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鈴童の遊び

No.	句	季　　語	季	作句日
1	流星の降り続きたる地球かな	流れ星	夏	17.7.16.
2	縄文の先祖も見たる流れ星	流れ星	夏	17.7.16.
3	流れたよまた流れ星子らの声	流れ星	夏	17.7.16.
4	雨戸閉めかけて眼にせし流れ星	流れ星	夏	17.7.16.
5	満天の星からついと流れ星	流れ星	夏	17.7.16.
6	幾筋も斜線を引きて流れ星	流れ星	夏	17.7.16.
7	開放のカメラで写す流れ星	流れ星	夏	17.7.16.
8	荒梅雨や溶けし炉心の火の呻き	荒梅雨	夏	17.7.16.
9	荒梅雨や溶けし炉心にのたうつ火	荒梅雨	夏	17.7.16.
10	船虫の縺れも見せずひた散れり	船虫	夏	17.7.16.
11	本堂のジャズコンサート南風吹く	南風	夏	17.7.17.
12	ヒップライン決めしパンツや南風	南風	夏	17.7.17.
13	時の鐘鳴りし小江戸や南風吹く	南風	夏	17.7.17.
14	レジ袋舞ひ上げ遊ぶ南風かな	南風	夏	17.7.17.
15	鯵フライ揚げる親爺の玉の汗	汗	夏	17.7.17.
16	ククルクク騒ぐ鳩小屋南風吹く	南風	夏	17.7.17.
17	エアコンを効かせて走る納涼船	納涼	夏	17.7.17.
18	欄干に凭れ納涼（すずみ）し吾妻橋	納涼	夏	17.7.17.
19	採れ立てのトマト齧れば日の匂ひ	トマト	夏	17.7.17.
20	露濡れの完熟トマトがぶり食ふ	トマト	夏	17.7.17.
21	採れ立てのトマトを嗅げば日の匂ひ	トマト	夏	17.7.17.
22	捥いで食ふ完熟トマトほの温し	トマト	夏	17.7.17.
23	日向臭き昔の味のトマトかな	トマト	夏	17.7.17.
24	南風吹く海をイエローサブマリン	トマト	夏	17.7.17.
25	碁敵の持参のトマト共に食ふ	トマト	夏	17.7.17.
26	トマト下げ碁敵の来し昼下がり	トマト	夏	17.7.17.
27	トマト下げ碁敵来たり昼下がり	トマト	夏	17.7.17.
28	北にまで標的にされ沖縄忌	沖縄忌	夏	17.7.17.
29	沖縄は醜の御楯か慰霊の日	慰霊の日	夏	17.7.17.
30	戦後なほ踏まれ続けて沖縄忌	沖縄忌	夏	17.7.17.
31	踏んづけられ踏んづけられて慰霊の日	慰霊の日	夏	17.7.17.
32	島津以来生贄の島沖縄忌	沖縄忌	夏	17.7.17.
33	時の鐘響く小江戸や南風吹く	南風	夏	17.7.17.
34	月明にふはらふはらと合歓の花	合歓の花	夏	17.7.18.
35	路地裏はうすべに滲む合歓の花	合歓の花	夏	17.7.18.
36	あわあわとしかも確かに合歓の花	合歓の花	夏	17.7.18.
37	蜜吸ひの虫らし影や合歓咲けり	合歓の花	夏	17.7.18.
38	皇后の生家跡なり合歓の花	合歓の花	夏	17.7.18.
39	足を止め頷く女人合歓の花	合歓の花	夏	17.7.18.
40	薄紅の靄とも見えて合歓の道	合歓の花	夏	17.7.18.
41	合歓の花咲き連なりて紅の靄	合歓の花	夏	17.7.18.
42	幼子のそっと触れをり合歓の花	合歓の花	夏	17.7.18.
43	花合歓や小児専門まり子歯科	合歓の花	夏	17.7.18.
44	花合歓や子ども専門まり子歯科	合歓の花	夏	17.7.18.
45	風凪いで動くものなし合歓の花	合歓の花	夏	17.7.18.
46	南風吹き街はちんたらふたらかな	南風	夏	17.7.18.
47	朝露をどれも載せたる夏椿	夏椿	夏	17.7.18.
48	夏椿数へし落花五つほど	夏椿	夏	17.7.18.
49	箒目の上に落花の夏椿	夏椿	夏	17.7.18.
50	夜更しを隣家と競ふ秋燈 （課題詠投句）	秋燈	夏	17.7.18.
51	秋の燈や部屋の金魚も宵っ張り （同上）	秋燈	夏	17.7.18.
52	雷の鉄槌耳をつんざきぬ	雷	夏	17.7.19.
53	光り鳴りスパーク走るはたた神	はたた神	夏	17.7.19.
54	ばりばりと大気引き裂きはたた神	はたた神	夏	17.7.19.
55	コンセント閃光走る大落雷	落雷	夏	17.7.19.
56	スパークの閃光走る大落雷	落雷	夏	17.7.19.
57	はたた神怒り狂いつ過ぎ行きぬ	はたた神	夏	17.7.19.
58	電気飛び物みな狂ふはたた神	はたた神	夏	17.7.19.
59	弱きところばかり狙うやはたた神	はたた神	夏	17.7.19.
60	インフラをずたずたにしてはたた神	はたた神	夏	17.7.19.
61	迅雷になす術もなく怯へけり	迅雷	夏	17.7.19.
62	理不尽を遺して去れりはたた神	はたた神	夏	17.7.19.
63	風鈴が騒音になる都会かな	風鈴	夏	17.7.19.
64	風鈴がが騒音だとさ都会村	風鈴	夏	17.7.19.
65	風鈴に１１０番の電話鳴る	風鈴	夏	17.7.19.
66	白鳳戦座布団飛びし名古屋場所 （御嶽海初金星）	名古屋場所	夏	17.7.19.
67	佃島長屋路地裏軒忍	軒忍	夏	17.7.19.
68	軒忍ぽとりぽとりと垂る雫	軒忍	夏	17.7.19.
69	茄子漬を丸ごときゅうと齧りけり	茄子	夏	17.7.19.
70	畑採りの胡瓜しごひてかりと食む	胡瓜	夏	17.7.19.
71	塩ふりてかりこりぽりと胡瓜食む	胡瓜	夏	17.7.19.
72	ぱりと齧りぽりぽりと食む胡瓜かな	胡瓜	夏	17.7.19.
73	雷が八つ当たりして過ぎにけり	雷	夏	17.7.20.
74	雷のどんがらがんと八つ当たり	雷	夏	17.7.20.
75	はたた神街蹴散らしてあばよかな	はたた神	夏	17.7.20.
76	スパークの青き閃光大落雷	落雷	夏	17.7.20.
77	落雷禍とほほとほほと後始末	落雷	夏	17.7.20.
78	雹交へどんがらがらとはたた神	雹・はたた神	夏	17.7.20.
79	荒々し落雷の果て梅雨明けり	落雷・梅雨明け	夏	17.7.20.
80	落雷を置き土産して梅雨明けり	落雷・梅雨明け	夏	17.7.20.
81	花合歓の呆け顔して咲きにけり	花合歓	夏	17.7.20.
82	足止めてふむふむと見る合歓の花	合歓の花	夏	17.7.20.
83	チアリーダーみんな臍出し合歓の花	合歓の花	夏	17.7.20.
84	落雷を土産に残し梅雨明けり	落雷・梅雨明け	夏	17.7.21.
85	ポストまで鍔広帽にサングラス	サングラス	夏	17.7.21.
86	スクーター乗りし墨染めサングラス	サングラス	夏	17.7.21.
87	サングラスかけて作務する青年僧	サングラス	夏	17.7.21.
88	三回転五歩直進の西瓜割	西瓜割	夏	17.7.21.
89	直進し蹴躓きたる西瓜割	西瓜割	夏	17.7.21.
90	歓声に疑心暗鬼の西瓜割	西瓜割	夏	17.7.21.
91	円陣が左右に逃げる西瓜割	西瓜割	夏	17.7.21.
92	一撃で砂地に飛び散る大西瓜	西瓜	夏	17.7.21.
93	踏み出しから逸れて歓声西瓜割	西瓜割	夏	17.7.21.
94	野次に惑ひだんだん逸れる西瓜割	西瓜割	夏	17.7.21.
95	正眼に構へそろりと西瓜割	西瓜割	夏	17.7.21.
96	岩魚尽し宿の亭主の釣り談義	岩魚	夏	17.7.21.
97	山の宿亭主の釣りし岩魚食ふ	岩魚	夏	17.7.21.
98	岩魚尽し宿の亭主の釣り談義	岩魚	夏	17.7.21.
99	返り花そのひねくれを喜ばれ	返り花	冬	17.7.21.
100	空蝉に力む形のはいポーズ	空蝉	夏	17.7.22.
101	空蝉の力む姿の軽きこと	空蝉	夏	17.7.22.
102	百五歳天寿の旅や蝉の殻 （日野原重明師7.18．逝く）	蝉の殻	夏	17.7.22.
103	蝉の殻遺し旅立つ百五歳	蝉の殻	夏	17.7.22.
104	百五歳老師旅立ち梅雨明けり	梅雨明け	夏	17.7.22.
105	梅雨明けや老師旅立つ百五歳	梅雨明け	夏	17.7.22.
106	梅雨明けやいのちを説きし老師逝く	梅雨明け	夏	17.7.22.
107	空蝉の軽きに撓る大葉かな	空蝉	夏	17.7.22.
108	空蝉の軽きに撓る葉のありき	空蝉	夏	17.7.22.
109	空蝉の軽きに撓る葉の不思議	空蝉	夏	17.7.22.
110	脱殻の主かと聴きし蝉の声	脱殻	夏	17.7.22.
111	たかがトマトされどトマトや蕃茄の字	トマト（蕃茄）	夏	17.7.22.
112	針山を過りし跡やなめくじり	蛞蝓	夏	17.7.23.
113	蛞蝓と書きなめくじと見比べぬ	蛞蝓	夏	17.7.23.
114	なめくじのやはり塩かけ溶けにけり	蛞蝓	夏	17.7.23.
115	航跡のどれも中断なめくじり	蛞蝓	夏	17.7.23.
116	蛞蝓のぬらりくらりと世を渡る	蛞蝓	夏	17.7.23.
117	蛞蝓のぬらりと渡るこの世かな	蛞蝓	夏	17.7.23.
118	花の頚折りしは憎きなめくじり	蛞蝓	夏	17.7.23.
119	夜の明けるまでの悪さや蛞蝓	蛞蝓	夏	17.7.23.
120	航跡の途中で切れしなめくじら	蛞蝓	夏	17.7.23.
121	韜晦の技見せ消えるなめくじら	蛞蝓	夏	17.7.23.
122	逃げ遅れ日に炙られる蛞蝓	蛞蝓	夏	17.7.23.
123	放ち鶏ひょいと啄む蛞蝓	蛞蝓	夏	17.7.23.
124	地の上にひょこと花咲く茗荷かな	茗荷の花	秋	17.7.24.
125	葉の陰の根方にひそと秋茗荷	秋茗荷（＝茗荷の花）	秋	17.7.24.
126	葉を分けて覗けばほのと咲く茗荷	秋茗荷	秋	17.7.24.
127	ぽつぽつと花の咲き初む茗荷の子	茗荷の子	夏	17.7.24.
128	ひそやかに咲いて萎みぬ花茗荷	茗荷の花	秋	17.7.24.
129	茗荷の子摘めば混じりし淡き花	茗荷の子・茗荷の花	夏・秋	17.7.24.
130	茗荷の子指三本で摘みにけり	茗荷の子	夏	17.7.24.
131	茗荷の子指三本で摘む朝	茗荷の子	夏	17.7.24.
132	朝露に濡れつ摘みけり茗荷の子	茗荷の子	夏	17.7.24.
133	採れ立てが朝餉の膳に茗荷汁	茗荷汁	夏	17.7.24.
134	庭採りの椀に浮かびし茗荷汁	茗荷汁	夏	17.7.24.
135	茗荷の花人知れず咲き萎みけり	茗荷の花	秋	17.7.24.
136	十薬引く地球の鼻毛抜く気分	十薬	夏	17.7.24.
137	十薬や地球の鼻毛抜きにけり	十薬	夏	17.7.24.
138	十薬を抜ひて地球の髭を剃る	十薬	夏	17.7.24.
139	橙の斑を鏤めて黒揚羽	黒揚羽	夏	17.7.25.
140	ひらひらとバスを連れ来る黒揚羽	黒揚羽	夏	17.7.25.
141	群れ舞ふや摩文仁の丘の黒揚羽	黒揚羽	夏	17.7.25.
