一日十句以上千句を詠む

奥多摩山歩草花編２

鈴童の遊び


1	突き出しは小ぶりが五つきぬかつぎ	衣被（きぬかつぎ）	秋	17.9.25.
2	熱々が大皿で出るきぬかつぎ	衣被	秋	17.9.25.
3	主食でなしやはりおかずか衣被	衣被	秋	17.9.25.
4	住職も胡坐で摘まむきぬかつぎ	衣被	秋	17.9.25.
5	塩組と味噌派に別れきぬかつぎ	衣被	秋	17.9.25.
6	握り飯脇に詰め込むきぬかつぎ	衣被	秋	17.9.25.
7	彩管を手に山染むる龍田姫	龍田姫	秋	17.9.25.
8	赤ペンキ被り艶やかたまご茸	茸	秋	17.9.25.
9	紅ずいき甘酢仕立ての祝ひ膳	芋茎（ずいき）	秋	17.9.25.
10	炊き合はすずいきを食めば母の味	芋茎	秋	17.9.25.
11	含め煮のずいきしみじみ母の味	芋茎	秋	17.9.25.
12	指先を濡らしつ食めり月見豆	月見豆	秋	17.9.25.
13	更待や忘れし雨戸閉めにけり	更待	秋	17.9.25.
14	豊水は旨ひぞなもし獺祭忌	獺祭忌	秋	17.9.25.
15	スマホ手に速足で行く秋遍路	秋遍路	秋	17.9.25.
16	早稲を刈る音軽やかにコンバイン	早稲	秋	17.9.26.
17	雀群れ風さはやかな刈田かな	刈田	秋	17.9.26.
18	演習田稲架掛けてゆく農学生	稲架	秋	17.9.26.
19	秋の虹撮らんとすれば消えにけり	秋の虹	秋	17.9.26.
20	見上ぐれば雲間に薄き秋の虹	秋の虹	秋	17.9.26.
21	七色が色褪せ懸る秋の虹	秋の虹	秋	17.9.26.
22	管理職独り残りし夜業の灯	夜業	秋	17.9.26.
23	肩並べ芒が原を行くジョガー	芒	秋	17.9.26.
24	一角を占めて風呼ぶ藤袴	藤袴	秋	17.9.26.
25	藤袴愛想なけれど香のほのか	藤袴	秋	17.9.26.
26	日の色を含めば甘し一位の実	一位の実	秋	17.9.26.
27	一徹を見せて垂直やまの芋	山芋	秋	17.9.26.
28	抜き差しを許さぬ一徹山の芋	山芋	秋	17.9.26.
29	名人の掘りし自然薯瑕疵見えず	自然薯	秋	17.9.26.
30	曲がること嫌ひ通せし山の芋	山芋	秋	17.9.26.
31	腹の芋ひねもす磨く芋水車	芋水車	秋	17.9.26.
32	休んではまた回り出す芋水車	芋水車	秋	17.9.26.
33	手抜きせずごろりごろりと芋水車	芋水車	秋	17.9.26.
34	山里に人住む証し芋水車	芋水車	秋	17.9.26.
35	毛深きを白肌に変え芋水車	芋水車	秋	17.9.26.
36	虫屋いまマニア出入りの秘密基地	虫屋・虫売り	秋	17.9.27.
37	サッシ窓明ければ闇にちちろ鳴く	ちちろ虫	秋	17.9.27.
38	髭ひと振りさても気弱に鳴くちちろ	ちちろ虫	秋	17.9.27.
39	ちちろ鳴く暗き厨に耳寄せり	ちちろ虫	秋	17.9.27.
40	ふぃりりりと銀の鈴振る草ひばり	草雲雀	秋	17.9.27.
41	初潮（しょちょう）と読み笑ひを誘ふ披講かな	初潮	秋	17.9.27.
42	更待の月影寂し夜空かな	更待月	秋	17.9.27.
43	更待の夜空高きを飛行灯	更待月	秋	17.9.27.
44	秋蝶と言へど生き生き蜆蝶	秋蝶	秋	17.9.27.
45	廃屋や紐のほつれし秋簾	秋簾	秋	17.9.27.
46	秋の蚊や血を吸ふ針の衰へず	秋の蚊	秋	17.9.27.
47	思い秘め心の旅の秋遍路	秋遍路	秋	17.9.27.
48	終活の一つと言ひし秋遍路	秋遍路	秋	17.9.27.
49	夫婦して車で巡る秋遍路	秋遍路	秋	17.9.27.
50	巡り來し札所スマホに秋遍路	秋遍路	秋	17.9.27.
51	花薄荷ひと茎挿しぬ卓上花	花薄荷	秋	17.9.28.
52	葉を噛めば生成り清しき花薄荷	花薄荷	秋	17.9.28.
53	鶏頭の花の露はにたじろげり	鶏頭	秋	17.9.28.
54	人埴輪女陰あらはに鶏頭花	鶏頭花	秋	17.9.28.
55	太刀魚を捌く柳刃横一閃	太刀魚	秋	17.9.28.
56	つみれ汁熱き塗椀鰯雲	鰯雲	秋	17.9.28.
57	鯊釣りの小舟散らして三番瀬	鯊釣り	秋	17.9.28.
58	鯊釣りの船散り敷きぬ三番瀬	鯊釣り	秋	17.9.28.
59	風の来てそれと気づけり吾亦紅	吾亦紅	秋	17.9.28.
60	吾亦紅勁草なりや儚きや	吾亦紅	秋	17.9.28.
61	饒舌な葉を分け咲けり葛の花	葛の花	秋	17.9.28.
62	草刈りや知らずに刈らる吾亦紅	吾亦紅	秋	17.9.29.
63	儚きを闇に描ひてちちろ鳴く	ちちろ鳴く	秋	17.9.29.
64	庭隅の闇の深きにちちろ鳴く	ちちろ鳴く	秋	17.9.29.
65	しみじみと儚き響きちちろ鳴く	ちちろ鳴く	秋	17.9.29.
66	闇深くちちろかそけきラブコール	ちちろ虫	秋	17.9.29.
67	枕元ちちろ来て鳴く山の宿	ちちろ鳴く	秋	17.9.29.
68	つづれさせ夢路に母の針仕事	つづれさせ（蟋蟀）	秋	17.9.29.
69	つづれさせ鳴く夜の母の針仕事	つづれさせ	秋	17.9.29.
70	かそけくも闇の深きに鉦叩	鉦叩	秋	17.9.29.
71	単線の夜の踏切や鉦叩	鉦叩	秋	17.9.29.
72	蓑虫の浮世暮らしの伸び縮み	蓑虫	秋	17.9.29.
73	泣き虫にされて蚯蚓のにがり顔	蚯蚓鳴く	秋	17.9.29.
74	蓑虫に鳴ひてと頼むててなし児	蓑虫	秋	17.9.29.
75	蓑虫も蚯蚓も鳴かす俳諧師	蓑虫・蚯蚓鳴く	秋	17.9.29.
76	しめやかに蚯蚓鳴きけり芭蕉庵	蚯蚓鳴く	秋	17.9.29.
77	蚯蚓鳴く夜食できたと妻の声	蚯蚓鳴く	秋	17.9.29.
78	つづれさせ鳴く夜に母は針仕事	つづれさせ（＝蟋蟀）	秋	17.9.29.
79	捨て畑やここぞとばかり葛猛り	葛	秋	17.9.30.
80	白萩をはらりとこぼし風過る	白萩	秋	17.9.30.
81	白萩や蜜吸ふ虫のてんでんに	白萩	秋	17.9.30.
82	落し水ふいを突かれし泥鰌かな	落し水	秋	17.9.30.
83	落し水集めて猛る用水路	落し水	秋	17.9.30.
84	落し水集めて気負ふ水車小屋	落し水	秋	17.9.30.
85	色鳥の交す鳥語のひとしきり	色鳥	秋	17.9.30.
86	色鳥の交す鳥語の弾みけり	色鳥	秋	17.9.30.
87	たわみつつ塒に向かふ鶸の帯	鶸	秋	17.9.30.
88	啄木鳥の連弾響く人造湖	啄木鳥	秋	17.9.30.
89	山中の静寂を穿つけらつつき	けらつつき	秋	17.9.30.
90	走り蕎麦ざるの重ねを食うふ輩	走り蕎麦	秋	17.10.1.
91	新松子頑固一徹親譲り	新松子	秋	17.10.1.
92	豊満な乳のまるさや新松子	新松子	秋	17.10.1.
93	色変へぬ松や解散総選挙	色変へぬ松	秋	17.10.1.
94	烏瓜ちらと見上げて過ぎ行けり	烏瓜	秋	17.10.1.
95	枯れ蔓に入日と競ふ烏瓜	烏瓜	秋	17.10.1.
96	烏瓜火色になりて気付かるる	烏瓜	秋	17.10.1.
97	はいと受け貰って困る烏瓜	烏瓜	秋	17.10.1.
98	じゃんけんでちょきだけ出す子からすうり	烏瓜	秋	17.10.1.
