鈴童の遊び
一日十句以上を千句詠む

(第7回)

No. 季語 作句日
1 咲き繋なぐ意思あるごとく長春花 長春花 13.3.7.
2 春吹雪娘(こ)を懐に父凍る 春吹雪 13.3.7.
3 娘(こ)を守り凍死せし父春無惨 13.3.7.
4 千句回峰春秋詠んで六千句 13.3.7.
5 啓蟄や千句回峰六回了
(一万句達成まで後4回)
啓蟄 13.3.7.
6 春の野辺弟を焼き骨拾ふ
(終戦の年4月、疎開先の岐阜で)
13.3.7.
7 春の蚊に死病拾ひし幼弟哀し
(弟は脳脊髄膜炎で逝く)
春の蚊 13.3.7.
8 弟よ二歳で逝きし暮の春
(私の誕生日と入れ違うように)
暮の春 13.3.7.
9 幼逝の弟恋し老いの春 13.3.7.
10 木漏れ日の根方に白き三角草(みすみそう)
(都立野川公園自然観察園で)
三角草 13.3.7.
11 三角草紅白離れ咲きにけり 三角草 13.3.8.
12 風光る林地の窪に洲浜草 風光る 13.3.8.
13 湧水に影を映して座禅草
(都立野川公園自然観察園で)
座禅草 13.3.8.
14 影二つまだ小達磨の座禅草 座禅草 13.3.8.
15 声かけに無言で応ふ座禅草 座禅草 13.3.8.
16 水に座し尻の冷たき座禅草 座禅草 13.3.8.
17 どの亀も鳴く間を惜しみ甲羅干 亀鳴く 13.3.8.
18 句を詠むに何程のあり春生まる 13.3.8.
19 五位鷺のひねもす佇立風光る 風光る 13.3.8.
20 五位鷺の定位置にゐて春の川 春の川 13.3.8.
21 五位鷺の瞑想続く春川辺 13.3.9.
22 五位鷺や佇立不動の春日中 13.3.9.
23 蜷の跡いつかナスカの絵と紛ふ 13.3.9.
24 畑仕事倦みて畔地の野蒜摘む 野蒜 13.3.9.
25 畑仕事より楽しきは野蒜摘み 野蒜 13.3.9.
26 散歩道足止め土手の野蒜摘む 野蒜 13.3.9.
27 土手満開野蒜の隣犬ふぐり 野蒜・犬ふぐり 13.3.9.
28 細筆のひらがなの書に野蒜似て 野蒜 13.3.9.
29 やはらかに細き緑や野蒜摘む 野蒜 13.3.9.
30 童らと良寛になり野蒜摘む 野蒜 13.3.9.
31 良寛を気取りて児らと野蒜摘む 野蒜 13.3.10.
32 良寛の気分で児らと野蒜摘む 野蒜 13.3.10.
33 影引いてあそこにここに座禅草 座禅草 13.3.10.
34 そよと吹く風に色あり光あり 風光る 13.3.10.
35 そよと吹く風なめらかに光りをり 風光る 13.3.10.
36 胸騒ぐ恋の岬の風光る 風光る 13.3.10.
37 潮騒や恋の岬の風光る 風光る 13.3.10.
38 胸乳染め騎士待つ乙女風光る 風光る 13.3.10.
39 軽やかにペットボトルの風車 風車 13.3.10.
40 風車回る日だまりヘリの音響く 風車 13.3.10.
41 青天と色分けあいて花菜土手 花菜 13.3.11.
42 魚影走り花菜まぶしい不老川 花菜 13.3.11.
43 とつとつと花菜の土手ゆく翁媼(おうおうな) 花菜 13.3.11.
44 春の日やサロン句会で出す禁句 13.3.11.
45 風車付けてきこきこ三輪車 風車 13.3.11.
46 摘まれても摘まれても出る葱坊主 葱坊主 13.3.11.
47 土筆から杉菜にバトン川の土手 土筆・杉菜 13.3.11.
48 春眠の中で詠みたる名句消ゆ 春眠 13.3.11.
49 猛毒が子孫を守る菜種河豚 菜種河豚 13.3.11.
50 墨までも食われて哀し桜烏賊 桜烏賊 13.3.11.
51 人に墨吐けど空しき桜烏賊 桜烏賊 13.3.12.
52 不覚にも海胆(うに)の針踏む足の裏 海胆 13.3.12.
53 啓蟄やざくりざくりと鍬の音 啓蟄 13.3.12.
54 切り刻み灰擦り込んで薯植うる 薯植う 13.3.12.
55 刻まれて命をふやす薯を植う 薯植う 13.3.12.
56 切面に木灰まぶし薯植うる 薯植う 13.3.12.
57 象の鼻伸びて日永となりにけり 日永 13.3.12.
58 葱の花摘めども摘めど葱坊主 葱の花・葱坊主 13.3.12.
59 葱の花身揺るぎもせで蝶とめる(葱の花・蝶=春) 葱坊主・蝶 13.3.12.
60 笠のごと蝶止まらせし葱坊主 蝶・葱坊主 13.3.12.
61 梅舞ひて池面に浮かぶ江戸小紋 13.3.13.
62 水に座し尻こそばゆき座禅草 座禅草 13.3.13.
63 畑仕事ひと休みして野蒜摘む 野蒜 13.3.13.
64 つば広の日除け帽子が野蒜摘む 野蒜 13.3.13.
65 しなやかに草書のごとき野蒜かな 野蒜 13.3.13.
66 味噌持参野蒜肴の野良の宴 野蒜 13.3.13.
67 湯通しの野蒜肴にキャンプ酒 野蒜 13.3.13.
68 懐の深きを以って座禅草 座禅草 13.3.13.
69 仄暗き懐なりし座禅草 座禅草 13.3.13.
70 煙霧てふ視界断たれぬ黄水仙 黄水仙 13.3.13.
71 スモッグ灯照らす道端の黄水仙 黄水仙 13.3.14.
72 風唸り花こすり合う黄水仙 黄水仙 13.3.14.
73 疾風やてんでに撓(しな)る黄水仙 黄水仙 13.3.14.
74 啓蟄や人も穴から出たりしも 啓蟄 13.3.14.
75 啓蟄や二度と戻らぬ穴深し 啓蟄 13.3.14.
76 啓蟄や出るを躊躇(ためら)ふ虫もをり 啓蟄 13.3.14.
77 啓蟄や穴を出でざる虫もをり 啓蟄 13.3.14.
78 啓蟄や戻り許さぬ門出なり 啓蟄 13.3.14.
79 啓蟄ややがてまた入る黄泉の穴 啓蟄 13.3.14.
80 一泊で行く「いとこ会」鳥曇り 鳥曇 13.3.14.
81 蕉翁の終の大垣鳥曇り 鳥曇 13.3.15.
82 うららかや胸を開きし授乳室 うららか 13.3.15.
83 彦根とは指呼の付合ひ平吉忌
(風俗作家、吉村平吉05.3.6.没。吉村家の墓は彦根藩主、井伊直弼の墓所と同じ世田谷・豪徳寺にある。)
平吉忌 13.3.15.
84 野遊びに背を向ける鷺川の中 野遊 13.3.15.
85 幼子の固く握りしれんげ草 れんげ草 13.3.15.
86 春昼や紅満つる採血管 春昼 13.3.15.
87 どの花も先の焦げたる花水木 華水木 13.3.15.
88 夢に見たあのマドンナや春疾風 春旋風 13.3.15.
89 春はやて黄粉まぶしの首都と吾 春旋風 13.3.15.
90 面壁の尻の冷えたる座禅草 座禅草 13.3.15.
91 懐の深きを見せて座禅草 座禅草 13.3.16.
92 慈母観音胸乳の襞も春めきぬ 春めく 13.3.16.
93 慈母観音胸乳に添ひて春の風 春風 13.3.16.
94 牛蛙覚めて唸りし重低音 牛蛙 13.3.16.
95 牛蛙重低音で唸り初む 牛蛙 13.3.16.
96 牛蛙野面震わせ唸り継ぐ 牛蛙 13.3.16.
97 おどろなるラブコールぜよ牛蛙 牛蛙 13.3.16.
98 悪声がめす痺れさす牛蛙 牛蛙 13.3.16.
99 おどろなる声ぞ妙薬牛蛙 牛蛙 13.3.16.
100 牛蛙ドスを利かせて雌を呼ぶ 牛蛙 13.3.16.
101 牛蛙蹲踞の喉で雌を呼ぶ 牛蛙 13.3.17.
102 細筆の草書と紛ふ野蒜かな 野蒜 13.3.17.
103 両の手に匂ひ纏はせ野蒜摘む 野蒜 13.3.17.
104 鳥曇りわれも旅立つ「いとこ会」 鳥曇 13.3.17.
105 料峭の峠をひゅうと風よぎる 料峭 13.3.17.
106 散り初めし梅の蜜吸ふ四十雀 13.3.17.
107 目借時うつらで詠みし句を忘れ 目借時 13.3.17.
108 佳句詠んだはずが消ゐる目借時 目借時 13.3.17.
109 散る梅の池面に描く江戸小紋 13.3.17.
110 戸袋のことりと鳴りて梅散れり 13.3.17.
111 摘みとれどまた頭出す葱坊主 葱坊主 13.3.18.
112 春の旅日ごろを置いて美濃へゆく 13.3.18.
