.13
666	理科室の骨かたかたと鳴る寒夜	寒夜	冬	15.11.13
667	巡回の理科室の骨鳴る寒夜	寒夜	冬	15.11.13
668	凩や理科室の骨鳴りにけり	凩	冬	15.11.13
669	雲低く垂れ込めし朝冬めきぬ	冬めく	冬	15.11.13
670	寒波説く女性予報士夏姿	寒波	冬	15.11.13
671	目の合へば上から目線寒鴉	寒鴉	冬	15.11.13
672	小馬鹿とは電柱にゐる寒鴉	寒鴉	冬	15.11.13
673	小馬鹿とは人を見返す寒鴉	寒鴉	冬	15.11.13
674	小馬鹿とは人見返せる寒鴉	寒鴉	冬	15.11.13
675	ぱらぴんぽぴらぽらぽんぴ冬うらら	寒鴉	冬	15.11.13
676	三毛の夢ぱらぴらぽんぴ冬うらら	寒鴉	冬	15.11.13
677	パラポポねピピ了解と鷦鷯（みそさざい）	鷦鷯	冬	15.11.13
678	幼くて逝きし弟雪ぼたる	雪蛍	冬	15.11.14
679	ふんわりと真綿まとひて雪婆（ゆきばんば）	雪婆	冬	15.11.14
680	綿虫を動かす脳と言ふ神秘	綿虫	冬	15.11.14
681	木を移る指令出たるや雪蛍	雪蛍	冬	15.11.14
682	綿虫のコンピューターはナノサイズ	綿虫	冬	15.11.14
683	綿虫のふわりと見へて翅速し	綿虫	冬	15.11.14
684	儚さをまとひしたたか雪ばんば	雪婆	冬	15.11.14
685	無灯火の対向車あり暮早し	暮早し	冬	15.11.14
686	短日や練習止めの笛響く	短日	冬	15.11.14
687	暮早し入日のさっと落ちにけり	暮早し	冬	15.11.14
688	暮早し十分過ぎても来ないバス	暮早し	冬	15.11.14
689	暮早し句会終れば居酒屋へ	暮早し	冬	15.11.14
690	暮早し句会終れば蜘蛛の子に	暮早し	冬	15.11.14
691	寄鍋を囲めば誰も火照り顔	寄鍋	冬	15.11.14
692	晩酌と決めて家路の暮早し	暮早し	冬	15.11.14
693	探しものする時間増へ暮早し	暮早し	冬	15.11.14
694	しぐるるや十分待てど来ないバス	時雨	冬	15.11.15
695	しぐるるやバス待つ列はみなスマホ	時雨	冬	15.11.15
696	まだ生きて店に並びし松葉蟹	松葉蟹	冬	15.11.15
697	海鼠好き掴めと言はれ怯えけり	海鼠	冬	15.11.15
698	目の前で切り刻まれし海鼠かな	海鼠	冬	15.11.15
699	怖ろしき仕儀と思ひつ海鼠食む	海鼠	冬	15.11.15
700	坊さんも素知らぬ顔で食む海鼠	海鼠	冬	15.11.15
701	和尚さんが海鼠腸で呑む般若湯	海鼠腸	冬	15.11.15
702	海鼠酢も男も良しと寂聴尼	海鼠酢	冬	15.11.15
703	酢海鼠に海鼠腸海鼠子そろひ喰い	酢海鼠	冬	15.11.15
704	泥吐ひて身を清めけり寒蜆	寒蜆	冬	15.11.15
705	しみじみと朝餉の汁や寒蜆	寒蜆	冬	15.11.15
706	秋天に描く楕円や五郎丸	秋天	秋	15.11.16
707	五郎丸ポーズの子らや冬うらら	冬麗	冬	15.11.16
708	冬うらら祈りのキッカー五郎丸	冬麗	冬	15.11.16
709	走りてはじゃれ合ひ走る冬の子ら	冬	冬	15.11.16
710	寒晴や遠くに響く飛機の音	寒晴	冬	15.11.16
711	寒晴や般若心経高らかに	寒晴	冬	15.11.16
712	冬うらら路地ゆっくりと灯油売り	冬麗	冬	15.11.16
713	冬耕の畑を見回る賢治かな	冬耕	冬	15.11.16