99	庭師来て阿吽の呼吸松手入	松手入	秋	17.10.1.
100	地下足袋の脚だけ見せて松手入	松手入	秋	17.10.1.
101	無言の行昼まで続く松手入	松手入	秋	17.10.1.
102	饒舌が無口に変る松手入	松手入	秋	17.10.1.
103	親方も徒弟も無口松手入	松手入	秋	17.10.1.
104	墓守の刈り残しゆく彼岸花	彼岸花	秋	17.10.1.
105	墓守の刈り残しゆく曼珠沙華	曼珠沙華	秋	17.10.1.
106	畦道に刈り残したる曼珠沙華	曼珠沙華	秋	17.10.1.
107	畦道に刈り残したる彼岸花	曼珠沙華	秋	17.10.1.
108	畦道に刈り残されて曼珠沙華	曼珠沙華	秋	17.10.1.
109	花筒に一枝挿せる梅擬	梅擬	秋	17.10.2.
110	枝揺すり飛び去る鳥や梅擬	梅擬	秋	17.10.2.
111	古民家の夕日の庭や梅擬	梅擬	秋	17.10.2.
112	夕焼けの色足すごとく梅擬	梅擬	秋	17.10.2.
113	梅もどき風の音する屋敷林	梅擬	秋	17.10.2.
114	葉を落とすたびに色増す梅もどき	梅擬	秋	17.10.2.
115	茨の実ほのと色染む棘の奥	茨の実	秋	17.10.2.
116	浜の子の笑顔で齧る実玫瑰	実玫瑰	秋	17.10.2.
117	目に入れば寄りて足止む実かづら	実かづら	秋	17.10.2.
118	目に入ればしばし足止む実かづら	実かづら	秋	17.10.2.
119	集合果ずしりと受けり実かずら	実かづら	秋	17.10.2.
120	美男かづら長柄に赤き集合果	実かづら	秋	17.10.2.
121	金柑の実の艶やかに皮を食む	金柑	秋	17.10.2.
122	金柑の艶やかな皮齧りたり	金柑	秋	17.10.2.
123	浜風を呼んで玫瑰（はまなす）実を磨く	走り蕎麦	秋	17.10.2.
124	走り蕎麦ざるの重ねを啜り食ふ	走り蕎麦	秋	17.10.2.
125	走り蕎麦店主現れ一家言	走り蕎麦	秋	17.10.2.
126	松茸は遠くにありて占地椀	松茸・占地茸	秋	17.10.3.
127	食卓に気軽に載りし占地かな	占地茸	秋	17.10.3.
128	松茸は遠くにありて思茸	松茸	秋	17.10.3.
129	林間をゆけばお伽のたまご茸	茸	秋	17.10.3.
130	林間を行けば赤き帽子のたまご茸	茸	秋	17.10.3.
131	山路には赤白青き茸たち	茸	秋	17.10.3.
132	城址濠水草紅葉華やげり	水草紅葉	秋	17.10.3.
133	水草も紅葉仕立てや雲一つ	水草紅葉	秋	17.10.3.
134	水草の紅葉日を呼ぶ城址濠	水草紅葉	秋	17.10.3.
135	城址濠水草紅葉日を返す	水草紅葉	秋	17.10.3.
136	幼きに貰ひし赤き烏瓜	烏瓜	秋	17.10.3.
137	散歩道幼のくれし烏瓜	烏瓜	秋	17.10.3.
138	烏瓜いらぬと言へず子に貰ふ	烏瓜	秋	17.10.3.
139	夕風に頷き返す赤まんま	赤まんま	秋	17.10.3.
140	雀斑の少女懐かし杜鵑草	杜鵑草	秋	17.10.3.
141	早々と散り初む桜紅葉かな	桜紅葉	秋	17.10.4.
142	紅葉してはらりはらりと散る桜	桜紅葉	秋	17.10.4.
143	風無くて桜紅葉の葉の舞ひぬ	桜紅葉	秋	17.10.4.
144	路地奥の桜紅葉やポンプ井戸	桜紅葉	秋	17.10.4.
145	桜紅葉散りし猿山ボス代わる	桜紅葉	秋	17.10.4.
146	機影見上ぐ桜紅葉の並木道	桜紅葉	秋	17.10.4.
147	コートから球打つ音や鳳仙花	鳳仙花	秋	17.10.4.
148	コートから球打つ響き鳳仙花	鳳仙花	秋	17.10.4.
149	爪染めて姉と遊びし鳳仙花	鳳仙花	秋	17.10.4.
150	祖母と孫しゃがんで語る鳳仙花	鳳仙花	秋	17.10.4.
151	遊歩道真っ直ぐに伸び鳳仙花	鳳仙花	秋	17.10.4.
152	十坪ほど虫鳴く暗き狭庭かな	虫	秋	17.10.4.
153	九品仏膝下の闇の虫時雨	虫時雨	秋	17.10.4.
154	賓頭盧の座す回廊にちちろ鳴く	ちちろ	秋	17.10.4.
155	名月や雲の流れの速きこと	名月	秋	17.10.4.
156	隠れたり出でたり望の月見ショー	月見	秋	17.10.4.
157	名月を走らす雲の速さかな	名月	秋	17.10.4.
158	名月や狭庭を過る野良の影	名月	秋	17.10.4.
159	雨戸開けまた閉め直す良夜かな	良夜	秋	17.10.4.
160	朝剃りし髭ざらざらと良夜かな	良夜	秋	17.10.4.
161	韋駄天で名月走る雲間かな	名月	秋	17.10.4.
162	柿古木鴉の餌になる定め	柿	秋	17.10.5.
163	かぶりつく昔懐かし富有柿	柿	秋	17.10.5.
164	富有柿二つ平らげ子規気分	柿	秋	17.10.5.
165	採る人なく一樹すべてが木守柿	木守柿	秋	17.10.5.
166	フォーク添え白磁の皿のパーシモン	柿	秋	17.10.5.
167	米櫃から母の取り出す熟柿かな	柿	秋	17.10.5.
168	米櫃から熟柿取り出す母待てり	柿	秋	17.10.5.
169	米櫃から母取り出せし熟柿食む	柿	秋	17.10.5.
170	食むよりも吸い尽くしたる熟柿かな	柿	秋	17.10.5.
171	山里や入日に染まる柿すだれ	柿簾	秋	17.10.5.
172	日光にできを任せて柿すだれ	柿簾	秋	17.10.5.
173	日光に仕上げ任せて柿すだれ	柿簾	秋	17.10.5.
174	耳鳴りを虫の音と聴く八十路かな	虫	秋	17.10.5.
175	虫鳴いて恋の成就のさていくつ	虫	秋	17.10.5.
176	交番は今宵も留守やちちろ鳴く	ちちろ（＝蟋蟀）	秋	17.10.6.
177	交番の留守を守りてちちろ鳴く	ちちろ	秋	17.10.6.
178	故ありや昼の狭庭にちちろ鳴く	ちちろ	秋	17.10.6.
179	そこはかと寂びの夜つくるつづれさせ	つづれさせ（＝蟋蟀）	秋	17.10.6.
180	との曇る昼の庭隅ちちろ鳴く	ちちろ	秋	17.10.6.
181	との曇る庭の草陰すがれ虫	すがれ虫	秋	17.10.6.
182	との曇る昼を寂しめすがれ虫	すがれ虫	秋	17.10.6.
183	共謀罪人を黙らせ鰯雲	鰯雲	秋	17.10.6.
184	ぺらぺらと首相演説肌寒し	肌寒	秋	17.10.6.
185	肌寒を堪へ見得切る仁王かな	肌寒	秋	17.10.6.
186	暖房にするを憚る寒露かな	寒露	秋	17.10.7.
187	落ち着かず上着羽織りし寒露かな	寒露	秋	17.10.7.
188	雉鳩の鳴き音途切れる寒露かな	寒露	秋	17.10.7.
189	自販機のモーター回る寒露かな	寒露	秋	17.10.7.
190	竿竹売りとんと来ずなりけふ寒露	寒露	秋	17.10.7.
191	暖房の二文字浮かぶ寒露かな	寒露	秋	17.10.7.
192	まんこ記号描く子の絶えし秋の暮	秋の暮	秋	17.10.7.
193	後を引く芋けんぴ食む夜長かな	夜長	秋	17.10.7.
194	秋冷や上着羽織れど足寒し	秋冷	秋	17.10.7.
195	哲学を持たぬ政治やそぞろ寒	そぞろ寒	秋	17.10.7.
196	み仏の薄き衣の夜寒かな	夜寒	秋	17.10.7.
197	そぞろ寒かっと眼開く仁王像	そぞろ寒	秋	17.10.7.
198	仁王像身震いしたりそぞろ寒	そぞろ寒	秋	17.10.7.
199	今様はちちろも鳴かぬ厨かな	ちちろ	秋	17.10.7.
200	ユーチューブ開き邯鄲聴く夜かな	邯鄲	秋	17.10.7.
201	富有柿二つ平らげ子規気取り	柿	秋	17.10.7.
