第３４回一日十句以上千句詠む

鈴童の遊び


1	柔らかな音を確かに椿落つ	椿	春	18.3.7.
2	あられなき音にもあらじ落椿	落椿	春	18.3.7.
3	春泥に嬉々と素足の三歳児	春泥	春	18.3.7.
4	やどかりののたりすすすとなぎさゆく	寄居虫（やどかり）	春	18.3.7.
5	生涯を借家暮しの寄居虫（ごうな）かな	寄居虫（ごうな）	春	18.3.8.
6	キャンピングカーの元祖のごうなかな	ごうな（がうな）	春	18.3.8.
7	殻に命吹き込むごうなかな	ごうな	春	18.3.8.
8	捨て貝に命吹き込むごうなかな	ごうな	春	18.3.8.
9	身の程に合いし家持つごうなかな	ごうな	春	18.3.8.
10	新居得て寄居虫そろと踏み出せり	寄居虫	春	18.3.8.
11	借り物で世間を渡るごうなかな	ごうな	春	18.3.8.
12	喜怒哀楽見せて動きぬ海胆の棘	海胆	春	18.3.8.
13	剣山の動くがごとく海胆の棘	海胆	春	18.3.8.
14	かち割られ啜られ果てる海胆哀れ	海胆	春	18.3.8.
15	朝市で炊いた鹿尾菜を売るおばば	鹿尾菜（ひじき）	春	18.3.8.
16	美しき尼僧と食みし桜餅	桜餅	春	18.3.8.
17	春星や青光放つはぐれ星	春星	春	18.3.9.
18	春星や青き謎星はぐれ星	春星	春	18.3.9.
19	春星に謎の青色はぐれ星	春星	春	18.3.9.
20	春星や悲しきときは涙星	春星	春	18.3.9.
21	涙ぐむ心優しき春の星	春の星	春	18.3.9.
22	人に添ひ心合せる春の星	春の星	春	18.3.9.
23	涙ぐめば合はせて潤む春の星	春の星	春	18.3.9.
24	艶めいて脂粉の香り春の星	春の星	春	18.3.9.
25	舞妓行く祇園小路や春の星	春の星	春	18.3.9.
26	舞妓行くだらりの帯や春の星	春の星	春	18.3.9.
27	春泥を羽搏き越えし放ち鶏	春泥	春	18.3.10.
28	春泥の近道走る合格生	春泥	春	18.3.10.
29	乾くほど車内に目立つ春の泥	春泥	春	18.3.10.
30	春泥や吉報告げに駈け出す子	春泥	春	18.3.10.
31	春泥の靴に集まる視線かな	春泥	春	18.3.10.
32	山里に畑打ち告げるエンジン音	畑打ち	春	18.3.10.
33	人海で田打ち始まる千枚田	田打ち	春	18.3.10.
34	高きから田打ち始まる棚田かな	田打ち	春	18.3.10.
35	耕耘機走る越後の田打ちかな	田打ち	春	18.3.10.
36	エンジンの響き軽やか春田打ち	春田打ち	春	18.3.10.
37	能登の海光る棚田や春田打つ	春田打ち	春	18.3.10.
38	春泥の靴で吉報告げたる子	春泥	春	18.3.10.
39	孫やりぬ東大にパス春や春	春	春	18.3.10.
40	孫坊主東大にパスうららなり	うらら	春	18.3.10.
41	春泥に嬉々と素足の幼かな	春泥	春	18.3.11.
42	春泥を羽搏き越ゆる放ち鶏	春泥	春	18.3.11.
43	春泥の近道走る合格子	春泥	春	18.3.11.
44	春泥に嬉々と踏み入る幼かな	春泥	春	18.3.11.
45	青空に浮雲一つ長閑なり	長閑	春	18.3.11.
46	のどかさや芦ノ湖を行く外輪船	のどか	春	18.3.11.
47	視線の先あらと声出る初桜	初桜	春	18.3.11.
48	遍路宿夕餉に出でし土佐造り	遍路宿	春	18.3.11.
49	外人も混じる夕餉の遍路宿	遍路宿	春	18.3.11.
50	渚行く遍路二人のシルエット	遍路	春	18.3.11.
51	起業する祈願と若き徒歩遍路	遍路	春	18.3.11.
52	マウンテンバイクで巡る遍路かな	遍路	春	18.3.11.
53	寝袋持ち時に野宿の遍路かな	遍路	春	18.3.11.
54	木漏れ日に咲き揃ひたる貝母かな	貝母	春	18.3.11.
55	虚無僧の映画懐かし貝母咲く	貝母	春	18.3.11.
56	朝露を帯びて眩しき猫柳	猫柳	春	18.3.11.
57	どれもみなもふもふなごむ猫やなぎ	猫柳	春	18.3.11.
58	用水の瀬音軽やか猫やなぎ	猫柳	春	18.3.11.
59	朝の日にどれも呆けし猫柳	猫柳	春	18.3.11.
60	朝の日に朱を浮かばせて猫やなぎ	猫柳	春	18.3.11.
61	猫柳ほっと呆けし吐息かな	猫柳	春	18.3.11.
62	居眠りの首にひと撫で猫柳	猫柳	春	18.3.11.
63	呆ければ毛虫に似たる猫柳	猫柳	春	18.3.11.
64	日を浴びて毛虫百匹猫やなぎ	猫柳	春	18.3.11.
65	百匹の毛虫とも見ゆ猫やなぎ	猫柳	春	18.3.11.
66	透けし日に朱を浮かばせて猫やなぎ	猫柳	春	18.3.11.
67	朝露に濡れてきららの猫やなぎ	猫柳	春	18.3.11.
68	朝露に濡れて優しき猫やなぎ	猫柳	春	18.3.11.
69	春泥の道突っ走る合格子	春泥	春	18.3.11.
70	引く波を追ひしやどかり返る波	やどかり	春	18.3.11.
71	羽搏ひて春泥越ゆる放ち鶏	春泥	春	18.3.11.
72	人の手で田打ち始まる棚田かな	田打ち	春	18.3.11.
73	車内の眼靴に集まる春の泥	春泥	春	18.3.11.
74	髭面の泥鰌目覚める春の泥	春泥	春	18.3.11.
75	悲しみに慚愧無念や春の泥（３．１１忌）	春泥	春	18.3.12.
76	悲しみや慚愧無念の春の泥	春泥	春	18.3.12.
77	無残やな慚愧無念の春の泥	春泥	春	18.3.12.
78	大津波無念の果ての春の泥	春泥	春	18.3.12.
79	大津波慟哭聞こゆ春の泥	春泥	春	18.3.12.
80	三・一一人呑み尽くし春の泥	春泥	春	18.3.12.
81	大津波地獄の果ての春の泥	春泥	春	18.3.12.
82	啜り哭く声籠りたる春の泥	春泥	春	18.3.12.
83	大地震（おおなゐ）や無念の果ての春の泥	春泥	春	18.3.12.
84	春泥や無念留めし津波跡	春泥	春	18.3.12.
85	春泥や空を映せし津波跡	春泥	春	18.3.12.
86	青春は遠くに去れど春愁ひ	春愁	春	18.3.13.
87	春愁や頭頂薄き三面鏡	春愁	春	18.3.13.
88	海女小屋の窓にブラジャー春愁ひ	春愁	春	18.3.13.
89	老ひてなほ春愁と言ふ不思議	春愁	春	18.3.13.
90	朝立ちの政治報告春愁ひ	春愁	春	18.3.13.
91	喜怒哀楽ほどではなしに春愁ひ	春愁	春	18.3.13.
92	三四郎池の濁りや春愁ひ	春愁	春	18.3.13.
93	赤門の朱の剥落や春愁ひ	春愁	春	18.3.13.
94	満ち足りてゐるはずなれど春愁ひ	春愁	春	18.3.13.
95	石蹴れば塀にこつんと春愁ひ	春愁	春	18.3.13.
96	物憂きを楽しむやうに春愁ひ	春愁	春	18.3.14.
97	園児らの描く真赤なチューリップ	チューリップ	春	18.3.14.
98	卒業を留年いたす浮世かな	卒業	春	18.3.14.
99	園児らの声にぎやかにしゃぼん玉	しゃぼん玉	春	18.3.14.
100	虹色のくるりくるりとしゃぼん玉	しゃぼん玉	春	18.3.14.
101	追ふ嬰の額で弾けしゃぼん玉	しゃぼん玉	春	18.3.14.
102	しゃぼん玉入れ子で見せる大道芸	しゃぼん玉	春	18.3.14.
103	母が吹き子が追ひかけるしゃぼん玉	しゃぼん玉	春	18.3.14.
104	母吹けば子と犬走るしゃぼん玉	しゃぼん玉	春	18.3.14.
105	チューリップ加え華やぐ墓地の供花	チューリップ	春	18.3.14.
106	一輪挿しよく水を吸ふチューリップ	チューリップ	春	18.3.14.
107	剣山の動き出すかに海胆の棘	海胆	春	18.3.14.
108	花冷えや立ち食い蕎麦は湯気の中	花冷え	春	18.3.15.
109	花冷えや豚汁囲むバーベキュー	花冷え	春	18.3.15.
110	車座の徐々に縮まる花の冷え	花冷え	春	18.3.15.
111	餌をねだる鯉の大口花の冷え	花冷え	春	18.3.15.
112	花冷えや鯉の大口犇めきぬ	花冷え	春	18.3.15.
113	大学へその先いかに孫卒業	卒業	春	18.3.15.
144	大学へその先楽し孫の春	春	春	18.3.15.
115	花冷えや花びら浮かぶ潦（にわたずみ）	花冷え	春	18.3.15.
116	花冷えやパンフ置かれし自由席	花冷え	春	18.3.15.
117	花冷えや黴と埃のワイン蔵	花冷え	春	18.3.15.
118	花冷えや水場の遠き寺の墓地	花冷え	春	18.3.15.
119	苗木市法被姿の手にスマホ	苗木市	春	18.3.15.
120	苗木市少し離れてたこ焼屋	苗木市	春	18.3.15.
121	苗木市客の集まるたこ焼屋	苗木市	春	18.3.15.
122	苗木市隣でなぜか古着市	苗木市	春	18.3.15.
123	プラ塵の原色目立つ鴉の巣	鴉の巣	春	18.3.15.
124	場所貸して地代は取らぬ燕の巣	燕の巣	春	18.3.15.
125	燕の巣頭上注意と無人駅	燕の巣	春	18.3.15.
126	植木市法被地下足袋履く異人	植木市	春	18.3.16.
127	苗木市中華訛りの研修生	苗木市	春	18.3.16.
128	植木市ベランダ向きがよく売れる	植木市	春	18.3.16.
129	見るだけの余命となりぬ苗木市	苗木市	春	18.3.16.
130	桃に栗柿を買ひたる植木市	植木市	春	18.3.16.
131	木の天辺夕日が照らす鴉の巣	鴉の巣	春	18.3.16.
132	木の天辺夕日に浮ぶ鴉の巣	鴉の巣	春	18.3.16.
133	排気孔巣作り終えし雀かな	雀の巣	春	18.3.16.
134	雀の巣出来て回せぬ換気扇	雀の巣	春	18.3.16.
135	土咥へ古巣補修の燕飛ぶ	燕の巣	春	18.3.16.
