鈴童の遊び
一日十句以上を千句詠む

(第4回)


季語 作句日
1 原発のおぞましかりや葱坊主 葱坊主 12.5.13
2 幼子のはいとくれたり葱坊主 葱坊主 12.5.13
3 幼子の掌の温みあり葱坊主 葱坊主 12.5.13
4 幼子の掌の温もりや葱坊主 葱坊主 12.5.13
5 摘み取られ捨てられてゆく葱坊主 葱坊主 12.5.13
6 咲き上り咲き下りをり凌霄花 凌霄花
のうぜんかずら
12.5.13
7 塀越しにこぼれ咲かせし凌霄花 凌霄花
のうぜんかずら
12.5.13
8 棚のした見上げし藤の花無尽 12.5.13
9 茎反らし天寿を終へる遊蝶花 遊蝶花(三色菫) 12.5.13
10 光琳に引き立てられぬ燕子花 燕子花(かきつばた) 12.5.13
11 白魚のごとく重なり心太 心太 12.5.14
12 酢醤油の薄く染みたる心太 心太 12.5.14
13 喉越しに磯の香運ぶ心太 心太 12.5.14
14 和芥子の辛さも涼し心太 心太 12.5.14
15 甘味処やおのこ独りで心太 心太 12.5.14
16 乙女らは蜜豆われは心太 心太 12.5.14
17 ひと突きで器にうねる心太 心太 12.5.14
18 葛饅頭皿から喉へひと息に 葛饅頭 12.5.14
19 一気食い葛切なれば許されて 葛切 12.5.14
20 麦こがし遠く懐かし祖母の味 麦こがし 12.5.14
21 池の辺に毅然と咲くや杜若(かきつばた) 杜若・燕子花 12.5.15
22 紫に交じりて白き杜若 杜若・燕子花 12.5.15
23 雨上がりひと際映える杜若 杜若・燕子花 12.5.15
24 雨のなか異彩を放つ杜若 杜若・燕子花 12.5.15
25 生足の乙女らの声柿若葉 柿若葉 12.5.15
26 生足の乙女ら眩し柿若葉 柿若葉 12.5.15
27 馬手(めて)に杖弓手(ゆんで)にタオル夏遍路 12.5.15
28 ぶいぶいと児らにぎやかに海ほほづき 海ほほづき 12.5.15
29 爺と婆腰労わりつ袋掛 袋掛 12.5.15
30 瀬戸の海見下ろす枇杷の袋掛 袋掛 12.5.15
31 刺ぬきの薔薇に寄り添ふ去勢猫 薔薇 12.5.16
32 野茨の香を吸ひ上げて風遊ぶ 野茨 12.5.16
33 僧兵の群れとも見ゆる山法師 山法師 12.5.16
34 街路樹の花水木咲く紅と白 花水木 12.5.16
35 ぼうたんの身を持ち崩すサドンデス 牡丹 12.5.16
36 夏霞ふと衣ずれの夢衣 夏霞 12.5.16
37 飛び立てる命の数や蝉の殻 12.5.16
38 風薫る散歩の道の活断層 風薫る 12.5.16
39 夏雲やいま立つあたり活断層 夏雲 12.5.16
40 夏富士や山容変える活断層 12.5.16
41 万緑のはけの道沿い活断層 万緑 12.5.17
42 夏の雲真下を走る活断層 夏の雲 12.5.17
43 活断層いつ崩るるや雲の峰 雲の峰 12.5.17
44 風薫る歩く道筋活断層 風薫る 12.5.17
45 七年の闇から抜けて蝉唄ふ 12.5.17
46 仰向けにじいとひと鳴き蝉逝けり 12.5.17
47 空蝉や源氏の涙背を濡らす 空蝉 12.5.17
48 蝉鳴くや七日かぎりの嫁捜し
12.5.17
49 蝉の殻つと樹皮離れ落ちにけり 空蝉 12.5.17
40 空蝉もワンノブゼムの小物入れ 空蝉 12.5.17
41 暫の見得を切りたる蝉の殻 空蝉 12.5.18
42 後太刀浴びしポーズや蝉の殻 空蝉 12.5.18
43 サッポーの胸乳に赤き薔薇ふたつ 薔薇 12.5.18
44 翅合わせ思い耽るや糸とんぼ 糸とんぼ 12.5.18
45 翅合わせ出逢ひを待つや糸とんぼ 糸とんぼ 12.5.18
46 香ばしき煙りの中で岩魚焼く 岩魚 12.5.18
47 五月闇原発の灯は欲らぬなり 五月闇 12.5.18
48 折り畳み自転車漕ぐや夏帽子 夏帽子 12.5.18
49 良き知らせ牡丹とともに喜べり 牡丹 12.5.18
50 良き知らせ喜び分かつ白牡丹 牡丹 12.5.18
51 ビートルズ全詩集読む遠花火 遠花火 12.5.19
52 後太刀または暫蝉の殻 蝉の殻 12.5.19
53 手探りで髪削ぐ初夏の風呂場かな 12.5.19
54 汗流る目にも流るる野良仕事 12.5.19
55 井月と句を交わしたる昼寝覚 昼寝覚 12.5.19
56 井月と野良で酒酌む昼寝覚 昼寝覚 12.5.19
57 舟漕ぎし午睡のゆえの肩の凝り 午睡 12.5.19
58 背の砂に悔しさ滲む負相撲 相撲 12.5.19
59 活断層おだやかならず夏の富士 12.5.19
60 山笑ふと言えども富士の活断層 山笑ふ 12.5.19
61 富士ぐらり山笑へるや活断層 山笑ふ 12.5.20
62 フルートを吹かず十年たかしの忌 たかし忌 12.5.20
63 白鳳に座布団三度五月場所 五月場所 12.5.20
64 上水に廂を伸ばす新樹かな 新樹 12.5.20
65 上水に廂連ねる新樹かな 新樹 12.5.20
66 奥多摩の山奥多摩の谷若葉 若葉 12.5.20
67 噴水のとばしる五月眩しかり 噴水・五月 12.5.20
68 あの世とは昼の寝覚めのなきところ 昼寝覚 12.5.20
69 破れ傘捨つるにあらず天婦羅に 破れ傘 12.5.20
70 鰻から宗旨を変えて泥鰌鍋 泥鰌鍋 12.5.20
71 子つばめの天くつがへる術覚ゆ 子燕 12.5.21
72 ジャスミンの群花咲き初め香に咽ぶ ジャスミン 12.5.21
73 茉莉花やほどを超えたる香に咽ぶ 茉莉花 12.5.21
74 たまきはるいのちのひとつ白目高 目高 12.5.21
75 たまきはるいのち愛しき月見草 月見草 12.5.21
76 たまきはるいのち茉莉花香で勝負 茉莉花 12.5.21
77 たまきはるいのちなりけりごきぶりも ごきぶり 12.5.21
78 むらぎもの心謎めく牡丹かな 牡丹 12.5.21
79 薫風やこころ掬ふを恋と言ふ 薫風 12.5.21
80 井月やふくべの酒を呑む夏野 夏野 12.5.21
81 人去りし後の路地ゆく風の盆 風の盆 12.5.22
82 寥寥と胡弓流れる風の盆 風の盆 12.5.22
83 二階家の窓鈴なりに風の盆 風の盆 12.5.22
84 青梅のぽとりと落ちてころげたり 青梅 12.5.22
85 青梅のさぼてんに落ちあはれなり 青梅 12.5.22
86 さぼてんに落ちし青梅痛かろに 青梅 12.5.22
87 青梅のぽとりぽとりと落ちるかな 青梅 12.5.22
88 ついと実を落とす青梅なにゆへに 青梅 12.5.22
89 万緑や秩父山塊揺るぎなし 万緑 12.5.22
90 ジャスミンの香に襲はれり目眩めり ジャスミン 12.5.22
91 柿若葉散歩の道の犬の糞 柿若葉 12.5.23
92 丸もよし裂きも旨しや泥鰌鍋 泥鰌鍋 12.5.23
93 熱々のチーズフォンデュー食む土用 土用 12.5.23
94 時経ても俳句は残る傘雨の忌 傘雨忌・万太郎忌 12.5.23
95 鉄線花つる細けれどげに鉄線 鉄線花 12.5.23
96 夏蝶のはしゃぎはしゃぎて舞ひにけり 初蝶 12.5.23
97 さぼてんや互いに棘で刺しあわず さぼてん 12.5.23
98 さぼてんや棘刺し合わぬ知恵を見せ さぼてん 12.5.23
99 生まるとは死への道行き夏木立 夏木立 12.5.23
100 夢こそが現なりしか昼寝覚 昼寝覚 12.5.23
101 座布団の飛ばぬ異変や五月場所 五月場所 12.5.24
102 ことごとに時は過ぎ行き五月闇 五月闇 12.5.24
103 こら待てと叫びつ追ひし夏帽子 夏帽子 12.5.24
104 刻々と余生削りつ午睡かな 午睡 12.5.24
105 柔らかき乳房の揺れて夏衣 夏衣 12.5.24
106 来世とは空の彼方か雲の峰 雲の峰 12.5.24
107 来世とは摩訶不思議なり雲の峰 雲の峰 12.5.24
108 来世とはこの世の先か雲の峰 雲の峰 12.5.24
109 来世とはこの世の続き雲の峰 雲の峰 12.5.24
110 ベランダを端居と決めて仰ぐ星 端居 12.5.24
111 ごみ出しの定職を得て夏の朝 夏の朝 12.5.25
112 ごみ出しが定職となり夏の朝 夏の朝 12.5.25
113 ごみ出しを定職とせし夏の朝 夏の朝 12.5.25
114 石楠花や花粉まみれのハナムグリ 石楠花 12.5.25
115 じゃがいもの花咲き揃ひ夏の蝶 夏の蝶 12.5.25
116 夏至の昼黄泉には暗き夜が続く 夏至 12.5.25
117 夏至迎ふ黄泉には暗き夜が続く 夏至 12.5.25
118 夏至の夜の夢懐かしき人に逢ひ 夏至 12.5.25
119 けふは夏至昼寝で夜を補ヘリ 夏至 12.5.25
120 夢さめて耳鳴りを聞く夏至の夜 夏至 12.5.25
121 夢さめて耳鳴りのなか夏至の雨 夏至 12.5.26
122 黒揚羽ほどよき距離の蜆蝶 揚羽蝶 12.5.26
123 翅欠けし浅葱斑(あさぎまだら)の旅想ふ 立羽蝶 12.5.26
