１日１０句１０００句詠む

鈴童の遊び


１	寒林や煙突高き焼却炉	寒林	冬	23.1.1.
2	寒林の径声高に来る二人	寒林	冬	23.1.2.
3	寒林の先に広がる山上湖	寒林	冬	23.1.2.
4	寒林の静寂破りし鳥の声	寒林	冬	23.1.2.
5	老妻と誤嚥怖れつ雑煮食む	雑煮	新年	23.1.2.
6	七種の粥も誤嚥に気を配り	七種粥	新年	23.1.2.
7	七草粥セットで買ひし七種入れ	七草粥	新年	23.1.2.
8	ふうふうと吹き冷ましつつ薺粥	薺粥	新年	23.1.2.
9	ふうふうと冷ましつ啜る薺粥	薺粥	新年	23.1.2.
10	薺粥ごま塩かけて啜りけり	薺粥	新年	23.1.2.
11	糠漬けを菜にいただく七日粥	七日粥	新年	23.1.2.
12	精進の極みのごとき薺粥	薺粥	新年	23.1.2.
13	すずしろの緑鮮やか七日粥	七日粥	新年	23.1.2.
14	舌を焼くほどの熱々七日粥	七日粥	新年	23.1.2.
15	相撲部屋大鍋煮立つ七日粥	七日粥	新年	23.1.2.
16	すずしろの緑で済ます七日粥	七日粥	新年	23.1.2.
17	雪原に緑噴き出す七日粥	七日粥	新年	23.1.3.
18	スーパーのセット投げ入れ七日粥	七日粥	新年	23.1.3.
19	精進の極みいただく薺粥	薺粥	新年	23.1.3.
20	食卓の円き昭和の七日粥	七日粥	新年	23.1.3.
21	八十路行く有病息災年新た	年新た	新年	23.1.3.
22	まあだだよ八十路楽しき年新た	年新た	新年	23.1.3.
23	八十路来てまだ生きてゐる大旦	大旦	新年	23.1.3.
24	火の用心誤嚥用心大旦	大旦	新年	23.1.3.
25	まあだだよ呟く八十路大旦	大旦	新年	23.1.3.
26	もうちょっと呟く八十路大旦	大旦	新年	23.1.3.
27	早梅かと近づき見れば冬桜	冬桜	冬	23.1.3.
28	人住まぬ家増ゆる里冬桜	冬桜	冬	23.1.3.
29	たこ焼きを食べる二人や冬桜	冬桜	冬	23.1.3.
30	山門を抜け行く風や冬桜	冬桜	冬	23.1.3.
31	寡黙なる師の好みたる冬桜	冬桜	冬	23.1.3.
32	み仏は薄着におはす冬桜	冬桜	冬	23.1.4.
33	井月の酔ひ潰れゐし冬桜	冬桜	冬	23.1.4.
34	井月や田に酔ひ潰れ冬桜	冬桜	冬	23.1.4.
35	がんばれよ声かけて過ぐ冬桜	冬桜	冬	23.1.4.
36	がんばれとつい声かけぬ冬桜	冬桜	冬	23.1.4.
37	老妻と誤嚥怖れつ雑煮食む	雑煮	新年	23.1.4.
38	ジルベスタのタクト振り切り年新た	年新た	新年	23.1.4.
39	ジルベスタのタクト振り切り除夜の鐘	除夜の鐘	新年	23.1.4.
40	ジルベスタのタクト振り切り年明くる	年明け	新年	23.1.4.
41	大晦日タクト振りきり年明くる	年明け	新年	23.1.4.
42	アディショナルタイムとなりし年新た	年新た	新年	23.1.4.
43	挨拶の終ひを告ぐる賀状来る	年賀状	新年	23.1.4.
44	挨拶の打ち止め告ぐる賀状来る	年賀状	新年	23.1.5.
45	遥拝で済ます今年も初詣	初詣	新年	23.1.5.
46	初詣長い列でき神頼み	初詣	新年	23.1.5.
47	御手洗の柄杓新し初詣	初詣	新年	23.1.5.
48	初みくじ引ひて零れし笑顔かな	初神籤	新年	23.1.5.
49	疫禍避け鈴緒外さる初詣	初詣	新年	23.1.5.
50	初みくじ凶引く人のゐぬ不思議	初神籤	新年	23.1.5.
51	赤道（あかみち）を過る参道初詣	初詣	新年	23.1.5.
52	ボタン押し大王の声初閻魔	初閻魔	新年	23.1.5.
53	大方は嘘も方便初閻魔	初閻魔	新年	23.1.5.
54	大王に嘘つきに行く初閻魔	初閻魔	新年	23.1.5.
55	大王に謝りに行く初閻魔	初閻魔	新年	23.1.5.
56	年一度瑞兆となる初鴉	初鴉	新年	23.1.6.
57	寒林の径声高に男どち	寒林	冬	23.1.6.
58	毛繕ひ終えたる三毛と日向ぼこ	日向ぼこ	冬	23.1.6.
59	スーパーのセット仕立ての七日粥	七日粥	新年	23.1.6.
60	おせちよりハンバーガーの流れかな	おせち	新年	23.1.6.
61	楪の照葉支える紅柄かな	楪	新年	23.1.6.
62	楪や後が痞へている感じ	楪	新年	23.1.6.
63	旭日にきりりと向くや初鴉	初鴉	新年	23.1.6.
64	自尊とは飛び立つ姿初鴉	初鴉	新年	23.1.6.
65	悪童の面影消して初鴉	初鴉	新年	23.1.6.
66	満更でもなき面持ちの初鴉	初鴉	新年	23.1.6.
67	初鴉かあとひと声鳴き賜ふ	初鴉	新年	23.1.6.
68	一年に一度お目見得ちょろぎかな	草石蚕	新年	23.1.7.
69	重詰の隅が定席ちょろぎかな	草石蚕	新年	23.1.7.
70	重詰の言はば笑窪のちょろぎかな	草石蚕	新年	23.1.7.
71	正月が過ぎれば忘るちょろぎかな	草石蚕	新年	23.1.7.
72	難読の草石蚕読める子手を上げて	草石蚕	新年	23.1.7.
73	この世には草石蚕のごとき人のゐて	草石蚕	新年	23.1.7.
74	存在も名も不可思議なちょろぎかな	草石蚕	新年	23.1.7.
75	ため口の仲が御慶を交しをり	御慶	新年	23.1.7.
76	手短に御慶交してため口に	御慶	新年	23.1.7.
77	立膝で艶冶な笑みの初弁天	初弁天	新年	23.1.7.
78	煮凝の突出しとんと置かれけり	煮凝	冬	23.1.7.
79	万両のいつしか増えし狭庭かな	万両	冬	23.1.7.
80	万両や清貧と言ふやせ我慢	万両	冬	23.1.8.
81	女正月危なひ季語となりにけり	女正月	新年	23.1.8.
82	底冷に轟く法鼓ウクライナ	底冷え	冬	23.1.8.
83	愚かしき戦火の続く去年今年	去年今年	新年	23.1.8.
84	クレパスでクレバス描けり青々忌	青々忌	冬	23.1.8.
85	スケートやエッジ鋭く駆け抜けり	スケート	冬	23.1.8.
86	田圃リンク下駄スケートの昭和の子	スケート	冬	23.1.8.
87	氷上を飛燕となりてスケーター	スケーター	冬	23.1.8.
88	倒れたるラガーにざぶと薬缶水	ラガー	冬	23.1.8.
89	ラガーらは低くスクラム球入るる	ラガー	冬	23.1.8.
90	咳こんで途中下車する時代かな	咳	冬	23.1.8.
91	朝立ちの議員バッジの息白し	息白し	冬	23.1.8.
92	ジョガー来るＳＬのごと息白し	息白し	冬	23.1.9.
93	老妻に調髪委ぬ木の葉髪	木の葉髪	冬	23.1.9.
94	日向ぼこしつつ唱える般若経	日向ぼこ	冬	23.1.9.
95	出初式江戸の名残りの木遣歌	出初式	新年	23.1.9.
96	動けぬか動かないのか寒の鯉	寒鯉	冬	23.1.9.
97	皮肉にも万両増ゆる貧の庭	万両	冬	23.1.9.
98	楪や物事すべて成るままに	楪	新年	23.1.9.
99	楪や産科の庭に一樹あり	楪	新年	23.1.9.
100	日溜りや光を返す福寿草	福寿草	新年	23.1.9.
101	嬉々として光を返す福寿草	福寿草	新年	23.1.9.
102	福寿草小鉢で並ぶ生花店	福寿草	新年	23.1.9.
103	大鉢に白砂敷きたる福寿草	福寿草	新年	23.1.9.
104	猿回し猿に食はせて貰ひけり	猿回し	新年	23.1.10.
105	猿回し今も昔も旅がらす	猿回し	新年	23.1.10.
106	消防艇五色の放水出初式	出初式	新年	23.1.10.
107	出初式女はゐない梯子乗り	出初式	新年	23.1.10.
108	出初式男声揃ふ木遣唄	出初式	新年	23.1.10.
109	出初式ましらの技の梯子乗り	出初式	新年	23.1.10.
110	正月も四日過ぎれば普通の日	正月	新年	23.1.10.
111	仲見世をマスク行き交ふ初観音	初観音	新年	23.1.10.
112	外人も郷に従ふマスクかな	マスク	冬	23.1.10.
113	人形焼き仲見世で買ふ初観音	初観音	新年	23.1.10.
114	翅立てし凍蝶ぱたと倒れけり	凍蝶	冬	23.1.10.
115	翅立てし凍蝶ぱたと倒れ果つ	凍蝶	冬	23.1.10.
116	蝶凍つる赤いバイクの郵便夫	凍蝶	冬	23.1.11.
117	干し大根日向の甘き香を放つ	干し大根	冬	23.1.11.
118	凍蝶や郵便ポストまで千歩	凍蝶	冬	23.1.11.
119	寒晴や蒼天高く舞ふ鳶	寒晴	冬	23.1.11.
120	ゆっくりと回る水車や女正月	女正月	新年	23.1.11.
121	日本髪すっかり廃れ女正月	女正月	新年	23.1.11.
122	六地蔵きらきら光る冬の川	冬の川	冬	23.1.11.
123	六地蔵きらめき流る冬の川	冬の川	冬	23.1.11.
124	冬の川きらめき眩し六地蔵	冬の川	冬	23.1.11.
125	昭和まで大方の家隙間風	隙間風	冬	23.1.11.