136	半纏木梢の辺り烏の巣	鳥の巣	春	18.3.16.
137	しゃぼん玉後ずさりする子猫かな	しゃぼん玉	春	18.3.16.
138	園庭で年長組はしゃぼん玉	しゃぼん玉	春	18.3.16.
139	儚くものんしゃんぽかりしゃぼん玉	しゃぼん玉	春	18.3.16.
140	百の虹千の虹色しゃぼん玉	しゃぼん玉	春	18.3.16.
141	百の玉百の虹なすしゃぼん玉	しゃぼん玉	春	18.3.16.
142	百飛べば百の虹飛ぶしゃぼん玉	しゃぼん玉	春	18.3.16.
143	苗木市法被を着たるバングラ人	苗木市	春	18.3.17.
144	しゃぼん玉吹き合ふ子らに風も和し	しゃぼん玉	春	18.3.17.
145	追ひかける子らに弾けるしゃぼん玉	しゃぼん玉	春	18.3.17.
146	球体の力学ありてしゃぼん玉	しゃぼん玉	春	18.3.17.
147	次つぎと生まれて消えるしゃぼん玉	しゃぼん玉	春	18.3.17.
148	しゃぼん玉吹き上ぐ空に飛行船	しゃぼん玉	春	18.3.17.
149	本堂の木魚の音やしゃぼん玉	しゃぼん玉	春	18.3.17.
150	老和尚子らに囲まれしゃぼん玉	しゃぼん玉	春	18.3.17.
151	ディケヤでしゃぼん玉拭くおばあさん	しゃぼん玉	春	18.3.17.
152	しゃぼん玉吹き疲れたる子ら昼寝	しゃぼん玉	春	18.3.17.
153	夕焼けの空に吹き上ぐしゃぼん玉	しゃぼん玉	春	18.3.17.
154	厨では夕餉の支度しゃぼん玉	しゃぼん玉	春	18.3.17.
155	一輪挿し挿せばさまなるチューリップ	チューリップ	春	18.3.17.
156	能登の海広がる棚田春田打つ	春田打つ	春	18.3.17.
157	魚島を引いて来るかに鷗飛ぶ	魚島	春	18.3.17.
158	花冷や鹿にどつかれ怖ろしき	花冷	春	18.3.17.
159	花冷やわめきつ来たる救急車	花冷	春	18.3.18.
160	花冷や胸乳に一つ恋黒子	花冷	春	18.3.18.
161	花冷や墨痕太く書く「さくら」	花冷	春	18.3.18.
162	花冷や豚汁滾り長い列	花冷	春	18.3.18.
163	花冷や水上バスの水脈長し	花冷	春	18.3.18.
164	花冷や停酒五日の解禁日	花冷	春	18.3.18.
165	花冷えや天婦羅うどん食ふ漢	花冷	春	18.3.18.
166	花冷えやアテナインキとガラスペン	花冷	春	18.3.18.
167	花冷えや単線駅の味噌うどん	花冷	春	18.3.18.
168	春愁や幸せのうちかも知れず	春愁	春	18.3.19.
169	春愁や悪い数字の出た検査	春愁	春	18.3.19.
170	雑踏に身を置く孤独春愁ひ	春愁	春	18.3.19.
171	石拾ひ水を切りたり春愁ひ	春愁	春	18.3.19.
172	水切りの石を拾ひて春愁ひ	春愁	春	18.3.19.
173	みそ汁のしみじみ旨し春愁ひ	春愁	春	18.3.19.
174	春愁と書き付けてみる春愁ひ	春愁	春	18.3.19.
175	春愁や魚の眼濡るる活け造り	春愁	春	18.3.19.
176	春愁や辻の地蔵の真新し	春愁	春	18.3.19.
177	八十路来てなほ春愁のありにけり	春愁	春	18.3.19.
178	半跏趺座半眼佛の春愁ひ	春愁	春	18.3.19.
179	かち割られ抉られ海胆の果てにけり	海胆	春	18.3.19.
180	毬（いが）割りて海胆啜りけり果てにけり	海胆	春	18.3.19.
181	毬を割り啜れば海胆の棘揺るる	海胆	春	18.3.19.
182	海胆の棘怒り露はに虚空掻く	海胆	春	18.3.19.
183	爺婆のしゃぼん玉吹くディケアー	しゃぼん玉	春	18.3.19.
184	喜びの花と詠まれしチューリップ	チューリップ	春	18.3.19.
185	悲しみを知らぬ花らしチューリップ	チューリップ	春	18.3.19.
136	土咥へ古巣補修の燕かな	燕	春	18.3.19.
137	春愁ひ魚の眼濡るる活き造り	春愁	春	18.3.19.
138	水切りの石を掴みぬ春愁ひ	春愁ひ	春	18.3.19.
139	春愁に身を委ねたる川辺かな	春愁	春	18.3.20.
140	寒山寺鐘がごーんと春愁ひ	春愁ひ	春	18.3.20.
141	渓渡る山寺の鐘春愁ひ	春愁ひ	春	18.3.20.
142	そこはかとなく浮かび来る春愁ひ	春愁ひ	春	18.3.20.
143	地獄谷渡るゴンドラ春愁ひ	春愁ひ	春	18.3.20.
144	花冷えや薬缶で回る熱き酒	花冷え	春	18.3.20.
145	ベンダーのホットが売れる花の冷え	花冷え	春	18.3.20.
146	花冷やマスク行き交ふ千鳥ヶ淵	花冷え	春	18.3.20.
147	花冷や赤門くぐる合格子	花冷え	春	18.3.20.
148	無造作に草分け行けば雲雀の巣	雲雀の巣	春	18.3.20.
149	枝打ちつ巣箱付けゆく杣夫かな	巣箱	春	18.3.20.
150	捜せども失せ物出でず春愁ひ	春愁ひ	春	18.3.21.
151	鮠走る次つぎ走る野川行く	鮠	春	18.3.21.
152	川底に影を走らす鮠の列	鮠	春	18.3.21.
153	前立腺針刺す検査春愁ひ	春愁ひ	春	18.3.21.
154	塩漬けの葉もむしゃむしゃと桜餅	桜餅	春	18.3.21.
155	美しき唇にキスせし春の夢	春の夢	春	18.3.21.
156	春風や白き胸乳の恋ぼくろ	春風	春	18.3.21.
157	春愁や仏に似たる半跏趺座	春愁ひ	春	18.3.21.
158	緩急徐ありし木魚や春愁ひ	春愁ひ	春	18.3.21.
159	春風や木魚はいつか子守歌	春風	春	18.3.21.
160	墨堤のそぞろ歩きや桜餅	桜餅	春	18.3.21.
161	老ひてなほふはりと纏ふ春愁ひ	春愁ひ	春	18.3.22.
162	薄物のまつらふごとく春愁ひ	春愁ひ	春	18.3.22.
163	儚きに思ひをいたす春愁ひ	春愁ひ	春	18.3.22.
164	花冷えや立ち食い蕎麦の湯気上る	花冷え	春	18.3.22.
165	花冷えや立ち食い蕎麦の湯気浴びる	花冷え	春	18.3.22.
166	戻り来て古巣繕ふつばくらめ	古巣・燕	春	18.3.22.
167	軒先に頭上注意の燕の巣	燕の巣	春	18.3.22.
168	草叢にひそと置かれし雲雀の巣	雲雀の巣	春	18.3.22.
169	川の瀬の響く中州に雲雀の巣	雲雀の巣	春	18.3.22.
170	泥咥え古巣補修の燕かな	古巣・燕	春	18.3.22.
171	それぞれの色一列にチューリップ	チューリップ	春	18.3.2３.
172	チューリップどれもすっくと首長し	チューリップ	春	18.3.2３.
173	地を埋めて砺波平野のチューリップ	チューリップ	春	18.3.2３.
174	赤白黄地をキャンバスにチューリップ	チューリップ	春	18.3.2３.
175	卓上に赤き一本チューリップ	チューリップ	春	18.3.2３.
176	色を分け砺波平野のチューリップ	チューリップ	春	18.3.2３.
177	一輪挿し一花で仕切るチューリップ	チューリップ	春	18.3.2３.
178	セロファンを纏ひ出荷のチューリップ	チューリップ	春	18.3.2３.
179	一花ずつチューリップ手に卒業生	チューリップ	春	18.3.2３.
180	チューリップ手土産にして女客	チューリップ	春	18.3.2３.
181	群れてなほ個性ある花チューリップ	チューリップ	春	18.3.2３.
182	さくら冷え肩寄せ合って車座に	桜冷え	春	18.3.24.
183	花冷えや子らは元気に滑り台	花冷え	春	18.3.24.
184	花冷えや床暖入れて飯を食ふ	花冷え	春	18.3.24.
185	花冷えや立ち食い蕎麦を搔き揚げで	花冷え	春	18.3.24.
186	さくら冷えジャーで持参の酒を酌む	桜冷え	春	18.3.24.
187	千鳥ヶ淵ライトアップのさくら冷え	桜冷え	春	18.3.24.
188	車座の背筋から来るさくら冷え	桜冷え	春	18.3.24.
189	熱々の豚汁旨し桜冷え	桜冷え	春	18.3.24.
190	さくら冷え女子に好評赤ワイン	桜冷え	春	18.3.24.
191	赤ワイン車座巡る花の冷え	花冷え	春	18.3.24.
192	灯の点る千鳥ヶ淵やさくら冷え	桜冷え	春	18.3.24.
193	ジョガー行く千鳥ヶ淵やさくら冷え	桜冷え	春	18.3.24.
194	どこからか花びら舞ひ来さくら冷え	桜冷え	春	18.3.24.
195	夕刊を取りにポストへさくら冷え	桜冷え	春	18.3.24.
196	さくら冷え持参のジャーの酒を酌む	桜冷え	春	18.3.24.
197	花韮にここよここよと呼ばれけり	花韮	春	18.3.24.
198	蕗の薹ちと遅かりし茎立ぬ	蕗の薹	春	18.3.24.
199	姉妹背丈違へて二輪草	二輪草	春	18.3.24.
200	姉よりも妹小柄二輪草	二輪草	春	18.3.24.
201	簡易テント個室の好きな花見かな	花見	春	18.3.24.
202	紫の花びらひょろと花菜咲く	紫花菜	春	18.3.24.
203	花冷えや内にも冷えるもののあり	花冷え	春	18.3.24.
204	車座の徐々に縮まるさくら冷え	桜冷え	春	18.3.24.
205	瑕疵見つけ値切る客あり植木市	植木市	春	18.3.24.
206	青い目がねじり鉢巻き植木市	植木市	春	18.3.24.
207	剪定の仕方教える植木市	植木市	春	18.3.24.
208	剪定の仕方教はる植木市	植木市	春	18.3.25.
209	花冷えや心も少し冷えにけり	花冷え	春	18.3.25.
210	近ごろは犬連れ目立つ花見かな	花見	春	18.3.25.
211	部屋飼ひの犬も車座花の宴	花の宴	春	18.3.25.
212	車座に犬も加はる花見かな	花見	春	18.3.25.
213	車座でよく食べ飲みし花見客	花見客	春	18.3.25.
214	さくら冷え豚汁鍋に列できる	桜冷え	春	18.3.25.