124 翅欠けしあさぎまだらの長旅かな 立羽蝶 12.5.26
125 夏大根辛きを抜いて蕎麦とする 夏大根 12.5.26
126 夏大根辛きを選び蕎麦の昼 夏大根 12.5.26
127 裸身見せのたうつ蚯蚓露はなり 蚯蚓 12.5.26
128 布団撥ね叩き起こさる蚯蚓かな 蚯蚓 12.5.26
129 日に焼かれワの字に果てし蚯蚓かな 蚯蚓 12.5.26
130 馬鈴薯の花に笑みつつ土寄せる 馬鈴薯の花 12.5.26
131 馬鈴薯の花盛りなり土寄せる 馬鈴薯の花 12.5.27
132 馬鈴薯の花茄子に似て身内なり 馬鈴薯の花 12.5.27
133 馬鈴薯も茄子も相似る花の畑 馬鈴薯の花 12.5.27
134 ナス属や薯にトマトに茄子の花 茄子・馬鈴薯の花 12.5.27
135 草叢にすぐに見つけし小判草 小判草 12.5.27
136 幻聴かちゃりんと鳴りし小判草 小判草 12.5.27
137 小判草鳴るはずもなく風に揺る 小判草 12.5.27
138 小判草摘んで挿したるミニボトル 小判草 12.5.27
139 小判草一輪挿しに揺れてをり 小判草 12.5.27
140 ミニボトル地震伝へる小判草 小判草 12.5.27
141 泣きじゃくる迷子の握る小判草 小判草 12.5.28
142 小判草ちゃりんと鳴って知らぬ顔 小判草 12.5.28
143 ひょいひょいと草鞋揺らして俵麦 俵麦 12.5.28
144 麦笛のビブラートして佳境なり 麦笛 12.5.28
145 草笛や外れる箇所も楽しけり 草笛 12.5.28
146 夏空を広々と翔ぶ鳶静か 夏空 12.5.28
147 夏空を広々と翔ぶ鳶悠々 夏空 12.5.28
148 乳飲み子の額に汗の薄暑かな 薄暑 12.5.28
149 小満やお天道さまの欠ける朝 小満 12.5.28
150 石焦げる庭するするとゆく蜥蜴 蜥蜴 12.5.28
151 夏暁や耳鳴り止んで目覚めたり 夏暁 12.5.29
152 夏暁の庭に鋭き鳥の声 夏暁 12.5.29
153 山雀(やまがら)のつーぴーと呼ぶ夏の朝 夏の朝 12.5.29
154 大声で交わす鳥語や夏の朝 夏の朝 12.5.29
155 夏の朝隠し立てなき鳥の声 夏の朝 12.5.29
156 夏暁の開けっ広げの鳥語聴く 夏暁 12.5.29
157 夏暁や鳥語分かれば世は楽土 夏暁 12.5.29
158 一株の菖蒲浮きたる湯に浸る 菖蒲湯 12.5.29
159 一株の菖蒲浮きたる湯の香り 菖蒲湯 12.5.29
160 湯に浮かぶ菖蒲一株寄り来る 菖蒲湯 12.5.29
161 菖蒲湯の剣先寄りて香を嗅げり 菖蒲湯 12.5.30
162 菖蒲湯の剣先寄りて香を放つ 菖蒲湯 12.5.30
163 ひと束の菖蒲たゆとふ湯の香り 菖蒲湯 12.5.30
164 一株の菖蒲たゆとふ湯の香気 菖蒲湯 12.5.30
165 甘茶より緑茶はいかが灌仏会 灌佛会 12.5.30
166 時折は緑茶もいかが灌仏会 灌佛会 12.5.30
167 葱坊主摘みし後から頭出し 葱坊主 12.5.30
168 芍薬に顔を寄すれば艶めけり 芍薬 12.5.30
169 芍薬に花潜ゐる薬草園 芍薬 12.5.30
170 芍薬のひと花ごとに花潜 芍薬 12.5.30
171 子鴉や君も立派に濡羽色 子鴉 12.5.31
172 子鴉や君もやっぱり濡羽色 子鴉 12.5.31
173 金環の列島走る初夏の朝 夏の朝 12.5.31
174 キャラ眼鏡かけし金環風薫る 風薫る 12.5.31
175 金環のそよろと涼し五分ほど 涼しい 12.5.31
176 金環や白夜想わす若葉影 若葉 12.5.31
177 木漏れ日に浮かぶ金環風涼し 涼しい 12.5.31
178 ご近所も金環見上ぐ柿若葉 柿若葉 12.5.31
179 金環の炎のビーズ若葉風 若葉風 12.5.31
180 金環に池の目高は不動なり 目高 12.5.31
181 木漏れ日の千の金環若葉風 若葉風 12.6.1
182 かき氷舌の痺れて日が眩し かき氷 12.6.1
183 かき氷舌は赤やら緑やら かき氷 12.6.1
184 氷山の浮かぶさうめん手繰る昼 さうめん 12.6.1
185 青竹を走るさうめん掬ふ箸 さうめん 12.6.1
186 数本の赤も混じりて冷さうめん さうめん 12.6.1
187 ビール飲み仕上げに軽く冷さうめん さうめん 12.6.1
188 流れ来るさうめん掬ふ昼餉かな さうめん 12.6.1
189 旭天鵬涙の賜杯五月場所 五月場所 12.6.1
190 五月場所清しく締めた旭天鵬 五月場所 12.6.1
191 旭天鵬愚直の賜杯五月場所 五月場所 12.6.2
192 初賜杯涙も薫る旭天鵬 薫風 12.6.2
193 旭天鵬と言ふ名刻した五月場所 五月場所 12.6.2
194 五月晴れ初賜杯抱く旭天鵬 五月晴れ 12.6.2
195 風薫る賜杯清しく旭天鵬 風薫る 12.6.2
196 夏場所や旭天鵬の名を刻す 夏場所 12.6.2
197 大川や旭天鵬の五月場所 五月場所 12.6.2
198 緑さす川辺に弾む児らの声 緑さす 12.6.2
199 火の迫る北十間川木歩の忌 木歩忌 12.6.2
200 木歩の死無惨なれども燕子花 燕子花・杜若 12.6.2
201 心映え清し木歩や鉄線花 鉄線花 12.6.3
202 脚萎えの木歩囲みし芹の花 芹の花 12.6.3
203 業火にも怨み残さじ木歩の忌 木歩忌 12.6.3
204 火の迫る北十間川木歩の忌 木歩忌 12.6.3
205 水影に香りて咲くや芹の花 芹の花 12.6.3
206 六三四てふ名をもつ児らの増へる夏 12.6.3
207 玉虫の翅毟りたるお厨子かな 玉虫 12.6.3
208 お厨子から羽毟られし虫の声 玉虫 12.6.3
209 毟られし翅も国宝玉虫厨子 玉虫 12.6.3
210 玉虫の緑羽煌めき飛び立てり 玉虫 12.6.3
211 日を浴びて玉虫の翅煌めけり 玉虫 12.6.4
212 玉虫の骸転がる箪笥かな 玉虫 12.6.4
213 玉虫や死しても褪せぬ緑羽見せ 玉虫 12.6.4
214 一匹だけ群れぬ目高の心意気 目高 12.6.4
215 目高逝く仲間の流儀サドンデス 目高 12.6.4
216 目高死す忽然と逝く流儀かな 目高 12.6.4
217 黒々と般若心経夏書かな 夏書 12.6.4
218 雲水の般若心経夏書かな 夏書 12.6.4
219 朗々と般若心経夏へんろ 12.6.4
220 墨太く般若心経夏書かな 夏書 12.6.4
221 正座して般若心経夏書かな 夏書 12.6.5
222 上水の所どころに棕櫚の花 棕櫚の花 12.6.5
223 上水の雑木の岸辺棕櫚の花 棕櫚の花 12.6.5
224 棕櫚の花団扇のごとき葉の元に 棕櫚の花 12.6.5
225 棕櫚の花児らが駆け行く通学路 棕櫚の花 12.6.5
226 通学路児らの囀り棕櫚の花 棕櫚の花 12.6.5
227 蕉翁が結びの里や若楓 若楓 12.6.5
228 囀りは鳥のおしゃべり若葉風 若葉風
(囀り:季語春)
12.6.5
229 弁財天そそりたまふや夏衣 夏衣 12.6.5
230 女身仏胸乳豊かに夏衣 夏衣 12.6.5
231 羅(うすもの)を透かして眩し伎芸天 羅(うすもの) 12.6.6
232 羅の胸乳豊かに弁財天 12.6.6
233 羅の胸乳もあらわ女身仏 12.6.6
234 豊麗なおすがたつつむ夏衣 12.6.6
235 羅に胸乳の揺るる伎芸天 12.6.6
236 羅に肌薫らせて伎芸天 12.6.6
237 羅の胸乳露はに天女舞ふ 12.6.6
238 羅で御身つつみし女身仏 12.6.6
239 羅の襞やはらかに女身仏 12.6.6
240 水遣りの後に降り出す緑雨かな 緑雨 12.6.6
241 道しるべ見つけてほっと夏木立 夏木立 12.6.7
242 原爆忌あらたに加ふ原発忌 12.6.7
243 丼をはみ出して来る穴子丼 穴子 12.6.7
244 半跏仏足裏過ぐる若葉風 若葉風 12.6.7
245 若葉風半跏のみ足清めけり 若葉風 12.6.7
246 螻蛄(けら)あはれおけら虫けら罵詈讒謗 螻蛄 12.6.7
247 家捨てて嫌はれ者になめくぢり なめくじり 12.6.7
248 蝸牛一生かけて歩く距離 蝸牛 12.6.7
249 ででむしや生涯かけて辿る距離 ででむし 12.6.7
250 蚰蜒(げじげじ)や脚波打たせ速きこと 蚰蜒 12.6.7
251 ひと突きで身を引き裂かる鰻かな 12.6.8
252 錐打たれふた身に裂かる穴子かな 穴子 12.6.8
253 五右衛門のごとき往生どじょう鍋 泥鰌鍋 12.6.8
254 裂かれても丸でもあはれ泥鰌汁 泥鰌汁 12.6.8
255 柿若葉余命てふ名の砂時計 柿若葉 12.6.8
256 しゅらしゅしゅと百足虫の走るアスファルト 百足・百足虫 12.6.8
257 青臭きたかんなの皮剥ぎ重ね たかんな・筍 12.6.8