142	影連れて真昼の路地の黒揚羽	黒揚羽	夏	17.7.25.
143	豹紋蝶去りし狭庭に黒揚羽	黒揚羽	夏	17.7.25.
144	蜜吸ひの花決め兼ねて黒揚羽	黒揚羽	夏	17.7.25.
145	にわか雨どこに消えたか黒揚羽	黒揚羽	夏	17.7.25.
146	失せ物を捜すがごとく黒揚羽	黒揚羽	夏	17.7.25.
147	亀甲の墓からふはり黒揚羽	黒揚羽	夏	17.7.25.
148	スク襲来浜にぎやかに海人	スク（毛魚）	夏	17.7.25.
149	通販で取り寄せて食むスク豆腐	スク	夏	17.7.25.
150	しみじみと沖縄を食むスク豆腐	スク	夏	17.7.25.
151	電子機器がらくたにしてはたた神	はたた神	夏	17.7.26.
152	嫌悪から愛でらる不思議揚羽蝶	揚羽蝶	夏	17.7.26.
153	棚いっぱい育つ楽しみ青葡萄	青葡萄	夏	17.7.26.
154	ハウスの窓開けて風入る青葡萄	青葡萄	夏	17.7.26.
155	灯台のらせん階段青岬	青岬	夏	17.7.26.
156	すくと立つ白き灯台青岬	青岬	夏	17.7.26.
157	灯台の空舞ふとんび夏岬	夏岬	夏	17.7.26.
158	飲用不可立札さみし泉かな	泉	夏	17.7.26.
159	路地なれどお鷹の道の風涼し	涼しい	夏	17.7.26.
160	払子の滝ホップステップ跳んで落つ	滝	夏	17.7.26.
161	払子の滝下る山路の玉紫陽花	滝・紫陽花	夏	17.7.26.
162	浄蓮の滝飛沫舞ひ上げ落ちにけり	滝	夏	17.7.26.
163	浄蓮の滝しぶき舞ひ上げ轟きぬ	滝	夏	17.7.27.
164	浄蓮の滝渓の深きで轟きぬ	滝	夏	17.7.27.
165	乙女らはプールサイドで姦しき	プール	夏	17.7.27.
166	釣堀や竿を片手にスマホ繰る	釣堀	夏	17.7.27.
167	海水浴行きし証しの日焼け顔	海水浴	夏	17.7.27.
168	滝打たる女行者の乳房か透く	滝	夏	17.7.27.
169	恍惚の印結びをり滝行者	滝	夏	17.7.27.
170	原爆忌六日九日忘れまじ	原爆忌	夏	17.7.27.
171	八月や六日九日原爆忌	原爆忌	夏	17.7.27.
172	大罪を犯し認めぬ原爆忌	原爆忌	夏	17.7.27.
173	無念の名刻みし礎沖縄忌	沖縄忌	夏	17.7.27.
174	印結びまなこ見据へし滝行者	滝	夏	17.7.28.
175	滝打たる女行者の身の細き	滝	夏	17.7.28.
176	滝打たる女行者の細身かな	滝	夏	17.7.28.
177	経唱ふ口紫に瀧行者	滝	夏	17.7.28.
178	男らの滝浴び誓ふ鍛錬会	滝	夏	17.7.28.
179	男滝髭の行者の仁王立ち	滝	夏	17.7.28.
180	登り行く山路に響く滝の音	滝	夏	17.7.28.
181	滝しぶき浴びてしたたか羊歯揺るる	滝	夏	17.7.28.
182	払沢の滝四段を右カーブ	滝	夏	17.7.28.
183	経文のピッチ上げゆく滝行者	滝	夏	17.7.28.
184	滝垢離の入口閉ざす南京錠	滝垢離	夏	17.7.28.
185	滝裏を塒に昼寝蚊喰鳥	滝・蚊喰鶏（蝙蝠）	夏	17.7.28.
186	童貞聖マリア無原罪の御孕（おんやど）りの祝日や木魚打つ	童貞聖マリア無原罪の御孕（おんやど）りの祝日	冬	17.7.28.
187	童貞聖マリア無原罪の御孕りの祝日や七面鳥の泣きっ面	同上	冬	17.7.28.
188	童貞聖マリア無原罪の御孕りの祝日や鶏冠垂らせし七面鳥	同上	冬	17.7.28.
189	童貞聖マリア無原罪の御孕りの祝日や鶏冠ぶらぶら七面鳥	同上	冬	17.7.28.
190	朝露や赤き亡き骸花さぼてん	仙人掌の花	夏	17.7.28.
191	楊貴妃の骸さもあれ花さぼてん	仙人掌の花	夏	17.7.28.
192	色ラベル三種楽しき芋焼酎	焼酎	夏	17.7.28.
193	音消えて光届けし星月夜	星月夜	夏	17.7.28.
194	音消えて光はるばる星月夜	星月夜	夏	17.7.28.
195	音届くならば眠れぬ星月夜	星月夜	夏	17.7.28.
196	異性知らず老い果て行けり鵜飼の鵜	鵜飼・鵜	夏	17.7.28.
197	人も鵜もネクタイ締めて飼ひ殺し	鵜	夏	17.7.28.
198	昭和には便所の裏に花八つ手	八つ手の花	冬	17.7.28.
199	放ち鶏過る座敷を青田風	青田風	夏	17.7.29.
200	蚊遣り焚き縁台将棋指す昭和	蚊遣り	夏	17.7.29.
201	ぬっと出し蟇にたじろぎ向き合へり	蟇	夏	17.7.29.
202	雄二羽がかたらひ飼はる鵜籠かな （語らい＝飼鵜の生涯のペア）	鵜籠	夏	17.7.29.
203	雄二羽が伴侶で暮す鵜籠かな	鵜籠	夏	17.7.29.
204	雄二羽の伴侶哀しき鵜籠かな	鵜籠	夏	17.7.29.
205	宿命を分かち語ろふ鵜籠かな	鵜籠	夏	17.7.29.
206	まぐわひのなき同棲の鵜籠かな	鵜籠	夏	17.7.29.
207	鵜は哀し籠の伴侶は雄同士	鵜	夏	17.7.29.
208	語らひとなりし鵜籠の雄鵜二羽	鵜籠・鵜	夏	17.7.29.
209	相方の逝けば後追ふ鵜の哀し	鵜	夏	17.7.29.
210	鵜呑みして吐かされ暮す飼鵜かな	鵜	夏	17.7.29.
211	野生鵜の鵜籠暮しの不幸せ	鵜籠	夏	17.7.29.
212	本能は失せず鮎呑む飼鵜かな	鵜	夏	17.7.29.
213	あざとくも鵜の目競はす鵜縄かな	鵜・鵜縄	夏	17.7.29.
214	空に帰燕海も南下の漁船群	帰燕	秋	17.7.29.
215	数万の帰燕の塒葦の原	帰燕	秋	17.7.29.
216	芦原を仮の塒の帰燕かな	帰燕	秋	17.7.29.
217	芦揺れて仮寝の帰燕集ひけり	帰燕	秋	17.7.29.
218	芦原に集ふ仮寝の帰燕かな	帰燕	秋	17.7.29.
219	旅立ちの燕集ひし葦の宿	帰燕	秋	17.7.29.
220	向日葵は日に顔向けし多産系	向日葵	夏	17.7.29.
221	向日葵の花恥じらはぬ多産系	向日葵	夏	17.7.29.
222	向日葵は日とまぐわひし多産系	向日葵	夏	17.7.29.
223	向日葵の花大輪の子だくさん	向日葵	夏	17.7.29.
224	向日葵は向ふ気強き鷹女かな	向日葵	夏	17.7.29.
225	向日葵は好きも嫌ひも無関心	向日葵	夏	17.7.29.
226	一掬ひなんぼで売らる屑金魚	金魚	夏	17.7.29.
227	検番に昼の三味聞く江戸風鈴	風鈴	夏	17.7.29.
228	検番に浴衣で浚う昼の三味	浴衣	夏	17.7.29.
229	ラブホテル囲む子規庵昼寝どき	昼寝	夏	17.7.29.
230	ラブホテル囲む子規庵へちま咲く	糸瓜の花	夏	17.7.29.
231	バリケンてふ役者顔せしはぐれ鴨 （石神井池で）	鴨	冬	17.7.29.
232	美男一代谷中の墓地の花吹雪 （長谷川一夫忌４．６．）	花吹雪	春	17.7.29.
233	孑孑や人の影見て沈下せり	孑孑	夏	17.7.29.
234	稀覯本黴の臭いとともに買ふ	黴	夏	17.7.29.
235	炎昼や訛り消えたる上野駅	炎昼	夏	17.7.29.
236	俳諧師やめて戯作の西鶴忌	西鶴忌	秋	17.7.29.
237	超ド級支える翅や熊ん蜂	熊蜂	春	17.7.29.
238	初鰹大皿で出る土佐たたき	初鰹	夏	17.7.29.
239	鳥渡る受け皿しかとありしかな	鳥渡る	秋	17.7.29.
240	噛み跡を証しに献上鵜飼鮎	鵜飼・鮎	夏	17.7.29.
241	観光の人影絶えて風の盆	風の盆	秋	17.7.29.
242	路地裏を深夜の胡弓風の盆	風の盆	秋	17.7.29.
243	スク豆腐そしてしみじみ豆腐餻	スク（毛魚）	夏	17.7.29.
244	葦原に仮寝の帰燕旅ごころ	帰燕	秋	17.7.30.
245	秋めきて炙られし身のひと安堵	秋めく	秋	17.7.30.
246	聞きなれし雉鳩の声秋めけり	秋めく	秋	17.7.30.
247	ごろとだけ鳴りし遠雷秋めけり	秋めく	秋	17.7.30.
248	雨戸繰る大気秋めく狭庭かな	秋めく	秋	17.7.30.
249	氷川社の参道二キロ秋めきぬ	秋めく	秋	17.7.30.
250	突堤に釣りする人や秋めきぬ	秋めく	秋	17.7.30.
251	蚯蚓鳴き蓑虫鳴かす五七五	蚯蚓鳴く・蓑虫鳴く	秋	17.7.30.
252	厨隅蚯蚓の声で螻蛄鳴けり	螻蛄鳴く	秋	17.7.30.
253	威嚇するポーズをかしき子かまきり	かまきり	秋	17.7.30.
254	長髪もいがぐりもゐて夏期講習	夏期講習	夏	17.7.30.
255	艶やかな幹に異彩の梧桐かな	梧桐	夏	17.7.30.
256	十薬抜く地球の鼻毛抜くやうに	十薬	夏	17.7.30.
257	蟻の列脱走蟻のゐぬ不思議	蟻	夏	17.7.30.
258	花木槿祖先は同じはずかとも	花木槿	秋	17.7.30.
259	馬の背で芭蕉眺めし木槿かな	木槿	秋	17.7.31.
260	馬の食ふほどの高さに白木槿	白木槿	秋	17.7.31.
261	馬の食ふほどの高さの木槿垣	木槿垣	秋	17.7.31.
262	老ひたればやはり醜き酔芙蓉	酔芙蓉	秋	17.7.31.
263	楊貴妃も老ゆればかくや酔芙蓉	酔芙蓉	秋	17.7.31.
264	銭湯の坪庭に咲く白芙蓉	白木槿	秋	17.7.31.
265	夜来の雨残る雫や花芙蓉	花芙蓉	秋	17.7.31.
266	夜来の雨雫の重き花芙蓉	花芙蓉	秋	17.7.31.
267	宅配の人小走りに木槿道	木槿	秋	17.7.31.
268	宅配が小走りに行く木槿道	木槿	秋	17.7.31.
269	繋がれし子山羊が鳴けり木槿垣	木槿垣	秋	17.7.31.
270	道訊けば木犀の香で教えられ	木犀	秋	17.7.31.
271	草毟る目線の先に蝉の殻	蝉の殻	夏	17.7.31.
272	蝉の殻狭庭に見つけ一安堵	蝉の殻	夏	17.7.31.
273	紫陽花の葉裏に残る蝉の殻	蝉の殻	夏	17.7.31.
274	声聞かぬままに狭庭の蝉の殻	蝉の殻	夏	17.7.31.
275	翻る葉裏に軽き蝉の殻	蝉の殻	夏	17.7.31.
276	巣立ちしを教えてくれし蝉の殻	蝉の殻	夏	17.7.31.
277	魂の抜ければ軽き蝉の殻	蝉の殻	夏	17.7.31.
278	いまごろはどこで鳴きをり蝉の殻	蝉の殻	夏	17.7.31.