215	さくら冷え豚汁鍋に長い列	桜冷え	春	18.3.25.
216	恋人の膝でとろりと花疲れ	花疲れ	春	18.3.25.
217	恋人の膝で仮寝の花見かな	花見	春	18.3.25.
218	恋人の膝で夢見る花見かな	花見	春	18.3.25.
219	桜背に自撮りの目立つ花見かな	花見	春	18.3.25.
220	新人が一芸披露花の宴	花の宴	春	18.3.25.
221	義理チョコが車座になる花の宴	花の宴	春	18.3.25.
222	部下よりも上司のはしゃぐ花見酒	花見酒	春	18.3.25.
223	棘除けて楤の芽摘めど刺されけり	楤の芽	春	18.3.25.
224	さくら冷え車座解ひて縄のれん	さくら冷え	春	18.3.25.
225	花冷えの車座解ひて縄のれん	花冷え	春	18.3.25.
226	雀の巣出来て回さぬ換気扇	雀の巣	春	18.3.25.
227	地を覆ふ砺波平野のチューリップ	チューリップ	春	18.3.25.
228	勤行の読経の僧や花の冷え	花冷え	春	18.3.25.
229	花の冷え心も冷えて帰る道	花冷え	春	18.3.26.
230	車座の肩寄せ合ひし桜冷え	さくら冷え	春	18.3.26.
231	霞ヶ関少し霞んでさくら冷え	さくら冷え	春	18.3.26.
232	花冷えや蠟燭灯る辻稲荷	花冷え	春	18.3.26.
233	花冷えの星空しるき露天風呂	花冷え	春	18.3.26.
234	花の冷え心の冷えも加わりぬ	花冷え	春	18.3.26.
235	花冷えに肩寄せ合って酒を酌む	花冷え	春	18.3.26.
236	さくら冷え花びら浮かぶ露天風呂	花冷え	春	18.3.26.
237	豚汁を啜る車座さくら冷え	さくら冷え	春	18.3.26.
238	花冷えやトイレに近き場所を取る	花冷え	春	18.3.26.
239	車座の尻落ち着かぬさくら冷え	さくら冷え	春	18.3.26.
240	花疲れ眠りこけたる幼かな	花疲れ	春	18.3.27.
241	呑んで食べ自撮り楽しむ花見かな	花見	春	18.3.27.
242	呑んで食べ自撮り楽しむ花の宴	花の宴	春	18.3.27.
243	しゃぼん玉ゆらりゆらりと日に向ふ	しゃぼん玉	春	18.3.27.
244	車座をワインが巡る花の宴	花の宴	春	18.3.27.
245	車座は花見ツアーの異邦人	花見	春	18.3.27.
246	吉野山歩き辿りて花疲れ	花疲れ	春	18.3.27.
247	柿の葉寿司持ちて吉野の花見かな	花見	春	18.3.27.
248	柿の葉寿司食みつ吉野の花見かな	花見	春	18.3.27.
249	花潜り花を見下ろす吉野かな	花見	春	18.3.27.
250	上千本花を辿れば西行庵	花	春	18.3.27.
251	帯解きし仇な年増や紫木蓮	木蓮	春	18.3.27.
252	大奥の女の修羅や紫木蓮	木蓮	春	18.3.27.
253	声楽し名を知らねども百千鳥	百千鳥	春	18.3.28.
254	幸せの歌とりどりに百千鳥	百千鳥	春	18.3.28.
255	生きてゐることを喜び百千鳥	百千鳥	春	18.3.28.
256	百千鳥命謳歌の雑木山	百千鳥	春	18.3.28.
257	父祖伝来巣作り励む百千鳥	百千鳥	春	18.3.28.
258	喜びを隠しきれずに百千鳥	百千鳥	春	18.3.28.
259	上手下手あって楽しき百千鳥	百千鳥	春	18.3.28.
260	声自慢衣裳自慢や百千鳥	百千鳥	春	18.3.28.
261	鳥語また多言語なりし百千鳥	百千鳥	春	18.3.28.
262	野に山に翼広げて百千鳥	百千鳥	春	18.3.28.
263	姦しく親呼ぶ雛や百千鳥	百千鳥	春	18.3.28.
264	百千鳥鳴き音聴き分く杣夫かな	百千鳥	春	18.3.28.
265	百千鳥読経の声も弾みけり	百千鳥	春	18.3.28.
266	百千鳥木魚の音も弾みけり	百千鳥	春	18.3.28.
267	百千鳥歌合戦の雑木山	百千鳥	春	18.3.28.
268	鳴き声で足止めさする百千鳥	百千鳥	春	18.3.28.
269	鳥の名は知らねど楽し百千鳥	百千鳥	春	18.3.28.
270	森行けばソローの気分百千鳥	百千鳥	春	18.3.28.
271	立膝の熟女の風情紫木蓮	紫木蓮	春	18.3.29.
272	紫木蓮身を持て余す吐息かな	紫木蓮	春	18.3.29.
273	莫連の女の風情紫木蓮	紫木蓮	春	18.3.29.
274	莫連のことば懐かし紫木蓮	紫木蓮	春	18.3.29.
275	着崩れし莫連女紫木蓮	紫木蓮	春	18.3.29.
276	女子会の宴たけなは紫木蓮	紫木蓮	春	18.3.29.
277	空閨に身を持て余し紫木蓮	紫木蓮	春	18.3.29.
278	蜜吸ひの花虻の眼の艶めきぬ	虻	春	18.3.29.
279	蜜吸ひの庭独り占め紋黄蝶	蝶	春	18.3.29.
280	あれこれと花選びかね紋黄蝶	蝶	春	18.3.29.
281	目に入れば足止め見上ぐ桜かな	桜	春	18.3.29.
282	目に入ればしばし足止む桜かな	桜	春	18.3.29.
283	品格を守りてこその桜かな	桜	春	18.3.29.
284	守るのは己が心や桜咲く	桜	春	18.3.29.
285	花吹雪咲き満ち散りし桜かな	桜	春	18.3.29.
286	桜樹の精魂込めし花吹雪	花吹雪	春	18.3.29.
287	咲き満ちて風に委ねし花吹雪	花吹雪	春	18.3.29.
288	散り際の意思思ひざま花吹雪	花吹雪	春	18.3.29.
289	散り際もスペクタクルの花吹雪	花吹雪	春	18.3.29.
290	潔さ競ひて花の吹雪かな	花吹雪	春	18.3.29.
291	息つけぬほどの万朶の花吹雪	花吹雪	春	18.3.29.
292	武蔵野の名残り舞ひ上ぐ春埃	春埃	春	18.3.29.
293	鳥どちのすいと抜け行く春の塵	春塵	春	18.3.29.
294	春塵に背を向け耐ゆる無人駅	春塵	春	18.3.29.
295	武蔵野を黄粉まぶしに春の塵	春塵	春	18.3.29.
296	春惜しむ心に詩の浮びけり	春惜しむ	春	18.3.30.
297	川隔て多摩の横山春惜しむ	春惜しむ	春	18.3.30.
298	春や春赤門くぐる孫の背	春	春	18.3.30.
299	春爛漫赤門くぐる孫の背	春爛漫	春	18.3.30.
300	花粉症かも知れずなり春惜しむ	春惜しむ	春	18.3.30.
301	花粉症涙目をして卒業す	花粉症・卒業	春	18.3.30.
302	今年また春を惜しみし吾のをり	春惜しむ	春	18.3.30.
303	兼題の春愁を詠み春惜しむ	春惜しむ	春	18.3.30.
304	チューリップ持ちて卒園涙なし	チューリップ・卒園	春	18.3.30.
305	しゃぼん玉小枝に触れて破れけり	しゃぼん玉	春	18.3.30.
306	首傾げ見下ろす鴉しゃぼん玉	しゃぼん玉	春	18.3.30.
307	兄の吹くしゃぼん玉追ふ幼かな	しゃぼん玉	春	18.3.30.
308	郭公の鳴き音に目覚む山の宿	郭公	夏	18.3.30.
309	郭公の声響きけり奥山路	郭公	夏	18.3.30.
310	郭公の声聞く山路われ独り	郭公	夏	18.3.30.
311	廃村の崩れし山路遠郭公	遠郭公	夏	18.3.30.
312	郭公の声聞き行かば廃寺あり	郭公	夏	18.3.30.
313	足元の深き渓から遠郭公	遠郭公	夏	18.3.30.
314	足元の深き渓から閑古鳥	閑古鳥	夏	18.3.30.
315	捨て畑の山路を行かば閑古鳥	閑古鳥	夏	18.3.30.
316	捨て畑の目立つ山路や閑古鳥	閑古鳥	夏	18.3.30.
317	人影の見えぬ山里遠郭公	遠郭公	夏	18.3.30.
318	遠郭公山路に小さき遭難碑	遠郭公	夏	18.3.30.
319	山路来て喉潤せば閑古鳥	閑古鳥	夏	18.3.30.
320	山路来て静寂深むる遠郭公	遠郭公	夏	18.3.30.
321	植林の昏き山路や閑古鳥	閑古鳥	夏	18.3.30.
322	碁石の音響く宿坊遠郭公	遠郭公	夏	18.3.30.
323	頂きに立てる観音春の塵	春の塵	春	18.3.30.
324	春塵や白衣観音立ち御座す	春塵	春	18.3.30.
325	花衣解けば乳房の恋黒子	花衣	春	18.3.30.
326	花衣解きし乳房の恋黒子	花衣	春	18.3.30.
327	己が陰天に突き立てチューリップ	チューリップ	春	18.3.30.
328	屈託なく陰突き立てしチューリップ	チューリップ	春	18.3.30.
329	天に陰見せて喜ぶチューリップ	チューリップ	春	18.3.30.
330	天に陰見てよ見てよとチューリップ	チューリップ	春	18.3.30.
331	天に陰見せて遊ぼとチューリップ	チューリップ	春	18.3.30.
332	永遠と錯覚したるしゃぼん玉	しゃぼん玉	春	18.3.31.
333	生れ出て束の間に消ゆしゃぼん玉	しゃぼん玉	春	18.3.31.
334	存在を証明できぬしゃぼん玉	しゃぼん玉	春	18.3.31.
335	しゃぼん玉消えてはすぐに生れけり	しゃぼん玉	春	18.3.31.
336	服の胸どの子も濡らししゃぼん玉	しゃぼん玉	春	18.3.31.
337	一つだけ割れずに消えししゃぼん玉	しゃぼん玉	春	18.3.31.
338	しゃぼん玉虹色染めてあらっ消えた	しゃぼん玉	春	18.3.31.
339	しゃぼん玉子が吹き母はスマホ繰る	しゃぼん玉	春	18.3.31.
340	夕焼けに染まりつ消えるしゃぼん玉	しゃぼん玉	春	18.3.31.
341	しゃぼん玉生れて消えてまた生まれ	しゃぼん玉	春	18.3.31.
342	巨大なり大道芸のしゃぼん玉	しゃぼん玉	春	18.3.31.
343	しゃぼん玉に頭入れたる大道芸	しゃぼん玉	春	18.3.31.
344	しゃぼん玉吹いてピエロの泣き笑い	しゃぼん玉	春	18.3.31.