126	海風に掻き毟らるる水仙花	水仙花	冬	23.1.11.
127	調布空港飛び立つセスナ野水仙	水仙	冬	23.1.11.
128	水仙の日がな騒がし岬かな	水仙	冬	23.1.12.
129	灯台は無人となりて野水仙	水仙	冬	23.1.12.
130	海風の弄ぶまま野水仙	水仙	冬	23.1.12.
131	海風の気儘を許す野水仙	水仙	冬	23.1.12.
132	岸壁や船を見送る野水仙	水仙	冬	23.1.12.
133	棄て鉢の縁をよたよた冬の蠅	冬の蠅	冬	23.1.12.
134	朝刊をよろぼひ過ぎる冬の蠅	冬の蠅	冬	23.1.12.
135	七草は粥より雑炊戦中派	七草	新年	23.1.12.
136	七草は雑炊がよし戦中派	七草	新年	23.1.12.
137	七日粥雑炊でゆく戦中派	七日粥	新年	23.1.12.
138	七日粥われは雑炊戦中派	七日粥	新年	23.1.12.
139	寒声や磨きをかける木遣唄	寒声	冬	23.1.12.
140	寒声やソプラノの声昇り行く	寒声	冬	23.1.13.
141	ちゃんちゃんこ散歩の犬の外出着	ちゃんちゃんこ	冬	23.1.13.
142	散歩犬ちゃんちゃんこ着る令和かな	ちゃんちゃんこ	冬	23.1.13.
143	力込め一人一打の除夜の鐘	除夜の鐘	新年	23.1.13.
144	寒に耐ふ戦火の国の民思ふ	寒	冬	23.1.13.
145	田んぼリンク下駄スケートで滑りたる	スケート	冬	23.1.13.
146	田んぼリンク下駄スケートを懐かしむ	スケート	冬	23.1.13.
147	寒林の奥に真白き遠見富士	寒林	冬	23.1.13.
148	巌門に打ち寄す波や料峭忌	料峭忌	春	23.1.13.
149	宝達は寡黙な山や料峭忌	料峭忌	春	23.1.13.
150	能登人の春待つ心料峭忌	料峭忌	春	23.1.13.
151	巌門に砕ける波浪料峭忌	料峭忌	春	23.1.13.
152	巌門に轟く波浪料峭忌	料峭忌	春	23.1.14.
153	巌門に波浪轟く料峭忌	料峭忌	春	23.1.14.
154	飛騨からのどぶ酒酌みぬ料峭忌	料峭忌	春	23.1.14.
155	五郎八のどぶ酒旨し料峭忌	料峭忌	春	23.1.14.
156	宝達に名残りの雪や料峭忌	料峭忌	春	23.1.14.
157	宝達に名残り雪降る料峭忌	料峭忌	春	23.1.14.
158	名残り雪宝達包む料峭忌	料峭忌	春	23.1.14.
159	宝達の稜線優し料峭忌	料峭忌	春	23.1.14.
160	小春凪と句碑に刻みし料峭忌	料峭忌	春	23.1.14.
161	小春凪と刻みし句碑や料峭忌	料峭忌	春	23.1.14.
162	巌門に波浪響けり料峭忌	料峭忌	春	23.1.14.
163	葉牡丹の五色仕立てのサラダかな	葉牡丹	冬	23.1.14.
164	葉牡丹の五色華やぐサラダ皿	葉牡丹	冬	23.1.15.
165	葉牡丹の鉢で玄関らしくなり	葉牡丹	冬	23.1.15.
166	端境期葉牡丹花を務めける	葉牡丹	冬	23.1.15.
167	葉牡丹の五色華やぐサラダ皿	葉牡丹	冬	23.1.15.
168	倒れたるラガーにざぶり薬缶の水	ラガー	冬	23.1.15.
169	売残り豚がいただく恵方巻	恵方巻	新年	23.1.15.
170	翌日は売れず捨てらる恵方巻	恵方巻	新年	23.1.15.
171	田遊びやまぐはふ所作に野次しきり	田遊び	新年	23.1.15.
172	田遊びやおかめぎょっとこまぐはへり	田遊び	新年	23.1.15.
173	まぐはひの所作に野次飛ぶ田の遊び	田遊び	新年	23.1.15.
174	まぐはひの所作に笑ひの田の遊び	田遊び	新年	23.1.15.
175	危な絵のごとき所作見せ田の遊び	田遊び	新年	23.1.15.
176	まぐはひの所作ユーモラス田の遊び	田遊び	新年	23.1.16.
177	巌門に響く波浪や料峭忌	料峭忌	春	23.1.16.
178	姦しく餌を欲り合ふ雀の子	雀の子	春	23.1.16.
179	どれもみな黄色の嘴の雀の子	雀の子	春	23.1.16.
180	親を真似地を啄ばむや雀の子	雀の子	春	23.1.16.
181	出初式お江戸名残りの木遣歌	出初式	新年	23.1.16.
182	寒林のこゆるぎもせず屹立す．	寒林	冬	23.1.16.
183	寒林や聞き耳立ててゐる気配	寒林	冬	23.1.16.
184	寒林の木々てんでんに春支度	寒林	冬	23.1.16.
185	寒林に風が耳打ち春支度	寒林	冬	23.1.16.
186	出初めには男の流儀木遣歌	出初式	新年	23.1.16.
187	出初式揃ひの法被木遣唄	出初式	新年	23.1.16.
188	寒林や日差しが描くアラベスク	寒林	冬	23.1.17
189	葉牡丹の五色仕立ての鉢を置く	葉牡丹	冬	23.1.17.
190	葉牡丹の五色仕立てを花とせむ	葉牡丹	冬	23.1.17.
191	倒れたるラガーに水掛く大薬缶	ラガー	冬	23.1.17.
192	憚らずおめき猛るや恋の猫	猫の恋	冬	23.1.17.
193	まがまがしおめき合戦恋の猫	猫の恋	冬	23.1.17.
194	ぼろ雑巾となりて帰還の恋の猫	猫の恋	冬	23.1.17.
195	去勢猫増えて恋猫居ぬ街に	猫の恋	冬	23.1.17.
196	去勢猫増えて恋する猫いづこ	猫の恋	冬	23.1.17.
197	巌門に轟く波浪料峭忌	料峭忌	春	23.1.17.
198	ＡＩの機器厳戒の大試験	大試験	春	23.1.17.
199	第八波コロナ禍の中大試験	大試験	春	23.1.17.
200	緊張の顔の美し大試験	大試験	春	23.1.18.
201	一浪も二浪も混り大試験	大試験	春	23.1.18.
202	黄沙来る道連れ怖きコロナかな	黄沙	春	23.1.18.
203	春疾風寅さん像に土ぼこり	春疾風	春	23.1.18.
204	春一番スカイツリーを揺さぶりぬ	春疾風	春	23.1.18.
205	五重塔風鐸鳴らす春疾風	春疾風	春	23.1.18.
206	露座仏にマスク掛けたし春埃	春埃	春	23.1.18.
207	高圧線揺さぶり鳴らす春疾風	春疾風	春	23.1.18.
208	春一番将棋倒しの駐輪場	春疾風	春	23.1.18.
209	船溜まり歯ぎしり頻り春一番	春疾風	春	23.1.18.
210	ででぽぽと雉鳩鳴けり春一番	春疾風	春	23.1.18.
211	ひと呼吸背筋を伸ばし大試験	大試験	春	23.1.18.
212	ひと呼吸背筋伸ばして大試験	大試験	春	23.1.19.
213	緊張の顔清々し大試験	大試験	春	23.1.19.
214	緊張の顔に眉寄せ大試験	大試験	春	23.1.19.
215	裏路地に稲荷の祠寒茜	寒茜	冬	23.1.19.
216	奔放と筆太に書くかの子の忌	かの子忌	春	23.1.19.
217	切通し抜けて海見ゆ実朝忌	実朝忌	春	23.1.19.
218	鞦韆に腰掛けスマホ繰る少女	鞦韆	春	23.1.19.
219	家庭薬飲んで治せし春の風邪	春	春	23.1.19.
220	頬染めて夢見心地の春の風邪	春	春	23.1.19.
221	春風邪にすは鎌倉となる時代	春	春	23.1.19.
222	春風邪にすは鎌倉の時代かな	春	春	23.1.19.
223	嬉し気に回り続ける風車	風車	春	23.1.19.
224	発電の風車のたりと回りをり	風車	春	23.1.20.
225	発電の風車そろりと回りをり	風車	春	23.1.20.
226	春風や浮世くるくる風車	風車	春	23.1.20.
227	春風や風車てんでに回りをり	風車	春	23.1.20.
228	不揃ひに回る発電風車かな	風車	春	23.1.20.
229	不揃ひに発電風車回りをり	風車	春	23.1.20.
230	卓袱台を囲み昭和の七日粥	七日粥	新年	23.1.20.
231	高圧線唸りを上げる春疾風	春疾風	春	23.1.20.
232	すっきりと成りて春待つ裸木かな	裸木	冬	23.1.20.
233	紫木蓮冬芽ふっくら天を指す	冬芽	冬	23.1.20.
234	木蓮の冬芽ふっくら天を指す	冬芽	冬	23.1.20.
235	葉牡丹や花無き時期の心意気	葉牡丹	冬	23.1.20.
236	一束の葱が首出すレジ袋	葱	冬	23.1.21.
237	葱蕎麦を葱一本でいただけり	葱	冬	23.1.21.
238	大根の葉っぱは売らぬマーケット	大根	冬	23.1.21.
239	火の国や辛子蓮根当てに呑む	蓮根	冬	23.1.21.
240	断捨離を済ませ春待つ裸木かな	裸木	冬	23.1.21.
241	断捨離で身に一物も無き裸木	裸木	冬	23.1.21.
242	バス停でバス待つ列の余寒かな	余寒	冬	23.1.21.
243	池の底鯉の動かぬ余寒かな	余寒	冬	23.1.21.
244	公園に余寒知らずの子らの声	余寒	冬	23.1.21.
245	春きざす哲学堂の寝釈迦かな	余寒	春	23.1.21.
246	春立ちぬ赤い帽子の六地蔵	立春	春	23.1.21.
247	春立ちぬ松山駅に子規の句碑	立春	春	23.1.21.
248	料峭や近ごろ聴かぬ早春賦	料峭	春	23.1.22.
249	春立ちぬ近ごろ聞かぬ早春賦	立春	春	23.1.22.