714	冬耕の土寄せ黙と葱の畝	冬耕	冬	15.11.16
715	冬耕や葱に味噌付け丸かじり	冬耕	冬	15.11.16
716	冬耕の人影のびる日暮れかな	冬耕	冬	15.11.16
717	二股の大根抜けりリアルなり	冬耕	冬	15.11.16
718	蓮根掘り妻に渡せば酢蓮の香	蓮根掘り	冬	15.11.16
719	ISの狂気が走るパリ初冬	初冬	冬	15.11.16
720	寒紅を差して唇擦り合はす	寒紅	冬	15.11.16
721	二股の大根妖し身の捩り	大根	冬	15.11.16
722	身悶える二股大根抜きにけり	大根	冬	15.11.16
723	冬晴や路地ゆっくりと灯油売り	冬晴	冬	15.11.16
724	冬晴や遠くに響く飛機の音	冬晴	冬	15.11.16
725	さらさらと落葉降り継ぐ旅の宿	落葉	冬	15.11.16
726	寅さん像雪駄に絡む落葉かな	落葉	冬	15.11.16
727	とんでもないこと起こりそふ大白鳥	白鳥	冬	15.11.17
728	山姥の琴乱調や冬紅葉	冬紅葉	冬	15.11.17
729	吊り橋の大揺れ小揺れ冬紅葉	冬紅葉	冬	15.11.17
730	鯛焼は尻尾から食む習ひかな	鯛焼	冬	15.11.17
731	鯛焼の評価の決め手尻尾の餡	鯛焼	冬	15.11.17
732	鯛焼の尻尾に滲む餡の色	鯛焼	冬	15.11.17
733	泳がずに鯛焼どたり皿の上	鯛焼	冬	15.11.17
734	鯛焼はけふも焼かれて海思ふ	鯛焼	冬	15.11.17
735	今川焼男はがぶりかぶりつく	今川焼	冬	15.11.17
736	今川焼二つに割って食む女性	今川焼	冬	15.11.17
737	たこ焼の折熱々の十個入り	たこ焼	冬	15.11.17
738	太鼓焼手に温かき家路かな	太鼓焼	冬	15.11.17
739	焼芋はくりより旨し十三里	焼芋	冬	15.11.17
740	焼芋に古新聞のよく似合ふ	焼芋	冬	15.11.17
741	鮟鱇の肝ほっくりと食みにけり	鮟鱇	冬	15.11.17
742	煮え立てば身の姿消す鮟鱇鍋	鮟鱇	冬	15.11.17
743	煮え立てば身の不明なる鮟鱇鍋	鮟鱇	冬	15.11.17
744	白鳥を背に恋人たちの自分撮り	白鳥	冬	15.11.17
745	白鳥の隙間を埋めて鴨浮ぶ	白鳥	冬	15.11.17
746	白鳥と白鳥の間を埋める鴨	白鳥	冬	15.11.17
747	飛び立たん風情を見せて大白鳥	白鳥	冬	15.11.17
748	鴨配し貫禄見せる大白鳥	白鳥	冬	15.11.17
749	白鳥が鴉を呑めば大事件	白鳥	冬	15.11.17
750	山茶花のてんでんに散る民主主義	山茶花	冬	15.11.17
751	山茶花のてんでんに散るほどのよさ	山茶花	冬	15.11.17
752	のびやかに詠まんとすれば冬雲雀	冬雲雀	冬	15.11.17
753	御仏のソフト目線や冬雲雀	冬雲雀	冬	15.11.17
754	御仏の目線柔らに冬雲雀	冬雲雀	冬	15.11.17
755	大白鳥鴨と浮き寝の夢分かつ	白鳥	冬	15.11.18
756	大白鳥鴨と浮き寝を分かちをり	白鳥	冬	15.11.18
757	山茶花の花びら散らすほどのよさ	山茶花	冬	15.11.18
758	暖かき日もありてよし十一月	十一月	冬	15.11.18
759	温き朝十一月も豊かなり	十一月	冬	15.11.18
760	頷きぬ十一月の豊かさに	十一月	冬	15.11.18
761	神迎へ終へし男ら連れ小便	神迎	冬	15.11.18
762	夜半の雨上り靄立つ小六月	小六月	冬	15.11.18