202	おっとりと雲を浮かべし十月来	十月	秋	17.10.8.
203	手鏡の裾野五湖見つ富士化粧	山粧ふ	秋	17.10.8.
204	十月や旅支度する八百万	十月	秋	17.10.8.
205	十月や旅の支度の八百万	十月	秋	17.10.8.
206	十月の山路急がす西没日	十月	秋	17.10.8.
207	粧ひし山の静寂のさやぎあり	山粧ふ	秋	17.10.8.
208	粧ひし山の静寂にさやぎあり	山粧ふ	秋	17.10.8.
209	粧ひし山密やかにさやぎけり	山粧ふ	秋	17.10.8.
210	月の輪も栗鼠も食ひ溜め秋の山	秋の山	秋	17.10.8.
211	龍田姫山駈け廻る塗り絵かな	龍田姫	秋	17.10.8.
212	龍田姫塗り残したる杉林	龍田姫	秋	17.10.8.
213	植林を塗り残し行く龍田姫	龍田姫	秋	17.10.8.
214	粧ひし山々なべて若造り	山粧ふ	秋	17.10.8.
215	おっとりと雲を浮かべて十月来	十月	秋	17.10.8.
216	啄木鳥のトレモロ響く湖岸かな	啄木鳥	秋	17.10.8.
217	新米をぱくりぱくりと手巻き寿司	新米	秋	17.10.9.
218	新米の酢飯華やぐ手巻き寿司	新米	秋	17.10.9.
219	新米の手巻き寿司食ふ男かな	新米	秋	17.10.9.
220	新米が新米を食ふ平和かな	新米	秋	17.10.9.
221	老ひてなほ胸の高鳴り十月来	十月	秋	17.10.9.
222	居眠りの覚めては眠る秋うらら	秋うらら	秋	17.10.9.
223	八十路来て詠句で遊ぶ夜長かな	夜長	秋	17.10.9.
224	それぞれの部屋で夜長の老夫婦	夜長	秋	17.10.9.
225	寝そびれて夜長潰しのユーチューブ	夜長	秋	17.10.9.
226	鼓打つ音のさやけし能舞台	さやけし	秋	17.10.9.
227	肥後守で鉛筆削る夜長かな	夜長	秋	17.10.9.
228	秋天に取り残されし浮浪雲	秋天	秋	17.10.9.
229	墓地に句碑建てたる墓や彼岸花	彼岸花	秋	17.10.9.
230	ゆらゆらと風を呼びをり藤袴	藤袴	秋	17.10.9.
231	紅葉して桜落葉の止めどなし	桜紅葉	秋	17.10.9.
232	紅葉して散り継ぐ桜落葉かな	桜紅葉	秋	17.10.9.
233	桜紅葉ただ武骨なる幹と枝	桜紅葉	秋	17.10.9.
234	桜紅葉見る人もなく葉を散らす	桜紅葉	秋	17.10.9.
235	般若経桜紅葉の散るを背に	桜紅葉	秋	17.10.9.
236	わが姿さくら紅葉に仮託せり	桜紅葉	秋	17.10.9.
237	良き名得て桜紅葉の自己矛盾	桜紅葉	秋	17.10.9.
238	山ガール花摘む先にななかまど	ななかまど	秋	17.10.10.
239	菊坂の路地の奥燃ゆななかまど	ななかまど	秋	17.10.10.
240	枯れ山に火焔眼に滲むななかまど	ななかまど	秋	17.10.10.
241	柿食って皮とぐろ巻く子規の部屋	柿	秋	17.10.10.
242	日に透けし枸杞の実含む散歩道	枸杞の実	秋	17.10.10.
243	日に透けし枸杞の実ついと含みたり	枸杞の実	秋	17.10.10.
244	同じ鉢四十年の万年青の実	万年青の実	秋	17.10.10.
245	咲き継ぎて朝顔の花日々百花	朝顔	秋	17.10.10.
246	宿根の朝顔咲けり日々百花	朝顔	秋	17.10.10.
247	紫紺の色深め咲き継ぐ牽牛花	牽牛花（＝朝顔）	秋	17.10.10.
248	近寄れば女陰に似たる鶏頭花	鶏頭花	秋	17.10.10.
249	七面鳥近づき行きぬ鶏頭花	鶏頭花	秋	17.10.10.
250	寂びさびて夜の暗がりつづれさせ	つづれさせ	秋	17.10.11.
251	芋虫の寿限無寿限無と逃げ出せり	芋虫	秋	17.10.11.
252	芋虫の痩せはおらずに太りじし	芋虫	秋	17.10.11.
253	螻蛄鳴かせ蚯蚓鳴かせる静寂かな	螻蛄鳴く・蚯蚓鳴く	秋	17.10.11.
254	螻蛄鳴かせ蚯蚓鳴かせる夜更けかな	螻蛄鳴く・蚯蚓鳴く	秋	17.10.11.
255	芋虫にやがて空飛ぶ大志あり	芋虫	秋	17.10.11.
256	邯鄲や息詰めて聴く人の耳	邯鄲	秋	17.10.11.
257	走る日々秋風沁みる馬霊塔	秋風	秋	17.10.11.
258	走り抜け秋風沁むや馬霊塔	秋風	秋	17.10.11.
259	走り抜け秋風沁みる馬霊塔	秋風	秋	17.10.11.
260	秋風や駿馬眠りし馬霊塔	秋風	秋	17.10.11.
261	駆け抜けて天高き日の馬霊塔	天高し	秋	17.10.11.
262	天高し嘶き聞こゆ馬霊塔	天高し	秋	17.10.11.
263	秋風にひずめの響き馬霊塔	秋風	秋	17.10.11.
264	秋天や名馬眠れる馬霊塔	秋天	秋	17.10.11.
265	大欅揺する秋風古社参道	秋風	秋	17.10.11.
266	たてがみに秋風沁むや馬霊塔	秋風	秋	17.10.11.
267	神さびし宮居の鳩や鳳仙花	鳳仙花	秋	17.10.12.
268	神さびし宮の鈴音や鳳仙花	鳳仙花	秋	17.10.12.
269	駆け抜けし名馬の墓碑や鳳仙花	鳳仙花	秋	17.10.12.
270	神さびし宮居出れば鳳仙花	鳳仙花	秋	17.10.12.
271	秋の古社乳首吸ひつく子狛犬（大國魂神社）	秋	秋	17.10.12.
272	秋の古社乳首咥える子狛犬（大國魂神社)	秋	秋	17.10.12.
273	秋風や武者立ち欅七揃え	秋風	秋	17.10.12.
274	咲き残る木犀の香のやはらかし	木犀	秋	17.10.12.
275	秋天や国衙偲びし柱穴（府中国衙遺跡で)	秋天	秋	17.10.12.
276	秋天や国衙偲びし朱の柱	秋天	秋	17.10.12.
277	平安の国衙巡りぬ鳳仙花	鳳仙花	秋	17.10.12.
278	竹の春京所道（きょうづみち）なる道標	竹の春	秋	17.10.12.
279	竹の春間伐傘の広さにて	竹の春	秋	17.10.12.
280	駆け抜けて天高き日や馬霊塔（府中競馬場．）	天高し	秋	17.10.12.
281	秋風や並ぶ名馬の墓碑十九	秋風	秋	17.10.12.
282	鶏頭てふ生臭きかな青春賦	鶏頭	秋	17.10.13.
283	鶏頭花生臭きかな青春賦	鶏頭花	秋	17.10.13.
284	鶏頭の複雑怪奇美か醜か	鶏頭	秋	17.10.13.
285	鶏頭花しみじみ見れば息苦し	鶏頭花	秋	17.10.13.
286	鶏頭花見つむるほどに胸騒ぎ	鶏頭花	秋	17.10.13.
287	色形気配妖しき鶏頭花	鶏頭花	秋	17.10.13.
288	肉感てふ妖術ありぬ鶏頭花	鶏頭花	秋	17.10.13.
289	指先でふと突きにけり鶏頭花	鶏頭花	秋	17.10.13.
290	秘所に触れし胸のときめき鶏頭花	鶏頭花	秋	17.10.13.
291	鶏頭のその肉厚を怪しめり	鶏頭	秋	17.10.13.
292	夕日浴びどどめ色なす鶏頭花	鶏頭花	秋	17.10.13.
293	見つむほど心騒ぐや鶏頭花	鶏頭花	秋	17.10.13.
294	寄るほどに姿妖しき鶏頭花	鶏頭花	秋	17.10.13.
295	異形をば日に惜し気なく鶏頭花	鶏頭花	秋	17.10.13.
296	柿の皮とぐろを巻きし子規の部屋	柿	秋	17.10.13.
297	芋虫の寿限無寿限無と遁走中	芋虫	秋	17.10.14.
298	芋虫の寿限無寿限無と逃げるかな	芋虫	秋	17.10.14.
299	芋虫の寿限無寿限無と逃げ行けり	芋虫	秋	17.10.14.
300	山の村終日回る芋水車	芋水車	秋	17.10.14.