113 老ひてなほ心浮く旅風光る 風光る 13.3.18.
114 朧月拭へば光る露天風呂
(大垣市静里町の温泉で)
朧月 13.3.18.
115 岐阜城や下天を見せぬ黄砂かな
(斎藤道三・織田信長の山城・岐阜城天守閣に登りて)
黄砂 13.3.18.
116 信長の下天さえぎる黄沙かな 黄沙 13.3.18.
117 しなやかな緑を握り野蒜引く 野蒜 13.3.18.
118 残雪が絣模様に伊吹山
(大垣市西端から養老山地越しに望む)
残雪 13.3.18.
119 つちふるや天守を巡る長良川
(金華山頂の岐阜城天守閣からの眺め)
つちふる 13.3.18.
120 天守から下天望めば霾(よな)ぐもり 霾(よな)ぐもり 13.3.18.
121 信長や金華山頂黄沙来る 黄沙 13.3.19.
122 信長も見たか下天の霾(よな)ぐもり 霾(よな)ぐもり 13.3.19.
123 風光る水門川の芭蕉像
(奥の細道むすびの地、大垣市内を流れる一級河川)
風光る 13.3.19.
124 向ひ風お出でおいでと雪柳 雪柳 13.3.19.
125 風速しお出でおいでと雪柳 雪柳 13.3.19.
126 酒の滝養老の山笑ひ初む
(養老の滝のある養老山地を遠望して)
山笑う 13.3.19.
127 滝は酒養老山地わらひ初む 山笑う 13.3.19.
128 蕉翁と盥舟乗る春の夢
(大垣・水門川名物の盥舟に寄せて)
13.3.19.
129
桜咲く九段の空や鳥曇り 桜・鳥曇り 13.3.19.
130 岐阜城や下天望めば鳥曇り 鳥曇り 13.3.19.
131 ひらがなの草書と紛ふ野蒜摘む 野蒜摘む 13.3.20.
132 白鷺のふわり舞ひ立ちうららけし(大垣・水門川で) うららか 13.3.20.
133 竜天に昇れば列島黄濁し 竜天に昇る 13.3.20.
134 伊吹山なだらな稜線鳥曇り 鳥曇り 13.3.20.
135 しぶき浴び津軽海峡鴨帰る 鴨帰る 13.3.20.
136 腰痛に呻くもならず鳥曇り 鳥曇り 13.3.20.
137 江戸城址いつもの場所に蕗の薹 蕗の薹 13.3.20.
138 犬ふぐり咲く傍らの蕗の薹 蕗の薹 13.3.20.
139 早よ咲けと桜促す花水木 桜・花水木 13.3.20.
140 桜かと近寄り行けば花みずき 桜・花水木 13.3.20.
141 墓地の道連翹咲いて華やげり 連翹 13.3.21.
142 若き葉の緑たしかめ柏散る 柏散る 13.3.21.
143 梟雄(きょうゆう)の構へし天守鳥曇り
(黄沙の日、岐阜城天守閣から長良川を望み詠む)
鳥曇り 13.3.21.
144 梟雄の天守ざらつく黄沙降る 黄沙 13.3.21.
145 つちふるや長良の流れ黄ばみたり つちふる 13.3.21.
146 原発禍草摘む人も減りにけり 草摘む 13.3.21.
147 野遊びや肉焼く煙そこここに 野遊び 13.3.21.
148 ひと時も揺らぎを止めず水草生ふ 水草生ふ 13.3.21.
149 朧三日月手拭ひっかけ露天風呂
(大垣で従弟と温泉に入りしときに)
朧月 13.3.21.
150 寒緋河津追ひ立てるごと吉野咲く
(小金井公園のソメイヨシノこの日5~6分咲きに)
13.3.21.
151 一日で五分が七分とさくら満つ 13.3.22.
152 大島と吉野競ひて咲き急ぐ 13.3.22.
153 染井吉野十日も早くほぼ満開 13.3.22.
154 一枝に紅白競ふ桃の花 桃の花 13.3.22.
155 白花も紅も一枝桃の花 桃の花 13.3.22.
156 木五倍子(きぶし)咲きぞろりぞろりと花穂垂らす 木五倍子 13.3.22.
157 花韮や紫の群れ白の群れ 花韮 13.3.22.
158 二輪草まず一輪の咲き初むる 二輪草 13.3.22.
159 墓参り行きそびれゐて諸葛菜 諸葛菜 13.3.22.
160 諸葛菜咲ける野道を墓参り 諸葛菜 13.3.22.
161 蝶呼びて紫揺れる諸葛菜 蝶・諸葛菜 13.3.23.
162 草むらに烏の豌豆赤信号 豌豆の花 13.3.23.
163 草むらに烏の豌豆紅点じ 豌豆の花 13.3.23.
164 草むらに紫華鬘(むらさきけまん)紛れ咲く 紫華鬘 13.3.23.
165 草むらに紛れるごとく華鬘咲く 紫華鬘 13.3.23.
166 清流に緑ゆだねて水草生ふ 水草生ふ 13.3.23.
167 流水に縺れも見せず水草生ふ 水草生ふ 13.3.23.
168 瀬の音に葉を躍らせて水草生ふ 水草生ふ 13.3.23.
169 咲き急ぎ散るも急ぎし気配なり 13.3.23.
170 咲き急ぎ散り急ぐなよほい桜 13.3.23.
171 咲き急げど散り急ぐなよほいさくら 13.3.24.
172 墨堤にこころ華やぐ花の雲 花の雲 13.3.24.
173 墨堤にこころ浮き立つ花の雲 花の雲 13.3.24.
174 咲き急ぎ早や散り初めしさくらかな 13.3.24.
175 咲いたかと思へばさくら吹雪かな 13.3.24.
176 咲き急ぎてんやわんやの花便り 13.3.24.
177 あわただしさくら吹雪の花見酒 花見酒 13.3.24.
178 降りそそぐさくら吹雪の宴かな 13.3.24.
179 重力の失せれば吾も揚雲雀 揚雲雀 13.3.24.
180
花冷えやひとひらふたひら散り初めて 花冷え 13.3.24.
181 花冷えや車座の輪の縮みたり 花冷え 13.3.25.
182 花冷えやどの車座も背を丸め 花冷え 13.3.25.
183 濃艶に梢を揺らす紫木蓮 紫木蓮 13.3.25.
184 膝崩す年増の風情紫木蓮 紫木蓮 13.3.25.
185 ぼったりと花開きゐる紫木蓮 紫木蓮 13.3.25.
186 ぼったりとやや自堕落に紫木蓮 紫木蓮 13.3.25.
187 紫木蓮仇な姿のお富かな 紫木蓮 13.3.25.
188 着くずれの仇な姿や紫木蓮 紫木蓮 13.3.25.
189 春愁やなんのためある薬指 春愁 13.3.25.
190 薬指不思議なゆびに花の雨 花の雨 13.3.25.
191 神田川花の筏を舫いけり 花筏 13.3.26.
192 暇あれば携帯覗く暮れの春 暮れの春 13.3.26.
193 卒業式袴姿でブーツの娘 卒業式 13.3.26.
194 梅桜満開競ふ山に野に 梅・桜 13.3.26.
195 あら梅ちゃんまあ桜さん鉢合はせ 梅・桜 13.3.26.
196 木五倍子(きぶし)咲きぞろりぞろりと長き花穂 木五倍子 13.3.26.
197 酒啜り蕎麦啜りゐる日永かな 日永 13.3.26.
198 満開がしほたれている春時雨 春時雨 13.3.26.
199 ごろと鳴り後なく終はる春の雷 春雷 13.3.26.
200 ごろとだけ鳴りて終はれり春の雷 春雷 13.3.26.
201 熊ん蜂遠き空来るB29 熊蜂 13.3.27.
202 石神井の淀みを蔽ふ花筏 花筏 13.3.27.
203 花冷えや燗酒売れる茶店かな 花冷え・燗酒 春・冬 13.3.27.
204 ホバリングしつつ花選る熊ん蜂 熊蜂 13.3.27.
205 馬酔木咲く白花もあり紅もあり 馬酔木 13.3.27.
206 馬酔木濡れ一花ずつの雫かな 馬酔木 13.3.27.
207 春灯や老ひにもほのか恋ごころ
(俳句サロン4月兼題:春灯)
春灯 13.3.27.
208 ドラえもんどの子もVの春カメラ
(新宿駅小田急線ホームに置かれたドラえもん像の前で)
13.3.27.
209 ドラえもんどの子もVするツーショット 13.3.27.
210 山吹の盛上りたる黄金色 山吹 13.3.27.
211 山吹の黄花引き立て葉の緑 山吹 13.3.28.
212 花吹雪風の形に降りにけり 花吹雪 13.3.28.
213 花吹雪風の形に舞ひにけり 花吹雪 13.3.28.
214 花吹雪風の姿に降りしきる 花吹雪 13.3.28.
215 車座が楽しんでゐる花吹雪 花吹雪 13.3.28.
216 樹から樹へ子ら駆け回る花吹雪 花吹雪 13.3.28.
217 風の道狭庭の池の花筏 花筏 13.3.28.
218 どこからか狭庭の池の花筏 花筏 13.3.28.
219 風運ぶ狭庭の池の花筏 花筏 13.3.28.
220 風に乗り狭庭の池に花筏 花筏 13.3.28.
221 あらうれし狭庭の池に花筏 花筏 13.3.29.