250	料峭や母の歌ひし早春賦	料峭	春	23.1.22.
251	春の雷戦止めろの叫びかな	春雷	春	23.1.22.
252	春雷や戦争止めろの叫びとも	春雷	春	23.1.22.
253	戦止めろ叫び轟く春の雷	春雷	春	23.1.22.
254	戦止めろ！轟くシャウト春の雷	春雷	春	23.1.22.
255	春の雷戦止めろの一打かな	春雷	春	23.1.22.
256	雷神の目覚めの一打春立ちぬ	立春	春	23.1.22.
257	早梅の咲き出し嬉しハケの径	早梅	春	23.1.22.
258	蝋梅の春待ちきれず咲き出せり	春雷	春	23.1.22.
259	蝋梅の春呼ぶごとく咲き出せり	春雷	春	23.1.22.
260	蝋梅に人立ち止り鼻を寄す	蝋梅	春	23.1.23.
261	紅色の花をたわわに寒桜	寒桜	春	23.1.23.
262	ＳＬの置かれし公園寒桜	寒桜	春	23.1.23.
263	黒鉄のＳＬ囲む寒桜	寒桜	冬	23.1.23.
264	クリスマスローズ俯き咲きにけり	クリスマスローズ	冬	23.1.23.
265	冬たんぽぽロゼット広げ日と遊ぶ	冬たんぽぽ	冬	23.1.23.
266	ミサイルの恐怖も無くて日向ぼこ	日向ぼこ	冬	23.1.23.
267	コンビニの弁当食みつ日向ぼこ	日向ぼこ	冬	23.1.23.
268	日溜りに猫と並んで日向ぼこ	日向ぼこ	冬	23.1.23.
269	日溜りに猫三匹と日向ぼこ	日向ぼこ	冬	23.1.23.
270	七輪で潤目焼きたる昭和かな	潤目鰯	冬	23.1.23.
271	健さんの気分であては潤目とす	潤目鰯	冬	23.1.23.
272	野良猫に席を譲られ日向ぼこ	日向ぼこ	冬	23.1.24.
273	薄塩の葉ごといただく桜餅	桜餅	春	23.1.24.
274	長命寺手早く詣で桜餅	桜餅	春	23.1.24.
275	お薄派と濃茶派のゐて桜餅	桜餅	春	23.1.24.
276	桜餅葉ごと戴く吾流儀	桜餅	春	23.1.24.
277	大川の流れたゆとふ桜餅	桜餅	春	23.1.24.
278	隅田川豊かに流れ桜餅	桜餅	春	23.1.24.
279	大川の流れ滔々桜餅	桜餅	春	23.1.24.
280	長命寺詣で直行桜餅	桜餅	春	23.1.24.
281	店で食み土産に下げて桜餅	桜餅	春	23.1.24.
282	女らに混り男も桜餅	桜餅	春	23.1.24.
283	呑兵衛と言へどいただく桜餅	桜餅	春	23.1.24.
284	子規居士は幾つ食みしか桜餅	桜餅	春	23.1.25.
285	桜餅土産に渡る吾妻橋	桜餅	春	23.1.25.
286	向島七寺巡りて桜餅	桜餅	春	23.1.25.
287	墨堤の桜吹雪や桜餅	桜餅	春	23.1.25.
288	桜餅土産に川越え浅草寺	桜餅	春	23.1.25.
289	葉牡丹の渦が笑ふ日べそかく日	葉牡丹	冬	23.1.25.
290	葉牡丹や花のつもりでゐる如し	葉牡丹	冬	23.1.25.
291	葉牡丹や祖父の遺愛の鳩時計	葉牡丹	冬	23.1.25.
292	葉牡丹や青空高くとんび舞ふ	葉牡丹	冬	23.1.25.
293	葉牡丹の渦が笑顔に見える朝	葉牡丹	冬	23.1.25.
294	葉牡丹の十二個めぐる花時計	葉牡丹	冬	23.1.25.
295	葉牡丹の文字盤回る花時計	葉牡丹	冬	23.1.25.
296	去勢猫増えて恋猫居ずなりぬ	恋猫	春	23.1.26.
297	奔放と草書で書きぬかの子の忌	かの子忌	春	23.1.26.
298	奔放と草書の水茎かの子の忌	かの子忌	春	23.1.26.
299	奔放と草書繚乱かの子の忌	かの子忌	春	23.1.26.
300	奔放と草書伸びやかかの子の忌	かの子忌	春	23.1.26.
301	前髪を切り揃へたりかの子の忌	かの子忌	春	23.1.26.
302	草書にて奔放と書くかの子の忌	かの子忌	春	23.1.26.
303	亀鳴かす十七文字の遊びかな	亀鳴く	春	23.1.26.
304	亀鳴かす手際競ひて天地人	亀鳴く	春	23.1.26.
305	亀鳴かす秘術比べの句会かな	亀鳴く	春	23.1.26.
306	をちこちで亀鳴くを聴く夢の中	亀鳴く	春	23.1.26.
307	空耳か軍靴の響き亀鳴けり	亀鳴く	春	23.1.26.
308	エベレスト山頂で亀鳴きにけり	亀鳴く	春	23.1.27.
309	エベレストの天辺で亀鳴くを聴く	亀鳴く	春	23.1.27.
310	亀鳴ひてぱっと夢から覚めにけり	亀鳴く	春	23.1.27.
311	去勢猫増えて恋猫居なくなり	猫の恋	春	23.1.27.
312	春寒や鼻毛伸びたる仁王像	春寒	春	23.1.27.
313	仁王像睨む山門蕗の薹	蕗の薹	春	23.1.27.
314	蕗の薹！目敏き連れの声弾む	蕗の薹	春	23.1.27.
315	庭採れを蕗味噌にして夜の膳	蕗味噌	春	23.1.27.
316	蕗味噌のしみじみ旨し母の味	蕗味噌	春	23.1.27.
317	蕗味噌となりて小皿に蕗の薹	蕗の薹	春	23.1.27.
318	微かなる苦さが旨し蕗の薹	蕗の薹	春	23.1.27.
319	蕗の薹ちらちら白きもの舞へり	蕗の薹	春	23.1.27.
320	箸先に蕗味噌摘まみ独り酒	蕗味噌	春	23.1.27.
321	去勢猫恋の修羅場を知らずして	猫の恋	春	23.1.27.
322	恋猫の赤裸々の声修羅の声	猫の恋	春	23.1.27.
323	春風邪にすは鎌倉の時代かな	春風邪	春	23.1.28.
324	海風と遊び遊ばれ野水仙	野水仙	春	23.1.28.
325	反り撓り風の騒がす野水仙	野水仙	春	23.1.28.
326	反り撓り風の意のまま野水仙	野水仙	春	23.1.28.
327	海風にざわめき通し野水仙	野水仙	春	23.1.28.
328	潮風に躍り疲れぬ野水仙	野水仙	春	23.1.28.
329	必竟は海好きなだけ野水仙	野水仙	春	23.1.28.
330	海風を呼んで乱舞の野水仙	野水仙	春	23.1.28.
331	風呼んで踊り明かすや野水仙	野水仙	春	23.1.28.
332	反り撓り風折れは無し野水仙	野水仙	春	23.1.28.
333	ストーブの猛けて黒焦げ餅無惨	ストーブ・餅	冬・新年	23.1.28.
334	ストーブに黒焦げの餅捨て忘れ	ストーブ・餅	冬・新年	23.1.28.
335	自堕落な風情とも見ゆ紫木蓮	紫木蓮	春	23.1.28.
336	自堕落な風情で咲くや紫木蓮	紫木蓮	春	23.1.28.
337	啖呵切る辰巳芸者や紫木蓮	紫木蓮	春	23.1.28.
338	伝法な辰巳芸者や紫木蓮	紫木蓮	春	23.1.29.
339	列島を縮み凍らせ大寒波	大寒波	冬	23.1.29.
340	白銀の富士真ん中に冬景色	冬景色	冬	23.1.29.
341	見晴るかす釧路湿原雪の中	雪	冬	23.1.29.
342	大寒波道行く人の急ぎ足	大寒波	冬	23.1.29.
343	大寒波道行く人の前かがみ	大寒波	冬	23.1.29.
344	水道柱タオルを巻けり寒波来る	寒波	冬	23.1.29.
345	春めきて青春の日々思い出す	春めく	春	23.1.29.
346	大寒波戦火の国の民思ふ	大寒波	冬	23.1.29.
347	白菜のずしりと重き一個買ふ	白菜	冬	23.1.29.
348	白菜の仕切る寄鍋音立ちぬ	白菜	冬	23.1.29.
349	白菜の四半で済みし夕餉かな	白菜	冬	23.1.29.
350	人生のゴールが近し大寒波	大寒波	冬	23.1.29.
351	コロナマスク外せば滲みる寒波かな	寒波	冬	23.1.29.
352	恋をする激情知らず去勢猫	猫の恋	春	23.1.29.
353	恋猫の修羅を知らずに去勢猫	猫の恋	春	23.1.30.
354	恋猫の居ずなり淋し路地の闇	猫の恋	春	23.1.30.
355	恋猫や玉を抜かれて家居猫	猫の恋	春	23.1.30.
356	兎跳びこなす少年寒夕焼	寒夕焼	冬	23.1.30.
357	兎跳び百回数ふ寒夕焼	寒夕焼	冬	23.1.30.
358	池底で不動の鯉や大寒波	寒波	冬	23.1.30.
359	寒夕焼けペット響けりニニ・ロッソ	寒夕焼	冬	23.1.30.
360	抜けるほど肌白くして雪女	雪女	冬	23.1.30.
361	男らのひそと夢見る雪女	雪女	冬	23.1.30.
362	雪女観音菩薩かも知れず	雪女	冬	23.1.30.
363	微笑みて夢の枕に雪女	雪女	冬	23.1.30.
364	若き日の母の面影雪女	雪女	冬	23.1.30.
365	夢二描くお葉のやうな雪女	雪女	冬	23.1.30.
366	雪女囁くやうに話をり	雪女	冬	23.1.30.
367	雪女啜り泣くかによがり声	雪女	冬	23.1.30.
368	雪女ふっくら円き乳房かな	雪女	冬	23.1.31.
369	五合庵ひそと掃除の雪女	雪女	冬	23.1.31.
370	「ある愛の詩」のシネマに涙雪女	雪女	冬	23.1.31.
371	パンタロン穿ひて背高き雪女	雪女	冬	23.1.31.
372	雪女すっと消えたる観音堂	雪女	冬	23.1.31.