345	風船に逃げられべそをかく子かな	風船	春	18.3.31.
346	しゃぼん玉どれもまん丸ふくれ面	しゃぼん玉	春	18.3.31.
347	木魚の音続く境内しゃぼん玉	しゃぼん玉	春	18.3.31.
348	渓若葉またぐ吊橋はしゃぎけり	若葉	夏	18.4.1.
349	車掌ゐぬ郊外電車若葉寒	若葉寒	夏	18.4.1.
350	蔓伸ばす軒の若葉や子規旧居	若葉	夏	18.4.1.
351	母山羊に纏はる仔山羊若葉風	若葉	夏	18.4.1.
352	日を透かし光踊りぬ樟若葉	若葉	夏	18.4.1.
353	訪ぬれば早や葉桜の豪徳寺	葉桜	夏	18.4.1.
354	石畳陸にも長き花筏	花筏	春	18.4.1.
355	余花仰ぎ鍾乳洞に歩み入る	余花	夏	18.4.1.
356	薫風や地蔵の赤き涎掛け	薫風	夏	18.4.1.
357	艶やかに光騒めく樟若葉	樟若葉	夏	18.4.1.
358	瀬戸内をそよろと巡る若葉風	若葉	夏	18.4.1.
359	緑さす眉根美し阿修羅像	緑さす	夏	18.4.2.
360	艶やかに光通して柿若葉	柿若葉	夏	18.4.2.
361	風を呼び光さやぎし樟若葉	樟若葉	夏	18.4.2.
362	卒業式あらたな道の第一歩	卒業式	春	18.4.2.
363	青鷺の群れ静まりて産卵期	青鷺	夏	18.4.2.
364	青鷺の枝撓らせて並びをり	青鷺	夏	18.4.2.
365	影映す枝垂れ桜を上る鯉	枝垂れ桜	春	18.4.2.
366	影映す枝垂れ桜を鯉遡上	枝垂れ桜	春	18.4.2.
367	茶室にはやはりそぐはぬチューリップ	チューリップ	春	18.4.2.
368	初蝶や眉根美し阿修羅像	初蝶	春	18.4.2.
369	青鷺の伴侶求めて樹に蹲踞	青鷺	夏	18.4.2.
370	春愁を吹き飛ばしたる合格子	春愁	春	18.4.3.
371	春愁をポケットに入れ旅立てり	春愁	春	18.4.3.
372	春愁はポケットの奥合格子	春愁	春	18.4.3.
373	艶やかに光透かして柿若葉	柿若葉	夏	18.4.3.
374	チューリップ天に陰向けあられなし	チューリップ	春	18.4.3.
375	海雲（もずく）啜り一献交す夕べかな	海雲	春	18.4.3.
376	触れたれば音無く揺るる花木五倍子	花木五倍子	春	18.4.3.
377	縄のれんめかして咲けり花木五倍子	花木五倍子	春	18.4.3.
378	雨にぬれ下る山路の花木五倍子	花木五倍子	春	18.4.3.
379	コバルトの海想ひつつ海雲食む	海雲	春	18.4.3.
380	乾びたる魚板の響き余花舞ひぬ	余花	春	18.4.3.
381	チューリップ肩が凝りたかやや傾ぐ	チューリップ	春	18.4.4.
382	悲しみを知らぬ綾子のチューリップ	チューリップ	春	18.4.4.
383	赤白黄花語聞えるチューリップ	チューリップ	春	18.4.4.
384	入園の園児歓迎チューリップ	チューリップ	春	18.4.4.
385	花壇ではあははあははとチューリップ	チューリップ	春	18.4.4.
386	性格はどれも明るきチューリップ	チューリップ	春	18.4.4.
387	春愁は机の奥に合格子	春愁	春	18.4.4.
388	石蹴れば池にぽちゃりと春愁ひ	春愁ひ	春	18.4.4.
389	春愁や甍の上に鴉二羽	春愁ひ	春	18.4.4.
390	トランペット吹く少年や春愁ひ	春愁ひ	春	18.4.4.
391	人越えし人工知能桜冷え	桜冷え	春	18.4.4.
392	ロボットに家事仕切られて端居かな	端居	夏	18.4.4.
393	時計回り飽きたる時計春愁ひ	春愁ひ	春	18.4.5.
394	時計回り飽きし時計の春愁ひ	春愁ひ	春	18.4.5.
395	時計回り飽きし時計や春愁ひ	春愁ひ	春	18.4.5.
396	時計回り異議ありぬべし春愁ひ	春愁ひ	春	18.4.5.
397	春昼や白き胸乳の恋黒子	春昼	春	18.4.5.
398	春昼やうなじの解（ほつ）れ恋黒子	春昼	春	18.4.5.
399	春昼や解れしうなじ恋ぼくろ	春昼	春	18.4.5.
400	春昼や胸乳の片へ恋ぼくろ	春昼	春	18.4.5.
401	春昼や振り子止まりし大時計	春昼	春	18.4.5.
402	春昼やあの時を指す古時計	春昼	春	18.4.5.
403	悲しみを持たぬ綾子のチューリップ	チューリップ	春	18.4.5.
404	墨堤の良き場所選び桜餅	桜餅	春	18.4.5.
405	まずがぶり葉ごといただく桜餅	桜餅	春	18.4.5.
406	一つ目は葉ごと食みたり桜餅	桜餅	春	18.4.5.
407	二つ目は葉を剥がし食む桜餅	桜餅	春	18.4.5.
408	桜餅食べる目的長命寺	桜餅	春	18.4.5.
409	幼子の両手に重し桜餅	桜餅	春	18.4.5.
410	長命寺やはり床几で桜餅	桜餅	春	18.4.5.
411	改竄の文書騒ぎや桜餅	桜餅	春	18.4.5.
412	墨堤も早や葉桜や長命寺	葉桜	夏	18.4.5.
413	酒飲みも茶を啜りつつ桜餅	桜餅	春	18.4.5.
414	レジ袋咥えて走る春の塵	春の塵	春	18.4.6.
415	かたことと戸袋騒ぐ春埃	春埃	春	18.4.6.
416	畑土の表皮巻上ぐ春の塵	春の塵	春	18.4.6.
417	土煙怒涛となりて春ほこり	春埃	春	18.4.6.
418	ローム層巻上げ走る春の塵	春の塵	春	18.4.6.
419	一村を黄粉まぶしに春ほこり	春埃	春	18.4.6.
420	ひゅうひゅうと軒騒がすや春ほこり	春埃	春	18.4.6.
421	春塵にタイムのかかる草野球	春塵	春	18.4.6.
422	春塵や影絵めきたる水車小屋	春塵	春	18.4.6.
423	春の塵ひたすら耐えてバスを待つ	春の塵	春	18.4.6.
424	花虻のひそと蜜吸ふ日の盛り	虻	春	18.4.6.
425	豊後梅散るを見届け早や実梅	実梅	夏	18.4.6.
426	花散れば葉と競ふかに実梅吹く	実梅	夏	18.4.6.
427	花散るを待ちて点々実梅出ず	実梅	夏	18.4.6.
428	花散るを待ちて早やも実梅吹く	実梅	夏	18.4.6.
429	花散りし小枝に早やも実梅出ず	実梅	夏	18.4.6.
430	花散りし小枝に早やも梅坊主	実梅	夏	18.4.6.
431	花散りし小枝に早やも実梅吹く	実梅	夏	18.4.6.
432	墨堤の花の吹雪や桜餅	花吹雪・桜餅	春	18.4.6.
433	花吹雪浴びつ頬張る桜餅	花吹雪・桜餅	春	18.4.6.
434	子を産まぬ男の吾ぞ春埃	春埃	春	18.4.6.
435	東大に入りし孫持つ春愁ひ	春愁ひ	春	18.4.6.
436	初蝶や眉根凛々しき阿修羅像	初蝶	春	18.4.7.
437	春昼の木魚がいつか子守歌	春昼	春	18.4.7.
438	春惜しむ友と付き合ひ春惜しむ	春惜しむ	春	18.4.7.
439	草原に大の字になり春惜しむ	春惜しむ	春	18.4.7.
440	老友と一病息災春惜しむ	春惜しむ	春	18.4.7.
441	息災を友と喜び春惜しむ	春惜しむ	春	18.4.7.
442	山毛欅林の山路明るし春惜しむ	春惜しむ	春	18.4.7.
443	春昼や欠伸を誘ふへぼ将棋	春昼	春	18.4.7.
444	春昼や待った掛け合ふへぼ将棋	春昼	春	18.4.7.
445	碁敵の和尚長考春の昼	春昼	春	18.4.7.
446	練塀の小路辿りぬ春の昼	春昼	春	18.4.7.
447	一葉の井戸で水汲む春の昼	春昼	春	18.4.7.
448	ぽきぽきと指鳴らしをり春愁ひ	春愁ひ	春	18.4.8.
449	海鳴りの聞える駅や春愁ひ	春愁ひ	春	18.4.8.
450	ぼうううと吼ゆる海獣春かなし	春かなし	春	18.4.8.
451	春愁や軋む音する船溜まり	春愁	春	18.4.8.
452	花祭り妻の生まれし日でもあり	花祭り	春	18.4.8.
453	花吹雪浴びつつ団子頬張りぬ	花吹雪	春	18.4.8.
454	花吹雪浴びつつ団子頬張る子	花吹雪	春	18.4.8.
455	鶯の鳴き競ひをり上手下手	鶯	春	18.4.8.
456	鶯のどれも美声の自信見せ	鶯	春	18.4.8.
457	自信なき鶯は来ず藪の中	鶯	春	18.4.8.
458	鶯やトトロの森に恋の唄	鶯	春	18.4.8.
459	鶯の鳴き音に続き閑古鳥	鶯・閑古鳥	春	18.4.8.
460	しゃぼん玉ひょいと被りしピエロかな	しゃぼん玉	春	18.4.9.
461	鳥雲にショートショートの本を閉ず	鳥雲に	春	18.4.9.
462	厨から皿割れる音鳥雲に	鳥雲に	春	18.4.9.
463	小肌から握りを食みぬ鳥雲に	鳥雲に	春	18.4.9.
464	囀りの混声姦し雑木山	囀り	春	18.4.9.
465	てんでんに自国語交す百千鳥	百千鳥	春	18.4.9.
466	留守電に囀りだけが残りをり	囀り	春	18.4.9.
467	留守電に誰が入れたか閑古鳥	閑古鳥	春	18.4.9.
468	留守電に船の汽笛や鳥雲に	鳥雲に	春	18.4.9.
469	緑濃き大樹脹らむ百千鳥	百千鳥	春	18.4.9.
470	囀りや境内広き九品仏	囀り	春	18.4.9.
471	御仏の視野に入りて鳥交る	鳥交る	春	18.4.9.
472	農小屋の破れを隠し蔦若葉	蔦若葉	春	18.4.9.
473	蜜の香を嗅ぐかに低く蝶飛べり	蝶	春	18.4.9.
474	本能の抽斗開けて恋雀	恋雀	春	18.4.10.
475	車座でスマホ繰る人花吹雪	花吹雪	春	18.4.10.
476	車座で酒よりスマホ花の宴	花の宴	春	18.4.10.
477	蕗畑さくりさくりと刈る農婦	蕗	夏	18.4.10.