301	列島に行き渡りたる泡立草	泡立草	秋	17.10.14.
302	七面鳥寄り来て見上ぐ鶏頭花	鶏頭花	秋	17.10.14.
303	秋風や名前連呼の選挙カー	秋風	秋	17.10.14.
304	散歩犬尿かけて行く赤まんま	赤まんま	秋	17.10.14.
305	石叩きたたき疲れて飛び去りぬ	石叩き	秋	17.10.14.
306	雨に濡れ色際立ちぬ秋薊	秋薊	秋	17.10.14.
307	雨の中背筋伸ばせし秋薊	秋薊	秋	17.10.14.
308	強靭な意志あるごとく秋薊	秋薊	秋	17.10.14.
309	七面鳥近づき見上ぐ鶏頭花	鶏頭花	秋	17.10.14.
310	枯れ山に火焔かと見ゆななかまど	ななかまど	秋	17.10.14.
311	両頬に木の実詰め込み栗鼠遁走	木の実	秋	17.10.14.
312	絶え間なく池面に水輪木の実降る	木の実	秋	17.10.14.
313	栗拾ひ榧の実拾ふ山路かな	栗・榧の実	秋	17.10.14.
314	頭肩弾む木の実や百羅漢	木の実	秋	17.10.14.
315	色鳥に鳥類図鑑ページ繰る	色鳥	秋	17.10.14.
316	コートから球音弾む鳳仙花	鳳仙花	秋	17.10.14.
317	球を打つコートの響き鳳仙花	鳳仙花	秋	17.10.14.
318	球打てるコートの響き鳳仙花	鳳仙花	秋	17.10.14.
319	ボール打つコートの響き鳳仙花	鳳仙花	秋	17.10.14.
320	打ち合へるコートの響き鳳仙花	鳳仙花	秋	17.10.15.
321	雉鳩も鳴かぬ朝なり秋時雨	秋時雨	秋	17.10.15.
322	秋しぐれ車窓に見えぬ富士の山	秋時雨	秋	17.10.15.
323	秋霖やテレビの音もくぐもりぬ	秋霖	秋	17.10.15.
324	秋霖やとうとうたらり能舞台	秋霖	秋	17.10.15.
325	居酒屋はだれも声高秋の雨	秋の雨	秋	17.10.15.
326	吊橋のちょうど真ん中秋しぐれ	秋時雨	秋	17.10.15.
327	穭田や刈根を包む薄緑	穭田	秋	17.10.15.
328	穭穂を啄む雉の番かな	穭穂	秋	17.10.15.
329	蛇穴に入りて長き尾残しをり	蛇穴	秋	17.10.15.
330	船溜まり次つぎ跳ねる鯔の群れ	鯔	秋	17.10.15.
331	尻尾見せ名乗りをしたり尉鶲	尉鶲	秋	17.10.16.
332	尾を振って名乗りをしたり尉鶲	尉鶲	秋	17.10.16.
333	列島の鉄路濡らして秋の雨	秋雨	秋	17.10.16.
334	富士隠し裾野煙らす秋黴雨（あきついり）	秋黴雨	秋	17.10.16.
335	B２９来ぬ間の稲田いなご捕り	蝗	秋	17.10.16.
336	空襲警報（けいほう）の解けて稲田の蝗捕り	蝗	秋	17.10.16.
337	秋うらら平和を乱す雀蜂	秋麗	秋	17.10.16.
338	にやりあり爆笑ありし案山子展	案山子	秋	17.10.16.
339	予讃線目立つ捨て田の泡立草	泡立草	秋	17.10.16.
340	稲架濡らし三日続きの烟り雨	稲架	秋	17.10.16.
341	不意打ちを喰らひし泥鰌落し雨	落し水	秋	17.10.16.
342	鵙高音古民家炎の炉の煙り	鵙高音	秋	17.10.16.
343	長雨や色鳥潜む寺大樹	色鳥	秋	17.10.16.
344	百羅漢木の実の雨に苦笑ひ	木の実	秋	17.10.16.
345	近道に落ちて踏まるる木の実かな	木の実	秋	17.10.16.
346	秋霖の靄に隠れし伊吹山	秋霖	秋	17.10.16.
347	列島をなべて濡らせし秋黴雨（あきついり）	秋黴雨	秋	17.10.17.
348	蛇穴に入りて長き尾はみ出せり	蛇穴に入る	秋	17.10.17.
349	蛇穴に頭隠して尾を余す	蛇穴に入る	秋	17.10.17
350	列島を濡れそぼらせて秋の雨	秋雨	秋	17.10.17.
351	青大将穴に入りても尾は外に	蛇穴に入る	秋	17.10.17.
352	秋黴雨白鷺城は靄の中	秋黴雨	秋	17.10.17.
353	秋黴雨丸亀城も霞たり	秋黴雨	秋	17.10.17.
354	秋雨と同行二人焼山寺	秋雨	秋	17.10.17.
355	秋雨や肌を温めん道後の湯	秋雨	秋	17.10.17.
356	泡立草大群落の捨て田かな	泡立草	秋	17.10.17.
357	湯上りに坊ちゃん団子秋黴雨	秋黴雨	秋	17.10.17
358	秋霖や歩き遍路の異邦人	秋霖	秋	17.10.18.
359	秋霖や九十九折行く遍路笠	秋霖	秋	17.10.18.
360	四国路や車窓に目立つ泡立草	泡立草	秋	17.10.18.
361	秋遍路尼僧の守る大日寺	秋遍路	秋	17.10.18.
362	女住職守る札所や秋遍路	秋遍路	秋	17.10.18.
363	秋遍路九十九折行く焼山寺	秋遍路	秋	17.10.18.
364	秋霖や法話楽しき札所寺	秋霖	秋	17.10.18.
365	秋雨に穭田烟る薄緑	秋雨	秋	17.10.18.
366	阿波路行く刈田を包む薄緑	刈田	秋	17.10.18.
367	青い目の歩き遍路や秋入日	秋入日	秋	17.10.18.
368	千枚田稲架を滴る雨しづく	稲架	秋	17.10.18.
369	稲刈りは農夫ひとりのコンバイン	稲刈り	秋	17.10.18.
370	稲刈りは行きつ戻りつコンバイン	稲刈り	秋	17.10.18.
371	木の実落つこつんぽとりと羅漢像	木の実	秋	17.10.18.
372	木の実落つ痛ててと笑ふ羅漢かな	木の実	秋	17.10.18.
373	雨に濡れ札所を下る秋遍路	秋遍路	秋	17.10.18.
374	青い目もめぐる札所や秋遍路	秋遍路	秋	17.10.18.
375	住職と集合写真秋へんろ	秋遍路	秋	17.10.18.
376	うそ寒や心に少し隙間でき	うそ寒	秋	17.10.18.
377	うそ寒や心に少し隙間あり	うそ寒	秋	17.10.18.
378	単線路揺れつ分け入る稲田かな	稲田	秋	17.10.18.
379	空室の目立つ団地や柿紅葉	柿紅葉	秋	17.10.19.
380	色鳥や深山幽谷札所寺	色鳥	秋	17.10.19.
381	色鳥やポケット図鑑が役に立つ	色鳥	秋	17.10.19.
382	色鳥のひそと晴れ待つ大樹かな	色鳥	秋	17.10.19.
383	枝移る色鳥追へば日の眩し	色鳥	秋	17.10.19.
384	図鑑手に色鳥見上ぐ民家園	色鳥	秋	17.10.19.
385	おれ八十路笑ってしまふ小春かな	小春	冬	17.10.19.
386	爽一字墨痕さやか老師の書	さやか	秋	17.10.19.
387	両頬に木の実詰め込み栗鼠走る	木の実	秋	17.10.19.
388	色鳥や白鳳仏は玻璃の奥	色鳥	秋	17.10.19.
389	色鳥や白鳳仏は椅座にして	色鳥	秋	17.10.19.
390	枝揺れて色鳥しかと飛び去れり	色鳥	秋	17.10.20.
391	色鳥来鳴き声で名を告げにけり	色鳥	秋	17.10.20.
392	目の前を色鳥過るロープウエイ	色鳥	秋	17.10.20.
393	玻璃戸越し色鳥写すスマホかな	色鳥	秋	17.10.20.
394	色鳥来枝から枝へ二分ほど	色鳥	秋	17.10.20.
395	色鳥や忍野八海鯉泳ぐ	色鳥	秋	17.10.20.
396	色鳥の何伝へ合ふ番かな	色鳥	秋	17.10.20.
397	色鳥のどれも濁らぬ黒目かな	色鳥	秋	17.10.20.
398	色鳥のどれも濁らぬ黒目して	色鳥	秋	17.10.20.
399	色鳥の切手を貼りて投句せむ	色鳥	秋	17.10.20.
400	仁王像色鳥映す大目玉	色鳥	秋	17.10.20.
401	色鳥の後に残せし枝の揺れ	色鳥	秋	17.10.20.
402	さはやかに真央藍喜美子引きにけり	さはやか	秋	17.10.20.