279	羊雲群れを外れてみたりけり	羊雲（＝鰯雲）	秋	17.7.31.
280	核武装性懲りもなし原爆忌	頑張茎	夏	17.7.31.
281	厠なき原発銀座鰯いわし雲	いわし雲	秋	17.7.31.
282	ビートルズ歌うソナーやサブマリン			17.7.31.
283	イエローサブマリン潜航楽しビートルズ			17.7.31.
284	ソナーから聴こえる歌はイエローサブマリン			17.7.31.
285	咲くときも散るも一斉合歓の花	合歓の花	夏	17.7.31.
286	咲き散るを一二の三で合歓の花	合歓の花	夏	17.7.31.
287	足並みを揃へ先散る合歓の花	合歓の花	夏	17.7.31.
288	行き逝きし主の残せる蝉の殻	蝉の殻	夏	17.7.31.
289	地下七年地上七日や蝉の殻	蝉の殻	夏	17.7.31.
290	サブマリン目立つ黄色や南風（はえ）の海	南風	夏	17.7.31.
291	南風の海目立つ黄色のサブマリン	南風	夏	17.7.31.
292	白南風や黄色よろしきサブマリン	白南風	夏	17.7.31.
293	螻蛄鳴けり蚯蚓鳴いたと五七五	螻蛄鳴く・蚯蚓鳴く	夏	17.7.31.
294	金玉笛べーべー鳴らす秋まつり	秋まつり	秋	17.7.31.
295	アセチレンガスの臭いや秋まつり	秋まつり	秋	17.7.31.
296	金玉笛鳴らしつ帰る秋まつり	秋まつり	秋	17.7.31.
297	名も野卑な金玉笛や秋まつり	秋まつり	秋	17.7.31.
298	秋まつり金玉笛も祭笛	秋まつり	秋	17.7.31.
299	地下七年形見を遺す蝉の殻	蝉の殻	夏	17.8.1.
300	カレンダー捲りて秋に近寄りぬ	秋	秋	17.8.1.
301	八月来猛暑に秋の滲みけり	秋	秋	17.8.1.
302	草毟る目線の丈に蝉の殻	蝉の殻	夏	17.8.1.
303	魂の抜けし軽さや蝉の殻	蝉の殻	夏	17.8.1.
304	秋まつり金玉笛の昭和かな	秋祭	秋	17.8.1.
305	八月来る六九十五忘れまじ	八月	秋	17.8.1.
306	室外機唸り上げをり秋初め	初秋	秋	17.8.1.
307	空蝉や女の背ナのジッパー下ぐ	空蝉	夏	17.8.1.
308	力みたる一瞬刻む蝉の殻	蝉の殻	夏	17.8.1.
309	子を産みし力み重なる蝉の殻	蝉の殻	夏	17.8.1.
310	早速に威嚇のポーズ子かまきり	蟷螂	夏	17.8.1.
310	習はぬに威嚇のポーズ子かまきり	蟷螂	夏	17.8.1.
311	ずっしりと重きを見せて蝉の殻	蝉の殻	夏	17.8.1.
312	初声を待つ狭庭には蝉の殻	蝉の殻	夏秋	17.8.1.
313	ねぶたともねぷたとも呼び武者灯籠	ねぶた・ねぷた	秋	17.8.2.
314	大武者絵夜空を焦がすねぶたかな	ねぶた	秋	17.8.2.
315	大武者絵夜空彩るねぷた山車	ねぷた	秋	17.8.2.
316	武者灯籠睨み鋭きねぶたかな	ねぶた	秋	17.8.2.
317	東北の元気を見せてねぶた練る	ねぶた	秋	17.8.2.
318	ラッセラー跳人乱舞のねぶた山車	ねぶた	秋	17.8.2.
319	武者睨み見得を切りゆくねぶたかな	ねぶた	秋	17.8.2.
320	見開きし武者の目玉やねぶた山車	ねぶた	秋	17.8.2.
321	ラッセラー声よくとほる女子跳人	ねぶた	秋	17.8.2.
322	ゆるキャラの人形ねぶたゆるゆると	ねぶた	秋	17.8.2.
323	金魚ねぶた涙一粒描かれをり	ねぶた	秋	17.8.2.
324	東北の夏の去りゆくねぶたかな	ねぶた	秋	17.8.2.
325	東北の元気を見せてねぶた山車	ねぶた	秋夏	17.8.2.
326	朝露に濡れつ庭摘み茗荷の子	茗荷の子	夏	17.8.3.
327	葉の隠す根方にほのと花茗荷	茗荷汁	夏	17.8.3.
328	十個ほど摘みて朝餉の茗荷汁	茗荷汁	夏	17.8.3.
329	朝顔や蔓はいずれも左巻き	朝顔	秋	17.8.3.
330	秋の戸を開けるがごとく雨戸繰る	秋	秋	17.8.3.
331	八月や忘れ得ぬ忌の続く月	八月	秋	17.8.3.
332	八月や忘れまじ忌の並びけり	八月	秋	17.8.3.
333	八月や琉球処分いまもなほ	八月	秋	17.8.3.
334	氷片の浮ぶ泡盛スク豆腐	スク（毛魚）	夏	17.8.3.
335	泡盛にこのひと品やスク豆腐	スク（毛魚）	夏	17.8.3.
336	胡瓜の馬茄子の牛置き盆用意	胡瓜・茄子	秋	17.8.3.
337	流籠を終えて始まる徒歩鵜飼 （笛吹川で）	灯籠流し	秋	17.8.4.
338	流燈の消える辺りに回収舟	流燈	秋	17.8.4.
339	網を張り流燈を待つ回収船	流燈	秋	17.8.4.
340	流燈の霞む辺りに回収船	流燈	秋	17.8.4.
341	解夏の僧キャリーバックで下山かな	解夏	秋	17.8.4.
342	下山するキャリーバックの解夏の僧	解夏	秋	17.8.4.
343	大ジョッキ一気飲みする解夏の僧	解夏	秋	17.8.4.
344	大ジョッキ笑顔で交す解夏の僧	解夏	秋	17.8.4.
345	解夏の僧スマホ繰りつつ下山かな	解夏	秋	17.8.4.
346	若者に戻りスマホの解夏の僧	解夏	秋	17.8.4.
347	籠もり終え軽口も出る解夏の僧	解夏	秋	17.8.4.
348	かなかなの鳴ひて部活の終り笛	かなかな	秋	17.8.4.
349	滝打たる女行者の胸乳透く	滝	夏	17.8.4.
350	無念の死無駄にせはせじ原爆忌	原爆忌	夏	17.8.4.
351	折鶴に託す祈りの原爆忌	原爆忌	夏	17.8.4.
352	竿を手に舟漕ぐ人や秋めきぬ	秋めく	秋	17.8.5.
353	路地裏を夜更けの胡弓風の盆	風の盆	秋	17.8.5.
354	みんみん蝉初音を聞かす狭庭かな	蝉	夏	17.8.5.
355	単騎来てみんみん四度リフレイン	蝉	夏	17.8.5.
356	みんみんの狭庭に鳴くや秋めく日	蝉	夏・秋	17.8.5.
357	との曇り狭庭に響く蝉の声	蝉	夏	17.8.5.
358	みんみんの去れば声高あぶら蝉	蝉	夏	17.8.5.
359	行終えて下山の僧やあぶら蝉	蝉	夏	17.8.5.
360	本堂は施餓鬼の読経蝉しぐれ	蝉時雨	夏	17.8.5.
361	大施餓鬼の本堂包む蝉しぐれ	蝉時雨	夏	17.8.5.
362	雉鳩のででぽぽ霞む蝉時雨	蝉時雨	夏	17.8.5.
363	雉鳩の鳴き音かき消す蝉時雨	蝉時雨	夏	17.8.5.
364	九品仏巡る堂宇や蝉しぐれ	蝉時雨	夏	17.8.5.
365	住職の長き講話や蝉しぐれ	蝉時雨	夏	17.8.5.
366	蝉しぐれ届けど静か座禅堂	蝉時雨	夏	17.8.5.
367	鳴き尽しころりと逝けり油蝉	油蝉	夏	17.8.5.
368	息災や土用のうなぎ妻と食む	鰻	夏	17.8.5.
369	願いごとまた間に合わぬ流れ星	流れ星	秋	17.8.5.
370	一本の鉛筆で詠む原爆忌	原爆忌	夏	17.8.5.
371	詠み続けまた詠み続け原爆忌	原爆忌	夏	17.8.5.
372	人道に外れし惨禍原爆忌	原爆忌	夏	17.8.5.
373	一片の正義のあらじ原爆忌	原爆忌	夏	17.8.5.
374	鉛筆のあれば詠み継ぐ原爆忌	原爆忌	夏	17.8.5.
375	紙に書き石に刻まん原爆忌	原爆忌	夏	17.8.5.
376	無辜の民爆殺したる原爆忌	原爆忌	夏	17.8.5.
377	正義など戯言（たはごと）なりし原爆忌	原爆忌	夏	17.8.5.
378	公園に踊り櫓や秋立てり	秋立つ	秋	17.8.6.
379	秋立つや秩父武甲はまた細り	秋立つ	秋	17.8.6.
380	秋立つや歩幅狭まる八十路かな	秋立つ	秋	17.8.6.
381	愚かさを悔い反省の原爆忌	原爆忌	夏	17.8.6.
382	平和こそかけがへのなき原爆忌	原爆忌	夏	17.8.6.
383	地獄とは廣島の朝原爆忌	原爆忌	夏	17.8.6.
384	廣島の朝が消えた日廣島忌	廣島忌	夏	17.8.6.
385	あの朝を忘れてならじ廣島忌	廣島忌	夏	17.8.6.
386	ピカドンの業火伝えよ原爆忌	原爆忌	夏	17.8.6.
387	過ちの行き着く果てに原爆忌	原爆忌	夏	17.8.6.
388	ピカドンてふ悪夢刻みし原爆忌	原爆忌	秋	17.8.7.
389	みぞそばや土管の橋を覆ひをり	溝蕎麦	秋	17.8.7.
390	溝蕎麦や姿見の池縁取りぬ	溝蕎麦	秋	17.8.7.
391	ずるずると五尺六尺藪からし	藪枯らし	秋	17.8.7.
392	引くほどに五尺六尺藪からし	藪枯らし	秋	17.8.7.
393	引き剥がす快感のあり藪からし	藪枯らし	秋	17.8.7.
394	はがしても抜きても消えぬ藪からし	藪枯らし	秋	17.8.7.
395	藪枯らし憎まれ草の逞しき	藪枯らし	秋	17.8.7.
396	庭覆ふ命の編目藪からし	藪枯らし	秋	17.8.7.
397	したたかにふてぶてしくも藪からし	藪枯らし	秋	17.8.7.
398	嫌はれる度に逞し藪からし	藪枯らし	秋	17.8.7.
399	大施餓鬼卒塔婆新たに墓参り	施餓鬼	秋	17.8.8.
400	新しき卒塔婆配らる施餓鬼かな	施餓鬼	秋	17.8.8.
401	どの墓も施餓鬼を終えて新卒塔婆	施餓鬼	秋	17.8.8.
402	施餓鬼寺や読経を包む蝉時雨	施餓鬼・蝉時雨	秋	17.8.8.
403	掃苔を終えて帰りの大ジョッキ	掃苔	秋	17.8.8.
404	新しき卒塔婆の木の香大施餓鬼	施餓鬼	秋	17.8.8.
405	家継がぬ娘持つ身の墓掃除	墓掃除	秋	17.8.8.
406	掃苔のいらぬ散骨思ふ老ひ	掃苔	秋	17.8.8.
407	入る日を知らぬが仏墓洗ふ	墓洗ふ	秋	17.8.8.
408	走り行く雲間に滲む盆の月	盆の月	秋	17.8.8.
409	風強し雲韋駄天に盆の月	盆の月	秋	17.8.8.
410	顔擦る雲こそばゆき盆の月	盆の月	秋	17.8.8.
411	入る日を知らぬが仏墓洗ふ	墓洗ふ	秋	17.8.8.
412	走り行く雲間に滲む盆の月	盆の月	秋	17.8.8.
413	風強し雲韋駄天に盆の月	盆の月	秋	17.8.8.
414	顔擦る雲こそばゆき盆の月	盆の月	秋	17.8.8.
415	君がいま思ふ万倍原爆忌	原爆忌	夏	17.8.8.
416	体熔け生きる一日や原爆忌	原爆忌	夏	17.8.8.
417	蛆湧ける体と消えて原爆忌	原爆忌	夏	17.8.8.
418	蛆湧ける体と消ゆる原爆忌	原爆忌	夏	17.8.8.