478	蕗茂る葉の間に優し瀬音かな	蕗	夏	18.4.10.
479	竹笊に蕗の一束夕支度	蕗	夏	18.4.10.
480	竹笊に夕支度松蕗の束	蕗	夏	18.4.10.
481	夕餉の卓煮物酢の物蕗二品	蕗	夏	18.4.10.
482	砂糖漬しゃりしゃり旨し蕗の菓子	蕗	夏	18.4.10.
483	讃岐路は黄金色なり麦の秋	麦秋	夏	18.4.10.
484	麦秋の黄金眩しき遍路道	麦秋	夏	18.4.10.
485	麦秋や讃岐うどんを音高く	麦秋	夏	18.4.10.
486	天然と言ふおおらかさチューリップ	チューリップ	春	18.4.10.
487	姿変え杉菜となりし土筆かな	土筆	春	18.4.11.
488	緑してなぞえを埋める杉菜かな	杉菜	春	18.4.11.
489	気が付けば空き地彩る杉菜かな	杉菜	春	18.4.11.
490	宅造地家建つまでの杉菜かな	杉菜	春	18.4.11.
491	捨て畑を見事に覆ふ杉菜かな	杉菜	春	18.4.11.
492	老農夫溜息付ける杉菜畑	杉菜	春	18.4.11.
493	砂利道の央に続く花はこべ	花はこべ	春	18.4.11.
494	はこべらのあちこち生ゆる無人駅	はこべら	春	18.4.11.
495	文鳥のすり餌に摘みしはこべかな	はこべ	春	18.4.11.
496	公園をピンク一色桜草	桜草	春	18.4.11.
497	春疾風手児奈の郷の胸騒ぎ	春疾風	春	18.4.11.
498	季を待てず手児奈の郷の花水木	花水木	夏	18.4.11.
499	手児奈の郷海鳴るごとく春疾風	春疾風	春	18.4.11.
500	蟇蛙げろろげろろと笑ひけり	蟇蛙	夏	18.4.12.
501	蟇蛙げろろげろろと笑ふかな	蟇蛙	夏	18.4.12.
502	薫風や美男の僧の白脚絆	薫風	夏	18.4.12.
503	薫風や乳首尖りし乙女像	薫風	夏	18.4.12.
504	春疾風暦変われば薫る風	春疾風・薫風	春・夏	18.4.12.
505	東大生誇り噛みしめ風薫る	風薫る	夏	18.4.12.
506	声明の満つる堂宇や風薫る	風薫る	夏	18.4.12.
507	風薫る立食い蕎麦の自動ドア	風薫る	夏	18.4.12.
508	風薫る街に忘れし花粉症	風薫る	夏	18.4.12.
509	母馬に纏はる仔馬風薫る	風薫る	夏	18.4.12.
510	佐久の宿鯉の洗ひに風薫る	風薫る	夏	18.4.12.
511	神域の樹々のさやぎや青嵐	靑嵐	夏	18.4.13.
512	城下往く坊ちゃん列車風靑し	風靑し	夏	18.4.13.
513	靑嵐杖つく老女立止る	青嵐	夏	18.4.13.
514	靑嵐空に舞ひ上ぐレジ袋	青嵐	夏	18.4.13.
515	渓深く軋む吊橋青嵐	青嵐	夏	18.4.13.
516	吊橋を上下左右に青嵐	青嵐	夏	18.4.13.
517	足すくむ吊橋の揺れ靑嵐	青嵐	夏	18.4.13.
518	青嵐と戯る祖谷の蔓橋	青嵐	夏	18.4.13.
519	吟行のはずが俄かの蕨狩	蕨狩	春	18.4.13.
520	芹見つけ吟行の足止まりけり	芹	春	18.4.13.
521	吟行が主婦の眼になる芹一群	芹	春	18.4.13.
522	晩酌の肴に嬉し野蒜摘む	野蒜	春	18.4.13.
523	天高く舞ひし鳥あり風薫る	風薫る	夏	18.4.14.
524	八十足す二歳となりて風薫る	風薫る	夏	18.4.14.
525	風薫る空に浮雲無重力	風薫る	夏	18.4.14.
526	正成の騎馬像眩し新樹光	新樹光	夏	18.4.14.
527	夜迎え新樹も光仕舞ひけり	新樹	夏	18.4.14.
528	夜なれば新樹も黒きシルエット	新樹	夏	18.4.14.
529	煌めきて命のさやぎ新樹光	新樹光	夏	18.4.14.
530	車窓眩し迫る山々新樹光	新樹光	夏	18.4.14.
531	吊橋の床の弾むや新樹光	新樹光	夏	18.4.14.
532	深き渓結ぶ吊橋新樹光	新樹光	夏	18.4.14.
533	全山を弾ませさやぐ新樹かな	新樹	夏	18.4.14.
534	木漏れ日も踊るや森の新樹光	新樹光	夏	18.4.14.
535	たんぽぽや国衙遺跡はガラス張り	たんぽぽ（鼓草）	春	18.4.15.
536	西洋種ばかり目につく鼓草	鼓草	春	18.4.15.
537	吟行の土産楽しき芹野蒜	芹・野蒜	春	18.4.15.
538	吟行で摘みし野蒜や酢味噌和え	野蒜	春	18.4.15.
539	園庭ににこちゃんマークすみれ草	すみれ草	春	18.4.15.
540	近寄ればいとしき花よ一輪草	一輪草	春	18.4.15.
541	せせらぎに皆同じ向き座禅草	座禅草	春	18.4.15.
542	小さき達磨御座せば楽し座禅草	座禅草	春	18.4.15.
543	直射光丸き背に受け座禅草	座禅草	春	18.4.15.
544	湧水のせせらぐ中に座禅草	座禅草	春	18.4.15.
545	木道のほどよき距離に座禅草	座禅草	春	18.4.15.
546	時刻む花の時計やすみれ草	すみれ草	春	18.4.15.
547	焼芋を食む前にもうおなら	焼芋	冬	18.4.15.
548	筋斗雲浮かぶ葉桜吾妻橋	葉桜	夏	18.4.15.
549	近寄れば頷いてゐる一輪草	一輪草	春	18.4.16.
550	面壁の大師御座すや座禅草	座禅草	春	18.4.16.
551	犬ふぐり女の持たぬものを持ち	犬ふぐり	春	18.4.16.
552	花を地に撒きて清しき犬ふぐり	犬ふぐり	春	18.4.16.
553	しじみ貝地に撒きしごと犬ふぐり	犬ふぐり	春	18.4.16.
554	薇ののの字にょきにょき摘みにけり	薇（ぜんまい）	春	18.4.16.
555	吟行の作句そぞろに蕨摘む	蕨	春	18.4.16.
556	てんでんに跼みて手折る蕨かな	蕨	春	18.4.16.
557	爪黒く染めて摘みたる蕨かな	蕨	春	18.4.16.
558	一束の蕨摘みたる捨て田かな	蕨	春	18.4.16.
559	山里の道端に嬉し蕨摘み	蕨	春	18.4.16.
560	薇を五本摘みたる山路かな	蕨	春	18.4.16.
561	米櫃のなくて穀象ゐぬ時代	穀象	夏	18.4.16.
562	穀象のどっこいいまも生きてをり	穀象	夏	18.4.16.
563	米櫃を開ければ穀象ゐた昭和	穀象	夏	18.4.16.
564	米櫃を穀象走る昭和かな	穀象	夏	18.4.16.
565	穀象を逃がし飯炊く昭和かな	穀象	夏	18.4.17.
566	晩春の冷えの戻りに埒もなし	晩春	春	18.4.17.
567	直美てふ太目芸人桜餅	桜餅	春	18.4.17.
568	役人てふ性の哀れや暮の春	暮の春	春	18.4.17.
569	筍のぐんぐん伸びる速さかな	筍	夏	18.4.17.
570	筍を掘りて断ち切る気迫かな	筍	夏	18.4.17.
571	霞ヶ関黄粉まぶしの春ぼこり	春埃	春	18.4.17.
572	いち早く黄砂に霞む霞ヶ関	黄砂	春	18.4.17.
573	霾ぐもる箍の緩みし国衙かな	霾（よな）ぐもり	春	18.4.17.
574	つちふるや黄粉まぶしの国衙かな	つちふる	春	18.4.17.
575	つちふるや霞ヶ関は特に濃し	つちふる	春	18.4.17.
576	花見団子がばりと捨てる期限切れ	花見団子	春	18.4.17.
577	勿忘草咲く尾根道の遭難碑	勿忘草	春	18.4.18.
578	勿忘草咲く道行かば遭難碑	勿忘草	春	18.4.18.
579	藍微塵これも花の名恋の花	藍微塵（＝勿忘草）	春	18.4.18.
580	花虻のホバリングしつ花選び	花虻	春	18.4.18.
581	牛虻や蛆虫の果て騒々し	牛虻	春	18.4.18.
582	尾を振れど虻追いきれぬ牛舎かな	虻	春	18.4.18.
583	虻に尻刺され嘶く草競馬	虻	春	18.4.18.
584	短き尾振りて虻追ふ牛哀し	虻	春	18.4.18.
585	笑っちゃふこと多き世や万愚節	万愚説	春	18.4.18.
586	怒りてもせんかたなしや春うらら	春うらら	春	18.4.18.
587	春塵の舞ふところなきアスファルト	春塵	春	18.4.19.
588	子雀の相寄り遊ぶ砂場かな	子雀	春	18.4.19.
589	つつじが丘その名おちこち花盛り	躑躅	春	18.4.19.
590	空き室の目立つ団地や躑躅咲く	躑躅	春	18.4.19.
591	心当たり歩みて出合ふ草苺	草苺	春	18.4.19.
592	種を取る積りなけれど葱坊主	葱坊主	春	18.4.19.
593	頼まれもせでにょきにょきと葱坊主	葱坊主	春	18.4.19.
594	見廻れば日毎ににょきと葱坊主	葱坊主	春	18.4.19.
595	葱坊主摘めども日ごと背くらべ	葱坊主	春	18.4.19.
596	摘み取れど三日来ぬ間の葱坊主	葱坊主	春	18.4.19.
597	行き過ぎて貝母の花を戻り見る	貝母の花	春	18.4.20.
598	恥凌ぐごとく下向き花貝母	貝母の花	春	18.4.20.
599	編笠を裏向きに咲く貝母かな	貝母	春	18.4.20.
600	虚無僧のとんと見かけず貝母咲く	貝母	春	18.4.20.
601	編笠の説明をして花貝母	貝母の花	春	18.4.20.
602	けまん草生垣にして草の庵	華鬘草	春	18.4.20.
603	けまん草花列揺らす風のあり	華鬘草	春	18.4.20.
604	面妖とも可憐とも見ゆ華鬘草	華鬘草	春	18.4.20.
605	風あるか無きかに緩るる華鬘かな	華鬘草	春	18.4.20.
606	仏縁の黄華鬘咲けり門跡寺	華鬘草	春	18.4.20.
607	わが狭庭紫に染め諸葛菜	諸葛菜	春	18.4.20.
608	含羞や瑞穂の国の稲の花	稲の花	秋	18.4.20.
609	豊穣の祈りを込めて稲の花	稲の花	秋	18.4.20.