403	羅漢像ぽとりと腹に木の実落つ	木の実落つ	秋	17.10.20.
404	九十九折登れば霧の焼山寺	霧	秋	17.10.21.
405	秋霖やなほ九十九折る焼山寺	秋霖	秋	17.10.21.
406	川霧の退けば鄙びし水車小屋	霧	秋	17.10.21.
407	前立ちの仏仰ぎぬ霧の寺	霧	秋	17.10.21.
408	霧包む磴は青石焼山寺	霧	秋	17.10.21.
409	山霧の九十九折行く徒歩遍路	霧	秋	17.10.21.
410	青い目の遍路笠行く霧の径	霧	秋	17.10.21.
411	秋霖の山路濡れ行く徒歩遍路	秋霖	秋	17.10.21.
412	青い目の歩き遍路や霧の中	霧	秋	17.10.21.
413	秋霖の暮行く山路徒歩へんろ	秋霖	秋	17.10.21.
414	山並みに湧き立つ霧や焼山寺	霧	秋	17.10.21.
415	前立ちの仏さやけし焼山寺	さやけし	秋	17.10.21.
416	虚空蔵の前立ちさやか焼山寺	さやけし	秋	17.10.21.
417	蛇穴に入りて長き尾余しをり	蛇穴に入る	秋	17.10.21.
418	色鳥や白鳳仏は椅座されぬ	色鳥	秋	17.10.22.
419	霧雨に穭田烟る薄緑	穭田	秋	17.10.22.
420	列島の晴間忘れし秋黴雨	秋黴雨	秋	17.10.22.
421	穭田のやがて鋤かるる命かな	穭田	秋	17.10.22.
422	穭田を一枚占めて鷺の影	穭田	秋	17.10.22.
423	残菊の焚かれ野面に煙立つ	残菊	秋	17.10.22.
424	行く秋や渚に人の影はなし	行く秋	秋	17.10.22.
425	行く秋や渚に残るひずめ跡	行く秋	秋	17.10.22.
426	末枯れや眺むる吾もその一片	末枯れ	秋	17.10.22.
427	遠富士に白きもの見ゆ暮の秋	暮の秋	秋	17.10.22.
428	黄落の続く里山栗鼠走る	黄落	秋	17.10.22.
429	一筋の飛行機雲や鵙高音	鵙高音	秋	17.10.22.
430	爽やかな思い出残し友逝けり	爽やか	秋	17.10.22.
431	爽やかな思い出ばかり友の訃来	爽やか	秋	17.10.22.
432	眼下には霧の山並み焼山寺	霧	秋	17.10.22.
433	季を忘れオーシャンブルー咲き募る	オーシャンブルー（＝琉球朝顔）	秋	17.10.23.
434	野朝顔季を跨りて咲き募る	野朝顔（＝琉球朝顔）	秋	17.10.23.
435	日々百花咲き募らせて野朝顔	朝顔	秋	17.10.23.
436	群青の百花咲き継ぐ野朝顔	朝顔	秋	17.10.23.
437	群青を深め咲き継ぐ野朝顔	朝顔	秋	17.10.23.
438	秋過ぎてなほ咲き募る野朝顔	朝顔	秋	17.10.23.
439	咲き止まることを知らずや野朝顔	朝顔	秋	17.10.23.
440	日替りの群青百花野朝顔	朝顔	秋	17.10.23.
441	逞しく百花咲き継ぐ野朝顔	朝顔	秋	17.10.23.
442	蜜吸ふ虫招き咲き継ぐ野朝顔	朝顔	秋	17.10.23.
443	四季跨ぎ咲き継ぎ来たる野朝顔	朝顔	秋	17.10.23.
444	虚空蔵の前立ちさやか焼山寺	さやか	秋	17.10.23.
445	一葉忌伊勢屋の白き土蔵かな	一葉忌	秋	17.10.24.
446	ポンプ井戸水ほの温し一葉忌	一葉忌	秋	17.10.24.
447	菊坂はゆるき坂道一葉忌	一葉忌	秋	17.10.24.
448	ほんとはね夏子と言ふの一葉忌	一葉忌	秋	17.10.24.
449	伊勢屋まで小走りで行く一葉忌	一葉忌	秋	17.10.24.
450	菊坂は坂道多し一葉忌	一葉忌	秋	17.10.24.
451	路地奥に夏ちゃんの声一葉忌	一葉忌	秋	17.10.24.
452	五千円札で買いもの一葉忌	一葉忌	秋	17.10.24.
453	日和下駄いつも小走り一葉忌	一葉忌	秋	17.10.24.
454	一葉忌いまも使へるポンプ井戸	一葉忌	秋	17.10.24.
455	豆腐屋の喇叭の音や一葉忌	一葉忌	秋	17.10.24.
456	銭湯はマンションになり一葉忌	一葉忌	秋	17.10.24.
457	甘味屋でかつ丼食ふぶ一葉忌	一葉忌	秋	17.10.24.
458	質屋までちょっと用足し一葉忌	一葉忌	秋	17.10.24.
459	遣り繰りに欠かせぬ質屋一葉忌	一葉忌	秋	17.10.24.
460	両頬に木の実詰め込み栗鼠疾走	木の実	秋	17.10.24.
461	色鳥や白鳳仏は椅座にして（深大寺の白鳳仏国宝指定に）	色鳥	秋	17.10.24.
462	色鳥に佳き鳴き音あり河原鶸	色鳥・鶸	秋	17.10.25.
463	色鳥の鳴き音軽やか河原鶸	色鳥・鶸	秋	17.10.25.
464	色鳥の池面を走るシルエット	色鳥	秋	17.10.25.
465	色鳥に二物声佳き河原鶸	色鳥・鶸	秋	17.10.25.
466	色鳥の声も優れて河原鶸	色鳥・鶸	秋	17.10.25.
467	色鳥や十戸の里へ郵便車	色鳥	秋	17.10.25.
468	色鳥や峡の九十九折を郵便車	色鳥	秋	17.10.25.
469	色鳥や祖谷駆け上る郵便車	色鳥	秋	17.10.25.
470	色鳥や峡の奥なる鱒釣り場	色鳥	秋	17.10.25.
471	色鳥や赤い実こぼる南斜面	色鳥	秋	17.10.25.
472	声も佳き色鳥鳴けり河原鶸	色鳥・鶸	秋	17.10.25.
473	路地奥で夏ちゃんと呼ぶ一葉忌	帰り花	秋	17.10.25.
474	何となく恥ずかし気なり帰り花	帰り花	冬	17.10.26.
475	出戻りと言はずバツイチ帰り花	帰り花	冬	17.10.26.
476	片隅にお詫び訂正返り花	返り花	冬	17.10.26.
477	返り花とは言はざりし冬桜	返り花・冬桜	冬	17.10.26.
478	行き過ぎてふと足止める返り花	返り花	冬	17.10.26.
479	一茎の仲間のありて返り花	返り花	冬	17.10.26.
480	ひかがみに電気走るや返り花	返り花	冬	17.10.26.
481	裏山に一基の墓や返り花	返り花	冬	17.10.26.
482	ちょっとした事情あるらし返り花	返り花	冬	17.10.26.
483	久女には数多の誤解狂ひ花	狂ひ花	冬	17.10.26.
484	一叢となれば妖しき狂ひ花	狂ひ花	冬	17.10.26.
485	電報はやはり悪戯狂ひ花	狂ひ花	冬	17.10.26.
486	山里の日暮れは早し帰り花	帰り花	冬	17.10.26.
487	持ち帰り押し花にせん返り花	返り花	冬	17.10.26.
488	帰り咲く花の一途や海女の墓	帰り花	冬	17.10.26.
489	初雪の化粧をしたり遠見富士	初雪	冬	17.10.26.
490	初雪や少しはにかむ遠見富士	初雪	冬	17.10.26.
491	裏山に古し墓あり返り花	返り花	秋	17.10.26.
492	山霧の九十九折行く徒歩遍路（十二番札所、焼山寺で．）	霧	秋	17.10.26.
493	山茶花や掛ければ九と言ふ芸名	山茶花	冬	17.10.27.
494	山茶花や軽く合掌鰻食ふ	山茶花	冬	17.10.27.
495	山茶花や一団の読む般若経	山茶花	冬	17.10.27.
496	山茶花や小坊主の読む般若経	山茶花	冬	17.10.27.
497	山茶花の咲けば散り初む倣ひかな	山茶花	冬	17.10.27.
498	山茶花の一片早やも散り初めし	山茶花	冬	17.10.27.
499	咲き続け散り続けしは姫椿	姫椿（＝山茶花）	冬	17.10.27.
500	椿避け山茶花ばかり武家屋敷	山茶花	冬	17.10.27.
501	バス待てば肩に一片姫椿	姫椿	冬	17.10.27.
502	雉鳩のくぐもる声や冬初め	冬初め	冬	17.10.27.
503	本堂の冷え深まりぬ冬初め	冬初め	冬	17.10.27.
504	老いの身の劣化しみじみ冬はじめ	冬初め	冬	17.10.27.