763	とことこと野鼠走り神迎	神迎	冬	15.11.18
764	小春日や朝市仕切る能登お婆	小春日	冬	15.11.18
765	陶器市立ちし公園小六月	小六月	冬	15.11.18
766	五郎丸ポーズも混じる初詣	初詣	新年	15.11.19
767	五郎丸ポーズもありし初詣	初詣	新年	15.11.19
768	五郎丸ポーズも見へし初詣	初詣	新年	15.11.19
769	五郎丸ポーズで拝む初日かな	初日	新年	15.11.19
770	五郎丸ポーズ見上ぐる初日かな	初日	新年	15.11.19
771	朝日差すゴールポストの淑気かな	淑気	新年	15.11.19
772	朝日差すゴールポストに淑気満つ	淑気	新年	15.11.19
773	男坂上り八十路の初詣	初詣	新年	15.11.19
774	薄気味の悪き鶏頭燃へ咲きぬ	鶏頭花	秋	15.11.19
775	紅の濃き熟女と見れば鶏頭花	鶏頭花	秋	15.11.19
776	脂粉の香鼻つく女鶏頭花	鶏頭花	秋	15.11.19
777	鶏頭の黄花鮮やか卓飾る	鶏頭花	秋	15.11.19
778	限界の集落守る鶏頭花	鶏頭花	秋	15.11.19
779	供花統べて紅（くれない）凜と鶏頭花	鶏頭花	秋	15.11.19
780	四温ならみんな出て来る老人会	三寒四温	冬	15.11.19
781	出かける日三寒となる身の不運	三寒四温	冬	15.11.19
782	三寒のありて嬉しい四温かな	三寒四温	冬	15.11.19
783	三寒に耐へて嬉しい四温かな	三寒四温	冬	15.11.19
784	縁側で三毛の伸びする四温かな	三寒四温	冬	15.11.19
785	寒鴉悪さたくらむ目線なり	寒鴉	冬	15.11.20
786	寒鴉なんぞ言ひたきことやある	寒鴉	冬	15.11.20
787	悪知恵の塊かとも寒鴉	寒鴉	冬	15.11.20
788	ぷいと横向いて飛び立つ寒鴉	寒鴉	冬	15.11.20
789	ハケの径降りて川辺に寒雀	寒雀	冬	15.11.20
790	めずらしや足止めて見る寒雀	寒雀	冬	15.11.20
791	群れなして腹満たしをる寒雀	寒雀	冬	15.11.20
792	薄ら日の川辺百羽の寒雀	寒雀	冬	15.11.20
793	坪庭を埋めて朝餉の寒雀	寒雀	冬	15.11.20
794	一羽飛んですべてが続く寒雀	寒雀	冬	15.11.20
795	落葉の陰ひそと小さき冬菫	寒雀	冬	15.11.20
796	冬菫ひそと隠せし落葉かな	冬菫・落葉	冬	15.11.20
797	今川焼二つに割れば湯気ゆらり	今川焼	冬	15.11.20
798	鯛焼きの泳ぎ出す前尾を食めり	鯛焼	冬	15.11.20
799	泳ぎ出す前に鯛焼き食まれけり	鯛焼	冬	15.11.20
800	鯛焼きの熱々を食むまず尾から	鯛焼	冬	15.11.20
801	吊り橋の揺れ破調なり冬紅葉	冬紅葉	冬	15.11.20
802	吊り橋の破調で揺れて冬紅葉	冬紅葉	冬	15.11.20
803	吊り橋の縦に揺れをり冬紅葉	冬紅葉	冬	15.11.20
804	寒鴉悪さたくらむ目付なり	寒鴉	冬	15.11.20
805	薄ら日の川辺啄む寒雀	寒雀	冬	15.11.20
806	霜枯れの野道に小さき菫草	霜枯れ・冬菫	冬	15.11.21
807	冬の雁つばらな影を田に落とす	冬の雁	冬	15.11.21
808	山茶花のひと片ずつが散り敷けり	山茶花	冬	15.11.21
809	山茶花のひとひら花を離れ舞ふ	山茶花	冬	15.11.21
810	山茶花のひとひら花を離れけり	山茶花	冬	15.11.21
811	山茶花を活けたる床は花筵	山茶花	冬	15.11.21