610	楚々として虫媒待てり稲の花	稲の花	秋	18.4.20.
611	花屋には決して並ばぬ稲の花	稲の花	秋	18.4.20.
612	稲の花咲いて菖蒲の米作り	稲の花	秋	18.4.20.
613	卓上花顔寄せて見る稲の花	稲の花	秋	18.4.20.
614	米作り農家祈りの稲の花	稲の花	秋	18.4.20.
615	穂の辺り吹き出し初めり稲の花	稲の花	秋	18.4.20.
616	虫媒の無事を祈りぬ稲の花	稲の花	秋	18.4.20.
617	つちふるや国衙の箍の大緩み	つちふる	春	18.4.21.
618	春ぼこり箍の緩みし国衙かな	春ぼこり	春	18.4.21.
619	稲の花知らずに飯を食ひよるか	稲の花	秋	18.4.21.
620	稲の花咲ひて息つく米作り	稲の花	秋	18.4.21.
621	稲の花瑞穂の国の力杖	稲の花	秋	18.4.21.
622	稲の花瑞穂の国ぞとこしなへ	稲の花	秋	18.4.21.
623	稲の花咲ひて目処立つ米作り	稲の花	秋	18.4.21.
624	豊穣の兆し確かむ稲の花	稲の花	秋	18.4.21.
625	稲の花知らぬ瑞穂の都会人	稲の花	秋	18.4.21.
626	虫媒の羽音ひた待つ稲の花	稲の花	秋	18.4.21.
627	丹精の仕上げ近づく稲の花	稲の花	秋	18.4.21.
628	瑞穂から百花千花の稲の花	稲の花	秋	18.4.21.
629	見落として人過ぎゆくや稲の花	稲の花	秋	18.4.21.
630	飾らるることを聞かねど稲の花	稲の花	秋	18.4.21.
631	ミニチュアの花瓶に挿せし稲の花	稲の花	秋	18.4.21.
632	春塵や国衙の箍の大緩み	春塵	春	18.4.21.
633	八十路来て残る命に春惜しむ	春惜しむ	春	18.4.22.
634	慌しく過ぎゆく日々や春惜しむ	春惜しむ	春	18.4.22.
635	立ちションのならぬ時代や春惜しむ	春惜しむ	春	18.4.22.
636	惜しむこと削り削りつ春惜しむ	春惜しむ	春	18.4.22.
637	気が付けば年寄歩き春惜しむ	春惜しむ	春	18.4.22.
638	欠伸する鯉もゐるらし四月尽	四月尽	春	18.4.22.
639	ざわざわと慌しくも四月尽	四月尽	春	18.4.22.
640	頑とのみ刻みし墓碑や四月尽	四月尽	春	18.4.22.
641	鉢物に水遣り終えて暮の春	暮の春	春	18.4.22.
642	コロッケにソースざぶりと春の果	春の果	春	18.4.22.
643	きょろきょろと手洗さがし春の果	春の果	春	18.4.22.
644	遠嶺に白きを残し牧開き	牧開き	春	18.4.22.
645	遍路道集落抜けて稲の花	稲の花	秋	18.4.23.
646	余花散れば里に早々鯉のぼり	余花・鯉のぼり	夏	18.4.23.
647	赤門をくぐりし孫の鯉のぼり	鯉のぼり	夏	18.4.23.
648	城址濠水面埋めて布袋草	布袋草	夏	18.4.23.
649	睡蓮の花数増えて鯉の影	睡蓮	夏	18.4.23.
650	睡蓮や緋鯉真鯉の潜る影	睡蓮	夏	18.4.23.
651	弁天池睡蓮眩し真昼かな	睡蓮	夏	18.4.23.
652	軒先に糸瓜咲き初む根岸庵	糸瓜の花	夏	18.4.23.
653	ゴーヤ止め棚に咲き初む糸瓜かな	糸瓜咲く	夏	18.4.23.
654	畑荒らす滑莧（すべりひゆ）食む夕餉かな	滑莧	春	18.4.23.
655	爪染めつ鵜の目鷹の目蕨つむ	蕨	春	18.4.23.
656	腰かがめ左右眼を遣り蕨つむ	蕨	春	18.4.23.
657	爪先で茎ぽきぽきと蕨採り	蕨	春	18.4.24.
658	茗荷竹夕餉に出でし酢味噌和え	茗荷竹	春	18.4.24.
659	山道の日当る窪や筆竜胆	筆竜胆	春	18.4.24.
660	山里や道端に低く春竜胆	春竜胆	春	18.4.24.
661	丈低く光の中の春竜胆	春竜胆	春	18.4.24.
662	日おもてに出でし山路の筆竜胆	筆竜胆	春	18.4.24.
663	一列に並び日を浴ぶ葱坊主	葱坊主	春	18.4.24.
664	幼きに頭撫でらる葱坊主	葱坊主	春	18.4.24.
665	葱坊主日を浴ぶ空に雲一つ	葱坊主	春	18.4.24.
666	葱坊主ろくろく首を揺らしをり	葱坊主	春	18.4.24.
667	雲水の一列が行く葱坊主	葱坊主	春	18.4.24.
668	苦々しく摘み取る農や葱坊主	葱坊主	春	18.4.24.
669	国の箍弛むを叩く春豪雨	春	春	18.4.25.
670	箍弛む国衙濡れそぶ春豪雨	春	春	18.4.25.
671	桜漬花びら開き湯浴みかな	桜漬	春	18.4.25.
672	桜湯のほのと薄紅たゆたへり	桜湯	春	18.4.25.
673	桜湯のほのと紅さす白磁かな	桜湯	春	18.4.25.
674	ほのと紅白湯に広ごる桜漬	桜湯	春	18.4.25.
675	華やげる祝ひの席や桜の湯	桜湯	春	18.4.25.
676	桜湯の花の解（ほつ）れし祝ひ膳	桜湯	春	18.4.25.
677	桜湯の花解れゆく祝ひ膳	桜湯	春	18.4.25.
678	桜湯の白磁茶碗の薄さかな	桜湯	春	18.4.25.
679	桜湯のそっと置かれし宴かな	桜湯	春	18.4.25.
680	桜湯や琴の音聞こゆ祝ひ膳	桜湯	春	18.4.25.
681	桜湯のそこはかとなき香のゆかし	桜湯	春	18.4.25.
682	桜湯や花びら残し卓に置く	桜湯	春	18.4.25.
683	幼きが頭撫でをり葱坊主	葱坊主	春	18.4.25.
684	山道の日当る窪に筆竜胆	筆竜胆	春	18.4.25.
685	山道や日当る窪に筆竜胆	筆竜胆	春	18.4.25.
686	山道や日当る窪の筆竜胆	筆竜胆	春	18.4.25.
687	逝く春や句会は無声こん畜生	逝く春	春	18.4.26.
688	腹立てば横に寝るかな暮れの春	暮れの春	春	18.4.26.
689	地ビールに復興賭ける麦の秋	麦の秋	夏	18.4.26.
690	うどん県名乗る讃岐の麦の秋	麦の秋	夏	18.4.26.
691	うどん県讃岐平野に麦の秋	麦の秋	夏	18.4.26.
692	黄金なす讃岐平野の麦の秋	麦の秋	夏	18.4.26.
693	波打ちて走る琴電麦の秋	麦の秋	夏	18.4.26.
694	エンジンの響きをちこち麦の秋	麦の秋	夏	18.4.26.
695	琴電の揺れる車窓や麦の秋	麦の秋	夏	18.4.26.
696	金毘羅宮目指す琴電麦の秋	麦の秋	夏	18.4.26.
697	単線を跳ね行く琴電麦の秋	麦の秋	夏	18.4.26.
698	単線を跳ね行く電車麦の秋	麦の秋	夏	18.4.26.
699	金箔を四角四角に麦の秋	麦の秋	夏	18.4.26.
700	金箔ををちこち置くや麦の秋	麦の秋	夏	18.4.26.
701	金箔を置くがごとくに麦の秋	麦の秋	夏	18.4.26.
702	麦秋の中にぽつんと無人駅	麦秋	夏	18.4.26.
703	麦秋の讃岐路走る遍路バス	麦秋	夏	18.4.26.
704	灌漑の溜池多し麦の秋	麦の秋	夏	18.4.26.
705	讃岐には溜池多し麦の秋	麦の秋	夏	18.4.26.
706	コンバイン一括処理の麦の秋	麦の秋	夏	18.4.26.
707	麦の秋すべて仕切りしコンバイン	麦の秋	夏	18.4.26.
708	畑中の無人踏切麦の秋	麦の秋	夏	18.4.26.
709	ディーゼルカー音立て過る麦の秋	麦の秋	夏	18.4.26.
710	掻き揚げのうどんを啜る麦の秋	麦の秋	夏	18.4.26.
711	大学の授業に慣れて麦の秋	麦の秋	夏	18.4.26.
712	麦の穂の風にさやぎし讃岐かな	麦の秋	夏	18.4.26.
713	麦秋や農道を行くコンバイン	麦秋	夏	18.4.26.
714	用水路音立ててゐる麦の秋	麦の秋	夏	18.4.26.
715	高空を鳶が輪を描く麦の秋	麦の秋	夏	18.4.26.
716	すくすくと育つ稲田や麦の秋	麦の秋	夏	18.4.26.
717	里の空家また一つ増え麦の秋	麦の秋	夏	18.4.26.
718	音立てて回る水車や麦の秋	麦の秋	夏	18.4.26.
719	議事堂の白亜を掠め夏燕	夏燕	夏	18.4.26.
720	身を削る武甲の山や夏燕	夏燕	夏	18.4.26.
721	子育てに脇目もふらず夏燕	夏燕	夏	18.4.26.
722	三十三間堂通し矢のごと夏燕	夏燕	夏	18.4.27.
723	露座仏の眉を掠めて夏燕	夏燕	夏	18.4.27.
724	寸止めを見せ反転の夏燕	夏燕	夏	18.4.27.
725	寸止めの反転軽やか夏燕	夏燕	夏	18.4.27.
726	翻りまた翻り夏燕	夏燕	夏	18.4.27.
727	子育てに倦むこと知らぬ夏燕	夏燕	夏	18.4.27.
728	ゆっくりと近づくバスや夏燕	夏燕	夏	18.4.27.
729	猪舟（ちょき）走るお江戸大川夏つばめ	夏燕	夏	18.4.27.
730	キャンパスに光あまねき夏燕	夏燕	夏	18.4.27.
731	一閃の残像ばかり夏つばめ	夏燕	夏	18.4.27.
732	駅ビルの高み群れ飛ぶ岩つばめ	夏燕	夏	18.4.27.
733	寸止めと反転の技夏つばめ	夏燕	夏	18.4.27.
734	げんげ田で遊び転げし遠き日々	紫雲英（げんげ）	春	18.4.27.
735	げんげ田や母娘の編みし髪飾り	げんげ田	春	18.4.27.
736	れんげ田も母もまぼろし花ティアラ	げんげ田	春	18.4.27.
737	げんげん田花の褥にポチもゐた	げんげん田	春	18.4.27.
738	げんげ田も鉄路も消えて八十路かな	げんげ田	春	18.4.27.
739	げんげ田で従姉の編みし花冠	げんげ田	春	18.4.27.