222 樹はなくも狭庭の池に花筏 花筏 13.3.29.
223 手間暇をかけてたちまち散るさくら 13.3.29.
224 壮大な開花の果ての花吹雪 花吹雪 13.3.29.
225 絢爛を締めくくりをり花の滝 13.3.29.
226 絢爛を締めくくりをり花吹雪 花吹雪 13.3.29.
227 蕎麦食いに寺詣りする深大寺(季語:秋) 蕎麦 13.3.29.
228 たんぽぽやさくら吹雪に逆らはず たんぽぽ 13.3.29.
229 花吹雪花びらの数おそろしき 花吹雪 13.3.29.
230 花吹雪被りつ子らの走り行く 花吹雪 13.3.29.
231 花吹雪子ら仰ぎつつ走りをり 花吹雪 13.3.30.
232 壮大なゼロに帰し行く花吹雪 花吹雪 13.3.30.
233 壮大なゼロに帰らん花吹雪 花吹雪 13.3.30.
234 壮大なゼロに戻るや花吹雪 花吹雪 13.3.30.
235 壮大なゼロに戻らん花吹雪 花吹雪 13.3.30.
236 地に向かふ片栗の花なに問ふや 片栗 13.3.30.
237 さり気なく網目覗かせ貝母咲く 貝母(ばいも) 13.3.30.
238 ひと箸に命束ねて白魚食む 白魚 13.3.30.
239 イスラムの堂宇思はす貝母咲く 貝母 13.3.30.
240 たんぽぽや植物園の花めぐり たんぽぽ 13.3.30.
241 たんぽぽや植物園の花のうち たんぽぽ 13.3.31.
242 片栗の視線大地をにらみをり 片栗 13.3.31.
243 うららかや蕎麦で知らるる深大寺 うららか・蕎麦 春・秋 13.3.31.
244 片栗の視線大地をにらむかな 片栗 13.3.31.
245 片栗の視線大地を凝視せり 片栗 13.3.31.
246 糸桜ゆらりと花枝揺らしけり 糸桜 13.3.31.
247 うららかや指折りてゐる吟行会 うららか 13.3.31.
248 春塵やマスク同士が会釈して 春塵 13.3.31.
249 若芝にボールが転げ子も転げ 若芝 13.3.31.
250 若芝にボール転げて子も転げ 若芝 13.3.31.
251 花韮や六弁の星まき散らし 花韮 13.4.1.
252 花吹雪おそるべき数敷き詰めり 花吹雪 13.4.1.
253 連翹の咲いて華やぐ水車小屋 連翹 13.4.1.
254 片栗の地を凝視して空を見ず 片栗 13.4.1.
255 風任せ自在に撓る雪柳 雪柳 13.4.1.
256 それなりに花吹雪かせて雪柳 雪柳 13.4.1.
257 粉雪になり損ねたか雪柳 雪柳 13.4.1.
258 吹雪なら吾に任せと雪柳 雪柳 13.4.1.
259 地に雪を描いて見せる雪柳 雪柳 13.4.1.
260 雪柳供花となりても撓りおり 雪柳 13.4.1.
261 風呼んで白山吹の頷けり 山吹 13.4.2.
262 春の園電動いすに追い抜かれ 13.4.2.
263 ひょいひょいと風やり過ごす雪柳 雪柳 13.4.2.
264 ひょいひょいと風と遊ぶや雪柳 雪柳 13.4.2.
265 右に揺れ左に揺れる雪柳 雪柳 13.4.2.
266 右フック左フックの雪柳 雪柳 13.4.2.
267 花散りし枝に点々梅坊主 花散る 13.4.2.
268 春時雨濡らす小枝の梅坊主 春時雨 13.4.2.
269 春愁や余命いくばく指呼の間 春愁 13.4.2.
270 春の空舞ふは鳶か大鷹か 春の空 13.4.2.
271 がっしりと枝縦横に更紗木瓜 木瓜の花 13.4.3.
272 虚無僧の姿懐かし貝母咲く
(貝母の別名:編笠百合)
貝母 13.4.3.
273 あら貝母あら片栗と止まる足 貝母・片栗 13.4.3.
274 花の径電動いすに追ひ抜かれ 13.4.3.
275 花吹雪散り敷く数のおそろしき 花吹雪 13.4.3.
276 花びらのやや自堕落に紫木蓮 紫木蓮 13.4.3.
277 うらら日や百花の径の車いす うらら日 13.4.3.
278 花吹雪贅を尽くして散り敷けり 花吹雪 13.4.3.
279 お袋の胎で聞きたる二・二六 13.4.3.
280 たんぽぽの押しかけ許す植物園 たんぽぽ 13.4.3.
281 たんぽぽは勝手に咲いて深大寺 たんぽぽ 13.4.4.
282 たんぽぽの自生咎めず植物園 たんぽぽ 13.4.4.
283 春疾風花一掃の意に満ちて 春疾風 13.4.4.
284 春疾風花一掃の底意見せ 春疾風 13.4.4.
285 花びらを引き剥がし行く春嵐 春嵐 13.4.4.
286 無理矢理に花終らせて春嵐 春嵐 13.4.4.
287 猛々し春の嵐が見得を切る 春嵐 13.4.4.
288 新入生迎へる八重の桜道 13.4.4.
289 慌てずと八重の桜の宴かな 13.4.4.
290 飛花落花吹き溜まりたる潦(にはたづみ) 飛花・落花 13.4.4.
291 花吹雪こびりつかせて潦 花吹雪 13.4.5.
292 桜蘂降る夕暮れの路赤し 桜蘂 13.4.5.
293 春灯と言へど寂寞路地の灯 春灯 13.4.5.
294 春昼やこくりこくりと夢の中 春昼 13.4.5.
295 片貝となりて拾はる桜貝 桜貝 13.4.5.
296 やどかりや転居の数を誇りをり やどかり 13.4.5.
297 海雲(もづく)酢や箸に掬ひて海を食む 海雲 13.4.5.
298 一輪草群れで咲くとも独り花 一輪草 13.4.5.
299 木漏れ日に一人静の花穂不動 一人静 13.4.5.
300 上水の北の川辺に金鳳花 金鳳花 13.4.5.
301 草叢に茎を伸ばして金鳳花 金鳳花 13.4.6.
302 花束のエリカ贈らる老えりか エリカ 13.4.6.
303 お釈迦さま甘茶を被り濡れ鼠 甘茶 13.4.6.
304 釈迦牟尼に注ぐ甘茶は祖母の味 甘茶 13.4.6.
305 るんびにの光を呼びて花まつり 花まつり 13.4.6.
306 鮮やかな色付け卵復活祭 復活祭 13.4.6.
307 春禽の声確かめる電子辞書 春禽 13.4.6.
308 枝の鳥疾風のごとく交りたり 春禽 13.4.6.
309 枝に来て瞬間芸で鳥交る 鳥交る 13.4.6.
310 春草を背と尻につけ立つ二人 春草 13.4.6.
311 古草を引けば緑の芽も交り 古草 13.4.7.
312 山茱萸のぼうと霞める黄金花 山茱萸 13.4.7.
313 山茱萸の明るくけぶる方に行く 山茱萸 13.4.7.
314 山茱萸の黄金の靄に誘はるる 山茱萸 13.4.7.
315 野のすみれ土の色してそよぎけり 13.4.7.
316 野のすみれ場所を選ばぬごとく咲く 13.4.7.
317 いつの世も子らに摘まるる苜蓿(うまごやし) 苜蓿 13.4.7.
318 幼子が嬉々と握りし苜蓿 苜蓿 13.4.7.
319 母子で編む白詰草の花冠 白詰草 13.4.7.
320 少女らの草摘む声や揚雲雀 揚雲雀 13.4.7.
321 少女らの声嬉々として揚雲雀 揚雲雀 13.4.8.
322 草叢に背伸びして咲く金鳳花 金鳳花 13.4.8.
323 新緑や梅も桜も葉を揺らす 新緑 13.4.8.
324 ごみ出しの頬に春風雲なき空 春風 13.4.8.
325 しゃぼん玉幾十百も吹き出せり しゃぼん玉 13.4.8.
326 春日傘無数の蝶が舞ふ絵柄 春日傘 13.4.8.
327 春日傘絵柄の蝶が舞ひにけり 春日傘 13.4.8.
328 身に覚え残して覚める春の夢 春の夢 13.4.8.
329 春の蚊の腕に止まるをそつと吹き 春の蚊 13.4.8.
330 連翹と山吹競ふ花明り 連翹・山吹花明り 13.4.8.
331 風あればいつも跳ねゐる雪柳 雪柳 13.4.9.
332 馬酔木咲きどうだんも咲く散歩道 馬酔木・灯台躑躅 13.4.9.
333 葱坊主首ちょん切るも農作業 葱坊主 13.4.9.
334 春昼やふためき走る母と子と 春昼 13.4.9.
335 蜥蜴出て対角線を過りたり 蜥蜴出る 13.4.9.
336 エンジンの音なめらかに田植すむ(課題詠「田植」) 田植 13.4.9.
337 田植機のたちまち仕上ぐ田一枚 田植 13.4.9.
338 田植機の行き来して済む田植かな 田植 13.4.9.
339 田植機の日がな働く田植かな 田植 13.4.9.
340 田植機の農夫がひとり田植ゑせり 田植 13.4.9.