812	山茶花を活ければ早やも花筵	山茶花	冬	15.11.21
813	柊の花零るれば香もこぼる	柊	冬	15.11.21
814	柊の花を零せば香もこぼる	柊	冬	15.11.21
815	柊の花屑の先汐見坂	柊	冬	15.11.21
816	柊の花屑匂ふ雅楽寮	柊	冬	15.11.21
817	柊の花吹き寄するにはたづみ	柊	冬	15.11.21
818	柊の花を吹き寄せにはたづみ	柊	冬	15.11.21
819	花八つ手庭を飾りし白珊瑚	花八手	冬	15.11.21
820	冬晴れや富士黒焦げとなる没日（いりひ）	冬晴	冬	15.11.21
821	冬晴れや富士黒焦げに夕茜	冬晴	冬	15.11.21
822	冬晴れやバックスキンの靴を履く	冬晴	冬	15.11.21
823	冬晴れやバックスキンの靴で出る	冬晴	冬	15.11.21
824	万古は卑語女陰は古事記冬うらら	冬麗	冬	15.11.21
825	句会をば叩き直して冬用意	冬用意	冬	15.11.21
826	点盛りの佳句寒々と落葉飛ぶ	落葉	冬	15.11.21
827	煮大根湯気立ち上る夕餉かな	煮大根	冬	15.11.22
828	煮大根烏賊の味吸ひ艶めけり	煮大根	冬	15.11.22
829	抜くたびに頬ふくらませ大根引く	大根引く	冬	15.11.22
830	大根洗ひ美脚を運ぶ猫車	大根洗ひ	冬	15.11.22
831	蕪畑拾ふがごとく抜きにけり	蕪	冬	15.11.22
832	ひょいひょいと片手で引きし蕪畑	蕪	冬	15.11.22
833	早よ抜けと畝に浮かびし蕪かな	蕪	冬	15.11.22
834	厨から湯気立ち上る蕪汁	蕪汁	冬	15.11.22
835	京料理うむを言はさぬ蕪蒸し	蕪蒸し	冬	15.11.22
836	白菜漬ぱりぱりと食む季節なり	白菜漬	冬	15.11.22
837	白菜漬け七味を掛けてそれでよし	白菜漬	冬	15.11.22
838	熱々がすべてを許す根深汁	根深汁	冬	15.11.22
839	葱一本貧しき菜を補へり	葱	冬	15.11.23
840	刻み葱香を加へたる握り鮓	葱	冬	15.11.23
841	香林坊じぶ煮を頼む冬の旅	冬	冬	15.11.23
842	解禁のボジョレー持ち込みおでん酒	おでん	冬	15.11.23
843	解禁のボジョレーを呑むおでん鍋	おでん	冬	15.11.23
844	けつまずく吾に合せる寒き影	寒い	冬	15.11.23
845	勤労をせぬ老ひの身の旗日かな	勤労感謝の日	冬	15.11.23
846	勤労をせぬ老ひの身も感謝の日	勤労感謝の日	冬	15.11.23
847	山に咲き海辺に咲けり石蕗の花	石蕗の花	冬	15.11.23
848	嫌ひとは好きと言ふこと石蕗の花	石蕗の花	冬	15.11.23
849	外人も熊手買ふなり酉の市	熊手・酉の市	冬	15.11.23
850	達磨忌や壁と九年のにらめっこ	達磨忌	冬	15.11.23
851	感謝する仕事の欲しい旗日かな	勤労感謝の日	冬	15.11.23
852	職無くば何で勤労感謝の日	勤労感謝の日	冬	15.11.23
853	菊膾もってのほかの旨さかな	菊膾	冬	15.11.23
854	赦せないからこそ許す冬銀河	冬銀河	冬	15.11.23
855	勤労を離れ幾歳感謝の日	勤労感謝の日	冬	15.11.24
856	テロと言ふ悪疫末世三の酉	三の酉	冬	15.11.24
857	千年の恨みてふテロ熊手買ふ	熊手	冬	15.11.24
858	蕪村忌やわれは蕪村にあらずして	蕪村忌	冬	15.11.24
859	昨日今日詠みたる風や蕪村の忌	蕪村忌	冬	15.11.24