373	雪女決して更けぬと言ふ噂	雪女	冬	23.1.31.
374	パンタロン穿ひてパンプス雪をんな	雪女	冬	23.1.31.
375	靴サイズ２４インチ雪女	雪女	冬	23.1.31.
376	雪女に会ひたくて来た越路かな	雪女	冬	23.1.31.
377	雪女探索ツアーてふ企画	雪女	冬	23.1.31.
378	北国へ帰る車窓の雪女	雪女	冬	23.1.31.
379	露天風呂背中を見せて雪をんな	雪女	冬	23.1.31.
380	雪女右の乳房に恋ぼくろ	雪女	冬	23.1.31.
381	北欧の血を引くハーフ雪をんな	雪女	冬	23.1.31.
382	御堂筋傘さして行く雪女	雪女	冬	23.1.31.
383	さよならと車窓に書きし雪をんな	雪女	冬	23.2.1.
384	ハートマーク車窓に描きし雪をんな	雪女	冬	23.2.1.
385	楽しかったと車窓に書きし雪をんな	雪女	冬	23.2.1.
386	鮨を食む後ろ姿の雪をんな	雪女	冬	23.2.1.
387	突堤で夕日見てゐる雪をんな	雪女	冬	23.2.1.
388	雪の舞ふ突堤に立つ雪をんな	雪女	冬	23.2.1.
389	太郎の家次郎の家雪積もらせる雪をんな	雪女	冬	23.2.1.
390	雪女インスタグラム打つ夜更け	雪女	冬	23.2.1.
391	雪をんな子供五人の多産系	雪女	冬	23.2.1.
392	雪をんな乳張る乳房吸えへと言ふ	雪女	冬	23.2.1.
393	かいがいしく夕餉の支度雪をんな	雪女	冬	23.2.1.
394	雪靴の跡を残して雪をんな	雪女	冬	23.2.1.
395	雪道に足跡残し雪をんな	雪女	冬	23.2.1.
396	日本の国籍得たる雪をんな	雪女	冬	23.2.1.
397	新入りの舞妓風花は雪をんな	雪女	冬	23.2.1.
398	寒晴や小用のときの小身震ひ	寒晴	冬	23.2.2.
399	コロンブスの卵実演寒卵	寒卵	冬	23.2.2.
400	大寒波三度目覚めて夜の厠	寒波	冬	23.2.2.
401	直販台「けさ取れたて！」と寒卵	寒卵	冬	23.2.2.
402	玉子かけで早喰ひの朝寒卵	寒卵	冬	23.2.2.
403	まだ温み残りし今朝の寒卵	寒卵	冬	23.2.2.
404	般若経つまらず読みぬ寒卵	寒卵	冬	23.2.2.
405	目玉焼き片目を夫に寒卵	寒卵	冬	23.2.2.
406	寒卵亭主が作る目玉焼き	寒卵	冬	23.2.2.
407	半熟の黄身が色濃き寒卵	寒卵	冬	23.2.2.
408	碁がたきが三個持参の寒卵	寒卵	冬	23.2.2.
409	生み立てのまだ温かき寒卵	寒卵	冬	23.2.2.
410	パッケージ縦一列に寒卵	寒卵	冬	23.2.2.
411	正ちゃん帽深々被る余寒かな	余寒	春	23.2.2.
412	寒戻る言ひ残すことある如く	寒戻る	春	23.2.2.
413	鯉もまだ池底に居り春寒し	春寒	春	23.2.3.
414	寒晴や阿吽の睨み仁王像	寒晴	冬	23.2.3.
415	シベリヤの寒気襲来草城忌	草城忌	冬	23.2.3.
416	たこ焼の店に列なす草城忌	草城忌	冬	23.2.3.
417	たこ焼の舌焼く熱さ草城忌	草城忌	冬	23.2.3.
418	冬眠の蛇に微かな寝息かな	冬眠	冬	23.2.3.
419	耳掴む痛さに堪へる兎かな	兎	冬	23.2.3.
420	媚びもせず不愛想なりし炬燵猫	炬燵猫	冬	23.2.3.
421	凍蝶を肩に止まらせ仁王立ち	凍蝶	冬	23.2.3.
422	伸びやかに草書認むかの子の忌	かの子忌	春	23.2.3.
423	繚乱と草書認むかの子の忌	かの子忌	春	23.2.3.
424	花一輪茶室柱に野水仙	水仙	冬	23.2.3.
425	群れ離れ茶花務むや野水仙	水仙	冬	23.2.3.
426	さり気なく茶室の柱野水仙	水仙	冬	23.2.3.
427	灯台の足元暗し野水仙	水仙	冬	23.2.3.
428	灯台の昏き根方に野水仙	水仙	冬	23.2.4.
429	野水仙一輪挿せる茶席かな	水仙	冬	23.2.4.
430	蝋梅に人足を止め顔を寄す	蝋梅	冬	23.2.4.
431	蝋梅や春の足音聞こえ初む	蝋梅	冬	23.2.4.
432	吹越や睦む安曇野道祖神	吹越	冬	23.2.4.
433	吹越や薄き煙の浅間山	吹越	冬	23.2.4.
434	風花やセスナ飛び立つ飛行場	風花	冬	23.2.4.
435	吹越や幾つ山越え来たりしか	吹越	冬	23.2.4.
436	吹越や夕日に浮かぶ八ヶ岳	吹越	冬	23.2.4.
437	風花や朱色の塔の不動尊	風花	冬	23.2.4.
438	風花舞ひ阿吽の睨み仁王像	風花	冬	23.2.4.
439	吹越や風に託して気まま旅	吹越	冬	23.2.4.
440	吹越や単線路来るディーゼル車	吹越	冬	23.2.4.
441	風花の舞ひし木曽路や妻籠宿	風花	冬	23.2.4.
442	風花舞ふ木曽路辿りて妻籠宿	風花	冬	23.2.4.
443	卓袱台の円き昭和の七日粥	七日粥	冬	23.2.5.
444	寒戻る忘れし物のある如く	寒戻る	春	23.2.5.
445	不動堂法鼓誘ひし春の雷	春雷	春	23.2.5.
446	不動堂法鼓に応へ春の雷	春雷	春	23.2.5.
447	吹越や山波仰ぐ無人駅	吹越	春	23.2.5.
448	稜線に薄く懸りし春の虹	春の虹	春	23.2.5.
449	般若経上げし札所や春の虹	春の虹	春	23.2.5.
450	さくさくと鍬の音する春の土	春の土	春	23.2.5.
451	をちこちに土竜饅頭春の土	春の土	春	23.2.5.
452	畑の諸所もぐら饅頭春の土	春の土	春	23.2.5.
453	そこかしこ土竜まんじゅう春の土	春の土	春	23.2.5.
454	点々と土竜饅頭春の土	春の土	春	23.2.5.
455	春の土もぐら饅頭そこかしこ	春の土	春	23.2.5.
456	土竜饅頭にわかに増ゆる春の土	春の土	春	23.2.5.
457	じぐざぐに土竜饅頭春の土	春の土	春	23.2.5.
458	真新し土竜饅頭や春の土	春の土	春	23.2.6.
459	ふうわりと土竜饅頭春の土	春の土	春	23.2.6.
460	柔らかに土竜饅頭土匂ふ	土匂ふ	春	23.2.6.
461	渦を巻き火が風を呼ぶ野焼かな	野焼	春	23.2.6.
462	巌門に波浪轟く料峭忌	料峭忌	春	23.2.6.
463	火が風を風が火を呼ぶ野焼かな	野焼	春	23.2.6.
464	野焼果て煤にまみれし顔揃ふ	野焼	春	23.2.6.
465	野火果てて遠見の富士のシルエット	野火	春	23.2.6.
466	野焼果て遠見の富士も黒く焦げ	野焼	春	23.2.6.
467	野焼き果て夕焼け空に黒き富士	野焼	春	23.2.6.
468	葉牡丹の渦巻けさは笑ひをり	葉牡丹	冬	23.2.6.
469	葉牡丹の日時計が指す正午	葉牡丹	冬	23.2.6.
470	料峭や日時計の指す長き影	料峭	春	23.2.6.
471	料峭忌日時計の指す長き影	料峭忌	春	23.2.6.
472	日時計の時指す影や料峭忌	料峭忌	春	23.2.6.
473	日時計の時告ぐ影や料峭忌	料峭き	春	23.2.7.
474	波朗忌や日時計の指す長き影	波朗忌	春	23.2.7.
475	野焼き果て夕焼を背に黒き富士	野焼	春	23.2.7.
476	土竜饅頭畑のをちこち土匂ふ（	土匂ふ	春	23.2.7.
477	風光り蒼天高く鳶舞へり	風光る	春	23.2.7.
478	風光り蒼天高く鳶舞ふ	風光る	春	23.2.7.
479	風光る七里ガ浜や深呼吸	風光る	春	23.2.7.
480	木も草も目覚めし気配風光る	風光る	春	23.2.7.
481	盆栽の木瓜の莟もミニサイズ	木瓜	春	23.2.7.
482	坊ちゃん列車春や昔の城下往く	春	春	23.2.7.
483	坊ちゃん列車春や昔の城下かな	春	春	23.2.7.
484	風光る春や昔の子規の句碑	風光る	春	23.2.7.
485	春や昔十五万石の子規の里	春	春	23.2.7.
486	春の城下坊ちゃん列車の硬き席	春	春	23.2.7.
487	春の城下坊ちゃん列車の席硬し	春	春	23.2.7.
488	春立ちぬ坊ちゃん列車で城下往く	立春	春	23.2.8.
489	寒戻る忘れ物でもある如く	寒戻る	春	23.2.8.
490	灯台の裾から暮るる野水仙	野水仙	冬	23.2.8.
491	寒戻る浮かれるなよと釘刺しに	寒戻る	春	23.2.8.
492	寒戻り木瓜は莟を解きかねる	寒戻る	春	23.2.8.
493	仕舞屋の屋根に十字架風光る	風光る	春	23.2.8.
494	春塵や風鐸揺るる五重塔	春塵	春	23.2.8.
495	霾るや眼光鋭き仁王像	霾る	春	23.2.8.
496	をちこちに土竜饅頭春の土	春の土	春	23.2.8.
497	日時計や長き影指す料峭忌	料峭忌	春	23.2.8.
498	名残り雪宝達山包む波朗の忌	波朗忌	春	23.2.8.
499	暗がりの庭に小声で鬼は外	鬼は外	春	23.2.8.