341 鞦韆をゆらりゆらりと長電話 鞦韆 13.4.10.
342 鞦韆に腰かけ果てぬ長電話 鞦韆 13.4.10.
343 鞦韆に腰揺らせつつ長電話 鞦韆 13.4.10.
344 鞦韆の前に意地悪にはたづみ 鞦韆 13.4.10.
345 ぶらんこの真下に光る潦(にはたづみ) ぶらんこ 13.4.10.
346 嘱目の苦吟の耳に揚雲雀 揚雲雀 13.4.10.
347 法華経と鳴く鶯や深大寺 13.4.10.
348 腰かけて光る風受く白鳳仏 風光る 13.4.10.
349 鶯鳴き読経流るる深大寺 うぐいす 13.4.10.
350 鶯の鳴く音走るや寺の山 13.4.10.
351 独り餌を漁る白鷺風光る 風光る 13.4.11.
352 白鷺の抜き足差し足蝌蚪狙ふ 蝌蚪 13.4.11.
353 吹き寄せの花屑浮かぶ潦(にはたづみ) 花屑 13.4.11.
354 花屑の帯を一筋にはたづみ 花屑 13.4.11.
356 花屑の一筋の帯にはたづみ 花屑 13.4.11.
357 喜寿迎へ心の衣更へをせん(更衣 季語:夏) 更衣 13.4.11.
358 妖艶と書きて八重咲き桜かな 13.4.11.
359 風光る白鳳仏や深大寺 風光る 13.4.11.
360 風光る門前蕎麦屋深大寺 風光る 13.4.11.
361 若葉風蕎麦屋の囲む深大寺 若葉風 13.4.12.
362 鶯の鳴き音の届く深大寺 13.4.12.
363 鶯の鳴き音すがしく深大寺 13.4.12.
364 桜蘂朱色の雨を降らしけり 桜蘂 13.4.12.
365 赤い雨降りしきらせる桜蘂 桜蘂 13.4.12.
367 桜蘂音もなく降る参道坂 桜蘂 13.4.12.
368 桜蘂降り注ぐ道朱に染むる 桜蘂 13.4.12.
369 道を朱に染めて降り積む桜蘂 桜蘂 13.4.12.
370 葉物畑十日来ぬ間に菜の花に
(水菜、白菜、大根、キャベツなど)
菜の花 13.4.12.
371 春眠は野良の仕事の仇なり 春眠 13.4.13.
372 鶯の鳴く音行き交ふ深大寺 13.4.13.
373 鶯啼によしと頷く悟堂像 13.4.13.
374 鶯啼に微笑む髭の悟堂像 13.4.13.
375 葉の上に緑花乗せたる花筏 花筏(植物名) 13.4.13.
376 葉の上に花を咲かせて花筏 花筏(植物名) 13.4.13.
377 花はみな葉の上に咲く花筏 花筏(植物名) 13.4.13.
378 葉の上に疣かとみれば花筏 花筏(植物名) 13.4.13.
379 葉の上の花が虫呼ぶ花筏 花筏(植物名) 13.4.13.
380 囀りのシャワー浴びゐる悟堂像 囀り 13.4.13.
381 梅の実の頬を染め初む葉がくれに 梅の実 13.4.14.
382 花散りて定刻に来る路線バス 花散る 13.4.14.
383 蹲踞の水音かすか四月尽 四月尽 13.4.14.
384 饅頭を桜餅にし句を詠めり 桜餅 13.4.14.
385 風の音余花の花びら飛びにけり 余花 13.4.14.
386 風の音余花の花びら葉の間から 余花 13.4.14.
387 しなやかに長実雛罌粟風に耐ふ 雛罌粟 13.4.14.
388 撓りても長実雛罌粟復元す 雛罌粟 13.4.14.
389 雨戸の音日がな止まずに四月尽 四月尽 13.4.14.
390 ごとごとと雨戸の音や春惜しむ 春惜しむ 13.4.14.
391 ごとごとと雨戸吹く風春惜しむ 春惜しむ 13.4.15.
392 季の替り知つて落花の紫木蓮 紫木蓮 13.4.15.
393 野田藤と申すが正し藤の花 藤の花 13.4.15.
394 花散りて普段に戻る心地せり 花散る 13.4.15.
395 言葉削ぎ仕上げし一句春惜しむ 春惜しむ 13.4.15.
396 ようやくに対咲き揃う二輪草 二輪草 13.4.15.
397 日時計の花色十二春刻む 13.4.15.
398 霾るや戸袋の戸の鳴りやまず 霾る 13.4.15.
399 誕生日余命を思ふ日永かな 日永 13.4.15.
400 黄塵に霞む道来る路線バス 黄塵 13.4.15.
401 雲一つなき大空のよなぼこり よなぼこり 13.4.16.
402 遠き日の卑弥呼も被るよなぼこり よなぼこり 13.4.16.
403 渚にはいつも片貝さくら貝 桜貝 13.4.16.
404 百千鳥聞分けてゐる悟堂像 百千鳥 13.4.16.
405 稚児はみな鼻筋に紅花まつり 花まつり 13.4.16.
406 甘茶くれし老尼には昔名妓なり 甘茶 13.4.16.
407 くろがねの肌艶やかに甘茶仏 甘茶仏 13.4.16.
408 囀りつウルトラドライ鳥交る 囀り 13.4.16.
409 囀りや鳥語解せぬもどかしさ 囀り 13.4.16.
410 囀りや解読する日いつかあり 囀り 13.4.16.
411 囀りや花の名ほどに鳥の名は 囀り 13.4.17.
412 蜜吸ひて囀り交しまた蜜を 囀り 13.4.17.
413 若草の中からぬっと出し鴉 若草 13.4.17.
414 霾天の黄ばみしままに夕焼けり 霾天 13.4.17.
415 霾りて黄粉まぶしの車かな 霾る 13.4.17.
416 夕焼けが橙になるよなぼこり よなぼこり 13.4.17.
417 鷹鳩と化して喜寿てふ祝い受く 鷹鳩と化す 13.4.17.
418 雲なき空すべて上向く松の芯 松の芯 13.4.17.
419 するすると伸びゆくごとき松の芯 松の芯 13.4.17.
420 天空に志告ぐ松の芯 松の芯 13.4.17.
421 ぴかぴかのランドセルの子緑立つ 緑立つ 13.4.18.
422 そびら越すランドセルの子若緑 若緑 13.4.18.
423 白鳳の如来も聴くや百千鳥 百千鳥 13.4.18.
424 石楠花の枝の火焔や深大寺 石楠花 13.4.18.
425 完璧に鳴く鶯や深大寺 13.4.18.
426 湯浴みして花疲れ解きさて一献 花疲れ 13.4.18.
427 羽村堰取水轟々夏めけり 夏めく 13.4.18.
428 天空に大鷹の舞ふ卯月かな 卯月 13.4.18.
429 初夏の空に輪を描き鳶舞ふ 初夏 13.4.18.
430 介山の墓所への道や射干の花 射干の花 13.4.18.
431 エアコンの冷房試す五月来ぬ 五月 13.4.19.
432 多摩川の堤の下に麦の秋 麦秋 13.4.19.
433 黄金色照り映える道麦の秋 麦秋 13.4.19.
434 麦笛を鳴らして見せて鳴りにけり 麦笛 13.4.19.
435 麦笛の鋭き音色二度三度 麦笛 13.4.19.
436 七つの子草笛で吹く爺と孫 草笛 13.4.19.
437 ようやくに対(つい)で咲きゐる二輪草 二輪草 13.4.19.
438 石楠花の花燃え立たせ深大寺 石楠花 13.4.19.
439 天平(でんでえろ)登る山路の山つつじ
(丹波天平の思い出句)
つつじ 13.4.19.
440 新樹光白鳳仏も目を細む(深大寺で) 新樹光 13.4.19.
441 見へ隠れしつつ現る山つつじ つつじ 13.4.20.
442 ざる蕎麦の笊ほつれをり夏隣 夏隣 13.4.20.
443 廃線路森へと消へて夏隣 夏隣 13.4.20.
444 金蠅に覆われしもの動かざる 13.4.20.
445 葉桜の日々濃さを増す緑かな 葉桜 13.4.20.
446 葉桜や堤の茶屋の桜餅
(墨堤の長命寺桜餅)
葉桜・桜餅 13.4.20.
447 牛蛙野太き声の菖蒲園
(季語:蛙=春、菖蒲園=夏)
蛙・菖蒲園 夏・春 13.4.20.
448 菖蒲田や野太き声の牛蛙 菖蒲田・蛙 春・夏 13.4.20.
449 花数を増やす道の端ながみひなげし 雛罌粟 13.4.20.
450 道の端の長実雛罌粟こそ勁草 雛罌粟 13.4.20.
451 たおやかに野の雛罌粟のはびこれり 雛罌粟 13.4.21.
452 なごやかに釈迦の鼻糞お茶の友
(季語:釈迦の鼻糞=春)
釈迦の鼻糞 13.4.21.
453 ありがたく釈迦の花供御(はなくそ)いただけり 釈迦の鼻糞 13.4.21.
454 涅槃会の釈迦の鼻糞(花供曽)京銘菓 釈迦の鼻糞 13.4.21.
455 ぽりぽりと釈迦の鼻糞いただけり 釈迦の鼻糞 13.4.21.
456 兼題に釈迦の鼻糞出る句会 釈迦の鼻糞 13.4.21.