258 たかんなの皮剥く厨青臭し たかんな・筍 12.6.8
259 筍の皮剥く厨青臭し たかんな・筍 12.6.8
260 捩花(ねじばな)を見遣る目線も螺旋状 捩花 12.6.8
261 捩花を見遣る目線もスパイラル 捩花 12.6.9
262 飾り付き弔電打ちて花ぎぼし 擬宝珠 12.6.9
263 五月晴れ光溢るる葬儀場 五月晴れ 12.6.9
264 油虫逃げる速さが憎まれる 油虫・ごきぶり 12.6.9
265 ごきぶりや大きいほどに敵役 油虫・ごきぶり 12.6.9
266 油虫翅を使わず脚で逃げ 油虫・ごきぶり 12.6.9
267 ごきぶりや逃げる速さに追ふ速さ 油虫・ごきぶり 12.6.9
268 見つかればかならず追はる油虫 油虫・ごきぶり 12.6.9
269 ごきぶりや優しき主婦に牙剥かす 油虫・ごきぶり 12.6.9
260 ごきぶりや上下縦横走り抜け 油虫・ごきぶり 12.6.9
271 ごきぶりや見つかれば逃げ見つかれば逃げ 油虫・ごきぶり 12.6.9
272 ごきぶりの逃げるが勝ちの平和主義 油虫・ごきぶり 12.6.9
273 ごきぶりの逃げても追はる性哀し 油虫・ごきぶり 12.6.9
274 捕虫箱鬚振はせる油虫 油虫・ごきぶり 12.6.9
275 花菖蒲へだてる水のこ憎らし 花菖蒲 12.6.9
276 縦横に水あればこそ花菖蒲 花菖蒲 12.6.9
277 蓑虫の雌一生のハンモック 蓑虫 12.6.9
278 水鉄砲顔に命中泣き出す子 水鉄砲 12.6.9
279 水鉄砲濡れて笑ふ子泣き出す子 水鉄砲 12.6.9
280 濡れ鼠きやつきやつと児らの水鉄砲 水鉄砲 12.6.9
281 水鉄砲叱られたくて撃ってくる 水鉄砲 12.6.10
282 涼風や阿修羅がタイプといふ乙女 涼風 12.6.10
283 相撲取美人の女房みな小柄 相撲 12.6.10
284 摘み取れば摘み取るほどに葱坊主 葱坊主 12.6.10
285 白無垢の花嫁眩し八重十薬 十薬・どくだみ 12.6.10
286 鉄柵の二重の中の芥子の花 芥子の花・罌粟の花 12.6.10
287 凌霄の毒花と聞き後ずさり 凌霄の花 12.6.10
288 花あやめぬかるむ土を好まざる あやめ 12.6.10
289 芍薬も旬過ぎたれば花の染み 芍薬 12.6.10
290 忍冬の花白無垢も黄ばむ夕 忍冬の花 12.6.10
291 乳飲み子の手でまさぐりつ夏日陰 夏日陰 12.6.11
292 柔らかき乳首咥えつ子の昼寝 昼寝 12.6.11
293 添へ乳しつ母も午睡の人となり 午睡 12.6.11
294 頭上から母の寝息や乳飲む子 12.6.11
295 添へ乳する母うとうとと遠き雷 12.6.11
296 触れもせで終身禁固芥子の花 芥子の花 12.6.11
297 逢瀬なく虜囚で果てし芥子の花 芥子の花 12.6.11
298 故知らず花瓶に活けよ渥美芥子 芥子の花 12.6.11
299 白無垢の素性は問はな芥子大輪 芥子の花 12.6.11
300 万緑や影を残して監督逝く
<映画監督、新藤兼人、5月29日100歳で没。悼句>
万緑 12.6.11
301 万緑や影に託して監督逝く 万緑 12.6.12
302 花菖蒲見てよ見てよと呼びにけり 花菖蒲 12.6.12
303 鴨足草(ゆきのした)白八の字の鬚鬚鬚 鴨足草(ゆきのした) 12.6.12
304 花の茎折りて立ち去る蛞蝓 蛞蝓(なめくじ・なめくじら・なめくじり) 12.6.12
305 花の首落として消えしなめくじり なめくじり 12.6.12
306 塩かける他に手はなしなめくじら なめくじら 12.6.12
307 悪さにも愛嬌ほしきなめくじり なめくじり 12.6.12
308 言ひ分はあらふが嫌ひなめぐじら なめくじら 12.6.12
309 花茎を折りて遁走なめぐじら なめくじら 12.6.12
310 踏み潰すこともおぞましなめくじら なめくじら 12.6.12
311 万緑や餅つき睦む道祖神 万緑 12.6.13
312 遠雷や忘れたころに通り雨 遠雷 12.6.13
313 遠雷や眠気を誘ふ子守唄 遠雷 12.6.13
314 部屋飼ひの犬きゃんきゃんと日雷 日雷 12.6.13
315 居るだけで疲れる女夏句会 12.6.13
316 饒舌のいぶせき女夏句会 12.6.13
317 フェンス巻く鉄線の蔓クレマチス クレマチス 12.6.13
318 強靭の蔓ありてこそ鉄線花 鉄線花 12.6.13
319 万緑やジオラマ疾駆Nゲージ 万緑 12.6.13
320 禍々し蜈蚣蚰蜒蛞蝓
(まがまがしむかでげじげじなめくじり)
蜈蚣・蚰蜒・蛞蝓 12.6.13
321 鉄線の紫凛と見上げをり 鉄線花 12.6.14
322 どの足も縺れず走るげじむかで げじ・むかで 12.6.14
323 どの足も縺れず走るむかでかな むかで 12.6.14
324 げじげじや一糸乱れぬ足捌き げじげじ 12.6.14
325 百足ロボ波打ち走る脚捌き 百足 12.6.14
326 ぐいとやるビールの旨さアマリリス アマリリス 12.6.14
327 茎しなるほどの大輪アマリリス アマリリス 12.6.14
328 燃える日に負けずに赤きアマリリス アマリリス 12.6.14
329 花の茎ぐいと伸ばせりアマリリス アマリリス 12.6.14
330 一鉢を一花で仕切るアマリリス アマリリス 12.6.14
331 さぼてんは世話厭ふてか刺々し さぼてん 12.6.15
332 さぼてんの触るるを厭ひ刺々し さぼてん 12.6.15
333 さぼてんはさぼてんのまま花茎伸ぶ さぼてん 12.6.15
334 ひた走るメロスよ走れ雲の峰 雲の峰 12.6.15
335 蹲踞して仕切りに入る蟾蜍 蟾蜍 12.6.15
336 蹲踞して居場所定むる蟾蜍 蟾蜍 12.6.15
337 蹲踞せし蟾不動なり不敵なり 12.6.15
338 蹲踞せし蟾不動なり生きてをり 12.6.15
339 十薬に八重咲きもあり可憐なり 十薬 12.6.15
340 青年の深き吐息や栗の花 栗の花 12.6.15
341 花栗や男の匂ひ青臭き 栗の花 12.6.16
342 栗の花降るがごとくに散り敷けり 栗の花 12.6.16
343 褒め殺しと言ひたげに咲く美女柳 美女柳 12.6.16
344 前髪をすだれて咲くや美女柳 美女柳 12.6.16
345 振り向けよ泰山木の花大輪 泰山木の花 12.6.16
346 鯉もつれ睡蓮の花二十ほど 睡蓮 12.6.16
347 さざ波や睡蓮の花二十ほど 睡蓮 12.6.16
348 睡蓮の紅鮮やかに弁天堂 睡蓮 12.6.16
349 一つずつ慈しみつつ袋掛 袋掛 12.6.16
340 繭のごと黙々とする袋掛 袋掛 12.6.16
351 手際よく一果を包む袋掛 袋掛 12.6.17
352 幼子を犬と遊ばせ袋掛 袋掛 12.6.17
353 手を休め瀬戸の凪見る袋掛 袋掛 12.6.17
354 ががんぼや少し揺れつつ同じ場所 ががんぼ 12.6.17
355 無防備に壁のががんぼ脚揺らす ががんぼ 12.6.17
356 西の日に縁を染めゐる朴の花 朴の花 12.6.17
357 さぼてんの毛深き茎に花一つ さぼてんの花 12.6.17
358 妙齢の美女の風情や花さぼてん さぼてんの花 12.6.17
359 空耳かちゃりんと鳴りし小判草 小判草 12.6.17
360 蔓を巻きフェンスを飾る鉄線花 鉄線花 12.6.17
361 新聞の袋で届く梅雨入かな 梅雨入 12.6.18
362 老いの身の節々痛む梅雨入かな 梅雨入 12.6.18
363 ストールの男女街ゆく梅雨入かな 梅雨入 12.6.18
364 天道虫水玉の色いろいろに 天道虫 12.6.18
365 池の魚生き生き走る梅雨入かな 梅雨入 12.6.18
366 白めだか生き生き泳ぐついりかな 目高 12.6.18
367 桑の実の敷きつむ道もついりかな 桑の実 12.6.18
368 桑の実の敷きつむ道や梅雨晴れ間 桑の実 12.6.18
369 梅雨晴れや河原遊びの子らの声 梅雨晴間 12.6.18
370 梅雨晴間大師の屋根の鴟尾眩し 梅雨晴間 12.6.18
371 紫陽花のひと際映える梅雨入かな 梅雨入 12.6.19
372 日盛の寺の日陰や鐘搗き堂 日盛 12.6.19
373 日盛の寺の境内午睡中 日盛 12.6.19
374 黒鍵を叩くがごとく燕の子 燕の子 12.6.19
375 口だけになりて餌を呼ぶ燕の子 燕の子 12.6.19
376 子燕の仕事は餌をねだること 燕の子 12.6.19
377 子燕の声にぎやかに梅雨入かな 燕の子、日盛 12.6.19
378 日盛や鐘搗き堂の風涼し 日盛 12.6.19
379 闇来れば寝息に変る燕の子 燕の子 12.6.19
380 日の暮れて寝息に変る燕の子 燕の子 12.6.19
381 青柿や葉陰に育つ梅雨晴間 青柿 12.6.20
382 青柿やへたも葉もみな同じ色 青柿 12.6.20