740	げんげ田の写真を添へし有機米	げんげ田	春	18.4.27.
741	養蜂の箱の置かれしげんげん田	げんげん田	春	18.4.27.
742	山里の棚田華やぐ蓮華草	蓮華草	春	18.4.27.
743	千枚田れんげ鋤き込む援農隊	蓮華	春	18.4.27.
744	鞄投げ相撲を取りしげんげん田	げんげん田	春	18.4.27.
745	草の香のやや生臭しげんげん田	げんげん田	春	18.4.27.
746	欠伸する鯉もゐさうな四月尽	四月尽	春	18.4.28.
747	さくさくと蕗刈る農の鎌捌き	蕗	夏	18.4.28.
748	庖丁を持ち出し庭の蕗を刈る	蕗	夏	18.4.28.
749	老農の蕗刈る鎌の音静か	蕗	夏	18.4.28.
750	厨から蕗炊く湯気に乗る香り	蕗	夏	18.4.28.
751	直販の棚に積まれし蕗の束	蕗	夏	18.4.28.
752	直販の蕗一束を下げ帰る	蕗	夏	18.4.28.
753	よく切れる鎌で蕗刈る農夫婦	蕗	夏	18.4.28.
754	夫が刈り妻が揃へる蕗の丈	蕗	夏	18.4.28.
755	深鍋にしなりし蕗の薄みどり	蕗	夏	18.4.28.
756	蕗を焚く湯気の広がる厨かな	蕗	夏	18.4.28.
757	蕗茹でる湯気立ち初めて夕支度	蕗	夏	18.4.28.
758	蕗料理三品並びし夕餉かな	蕗	夏	18.4.28.
759	鎌無くて庖丁で刈る庭の蕗	蕗	夏	18.4.28.
760	茹でし蕗皮剥く妻の手際かな	蕗	夏	18.4.28.
761	蕗の皮手伝って剥く下ごころ	蕗	夏	18.4.28.
762	蕗の皮手伝って剥く夕ごころ	蕗	夏	18.4.28.
763	厨から蕗炊く香り湯気に乗る	蕗	夏	18.4.29.
764	吊橋を光が揺らす夏来る	夏来る	夏	18.4.29.
765	風までも光を帯びし五月かな	五月	夏	18.4.29.
766	園庭に子ら声弾ませる五月来る	五月	夏	18.4.29.
767	UTokyoと書かれしグッズ五月祭	五月	夏	18.4.29.
768	手作りの醤油届きぬけふ立夏	立夏	夏	18.4.29.
769	薫風やボトルシップの栓開ける	薫風	夏	18.4.29.
770	栓開けてボトルシップに風五月	五月	夏	18.4.29.
771	キジバトの鳴き音弾みて夏来る	夏来る	夏	18.4.29.
772	替え上着誠に軽し更衣	更衣	夏	18.4.29.
773	替え上着明るき色に更衣	更衣	夏	18.4.29.
774	山里の川辺に白き余花一樹	余花	夏	18.4.29.
775	反戦の兜太引き継ぐ春雷忌	春雷忌（兜太忌）	春	18.4.29.
776	反骨を筆太に書く兜太の忌	兜太忌	春	18.4.29.
777	骨太の書法貫き兜太の忌	兜太忌	春	18.4.29.
778	兜太逝き良き季語生る春雷忌	春雷忌	春	18.4.29.
779	反戦を王道にして兜太の忌	兜太忌	春	18.4.29.
780	キャリアーの道蹴飛ばしぬ兜太の忌	兜太忌	春	18.4.29.
781	霞ヶ関粗にして卑なり黄砂降る	黄砂	春	18.4.29.
782	厨から蕗炊く湯気の香りかな	蕗	夏	18.4.29.
783	薫風や胸乳尖りし乙女像	薫風	夏	18.4.30.
784	水切りの石より速し飛魚（あご）飛翔	飛魚（あご）	夏	18.4.30.
785	海原を群れ飛ぶ飛魚（あご）に鯱の影	飛魚	夏	18.4.30.
786	飛魚の飛ぶ海原を入日染む	飛魚	夏	18.4.30.
787	年金の生活続く更衣かな	更衣	夏	18.4.30.
788	更衣めがねの縁も替えにけり	更衣	夏	18.4.30.
789	更衣めがねも替へて街に出る	更衣	夏	18.4.30.
790	更衣マネキンどれもクールビズ	更衣	夏	18.4.30.
791	白牡丹ふと崩れ初む夕間暮れ	牡丹	夏	18.4.30.
792	楊貴妃の名を持つ牡丹崩れけり	牡丹	夏	18.4.30.
793	一陣の風に弛みし白牡丹	牡丹	夏	18.4.30.
794	白牡丹染みなきままに崩れ初む	牡丹	夏	18.5.1.
795	耐えかねし一片を追ふ牡丹かな	牡丹	夏	18.5.1.
796	崩るとき迎へて妖し白牡丹	牡丹	夏	18.5.1.
797	ふと崩る気配を見せて白牡丹	牡丹	夏	18.5.1.
798	咲き疲れ衣揺るぎし白牡丹	牡丹	夏	18.5.1.
799	虚飾剥ぐごとく散りたる牡丹かな	牡丹	夏	18.5.1.
800	物の怪のゐそうな気配牡丹園	牡丹	夏	18.5.1.
801	物の怪に変る一揺れ白牡丹	牡丹	夏	18.5.1.
802	石楠花の花に噛まれつ藪を漕ぐ	石楠花	夏	18.5.1.
803	藪漕ぎの石楠花続く急なぞへ	石楠花	夏	18.5.1.
804	夕焼けに赤く染まりつ飛魚飛べり	飛魚	夏	18.5.1.
805	海を抜け飛び継ぐ飛魚（あご）のスペクタクル	飛魚	夏	18.5.1.
806	海を抜け波掻い潜りあご飛べり	飛魚	夏	18.5.1.
807	歴史的美妃美女ならぶ牡丹園	牡丹園	夏	18.5.1.
808	清楚よし濃艶もよし牡丹園	牡丹園	夏	18.5.1.
809	妖艶を清楚で隠す白牡丹	牡丹	夏	18.5.1.
810	妖艶と清楚の並ぶ牡丹園	牡丹園	夏	18.5.1.
811	妖艶と清楚競ひし牡丹園	牡丹園	夏	18.5.1.
812	木漏れ日の光まぶしき五月かな	五月	夏	18.5.1.
813	飛魚の滑空染める入日かな	飛魚	夏	18.5.2.
814	飛魚の入日に向ひ群れ飛べり	飛魚	夏	18.5.2.
815	海原を滑るがごとく飛魚飛べり	飛魚	夏	18.5.2.
816	水切りの石思わせて飛魚滑空	飛魚	夏	18.5.2.
817	船旅や飛魚の飛ぶショータイム	飛魚	夏	18.5.2.
818	こころざし孫が引き継ぎ五月祭	五月	夏	18.5.2.
819	コンビニへ本受け取りに聖五月	聖五月	夏	18.5.2.
820	娘等が五十路の不思議五月来る	五月	夏	18.5.2.
821	フルートはケースに眠り風五月	五月	夏	18.5.2.
822	猫車猫乗ってゐる聖五月	聖五月	夏	18.5.2.
823	海と空使ひし飛魚の逃避行	飛魚	夏	18.5.2.
824	雲水の一列に行く聖五月	聖五月	夏	18.5.2.
825	紛れつつ空に房垂る白き藤	藤	春	18.5.2.
826	若角や鹿棲む瀬戸の島暮るる	若角	夏	18.5.2.
827	瀬戸暮るる鹿島に響く鹿の声	鹿	秋	18.5.2.
828	木の間隠れ眼を怒らせて袋角	袋角	夏	18.5.3.
829	木立奥光る眼のあり袋角	袋角	夏	18.5.3.
830	どの鹿も二寸ばかりの袋角	袋角	夏	18.5.3.
831	五歩六歩寄れば逃げ去る袋角	袋角	夏	18.5.3.
832	柔らかな産毛の温し袋角	袋角	夏	18.5.3.
833	柔らかき若角寄せてねだる鹿	若角	夏	18.5.3.
834	崖下る鹿軽やかに袋角	袋角	夏	18.5.3.
835	薫風や光の庭でハイボール	薫風	夏	18.5.3.
836	薫風や乳房尖りし乙女像	薫風	夏	18.5.3.
837	薫風や乳房尖りし乙女たち	薫風	夏	18.5.3.
838	薫風や乳房のまるき踊り子像	薫風	夏	18.5.3.
839	風薫る社殿に大鈴響きけり	風薫る	夏	18.5.3.
840	勤行の読経の堂宇風薫る	風薫る	夏	18.5.3.
841	ノーブラの胸の弾みや風薫る	風薫る	夏	18.5.3.
842	ブラウスの胸尖らせて風五月	五月	夏	18.5.3.
843	ブラジャーを外し乙女ら五月晴れ	五月晴れ	夏	18.5.3.
844	海原を飛び継ぐ飛魚（あご）のスペクタクル	飛魚	夏	18.5.4.
845	飛び継いで海原駈ける飛魚の群れ	飛魚	夏	18.5.4.
846	海原の入日に染まり飛魚が飛ぶ	飛魚	夏	18.5.4.
847	日を仰ぎ泰山木は花咲けり	泰山木	夏	18.5.4.
848	泰山木花芯を天に開きけり	泰山木	夏	18.5.4.
849	芳香に顔を上ぐれば朴の花	朴の花	夏	18.5.4.
850	天高く日となに話す朴の花	朴の花	夏	18.5.4.
851	地上には用無き風情朴の花	朴の花	夏	18.5.4.
852	ずっしりと花の大杯朴咲けり	朴の花	夏	18.5.4.
853	道の端に捩花見つけしゃがみけり	捩花	夏	18.5.4.
854	捩花の螺旋を辿る虫のあり	捩花	夏	18.5.4.
855	磴の縁勝手咲きたる都草	都草	夏	18.5.4.
856	賑せよ淋しき墓地の都草	都草	夏	18.5.4.
857	限界の集落をちこち都草	都草	夏	18.5.4.
858	都人遠流の島の都草	都草	夏	18.5.4.
859	草原に腰を下ろせば都草	都草	夏	18.5.4.
860	道の端に踏まれ刈られし都草	都草	夏	18.5.4.
861	卓上に黄花愛らし都草	都草	夏	18.5.4.
862	ずっしりと白き大杯朴咲けり	朴の花	夏	18.5.4.
863	遠き嶺雪を残して牧開き	牧開き	夏	18.5.4.
864	海原を飛び継ぐ飛魚（あご）の逃避行	飛魚	夏	18.5.4.
865	限界と言はるる里や都草	都草	夏	18.5.4.
866	大川を吾妻橋抜け夏つばめ	夏燕	夏	18.5.4.
867	白藤の空に紛れつ房垂るる	藤	春	18.5.5.
868	遠嶺に雪を残して牧開き	牧開き	夏	18.5.5.
869	千枚田埋むげんげの花明り	げんげ	春	18.5.5.
870	千枚をピンクに染めるげんげん田	げんげ田	春	18.5.5.
871	大なぞへげんげ咲き満つ千枚田	げんげ	春	18.5.5.
872	窯出しの火襷（ひだすき）の壺夏来る	夏来る	夏	18.5.5.