457 兼題の釈迦の鼻糞詠む句会 釈迦の鼻糞 13.4.21.
458 花供曽(はなくそ)が寝釈迦の前に置かれたり 釈迦の鼻糞 13.4.21.
459 京の寺釈迦のはなくそ振る舞へり 釈迦の鼻糞 13.4.21.
460 釈迦牟尼の花供曾を食ぶ涅槃の会 釈迦の鼻糞 13.4.21.
461 釈迦牟尼の花供曾賜ふ涅槃の会
(京都東福寺の涅槃会行事3月14~16日)
釈迦の鼻糞 13.4.22.
462 釈迦牟尼の鼻糞賜ふ東福寺 釈迦の鼻糞 13.4.22.
463 京菓子に釈迦の鼻糞あなをかし 釈迦の鼻糞 13.4.22.
464 地球儀や春の埃のきな臭し 13.4.22.
465 オーガンジー男は着れぬ薄暑かな
(季語:薄暑=夏)
薄暑 13.4.22.
466 木漏れ日に紛れ損なふえびねかな えびね 13.4.22.
467 木漏れ日や飄々としてえびね咲く えびね 13.4.22.
468 白無垢の花の眩しき藪一華 藪一華 13.4.22.
469 海雲(もづく)酢や箸に掬ひて海を食ぶ 海雲(もづく) 13.4.22.
470 枝広げすべて天指す松の芯 松の芯 13.4.22.
471 赤き幹夕日に映えて緑立つ 緑立つ 13.4.23.
472 ランドセル元気に走り緑立つ 緑立つ 13.4.23.
473 ぴかぴかのランドセルの子若みどり 若緑 13.4.23.
474 疾風に枝揺すられて緑立つ 緑立つ 13.4.23.
475 マスクの子マスクしない子新樹光 新樹光 13.4.23.
476 筍やにょきりにょきりと丈伸ばす 13.4.23.
477 わが道と百花の中の竹落葉 竹落葉 13.4.23.
478 風なくてひらりゆらりと竹落葉 竹落葉 13.4.23.
479 ひとつ身に二つの命新樹光 新樹光 13.4.23.
480 二つ身となる日数へつ新樹光 新樹光 13.4.23.
481 ひと葉ふた葉さり気なく舞ふ竹落葉 竹落葉 13.4.24.
482 不条理の殺意を誘ふ蟻の列 13.4.24.
483 不条理の殺意が走る蟻の列 13.4.24.
484 稚児百合や山路の陰に恥じらふて 稚児百合 13.4.24.
485 稚児百合の恥ずかしげに咲く山路かな 稚児百合 13.4.24.
486 稚児百合に出逢えばいつも恥じらふて 稚児百合 13.4.24.
487 恥じらひて稚児百合の花うつむくや 稚児百合 13.4.24.
488 稚児百合のなに恥じらふや山日陰 稚児百合 13.4.24.
489 はしきよし稚児百合二輪咲く山路 稚児百合 13.4.24.
490 はしきよし稚児百合二輪咲きにけり 稚児百合 13.4.24.
491 山路来て稚児百合楚々とはしけやし 稚児百合 13.4.25.
492 竹の秋ときおりばさと葉摺れして 竹の秋 13.4.25.
493 観世音女身を包む夏衣 夏衣 13.4.25.
494 雑木山思ひおもひに夏隣 夏隣 13.4.25.
495 ほつれしは髪か心か春疾風 春疾風 13.4.25.
496 ほつれしは髪も心も春疾風 春疾風 13.4.25.
497 バレ句出る男句会や夏近し 夏近し 13.4.25.
498 見回せばお神酒見つけし春の暮 春の暮 13.4.25.
499 眉寄せる美男阿修羅の春愁ひ 春愁 13.4.25.
500 眉寄せるいけ面阿修羅春愁ひ 春愁 13.4.25.
501 春の夢セピア色してゐたりけり 春の夢 13.4.26.
502 廃線路「まむし注意」の札が増へ 蝮蛇 13.4.26.
503 木苺を摘まみつ歩むトトロの森 木苺 13.4.26.
504 ままごとの主役はやはり蛇苺 蛇苺 13.4.26.
505 蛇の衣のまだ濡れてをり怯むなり 蛇の衣 13.4.26.
506 春の夢覚めて美女の名忘れけり 春の夢 13.4.26.
507 なにもかも美しい春生きてこそ 13.4.26.
508 短か世に言の葉残すいまは春 13.4.26.
509 生きているこのことこそが新樹光 新樹光 13.4.26.
510 観世音胸ふくよかに夏衣 夏衣 13.4.26.
511 夏薔薇となりて咲き継ぐ紅深し 13.4.27.
512 鳥渡る鳥渡見ぬ間に雲の間へ 鳥渡る 13.4.27.
513 花屑となるまで尽くす桜かな 花屑・桜 13.4.27.
514 少国民お国のための蝗採り
(季語:蝗=秋)
13.4.27.
515 ふたりとも日の匂ひさせ麦の笛
(季語:麦笛=夏)
麦笛 13.4.27.
516 新樹光脚をぶらりと白鳳椅像 新樹光 13.4.27.
517 白鳳椅像脚をぶらりと若葉風
(季語:若葉風=夏)
若葉風 13.4.27.
518 色惚け計あれば面白鳥交る 鳥交る 13.4.27.
519 駘蕩の欠けらも見せぬ春疾風(はるはやて) 春疾風 13.4.27.
520 水面から巣立つががんぼ溺るががんぼ
(季語:夏=ががんぼ・蚊とんぼ)
ががんぼ 13.4.27.
521 春北風(はるならひ)トタンを鳴らし居丈高 春北風 13.4.28.
522 噴水を弄びゐる春北風 春北風 13.4.28.
523 田植機で農夫ひとりの田植えかな 田植 13.4.28.
524 桜餅塩漬けの葉の香の仄か 桜餅 13.4.28.
525 桜餅塩漬けの葉の香を食めり 桜餅 13.4.28.
526 桜餅塩漬けの葉の味香る 桜餅 13.4.28.
527 桜餅葉のやわらかに味香る 桜餅 13.4.28.
528 桜湯の花ゆるやかにゆるびたり 桜湯 13.4.28.
529 桜湯の花ゆるびつつ浮きにけり 桜湯 13.4.28.
530 桜湯の花びらゆるぶ祝ひ膳 桜湯 13.4.28.
531 琴の音に桜湯の花ゆるびたり 桜湯 13.4.29.
532 花びらの緩ぶ桜湯いただけり 桜湯 13.4.29.
533 桜湯の花びら緩び香りたり 桜湯 13.4.29.
534 桜湯の花緩ばせて香を嗅げり 桜湯 13.4.29.
535 桜湯の花びらほどけ揺らぎけり 桜湯 13.4.29.
536 桜湯の花びら開きたゆたへり 桜湯 13.4.29.
537 餡ぱんの臍には赤き桜漬 桜漬 13.4.29.
538 老斑の隠す術なく白牡丹 白牡丹 13.4.29.
539 老残のかさね黄ばむや白牡丹 白牡丹 13.4.29.
540 老残を日に暴かれし牡丹かな 牡丹 13.4.29.
541 藪漕げば石楠花の山花の鞭 石楠花 13.4.30.
542 石楠花の花が鞭打つ唐松尾 石楠花 13.4.30.
543 石楠花を藪漕ぐ膝に花の鞭 石楠花 13.4.30.
544 藪漕げば石楠花の山膝を噛む 石楠花 13.4.30.
545 石楠花のお花畑を藪漕げり 石楠花 13.4.30.
546 孫はいま成長痛や若葉風 若葉風 13.4.30.
547 夏めくと風にも色のつきにけり 夏めく 13.4.30.
548 近道の角のいちはつ風よぎる いちはつ(一八) 13.4.30.
549 神池に河骨の花点々と 河骨 13.4.30.
550 河骨の花の灯しや神の池 河骨 13.4.30.
551 鉢の薔薇深紅の陰に蕾見ゆ 薔薇 13.5.1.
552 叡山の僧兵おどろ山法師 山法師 13.5.1.
553 花のなか弁慶もゐて山法師 山法師 13.5.1.
554 叡山の鬨の声なり山法師 山法師 13.5.1.
555 葉陰から鬨の声する山法師 山法師 13.5.1.
556 僧兵は嫌ひと花の山法師 山法師 13.5.1.
557 鳥交るあぶらかだぶらちちんぷい 鳥交る 13.5.1.
558 風ことりことりことりと四月尽 四月尽 13.5.1.
559 風ことり静かにことり四月尽 四月尽 13.5.1.
560 夏場所や蒙古力士で持つ相撲 夏場所 13.5.1.
561 赤い帯黄色い帯で児ら浴衣
「春耕」7月号課題詠(浴衣)
浴衣 13.5.2.
562 乙女らの下駄軽やかに初浴衣 浴衣 13.5.2.
563 裾縺れ転げかけたる浴衣の子 浴衣 13.5.2.
564 浴衣着て渓風涼し山の宿 浴衣 13.5.2.
565 浴衣着て胡坐が似合ふ男酒 浴衣 13.5.2.
566 乙女らの素足清しく初浴衣 浴衣 13.5.2.
567 浴衣着てパスタを食べる乙女どち 浴衣 13.5.2.
568 藍浴衣ぴしりと決めて若女将 浴衣 13.5.2.