383 江戸前の涼しい味や心太 心太 12.6.20
384 夏布団気付けばつねに身を離れ 夏布団 12.6.20
385 夏布団気付けばつねに逃げてをり 夏布団 12.6.20
386 夏布団気付けばつねに足の先 夏布団 12.6.20
387 明け方の寒気で捜す夏布団 夏布団 12.6.20
388 吹けば飛ぶ将棋の駒や夏布団 夏布団 12.6.20
389 軽過ぎてどこ吹く風の夏布団 夏布団 12.6.20
390 遁走の癖のあるらし夏布団 夏布団 12.6.20
391 鴫焼や空海も食ふ高野かな 鴫焼 12.6.21
392 泡盛や飲めばとろりと酔ひにけり 泡盛 12.6.21
393 大薬缶回し飲みする麦茶かな 麦茶 12.6.21
394 禅寺の境内涼し樟若葉 樟若葉 12.6.21
395 初穫りの胡瓜を食みつ野良の昼 胡瓜 12.6.21
396 焼酎に飽き安ワイン飲む夏の宴 12.6.21
397 金魚売風鈴売も来ぬ昨今 金魚売・風鈴売 12.6.21
398 草笛を腰を伸ばして吹く嫗 草笛 12.6.21
399 地獄図絵眺め震えし幼き夏 12.6.21
400 佳句のはず思い出せずに昼寝覚 昼寝覚 12.6.21
401 白足袋のまだ汚れずに山車走る 山車 12.6.22
402 余技の句で生きいき生きる傘雨の忌 傘雨忌 12.6.22
403 高曇り後晴れの日や桜桃忌 桜桃忌 12.6.22
404 初穫りの胡瓜しゃりしゃり歯に甘し 胡瓜 12.6.22
405 笠森のおせんほほ笑む春信忌 春信忌 12.6.22
406 風流をほしいままして也有の忌 也有忌 12.6.22
407 麦飯の旨さ引立つとろろ汁 麦飯 12.6.22
408 冷奴半丁で飲む独り酒 冷奴 12.6.22
409 茄子紺が食欲そそるなすび漬 なすび漬 12.6.22
410 夏座敷欄間に鯉の透彫 夏座敷 12.6.22
411 坊さんもすててこ姿夏座敷 夏座敷 12.6.23
412 このごろはごおやの下がる青簾 青簾 12.6.23
413 菖蒲田の動く花あり白日傘 菖蒲田 12.6.23
414 麦刈田早やひこばへの青々と 麦刈 12.6.23
415 老鶯の鳴く音正しき山路かな 老鶯 12.6.23
416 こけら屋根夏空に反る地蔵堂 夏空 12.6.23
417 翡翠のコバルト一閃嘴に魚 翡翠 12.6.23
418 白鷺や歩幅崩さぬ瀬の歩み 白鷺 12.6.23
419 八高線昼顔守る無人駅 昼顔 12.6.23
420 おぞましき姿愛でるや獅子頭 獅子頭 12.6.23
421 万緑を映す流れに赤い浮子 万緑 12.6.24
422 薊かと近づき見れば紅の花 紅花 12.6.24
423 身を反らす洗膾を食めば喉涼し 洗膾(洗い) 12.6.24
424 ウォーキング夏手袋の女たち 夏手袋 12.6.24
425 花粉除去したる百合持ち献花かな 百合 12.6.24
426 含羞を知らぬ乙女や含羞草(おじぎそう) 含羞草(おじぎそう) 12.6.24
427 たたき良し刺身も旨し初鰹 初鰹 12.6.24
428 桑の実の埋め尽くしたる路柔し 桑の実 12.6.24
429 桑の実を食べたどの児も口でばれ 桑の実 12.6.24
420 紙魚(しみ)ほどに書に耽られず悔やむ日々 紙魚(しみ) 12.6.24
421 緑蔭の母のかたへにまどろむ子 緑陰 12.6.25
422 緑蔭に乳飲ませゐる若い母 緑陰 12.6.25
423 緑蔭のベンチに思ひ思ひの顔 緑陰 12.6.25
424 菩提寺の境内すべて木下闇 木下闇 12.6.25
425 庭の隅こんもりと咲く額の花 額の花 12.6.25
426 石楠花の一つ一つに花潜 石楠花 12.6.25
427 梔子の汚れし花の香ぞあはれ 梔子の花 12.6.25
428 青柿や葉色に紛れ育ちゆく 青柿 12.6.25
429 砕氷で〆て反りたる洗ひかな 洗い 12.6.25
430 鴫焼に胡瓜は味噌の夕餉かな 鴫焼 12.6.25
431 アマリリス大輪ゆえか首傾げ アマリリス 12.6.26
432 茎先に大輪の花アマリリス アマリリス 12.6.26
433 茎太の頭頂に咲くアマリリス アマリリス 12.6.26
434 茎先に大輪三花アマリリス アマリリス 12.6.26
435 鉢植えと壺差し競ふアマリリス アマリリス 12.6.26
436 立浪草おいでおいでと招きをり 立浪草 12.6.26
437 多摩川の広き流れに通し鴨 通し鴨 12.6.26
438 多摩川に番で遊ぶ夏の鴨 夏の鴨 12.6.26
439 多摩川に子燕見えず飛燕草 燕の子 12.6.26
430 軽鴨の親子の引っ越し始まれり 軽鴨 12.6.26
441 軽鴨の親追ふ子鴨一列に 軽鴨 12.6.27
442 水田に田亀の走るよき日かな 田亀 12.6.27
443 裂き烏賊でざりがにを釣る父と子と ざりがに 12.6.27
444 草取りや可憐な花も仇なり 草取 12.6.27
445 立て札の蝮に注意青芒 青芒 12.6.27
446 池面割り翡翠(かわせみ)の嘴魚捉ふ 翡翠 12.6.27
447 白鷺やはたはたと飛びすいと降り 白鷺 12.6.27
448 蜘蛛の巣を破りゆきたり熊ん蜂 蜘蛛の巣 12.6.27
449 大屋根の鴟尾も輝く樟(くす)若葉 樟若葉 12.6.27
450 遠目にも真紅燃へ立つブラシの木 ブラシノキ 12.6.27
451 花糸の真紅燃え立つぶらしの木 ブラシノキ 12.6.28
452 樟若葉大屋根の鴟尾眩しけり 樟若葉 12.6.28
453 奥の院境内なべて木下闇 木下闇 12.6.28
454 香水や男をたらす一雫 香水 12.6.28
455 香水を纏ひて眠る美女もあり 香水 12.6.28
456 香水や女の臭ひ消すもがな 香水 12.6.28
457 香水に女の臭ひ嗅ぐことも 香水 12.6.28
458 一日で果てる命や花仙人掌 仙人掌 12.6.28
459 一日の命ほほ笑む花仙人掌 仙人掌 12.6.28
460 恋人を艫に漕ぎ出すボート池 ボート 12.6.28
461 オール捌き女をさばくごとく漕ぐ ボート 12.6.29
462 野良仕事仲間とする日桜桃忌 桜桃忌 12.6.29
463 梅雨晴れ間人に優しく太宰の忌 太宰忌 12.6.29
464 破滅へと駆け込むメロス太宰の忌 太宰忌 12.6.29
465 さわさわと夕暮れを飛ぶ蚊喰鳥 蚊喰鳥 12.6.29
466 不器用な動きが可愛い子亀かな 亀の子 12.6.29
467 はらはらとさせつつ子亀岩登る 亀の子 12.6.29
468 夕化粧と言ふ花あり白縮 12.6.29
469 父の日に柄のステテコ七種類 父の日 12.6.29
470 父の日は娘たちから宅配便 父の日 12.6.29
471 牛蛙鳴くと言ふより吠えにけり 牛蛙 12.6.30
472 紫陽花の根方に不動主の蟇 紫陽花・蟇蛙 12.6.30
473 引戸からぺたりと落ちる宮守かな 宮守 12.6.30
474 首筋に落ちし宮守のひんやりと 宮守 12.6.30
475 大伽藍鴟尾金色に樟若葉 樟若葉 12.6.30
476 草取や可憐な花も見過ごせず 草取 12.6.30
477 汝が庭はわれが守ると蟇座る 蟇蛙 12.6.30
478 青簾ごおやを伝ふ雨滴かな 青簾 12.6.30
479 虎尾といふに優しき花の房 虎尾草 12.6.30
480 孔雀草咲く角曲がれと教へられ 孔雀草 12.6.30
481 白き花浮遊するかに鴨足草 鴨足草 12.7.1
482 生垣に蛍袋の紛れ咲く 蛍袋・釣鐘草 12.7.1
483 顔を伏す被疑者に似たる釣鐘草 釣鐘草・蛍袋 12.7.1
484 宵迫り急ぐ山路の釣鐘草 釣鐘草・蛍袋 12.7.1
485 壺花に雨滴走らせ釣鐘草 釣鐘草・蛍袋 12.7.1
486 蛍袋ほたるを入れてみたき宵 釣鐘草・蛍袋 12.7.1
487 皮脱いで節立ててゆく雄竹かな 竹の皮脱ぐ 12.7.1
488 残雪を見上げつ富士の山開き 山開 12.7.1
489 残雪の眩しき富士の山開き 山開 12.7.1
490 花と句碑めぐりて楽しあじさゐ寺 紫陽花 12.7.1
491 あじさゐ寺めぐりて楽し花と句碑 紫陽花 12.7.2
492 あじさゐ寺句碑もいろいろ楽しけり 紫陽花 12.7.2
493 紫陽花寺句碑をめぐるも楽しけり 紫陽花 12.7.2
494 句碑たどる楽しみもありあじさゐ寺 紫陽花 12.7.2
495 あじさゐに句碑もいろいろ不動尊 紫陽花 12.7.2
496 あじさゐ寺句碑もとりどり面白き 紫陽花 12.7.2
497 夏野分過ぎて四葩(よひら)の乱れをり 夏・四葩 12.7.2
498 夏台風むし暑き日を置き忘れ 12.7.2
499 柔らかき恋の乳房や昼寝覚 昼寝覚 12.7.2
500 ツーピーと庭で呼び合ふ四十雀 四十雀 12.7.2
501 二羽で来て囀り交わす四十雀 四十雀 12.7.3
502 きょうだいか夫婦か庭の四十雀 四十雀 12.7.3
503 庭の木に呼び合ひている四十雀 四十雀 12.7.3