860	蕪村忌や画中に遊ぶ心地して	蕪村忌	冬	15.11.24
861	冬ざれの薬草園や山茱萸の実	冬ざれ・山茱萸の実	冬	15.11.24
862	黄葉の葉陰に赤き山茱萸の実	黄葉	冬	15.11.24
863	秋天へ木立ダリアの背伸びかな	秋天	冬	15.11.24
864	てきぱきと鳶の手になる冬構	冬構	冬	15.11.24
865	仕事ぶりいなせに進む冬構	冬構	冬	15.11.24
866	裏路地の点滅つづく冬灯かな	冬灯	冬	15.11.24
867	裏路地の切れかかりたる冬灯かな	冬灯	冬	15.11.24
868	薄紅を刷きし湯引きの北寄貝	北寄貝	冬	15.11.24
869	浮雲に似て動きしは浮寝鳥	浮寝鳥	冬	15.11.24
870	浮寝鳥頸羽に埋め夢路かな	浮寝鳥	冬	15.11.24
871	浮寝鳥不寝番置き夢の中	浮寝鳥	冬	15.11.24
872	飛び立つも来るもある池浮寝鳥	浮寝鳥	冬	15.11.24
873	日当たりへ夢路で辿る浮寝鳥	浮寝鳥	冬	15.11.24
874	浮寝やめ川辺で眠る鴨の列	浮寝鳥・鴨	冬	15.11.24
875	あっち向きこっち向きあり浮寝鳥	浮寝鳥	冬	15.11.24
876	イーゼルを立てて描く人浮寝鳥	浮寝鳥	冬	15.11.25
877	冬晴れや富士黒焼きにする入日	冬晴	冬	15.11.25
878	桐の実の鈴振る音や蔵の屋根	桐の実	冬	15.11.25
879	冬晴やトランペットの音髙し	冬晴	冬	15.11.25
880	冬晴や富士の白塗り急ピッチ	冬晴	冬	15.11.25
881	冬晴や富士白塗りの女形へと	冬晴	冬	15.11.25
882	冬うらら富士白塗りの女形かな	冬晴	冬	15.11.25
883	冬晴やベンチ動かぬ髭男	冬晴	冬	15.11.25
884	冬晴やベンチの老婆まだゐたり	冬晴	冬	15.11.25
885	寒晴や男女無言の喫煙所	寒晴	冬	15.11.25
886	寒晴や異界ムードの喫煙所	寒晴	冬	15.11.25
887	木の葉髪てっぺん禿たと鳥の声	木の葉髪	冬	15.11.25
888	兼題を携へ句会小夜時雨	小夜時雨	冬	15.11.25
889	北窓を塞ぎて能登の一季節	北窓塞ぐ	冬	15.11.25
890	サッシ窓目貼の労を肩代はり	目貼	冬	15.11.25
891	それとこれ指さし頼むおでん酒	おでん	冬	15.11.26
892	それとこれ指さし始むおでん酒	おでん	冬	15.11.26
893	すじ大根あとはお任せおでん酒	おでん	冬	15.11.26
894	原節子顔の女将やおでん酒	おでん	冬	15.11.26
895	一つずつ席を譲っておでん酒	おでん	冬	15.11.26
896	おでん屋台ときに落葉も浮びけり	おでん・落葉	冬	15.11.26
897	おでん君てふ漫画キャラ食ふ鍋家族	おでん	冬	15.11.26
898	おでん君てふ漫画キャラ食ふ鍋団欒	おでん	冬	15.11.26
899	ボジョレーも駆け付け来たりおでん鍋	おでん	冬	15.11.26
900	熊狐狸に貉山眠る	山眠る	冬	15.11.26
901	熊狐狸を抱いて山眠る	山眠る	冬	15.11.26
902	山々は眠り浅間の寝息洩る	山眠る	冬	15.11.26
903	寝ずの番浅間に委ね山眠る	山眠る	冬	15.11.26
904	綿虫を吹き出してゐる夕茜	綿虫	冬	15.11.26
905	ヌーボーの盃を重ねる憂国忌	憂国忌	冬	15.11.26
906	ヌーボーのワインレッドや憂国忌	憂国忌	冬	15.11.26