500	家の中家の外へも福は内	福は内	春	23.2.8.
501	をちこちで豆撒く声の昭和かな	豆撒き	冬	23.2.8.
502	部屋に豆十粒ほど撒き福は内	福は内	冬	23.2.8.
503	大方は踏みしだかるる年の豆	年の豆	冬	23.2.9.
504	豆撒ひて恵方巻食む平和かな	豆撒き	冬	23.2.9.
505	渦を巻き火が風呼んで猛る野火	野火	春	23.2.9.
506	風呼んで火焔轟々野火猛る	野火	春	23.2.9.
507	年の豆八十カット六粒食む	年の豆	冬	23.2.9.
508	年の豆八十略し六個食む	年の豆	冬	23.2.9.
509	年の豆八十外し六個食む	年の豆	冬	23.2.9.
510	恵方巻食みて浮世のお付き合ひ	恵方巻	冬	23.2.9.
511	恵方巻半額で売る午後八時	恵方巻	冬	23.2.9.
512	恵方巻誰が決めたか丸かじり	恵方巻	冬	23.2.9.
513	年の豆誰に投げるか福は内	恵方巻	冬	23.2.9.
514	福は内豆投げらるる福の神	福は内	冬	23.2.9.
515	福は内福の神にも豆つぶて	福は内	冬	23.2.9.
516	冬帝の居座るままに春立ちぬ	立春	春	23.2.9.
517	浅春や鴉がかあと鳴きて去る	浅春	春	23.2.9.
518	南南東向きてがぶりと恵方巻	恵方巻	冬	23.2.10.
519	春風や朱色鮮やか五重塔	春風	春	23.2.10.
520	無人駅ホームの端に梅大樹	梅	春	23.2.10.
521	白梅の香を嗅ぎながら列車待つ	白梅	春	23.2.10.
522	霾るや黄粉まぶしの駐車場	霾る	春	23.2.10.
523	寒明けて光の中の散歩道	寒明け	春	23.2.10.
524	寒明けて野川を走る鮠の影	寒明け	春	23.2.10.
525	五回目のコロナワクチン射ち立春	立春	春	23.2.10.
526	雲一つ無き蒼天や春立ちぬ	立春	春	23.2.10.
527	かげろふを先触れにしてバス来たる	陽炎	春	23.2.10.
528	かげろふを纏ひ駈け来る下校の子	陽炎	春	23.2.10.
529	お互ひに尻向けてんでの蕨摘み	蕨摘み	春	23.2.10.
530	慣れるほど無言夢中に蕨狩り	藁部狩り	春	23.2.10.
531	山里にまた空家増え田螺鳴く	田螺鳴く	春	23.2.10.
532	山里の日暮れは寂し田螺鳴く	田螺鳴く	春	23.2.10.
533	亀鳴けば山里の日暮れは早し田螺鳴く	田螺鳴く	春	23.2.11.
534	放棄田の増えし用水田螺鳴く	田螺鳴く	春	23.2.11.
535	早梅の開花は近し田螺鳴く	田螺鳴く	春	23.2.11.
536	味噌仕立て田螺汁出る農の宿	田螺汁	春	23.2.11.
537	用水の瀬音に紛れ田螺鳴く	田螺鳴く	春	23.2.11.
538	山里に人の影無し田螺鳴く	田螺鳴く	春	23.2.11.
539	田螺鳴き俳詠みだけが聞き分くる	田螺鳴く	春	23.2.11.
540	山宿やジビエの肉と田螺汁	田螺汁	春	23.2.11.
541	援農で振舞はれたる田螺汁	田螺汁	春	23.2.11.
542	付け爪を外し構へる歌留多取り	歌留多取	新年	23.2.11.
543	上水を口開け泳ぐ春の鯉	春	春	23.2.11.
544	蝋梅に花先駆ける誇りあり	蝋梅	冬	23.2.11.
545	蝋梅に花先駆ける誇り見ゆ	蝋梅	冬	23.2.11.
546	春うららボードレールの詩集手に	春うらら	春	23.2.11.
547	春うららボードレールは似合はぬか	春うらら	春	23.2.11.
548	それぞれの樹名辿りつ梅見かな	梅見	春	23.2.12.
549	一樹ずつ樹名辿りつ梅見かな	梅見	春	23.2.12.
550	春耕の嬉々と走るやトラクター	春耕	春	23.2.12.
551	春耕の畑軽やかにトラクター	春耕	春	23.2.12.
552	春耕の畑の黒土光吸ふ	春耕	春	23.2.12.
553	春耕の畑の黒土整ひぬ	春耕	春	23.2.12.
554	春耕や黒土息を吹き返す	春耕	春	23.2.12.
555	春耕や縦横走るトラクター	春耕	春	23.2.12.
556	雅なる樹名の楽し梅見かな	梅見	春	23.2.12.
557	宝達の山稜優し波朗の忌	波朗忌	春	23.2.12.
558	春雷や拳銃握るヴェルレーヌ	春雷	春	23.2.12.
559	春の雷銃声二発ヴェルレーヌ	春雷	春	23.2.12.
560	ふっくらと鋤き替へされし春の畑	春	春	23.2.12.
561	春泥の径懐かしき昭和かな	春泥	春	23.2.12.
562	日の眩し白き素足の潮干狩	潮干狩	春	23.2.12.
563	だれも皆素足の白き潮干狩	潮干狩	春	23.2.13.
564	舶来の貝ばら撒ひて潮干狩	潮干狩	春	23.2.13.
565	潮干狩白さの目立つ素足かな	潮干狩	春	23.2.13.
566	青き踏み外野を守る草野球	青き踏む	春	23.2.13.
567	建国日部屋駆け回るペキニーズ	建国記念日	春	23.2.13.
568	日の丸を揚げる家あり建国日	建国記念日	春	23.2.13.
569	般若経音吐朗々建国日	建国記念日	春	23.2.13.
570	きな臭きき気配気になる建国日	建国記念日	春	23.2.13.
571	的にはしっと矢の突き刺さる建国日	建国記念日	春	23.2.13.
572	バレンタイン妻に賜るチョコレート	バレンタインデー	春	23.2.13.
573	義理チョコの往き交ふバレンタインの日	バレンタインデー	春	23.2.13.
574	恵方済みけふはバレンタインデー	バレンタインデー	春	23.2.13.
575	バレンタイン最後の一滴堅絞り	バレンタインデー	春	23.2.13.
576	誕生日重なる孫のバレンタイン	バレンタインデー	春	23.2.13.
577	ざる蕎麦をするする食みし建国日	建国記念日	春	23.2.13.
578	亀が鳴く田螺も鳴けり日はうらら	亀鳴く・田螺鳴く	春	23.2.14.
579	鄙の宿地酒が旨し田螺和	田螺和え	春	23.2.14.
580	鄙の宿膳にめずらし田螺和	田螺和え	春	23.2.14.
581	及び腰そろりと這ひし田螺かな	田螺	春	23.2.14.
582	寒戻る母と歌いし早春賦	寒戻る	春	23.2.14.
583	ぽこぽこと土竜饅頭春の土	春	春	23.2.14.
584	料峭や母の小声の早春賦	料峭	春	23.2.14.
585	鳩時計三時告げをり黄水仙	黄水仙	春	23.2.14.
586	公園の一角占めて黄水仙	黄水仙	春	23.2.14.
587	春立ちて大雪情報黄水仙	黄水仙	春	23.2.14.
588	六地蔵供花六本の黄水仙	黄水仙	春	23.2.14.
589	山の宿地酒がすすむ田螺和	黄水仙	春	23.2.14.
590	春立ちて後の列島雪塗（まぶ）し	立春	春	23.2.14.
591	列島を白皚皚に春の雪	春の雪	春	23.2.14.
592	ほぐされて黒瑞々し春の土	春	春	23.2.14.
593	畑一枚鋤きほぐされて土匂ふ	土匂ふ	春	23.2.15.
594	一円玉白く光りし春の土	春の土	春	23.2.15.
595	柔かに鋤きほぐされて春の土	春の土	春	23.2.15.
596	雀らを呼び集めたる春の土	春の土	春	23.2.15.
597	争ひもせず餌食む雀春の土	春の土	春	23.2.15.
598	日の差して薄き湯気立つ春の土	春の土	春	23.2.15.
599	鋤き終えし畑に湯気立つ春の土	春の土	春	23.2.15.
600	鋤き終えし畑黒々と土匂ふ	土匂ふ	春	23.2.15.
601	列島が雪を被りし建国日	建国記念日	春	23.2.15.
602	散歩道場所を変えずに犬ふぐり	犬ふぐり	春	23.2.15.
603	片膝を着きてしみじみ犬ふぐり	犬ふぐり	春	23.2.15.
604	寒明けのはずの列島凍返る	寒明け	春	23.2.15.
605	三年ぶりマスク外して卒業す	卒業	春	23.2.15.
606	マスク取り少し違和感卒業式	卒業式	春	23.2.15.
607	一斉にマスク外して卒業式	卒業式	春	23.2.15.
608	マスクして校歌斉唱卒業式	卒業式	春	23.2.16.
609	マスクした顔思い出に卒業す	卒業	春	23.2.16.
610	古里の川辺懐かし田螺鳴く	田螺鳴く	春	23.2.16.
611	古里の日暮れは寂し田螺鳴く	田螺鳴く	春	23.2.16.
612	田螺和え田螺汁出る峡の宿	田螺和え	春	23.2.16.
613	山宿の膳に載りたる田螺汁	田螺汁	春	23.2.16.
614	山の宿地酒のあては田螺和え	田螺和え	春	23.2.16.
615	山宿や大椀で出る田螺汁	田螺汁	春	23.2.16.
616	湧くやうに増えし田螺やビオトープ	田螺	春	23.2.16.
617	波を切り走るヨットや黄水仙	黄水仙	春	23.2.16.
618	仕舞屋の小さきチャペルや黄水仙	黄水仙	春	23.2.16.
619	玄関先光り集めて黄水仙	黄水仙	春	23.2.16.
620	般若経聞こゆる札所黄水仙	黄水仙	春	23.2.16.
621	淡々と雨に濡れゐる黄水仙	黄水仙	春	23.2.16.
622	ゆっくりと回る水車や黄水仙	黄水仙	春	23.2.16.
623	口開けて餌欲る鯉や黄水仙	黄水仙	春	23.2.17.
624	口開けて群がる鯉や黄水仙	黄水仙	春	23.2.17.