504 忙しく囀り交わす四十雀 四十雀 12.7.3
505 雀来ずツーピーと鳴く四十雀 四十雀 12.7.3
506 庭に朝告げる囀り四十雀 四十雀 12.7.3
507 ツーピーと目覚まし鳥の四十雀 四十雀 12.7.3
508 囀りに活気溢るる四十雀 四十雀 12.7.3
509 ツーピーとなに知らせ合ふ四十雀 四十雀 四十雀 12.7.3
510 ツーピーと声弾ませる四十雀 四十雀 四十雀 12.7.3
511 庭に朝告げる囀り四十雀 四十雀 12.7.4
512 柏葉てふ四葩(よひら)の重き花穂揺るる 四葩 12.7.4
513 翡翠の池面突き刺す凝視かな 翡翠 12.7.4
514 生り出すや?ぎに追はるる茄子胡瓜 茄子・胡瓜 12.7.4
515 生り出せば?げよもげよと茄子胡瓜 茄子・胡瓜 12.7.4
516 向日葵のオオソレミヨと咲きにけり 向日葵 12.7.4
517 じゃがいもの枝にトマトや面白き じゃがいも・茄子 12.7.4
518 じゃがいもにトマトの生りて六月尽 じゃがいも・トマト 12.7.4
519 二度と会ふことなき人や夏至の街 夏至 12.7.4
520 きょうは夏至一番長き曇り空 夏至 12.7.4
521 ギヤマンの光りも添へて夏料理 夏料理 12.7.5
522 青空を画して栗の花みつる 栗の花 12.7.5
523 雨猛る夏至を一日過ぎたる日 夏至 12.7.5
524 立て札のまむしに注意動きけり まむし 12.7.5
525 草動くまむしに注意の札の下 まむし 12.7.5
526 疾走の蝮見つけり札の先 12.7.5
527 草薙ぎてしゅるしゅる走る紐一本 まむし 12.7.5
528 蛞蝓の辿りし跡のふと途絶へ 蛞蝓 12.7.5
529 かしわ手に起こさる神の昼寝覚 昼寝覚 12.7.5
530 色柄のすててこ涼し梅雨晴間 梅雨晴間 12.7.5
531 柄物のすててこでゐる梅雨晴間 梅雨晴間 12.7.6
532 クールビズ柄すててこで過ごす夏 12.7.6
533 向日葵や柄すててこで過ごしをり 向日葵 12.7.6
534 向日葵や家居は柄のすててことす 向日葵 12.7.6
535 柄すててこ家一周の夏デビュー 12.7.6
536 柄すててこ涼風を呼ぶ庭仕事 涼風 12.7.6
537 すててこも柄物なればクールビズ クールビズ 12.7.6
538 永遠の眠り待つのに午睡かな 午睡 12.7.6
539 永遠の眠りで足りず昼寝もす 昼寝 12.7.6
540 永遠の眠りに備へ昼寝かな 昼寝 12.7.6
541 見上げらる朴の花散り見捨てられ 朴の花 12.7.7
542 仰がるる朴の花散り見捨てらる 朴の花 12.7.7
543 天向いて咲く間がいのち朴の花 朴の花 12.7.7
544 遠目には紫煙に霞む花楝 花楝(あうち) 12.7.7
545 捕虫器に守宮の骸哀れなり 宮守 12.7.7
546 酒ビール焼酎ワイン六月尽 六月尽 12.7.7
547 昼顔や蝮注意の札に咲く 昼顔・蝮 12.7.7
548 勝手咲き競ふ昼顔月見草 昼顔・月見草 12.7.7
549 草叢のよく似合ふなり月見草 月見草 12.7.7
550 草叢のまことに似合ふ月見草 月見草 12.7.7
551 夕焼けの富士遠見して月見草 月見草 12.7.8
552 夕焼けの富士黒々と月見草 月見草 12.7.8
553 茜空富士黒々と月見草 月見草 12.7.8
554 無人駅日の傾きて月見草 月見草 12.7.8
555 月見草さすがに手折る人はなく 月見草 12.7.8
556 草叢にありて美し月見草 月見草 12.7.8
557 間合ひ置き咲くこそよけれ月見草 月見草 12.7.8
558 間合ひ置き咲く賢さや月見草 月見草 12.7.8
559 黄昏の公園隅に月見草 月見草 12.7.8
560 往き交ひしライトに浮かぶ月見草 月見草 12.7.8
561 朝の日に早や紅変の月見草 月見草 12.7.9
562 血の色に変りて無惨月見草 月見草 12.7.9
563 出来合ひを並べて食べる夏の膳 12.7.9
564 着ぐるみの蛙がくれし古里茶 12.7.9
565 梅雨寒や俳句なんてと言ひたき日 梅雨寒 12.7.9
566 紫陽花や壺に挿しても雨を呼ぶ 紫陽花 12.7.9
567 紫陽花を剪りて活けたる白磁壺 紫陽花 12.7.9
568 キョカキョクとトトロの森にほととぎす ほととぎす 12.7.9
569 紫陽花を壺に挿したる晴間かな 紫陽花 12.7.9
570 じゃらんと鳴る社の鈴や五月晴 五月晴 12.7.9
571 冷蔵庫チチチチと鳴る警告音 冷蔵庫 12.7.10
572 冷蔵庫夫の取り出す缶ビール 冷蔵庫 12.7.10
573 隣家へとはみ出す四葩切り花に 四葩(よひら 別名:紫陽花) 12.7.10
574 ころころとトトロの森の落し文 落し文 12.7.10
575 手にするもそっと戻せし落し文 落し文 12.7.10
576 転がるを踏まずに過ぎし落し文 落し文 12.7.10
577 道の端にまだ青々と落し文 落し文 12.7.10
578 道の端に青葉を巻きし落し文 落し文 12.7.10
579 命乗せ軟着陸の落し文 落し文 12.7.10
580 尺とりや逃げるときにも尺をとり 尺とり 12.7.10
581 尺とりや歩幅を変へず横切れり 尺とり 12.7.11
582 尺とりや一度はしたい後戻り 尺とり 12.7.11
583 子供らに草矢とばしを教えたり 草矢 12.7.11
584 草矢打ち教へしわれは討死す 草矢 12.7.11
585 夏薊草むらの奥ぽつねんと 夏薊 12.7.11
586 木漏れ日に木苺見つけ摘まみけり 木苺 12.7.11
587 木苺にトレック仲間の手が伸びる 木苺 12.7.11
588 ままごとに盛りて美し蛇苺 蛇苺 12.7.11
589 するっと出てまた走り出す蜥蜴の子 蜥蜴 12.7.11
590 青蔦の重なり合ひて艶やかに 青蔦 12.7.11
591 虎尾草(とらのお)や雪被るごと群れ咲けり 虎尾草 12.7.12
592 虎尾草やちょっと短き尻尾かな 虎尾草 12.7.12
593 蜂や蟻招き入れゐる釣鐘草 釣鐘草・蛍袋 12.7.12
594 花ごとに虫もさまざま釣鐘草 釣鐘草・蛍袋 12.7.12
595 小判草飾れば福の来るごとし 小判草 12.7.12
596 茎先の三方に咲くアマリリス アマリリス 12.7.12
597 赤紫蘇と青紫蘇並ぶ畑の隅 紫蘇 12.7.12
598 陸橋の文字を覆いて蔦青し 青蔦 12.7.12
599 昼顔の上向きに咲く定めかな 昼顔 12.7.12
600 玉音を聴きしあの日の草いきれ 草いきれ 12.7.12
601 老鶯の楷書のごとき声冴へる 老鶯 12.7.13
602 木漏れ日に老鶯の声整へり 老鶯 12.7.13
603 さり気なくトトロの森の落し文 落し文 12.7.13
604 赤紫蘇の紫の濃き熱暑かな 紫蘇 12.7.13
605 南天の花さらさらと地に積もり 南天の花 12.7.13
606 鴨足草八の字髭の迫りけり 鴨足草 12.7.13
607 狛犬の阿吽のポーズ夏木立 夏木立 12.7.13
608 もぎ立ての胡瓜かじりつ野良のお茶 胡瓜 12.7.13
609 虎尾草のどれも揃ひて頭垂れ 虎尾草 12.7.13
610 廃線の跡を導く月見草 月見草 12.7.13
611 一つとて無駄の箇所なし天道虫 天道虫 12.7.14
612 屋根高く茅の輪のごとき十三夜 茅の輪 12.7.14
613 紫陽花や牡丹臭木と花くらべ 紫陽花 12.7.14
614 紫陽花も牡丹臭木もブーケなり 紫陽花 12.7.14
615 紫陽花に牡丹臭木の寄り添ひて 紫陽花 12.7.14
616 窓越しに牡丹臭木や戻り梅雨 戻り梅雨 12.7.14
617 味噌付けて胡瓜を齧る野良のお茶 胡瓜 12.7.14
618 かんな屑沈みつ開く水中花 水中花 12.7.14
619 棟梁の余技鮮やかに水中花 水中花 12.7.14
620 さっと振りゆっくり開ける捕中網 捕中網 12.7.14
621 麦笛の音高らかに響きけり 麦笛 12.7.15
622 鍬休め畑で祈る原爆忌 原爆忌 12.7.15
623 原発禍まで加わりて原爆忌 原爆忌 12.7.15
624 ががんぼや脚ひとつ捨て立ち去れり ががんぼ 12.7.15
625 ががんぼの脚ゆらゆらと揺らしをり ががんぼ 12.7.15
626 ががんぼのハミングするや体揺る ががんぼ 12.7.15
627 死んだふり止めてぶんぶん闇の中 ぶんぶん・こがね虫 12.7.15
628 音立てて墜死の演技こがね虫 ぶんぶん・こがね虫 12.7.15
629 死んだふり堂に入りたるこがね虫 ぶんぶん・こがね虫 12.7.15
630 水玉の意匠こらして天道虫 天道虫 12.7.15
631 水玉の防護服着し天道虫 天道虫 12.7.16
632 エアコンの風もやはらに暑気払ひ 暑気払ひ 12.7.16