419	気の遠くなる年重ね流れ星	流れ星	秋	17.8.9.
420	一花を咲かせて果てる流れ星	流れ星	秋	17.8.9.
421	宇宙軌道逸れて地球へ流れ星	流れ星	秋	17.8.9.
422	幾億年宇宙にありて流れ星	流れ星	秋	17.8.9.
423	君を待つ女心や夜這星	夜這星	秋	17.8.9.
424	牛車の音止まりて嬉し夜這星	夜這星	秋	17.8.9.
425	君待ちて蔀（しとみ）上ぐれば流れ星	流れ星	秋	17.8.9.
426	まぐわひの目端を走る夜這星	夜這星	秋	17.8.9.
427	まぐわひの果てて蔀を流れ星	流れ星	秋	17.8.9.
428	死に場所を地球と決めて星流る	星流る	秋	17.8.9.
429	黒々と高き稜線星飛べり	星飛ぶ	秋	17.8.9.
430	数知れず広大無辺天の川	天の川	秋	17.8.9.
431	天の川ついと離れて星流る	天の川・星流る	秋	17.8.9.
432	先走る暦なれども秋の風	秋の風	秋	17.8.9.
433	先走る暦なれども秋の翳	秋	秋	17.8.9.
434	一人目が砕き吐息の西瓜割り	西瓜割り	夏	17.8.9.
435	一人目が砕き白ける西瓜割り	西瓜割り	夏	17.8.9.
436	ガス抜きの掃溜めネット放屁虫	放屁虫	秋	17.8.9.
437	韋駄天に走る雲間の盆の月	盆の月	秋	17.8.9.
438	突堤に釣り人ひとり秋めきぬ	秋めく	秋	17.8.9.
439	過疎の里日暮れの空を鳥渡る	鳥渡る	秋	17.8.9.
440	空に道あるがごとくに鳥渡る	鳥渡る	秋	17.8.9.
441	渡り鳥塒の山に違へなし	渡り鳥	秋	17.8.9.
442	渡り鳥棚田の上を大旋回	渡り鳥	秋	17.8.9.
443	棚田の空旋回をして鳥渡る	鳥渡る	秋	17.8.9.
444	遊水池十字路にして鳥渡る	鳥渡る	秋	17.8.9.
445	鳥渡るロータリーらし遊水池	鳥渡る	秋	17.8.9.
446	ペット吹く少年の空鳥渡る	鳥渡る	秋	17.8.9.
447	雨戸開け秋めく朝に深呼吸	秋めく	秋	17.8.10.
448	ビゴー描く明治ニッポン秋めきぬ	秋めく	秋	17.8.10.
449	秋めくと歳時記少し先走り	秋めく	秋	17.8.10.
450	兼題の秋めく探し庭に立つ	秋めく	秋	17.8.10.
451	秋めくもの探しあぐねて立つ狭庭	秋めく	秋	17.8.10.
452	装飾花枯れし紫陽花秋めきぬ	秋めく	秋	17.8.10.
453	キャスターの残暑掻き立つ三つ揃ひ	残暑	秋	17.8.10.
454	風鈴に蔓絡みをり秋暑し	秋暑し	秋	17.8.10.
455	風鈴に絡まる蔓や秋暑し	秋暑し	秋	17.8.10.
456	秋暑し摂氏三十七度なり	秋暑し	秋	17.8.10.
457	風止まり残暑掻き立つ油蝉	残暑・油蝉	秋・夏	17.8.10.
458	ふざけるな叫びたくなる残暑かな	残暑	秋	17.8.10.
459	年金のまた減らされて秋めけり	秋めく	秋	17.8.11.
460	抱瓶（だちびん）に芒を挿せば似合いけり	芒	秋	17.8.11.
461	路地裏に昼の三味の音秋めけり	秋めく	秋	17.8.11.
462	お運びはみんな年増や泥鰌鍋	泥鰌鍋	夏	17.8.11.
463	突堤の頬撫ず風や秋めけり	秋めく	秋	17.8.11.
464	回廊を巡る首里城秋めけり	秋めく	秋	17.8.11.
465	晩節は俳句に絞り秋めけり	秋めく	秋	17.8.11.
466	焼けマリヤ眼窩の昏き長崎忌	長崎忌	夏	17.8.11.
467	パソコンに向ひ居眠り秋めけり	秋めく	秋	17.8.11.
468	葉を分けて燃ゆる火焔や葛の花	葛の花	秋	17.8.11.
469	燃え立つる赤目蠟燭葛の花	葛の花	秋	17.8.11.
470	ボタン押す狂気リアルに原爆忌	原爆忌	夏	17.8.11.
471	獺の絶えたるいまも獺祭忌	獺祭	秋	17.8.12.
472	豺（やまいぬ）の遠吠え知らぬ散歩犬	（狼）	冬	17.8.12.
473	突堤の頬撫ぜる風秋めけり	秋めく	秋	17.8.12.
474	伊良湖岬柱と成りて刺羽発つ	刺羽・鷹	秋	17.8.12.
475	天を突く柱となりて刺羽発つ	刺羽	秋	17.8.12.
476	上昇の気流螺旋に鷹柱	鷹柱	秋	17.8.12.
477	悠然と気流捉えて鷹渡る	鷹渡る	秋	17.8.12.
478	威風ある双翼広げ鷹渡る	鷹渡る	秋	17.8.12.
479	押し上ぐる気流に委ね鷹柱	鷹柱	秋	17.8.12.
480	滑空の機体となりて鷹渡る	鷹渡る	秋	17.8.12.
481	狼声や部屋飼ひの犬縮こまる	狼	冬	17.8.13.
482	狼の遠吠えに似し風渡る	狼	冬	17.8.13.
483	廃村を狼声のごと風走る	狼	冬	17.8.13.
484	近ごろは年増も知らぬ芋茎（ずいき）かな	芋茎	秋	17.8.13.
485	芋茎食ふ煮込み味噌和え三杯酢	芋茎	秋	17.8.13.
486	肥後芋茎にやりと見せる遊び人	芋茎	秋	17.8.13.
487	垂直に穿つ技みせ自然薯掘る	自然薯	秋	17.8.13.
488	自然薯の抜かれて長き三尺余	自然薯	秋	17.8.13.
489	喉越しに食道走るとろろ汁	とろろ汁	秋	17.8.13.
490	ふかし藷食みつ番茶を呑む輩	甘藷	秋	17.8.13.
491	藷食みてそっと席立ち放屁かな	甘藷	秋	17.8.13.
492	藷食みつ早やも屁をこく子のをかし	甘藷	秋	17.8.13.
493	藷食みつ早やも屁をこく子のをりぬ	甘藷	秋	17.8.13.
494	子は速し藷を食みつつ屁をこきぬ	甘藷	秋	17.8.13.
495	藷食って屁っ放り腰の仁王像	甘藷	秋	17.8.13.
496	わが喪服映す車窓の遠花火	花火	夏	17.8.13.
497	十粒ほど散歩で摘みしむかご飯	零余子	秋	17.8.14.
498	七つの子流る校庭秋夕焼	秋夕焼	秋	17.8.14.
499	シートノック百本目なり秋夕焼	秋夕焼	秋	17.8.14.
500	シートノック百本打ちて秋夕焼	秋夕焼	秋	17.8.14.
501	秋夕焼け塒に向かふ群雀	秋夕焼	秋	17.8.14.
502	ほのと咲きほのと萎める花茗荷	茗荷の花	秋	17.8.14.
503	スマホ繰る若者知らぬ敗戦日	敗戦日	秋	17.8.15.
504	昨日今日四海波立つ敗戦忌	敗戦忌	秋	17.8.15.
505	無差別に焼き尽くされし敗戦忌	敗戦忌	秋	17.8.15.
506	海外にバカンスに行く敗戦忌	敗戦忌	秋	17.8.15.
507	けふは雨あの日快晴敗戦忌	敗戦忌	秋	17.8.15.
508	B29来ぬ青空や敗戦日	敗戦日	秋	17.8.15.
509	昭和遠し風化のすすむ敗戦忌	敗戦忌	秋	17.8.15.
510	原爆二発重き腰上げ敗戦忌	敗戦忌	秋	17.8.15.
511	無辜の民見殺しにされ敗戦忌	敗戦忌	秋	17.8.15.
512	ご聖断ずれて原爆敗戦忌	敗戦忌	秋	17.8.15.
513	B29来ぬ青空の赤とんぼ	赤とんぼ	秋	17.8.15.
514	玉音の声の不思議や蝉時雨	蝉時雨	秋	17.8.15.
515	玉音の途切れ途切れや蝉時雨	蝉時雨	秋	17.8.15.
516	玉音の不思議な声や敗戦忌	敗戦忌	秋	17.8.15.
517	玉音に声なき土間や蝉時雨	蝉時雨	秋	17.8.15.
518	重苦し夢で目覚めし敗戦忌	敗戦忌	秋	17.8.15.
519	戦争はゲームにあらじ敗戦忌	敗戦忌	秋	17.8.15.
520	理不尽な死を積み重ね敗戦忌	敗戦忌	秋	17.8.15.
521	分っかんない口揃へる子敗戦日	敗戦日	秋	17.8.15.
522	三百十万命奪はれ敗戦忌	敗戦忌	秋	17.8.15.
523	玉音の後すいとんの終戦日	敗戦日	秋	17.8.15.
524	喉越しは韋駄天走りとろろ汁	とろろ汁	秋	17.8.15.
525	狼に跨る兜太呵呵大笑	狼	冬	17.8.15.
526	狼に跨る兜太秩父の子	狼	冬	17.8.15.
527	宵闇をスマホ命の人が行く	宵闇	秋	17.8.16.
528	宵闇をスマホを繰りつ人が行く	宵闇	秋	17.8.16.
529	宵闇にコンビニの灯の煌々と	宵闇	秋	17.8.16.
530	宵闇や新聞取らぬ家が増え	宵闇	秋	17.8.16.
531	宵闇にスマホを繰りつ立ち話	宵闇	秋	17.8.16.
532	宵闇やピザ配達のバイク往く	宵闇	秋	17.8.16.
533	宵闇にはたはた点滅街路灯	宵闇	秋	17.8.16.
534	宵闇や同じ規格の住宅街	宵闇	秋	17.8.16.
535	宵闇やフランク永井口の端に	宵闇	秋	17.8.16.
536	優雅蹴り可憐を蹴りてカンナ咲く	カンナ	秋	17.8.16.
537	バス停の一駅先に緋のカンナ	カンナ	秋	17.8.16.
538	パステルの赤塗り込めしカンナ燃ゆ	カンナ	秋	17.8.16.
539	優雅蹴り可憐を蹴りてカンナ咲く	カンナ	秋	17.8.16.
540	バス停の一駅先に緋のカンナ	カンナ	秋	17.8.16.
541	玉音聞きすいとんの終戦日	終戦日	秋	17.8.16.
542	かなかなの鳴ひて部活の終りけり	かなかな	秋	17.8.17.
543	解夏の僧キャリーバッグで別れ行く	解夏	秋	17.8.17.
544	送行の僧スマホ手に山下る	送行	秋	17.8.17.
545	かくなればセルフサービス生身魂	生身魂	秋	17.8.17.
546	山下りらーめん啜る解夏の僧	解夏	秋	17.8.17.
547	解夏の僧世俗に戻るスマホかな	解夏	秋	17.8.17.
548	新幹線剃り跡青き解夏の僧	解夏	秋	17.8.17.
549	ねぶた済み竜飛岬に波立てり	ねぶた	秋	17.8.17.
550	老ひの身になにを急かすや法師蝉	法師蝉	秋	17.8.17.
551	じじとだけ鳴ひて逝きけり秋の蝉	秋蝉	秋	17.8.17.
552	ひぐらしの鳴ひて鎮もる夕木立	ひぐらし	秋	17.8.17.
553	ひぐらしの鳴ひて百本ノック止む	ひぐらし	秋	17.8.17.
554	かなかなの鳴ひて百本ノック止む	かなかな	秋	17.8.17.
555	耐えるごと押し殺し鳴く秋の蝉	秋の蝉	秋	17.8.18.
556	スイングするクラリネットや晩夏光	晩夏光	夏	17.8.18.
557	羨ましぴんぴんころり油蝉	油蝉	夏	17.8.18.
558	ジャムセッション合せて鳴けり秋の蝉	秋の蝉	秋	17.8.18.
559	秋風やひそと転げし蝉の殻	秋風・蝉の殻	秋・夏	17.8.18.
560	夕焼けにかなかな鳴きし昭和かな	かなかな	秋	17.8.18.