505	托鉢の僧立ち尽くす冬初め	冬初め	冬	17.10.27.
506	初冬のわが影長き日暮れかな	初冬	冬	17.10.27.
507	本堂の俄かに寒き冬初め	冬初め	冬	17.10.27.
508	温き日や元気戻して秋の蝶	秋の蝶	秋	17.10.27.
509	団栗を除けて通れぬ散歩道	団栗	秋	17.10.27.
510	団栗に足裏憚る山路かな	団栗	秋	17.10.27.
511	嘴太の声穏やかに秋の午後	秋	秋	17.10.27.
512	嘴太の声穏やかに秋日和	秋日和	秋	17.10.27.
513	秋日和ベンチの人はみなスマホ	秋日和	秋	17.10.27.
514	日に呼ばれそこかしこから秋の蝶	秋の蝶	秋	17.10.27.
515	水鳥の影も伸び行く秋没日	秋没日	秋	17.10.27.
516	柔らかに団栗踏みし山路かな	団栗	秋	17.10.27.
517	物の影東に伸ばし秋夕焼け	秋夕焼	秋	17.10.27.
518	公園の吾も点景秋びより	秋日和	秋	17.10.27.
519	どれもみな口を開きし虚栗	虚栗	秋	17.10.27.
520	柔らかに団栗踏みし山路かな	団栗	秋	17.10.27.
511	凩を連れ来し風の寒太郎	凩	冬	17.10.28.
512	凩も右にカーブや鐙坂	凩	冬	17.10.28.
513	凩にシャッター街の騒めけり	凩	冬	17.10.28.
514	凩や舞い上がりしはレジ袋	凩	冬	17.10.28.
515	凩や五重塔の軋みたり	凩	冬	17.10.28.
516	凩の道をよたよた路線バス	凩	冬	17.10.28.
517	凩や立ち喰ひ蕎麦の自動ドア	凩	冬	17.10.28.
518	凩の吹いて釣堀閑古鳥	凩	冬	17.10.28.
519	凩や撞木の揺れる鐘突き堂	凩	冬	17.10.28.
520	凩や村営バスは客一人	凩	冬	17.10.28.
521	凩に薄着で耐える仁王像	凩	冬	17.10.28.
522	凩や球蹴る子らの土ぼこり	凩	冬	17.10.28.
523	凩や目を剥き耐える仁王像	凩	冬	17.10.28.
524	凩や遠見の富士の薄化粧	凩	冬	17.10.28.
525	秋冷や脱兎のごとく遅刻坂（都立日比谷高校）	秋冷	秋	17.10.28.
526	天高し青春走る遅刻坂（新坂：別名遅刻坂）	天高し	秋	17.10.28.
527	遅刻坂駈ける青春天高し	天高し	秋	17.10.28.
528	遅刻坂上ってみたり秋日和	秋日和	秋	17.10.28.
529	秋冷や白狐に乗りし荼枳尼天（だきにてん）（豊川稲荷本尊．）	秋冷	秋	17.10.28.
530	忠相の屋敷稲荷や天高し（大岡越前守）	天高し	秋	17.10.28.
531	弁慶橋渡れば桜紅葉かな	桜紅葉	秋	17.10.28.
532	弁慶濠浮雲映し十月尽	十月	秋	17.10.28.
533	弁慶濠跨ぐ橋在り木の実落つ	木の実落つ	秋	17.10.29.
534	弁慶橋映す水面や秋の蝶	秋の蝶	秋	17.10.29.
535	濠跨ぐ弁慶橋や赤あかね	秋あかね	秋	17.10.29.
536	弁慶濠よろと越え行く秋の蝶	秋の蝶	秋	17.10.29.
537	赤坂は坂の街なり秋晴るる	秋晴れ	秋	17.10.29.
538	赤坂は首都の臍らし鰯雲	鰯雲	秋	17.10.29.
539	弁慶濠渡る影あり秋の蝶	秋の蝶	秋	17.10.29.
540	弁慶濠水面を泳ぐ鰯雲	鰯雲	秋	17.10.29.
541	弁慶濠夫唱婦随の番鴨	鴨	秋	17.10.29.
542	砂時計落ち切る前や秋の蝶	秋の蝶	秋	17.10.29.
543	羽搏いて少しよろけて秋の蝶	秋の蝶	秋	17.10.29.
544	荼枳尼天背に馳す白狐天高し（豊川稲荷本尊．）	天高し	秋	17.10.29.
545	上り下り日枝の参道秋高し	秋高し	秋	17.10.29.
546	上り下り日枝の参道秋澄めり	秋澄めり	秋	17.10.29.
547	賽銭の音響きけり天高し	天高し	秋	17.10.29.
548	本尊の名を知らぬまま秋詣で	秋	秋	17.10.29.
549	赤坂はでこぼこの街鰯雲	鰯雲	秋	17.10.29.
550	秋澄むや賽銭の音響きけり	秋澄む	秋	17.10.29.
551	稲荷社に賽銭響き秋澄めり	秋澄めり	秋	17.10.29.
552	赤坂は坂のあちこち鰯雲	鰯雲	秋	17.10.29.
553	吹き重ねひょうひょうと鳴るひょんの笛	ひょんの笛	秋	17.10.29.
554	ひょんの笛ようやく鳴れどひゅうとだけ	ひょんの笛	秋	17.10.29.
555	ひょんの笛ただひょうとのみ鳴りにけり	ひょんの笛	秋	17.10.29.
556	紅葉して桜は黒きシルエット	桜紅葉	秋	17.10.30.
557	紅葉落ち枯木と紛ふ桜かな	桜紅葉	秋	17.10.30.
558	浮雲を臥所にしたる浮寝鳥	浮寝鳥	秋	17.10.30.
559	浮雲を臥所に見立て浮寝鳥	浮寝鳥	秋	17.10.30.
560	弁慶濠腹のくちたる浮寝鴨	浮寝鴨	秋	17.10.30.
561	弁慶濠雲を臥所に浮寝鳥	浮寝鳥	秋	17.10.30.
562	弁慶濠橋を渡れば木の実落つ	木の実落つ	秋	17.10.30.
563	凩の浮雲拭ふ永田町	凩	冬	17.10.30.
564	凩や稲荷の赤き幟鳴る	凩	冬	17.10.30.
565	秋天や稲荷の赤き連幟	秋天	秋	17.10.30.
566	凩や稲荷埋めし狛狐	凩	冬	17.10.30.
567	凩や稲荷に群れる狛狐	凩	冬	17.10.30.
568	赤尽くし稲荷大社に秋茜	秋茜	秋	17.10.30.
569	赤尽くし稲荷大社を秋茜	秋茜	秋	17.10.30.
570	赤尽くし稲荷大社の秋茜	秋茜	秋	17.10.30.
571	忠相の屋敷稲荷や秋日和	秋日和	秋	17.10.30.
572	忠相の屋敷稲荷や秋澄めり	秋澄む	秋	17.10.30.
573	秋天に投げし礫の放物線	秋天	秋	17.10.30.
574	殺される殺すおののきなき秋天	秋天	秋	17.10.30.
575	戦無き七十二年鵙高音	鵙高音	秋	17.10.30.
576	平和こそ金科玉条鵙高音	鵙高音	秋	17.10.30.
577	差し出せせる指に弾けし鳳仙花	鳳仙花	秋	17.10.30.
578	荼枳尼天（だきにてん）背に馳す白狐秋澄めり	秋澄む	秋	17.10.31.
579	はためける千本のぼり暮の秋	暮の秋	秋	17.10.31.
580	朱の揺るる千本のぼり秋深し	秋深し	秋	17.10.31.
581	黄落や日枝山王の男坂	黄落	秋	17.10.31.
582	赤坂や十月桜咲き満つる	十月桜	冬	17.10.31.
583	交番のポリス指さす冬桜	冬桜	冬	17.10.31.
584	赤坂に雪かと見せて冬桜	冬桜	秋	17.10.31.
585	恥ずかし気控え目に咲く冬桜	冬桜	秋	17.10.31.
586	赤尽くし稲荷大社の紅葉かな	紅葉	秋	17.10.31.
587	紅葉初む赤坂三王男坂	紅葉	秋	17.10.31.
588	黄落の急磴下る男坂	黄落	秋	17.11.1.
589	黄落や急磴下る男坂	黄落	秋	17.11.1.
590	稲荷社の千本のぼり秋の風	秋風	秋	17.11.1.
591	はたはたと千本のぼり秋の風	秋風	秋	17.11.1.
592	初紅葉のぼり千本はためけり	紅葉	秋	17.11.1.
593	秋天や起伏激しき永田町	秋天	秋	17.11.1.
594	秋天の西に遠富士薄化粧	秋天	秋	17.11.1.
595	秋没日遠見の富士のシルエット	秋没日	秋	17.11.1.
596	曇天に紛れて咲きし冬桜	冬桜	冬	17.11.1.
597	蟋蟀の声きれぎれに厨隅	蟋蟀	秋	17.11.1.