569 ブラジャーを外して涼し初浴衣 浴衣 13.5.2.
570 接骨木や群がる花の握り飯 接骨木 13.5.2.
571 卵焼き捩り蒟蒻運動会(季語:運動会=秋) 運動会 13.5.3.
572 無農薬宅急便に蛞蝓も(季語:蛞蝓=夏) 蛞蝓 13.5.3.
573 翁草わが蓬髪に似すぎたり 翁草 13.5.3.
574 一八や雛の雄雌分けるに似 一八 13.5.3.
575 母が子に白詰草の花冠 白詰草 13.5.3.
576 吾にてもメモリアルなる昭和の日 昭和の日 13.5.3.
577 死神が春の女神と立ち話 13.5.3.
578 山寺の魚板ゆらりと四月尽 四月尽 13.5.3.
579 胡麻和えのこごみの緑夏初めり 13.5.3.
580 春昼の鰐口鳴りて寺静か 春昼 13.5.3.
581 乙女らの太腿露わ夏に入る 13.5.4.
582 太腿の露わに並ぶ夏来る 13.5.4.
583 風止まり牡丹崩るる二三片 牡丹 13.5.4.
584 家負はぬゆえに厭はるなめくじら 蛞蝓 13.5.4.
585 総身持て行路をしるすなめくじら 蛞蝓 13.5.4.
586 深大寺夏鶯の経に手を 13.5.4.
587 鶯と僧侶の競ふ諷経(ふぎん)かな 13.5.4.
588 ほうほけきょ諷経の冴える深大寺 13.5.4.
589 ほうほけきょ諷経高らか深大寺 13.5.4.
590 雨戸繰れば風生ぬるく四月尽 四月尽 13.5.4.
591 田植機で独りぼっちの田植ゑかな 田植え 13.5.5.
592 田植機で早やばや上がる田一枚 田植え 13.5.5.
593 サーボといふ髪削ぐ道具夏立ちぬ 立夏 13.5.5.
594 つくつくと茎伸ばし初む茗荷の子
(季語:茗荷の子=夏)
茗荷の子 13.5.5.
595 茗荷の子あそこにここに背伸びして 茗荷の子 13.5.5.
596 地下茎の網目逞し茗荷の子 茗荷の子 13.5.5.
597 洗車するしぶきも温み四月果つ 四月尽 13.5.5.
598 百足虫来る一糸乱れぬ脚さばき 百足虫 13.5.5.
599 げじげじや三十足で逃げ惑ひ げじげじ 13.5.5.
600 フェイントをかけて逃げ行く油虫 油虫 13.5.5.
601 堪忍の袋を切らす夜盗虫 夜盗虫 13.5.6.
602 行きがけの駄賃と蟻に噛まれたり 13.5.6.
603 おぞましき葉裏の数の油虫 油虫 13.5.6.
604 羽蟻の群がり生まれ群がり発つ 羽蟻 13.5.6.
605 孑孑や一万回の浮き沈み 孑孑(ぼうふら) 13.5.6.
606 ががんぼのまぐわひ可笑し必死なり ががんぼ・蚊とんぼ 13.5.6.
607 糠蚊舞ふその同数の心臓も 糠蚊 13.5.6.
608 グリッサンド波打つ足の百足虫かな 百足虫(むかで) 13.5.6.
609 グリッサンド足波打たす百足虫かな 百足虫 13.5.6.
610 己が身の替りなきまま更衣 衣更え・更衣 13.5.6.
611 砂時計残余いくばく衣更ふ 衣更え・更衣 13.5.7.
612 学帽に白布掛けし更衣 衣更え・更衣 13.5.7.
613 衣更へズックを履いて街に出る 衣更え・更衣 13.5.7.
614 更衣ワイシャツとなる私立校 衣更え・更衣 13.5.7.
615 細砂の煌めき踊る清水かな 清水 13.5.7.
616 薫風を水面に乗せて川流る 薫風 13.5.7.
617 妻の指示受けて取り出す鯉幟 鯉幟 13.5.7.
618 青梅の尻ふっくらと紅させり 青梅 13.5.7.
619 綿棒の一本ありてあ・めんぼう 水馬(あめんぼう) 13.5.7.
620 おらが蕎麦音立てて食み杜若 杜若 13.5.7.
621 拾はずにそっと行き過ぐ落し文 落し文 13.5.8.
622 ころころと風の転がす落し文 落し文 13.5.8.
623 想ふ人はよ拾ふてと落し文 落し文 13.5.8.
624 邪魔してはならじと戻す落し文 落し文 13.5.8.
625 そっと置きそっと見守る落し文 落し文 13.5.8.
626 落し文想ひを運ぶ渡し舟 落し文 13.5.8.
627 落し文拾はるを待つ落し主 落し文 13.5.8.
628 それぞれに想ひの宿る落し文 落し文 13.5.8.
629
落し文拾はずして微笑めり 落し文 13.5.8.
630 落し文また落し文想ひ届けよ 落し文 13.5.8.
631 開かずにそっと行き過ぐ落し文 落し文 13.5.9.
632 胡瓜のせロック焼酎五月晴れ 五月晴れ 13.5.9.
633 ご近所かあいさつ返し山法師 山法師の花 13.5.9.
634 川床埋む菜の花眩し岸辺かな 菜の花 13.5.9.
635 ふと見れば白き花呼ぶ山法師 山法師の花 13.5.9.
636 花びらの先尖るよし山法師 山法師の花 13.5.9.
637 花びらの先尖らせて山法師 山法師の花 13.5.9.
638 白花の明日は黄花忍冬 忍冬の花 13.5.9.
639 黄変の花も美しすひかづら 忍冬の花 13.5.9.
640 フェンス越へ地を呑まんとす青き蔦 青蔦 13.5.9.
641 韃靼そば食めば窓辺の鉄線花 鉄線花 13.5.10.
642 山鳩のででぽぽと鳴くみどりの日 みどりの日 13.5.10.
643 老鶯の正調うれし天平(でんでえろ)
(丹波天平の山道で)
老鶯 13.5.10.
644 ざる二枚食み終りたり杜若 杜若 13.5.10.
645 茄子トマト胡瓜を植へて夏立てり 茄子、胡瓜、トマト、立夏 13.5.10.
646 夏の雲誤読誤解も句会かな 夏の雲 13.5.10.
647 夏立ちぬうん蓄で食ふ蕎麦屋かな
(季語:蕎麦は秋を承知で)
立夏 13.5.10.
648 蕎麦啜る音の聞こゆる夏暖簾 暖簾 13.5.10.
649 夏暖簾跳ねあげて入る蕎麦屋酒 夏暖簾 13.5.10.
650 夏暖簾戸隠そばのボッチ盛り
(ボッチ盛り:ひと挟みずつ分け盛りしたざる蕎麦)
夏暖簾 13.5.10.
651 児ら走る雀隠れの牧草地 雀隠れ 13.5.11.
652 児らを追ふ雀隠れの小犬かな 雀隠れ 13.5.11.
653 やわらかき雀隠れに寝てみたり 雀隠れ 13.5.11.
654 ああ無情雀隠れに電気ソー 雀隠れ 13.5.11.
655 姿なし雀がくれに雀たち 雀隠れ 13.5.11.
656 戸隠の蕎麦の心やぼっち盛り 蕎麦 13.5.11.
657 天ぷらの中に見つけし柿若葉 柿若葉 13.5.11.
658 軽やかに食みし天ぷら柿若葉 柿若葉 13.5.11.
659 柿若葉天ぷらで出る山の宿 柿若葉 13.5.11.
660 大でまり潜りて通る畑道 大でまり 13.5.11.
661 大でまりに頭撫でらる畑道 大でまり 13.5.12.
662 大でまりの頭撫でくる畑道 大でまり 13.5.12.
663 夏祭きんたま笛もべーべーと 夏祭 13.5.12.
664 柵越しに切られの与三の芥子坊主
(5月の都薬用植物園で)
芥子坊主 13.5.12.
665 隅田川橋また橋の夏霞 夏霞 13.5.12.
666 夏暖簾そばを待つ間の吟味酒 夏暖簾 13.5.12.
667 白麻の暖簾に替り夏に入る 白暖簾 13.5.12.
668 五月とはものみな背伸びする季節 五月 13.5.12.
669 雀見ぬバードウィーク無住寺 バードウィーク 13.5.12.
670 夕暮れの楊貴妃牡丹浮かぶしみ 牡丹 13.5.12.
671 孑孑や浮沈重ねて飛び立てり 孑孑(ぼうふら) 13.5.13.
672 蛍烏賊すべてが雌と知り食ふや 蛍烏賊 13.5.13.
673 蛍烏賊食む舌先の目玉かな 蛍烏賊 13.5.13.
674 蛍烏賊食めば目玉の固きこと 蛍烏賊 13.5.13.
675 蛍烏賊一網打尽は雌ばかり 蛍烏賊 13.5.13.
676 産卵を終へて捕まる蛍烏賊 蛍烏賊 13.5.13.
677 蛤や流しで気づくカルキ臭 13.5.13.
678 春眠を破られ浅蜊五右衛門に 春眠、浅蜊 13.5.13.
679 桜貝抽斗暮らし早や十年 桜貝 13.5.13.
680 荒磯の怒涛間近に鹿尾菜(ひじき)干す 鹿尾菜(ひじき) 13.5.13.