561	夕空を埋めて群れ飛ぶ赤蜻蛉	赤蜻蛉	秋	17.8.18.
562	ホバリング繰り返し飛ぶ秋茜	秋茜	秋	17.8.18.
563	ご飯だよ！子を呼ぶ声や秋茜	秋茜	秋	17.8.18.
564	武甲山染める夕焼け秋茜	秋茜	秋	17.8.18.
565	赤とんぼ群れ飛びどれもこちら向き	赤とんぼ	秋	17.8.18.
566	人差し指ついと止まれり赤とんぼ	赤とんぼ	秋	17.8.19.
567	身を引いて怖がる子らや赤とんぼ	赤とんぼ	秋	17.8.19.
568	赤とんぼついと止まりてついと去る	赤とんぼ	秋	17.8.19.
569	砂風呂や鼻に止まりし赤とんぼ	赤とんぼ	秋	17.8.19.
570	卒塔婆の尖で沈思の赤とんぼ	赤とんぼ	秋	17.8.19.
571	赤とんぼ群れ飛ぶ中の露天風呂	赤とんぼ	秋	17.8.19.
572	音もなく空を埋めたる秋茜	秋茜	秋	17.8.19.
573	隠沼の水面を叩く秋茜	秋茜	秋	17.8.19.
574	群れ成して山下りゆく秋茜	秋茜	秋	17.8.19.
575	投函に寄ればポストに赤とんぼ	赤とんぼ	秋	17.8.19.
576	赤とんぼ翅を休めて思ふこと	赤とんぼ	秋	17.8.19.
577	散歩犬わんとひと声秋茜	秋茜	秋	17.8.19.
578	ゲリラ雨のひたすら叩く真葛原	葛	秋	17.8.20.
579	山路来て踏みにじりしは葛落花	葛の花	秋	17.8.20.
580	葛落花踏みて気付けば惨たらし	葛の花	秋	17.8.20.
581	風立てば裏見面見の葛さわぐ	葛	秋	17.8.20.
582	捨て畑のいと猛々し葛かずら	葛	秋	17.8.20.
583	葛の葉の隙を突くかに花穂立ちぬ	葛の花	秋	17.8.20.
584	葛落花女の障り詠む超空	葛の花	秋	17.8.20.
585	葛の葉をちぎり尻拭く旅の僧	葛	秋	17.8.20.
586	葛の葉を毟り雉撃つ山男	葛	秋	17.8.20.
587	山路来て清水掬へば葛の花	葛の花	秋	17.8.20.
588	荒みしは廃寺の庫裡や葛かずら	葛	秋	17.8.20.
589	かなかなの鳴いて部活の子ら下校	かなかな	秋	17.8.20.
590	ぶつかりてぶつかりて行く踊の輪	踊の輪	秋	17.8.21.
591	ひと所千切れたままの踊の輪	踊の輪	秋	17.8.21.
592	スマホ持ちてのひら返す踊の輪	踊の輪	秋	17.8.21.
593	春夫節夜空に響く踊の輪	踊の輪	秋	17.8.21.
594	懐かしの五輪音頭や踊の輪	踊の輪	秋	17.8.21.
595	金髪も黒も混じりて踊の輪	踊の輪	秋	17.8.21.
596	内側は模範演技の踊の輪	踊の輪	秋	17.8.21.
597	スマホ手に写し踊るや盆踊	踊の輪	秋	17.8.21.
598	焼きそばのソースの匂ひ盆踊	盆踊	秋	17.8.21.
599	子供らは輪の外駆ける盆踊	盆踊	秋	17.8.21.
600	綿菓子に列する子らや盆踊	盆踊	秋	17.8.21.
601	輪の外で子ら鬼ごっこ盆踊	盆踊	秋	17.8.21.
602	肩に手の触れて謝る盆踊	盆踊	秋	17.8.21.
603	手の触れぬやうに気遣ふ踊の輪	踊の輪	秋	17.8.21.
604	雅びなる香の懐かしき捨扇	捨扇	秋	17.8.22.
605	朝顔や鎮守の森に鈴響く	朝顔	秋	17.8.22.
606	野朝顔咲き継ぐ路地の石敢當	朝顔	秋	17.8.22.
607	シーサーの見下ろす屋根へ野朝顔	朝顔	秋	17.8.22.
608	野朝顔這はせてみたき守礼門	朝顔	秋	17.8.22.
609	咲き揃ひ明日を知らぬ木槿かな	木槿	秋	17.8.22.
610	明日のなき木槿静かに咲きにけり	木槿	秋	17.8.22.
611	木槿咲くどれも昨日の花ならず	木槿	秋	17.8.22.
612	一日を咲ひて萎みし花木槿	木槿	秋	17.8.22.
613	日の暮れて萎み支度の木槿かな	木槿	秋	17.8.22.
614	底紅や昨日を知らず明日知らず	木槿	秋	17.8.22.
615	ちちぽぽと鼓で偲ぶたかしの忌 （松本たかし忌５．１１．）	たかし忌	夏	17.8.22.
616	ふと指を回してみたり赤とんぼ	赤とんぼ	秋	17.8.23.
617	赤とんぼ肩に固まる園児かな	赤とんぼ	秋	17.8.23.
618	池の面を尻で打ちゆく鬼やんま	鬼やんま	秋	17.8.23.
619	B29来ぬ日の空や赤とんぼ	赤とんぼ	秋	17.8.23.
620	蔓橋揺れても逃げぬ赤とんぼ	赤とんぼ	秋	17.8.23.
621	八方を睨み翅伏す赤とんぼ	赤とんぼ	秋	17.8.23.
622	人影の見ぬ山里秋茜	秋茜	秋	17.8.23.
623	鷹の爪色を競ふかに秋茜	赤茜	秋	17.8.23.
624	神楽坂すいと抜け行く秋茜	赤茜	秋	17.8.23.
625	六地蔵つむりにどれも赤とんぼ	赤とんぼ	秋	17.8.23.
626	かき氷がさりとこぼしべそかく児	かき氷	秋	17.8.23.
627	にはたづみ影映しゆく赤とんぼ	赤とんぼ	秋	17.8.24.
628	にはたづみ雨の遺せし忘れ潮			17.8.24.
629	笑栗をさらに口開け拾ひゆく	笑栗	秋	17.8.24.
630	栗拾ひ手掴みできぬもどかしさ	栗	秋	17.8.24.
631	山路来て拾へばどれも虚栗	虚栗	秋	17.8.24.
632	底紅やひと日の命知らず咲く	底紅（＝木槿）	秋	17.8.24.
633	茹栗の大皿で出る山の宿	茹栗	秋	17.8.24.
634	焼栗の匂い香ばし杣の小屋	焼栗	秋	17.8.24.
635	無花果を二つに割りてかぶりつく	無花果	秋	17.8.24.
636	無花果を銀のフォークで頂けり	無花果	秋	17.8.24.
637	夕刊のバイクの音や秋めきぬ	秋めく	秋	17.8.25.
638	夕刊を配るバイクや秋めきぬ	秋めく	秋	17.8.25.
639	夕刊のバイクの響き秋めきぬ	秋めく	秋	17.8.25.
640	B29来ぬ青空や赤とんぼ	赤とんぼ	秋	17.8.25.
641	赤とんぼ群れ飛びときにホバリング	赤とんぼ	秋	17.8.25.
642	赤とんぼつむりに載せて辻地蔵	赤とんぼ	秋	17.8.25.
643	時鐘鳴る小江戸川越秋めけり	秋めく	秋	17.8.25.
644	時鐘鳴る小江戸の空や秋めけり	秋めく	秋	17.8.25.
645	時の鐘響く小江戸や秋めけり	秋めく	秋	17.8.25.
646	雨の日に咲き合せたる白木槿	白木槿	秋	17.8.25.
647	ふつつかと言はねど雨の白木槿	白木槿	秋	17.8.25.
648	願ひしはとんとんころり流れ星	流れ星	秋	17.8.26.
649	願はくばとんとんころり流れ星	流れ星	秋	17.8.26.
650	新涼や鉢に水遣り深呼吸	新涼	秋	17.8.26.
651	パソコンの防護脆弱稲光	稲光	秋	17.8.26.
652	儚げに咲けど稔りへ稲の花	稲の花	秋	17.8.26.
653	厨では夕餉の支度酔芙蓉	酔芙蓉	秋	17.8.26.
654	早口が取り柄のコント酔芙蓉	酔芙蓉	秋	17.8.26.
655	橋のたもと寄れば甘き香花くさぎ	花臭木	秋	17.8.26.
656	赤白黄色てんでんに夕化粧	夕化粧（＝白粉花）	秋	17.8.26.
657	白粉花色てんでんに咲き乱る	白粉花	秋	17.8.26.
658	白粉花華やぎ咲けり辻地蔵	白粉花	秋	17.8.26.
659	農小屋を囲み華やぐ夕化粧	夕化粧	秋	17.8.26.
660	手の触れぬやうに気遣ふ盆踊り	盆踊	秋	17.8.26.
661	吊り橋の揺れても逃げぬ赤とんぼ	赤とんぼ	秋	17.8.26.
662	秋めくや音の鎮もる室外機	秋めく	秋	17.8.27.
663	一日花しみじみ眺む白木槿	白木槿	秋	17.8.27.
664	ひそと落ち一日を閉ずる花木槿	花木槿	秋	17.8.27.
665	雨戸閉めに窓辺に立てば流れ星	流れ星	秋	17.8.27.
666	夕暮れて瀬戸の島影流れ星	流れ星	秋	17.8.27.
667	暮れなずむ犬吠埼や流れ星	流れ星	秋	17.8.27.
668	イージス艦空を睨めば流れ星	流れ星	秋	17.8.27.
669	灯の入りし岬の灯台流れ星	流れ星	秋	17.8.27.
670	農の軒色艶やかに鷹の爪	鷹の爪	秋	17.8.27.
671	太平洋ちゃぽりちゃぽりと流れ星	流れ星	秋	17.8.27.
672	卓上の一輪挿しや白木槿	白木槿	秋	17.8.27.
673	暮六つの小江戸の鐘や秋めけり （川越で）	秋めく	秋	17.8.28.
674	フレンチの卓上花や白木槿	白木槿	秋	17.8.28.
675	日替りの卓上花や白木槿	白木槿	秋	17.8.28.
676	全山に雪なき姿処暑の富士	処暑	秋	17.8.28.
677	久々に窓開け放ち処暑の風	処暑	秋	17.8.28.
678	頭揃へ宙に浮かびし赤とんぼ	赤とんぼ	秋	17.8.28.
679	お神輿の担ぎ手足らぬ秋祭	秋祭	秋	17.8.28.
680	担ぎ手は年寄ばかり秋祭	秋祭	秋	17.8.28.
681	担ぎ手の足りぬ神輿や秋祭	秋祭	秋	17.8.28.
682	菓子袋なかなか捌けぬ里祭	里祭	秋	17.8.28.
683	菜を間引く老ひには辛き畑作業	間引菜	秋	17.8.28.
684	秋時雨ちゃぽりちゃぽりと樋の音	秋時雨	秋	17.8.28.
685	柿の葉鮨幾つ食みしか葉を数ふ	鮨	夏	17.8.28.
686	柿の葉鮨食みて積み上ぐ葉の高さ	鮨	夏	17.8.28.
687	柿の葉鮨食ひ終え数ふ葉の枚数	鮨	夏	17.8.28.
688	柿の葉鮨食ひて驚く葉の枚数	鮨	夏	17.8.28.
689	柿の葉鮨言い訳効かぬ葉の枚数	鮨	夏	17.8.28.
690	柿の葉鮨葉を積み上げつ食みにけり	鮨	夏	17.8.28.
691	咳払ひ煩しと妻夜半の秋	夜半の秋	秋	17.8.28.
692	咳払ひ煩がる妻夜半の秋	夜半の秋	秋	17.8.28.
693	肘枕抜け行く風の秋めけり	秋めく	秋	17.8.29.
694	草枕閉じて空見る秋めきぬ	秋めく	秋	17.8.29.
695	草枕閉ずれば雲の秋めきぬ	秋めく	秋	17.8.29.
696	きちきちと言祝ぎとびし飛蝗かな	飛蝗	秋	17.8.29.
697	きちきちと言祝ぐ精霊ばったかな	飛蝗	秋	17.8.29.
698	雌の背にしがみ付きたる飛蝗かな	飛蝗	秋	17.8.29.
699	きちきちの鳴ひて見つけし大女	きちきち	秋	17.8.29.
700	雄を背に腹ごしらへの雌ばった	飛蝗	秋	17.8.29.
701	きちきちのいとしめやかなラブコール	きちきち	秋	17.8.29.