633 三か月暑気を払ひて過ごしけり 暑気払ひ 12.7.16
634 歳時記の許せし間暑気払ひ 暑気払ひ 12.7.16
635 アルコール零てふ梅酒不思議なり 梅酒 12.7.16
636 褐色の液体重し古梅酒 梅酒 12.7.16
637 古梅酒取り出すわれも古びたり 梅酒 12.7.16
638 ががんぼや長い手脚を持て余し ががんぼ 12.7.16
639 夏痩せの期待に背く体重計 夏痩せ 12.7.16
640 名物にタワー加はり川開 川開 12.7.16
641 青柿や轢かれ踏まれて朽ちるのみ 青柿 12.7.17
642 筒型の白の眩しき胡麻の花 胡麻の花 12.7.17
643 すべりひゆ削りとるのも畑仕事 滑?(すべりひゆ) 12.7.17
644 朝露に濡れつ胡瓜と茄子をもぐ 胡瓜・茄子 12.7.17
645 茄子漬の紺青清し朝の飯 茄子漬 12.7.17
646 西の日と朱の色競ふ凌霄花 凌霄花 12.7.17
647 屋根に散り車を汚す百日紅 百日紅 12.7.17
648 花さびた夏降る雪のごとく咲く 花さびた 12.7.17
649 高原の起伏を埋めて日光黄菅 日光黄菅 12.7.17
650 水に乗り病葉喜々と流れけり 病葉 12.7.17
651 結葉を左右に分けて水速し 結葉(むすびば) 12.7.18
652 早よ来いと振り向いてゐる道をしへ 道をしへ・斑猫(はんめう) 12.7.18
653 朝顔の一鉢さげて市の道 朝顔市 12.7.18
654 朝顔の鉢往き交ひし鬼子母神 朝顔市 12.7.18
655 青嶺に囲まれて入る露天風呂 青嶺 12.7.18
656 小なれど天道虫の派手衣 天道虫 12.7.18
657 きいきと髪切虫に臍噛ます 髪切虫・天牛 12.7.18
658 天牛の鳴くや悲鳴か歯軋りか 天牛(かみきり) 12.7.18
659 天牛の憚りもなき悲鳴かな 天牛 12.7.18
660 天牛を啼かせて晴らすわだかまり 天牛 12.7.18
661 携帯の話途切れず白日傘 白日傘 12.7.19
662 イスラムの国を想はすサンバイザー サンバイザー 12.7.19
663 素通しの人うらやましサングラス サングラス 12.7.19
664 サングラス匿名ブログとどこか似て サングラス 12.7.19
665 大の字を書いて昼寝のプライバシー 昼寝 12.7.19
666 ボケ藪蚊われなら若い肌を刺す 藪蚊 12.7.19
667 日向水喜々と幼き子らの声 日向水 12.7.19
668 穫れたての胡瓜齧ればぽりっと言ひ 胡瓜 12.7.19
669 取り合へずビールと決まり文句から ビール 12.7.19
670 灼けドーム涼風満たし野球かな 灼く 12.7.19
671 朝取りの玉蜀黍を食む平和 玉蜀黍 12.7.20
672 朝焼けや玄関灯の点いたまま 朝焼け 12.7.20
673 氷柱に頬寄せている児の笑顔 氷柱 12.7.20
674 三伏や向日葵の葉もうな垂れて 三伏 12.7.20
675 子のついで胸乳に叩く天花粉 天花粉 12.7.20
676 気がつけば男はいつも茄子ぶらり 茄子 12.7.20
677 古庭の蛇口のあたり木下闇 木下闇 12.7.20
678 気象庁「経験のない」梅雨出水 梅雨出水 12.7.20
679 露地裏の片蔭を行く猫のボス 片蔭 12.7.20
680 洗鯛冷たき酒のすすむこと 洗鯛 12.7.20
681 縁台にそよ吹く風や洗鯛 洗鯛 12.7.21
682 気絶せしままに料らるる洗鯉 洗鯛 12.7.21
683 泥鰌鍋割き派丸派で分かれたり 泥鰌鍋 12.7.21
684 風鈴の呟くごとく鳴りにけり 風鈴 12.7.21
685 水滴をポトリと一つ軒忍 軒忍 12.7.21
686 このごろは子どもの知らぬ走馬燈 走馬燈 12.7.21
687 金魚売消へて廃品回収車 金魚売 12.7.21
688 肌撫でて風の通りし風知草 風知草 12.7.21
689 肌撫でて過ぎるものあり風知草 風知草 12.7.21
690 照り返すために咲きゐる松葉菊 松葉菊 12.7.21
691 濡れるほど大胆になる水遊び 水遊 12.7.22
692 流れ弾避けても濡れる水鉄砲 水鉄砲 12.7.22
693 撃ち方を止めなど聞かぬ水鉄砲 水鉄砲 12.7.22
694 花氷閉じ込められて輝けり 花氷 12.7.22
695 棟梁のノミのひと技水中花 水中花 12.7.22
696 ガラス器の砕氷に反る洗鯛 洗鯛 12.7.22
697 走馬燈ねずみ車と競ひけり 走馬燈 12.7.22
698 走馬燈ねずみ車と競ひをり
走馬燈 12.7.22
699 翡翠の水面突き刺す漁りかな 翡翠 12.7.22
670 翡翠や小鮒の踊る嘴の先 翡翠 12.7.22
671 涼風の背中過ぎりて消えにけり 涼風 12.7.23
672 生徒読めぬ無気力教師風知草 風知草 12.7.23
673 生徒読めぬ教師ムラなり風知草 風知草 12.7.23
674 生徒読めぬ教師学べよ風知草 風知草 12.7.23
675 生徒読めず逃げの教師やぼけ茄子 茄子 12.7.23
676 すだれ髪正面見据へニュースウォッチ9 すだれ 12.7.23
677 頬染めて貴公子見上ぐ合歓の花 合歓の花 12.7.23
678 幸せの一糸引くべし合歓の花 合歓の花 12.7.23
679 幸せを引くべし合歓の花の糸 合歓の花 12.7.23
680 花合歓や乙女の甘き香に似たり 花合歓 12.7.23
681 花合歓や長き雄蕊の紅霞 花合歓 12.7.24
682 夾竹桃脱原発の人の波 夾竹桃 12.7.24
683 柄物のすててこで耐ふ酷暑かな 酷暑 12.7.24
684 栗の花嗅いで尼僧の胸騒ぎ 栗の花 12.7.24
685 栗の花嗅いで尼僧の胸火照る 栗の花 12.7.24
686 パソコンの前がわが家の端居かな 端居 12.7.24
687 近ごろは家族それぞれ持つ端居 端居 12.7.24
688 素手でもぎ胡瓜にちくと刺されけり 胡瓜 12.7.24
689 かち割の氷涼しき甲子園 涼し 12.7.24
690 酔ふ水と知りつ重ねる冷し酒 冷し酒 12.7.24
691 冷奴四角四角に崩し食む 冷奴 12.7.25
692 やや温い舎利の握りを弾み食ふ 12.7.25
693 豪雨禍の始末もつけず梅雨明けり 梅雨明け 12.7.25
694 短夜や朝刊配るバイクの音 短夜 12.7.25
695 酷暑いや炎暑溽暑で言ひ足りず 酷暑・炎暑・溽暑 12.7.25
696 よろめくも倒れるもなき蟻の列 12.7.25
697 熱中症など知らぬ気に合歓の花 合歓の花 12.7.25
698 無党派も脱原発の夏のデモ 12.7.25
699 熱中症知らぬ気に飛ぶ夏燕 夏燕 12.7.25
700 夕顔を一輪飾りさあ食事 夕顔 12.7.25
701 夕顔を一輪飾りアペリティフ 夕顔 12.7.26
702 蚊遣火を腰に樹上へ植木職 蚊遣火 12.7.26
703 渦巻の蚊取りを腰に植木職 蚊取線香 12.7.26
704 縦に花咲きて虫よぶ立葵 立葵 12.7.26
705 遠目にも目立つ花なり紅蜀葵 紅蜀葵 12.7.26
706 大柄の花ひらひらと紅蜀葵 紅蜀葵 12.7.26
707 月光に紛れてゆくや黄蜀葵 黄蜀葵 12.7.26
708 夕焼けにとろろ葵の翳りたり とろろ葵 12.7.26
709 チョコ色の花央どぎつく波斯菊 波斯菊 12.7.26
710 新じゃがや大粒小粒人に似て 新馬鈴薯・新じゃが 12.7.26
711 朝涼や散歩の脚のみな軽く 朝涼 12.7.27
712 往き交ふ人みな軽やかに涼の朝 朝涼 12.7.27
713 しめやかに木々の葉揺れる涼の朝 朝涼 12.7.27
714 老ひ肌もさらりとうれし今朝の涼 朝涼 12.7.27
715 白目高また一つ逝く池寂し 白目高 12.7.27
716 仲間の死突つひてはしゃぐ白目高 白目高 12.7.27
717 噴水のしぶきに呼ばれ人と鳩 噴水 12.7.27
718 噴水のしぶき浴びる子逃げ出す子 噴水 12.7.27
719 ぐっぐると雉鳩鳴くや涼の朝 朝涼 12.7.27
720 懐かしき夜店の匂ひカーバイド 夜店 12.7.27
721 参道の夜店の匂ひカーバイド 夜店 12.7.28
722 冷房の議場で扇ぐ扇子かな 扇子 12.7.28
723 議員らの冷や汗隠す扇子かな 扇子 12.7.28
724 獅子唐やときに激辛引くスリル 青唐辛子(獅子唐) 12.7.28
725 獅子唐や十個食んだら3個激辛 青唐辛子(獅子唐) 12.7.28
726 廃線路蝮注意の札多し 12.7.28
727 廃線路蝮注意の札が増へ 12.7.28
728 蛇苺毒にはあらず不味いだけ 蛇苺 12.7.28
729 木苺を摘みし足元蛇苺 蛇苺 12.7.28
730 おちょぼ口つい立ち止まる縷紅草 縷紅草 12.7.28
731 くっきりと宙に咲くなり縷紅草 縷紅草 12.7.29