598	立冬まで命永らえ螽斯	蟋蟀	冬	17.11.1.
599	秋日ひずしりとピラカンサ	秋日	秋	17.11.1.
600	秋天や日と競ふかにピラカンサ	秋天	秋	17.11.1.
601	秋天に赤き実眩しピラカンサ	秋天	秋	17.11.1.
602	秋天に赤き実滾るピラカンサ	秋天	秋	17.11.1.
603	秋没日赤き実燃ゆるピラカンサ	秋没日	秋	17.11.1.
604	秋没日滾る赤き実ピラカンサ	秋没日	秋	17.11.1.
605	秋天に滾る赤き実ピラカンサ	秋天	秋	17.11.1.
606	冬の日に赤き実滾るピラカンサ	冬日	冬	17.11.1.
607	赤き実の冬日に滾るピラカンサ	冬日	秋	17.11.1.
608	子規庵を訪ね数ふや鶏頭花	鶏頭花	秋	17.11.2.
609	子規庵を訪ねて数ふ鶏頭花	鶏頭花	秋	17.11.2.
610	糸瓜見て鶏頭数ふ庵の客	糸瓜・鶏頭	秋	17.11.2.
611	朱の揺れて千本のぼり紅葉染む	紅葉	秋	17.11.2.
612	朱の揺れて千本のぼり初紅葉	初紅葉	秋	17.11.2.
613	黄落の公孫樹大樹の乳根かな	黄落	秋	17.11.2.
614	黄落の公孫樹大樹に乳根垂る	黄落	秋	17.11.2.
615	黄落の公孫樹に太き乳根垂る	黄落	秋	17.11.2.
616	隠沼に桜紅葉の吹き溜まり	桜紅葉	秋	17.11.2.
617	銀杏落葉ひたすら燃やす焼却炉	銀杏落葉	冬	17.11.2.
618	銀杏落葉ひねもす運ぶ焼却炉	銀杏落葉	冬	17.11.2.
619	焼くほかに手のなき銀杏落葉かな	銀杏落葉	冬	17.11.2.
620	実を散らし早や黄落の銀杏かな	銀杏落葉	冬	17.11.2.
621	海鼠にも喜怒哀楽のありしかな	海鼠	冬	17.11.2.
622	従容と輪切りにさるる海鼠かな	海鼠	冬	17.11.2.
623	完膚無きまで食ひ尽くす海鼠かな	海鼠	冬	17.11.2.
624	海鼠にも切らる痛みのありぬべし	海鼠	冬	17.11.2.
625	海鼠食む海鼠に似たる男かな	海鼠	冬	17.11.2.
626	海鼠食む海鼠に似たる無表情	海鼠	冬	17.11.2.
627	青い目の海鼠を食みし箸捌き	海鼠	冬	17.11.2.
628	青い目の海鼠を食みし通の客	海鼠	冬	17.11.2.
629	秋天に赤く滾りしピラカンサ	秋天	秋	17.11.2.
630	秋天に火焔滾らすピラカンサ	秋天	秋	17.11.2.
631	空堀や桜紅葉の吹き溜まり	桜紅葉	秋	17.11.3.
632	行く秋や千本のぼり朱の揺るる（豊川稲荷社で．）	行く秋	秋	17.11.3.
633	晩酌を欠かさず八十路秋深し	秋深し	秋	17.11.3.
634	文化の日けふも十句を詠み始む	文化の日	秋	17.11.3.
635	黄落のなぞへをちこち百羅漢	黄落	秋	17.11.3.
636	行く秋や畑に捨て鍬赤鰯	行く秋	秋	17.11.3.
637	冬桜寅さんに似た暦売り	冬桜	冬	17.11.3.
638	桜紅葉吹き溜まらせる尊徳像	桜紅葉	秋	17.11.3.
639	北風に背を向けて食む芋煮会	芋煮会	秋	17.11.3.
640	北風にだれも背を向け芋煮会	芋煮会	秋	17.11.3.
641	丼を持参もゐたり芋煮会	芋煮会	秋	17.11.3.
642	握り飯配り始まる芋煮会	芋煮会	秋	17.11.3.
643	肉一切れ犬に裾分け芋煮会	芋煮会	秋	17.11.3.
644	三番瀬鯊釣り舟に日の眩し	鯊釣り	秋	17.11.4.
645	鯊釣りの舟縞なせる三番瀬	鯊釣り	秋	17.11.4.
646	三番瀬鯊釣り舟を散らばらせ	鯊釣り	秋	17.11.4.
647	散らばりし鯊釣り舟や三番瀬	鯊釣り	秋	17.11.4.
648	鯊釣り舟縞模様なす三番瀬	鯊釣り	秋	17.11.4.
649	三番瀬鯊釣り舟の縞模様	鯊釣り	秋	17.11.4.
650	鯊釣りの舟ランダムに三番瀬	鯊釣り	秋	17.11.4.
651	鯊釣りの舟てんでんに三番瀬	鯊釣り	秋	17.11.4.
652	日の眩し鯊釣り舟や三番瀬	鯊釣り	秋	17.11.4.
653	三番瀬鯊釣り女子のつば広帽	鯊釣り	秋	17.11.4.
654	鯊釣りや遠見の富士の薄化粧	鯊釣り	秋	17.11.4.
655	ひょいひょいと釣られて軽き鯊の影	鯊釣り	秋	17.11.4.
656	出来秋の詠句少なき意味を問ふ	出来秋	秋	17.11.4.
657	出来秋や千本のぼり朱の揺るる（豊川稲荷社で）	出来秋	秋	17.11.4.
658	出来秋や千本のぼり朱を揺らす	出来秋	秋	17.11.4.
659	雨戸打つ風の音さえ冬めけり	冬	冬	17.11.4.
660	モンタンの歌ふ枯葉や冬立ぬ	立冬	冬	17.11.5.
661	秋天と変らぬ空や今朝の冬	今朝の冬	冬	17.11.5.
662	かたかたと雨戸を鳴らし冬来る	冬来る	冬	17.11.5.
663	一点の雲なき空や今朝の冬	今朝の冬	冬	17.11.5.
664	蒼穹に電光石火鵙高音	鵙高音	秋	17.11.5.
665	二重橋松青くして十一月	十一月	冬	17.11.5.
666	今朝の冬遠見の富士の薄化粧	今朝の冬	冬	17.11.5.
667	托鉢の白き脚絆や冬初め	冬初め	冬	17.11.5.
668	木の柱ぴしと鳴りけり今朝の冬	今朝の冬	冬	17.11.5.
669	変りなく柏手響く神無月	神無月	冬	17.11.5.
670	神の留守社殿に響くロックかな	神の留守	冬	17.11.5.
671	神在月出雲は神で溢れけり	神在月	冬	17.11.5.
672	神在月出雲は人の居場所なし	神在月	冬	17.11.5.
673	神在月神と出雲は神で溢れけり	神在月	冬	17.11.5.
674	神在月はめをはずせし神もゐて	神在月	冬	17.11.5.
675	神在月久闊を叙す神と神	神在月	冬	17.11.5.
676	隣の客神かも知れぬ神在月	神在月	冬	17.11.5.
677	神さまが久闊を叙す神在月	神在月	冬	17.11.5.
678	神さまも居酒屋に来る神在月	神在月	冬	17.11.6.
679	山茶花や十戸の里に郵便車	山茶花	冬	17.11.6.
680	シチュー鍋ことこと煮ゆる冬はじめ	冬初め	冬	17.11.6.
681	一句とも採られず無声冬初め	冬初め	冬	17.11.6.
682	朝市の元気なおばば神無月	神無月	冬	17.11.6.
683	朝市に手あぶり置いて冬はじめ	冬初め	冬	17.11.6.
684	冬うららしきりに飛びし軍用機	冬うらら	冬	17.11.6.
685	冬麗の雲なき空をヘリ渡る	冬麗	冬	17.11.6.
686	寒晴や朝餉の汁の白き湯気	寒晴	冬	17.11.6.
687	寒晴や窓開け放ち深呼吸	寒晴	冬	17.11.6.
688	ランナーの湯気立て走る冬野かな	冬野	冬	17.11.6.
689	正ちゃん帽取り出しこれも冬支度	冬支度	冬	17.11.6.
690	枯茗荷抜ひて狭庭の冬支度	冬支度	冬	17.11.6.
691	枯茗荷つんつく抜きぬ冬の畑	冬	冬	17.11.6.
692	菊酒をいただき寝るは菊枕	菊酒・菊枕	秋	17.11.7.
693	山茶花の咲き散り競ふ倣ひかな	山茶花	冬	17.11.7.
694	今朝の冬いきなり小春日和かな	今朝の冬・小春日和	冬	17.11.7.
695	一点の雲なき空や冬立ぬ	立冬	冬	17.11.7.
696	年ごとに異国語増ゆる酉の市	酉の市	冬	17.11.7.
697	女子会がミニ熊手買ふ一の酉	一の酉	冬	17.11.7.
698	青い目も嬉々と揉まれる酉の市	酉の市	冬	17.11.7.