702	雌の背を求めきちきち鳴きにけり	きちきち	秋	17.8.29.
703	きちきちや細身較べの新幹線	きちきち	秋	17.8.29.
704	きちきちは細面ほど持てるらし	きちきち	秋	17.8.29.
705	幼逝の弟妹想ふ月の原	月	秋	17.8.29.
706	月明の黄泉比良坂道標	月	秋	17.8.29.
707	月光や訃報相次ぐ八十路なり	月光	秋	17.8.29.
708	月ぽつり訃報相次ぐ八十路かな	月	秋	17.8.30.
709	赤とんぼ頭揃へてホバリング	赤とんぼ	秋	17.8.30.
710	サングラス笑みし瞳のタモリかな	サングラス	夏	17.8.30.
711	蚯蚓鳴く句をさらさらと大真面目	蚯蚓鳴く	秋	17.8.30.
712	足音を立てるな蚯蚓ひそと鳴く	蚯蚓鳴く	秋	17.8.30.
713	足止めて耳傾けよ蚯蚓鳴く	蚯蚓鳴く	秋	17.8.30.
714	蚯蚓鳴く否くくくっと笑ひをり	蚯蚓鳴く	秋	17.8.30.
715	Jアラート鳴る日蚯蚓も鳴く句会	蚯蚓鳴く	秋	17.8.30.
716	疑はず蚯蚓鳴かせる平和かな	蚯蚓鳴く	秋	17.8.30.
717	蚯蚓鳴けば石も歌ふや竜安寺	蚯蚓鳴く	秋	17.8.30.
718	子の一句みみず鳴くってほんとかな	蚯蚓鳴く	秋	17.8.31.
719	蚯蚓をば鳴かせてひねる一句かな	蚯蚓鳴く	秋	17.8.31.
720	句会にて無声となりぬ蚯蚓鳴く	蚯蚓鳴く	秋	17.8.31.
721	駄句ばかり並びし句集蚯蚓鳴く	蚯蚓鳴く	秋	17.8.31.
722	あいさつのできぬ若者みみず鳴く	蚯蚓鳴く	秋	17.8.31.
723	染筆の太き師の文字みみず鳴く	蚯蚓鳴く	秋	17.8.31.
724	鳴く蚯蚓鳴かぬ蚯蚓をあざ笑ひ	蚯蚓鳴く	秋	17.8.31.
725	蚯蚓鳴く足の痺れし修行僧	蚯蚓鳴く	秋	17.8.31.
726	飯を食ふ独り居の部屋みみず鳴く	蚯蚓鳴く	秋	17.8.31.
727	山小屋に独り寝る夜や蚯蚓鳴く	蚯蚓鳴く	秋	17.8.31.
728	ミサイルの横切る空や蚯蚓鳴く	蚯蚓鳴く	秋	17.8.31.
729	隣室のひそひそ声や蚯蚓鳴く	蚯蚓鳴く	秋	17.8.31.
730	経長く足の痺れや蚯蚓鳴く	蚯蚓鳴く	秋	17.8.31.
731	戯言にあらじと言ひて蚯蚓鳴く	蚯蚓鳴く	秋	17.8.31.
732	ひそひそと人謗る声みみず鳴く	蚯蚓鳴く	秋	17.8.31.
733	人誹り人に謗られ蚯蚓鳴く	蚯蚓鳴く	秋	17.8.31.
734	蚯蚓鳴けり吾は憮然と日暮れかな	蚯蚓鳴く	秋	17.8.31.
735	蚯蚓鳴く我は憮然として日暮れ	蚯蚓鳴く	秋	17.8.31.
736	まぐあひも一匹芸の蚯蚓鳴く	蚯蚓鳴く	秋	17.8.31.
737	足痺れ尻上ぐ女みみず鳴く	蚯蚓鳴く	秋	17.9.1.
738	焼栗の匂ひ香ばし杣の家	栗	秋	17.9.1.
739	雑魚寝して鼾歯ぎしり聞く夜長	夜長	秋	17.9.1.
740	隣室で妻も物書く夜長かな	夜長	秋	17.9.1.
741	まだ続く妻の夜長の長電話	夜長	秋	17.9.1.
742	寝そびれてユーチューブ観る夜長かな	夜長	秋	17.9.1.
743	鬼平を二話読んで寝る夜長かな	夜長	秋	17.9.1.
744	寝そびれてつい飲み直す夜長かな	夜長	秋	17.9.1.
745	窓開けてスパイ小説読む夜長	夜長	秋	17.9.1.
746	長き夜や路地で男の立ち話	夜長	秋	17.9.1.
747	長き夜の読書終えたり午前二時	夜長	秋	17.9.1.
748	長き夜や風さわやかに午前二時	夜長	秋	17.9.1.
749	列島を過るミサイル鳥渡る	鳥渡る	秋	17.9.2.
750	火遊びに余念なき国鳥渡る	鳥渡る	秋	17.9.2.
751	列島の空きな臭し鳥渡る	鳥渡る	秋	17.9.2.
752	セプテンバーソング懐かし鳥渡る	鳥渡る	秋	17.9.2.
753	GPS使いこなして鳥渡る	鳥渡る	秋	17.9.2.
754	鳥渡る越後平野は黄金色	鳥渡る	秋	17.9.2.
755	大空に見えぬ道あり鳥渡る	鳥渡る	秋	17.9.2.
756	鳥渡る古里持たぬ東京っ子	鳥渡る	秋	17.9.2.
757	渡り鳥瑞穂の国に戻りけり	渡り鳥	秋	17.9.2.
758	本能に煩悩の無き鳥渡る	鳥渡る	秋	17.9.2.
759	雲海で湯浴みの富士や鳥渡る	鳥渡る	秋	17.9.2.
760	雲海に首出す富士や鳥渡る	鳥渡る	秋	17.9.2.
761	先ず塒探しが大事渡り鳥	渡り鳥	秋	17.9.2.
762	豪雨禍に塒の希恵氏渡り鳥	渡り鳥	秋	17.9.2.
763	鳥渡る棚田早やくも黄金色	鳥渡る	秋	17.9.2.
764	沿道の二階鈴生り風の盆	風の盆	秋	17.9.2.
765	沿道の二回も手返し風の盆	風の盆	秋	17.9.2.
766	トランペット吹く少年や鳥渡る	鳥渡る	秋	17.9.2.
767	鳥渡る早稲の棚田は黄金色	鳥渡る	秋	17.9.2.
768	トランペット響く河原や鳥渡る	鳥渡る	秋	17.9.3.
769	焼きもろこしひたすら醤油塗る役目	もろこし	秋	17.9.3.
770	茹でもろこしかぶりつく子ら歯の白し	もろこし	秋	17.9.3.
771	もろこしのネットの隙を突く鴉	もろこし	秋	17.9.3.
772	町内会焼きもろこしで盛り上がる	もろこし	秋	17.9.3.
773	ノック終えもろこし配る鬼コーチ	もろこし	秋	17.9.3.
774	胡麻刈って干して一日終りけり	胡麻刈る	秋	17.9.3.
775	鬼コーチいまは胡麻刈る翁かな	胡麻刈る	秋	17.9.3.
776	晩酌のあては葉付きの新生姜	新生姜	秋	17.9.3.
777	金山寺味噌がよく合ふ新生姜	新生姜	秋	17.9.3.
778	新生姜味噌付けて食む独り酒	新生姜	秋	17.9.3.
779	三日目の甘酢の生姜これも佳し	生姜	秋	17.9.3.
780	宿坊の朝餉生姜の刻み味噌	生姜	秋	17.9.3.
781	晩酌に妻の差し出す新生姜	新生姜	秋	17.9.3.
782	味噌添へて亭主の好きな新生姜	新生姜	秋	17.9.3.
783	坂鳥や始発のバスは客一人	坂鳥	秋	17.9.4.
784	坂鳥や暁に仕事の豆腐店	坂鳥	秋	17.9.4.
785	坂鳥や暁に灯を消す新聞店	坂鳥	秋	17.9.4.
786	坂鳥や鳴らす大鈴早詣で	坂鳥	秋	17.9.4.
787	坂鳥や響く大鈴早詣で	坂鳥	秋	17.9.4.
788	坂鳥の大塊りで越え行けり	坂鳥	秋	17.9.4.
789	坂鳥の腹擦るごと峠越ゆ	坂鳥	秋	17.9.4.
790	坂鳥の越ゆる棚田は黄金色	坂鳥	秋	17.9.4.
791	坂鳥や地では雉鳩デデポポー	坂鳥	秋	17.9.4.
792	坂鳥の鞍部鞍部を越え行けり（１７．９．４．）	坂鳥	秋	17.9.4.
793	坂鳥や暁の街行く救急車（１７．９．４．）	坂鳥	秋	17.9.4.
794	坂鳥や眠らぬ街の眠る刻（１７．９．４．）	坂鳥	秋	17.9.4.
795	菊坂を辿る明治や秋茜	秋茜	秋	17.9.4.
796	菊坂を辿る明治や鰯雲	鰯雲	秋	17.9.4.
797	一葉の旧居の井戸や糸芒	糸芒	秋	17.9.4.
798	菊坂を上る一葉処暑の風	処暑	秋	17.9.4.
799	菊坂は坂の町なり鰯雲	鰯雲	秋	17.9.4.
800	菊坂に明治の香り秋日和	秋日和	秋	17.9.4.
801	菊一鉢置かる一葉旧居井戸	菊	秋	17.9.4.
802	沿道の二階もひらひら風の盆	風の盆	秋	17.9.5.
803	暫のポーズで枝の鵙の贄	鵙の贄	秋	17.9.5.
804	鵙高音峡の日暮れを仕切りけり	鵙	秋	17.9.5.
805	燕去り葉擦れかすかに葦の原	燕去る	秋	17.9.5.
806	燕去り軒下の染み日々薄れ	燕去る	秋	17.9.5.
807	いまはどのあたりの海や去ぬ燕	燕去る	秋	17.9.5.
808	腹黒きものを持ちたる鵯の声	鵯	秋	17.9.5.
809	黄鶺鴒空振りしては多々羅踏む	鶺鴒	秋	17.9.5.
810	食べ散らしけふも去りゆく鵯の影	鵯	秋	17.9.5.
811	狭庭から挨拶の声鶫らし	鶫	秋	17.9.5.
812	居残りの佐平次気取る野分かな	野分	秋	17.9.6.
813	腰重く居残り決める野分かな	野分	秋	17.9.6.
814	逆箒しても居座る野分かな	野分	秋	17.9.6.
815	逆箒立てれど去らぬ野分かな	野分	秋	17.9.6.
816	去ね去ねと祈れど聞かぬ野分かな	野分	秋	17.9.6.
817	居座りし台風残す泥汁粉	台風	秋	17.9.6.
818	尻重き野分残せし泥汁粉	野分	秋	17.9.6.
819	韋駄天を忘れ居座る野分かな	野分	秋	17.9.6.
820	秋の虹懸り空向くスマホかな	秋の虹	秋	17.9.6.
821	夕焼けの河原絵になる赤とんぼ	赤とんぼ	秋	17.9.6.
822	夕焼けの河原の似合ふ秋茜	秋茜	秋	17.9.6.
823	夕焼けの河原無辺に秋あかね	秋茜	秋	17.9.7.
824	臀呫（となめ）せし番も混じり秋津飛ぶ	秋津（＝秋茜）	秋	17.9.7.
825	臀呫（となめ）せし番も混じる秋あかね	秋茜	秋	17.9.7.
825	臀呫（となめ）して曲飛を見せる秋茜	秋茜	秋	17.9.7.
826	臀呫（となめ）して愛の飛翔の秋茜	秋茜	秋	17.9.7.
827	臀呫（となめ）して愛の飛翔の赤とんぼ	赤とんぼ	秋	17.9.7.
828	曲芸の臀呫（となめ）で飛びし赤とんぼ	赤とんぼ	秋	17.9.7.
829	池の面を臀呫（となめ）で飛びし赤とんぼ	赤とんぼ	秋	17.9.7.
830	池の面に臀呫（となめ）映して赤とんぼ	赤とんぼ	秋	17.9.7.
831	池の面に臀呫（となめ）映して秋津飛ぶ	秋津	秋	17.9.7.
832	赤とんぼ愛の曲飛の臀呫（となめ）かな	赤とんぼ	秋	17.9.7.
833	愛の輪を池面に映し秋津飛ぶ	秋津	秋	17.9.7.
834	畑仕事終えし空飛ぶ群れ秋津	秋津	秋	17.9.7.
835	タンデム車走る高原秋あかね	秋茜	秋	17.9.7.