732 朝顔の垣に交じりて縷紅草 縷紅草 12.7.29
733 いつ来てもその名の通り千日紅 千日紅 12.7.29
734 風あれば頭振り合ふ千日紅 千日紅 12.7.29
735 千日紅苺畑の名ももらひ 千日紅 12.7.29
736 墓参り千日紅を供花に持ち 千日紅 12.7.29
737 破れ傘つつましやかに頭花付け 破れ傘 12.7.29
738 破れ傘やぶれかぶれの様で生ひ 破れ傘 12.7.29
739 野牡丹の紫の花染井墓地 破れ傘 12.7.29
740 野牡丹の紫まぶし染井墓地 破れ傘 12.7.29
741 草むらを仕切るがごとく竹煮草 竹煮草 12.7.30
742 除草作業まず血祭りに竹煮草 竹煮草 12.7.30
743 放棄畑際立たせゐる竹煮草 竹煮草 12.7.30
744 花に似ず虎杖の文字猛々し 虎杖(いたどり) 12.7.30
745 日を浴びて咲くに相応し麒麟草 麒麟草 12.7.30
746 老いてなほ燃へるものあり夾竹桃 夾竹桃 12.7.30
747 尺取虫空を掴んでさあいかに 尺取虫 12.7.30
748 山道を下りしときに山法師 山法師 12.7.30
749 馬の背を紐の過ぎるや山かがし 山かがし 12.7.30
750 抜き手切るごとくに泳ぐ山かがし 山かがし 12.7.30
751 瀞泳ぐ一本の紐やまかがし 山かがし 12.7.31
752 廃村の道のあちこち蛇走る 12.7.31
753 廃村の不穏は蛇の走るゆへ 12.7.31
754 蒲の穂に近づき過ぎて足取られ 蒲の穂 12.7.31
755 廃屋の庭わがものに灸花 灸花(やいとばな) 12.7.31
756 柿の葉鮨包みを開く間の楽し 12.7.31
757 手掴みで食む楽しさや握りずし 12.7.31
758 箸さばき見せて鮨食ふ日本通 12.7.31
759 名も派手に柳花笠風に揺る 柳花笠 12.7.31
760 きょう大暑三日続きの肌寒さ 大暑 12.7.31
761 長袖に着直してゐるきょう大暑 大暑 12.8.1
762 異変あり大暑涼しく市民デモ 大暑 12.8.1
763 涼し過ぎくしゃみ聞ゆる大暑かな 大暑 12.8.1
764 せっかちに秋冷もよひ大暑の日 大暑 12.8.1
765 やれ紐が泳ぐと見れば山かがし 山かがし 12.8.1
766 涼し日の三日続きし大暑かな 大暑 12.8.1
767 半袖で鼻風邪引きし大暑かな 大暑 12.8.1
768 空耳と思へるほどの遠花火 花火 12.8.1
769 かき氷アルミの匙で食べしころ かき氷 12.8.1
770 ででっぽーぽ雉鳩の鳴く朝涼し 涼しい 12.8.1
771 ででっぽーぽ雉鳩鳴くや百日紅 百日紅 12.8.2
772 浅草や娘人力走る夏 12.8.2
773 猛暑日や異国語溢る浅草寺 猛暑日 12.8.2
774 香港が長寿国とは解せぬ夏 12.8.2
775 羊蹄花(ぎしぎし)や暑き草地の熱き草 羊蹄花(ぎしぎし) 12.8.2
776 羊蹄花や河原の道に焦げるかな 羊蹄花 12.8.2
777 萱吊を膝で分け行く散歩道 萱吊・蚊帳吊草 12.8.2
778 萱吊を膝で分け行く散歩かな 萱吊 12.8.2
779 草道に蟇の散歩と出食わせり 12.8.2
780 草道や散歩の連れの黒揚羽 揚羽蝶 12.8.2
781 黒揚羽付かず離れず散歩道 揚羽蝶 12.8.3
782 蜜吸ひの花を決めかね揚羽蝶 揚羽蝶 12.8.3
783 揚羽蝶花に迷ひつ飛ぶ風情 揚羽蝶 12.8.3
784 冷やし酒いよいよ涼しガラス猪口 冷し酒・冷酒 12.8.3
785 家々のエアコン唸る熱帯夜 熱帯夜 12.8.3
786 まくなぎの中通り抜け大吐息 まくなぎ・めまとひ・ぬかが 12.8.3
787 土用芽の緋色眩しく要糯(かなめもち) 土用芽 12.8.3
788 めらめらと燃えるがごとき土用の芽 土用芽 12.8.3
789 拙守り心安らぐ昼寝覚め 昼寝覚 12.8.3
790 蒲焼や今夏は遂に食へぬかな 12.8.3
791 尺取や二足歩行の仲間かな 尺取虫 12.8.4
792 大ばけつ底を抜きたる白雨かな 白雨 12.8.4
793 武蔵野や馬の背分ける大夕立 夕立 12.8.4
794 熱中症など知らぬ気に揚羽蝶 揚羽帳 12.8.4
795 クーラーの音気にしつつ熱帯夜 熱帯夜 12.8.4
796 クーラーの回り続くや熱帯夜 熱帯夜 12.8.4
797 クーラーのリモコンと寝る熱帯夜 熱帯夜 12.8.4
798 腹を据え土用鰻を見送れり 土用 12.8.4
799 明易や雨戸開ければ早や温気 明易 12.8.4
800 いんげんの緑涼しき湯浴かな 涼し 12.8.4
801 磨り硝子守宮(やもり)の影や厨窓 守宮(やもり) 12.8.5
802 ヘイジュード夏の五輪の幕上がる 12.8.5
803 干し草のにほひに噎せる温気かな 干し草 12.8.5
804 盥水草津のお湯となる炎暑 炎暑 12.8.5
805 池の底貝殻積もる猛暑かな 猛暑 12.8.5
806 クーラーの唸り始めし朝餉かな 冷房 12.8.5
807 散水の涼蹴散らすや玉の汗 涼し 12.8.5
808 歳問わば個人情報と浴衣の子 浴衣 12.8.5
809 草道や蟇の散歩に道譲る 12.8.5
810 ぷしゅと鳴る音で胃の腑の待つビール ビール 12.8.5
811 麻背広白靴廃る猛暑かな 猛暑 12.8.6
812 ミニの娘の涼呼ぶ長き素足かな 12.8.6
813 ありがたや暑中見舞いもメールの世 暑中見舞い 12.8.6
814 ありがたや暑中見舞いのメールも可 暑中見舞い 12.8.6
815 愛国心オリンピックの摩訶不思議 12.8.6
816 テムズ川涼風わたる五輪かな 涼風 12.8.6
817 原発をゼロと決めれば越せる夏 12.8.6
818 官邸を囲む市民や夾竹桃 夾竹桃 12.8.6
819 遠花火脱原発の民の声 遠花火 12.8.6
820 官邸の防音窓や遠花火 遠花火 12.8.6
821 虎杖(いたどり)の花穂天を突き渓埋む 虎杖 12.8.7
822 花のそば青鬼灯のふくらめり 青鬼灯 12.8.7
823 花わきに青鬼灯のふくらんで 青鬼灯 12.8.7
824 葉の上に雨滴散りばむ花擬宝珠 花擬宝珠 12.8.7
825 茎先に小首傾げし花ぎぼし 花擬宝珠 12.8.7
826 合歓の花眠気を誘ふ紅霞 合歓の花 12.8.7
827 クーラーの唸り続くやけふの月 今日の月 12.8.7
828 星見へぬ空に孤高の二日月 二日月 12.8.7
829 剃り跡の青き尼僧や二日月 二日月 12.8.7
830 庭の主蟇が見上ぐる二日月 二日月 12.8.7
831 蕎麦店でビール授かる生身魂 生身魂(いきみたま) 12.8.8
832 早や吾も喜寿が目の前生身魂) 生身魂 12.8.8
833 生身魂勢揃ひせし句会かな 生身魂 12.8.8
834 生身魂ずらりと並ぶ句会かな 生身魂 12.8.8
835 竹筒のひがな石打つ添水かな 添水(そうず) 12.8.8
836 同じ間で竹の石打つ鹿威し 鹿威し(ししおどし) 12.8.8
837 水吐いて乾きし響き鹿威し 鹿威し 12.8.8
838 指先でつるりと剥きし衣被 衣被 12.8.8
839 畑取りを胡麻みそ和へや衣被 衣被 12.8.8
840 蓑脱げば白き裸身の衣被 衣被 12.8.8
841 柚子釜や蓋取りて皆聴香す 柚子釜 12.8.9
842 父母も弟妹もあの天の川 天の川 12.8.9
843 クーラーの唸る路地なり盆の月 盆の月 12.8.9
844 カレンダー捲れど秋の遠きこと 12.8.9
845 ヘイジュードやはり名曲夏五輪 12.8.9
846 萍や濠埋尽くす濃緑(松山・湯月城址の濠で) 萍(ウキクサ) 12.8.9
847 浮雲の動くとも見せず七月尽 七月尽 12.8.9
848 屁・糞・葛はき捨てるごと呼ばる花 屁糞葛・灸花 12.8.9
849 屁・糞・葛はき捨て呼ばる花可憐 屁糞葛・灸花 12.8.9
850 屁と呼ばひ糞と吐き捨つ灸花 屁糞葛・灸花 12.8.9
851 屁と呼ばひ糞と吐き捨つ花あはれ 屁糞葛・灸花 12.8.10
852 手掘りする丸き手触りメークイン じゃがいも 12.8.10
853 赤とんぼ沈思の後につと去りぬ 赤とんぼ 12.8.10
854 盆近し四代前は霧の中 12.8.10
855 仁王やめ弁天池の布袋草 布袋草 12.8.10
856 弁天池水面枕に布袋草 布袋草 12.8.10
857 虹の中お遍路が行く寅がゆく 12.8.10
858 箒持ち掃き出せぬかなこの残暑 残暑 12.8.10
859 箒持ち掃き出したきはこの残暑 残暑 12.8.10
860 過ちを繰り返しゐる原爆忌(12.8.9.広島原爆忌) 原爆忌 12.8.10
861 真夏日やシャツに背広のホームレス 真夏日 12.8.11
862 秋立てどどこがと問ひし猛暑かな 猛暑 12.8.11
863 献立に載らぬ日はなし茄子料理 茄子 12.8.11