625	春陰や空の低さに首すくむ	春陰	春	23.2.17.
626	春陰や列島昏く沈みたり	春陰	春	23.2.17.
627	日時計の時告ぐ影や料峭忌	料峭忌	春	23.2.17.
628	寿限無から落語の修行春うらら	春うらら	春	23.2.17.
629	寿限無から落語の修行春うらら	春うらら	春	23.2.17.
630	寿限無から入る落研春うらら	春うらら	春	23.2.17.
631	末黒野や放水終えし消防車	末黒野	春	23.2.17.
632	干鱈をあてに辛口茶碗酒	干鱈	春	23.2.17.
633	干鱈を焙りしみじみ独り酒	干鱈	春	23.2.17.
634	炙りたる干鱈を裂きつ独り酒	干鱈	春	23.2.17.
635	食べ上手骨美しき干鰈	干鰈	春	23.2.17.
636	翁にも恥ずかしながら春愁ひ	春愁	春	23.2.17.
637	妻よりも先に逝きたし春愁ひ	春愁	春	23.2.17.
638	老爺だって春の愁ひはありますねん	春愁	春	23.2.18.
639	あの子にはあの子の意地や春愁ひ	春愁	春	23.2.18.
640	八十路をば辿りつなほも春愁ひ	春愁	春	23.2.18.
641	市民農園次々消えて春愁ひ	春愁	春	23.2.18.
642	プーチンに春の愁ひのあるやなし	春愁	春	23.2.18.
643	プーチンに詩心欲しき春愁ひ	春愁	春	23.2.18.
644	魚屋で買へぬ金魚や春愁ひ	春愁	春	23.2.18.
645	青春におまけのごとく春愁ひ	春愁	春	23.2.18.
646	キスマーク付きたるシャツや春愁ひ	春愁	春	23.2.18.
647	青春や春愁と言ふ低気圧	春愁	春	23.2.18.
648	風下で火焔に追はる野焼きかな	野焼	春	23.2.18.
649	般若経ひねもす札所黄水仙	黄水仙	春	23.2.18.
650	菜の花や引っ張りだこの廃食油	菜の花	春	23.2.18.
651	ふっとわが心包みし春思かな	春思	春	23.2.18.
652	わが心鷲掴みせし春思かな	春思	春	23.2.18.
653	不動堂法鼓轟く三月来	三月	春	23.2.19.
654	不動堂法鼓轟く弥生かな	弥生	春	23.2.19.
655	股引を脱ぎてステテコ三月来	三月	春	23.2.19.
656	三月の人入れ替わる団地かな	三月	春	23.2.19.
657	三月や湘南の海きらめきぬ	三月	春	23.2.19.
658	三月や野川を走る鮠の影	三月	春	23.2.19.
659	かるがもの数増す野川三月来	三月	春	23.2.19.
660	よく切れる刺身包丁二月果つ	二月果つ	春	23.2.19.
661	後輩のできる板場や三月来	三月	春	23.2.19.
662	三月や華やぎ見せる生花店	三月	春	23.2.19.
663	三月の畑縦横にトラクター	三月	春	23.2.19.
664	三月や手順変らぬ豆腐店	三月	春	23.2.19.
665	三月の明るき日差し厨窓	三月	春	23.2.19.
666	包丁を許さる板場三月来	三月	春	23.2.19.
667	三月の鐘の音響く札所寺	三月	春	23.2.19.
668	三月やてんでのポーズ百羅漢	三月	春	23.2.20.
669	三月の畑駆け巡るトラクター	三月	春	23.2.20.
670	魚屋で金魚は買へず春愁ひ	春愁	春	23.2.20.
671	啓蟄や土竜饅頭そこかしこ	啓蟄	春	23.2.20.
672	啓蟄や土竜饅頭ジグザグに	啓蟄	春	23.2.20.
673	啓蟄や動線延びる蟻の列	啓蟄	春	23.2.20.
674	啓蟄や結び直せし靴の紐	啓蟄	春	23.2.20.
675	夜の更けて声ひそひそと雛の部屋	雛	春	23.2.20.
676	夜の更けてひそひそ声や雛の部屋	雛	春	23.2.20.
677	夜の更けてひめし声の雛の部屋	雛	春	23.2.20.
678	夜の更けて声をひそめし雛の部屋	雛	春	23.2.20.
679	百年を正座崩さず内裏雛	雛	春	23.2.20.
680	雛段に直立不動こけし雛	雛	春	23.2.20.
681	うち揃ひ立ち並びたるこけし雛	雛	春	23.2.20.
682	目の細き明治生まれの内裏雛	雛	春	23.2.20.
683	年取らぬ雛も百年煤けけり	雛	春	23.2.21.
684	空耳か雛の部屋から小さき声	雛	春	23.2.21.
685	駄菓子屋の軒に今年も吊るし雛	雛	春	23.2.21.
686	古民家の軒にゆらゆら吊るし雛	雛	春	23.2.21.
687	駄菓子屋の軒に今年も吊るし雛	雛	春	23.2.21.
688	古民家の軒にぎやかに吊るし雛	雛	春	23.2.21.
689	駄菓子屋のおばば手作り吊るし雛	雛	春	23.2.21.
690	野焼き果て夕焼空に富士も焦げ	野焼	春	23.2.21.
691	春愁やジェームスディーンが顔上げぬ	春愁	春	23.2.21.
692	春愁やジェームスディーンの星光る	春愁	春	23.2.21.
693	春愁やジェームスディーンとサルミネオ	春愁	春	23.2.21.
694	春愁やジェームスディーンの爆走死	春愁	春春	23.2.21.
695	春愁ひジェームスディーンてふ青春	春愁	春	23.2.21.
696	駆け抜けしジェームスディーン春愁ひ	春愁	春	23.2.21.
697	春愁ひジェームスディーンの居た時代	春愁	春	23.2.21.
698	後頭部薄れし春の愁ひかな	春愁	春	23.2.22.
699	春愁や街から消えたチンドン屋	春愁	春	23.2.22.
700	春愁や昭和懐かしチンドン屋	春愁	春	23.2.22.
701	眼圧を下げる一滴春愁ひ	春愁	春	23.2.22.
702	春愁や結び直した靴の紐	春愁	春	23.2.22.
703	夜の更けてひそひそ声の雛の部屋	雛	春	23.2.22.
704	啓蟄や黒紐延びる蟻の列	啓蟄	春	23.2.22.
705	黙々と独り麦踏む農夫かな	麦踏み	春	23.2.22.
706	腕組みつ農夫黙々麦を踏む	麦踏み	春	23.2.22.
707	近付いて麦踏む二人また離れ	麦踏み	春	23.2.22.
708	近付いて離れて麦を踏む二人	麦踏み	春	23.2.22.
709	麦踏めば遠くに聞こゆ救急車	麦踏み	春	23.2.22.
710	逍遥の哲人のごと麦を踏む	麦踏み	春	23.2.22.
711	スマホ手に麦踏む若き農夫婦	麦踏み	春	23.2.22.
712	料峭や上目遣ひにディーン笑む	料峭	春	23.2.22.
713	名残り雪上目遣ひにディーン笑む	名残り雪	春	23.2.23.
714	夜の更けてひそめし声や雛の部屋	雛	春	23.2.23.
715	三月や声にぎやかに百羅漢	三月	春	23.2.23.
716	三月や雑談はずむ百羅漢	三月	春	23.2.23.
717	ミニ盆栽小鉢に一輪木瓜の花	木瓜の花	春	23.2.23.
718	ミニ盆栽なりにぽっかり木瓜一輪	木瓜の花	春	23.2.23.
719	三月来こころ弾めば樹も歌ふ	三月	春	23.2.23.
720	農用水さざ波聞こゆ弥生かな	弥生	春	23.2.23.
721	どれもみな鼻息荒き木の芽かな	木の芽	春	23.2.23.
722	どの枝も天突く莟紫木蓮	紫木蓮	春	23.2.23.
723	枝先の莟天突く紫木蓮	紫木蓮	春	23.2.23.
724	ワクチンの注射五回目針供養	針供養	春	23.2.23.
725	豆腐には鬼門なりけり針供養	針供養	春	23.2.23.
726	針供養痛ひ目に会ふ豆腐かな	針供養	春	23.2.23.
727	五回目のワクチン射ちて針供養	針供養	春	23.2.23.
728	内裏雛飾る八十路の爺と婆	内裏雛	春	23.2.24.
729	白酒に清酒注ぎ足し雛の宴	雛	春	23.2.24.
730	内裏雛二人だけにし雛の部屋	内裏雛	春	23.2.24.
731	わが身にもワクチン射ちて針供養	針供養	春	23.2.24.
732	三月来スキップしてみる散歩道	三月	春	23.2.24.
733	口開けて餌欲る鯉や涅槃西風	涅槃西風	春	23.2.24.
734	鳩時計時を告げをり涅槃西風	涅槃西風	春	23.2.24.
735	春風や畳替へする子規旧居	春風	春	23.2.24.
736	春風やスキップして来る下校の子	春風	春	23.2.24.
737	春風に背中押されて磴百段	春風	春	23.2.24.
738	春一番神父の帽子吹き飛ばす	春一番	春	23.2.24.
739	切れ込みの子規の机や春一番	春一番	春	23.2.24.
740	春の昼眠気を誘ふ木魚かな	春昼	春	23.2.24.
741	啓蟄や黒きラインの蟻の列	啓蟄	春	23.2.24.
742	啓蟄や庭長々と蟻の列	啓蟄	春	23.2.24.
743	銀ねずの花穂艶やかに猫柳	猫柳	春	23.2.25.
744	野火止の用水覗く猫やなぎ	猫柳	春	23.2.25.
745	猫やなぎ朝露つるり滑り落つ	猫柳	春	23.2.25.
746	銀ねずの花穂のほほけし猫柳	猫柳	春	23.2.25.
747	銀ねずの花穂血走りぬ猫柳	猫柳	春	23.2.25.
748	銀ねずの花穂ほの温し猫柳	猫柳	春	23.2.25.
749	枝折戸を開けてすぐ脇猫やなぎ	猫柳	春	23.2.25.
750	日を浴びてきらめく川面猫やなぎ	猫柳	春	23.2.25.
751	銀ねずの花穂天を指す猫柳	猫柳	春	23.2.25.
752	銀ねずの花穂枝々に猫やなぎ	猫柳	春	23.2.25.
753	用水路くっきりと影猫やなぎ	猫柳	春	23.2.25.