836	藷食った仁王屁をこき臭うかあ	秋茜	秋	17.9.8.
837	椿の実爆ぜて種とぶ二つ三つ	椿の実	秋	17.9.8.
838	椿の実割れて顔出す種三つ	椿の実	秋	17.9.8.
839	夕映えに儚く萎む酔芙蓉	酔芙蓉	秋	17.9.8.
840	人の世も儚きものと酔芙蓉	酔芙蓉	秋	17.9.8.
841	酔いどれの頭擦りし酔芙蓉	酔芙蓉	秋	17.9.8.
842	萎みたる姿虚しく酔芙蓉	酔芙蓉	秋	17.9.8.
843	老残を曝し居残る酔芙蓉	酔芙蓉	秋	17.9.8.
844	鏡見て身につまされぬ酔芙蓉	酔芙蓉	秋	17.9.8.
845	萎みたる顔赤らめて酔芙蓉	酔芙蓉	秋	17.9.8.
846	萎みしを落花もならず酔芙蓉	酔芙蓉	秋	17.9.8.
847	頭垂れ枝に居残る酔芙蓉	酔芙蓉	秋	17.9.8.
848	鳥渡る棚田眩しき黄金かな	鳥渡る	秋	17.9.8.
849	秋燕に棚田眩しき黄金かな	秋燕	秋	17.9.9.
850	稔り初む棚田越え行く秋燕	秋燕	秋	17.9.9.
851	稔り初む棚田越え行く帰燕かな	帰燕	秋	17.9.9.
852	高浪に見え隠れして飛ぶ帰燕	帰燕	秋	17.9.9.
853	浪の上ひらりひらりと燕去る	燕去る	秋	17.9.9.
854	海原の波濤掠めて行く帰燕	帰燕	秋	17.9.9.
855	海原のしぶきかわして飛ぶ帰燕	帰燕	秋	17.9.9.
856	海原に影を連ねて帰燕飛ぶ	帰燕	秋	17.9.9.
857	燕去り人影見えぬ過疎の里	燕去る	秋	17.9.9.
858	子育てを終えて帰燕の巣の寂し	帰燕	秋	17.9.9.
859	菊坂に明治の気配秋茜	秋茜	秋	17.9.9.
860	菊坂は坂の町なり処暑の風	処暑	秋	17.9.9.
861	明治の香残す菊坂秋日和	秋日和	秋	17.9.9.
862	菊坂に明治辿れば鰯雲	鰯雲	秋	17.9.9.
863	重陽に菊坂辿る縁かな	重陽	秋	17.9.9.
864	宵闇を探しあぐねし試胆会	宵闇	秋	17.9.9.
865	宵闇を探せど墓地も常夜灯	宵闇	秋	17.9.9.
866	菊坂に明治を辿る秋日和	秋日和	秋	17.9.9.
867	宵闇や墓地へ駆け行く肝試し	宵闇	秋	17.9.9.
868	宵闇にごとりと鳴りし船溜まり	宵闇	秋	17.9.9.
869	高浪に見え隠れしつ去る燕	去る燕	秋	17.9.9.
870	海原へひらりひらりと燕去る	燕去る	秋	17.9.10.
871	先島をさらに南下の帰燕かな	帰燕	秋	17.9.10.
872	海原を滑るがごとく飛ぶ帰燕	帰燕	秋	17.9.10.
873	神の声ありて飛び立つ帰燕かな	帰燕	秋	17.9.10.
874	宵闇やごとりごとりと水車小屋	宵闇	秋	17.9.10.
875	燕去り雉鳩鳴けりででぽぽー	燕去る	秋	17.9.10.
876	秋燕を送り雉鳩声寂びぬ	秋燕	秋	17.9.10.
877	ぷちぷちと爪切る空を帰燕過ぐ	帰燕	秋	17.9.10.
878	岬の空ひと翻り燕去る	燕去る	秋	17.9.10.
879	月島のもんじゃ通りを去ぬ燕	去る燕	秋	17.9.10.
880	もんじゃ焼く煙抜け行く秋燕	秋燕	秋	17.9.10.
881	水平線越え行く点の帰燕かな	帰燕	秋	17.9.10.
882	燕去り葉擦れしめやか葦の原	燕去る	秋	17.9.10.
883	殊勲の星笑顔隠さぬ勝力士	勝力士	秋	17.9.11.
884	付き人と拳合せる勝力士	勝力士	秋	17.9.11.
885	べったりと背中に砂の負け力士	力士	秋	17.9.11.
886	手の振りを直ぐに覚えて踊りの輪	踊	秋	17.9.11.
887	夜の更けし路地行く胡弓風の盆	風の盆	秋	17.9.11.
888	下り簗跳ねるを拾ふ川漁師	下り簗	秋	17.9.11.
889	長鍬で深々と掘る牛蒡引き	牛蒡引き	秋	17.9.11.
890	伐るほどに空の広がる竹林	竹伐る	秋	17.9.11.
891	誰それに似た顔並ぶ案山子かな	案山子	秋	17.9.11.
892	おっぱいの大き案山子が一等賞	案山子	秋	17.9.11.
893	ばったんこ終日尻を打ち通し	ばったんこ（＝鹿威し）	秋	17.9.11.
894	一葉の旧居の井戸や鳳仙花	鳳仙花	秋	17.9.11.
895	名を刻む礎摩文仁の鳳仙花	鳳仙花	秋	17.9.12.
896	列島の空研ぎ澄ます雁渡し	雁渡し	秋	17.9.12.
897	列島の空研ぎ澄ます雁渡し	雁渡し	秋	17.9.12.
898	水遣りの間合ひ広がる雁渡し	雁渡し	秋	17.9.12.
899	青北風や緩きくの字の鐙坂	鐙坂	秋	17.9.12.
900	青北風のカーブして行く鐙坂	鐙坂	秋	17.9.12.
901	一葉を偲ぶ菊坂雁渡し	雁渡し	秋	17.9.12.
902	青北風やかつ重も出す甘味店	青北風	秋	17.9.12.
903	路地奥は行き止まりなり雁渡し	雁渡し	秋	17.9.12.
904	青北風や一葉の井戸水温し	青北風	秋	17.9.12.
905	飛行雲たちまちにじむ雁渡し	雁渡し	秋	17.9.12.
906	三つ指で輩も絞る酢橘かな	酢橘	秋	17.9.12.
907	三つ指でてんでに絞る酢橘かな	酢橘	秋	17.9.12.
908	瀬戸の島めぐる渡船や雁渡し	雁渡し	秋	17.9.12.
909	蚯蚓鳴く足の痺れし茶の湯かな	蚯蚓鳴く	秋	17.9.13.
910	沢隔て大き蜂の巣山粧ふ	山粧ふ	秋	17.9.13.
911	連山の粧ひ初めて空群青	山粧ふ	秋	17.9.13.
912	粧ふは金蘭緞子山眩し	山粧ふ	秋	17.9.13.
913	粧ひて華やぐ山の着物ショー	山粧ふ	秋	17.9.13.
914	粧ひて浮き立つ山の着物ショー	山粧ふ	秋	17.9.13.
915	粧ひし山々どれも若造り	山粧ふ	秋	17.9.13.
916	十月は九月の続き日本晴れ	十月	秋	17.9.13.
917	十月や終日唸るコンバイン	十月	秋	17.9.13.
918	稲刈りの姿伝へし棚田かな	稲刈り	秋	17.9.13.
919	稲刈りの賑ひ残す棚田かな	稲刈り	秋	17.9.13.
920	稲刈りの賑ひ嬉し棚田かな	稲刈り	秋	17.9.13.
921	一葉の旧居の井戸や雁渡し	雁渡し	秋	17.9.13.
922	蔓橋揺れても逃げぬ銀やんま	やんま	秋	17.9.13.
923	実むらさき白き式部と艶競ふ	実むらさき	秋	17.9.14.
924	現代語訳を読破や実むらさき	実むらさき	秋	17.9.14.
925	女御更衣あまたと口に実むらさき	実むらさき	秋	17.9.14.
926	団栗の悲鳴に気づく足裏かな	団栗	秋	17.9.14.
927	手に余るほど榧の実を拾ひけり	榧の実	秋	17.9.14.
928	児はどんぐり母は榧の実拾ひけり	団栗・榧の実	秋	17.9.14.
929	榧の実をあてに酒酌む杣夫かな	榧の実	秋	17.9.14.
930	榧の実のずしりと重き宅急便	榧の実	秋	17.9.14.
931	わいわいと河原にぎやか芋煮会	芋煮会	秋	17.9.14.
932	椀を手に順番を待つ芋煮会	芋煮会	秋	17.9.14.
933	ゆるキャラも大鍋めぐる芋煮会	芋煮会	秋	17.9.14.
934	キャンプ場大鍋並ぶ芋煮会	芋煮会	秋	17.9.14.
935	芋煮会十杯食べし猛者もゐて	芋煮会	秋	17.9.14.
936	芋煮会集団見合ひ兼ねてをり	芋煮会	秋	17.9.14.
937	嫁に来てと声かけ浜の芋煮会	芋煮会	秋	17.9.14.
938	具を足して芋煮だんだんちゃんこ鍋	芋煮会	秋	17.9.14.
939	豚汁を大鍋で炊く芋煮会	芋煮会	秋	17.9.14.
940	大根炊く寺の鍋借り芋煮会	芋煮会	秋	17.9.14.
941	秋川の河原貸切る芋煮会	芋煮会	秋	17.9.14.
942	碧い眼も啜る麦飯とろろ汁	とろろ汁	秋	17.9.15.
943	大川をそぞろ歩きやとろろ汁	とろろ汁	秋	17.9.15.
944	新蕎麦を食みてそば湯で仕上げけり	新蕎麦	秋	17.9.15.
945	新蕎麦や店主顔出し一家言	新蕎麦	秋	17.9.15.
946	新蕎麦を待つ間ゆっくりとそば前酒	新蕎麦	秋	17.9.15.
947	新蕎麦を待つ間楽しきそば前酒	新蕎麦	秋	17.9.15.
948	新蕎麦を食みつ店主のひとくさり	新蕎麦	秋	17.9.15.
949	青い目も派手に音立て走り蕎麦	走り蕎麦	秋	17.9.15.
950	蓋開けて熱々舐る柚釜かな	柚釜	秋	17.9.15.
951	子規偲び柚子味噌あての宴かな	柚子味噌	秋	17.9.15.
952	塗膳に並ぶ小皿の菊膾	菊膾	秋	17.9.15.
953	菊膾ひやりと喉を下りけり	菊膾	秋	17.9.15.
954	懐石や小皿の似合ふ菊膾	菊膾	秋	17.9.15.
955	定席に掛ければ置かる菊膾	菊膾	秋	17.9.15.
956	紫も黄も鮮やかに菊膾	菊膾	秋	17.9.15.
957	庭に降り花ちょんちょんと菊膾	菊膾	秋	17.9.15.
958	菊膾花食ふ人となる夕餉	菊膾	秋	17.9.15.
959	横綱も菊膾食ふ宴かな	菊膾	秋	17.9.15.
960	青い目が箸に摘まみし菊膾	菊膾	秋	17.9.15.
961	辛子和へ好みし父の菊膾	菊膾	秋	17.9.15.
962	彩に二色三色菊なます	菊膾	秋	17.9.15.
963	もってのほか由来いろいろ菊膾	菊膾	秋	17.9.15.
964	もってのほか由来ではずむ菊膾	菊膾	秋	17.9.15.
965	甘酢よし辛子和へよし菊膾	菊膾	秋	17.9.15.
966	北国の膳にいろどり菊膾	菊膾	秋	17.9.15.
967	もってのほかもってのほかと菊膾	菊膾	秋	17.9.15.
968	炎上と書ひてルビ振るマンジュシャゲ	曼殊沙華	秋	17.9.15.
969	曼殊沙華燃え立つ花の横並び	曼殊沙華	秋	17.9.15.
970	大徳の野糞する野辺曼殊沙華	曼殊沙華	秋	17.9.15.
971	曼殊沙華群れ咲く野辺に雉打たん	曼殊沙華	秋	17.9.15.
972	天守より瀬戸の海見ゆ獺祭忌	獺祭忌	秋	17.9.16.
973	雁渡し雲なき空に天守閣	雁渡し	秋	17.9.16.
974	笑ひ声われ置き去りに鬼城の忌	鬼城忌	秋	17.9.16.
975	卓上に飾り嫌はる彼岸花	彼岸花	秋	17.9.16.
976	毀誉褒貶好かれ嫌はれ曼殊沙華	曼殊沙華	秋	17.9.16.