864 手を変えてきょうもまた出る茄子料理 茄子 12.8.11
865 チゴイネルワイゼンの空鳥渡る 鳥渡る 12.8.11
866 曼珠沙華死後の長さに気絶せり 曼珠沙華 12.8.11
867 秋立ちぬ死後の永遠の怖ろしき 立秋 12.8.11
868 曼珠沙華死後の終らぬ怖ろしさ 曼珠沙華 12.8.11
869 人類の劫罰刻す原爆忌(12.8.9.長崎原爆忌) 原爆忌 12.8.11
870 暫を決めて空蝉風に揺る 空蝉 12.8.11
871 暫の見得で空蝉風に揺る 空蝉 12.8.12
872 赤とんぼいずこへ向かふ腹づもり 赤とんぼ 12.8.12
873 草むしるわれを乗せぬか夏の雲 夏の雲 12.8.12
874 夏の雲もくりもくりと浮かびをり 夏の雲 12.8.12
875 門柱に空蝉遺し生命発つ 空蝉 12.8.12
876 臍で茶を沸かせしころや秋の風 12.8.12
877 絽の羽織まとひてゆらり黒揚羽 揚羽蝶 12.8.12
878 ふらりと来ふらりと消へし黒揚羽 揚羽蝶 12.8.12
879 黒揚羽群れ飛ぶ様の恐ろしき 揚羽蝶 12.8.12
890 江戸料理食みつ偲ぶや平吉忌 12.8.12
891 浅草の夏を味はふ江戸料理 12.8.13
892 初秋や粋で食はせる江戸料理 初秋 12.8.13
893 雷門潜りて行くや赤蜻蛉 赤蜻蛉 12.8.13
894 大川を越えて来たらし秋茜 秋茜 12.8.13
895 夏の炉に串落としたり江戸料理 12.8.13
896 夏の炉でやせ我慢食ふ江戸料理 12.8.13
897 浅草の夏の炉端や江戸料理 12.8.13
898 蟻の身の天が落ち来る大惨事 12.8.13
899 蟻の列踏みしだかれてなほ続く 12.8.13
900 蟻語には怯むの文字のなかりけり 12.8.13
901 伝令の何伝ふるや蟻の列 12.8.14
902 踏まれても怯むことなき蟻の列 12.8.14
903 踏まれても屍越へて蟻の列 12.8.14
904 炎天に蟻の歩速は衰へず 炎天・蟻 12.8.14
905 炎昼に炉端焼き食ふへそ曲り 炎昼 12.8.14
906 冷蔵庫ちちちと鳴りて閉めろといふ 冷蔵庫 12.8.14
907 冷蔵庫すぐ減るものは缶ビール 冷蔵庫 12.8.14
908 片蔭をママチャリが来る傍若に 片蔭 12.8.14
909 刺青の汚きばかり夏五輪 12.8.14
910 昼寝覚ロンドン五輪終りけり 昼寝覚 12.8.14
911 門柱に空蝉かじりついたまま 空蝉 12.8.15
912 汗まみれ滑ひゆ刈る野良仕事 すべりひゆ 12.8.15
913 箸添へて口にかさこそ茗荷汁 茗荷汁 12.8.15
914 天の川父母弟妹のゐるところ 天の川 12.8.15
915 生身魂勢ぞろいする句会かな 生身魂 12.8.15
916 溝萩や池辺を包む紅霞 溝萩 12.8.15
917 掃苔し供花生き生きと盆の墓地 掃苔 12.8.15
918 どの墓も供花生き生きと盆の墓地 12.8.15
919 雨の中墓を洗ひて供花生々 掃苔 12.8.15
920 新しき卒塔婆加ふ大施餓鬼 施餓鬼 12.8.15
921 盆の墓地香華新たに浮き立てり 12.8.16
922 盆の墓地香華新たにさやぎけり 12.8.16
923 止まりてはまた走りゆく石たたき 石たたき(鶺鴒) 12.8.16
924 天からの雨と思へば蝉のション 12.8.16
925 七十六引く九歳の終戦日 終戦日 12.8.16
926 庭からの風受け座る簟(たかむしろ) 簟(たかむしろ) 12.8.16
927 花茗荷地に臥すごとく咲きにけり 花茗荷 12.8.16
928 葉隠れに恥じろふて咲く花茗荷 花茗荷 12.8.16
929 葉を分けし吾に怯へる花茗荷 花茗荷 12.8.16
930 見らるるを厭ひて咲くや花茗荷 花茗荷 12.8.16
931 儚さを花の姿に秋みょうが 秋茗荷 12.8.17
932 地を割りて嫋やかに笑む花茗荷 花茗荷 12.8.17
933 嫋やかな茗荷の花の土拭ふ 花茗荷 12.8.17
934 地に這ひて茗荷の花の清々し 花茗荷 12.8.17
935 そっと名を呼んで顔寄す鳳仙花 鳳仙花 12.8.17
936 飾らるる間もなきいのち花茗荷 花茗荷 12.8.17
937 故問ふな茗荷の花の儚きを 花茗荷 12.8.17
938 儚きは茗荷の花の故にこそ 花茗荷 12.8.17
939 散水のホースが描く虹の橋 12.8.17
940 眉のごと残雪見せる処暑の富士 処書 12.8.17
941 青峰に残雪わずか処暑の富士 処書 12.8.18
942 雨音に乗りて轟く秋の雷 秋の雷 12.8.18
943 大柄の姿優しく白芙蓉 芙蓉 12.8.18
944 老残の姿ぞ哀し酔芙蓉 芙蓉 12.8.18
945 似て非なり鏡の吾と酔芙蓉 芙蓉 12.8.18
946 飲み会に行く道すがら酔芙蓉 芙蓉 12.8.18
947 赤白黄路地を彩る白粉花 白粉花 12.8.18
948 紅変の老残さみし酔芙蓉 芙蓉 12.8.18
949 溝蕎麦の花に顔寄す野原道 溝蕎麦 12.8.18
950 藪からし引けばずるずる二メートル 藪からし 12.8.18
951 藪からし引く手応へに勝利感 藪からし 12.8.19
952 綱引きの気分で引くや藪からし 藪からし 12.8.19
953 火と燃ゆる色誇らかに花カンナ カンナ 12.8.19
954 溝蕎麦の紅を点じてあどけなし 溝蕎麦 12.8.19
955 秋の雷過ぎて未練の日照雨(そばえ)かな 12.8.19
956 天指して火色鋭き鷹の爪 鷹の爪・唐辛子 12.8.19
957 艶やかに辛さ育む唐辛子 鷹の爪・唐辛子 12.8.19
958 軒先に緋色艶やか鷹の爪 鷹の爪・唐辛子 12.8.19
959 天裂けと爪を立つるや唐辛子 鷹の爪・唐辛子 12.8.19
960 天裂けとばかり爪立つ唐辛子 鷹の爪・唐辛子 12.8.19
961 干されても艶失はぬ鷹の爪 鷹の爪・唐辛子 12.8.20
962 吊るされて日を照り返す唐辛子 鷹の爪・唐辛子 12.8.20
963 艶やかに褪せることなき鷹の爪 鷹の爪・唐辛子 12.8.20
964 マニキュアに女を燃やす鷹の爪 鷹の爪・唐辛子 12.8.20
965 ルージュ濃き女の指や鷹の爪 鷹の爪・唐辛子 12.8.20
966 マニキュアもルージュも武器ぞ鷹の爪 鷹の爪・唐辛子 12.8.20
967 天に向け火矢を放つや鷹の爪 鷹の爪・唐辛子 12.8.20
968 天空に掻き痕付けん鷹の爪 鷹の爪・唐辛子 12.8.20
969 老いらくの恋ほほ笑まし鷹の爪 鷹の爪・唐辛子 12.8.20
970 マニキュアと色を競ふや鷹の爪 鷹の爪・唐辛子 12.8.20
971 マニキュアに女を燃やす鷹の爪 鷹の爪・唐辛子 12.8.21
972 激情を艶やかに秘め鷹の爪 鷹の爪・唐辛子 12.8.21
973 それぞれの頭巾新し地蔵盆 地蔵盆 12.8.21
974 ずるずると引けば引くほど藪枯らし 藪枯らし 12.8.21
975 疎まれて刈り取られゐる葛の花 葛の花 12.8.21
976 散歩犬ひょいと尿する猫じやらし 猫じゃらし 12.8.21
977 視線受け足元見れば草虱 草虱 12.8.21
978 無人駅待つ間に払ふ藪じらみ 藪虱 12.8.21
979 書で言へば楷書で咲けり白桔梗 桔梗 12.8.21
980 凛と言ふ文字が似合いし桔梗かな 桔梗 12.8.21
981 廃村の崩る石垣をみなへし 女郎花 12.8.22
982 日盛りに色褪せたりし赤のまま 赤まんま、赤のまま 12.8.22
983 赤い糸縺らせてゐる水引草 水引草 12.8.22
984 七つの子流れし町の残暑かな 残暑 12.8.22
985 酔芙蓉果ては汚き萎れ花 酔芙蓉 12.8.22
986 白芙蓉濁らぬままに萎みけり 芙蓉 12.8.22
987 大匙で汚さずに食ふ西瓜かな 西瓜 12.8.22
988 深く鋤き種類違へて大根蒔く 大根蒔く 12.8.22
989 咲いたかと思へば萎る茗荷花 茗荷の花 12.8.22
990 薊かと寄れば秋告ぐ田村草 田村草 12.8.22
991 浮雲に吾ありと告ぐ芭蕉かな 芭蕉 12.8.23
992 残暑こそ伸びるチャンスと藪枯らし 藪枯らし 12.8.23
993 大輪の黄花の裾に南瓜の子 南瓜 12.8.23
994 秋簾なほ生き生きとごーやかな 秋簾 12.8.23
995 ベランダを覆ふ緑の秋簾 秋簾 12.8.23
996 苦瓜の甘き香のして弾けをり 苦瓜 12.8.23
997 秋風にラピスラズリの蜆蝶 秋風 12.8.23
998 散水の腕にちくりと蚊の名残 蚊の名残 12.8.23
999 風優し残暑をしのぐ扇風機 残暑 12.8.23
1000 キッチンの暗きで鈴音綴刺(つづれさせ) 綴刺・蟋蟀 12.8.23



♪BGM:Chopin[Nocturne8]arranged by Pian♪

表紙へ 俳句目次

inserted by FC2 system