699	あちこちで手締めを競ふ酉の市	酉の市	冬	17.11.7.
700	青い目も熊手買ひをり酉の市	酉の市	冬	17.11.7.
701	小春日や太腿眩し女車夫	小春日	冬	17.11.7.
702	はだし足袋紺鮮やかに女車夫	足袋	冬	17.11.7.
703	青い目を乗せて小春の女車夫	小春	冬	17.11.7.
704	参道に手締め終日酉の市	酉の市	冬	17.11.7.
705	イスラムの目を剥く軽さ酉の市	酉の市	冬	17.11.7.
706	青い目もにわか信者の酉の市	酉の市	冬	17.11.7.
707	七五三蝶ネクタイの豆紳士	七五三	冬	17.11.7.
708	菊坂はゆるき坂なり七五三	七五三	冬	17.11.7.
709	初紅のおちょぼ口して七五三	七五三	冬	17.11.7.
710	おちょぼ口崩さず女児の七五三	七五三	冬	17.11.7.
711	回転ずし晴着姿の七五三	七五三	冬	17.11.7.
712	回転ずし晴着の親子七五三	七五三	冬	17.11.7.
713	七五三晴着返して焼き肉店	七五三	冬	17.11.7.
714	親も着ぬ和服姿で七五三	七五三	冬	17.11.7.
715	親も子もレンタル衣裳七五三	七五三	冬	17.11.7.
716	七五三葵の紋の貸衣装	七五三	冬	17.11.7.
717	育休の権利使って七五三	七五三	冬	17.11.7.
718	千歳飴引きずって行く三歳児	七五三	冬	17.11.7.
719	自撮りする親子三人七五三	七五三	冬	17.11.7.
720	昼抜きで巫女のがんばる七五三	七五三	冬	17.11.7.
721	千歳飴どこを割っても金太郎	七五三	冬	17.11.7.
722	とんとこと飴切る音や七五三	七五三	冬	17.11.7.
723	ごみ出しの普段着同士淑気かな	淑気	新年	17.11.8.
724	権禰宜の髭の剃り跡淑気滿つ	淑気	新年	17.11.8.
725	重量のある朝刊の淑気かな	淑気	新年	17.11.8.
726	限界の集落五軒淑気滿つ	淑気	新年	17.11.8.
727	杣の家戸主の翁の淑気かな	淑気	新年	17.11.8.
728	どれもみな淑気を纏ひメール来る	淑気	新年	17.11.8.
729	庭に降り鉢に水遣る淑気かな	淑気	新年	17.11.8.
730	雉鳩のくぐもる声の淑気かな	淑気	新年	17.11.8.
731	厨にも粛と漂ふ淑気かな	淑気	新年	17.11.8.
732	顔洗ふ冷たき水の淑気かな	淑気	新年	17.11.8.
733	屠蘇散の口に広がる淑気かな	淑気	新年	17.11.8.
734	初洗顔白きタオルの淑気かな	淑気	新年	17.11.8.
735	玉砂利を踏みゆく音の淑気かな	淑気	新年	17.11.8.
736	手を打てば鳴き龍響く淑気かな	淑気	新年	17.11.8.
737	黒木沓連ね神官淑気滿つ	淑気	新年	17.11.8.
738	騒がれずただ静かなる花八つ手	花八つ手	冬	17.11.8.
739	ひっそりと家の裏手の花八つ手	花八つ手	冬	17.11.8.
740	花八つ手厠守りし昭和かな	花八つ手	冬	17.11.8.
741	庭隅の白き珊瑚や花八つ手	花八つ手	冬	17.11.8.
742	足止めて見る人もなく花八つ手	花八つ手	冬	17.11.8.
743	嫌はれも好かれもせずに花八つ手	花八つ手	冬	17.11.8.
744	盛花に加えて目立つ花八つ手	花八つ手	冬	17.11.8.
745	花八つ手一輪挿しは似合はねど	花八つ手	冬	17.11.8.
746	曇天にやすやす紛れ花八つ手	花八つ手	冬	17.11.8.
747	風吹けど散ることなしに花八つ手	花八つ手	冬	17.11.8.
748	裏庭の日蔭厭はず花八つ手	花八つ手	冬	17.11.8.
749	花らしくなきを惜しまず八つ手咲く	花八つ手	冬	17.11.8.
750	厠裏守り昭和の花八つ手	花八つ手	冬	17.11.8.
751	虫呼んで蜜舐めさせる花八つ手	花八つ手	冬	17.11.8.
752	千歳飴袋引きずり三歳児	千歳飴	冬	17.11.8.
753	着飾れば馬子にも衣裳七五三	花八つ手	冬	17.11.8.
754	子供より親の着飾る七五三	花八つ手	冬	17.11.8.
755	千歳飴袋引きずり宮参り	千歳飴	冬	17.11.8.
756	祝詞中足をぶらぶら七五三	七五三	冬	17.11.9.
757	神主の祝詞にきゃっきゃ七五三	七五三	冬	17.11.9.
758	神主の祝詞にあははと七五三	七五三	冬	17.11.9.
759	神主の祝詞を真似る七五三	七五三	冬	17.11.9.
760	神主の祝詞にぎゃはと七五三	七五三	冬	17.11.9.
761	千歳飴袋引きずり姉妹	千歳飴	冬	17.11.9.
762	釣瓶落しぱたぱた帰り支度かな	釣瓶落し	秋	17.11.9.
763	草野球釣瓶落しの延長戦	釣瓶落し	秋	17.11.9.
764	部活終え釣瓶落しの家路かな	釣瓶落し	秋	17.11.9.
765	立ち話釣瓶落しで別れけり	釣瓶落し	秋	17.11.9.
766	確固たる意志あるごとく石蕗の花	石蕗の花	冬	17.11.9.
767	確固たる意志を貫く石蕗の花	石蕗の花	冬	17.11.9.
768	確固たる意志貫きぬ石蕗の花	石蕗の花	冬	17.11.9.
7969	毅然たる意志あるごとく石蕗の花	石蕗の花	冬	17.11.10.
770	毅然たる意志持て咲けり石蕗の花	石蕗の花	冬	17.11.10.
771	毅然たる意志持て咲くや石蕗の花	石蕗の花	冬	17.11.10.
772	毅然たる姿に惹かる石蕗の花	石蕗の花	冬	17.11.10.
773	毅然たる姿こそ良し石蕗の花	石蕗の花	冬	17.11.10.
774	毅然たる姿好まし石蕗の花	石蕗の花	冬	17.11.10.
775	立ち話釣瓶落しに別れけり	釣瓶落し	秋	17.11.10.
776	地下足袋の紺鮮やかに女車夫	足袋	冬	17.11.10.
777	夕焼け富士釣瓶落しに闇残す	釣瓶落し	秋	17.11.10.
778	一刷けで釣瓶落しの山路かな	釣瓶落し	秋	17.11.10.
779	菊坂や釣瓶落しの路地の奥	釣瓶落し	秋	17.11.10.
780	草野球釣瓶落しでコールドに	釣瓶落し	秋	17.11.10.
781	釣瓶落し鶴瓶と書き投句せり	釣瓶落し	秋	17.11.10.
782	祝詞（のりと）の間足をぶらぶら七五三	七五三	冬	17.11.10.
783	羊羹の薄切りの出て漱石忌	漱石忌	冬	17.11.10.
784	羊羹の仰臥して出る漱石忌	漱石忌	冬	17.11.10.
785	羊羹の寝そべって出る漱石忌	漱石忌	冬	17.11.10.
786	羊羹は立てて出すべし漱石忌	漱石忌	冬	17.11.10.
787	お薄には薄き羊羹漱石忌	漱石忌	冬	17.11.10.
788	角の立つほどの知もなく漱石忌	漱石忌	冬	17.11.10.
789	点盛り用俳句の目立つ漱石忌	漱石忌	冬	17.11.10.
790	吾輩は猫嫌いひなり漱石忌	漱石忌	冬	17.11.10.
791	猫と寝る人おぞましや漱石忌	漱石忌	冬	17.11.10.
792	パソコンと本だけはあり漱石忌	漱石忌	冬	17.11.10.
793	猫を飼ふ寿司屋おぞまし漱石忌	漱石忌	冬	17.11.10.
794	男には隠す髭あり漱石忌	漱石忌	冬	17.11.10.
795	虎魚（おこぜ）てふ数学教師漱石忌	漱石忌	冬	17.11.10.
796	坊ちゃんてふ赤提灯や漱石忌	漱石忌	冬	17.11.10.
797	パソコンで「続坊ちゃん」を漱石忌	漱石忌	冬	17.11.10.
798	マドンナのなもし言葉や漱石忌	漱石忌	冬	17.11.10.
799	坊ちゃんに嫁は来たのか漱石忌	漱石忌	冬	17.11.10.
800	坊ちゃんの綽名知りたし漱石忌	漱石忌	冬	17.11.10.

♪BGM:Vivaldi［四季　秋］arranged by Reinmusik♪


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