873	窯出しの壺まだ温し麦の秋	麦の秋	夏	18.5.5.
874	ベランダに横一線の鯉幟	鯉幟	夏	18.5.5.
875	薫風や握り飯食ふ鮭鱈子	薫風	夏	18.5.5.
876	まだ温き窯出しの壺風薫る	風薫る	夏	18.5.5.
877	花頭窓開きし寺や夏立ちぬ	立夏	夏	18.5.5.
878	忍野八海水滾々と五月富士	五月富士	夏	18.5.5.
879	窯出しの火襷（ひだすき）の壺夏来る	夏来る	夏	18.5.5.
880	窯変の火襷走り風薫る	風薫る	夏	18.5.5.
881	対岸は多摩の横山夏つばめ	夏燕	夏	18.5.6.
882	夏つばめ目には止まれど早やどこぞ	夏燕	夏	18.5.6.
883	水上バス走る大川夏つばめ	夏燕	夏	18.5.6.
884	夏つばめ宝剣光る大三島	夏燕	夏	18.5.6.
885	黒光る奈良の大仏夏つばめ	夏燕	夏	18.5.6.
886	香煙を身に寄す衆生夏つばめ	夏燕	夏	18.5.6.
887	水切りの石より速く夏つばめ	夏燕	夏	18.5.6.
888	窯出しの壺に火襷夏つばめ	夏燕	夏	18.5.6.
889	袈裟切りに巌流島の夏つばめ	夏燕	夏	18.5.6.
890	古民家の土間を抜け行く夏燕	夏燕	夏	18.5.6.
891	石切場人影見えず夏つばめ	夏燕	夏	18.5.6.
892	寸止めの妙技鮮やか夏つばめ	夏燕	夏	18.5.6.
893	ツツピーとなに早口に四十雀	四十雀	夏	18.5.7.
894	頭頂の薄き囃すか四十雀	四十雀	夏	18.5.7.
895	頭頂の薄き笑ふや四十雀	四十雀	夏	18.5.7.
896	青鷺のただひたすらに待つ姿勢	青鷺	夏	18.5.7.
897	青鷺の待てば日和と決め込めり	青鷺	夏	18.5.7.
898	朝顔市境内狭き鬼子母神	朝顔市	夏	18.5.7.
899	朝顔市行った証しの鉢を下げ	朝顔市	夏	18.5.7.
900	法被着て朝顔市に立つ乙女	朝顔市	夏	18.5.7.
901	朝顔市地下足袋似合ふ乙女かな	朝顔市	夏	18.5.7.
902	羅の女主宰の句会かな	羅（うすもの）	夏	18.5.7.
903	滾々と忍野八海五月富士	五月富士	夏	18.5.7.
904	飾り花排して靄る小紫陽花	紫陽花	夏	18.5.7.
905	飾り花付けずと吾は小紫陽花	紫陽花	夏	18.5.7.
906	煙るごと静かに咲き小ぬ紫陽花	紫陽花	夏	18.5.7.
907	茹で蕗の皮剥く母の手際かな	蕗	夏	18.5.7.
908	結ふよりも解くに手間取る粽かな	粽	夏	18.5.8.
909	結ふときも解くも手間かけ笹粽	笹粽	夏	18.5.8.
910	深鉢に粽どさりと立てて出る	粽	夏	18.5.8.
911	弟に優しき姉が粽解く	粽	夏	18.5.8.
912	山里や紫霞む花樗（あふち）	花樗	夏	18.5.8.
913	集落を包む紫煙や花あふち	花樗	夏	18.5.8.
914	花あふち村霞ませてバスが来る	花樗	夏	18.5.8.
915	紫の霞たなびく花あふち	花樗	夏	18.5.8.
916	遠見佳し紫霞む花あふち	花樗	夏	18.5.8.
917	離ぬれば紫煙に変る花あふち	花樗	夏	18.5.8.
918	離るほど霞棚引く花あふち	花樗	夏	18.5.8.
919	樗咲き村里包む花けむり	花樗	夏	18.5.8.
920	花烟るあふち透かしに忍野富士	花樗	夏	18.5.8.
921	紫煙かと目を凝らしたる花あふち	花樗	夏	18.5.8.
922	紫に霞む山里花あふち	花樗	夏	18.5.8.
923	花霞あふちに透ける忍野富士	花樗	夏	18.5.8.
924	厨から蕗炊く湯気の香り来る	蕗	夏	18.5.９.
925	走り出て止まり窺ふ蜥蜴かな	蜥蜴	夏	18.5.9.
926	走り出て車道窺ふ青蜥蜴	蜥蜴	夏	18.5.9.
927	するするとまたするすると青蜥蜴	蜥蜴	夏	18.5.9.
928	後ずさる犬の鼻さき青蜥蜴	蜥蜴	夏	18.5.9.
929	青蜥蜴四輪駆動の速さかな	蜥蜴	夏	18.5.9.
930	ポケットの蜥蜴をひょいと理科少女	蜥蜴	夏	18.5.9.
931	秀吉は蜥蜴の名なり庭に棲む	蜥蜴	夏	18.5.9.
932	水遣りの鉢をするりと青蜥蜴	蜥蜴	夏	18.5.9.
933	まぐはひの蜥蜴と知らず鉢に水	蜥蜴	夏	18.5.9.
934	火照る身をもつらせ交（さか）る蜥蜴かな	蜥蜴	夏	18.5.9.
935	風吹けば禾のさやぎし麦の秋	麦秋	夏	18.5.9.
936	夏つばめ香煙烟る浅草寺	夏燕	夏	18.5.9.
937	二十四の瞳の像や夏つばめ	夏燕	夏	18.5.9.
938	雷門提灯くぐる夏つばめ	夏燕	夏	18.5.9.
939	十勝岳まだ雪残し牧開き	牧開き	夏	18.5.9.
940	十勝岳雪を残して夏つばめ	夏燕	夏	18.5.9.
941	江戸城の大石垣や夏つばめ	夏燕	夏	18.5.9.
942	巌流島袈裟切りにして夏つばめ	夏燕	夏	18.5.9.
943	菊坂をすいと飛び行く夏つばめ	夏燕	夏	18.5.9.
944	衣脱ぎ蛇改めて無一物	蛇の衣	夏	18.5.10.
945	身に一物無きを証して蛇の殻	蛇の殻	夏	18.5.10.
946	軽ろやかに風に踊りし蛇の衣	蛇の衣	夏	18.5.10.
947	見上げたる見越しの松に蛇の衣	蛇の衣	夏	18.5.10.
948	蛇の衣を恐々触る蛇嫌ひ	蛇の衣	夏	18.5.10.
949	しっかりと眼の穴二つ蛇の殻	蛇の殻	夏	18.5.10.
950	樹々を地を這いて傷なき蛇の衣	蛇の衣	夏	18.5.10.
951	蛇の衣残りし庭の怖ろしき	蛇の衣	夏	18.5.10.
952	古き衣脱ぎ棄てる蛇羨まし	蛇の衣	夏	18.5.10.
953	衣捨て無垢と言い張る蛇ずるし	蛇の衣	夏	18.5.10.
954	眼鼻口もう一つ穴蛇の殻	蛇の殻	夏	18.5.10.
955	己が過去更新したる蛇の殻	蛇の殻	夏	18.5.10.
956	札入れの奥に仕舞ひし蛇の衣	蛇の衣	夏	18.5.10.
957	脱ぎ捨てて女身艶やか蛇の衣	蛇の衣	夏	18.5.11.
958	蛇の衣真似て皺取る顔パック	蛇の衣	夏	18.5.11.
959	脱ぎ捨てて乙女の肌に蛇の殻	蛇の殻	夏	18.5.11.
960	艶やかな女体なれども青大将	青大将	夏	18.5.11.
961	青大将ちと卑猥なる呼び名かな	青大将	夏	18.5.11.
962	抜き手など切らねど速し蛇渡渉	蛇	夏	18.5.11.
963	蛇に指いまも指せずに八十路かな	蛇	夏	18.5.11.
964	するすると青大将の過りたり	青大将	夏	18.5.11.
965	乙女かも知れず過ぎりし青大将	青大将	夏	18.5.11.
966	山路来て眼の前よぎるヤマカガシ	山案山子	夏	18.5.11.
967	縺れ合ふ蛇の濡れ場や墓碑の陰	蛇	夏	18.5.11.
968	縺れ合ひのた打つ蛇の濡れ場かな	蛇	夏	18.5.11.
969	古衣を脱ぎ捨て蛇の衣更え	衣更え	夏	18.5.11.
970	蛇の殻乙女に還る女体かな	蛇の殻	夏	18.5.11.
971	菊坂を翻りたる夏つばめ	夏燕	夏	18.5.12.
972	牡丹のふと崩れ初む夕間暮れ	牡丹	夏	18.5.12.
973	札入れに畳んで入れし蛇の衣	蛇の衣	夏	18.5.12.
974	札入れを転げ出でたる蛇の衣	蛇の衣	夏	18.5.12.
975	万緑や剃り跡青き僧の列	万緑	夏	18.5.12.
976	万緑や音滔々と取水堰	万緑	夏	18.5.12.
977	万緑の端に加わる狭庭かな	万緑	夏	18.5.12.
978	万緑の端に連なるわが狭庭	万緑	夏	18.5.12.
979	万緑と墨痕淋漓筆太に	万緑	夏	18.5.12.
980	万緑や渡れば揺るる蔓橋	万緑	夏	18.5.12.
981	万緑や軋む吊橋まだ半ば	万緑	夏	18.5.12.
982	ポケットに蜥蜴忍ばす理系女かな	蜥蜴	夏	18.5.12.
983	警官の制服てんで衣更え	衣更え	夏	18.5.12.
984	更衣何年着たる替え上着	更衣	夏	18.5.12.
985	ウエストも去年のままで更衣	更衣	夏	18.5.12.
986	ウエストも変わることなく更衣	更衣	夏	18.5.12.
987	替上着明るき色に更衣	更衣	夏	18.5.12.
988	讃岐路や黄金波打つ麦の秋	麦の秋	夏	18.5.13.
989	遍路道黄金眩しき麦の秋	麦の秋	夏	18.5.13.
990	遍路道一直線に麦の秋	麦の秋	夏	18.5.13.
991	金毘羅へ向かふ琴電麦の秋	麦の秋	夏	18.5.13.
992	讃岐ではうどんがうまし麦の秋	麦の秋	夏	18.5.13.
993	麦秋や黄金の中の無人駅	麦秋	夏	18.5.13.
994	野仏を黄金に染めて麦の秋	麦の秋	夏	18.5.13.
995	野仏を黄金が包む麦の秋	麦の秋	夏	18.5.13.
996	野仏も黄金に染まる麦の秋	麦の秋	夏	18.5.13.
997	気動車の突如現る麦の秋	麦の秋	夏	18.5.13.
998	讃岐うどんつるつる啜る麦の秋	麦の秋	夏	18.5.13.
999	気動車に黄金波打つ麦の秋	麦の秋	夏	18.5.13.
1000	麦秋や磴百段の札所寺	麦秋	夏	18.5.13.

♪BGM:Erik Alfred Leslie Satie［(Gymnopédies１］arranged by Pian♪


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