907	冬木の芽見つけて嬉し言祝げり	冬木の芽	冬	15.11.26
908	冬木の芽生きる力の清々し	冬木の芽	冬	15.11.26
909	君がゐて僕がゐる街冬木の芽	冬木の芽	冬	15.11.26
910	冬萌や準備おさおさあ怠らず	冬萌	冬	15.11.26
911	枯木立寄りて触るれば早や冬芽	冬芽	冬	15.11.26
912	綿虫の眼鏡に触れて身罷りぬ	綿虫	冬	15.11.27
913	大綿の翅懸命に羽搏けり	大綿	冬	15.11.27
914	雪ぼたる大編隊の羽音かな	雪蛍	冬	15.11.27
915	冬帽子枯木に取られ後戻り	冬帽子	冬	15.11.27
916	老爺の顔映す硝子戸冬帽子	冬帽子	冬	15.11.27
917	冬帽のすぐ脱げ落ちる畑仕事	冬帽子	冬	15.11.27
918	冬帽子被れば温き薄毛かな	冬帽子	冬	15.11.27
919	水槽の底で海鼠の沈思かな	海鼠	冬	15.11.27
920	男根の縮みし様の海鼠をり	海鼠	冬	15.11.27
921	やすやすと生きて切らるる海鼠かな	海鼠	冬	15.11.27
922	赤貝のはしっと擲たれ握り鮓	赤貝	冬	15.11.27
923	河豚提灯くぐれば豪華河豚尽し	河豚	冬	15.11.27
924	短日の浅草走る人力車	短日	冬	15.11.27
925	短日や人波減らぬ雷門	短日	冬	15.11.27
926	店ごとに意匠競ひし蕪蒸し	蕪	冬	15.11.27
927	煮え立てば骨の目立ちし鮟鱇鍋	鮟鱇鍋	冬	15.11.27
928	煮え立てば骨目立ちたる鮟鱇鍋	鮟鱇鍋	冬	15.11.27
929	眼の端に入れつ気忙し冬の菊	冬菊	冬	15.11.27
930	上水のをちこち赤き青木の実	青木の実	冬	15.11.27
931	冬草に混りほほ笑む菫草	冬草・冬菫	冬	15.11.27
932	冬草に混りほほ笑む菫草	冬草・冬菫	冬	15.11.27
933	冬草に守られ小さき菫草	冬草・冬菫	冬	15.11.27
934	鷦鷯（みそさざい）ピッコロ吹けば暮れなずむ	鷦鷯	冬	15.11.27
935	凍蝶のまだ跳ぶ力残しをり	凍蝶	冬	15.11.27
936	残光の潜みし後に冬の蝶	冬蝶	冬	15.11.27
937	吹き溜まる雪かと寄れば朴落葉	朴落葉	冬	15.11.28
938	残雪と紛ふ葉裏の朴落葉	朴落葉	冬	15.11.28
939	どれもみな葉裏を空に朴落葉	朴落葉	冬	15.11.28
940	三の酉若き車夫引く人力車（三の酉１１．２９．）	三の酉	冬	15.11.28
941	三の酉女車夫引く人力車	三の酉	冬	15.11.28
942	三の酉人波よぎる人力車	三の酉	冬	15.11.28
943	参道に異国語の飛ぶ三の酉	三の酉	冬	15.11.28
944	熊手買ひ手締めではしゃぐ異国客	熊手	冬	15.11.28
945	マフラーにミニ熊手挿し二人連れ	熊手	冬	15.11.28
946	光陰は矢となりけふは三の酉	三の酉	冬	15.11.28
947	人波の絶えぬ参道三の酉	三の酉	冬	15.11.28
948	ミニ熊手捌けて残るは大熊手	熊手	冬	15.11.28
949	風に刺あるかのごとき冬の暮	冬の暮	冬	15.11.28
950	険のある風に変りし冬の暮	冬の暮	冬	15.11.28
951	病む遊女投げ込み寺や冬日没る	冬日没る	冬	15.11.28
952	病む遊女投げ込み寺や三の酉	三の酉	冬	15.11.29
953	わが狭庭十両ばかり藪柑子	藪柑子	冬	15.11.29
954	冬菫日向に行けずふるえをり	冬菫	冬	15.11.29
955	露集め色を付けたか龍の玉	龍の玉	冬	15.11.29