977	草間彌生熱き想いや曼殊沙華	曼殊沙華	秋	17.9.16.
978	暮れなずむ野辺の狐火彼岸花	彼岸花	秋	17.9.16.
979	妖しさを見せて群れ咲く彼岸花	彼岸花	秋	17.9.16.
980	鉢植えに白き砥ぎ汁曼殊沙華	曼殊沙華	秋	17.9.16.
981	野仏や供花山盛りの彼岸花	彼岸花	秋	17.9.16.
982	鷹女なら好きか嫌ひか彼岸花	彼岸花	秋	17.9.16.
983	鷹女なら好きと言ひそな彼岸花	彼岸花	秋	17.9.16.
984	天を突く怒りの拳曼殊沙華	曼殊沙華	秋	17.9.16.
985	野仏を炎で包む曼殊沙華	曼殊沙華	秋	17.9.16.
986	夕映えや野仏炙る曼殊沙華	曼殊沙華	秋	17.9.16.
987	啄木鳥やたららたららと樹の歌ふ	啄木鳥	秋	17.9.17.
988	隠沼に小さき小波けらつつき	けらつつき	秋	17.9.17.
989	杣道に連打軽やかけらつつき	けらつつき	秋	17.9.17.
990	啄木鳥にぽんと合の手鼓打つ	啄木鳥	秋	17.9.17.
991	啄木鳥に合せ小太鼓連打音	啄木鳥	秋	17.9.17.
992	山深く静寂を破るけらつつき	けらつつき	秋	17.9.17.
993	チェーンソー回れば黙すけらつつき	けらつつき	秋	17.9.17.
994	木つつきの連打で明ける山の宿	木つつき	秋	17.9.17.
995	木つつきの連打気になる嘴の減り	木つつき	秋	17.9.17.
996	夜明けから連打勤しむけらつつき	けらつつき	秋	17.9.17.
997	啄木鳥の連打軽やか子守歌	啄木鳥	秋	17.9.17.
998	児の詠句みみず鳴くってほんとかな	蚯蚓鳴く	秋	17.9.18.
999	かまととの乙女懐かし蚯蚓鳴く	蚯蚓鳴く	秋	17.9.18.
1000	かまととは昭和の乙女みみず鳴く	蚯蚓鳴く	秋	17.9.18.
1001	蚯蚓鳴く詠句並べて大真面目	蚯蚓鳴く	秋	17.9.18.
1002	雄と雌身に掛け持ちて蚯蚓鳴く	蚯蚓鳴く	秋	17.9.18.
1003	まぐわひの無き身嘆きて蚯蚓鳴く	蚯蚓鳴く	秋	17.9.18.
1004	エレベータ降りる階過ぎ蚯蚓鳴く	蚯蚓鳴く	秋	17.9.18.
1005	連れ合ひのゐぬ身寂しと蚯蚓鳴く	蚯蚓鳴く	秋	17.9.18.
1006	彼が欲し彼女が欲しと蚯蚓鳴く	蚯蚓鳴く	秋	17.9.18.
1007	寝袋に辿る夢路や蚯蚓鳴く	蚯蚓鳴く	秋	17.9.18.
1008	しめやかに地のをちこちで蚯蚓鳴く	蚯蚓鳴く	秋	17.9.18.
1009	蚯蚓鳴く長さ程よき般若経	蚯蚓鳴く	秋	17.9.18.
1010	蚯蚓鳴く程よき長さ般若経	蚯蚓鳴く	秋	17.9.18.
1011	道祖神覆い隠して葛の花	葛の花	秋	17.9.18.
1012	滝の音足下に響く葛の花	葛の花	秋	17.9.18.
1013	滝の音背に響かせて葛の花	葛の花	秋	17.9.18.
1014	風さわぐ葉裏葉表葛の花	葛の花	秋	17.9.18.
1015	風呼んで葉の騒めけり葛の花	葛の花	秋	17.9.18.
1016	騒めける葉に無頓着葛の花	葛の花	秋	17.9.18.
1017	咲きこぼる葛の花背に御師の宿	葛の花	秋	17.9.18.
1018	己が身の孤独に蚯蚓泣きにけり	蚯蚓鳴く	秋	17.9.18.
1019	己が身を寂しめ蚯蚓嗚咽せり	蚯蚓鳴く	秋	17.9.18.
1020	蚯蚓鳴く児らには出せぬ季語のあり	蚯蚓鳴く	秋	17.9.19.
1021	庭隅に居ついて三年曼殊沙華	曼殊沙華	秋	17.9.19.
1022	勝手咲く狭庭の隅の彼岸花	彼岸花	秋	17.9.19.
1023	居ついたな狭庭に赤き曼殊沙華	曼殊沙華	秋	17.9.19.
1024	野に化せしわが狭庭なり曼殊沙華	曼殊沙華	秋	17.9.19.
1025	わが庭は野の花尽くし曼殊沙華	曼殊沙華	秋	17.9.19.
1026	野と化せし庭も風雅や曼殊沙華	曼殊沙華	秋	17.9.19.
1027	知らぬ間に庭に居つきし曼殊沙華	曼殊沙華	秋	17.9.19.
1028	庭隅にやはり妖しき曼殊沙華	曼殊沙華	秋	17.9.19.
1029	庭隅に咲けば寂しき彼岸花	彼岸花	秋	17.9.19.
1030	庭隅の金魚の墓地や彼岸花	彼岸花	秋	17.9.19.
1031	紛れずに狭庭を埋めよ曼殊沙華	曼殊沙華	秋	17.9.19.
1032	けふあれどあしたを持たぬ酔芙蓉	酔芙蓉	秋	17.9.19.
1033	蚯蚓鳴ひて石も歌ふや竜安寺	蚯蚓鳴く	秋	17.9.20.
1034	終活の桜紅葉の落葉降る	桜紅葉	秋	17.9.20.
1035	老残を桜紅葉の美名にて	桜紅葉	秋	17.9.20.
1036	老いの果て紅葉となりて散る桜	桜紅葉	秋	17.9.20.
1037	桜紅葉呼び名美し老いの果て	桜紅葉	秋	17.9.20.
1038	桜紅葉愛でる声なき落葉かな	桜紅葉	秋	17.9.20.
1039	桜紅葉よき名貰ひて散り初めり	桜紅葉	秋	17.9.20.
1040	桜もみじ黄泉比良坂この先か	桜紅葉	秋	17.9.20.
1041	桜紅葉ひと葉ひと葉を落としゆく	桜紅葉	秋	17.9.20.
1042	桜紅葉すつと離るる落葉あり	桜紅葉	秋	17.9.20.
1043	桜紅葉こそりこそりと散る落葉	桜紅葉	秋	17.9.20.
1044	桜紅葉こそりこそりと散りゆけり	桜紅葉	秋	17.9.20.
1045	桜紅葉かさりこそりと散りゆけり	桜紅葉	秋	17.9.20.
1046	雑木紅葉多岐多様なる色模様	桜紅葉	秋	17.9.20.
1047	蚯蚓鳴く守宮の肌の薄き色	蚯蚓鳴く	秋	17.9.21.
1048	庭隅の木の間隠れや曼殊沙華	曼殊沙華	秋	17.9.21.
1049	日当たりに木の間隠れに曼殊沙華	曼殊沙華	秋	17.9.21.
1050	補聴器を外す夜更けに蚯蚓鳴く	蚯蚓鳴く	秋	17.9.21.
1051	蚯蚓鳴く一筆描きの俳画かな	蚯蚓鳴く	秋	17.9.21.
1052	小公園赤白競ふ曼殊沙華	曼殊沙華	秋	17.9.21.
1053	山粧ふ渡る吊り橋縦に揺れ	山粧ふ	秋	17.9.21.
1054	天高し渡る吊橋縦に揺れ	天高し	秋	17.9.21.
1055	句仲間のよちよち歩き蚯蚓鳴く	蚯蚓鳴く	秋	17.9.21.
1056	足痺れ立つにも立てず蚯蚓鳴く	蚯蚓鳴く	秋	17.9.21.
1057	わが青春遠くにかすみ蚯蚓鳴く	蚯蚓鳴く	秋	17.9.21.
1058	まぐわいを知らぬ定めの蚯蚓鳴く	蚯蚓鳴く	秋	17.9.21.
1059	休肝日仕事はかどる夜長かな	夜長	秋	17.9.22.
1060	夜は長し路地行く声の憚らず	夜長	秋	17.9.22.
1061	蚯蚓鳴く時に哭く夜のありしかも	蚯蚓鳴く	秋	17.9.22.
1062	コンビニの客の出入りも夜長かな	夜長	秋	17.9.22.
1063	午前二時書斎の灯消す夜長かな	夜長	秋	17.9.22.
1064	切岸を覆ふ山路の葛の花	葛の花	秋	17.9.22.
1065	寄らんとし切岸の端葛の花	葛の花	秋	17.9.22.
1066	山路来て瀬音を覆ふ葛の花	葛の花	秋	17.9.22.
1067	山路来て瀬音騒がし葛の花	葛の花	秋	17.9.22.
1068	重なりし葉を統べて咲く葛の花	葛の花	秋	17.9.22.
1069	長き夜や披講に名乗る声弾む	夜長	秋	17.9.22.
1070	寄り行けば切岸の端葛の花	葛の花	秋	17.9.23.
1071	庭隅に燃ゆる花あり曼殊沙華	曼殊沙華	秋	17.9.23.
1072	庭隅に六つの炎曼殊沙華	曼殊沙華	秋	17.9.23.
1073	との曇る日は寂し気に彼岸花	彼岸花	秋	17.9.23.
1074	草刈りが刈り残しゆく曼殊沙華	曼殊沙華	秋	17.9.23.
1075	新幹線見上ぐる畦の曼殊沙華	曼殊沙華	秋	17.9.23.
1076	茎一筋シンプルがよし曼殊沙華	曼殊沙華	秋	17.9.23.
1077	墓参り供花に混ざりし彼岸花	彼岸花	秋	17.9.23.
1078	一画の墓碑を囲みし彼岸花	彼岸花	秋	17.9.23.
1079	墓地隅に所を得たる彼岸花	彼岸花	秋	17.9.23.
1080	マドンナの赤毛の鬘彼岸花	彼岸花	秋	17.9.23.
1081	蓋開けて熱々を食む柚釜かな	柚釜	秋	17.9.23.
1082	香とともに熱々を食む柚釜かな	柚釜	秋	17.9.23.
1083	児ら嬉々と学校田の陸稲刈る	陸稲	秋	17.9.24.
1084	学校田刈りし陸稲の焼きむすび	陸稲	秋	17.9.24.
1085	山路来て小人の国のたまご茸	茸	秋	17.9.24.
1086	紅艶やか杣の摘みたるたまご茸	茸	秋	17.9.24.
1087	書き綴りたきこと多き愁思かな	愁思	秋	17.9.24.
1088	余命をばフルに使はんわが愁思	愁思	秋	17.9.24.
1089	里人は粧ふ山に冬支度	山粧ふ	秋	17.9.24.
1090	麓へと山の粧ひ日々速し	山粧ふ	秋	17.9.24.
1091	韋駄天で山々駆ける龍田姫	龍田姫	秋	17.9.24.
1092	トレパンで山駈け廻る龍田姫	龍田姫	秋	17.9.24.
1093	山路行けば頬に触れ行く龍田姫	龍田姫	秋	17.9.24.
1094	彩管を握り山駆く龍田姫	龍田姫	秋	17.9.24.
1095	長き夜や披講の名乗り声弾む	夜長	秋	17.9.24.
1096	味噌醤油塩どれでも旨し衣被	衣被	秋	17.9.25.
1097	子供らはつるりが楽し衣被	衣被	秋	17.9.25.
1098	般若湯あては手掴み衣被	衣被	秋	17.9.25.
1099	手掴みにはしゃぐ子供ら衣被	衣被	秋	17.9.25.
1100	ガラス戸越し夜空見上げつきぬかつぎ	衣被	秋	17.9.25.
1101	三万句詠み遂げし日や天高し	天高し	秋	17.9.25.

★第29回句集で８４１と９４２の間の101句がノンブルの飛ばしで抜けたため、第30回を１１０１句搭載、3万句達成とします。 ★東日本大震災（２０１１．３．１１．）発生の年の8月10日に第1回「1日10句以上千句を詠む」のタイトルで1句目を打ち込み、回を重ねて6年1か月を経た2017年9月25日に第30回満願に漕ぎつけました。引き続き同じタイトルで第31回をスタートいたします。さて、何句まで詠み続けられるか、見守ってください。（鈴童） ♪Ripple［夏は来ぬ］arranged by Ripple♪

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