754	銀ねずの花穂が目を惹く猫やなぎ	猫柳	春	23.2.25.
755	切れ込みの子規の机や涅槃西風	涅槃西風	春	23.2.25.
756	山里の日暮れは早し田螺鳴く	田螺鳴く	春	23.2.25.
757	春愁ひ解けし靴の紐結ぶ	春愁い	春	23.2.25.
758	春暁や朝刊を取り深呼吸	春暁	春	23.2.26.
759	春暁や夢から覚めて鳥の声	春暁	春	23.2.26.
760	目借時一場の夢を見終えけり	目借時	春	23.2.26.
761	パソコンを前に夢見し目借時	目借時	春	23.2.26.
762	あら嬉し庭にひょこひょこ蕗の薹	蕗の薹	春	23.2.26.
763	ごみ出しは亭主の仕事ふきのたう	蕗の薹	春	23.2.26.
764	庭採れを蕗味噌にして酒のあて	蕗味噌	春	23.2.26.
765	荒れ庭の息吹き返す蕗の薹	蕗の薹	春	23.2.26.
766	突出しに蕗味噌の出る赤提灯	蕗味噌	春	23.2.26.
767	宿坊や蕗味噌も載る夜の膳	蕗味噌	春	23.2.26.
768	皇居御苑摘む人もなし蕗の薹	蕗の薹	春	23.2.26.
769	般若経一気読みして蕗の薹	蕗の薹	春	23.2.26.
770	ぐらりと揺れ震度３なり蕗の薹	蕗の薹	春	23.2.26.
771	蕗味噌もマヨ和えも出る食事会	蕗味噌	春	23.2.26.
772	蕗の薹掻き揚げで出る夕餉かな	蕗の薹	春	23.2.26.
773	庭隅に見つけて嬉し蕗のたう	蕗の薹	春	23.2.27.
774	花時計針指す辺り蕗の薹	蕗の薹	春	23.2.27.
775	持ってけと農婦のくれし蕗のたう	蕗の薹	春	23.2.27.
776	一掴み農婦のくれし蕗のたう	蕗の薹	春	23.2.27.
777	小流れを跨いだ先に蕗の薹	蕗の薹	春	23.2.27.
778	尊徳像あらそこここに蕗の薹	蕗の薹	春	23.2.27.
779	校庭の尊徳像やふきのたう	蕗の薹	春	23.2.27.
780	小袋の蕗の薹載る直販台	蕗の薹	春	23.2.27.
781	蕗の薹特売と書く直販台	蕗の薹	春	23.2.27.
782	直販台百円で買ふ蕗の薹	蕗の薹	春	23.2.27.
783	勤行の木魚の音や蕗の薹	蕗の薹	春	23.2.27.
784	音高く飛び来るヘリや蕗の薹	蕗の薹	春	23.2.27.
785	ぱたぱたと飛び来るヘリや蕗の薹	蕗の薹	春	23.2.27.
786	手土産は庭で採れたる蕗の薹	蕗の薹	春	23.2.27.
787	ひよつとして褒め言葉かも木瓜の花	木瓜の花	春	23.2.27.
788	嬰児泣ひて喜怒哀楽や草萌ゆる	草萌	春	23.2.28.
789	鳩時計顔出す鳩やクロッカス	クロッカス	春	23.2.28.
790	クロッカス二つ名を持ち秋サフラン	クロッカス	春	23.2.28.
791	クロッカス秋サフランになる不思議	クロッカス	春	23.2.28.
792	花名替へ春クロッカス秋サフラン	クロッカス	春	23.2.28.
793	輪島屋のボクサー団子木瓜の花	木瓜の花	春	23.2.28.
794	クロッカス秋に名を変へサフランに	クロッカス	春	23.2.28.
795	庭採れが蕗味噌で出る夕餉かな	蕗味噌	春	23.2.28.
796	蕗味噌やほろ苦きこと数多あり	蕗味噌	春	23.2.28.
797	蕗味噌をあてにしみじみ独り酒	蕗味噌	春	23.2.28.
798	熱々の飯に蕗味噌載せて食む	蕗味噌	春	23.2.28.
799	蕗味噌を加え倹しき夕餉かな	蕗味噌	春	23.2.28.
800	蕗味噌や家系を辿る趣味は無し	蕗味噌	春	23.2.28.
801	やあやあと庭でわれ呼ぶ蕗の薹	蕗の薹	春	23.2.28.
802	蕗の薹戦争放棄の国に住む	蕗の薹	春	23.2.28.
803	蕗の薹戦争放棄の国ならむ	蕗の薹	春	23.3.1.
804	二ン月や三日も早き店仕舞ひ	二月	春	23.3.1.
805	先駈けの春務め終え二月尽	二月尽	春	23.3.1.
806	始めれば引けぬ戦さや二月尽	二月尽	春	23.3.1.
807	雑木山小鳥受け入れ二月尽	二月尽	春	23.3.1.
808	戦争は意地の張り合ひ二月尽	二月尽	春	23.3.1.
809	テレビ付けただ見の名画二月尽	二月尽	春	23.3.1.
810	魚は氷に人はマスクを付けしまま	魚は氷に上る	春	23.3.1.
811	獺祭や狭き書斎は本の山	獺祭	春	23.3.1.
812	啓蟄や家居のわれも遠を歩き	啓蟄	春	23.3.1.
813	春うらら十年前の著者近影	春うらら	春	23.3.1.
814	鳩時計ぽっぽと鳴りぬ日永かな	日永	春	23.3.1.
815	ずっこんときてばっこんと春おぼろ	春おぼろ	春	23.3.1.
816	鶯やけきょと不慣れな初音なり	鶯	春	23.3.1.
817	けきょけきょとまだぎこちなき初音かな	初音	春	23.3.1.
818	わが狭庭日ごと数増す百千鳥	百千鳥	春	23.3.2.
819	ほのと紅滲ませ狭庭豊後梅	豊後梅	春	23.3.2.
820	のびやかに狭庭に響く初音かな	初音	春	23.3.2.
821	吊り橋や多々良を踏みつ初音聞く	初音	春	23.3.2.
822	鍾乳洞入り口で聴く初音かな	初音	春	23.3.2.
823	鶯の鳴き音みやびに日の出山	鶯	春	23.3.2.
824	百羅漢耳傾ける初音かな	初音	春	23.3.2.
825	逆さ身で其角仕立ての初音かな（鶯の身を逆に初音かな　其角）	初音	春	23.3.2.
826	お出ましの秘仏晴々ご開帳	会長	春	23.3.2.
827	正打ちも逆打ちもゐて遍路宿	遍路宿	春	23.3.2.
828	俳詠みにうつつ抜かさん三鬼の忌	三鬼忌	春	23.3.2.
829	吊り橋に足止めて聴く初音かな	初音	春	23.3.2.
830	直販台百円均一蕗の薹	蕗の薹	春	23.3.2.
831	薄暗き木々の根方や蝮蛇草	初音	春	23.3.2.
832	よくもまあ似も似たるかな蝮蛇草	初音	春	23.3.2.
833	公園の象鼻ぶらぶらと春愁ひ	春愁	春	23.3.3.
834	春風や象の器用な鼻さばき	春風	春	23.3.3.
835	枯れ庭の息吹き返す蕗の薹	蕗の薹	春	23.3.3.
836	池の面を撫でて鯉呼ぶ糸柳	糸柳	春	23.3.3.
837	風呼んで池面と遊ぶ柳かな	柳	春	23.3.3.
838	石神井の池面擽る糸やなぎ	糸柳	春	23.3.3.
839	風そよろ鯉の背を撫ず糸やなぎ	糸柳	春	23.3.3.
840	釣り人と釣り糸垂らす糸やなぎ	糸柳	春	23.3.3.
841	朝礼で勅語聞かさる紀元節	紀元節	春	23.3.3.
842	紀元節朕で始まる勅語かな	紀元節	春	23.3.3.
843	校長の読み上ぐ勅語紀元節	紀元節	春	23.3.3.
844	啓蟄や餌欲る鯉のおらび声	啓蟄	春	23.3.3.
845	啓蟄や物置開けて探し物	啓蟄	春	23.3.3.
846	啓蟄や赤く錆びたる忘れ鍬	啓蟄	春	23.3.3.
847	三月や餌欲る鯉のおらぶ声	三月	春	23.3.3.
848	三月や餌欲る鯉の喉ぼとけ	三月	春	23.3.4.
849	啓蟄やラの音響く音合せ	啓蟄	春	23.3.4.
850	三月やラの音響く音合せ	三月	春	23.3.4.
851	春風やラの音響く音合せ	春風	春	23.3.4.
852	ごみ出しは亭主の仕事二月尽	二月尽	春	23.3.4.
853	三月やスキップで来る下校の子	三月	春	23.3.4.
854	識別はできねど楽し百千鳥	百千鳥	春	23.3.4.
855	次々と鳴き音の変る百千鳥	百千鳥	春	23.3.4.
856	入れ替わり鳴き音競ふや百千鳥	百千鳥	春	23.3.4.
857	順番に鳴き音のリレー百千鳥	百千鳥	春	23.3.4.
858	水鳥に塒許して芦の角	芦の角	春	23.3.4.
859	柔らかに湖岸打つ波芦の角	芦の角	春	23.3.4.
860	水鳥に塒を許すあしの角	芦の角	春	23.3.4.
861	たゆたへる波の育む芦の角	芦の角	春	23.3.4.
862	青雲の気魄清しや芦の角	芦の角	春	23.3.4.
863	青雲の気魄漂ふ芦の角	芦の角	春	23.3.5.
864	芦の角のびのび育つ湖西かな	芦の角	春	23.3.5.
865	空の青纏ひて延びる芦の角	芦の角	春	23.3.5.
866	さざ波の寄せ来る湖岸芦の角	芦の角	春	23.3.5.
867	漁り舟遥かにありて芦の角	芦の角	春	23.3.5.
868	漁り舟浮かぶ淡海や芦の角	芦の角	春	23.3.5.
869	しおまねき腕振る干潟芦の角（谷津干潟にて)	芦の角	春	23.3.5.
870	伸びのびと芽吹き宙指す芦の角	芦の角	春	23.3.5.
871	すつきりと芽吹き宙指す芦の角	芦の角	春	23.3.5.
872	爽やかに芽吹き宙指す芦の角	芦の角	春	23.3.5.
873	さざ波を揺り籠にして芦の角	芦の角	春	23.3.5.
874	コロナ禍の果ては見えねど芦の角	芦の角	春	23.3.5.