681 手すさびが本業越へて傘雨の忌
(劇作家・久保田万太郎忌)
傘雨忌 13.5.14.
682 くたばってしまへは可笑し四迷の忌 四迷忌 13.5.14.
683 繭破る前に茹でらる蛹かな 13.5.14.
684 腋毛剃りミニのスカート夏めけり 夏めく 13.5.14.
685 墨堤に鬢つけの香や五月場所 五月場所 13.5.14.
686 里山の木々それぞれの新樹光 新樹 13.5.14.
687 筍も太陽族や土破り 13.5.14.
688 筍の柔らかきこそ竹伸ばす 13.5.14.
689 花海芋紙燭行き交ふ城の奥 花海芋(カラー) 13.5.14.
690 昼咲きの月見草団合唱す 月見草 13.5.14.
691 高速道なぞへに揺れる夾竹桃 夾竹桃 13.5.15.
692 一八の固まりて咲く通学路 一八 13.5.15.
693 一八のひと群れ見ゆる路地の角 一八 13.5.15.
694 一八に菖蒲だっけと過る人 一八 13.5.15.
695 著莪の花夕暮れどきは寂し花 著莪 13.5.15.
696 麦飯はやはり定番とろろ汁 とろろ汁 13.5.15.
697 自転車を倒し麦笛吹く少年 麦笛 13.5.15.
698 土手なぞへ麦笛吹けりハイトーン 麦笛 13.5.15.
699 麦秋の畑一枚に作る意志 麦秋 13.5.15.
700 袋掛けときどき首をぽきぽきと 袋掛け 13.5.15.
701 薫風が疾風となりて梅樹折る 薫風 13.5.16.
702 自句自解屁理屈もあり南吹く 南吹く 13.5.16.
703 自句自解言い訳楽し南吹く 南吹く 13.5.16.
704 自句自解屁理屈楽し南吹く 南吹く 13.5.16.
705 鯉降りて矢車だけが回りをり
矢車 13.5.16.
706 薫風のはずが居残り春疾風 薫風・春疾風 13.5.16.
707 金無垢の畑一枚や麦の秋 麦秋 13.5.16.
708 金無垢の畑照り返す麦の秋 麦秋 13.5.16.
709 金無垢の畑眩しき麦の秋 麦秋 13.5.16.
710 金無垢の豊穣見せて麦の秋 麦秋 13.5.16.
711 緑なす中に黄金の麦の秋 麦秋 13.5.17.
712 老人の吹く麦笛のハイトーン 麦笛 13.5.17.
713 4日目もまだ泳がさる鯉幟 鯉幟 13.5.17.
714 節句すぎ泳ぎ疲れの鯉幟 鯉幟 13.5.17.
715 節句すぎ矢車だけの回る音 矢車 13.5.17.
716 道の駅ひと束買ひし夏蕨 夏蕨 13.5.17.
717 急ぎ足下る山道提灯花 提灯花(蛍袋) 13.5.17.
718 堀埋めし布袋葵や湯築城 布袋葵 13.5.17.
719 水面覆ふ布袋葵や城址堀 布袋葵 13.5.17.
720 漱石も浴衣姿で道後の湯 浴衣 13.5.17.
721 道後の湯春宵一刻山頭火 春宵 13.5.18.
722 ジャスミンに馥郁越えて噎せゐたり ジャスミン 13.5.18.
723 茉莉花の咲く庭に立ち噎せるなり 茉莉花 13.5.18.
724 ジャスミンの香に仕切られし狭庭かな ジャスミン 13.5.18.
725 麦秋にひなとも日向臭きかな 麦秋 13.5.18.
726 ジャスミン咲き夜ごと狭庭のフラメンコ ジャスミン 13.5.18.
727 茉莉花の香をまとひ立つ貴妃の庭 茉莉花 13.5.18.
728 ジャスミンの香の噎せかえる貴妃の閨(ねや) ジャスミン 13.5.18.
729 ひかがみの笑窪が踊る夏来る 夏来る 13.5.18.
730 膕(ひかがみ)の笑窪踊らせ夏来たり 夏来る 13.5.18.
731 乙女らの膕踊る夏来る 夏来る 13.5.19.
732 ひかがみが弾んで行けり夏の雲 夏の雲 13.5.19.
733 深大寺夏鶯(かおう)の経に合掌す 夏鶯 13.5.19.
734 近寄れば牡丹のしみの浮かび初む 牡丹 13.5.19.
735 ぼうたんの華やぎ哀し花のしみ 牡丹 13.5.19.
736 花芯濡れ密吸ふ虫を待つ牡丹 牡丹 13.5.19.
737 下駄の音ことこと鳴らし初浴衣 浴衣 13.5.19.
738 噴水の気まぐれ誘ふつむじ風 噴水 13.5.19.
739 噴水を共犯にするつむじ風 噴水 13.5.19.
740 噴水の不意の飛沫やつむじ風 噴水 13.5.19.
741 ががんぼの脚捨つれども戦はず ががんぼ 13.5.20.
742 ががんぼは従容として命捨つ ががんぼ 13.5.20.
743 ががんぼは命惜しまぬ平和主義 ががんぼ 13.5.20.
744 ががんぼや身捨つるほどの平和主義 ががんぼ 13.5.20.
745 ぼうふらを脅せばこぞり沈みたり ぼうふら 13.5.20.
746 奇っ怪と言へば奇っ怪敦盛草 敦盛草 13.5.20.
747 変な花子供指さす敦盛草 敦盛草 13.5.20.
748 雨粒の母衣(ほろ)走りゆく敦盛草 敦盛草 13.5.20.
749 摘む人のない姫女苑咲き乱れ 姫女苑 13.5.20.
750 手折る人なきままに咲き姫女苑 姫女苑 13.5.20.
751 雑草と呼ばれ抜かるる姫女苑 姫女苑 13.5.21.
752 雑草も活けて華やぐ姫女苑 姫女苑 13.5.21.
753 六弁の花開き切り鉄線花 鉄線花 13.5.21.
754 固まりて畑道に咲く野蒜かな 野蒜の花 13.5.21.
755 上向ひて高きに咲けり朴の花 朴の花 13.5.21.
756 かんばせは見せじと高き朴の花 朴の花 13.5.21.
757 田植機や人声もなく田一枚
(四国の旅)
田植え 13.5.21.
758 田一枚ごとに田植機動きけり 田植え 13.5.21.
759 珍しや蓮華広がる田一枚 蓮華 13.5.21.
760 老ひてなお燃へるものあり夏帽子 夏帽子 13.5.21.
761 人の手を経ずに整ふ田植かな 田植え 13.5.22.
762 田植機に一箱残る余苗 余苗(あまりなえ) 13.5.22.
763 節句すぎへたれて泳ぐ鯉幟 鯉幟 13.5.22.
764 前神寺光透かせし若楓
(第64番札所前神寺で)
若楓 13.5.22.
765 青蛙カメラに向きを変へにけり
(前神寺で)
青蛙 13.5.22.
766 前神寺なにを企む青蛙 青蛙 13.5.22.
767 青蛙あの葉この葉に三四匹 青蛙 13.5.22.
768 森閑がそのまま涼し前神寺 涼しい 13.5.22.
769 葉の裏に時止まりたる蝸牛 蝸牛 13.5.22.
770 万緑の一山すべてご神
(石鎚山)
万緑 13.5.22.
771 青蛙金の縁取り黒目玉 青蛙 13.5.23.
772 一八の寄り添ひてをり前神寺 一八 13.5.23.
773 懐石の最後を締める豆ご飯 豆ご飯 13.5.23.
774 黄金の平野に満てる麦の秋 麦秋 13.5.23.
775 淡紅の蝶かとげんのしょうこかな げんのしょうこ 13.5.23.
776 日陰なき参道よぎる蜥蜴かな 蜥蜴 13.5.23.
777 瑠璃色を見せて蜥蜴の走り行く 蜥蜴 13.5.23.
778 前神寺上る石段青蜥蜴 蜥蜴 13.5.23.
779 石鎚山柏手打てば夏の雲 夏雲 13.5.23.
780 身を清む滝の水音揚羽蝶
(第64番札所前神寺で)
揚羽蝶 13.5.23.
781 禊する滝の水音揚羽蝶
(前神寺で)
揚羽蝶 13.5.24.
782 鹿島には武蔵鐙や夏霞 夏霞 13.5.24.
783 鹿の子のふわりと立てる急斜面
(伊予北条の鹿島で)
鹿の子 13.5.24.
784 初夏の海乳房のごとく伊予二見
(伊予北条の鹿島で)
初夏 13.5.24.
785 初夏の瀬戸海風に乗る波の音 初夏 13.5.24.
786 初夏のきらめく中をコンテナ船 初夏 13.5.24.
787 瀬戸の島メガネ拭えへど夏霞 夏霞 13.5.24.
788 島影にまた島の影瀬戸の夏 13.5.24.
789 紫陽花の葉ごとに蹲踞青蛙 紫陽花・青蛙 13.5.24.
790 代田あり植田もありて水光る 代田・植田 13.5.24.
791 ご神体石鎚山も滴れり 山滴る 13.5.25.
792 失せものを探すがごとく揚羽蝶 揚羽蝶 13.5.25.
793 木漏れ日に儚き影や揚羽蝶
(伊予北条の鹿島で)
揚羽蝶 13.5.25.