956	艶やかな葉に流れ星石蕗の花	石蕗の花	冬	15.11.29
957	枯芝でひと遊びして散歩犬	枯芝	冬	15.11.29
958	麦の芽の列幾条も緑成す	麦の芽	冬	15.11.29
959	新聞に泥葱包み日暮れ道」	葱	冬	15.11.29
960	白菜の一夜漬け出る朝の卓	白菜	冬	15.11.29
961	冬菜畑夕日に畝の影黒し	冬菜	冬	15.11.29
962	枯菊の一括りされ農の庭	枯菊	冬	15.11.29
963	霜枯れの菜畑沿いに朝日差す	霜枯れ	冬	15.11.29
964	浅草をめぐり仕上げに三の酉	三の酉	冬	15.11.29
965	三の酉詣での帰途は神谷バー	三の酉	冬	15.11.29
966	一葉舟流す大川三の酉（台東区竜泉・一葉記念館で）	三の酉	冬	15.11.29
967	三の酉見返り柳見て帰る	三の酉	冬	15.11.29
968	人波の一人となりて三の酉	三の酉	冬	15.11.29
969	あやかしの安直がよし大熊手	熊手	冬	15.11.29
970	売れ残る熊手の行方気にかかる	熊手	冬	15.11.29
971	大熊手担ぎどや顔三の酉	三の酉	冬	15.11.29
972	どや顔で親爺担ぎし大熊手	熊手	冬	15.11.29
973	信心と言ふ深味なき酉の市	酉の市	冬	15.11.29
974	神様も浮かれてみせる熊手かな	熊手	冬	15.11.29
975	惜し気なく打ち捨てて行く去年熊手	熊手	冬	15.11.29
976	浅草を騒然とさせ三の酉	三の酉	冬	15.11.29
977	まがい物ゆへに高嶺の大熊手	熊手	冬	15.11.29
978	まがい物満艦飾の大熊手	熊手	冬	15.11.29
979	まがいもの飾り立てたる大熊手	熊手	冬	15.11.30
980	賽銭は硬貨ばかりの三の酉	三の酉	冬	15.11.30
981	身動きのならぬ人波三の酉	三の酉	冬	15.11.30
982	腹くちて池のをちこち浮寝鳥	浮寝鳥	冬	15.11.30
983	短日を持て余しをり老い二人	短日	冬	15.11.30
984	どこからか狭庭に一枚朴落葉	朴落葉	冬	15.11.30
985	短日や音なく暮るる老いの町	短日	冬	15.11.30
986	冬晴れの靑深き果て闇想ふ	冬晴	冬	15.11.30
987	葱一本買へて雑炊囲む膳	葱	冬	15.11.30
988	葱浮ぶ汁に幸せ敗戦期	葱	冬	15.11.30
989	あちこちの呼び止む声や納豆売り	納豆	冬	15.11.30
990	風呂吹きを振舞ふ子規の句会かな	風呂吹	冬	15.12.1
991	離水する百の水鳥露しずく	水鳥	冬	15.12.1
992	番い鴨夫婦喧嘩のありやいな	鴨	冬	15.12.1
993	頭掻き尻掻き猿の日向ぼこ	日向ぼこ	冬	15.12.1
994	点盛りの無声免れおでん酒	おでん	冬	15.12.1
995	軒深く日の差し込める十二月	十二月	冬	15.12.1
996	庇裏日の波揺らすひばち池	火鉢	冬	15.12.1
997	枯萩の刈られて変る風の道	枯萩	冬	15.12.1
998	枯茨赤い実にレンズ寄せれば引っ掻けり	枯茨	冬	15.12.1
999	義士の日や旧吉良邸は井戸一つ	義士の日	冬	15.12.1
1000	風呂吹きを振舞ふ子規の句会かな	風呂吹	冬	15.12.1

♪ＢＧＭ：Bach［The Goldberg Variations 21］arranged by Mari Kumamoto♪

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