875	一斉に鬨の声上ぐ芦の角	芦の角	春	23.3.5.
876	一斉に空指し示す芦の角	芦の角	春	23.3.5.
877	悠然と輪を描く鳶や芦の角	芦の角	春	23.3.5.
878	娘等は初老となりぬ雛飾り	雛飾り	春	23.3.6.
879	内裏雛歳取らぬまま半世紀	内裏雛	春	23.3.6.
880	小物欠け猪口を器に雛あられ	雛あられ	春	23.3.6.
881	晩酌はどぶろくでやる雛の夜	雛	春	23.3.6.
882	甘酒をどぶろくに替え雛の夜	雛	春	23.3.6.
883	止まるもの重なるもあり流し雛	流し雛	春	23.3.6.
884	人形（ひとがた）に目鼻は無くて流し雛	流し雛	春	23.3.6.
885	湧水の水滾々と流し雛	流し雛	春	23.3.6.
886	川下に掬ひ舟待つ雛流し	流し雛	春	23.3.6.
887	回収の舟待つ下手雛流し	流し雛	春	23.3.6.
888	形代に目鼻の無くて雛流し	流し雛	春	23.3.6.
889	イースター準備の一つ彩玉子	イースター	春	23.3.6.
890	イースター準備整ふ彩玉子	イースター	春	23.3.6.
891	ザビエル堂讃美歌流る復活祭	復活祭	春	23.3.6.
892	教会の扉開放イースター	イースター	春	23.3.6.
893	カラフルな玉子囲みてイースター	イースター	春	23.3.7.
894	啓蟄やのた打つ蚯蚓哀れなる	啓蟄	春	23.3.7.
895	啓蟄に飛び出のた打つ蚯蚓かな	啓蟄	春	23.3.7.
896	啓蟄やつられ蚯蚓の死のダンス	啓蟄	春	23.3.7.
897	せせらぎの響き軽やか春の川	春	春	23.3.7.
898	潮干潟腕振り競ふ汐まねき	潮干潟	春	23.3.7.
899	奥飛騨やしみじみ旨し木の芽和	木の芽和	春	23.3.7.
900	青ぬたやせせらぎ聞きつ宿の膳	青ぬた	春	23.3.7.
901	木の芽和へ客一組の山の宿	木の芽和	春	23.3.7.
902	宍道湖や大椀で出る蜆汁	蜆汁	春	23.3.7.
903	魚島を引きずるやうに群れ鴎	魚島	春	23.3.7.
904	瀬戸の海魚島囲む漁船群	魚島	春	23.3.7.
905	瀬戸の海走る魚島群れ鴎	魚島	春	23.3.7.
906	魚島を掬い取りたる漁船群	魚島	春	23.3.7.
907	魚島や大漁旗で帰港せり	魚島	春	23.3.7.
908	魚島や大漁旗の船戻る	魚島	春	23.3.8.
909	鴎群れ魚島告げる瀬戸の海	魚島	春	23.3.8.
910	魚島や吃水深き戻り船	魚島	春	23.3.8.
911	魚島や凪の瀬戸舞ふ群れ鴎	魚島	春	23.3.8.
912	魚島や競ひ駆け寄る漁り船	魚島	春	23.3.8.
913	魚島や瀬戸にひょっこりひょうたん島	魚島	春	23.3.8.
914	魚島を掬ひ取るかに網入るる	魚島	春	23.3.8.
915	土踏まずふつくら優し涅槃像	涅槃像	春	23.3.8.
916	猫やなぎ猫は素知らぬ顔で過ぐ	猫柳	春	23.3.8.
917	ひと葉ごと雨滴らす糸やなぎ	糸柳	春	23.3.8.
918	股引をステテコに替え山笑ふ	山笑ふ	春	23.3.8.
919	山目覚むくしゃみ鼻水杉花粉	杉花粉	春	23.3.8.
920	杉花粉吹き上ぐ風や六地蔵	杉花粉	春	23.3.8.
921	山笑ふしてやったりと笑ひ茸	山笑ふ	春	23.3.8.
922	渓流を走る魚影や山笑ふ	山笑ふ	春	23.3.8.
923	重なりてまた重なりて蜷の道	蜷の道	春	23.3.9.
924	幾重にも重なり合ふて蜷の道	蜷の道	春	23.3.9.
925	どれもみな流れを過る蜷の道	蜷の道	春	23.3.9.
926	ナスカには謎の地上絵蜷の道	蜷の道	春	23.3.9.
927	譲り合ふこともありしか蜷の道	蜷の道	春	23.3.9.
928	燕の巣三つに増えし無人駅	燕	春	23.3.9.
929	燕の巣また一つ増え無人駅	燕	春	23.3.9.
930	寸止めの技鮮やかに若燕	燕	春	23.3.9.
931	雛納め最後に畳む緋毛氈	雛納め	春	23.3.9.
932	雁風呂や師の佇みし能登の浜	雁風呂	春	23.3.9.
933	長命寺詣で直行桜餅	桜餅	春	23.3.9.
934	マスクせし半分の人杉花粉	杉花粉	春	23.春3.9.
935	植林のツケと責めらる杉花粉	杉花粉	春	23.3.9.
936	目に見えぬだけに怖ろし杉花粉	杉花粉	春	23.3.9.
937	野を渡り都会へ向かふ杉花粉	杉花粉	春	23.3.9.
938	深呼吸しかけて止める杉花粉	杉花粉	春	23.3.10.
939	交代で脚立になりて素箱懸け	巣箱	春	23.3.10.
940	交代で肩車して素箱懸け	巣箱	春	23.3.10.
941	肩車巣箱にちょうどいい高さ	巣箱	春	23.3.10.
942	年毎に燕の巣増え無人駅	燕の巣	春	23.3.10.
943	カラフルに廃品仕立て鴉の巣	鴉の巣	春	23.3.10.
944	にぎやかに咲きては落花藪椿	藪椿	春	23.3.10.
945	落椿ぼたりと音のしたやうな	落椿	春	23.3.10.
946	時々は俯き落ちる椿かな	落椿	春	23.3.10.
947	大方は天を仰ぎし落椿	落椿	春	23.3.10.
948	椿園足の踏み場も無き落花	落椿	春	23.3.10.
949	一点の錆なきままに落椿	落椿	春	23.3.10.
950	花びらの端に錆浮く白椿	白椿	春	23.3.10.
951	名残り雪椿の紅を浮き立たせ	椿	春	23.3.10.
952	失恋を形にしたる落椿	落椿	春	23.3.10.
953	銭湯の坪庭やあと藪椿	藪椿	春	23.3.11.
954	水鳥に塒サービス芦の角	足の角	春	23.3.11.
955	熊ン蜂ずしりと重く飛びにけり	熊蜂	春	23.3.11.
956	花びらにずしんと留まる熊ン蜂	熊蜂	春	23.3.11.
957	六脚をだらりと垂らし蜂飛べり	蜂	春	23.3.11.
958	まんさくや石垣反りし江戸城址	まんさく	春	23.3.11.
959	まんさくを馬手に上れば百人番所	まんさく	春	23.3.11.
960	仁王門くぐればゆん手黄水仙	黄水仙	春	23.3.11.
961	本堂に風を通して黄水仙	黄水仙	春	23.3.11.
962	地下足袋の足裏で探る春筍掘り	春筍	春	23.3.11.
963	春筍や足裏で探り掘り進む	春筍	春	23.3.11.
964	潮干狩り獲物隣家にお裾分け	潮干狩り	春	23.3.11.
965	靴下を左右違へて春の街	春	春	23.3.11.
966	彩違ふソックス楽し春の街	春	春	23.3.11.
967	寸止めの技鮮やかに若燕	燕	春	23.3.11.
968	大地染め砺波平野のチューリップ	チューリップ	春	23.3.12.
969	だんだらに砺波平野のチューリップ	チューリップ	春	23.3.12.
970	茶室にはやはり似合はぬチューリップ	チューリップ	春	23.3.12.
971	狭庭には赤き一列チューリップ	チューリップ	春	23.3.12.
972	逆上がり出来て眼に入るチューリップ	チューリップ	春	23.3.12.
973	チューリップくすりと笑ふ気配して	チューリップ	春	23.3.12.
974	幸せと見立てし綾子チューリップ	チューリップ	春	23.3.12.
975	チューリップ咲き揃ひたる山の駅	チューリップ	春	23.3.12.
976	チューリップ富士を遠見のテラスかな	チューリップ	春	23.3.12.
977	卓上に合格祝ふチューリップ	チューリップ	春	23.3.12.
978	チューリップ撫でゆく風の光りをり	チューリップ	春	23.3.12.
979	切られたる花数十三チューリップ	チューリップ	春	23.3.12.
980	生花店仕切る店先チューリップ	チューリップ	春	23.3.13.
981	チューリップ雨に怯まず立ち並ぶ	チューリップ	春	23.3.13.
982	どれもみな背筋伸びたるチューリップ	チューリップ	春	23.3.13.
983	外人墓地チューリップ咲きマリヤ像	チューリップ	春	23.3.13.
984	入間茶と呼ばるる里の茶摘みかな	茶摘み	春	23.3.13.
985	トラクター畑を往き来の茶摘みかな	茶摘み	春	23.3.13.
986	焙炉場の茶の香いただく散歩道	焙炉場	春	23.3.13.
987	春愁や衰へばかり自覚して	春愁	春	23.3.13.
988	春愁に浸れる若さ羨まし	春愁	春	23.3.13.
989	俳句詠むことに縋りて春愁ひ	春愁	春	23.3.13.
990	積み残し多き来し方春愁ひ	春愁	春	23.3.13.
991	春愁ひマスクの下の無精ひげ	春愁	春	23.3.13.
992	春愁ひあるうちはまだ正気かな	春愁	春	23.3.14.
993	好物は禁食ばかり春愁ひ	春愁	春	23.3.14.
994	艶然と少し着崩れ花衣	花衣	春	23.3.14.
995	桜湯や琴の音流る祝膳	桜湯	春	23.3.14.
996	青饅や田螺仕立ての山の宿	青饅	春	23.3.14.
997	青饅のガラス器で出る変り膳	青饅	春	23.3.14.
998	蒸鰈骨美しき食べ上手	蒸鰈	春	23.3.14.
999	炙りたる干鱈を裂きて男酒	干鱈	春	23.3.14.
1000	鶯餅鳴くべきもなく食みにけり	鶯餅	春	23.3.14.


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