794 山門に阿吽の天狗濃紫陽花
(石鎚神社で)
紫陽花 13.5.25.
795 花うばら白きに触れて指にとげ 花茨 13.5.25.
796 片蔭を傘差す人と歩みたり 片蔭 13.5.25.
797 行く人も来る人もみな片かげり 片かげり 13.5.25.
798 少年の汗に混じりし草いきれ 草いきれ 13.5.25.
799 草いきれ持ち帰り行く野球の子 草いきれ 13.5.25.
800 青蛙地に降り立てば地の色に 青蛙 13.5.25.
801 葉に乗れば青蛙となりし雨蛙 青蛙・雨蛙 13.5.26.
802 子規の見た海辺に立ちて夏の雲 夏雲 13.5.26.
803 カラフルなすててこを穿く女たち すててこ 13.5.26.
804 すててこをついに女も穿く時代 すててこ 13.5.26.
805 すててこを表着にして女性ゆく すててこ 13.5.26.
806 すててこを女が穿けば夏衣 すててこ 13.5.26.
807 すててこで胡坐も似合ふ女高生 すててこ 13.5.26.
808 すててこをファッションにして女ゆく すててこ 13.5.26.
809 走りきてはたと止まりし蜥蜴かな 蜥蜴 13.5.26.
810 山上の天守を染める若葉かな(松山城で) 若葉 13.5.26.
811 山上の天守吹き上ぐ若葉風
(松山城で)
若葉風 13.5.27.
812 万緑や一山すべてご神体
(石鎚山)
万緑 13.5.27.
813 木漏れ日の陰に鹿の子立ち尽くす
(伊予北条鹿島)
鹿の子 13.5.27.
814 雄鹿のようやくY字袋角
(鹿島
)
袋角 13.5.27.
815 昼顔のしめやかに咲く真昼かな 昼顔 13.5.27.
816 葉桜のトンネル抜ける風軽ろし 葉桜 13.5.27.
817 どれ一つ下を向かずに松の芯 松の芯 13.5.27.
818 蠅取りのリボン揺れゐる無人駅 蠅取りリボン 13.5.27.
819 蠅取りのリボンの下がる無人駅 蠅取りリボン 13.5.27.
820 お遍路のひとり降り立つ無人駅
(季語:遍路=春)
遍路 13.5.27.
821 麦秋の光にむせる無人駅 麦秋 13.5.28.
822 決断のかわせみ水面突き刺せり かわせみ 13.5.28.
823 一直線かわせみ池面突き刺せり かわせみ 13.5.28.
824 翡翠の一矢となりて漁(すなど)れり 翡翠 13.5.28.
825 翡翠の凝視果てたる瞬時かな 翡翠 13.5.28.
826 翡翠の漁る瞬時迷ひなし 翡翠 13.5.28.
827 翡翠の漁り見むと糸を垂れ 翡翠 13.5.28.
828 葭切の声静まりて月のぼる 葭切 13.5.28.
829 青蛙地に降り立てば地の色に 青蛙 13.5.28.
830 鳥の声途絶え卯の花腐(くた)しかな 卯の花腐し 13.5.28.
831 鐘の音の重く卯の花腐しかな 卯の花腐し 13.5.29.
832 瀬戸の海けぶる卯の花腐しかな 卯の花腐し 13.5.29.
833 雉鳩も鳴かず卯の花腐しかな 卯の花腐し 13.5.29.
834 両端のはみ出しうれし穴子丼 穴子 13.5.29.
835 初鰹刺身と叩き並びけり 初鰹 13.5.29.
836 刺身よし叩きもよしと初鰹 初鰹 13.5.29.
837 初鰹宿坊で食む土佐造り 初鰹 13.5.29.
838 畑仕事麦藁帽の季が来たり 麦藁帽 13.5.29.
839 利休梅足止め見上ぐ屋敷庭 利休梅 13.5.29.
840 甲高い音色懐かし麦の笛 麦笛 13.5.29.
841 今宵また口角泡の飛ぶビール ビール 13.5.30.
842 たんぽぽの咲くに任せる汚染の田 たんぽぽ 13.5.30.
843 忘るなとたんぽぽ咲き添ふ汚染田 たんぽぽ 13.5.30.
844 たんぽぽの忘るなと咲く汚染田 たんぽぽ 13.5.30.
845 たんぽぽの黄花広がる汚染畑 たんぽぽ 13.5.30.
846 たんぽぽの黄花が哀し汚染畑 たんぽぽ 13.5.30.
847 麦秋の黄金を分ける単線路
(予讃線)
麦秋 13.5.30.
848 初夏の瀬戸動くともなくコンテナ船 初夏 13.5.30.
849 小満や水引く田あり捨て田あり
(小満=24節気21日)
小満 13.5.30.
850 郭公の声こだまする杣の道 郭公 13.5.30.
851 蜷歩む昨日の道を気にもせず
(季語:蜷=春)
13.5.31.
852 アマリリス突如茎伸び花三輪 アマリリス 13.5.31.
853 花の散る儚さ知らぬ夏薊 夏薊 13.5.31.
854 揚羽蝶飛び立つ武蔵鐙かな(伊予北条の鹿島で) 揚羽蝶 13.5.31.
855 鹿の糞こぼるる道の草いきれ(伊予北条の鹿島で) 草いきれ 13.5.31.
856 立浪草招く札所の坂の道(64番札所前神寺で) 立浪草 13.5.31.
857 人影の見へぬ里道草いきれ 草いきれ 13.5.31.
858 草いきれ犬が飛び出し吠へにけり 草いきれ 13.5.31.
859 片蔭を歩めば香る花蜜柑 草いきれ 13.5.31.
860 里道に入りて包まる草いきれ 草いきれ 13.5.31.
861 屋根瓦光る集落草いきれ 草いきれ 13.6.1.
862 六三四(むさし)の塔三社祭の高見かな(スカイツリー634m) 三社祭 13.6.1.
863 鹿の子や木陰に母の眼がふたつ 鹿の子 13.6.1.
864 袋角まずは二つに岐れけり 袋角 13.6.1.
865 道の駅みごとに碧き夏蕨 夏蕨 13.6.1.
866 てんでんに句碑並び立つ初夏鹿島(伊予北条の鹿島で) 初夏 13.6.1.
867 初夏鹿島句碑を数へて島めぐり(伊予北条の鹿島で) 初夏 13.6.1.
868 ごきぶりを逃がし叱らる亭主かな ごきぶり 13.6.1.
869 ごきぶりに形相必殺妻の顔 ごきぶり 13.6.1.
870 薄命のさぼてんの花けふひと日 さぼてんの花 13.6.1.
871 灯台の灯しのごとくアマリリス アマリリス 13.6.2.
872 三方へ灯しを送るアマリリス アマリリス 13.6.2.
873 茎太く頭花頼もしアマリリス アマリリス 13.6.2.
874 茎太く頭花差し上げアマリリス アマリリス 13.6.2.
875 稚児ユリの恥じらいてゐる山日陰 稚児百合 13.6.2.
876 若葉風入れてうつらうつらかな 若葉風 13.6.2.
877 ほのと紅浮かべて咲けりさぼてん花 さぼてんの花 13.6.2.
878 筍の皮の梅干しゃぶりし日 13.6.2.
879 鉄線花楷書のごとき花開く 鉄線花 13.6.2.
880 毅然たる姿がうれし鉄線花 鉄線花 13.6.2.
881 一筋を通して咲けり鉄線花 鉄線花 13.6.3.
882 いさぎよく花広げたる鉄線花 鉄線花 13.6.3.
883 鉄柵の二重に囲ふ芥子の花
(都薬用植物園で)
芥子の花 13.6.3.
884 枇杷の実の一つ一つに袋掛(瀬戸内海の島で)
袋掛 13.6.3.
885 串刺しの熱き山女を食みし幸 山女 13.6.3.
886 虹鱒に塩なすり付け焼く親爺 虹鱒 13.6.3.
887 麦の穂の道を日傘の女(ひと)の影 麦の穂・日傘 13.6.3.
888 萎れ花交へあやめの濃紫 あやめ 13.6.3.
889 じゃがいもの花に誘はれ茄子も咲く
(じゃがいもも茄子もナス科ナス属)
馬鈴薯の花・茄子の花 13.6.3.
890 ままごとに使へば楽し蛇苺 蛇苺 13.6.3.
891 ままごとの主役務める蛇苺 蛇苺 13.6.4.
892 ままごとの主役はやはり蛇苺 蛇苺 13.6.4.
893 蛇の衣脱ぎ捨てられて枝の股 蛇の衣 13.6.4.
894 手も足もなくて自在と走る蛇 13.6.4.
895 麦秋の人影のない道でキス 麦秋 13.6.4.
896 蝮屋の小骨の多きハンバーグ 13.6.4.
897 布袋葵水面を覆ふ城址濠 布袋葵 13.6.4.
898 若葉風坊っちゃん列車で行く道後 若葉風 13.6.4.
899 窓開けて坊っちゃん列車若葉風 若葉風 13.6.4.
890 ピーポーと坊っちゃん列車新樹光 新樹光 13.6.4.
891 夏霞む金波銀波や瀬戸の海 夏霞 13.6.5.
892 万緑や松山城の天守閣 万緑 13.6.5.
893 団子食ふ漱石のひげ若葉風 若葉風 13.6.5.
894 白地着て愚陀仏庵の句会かな 白地・白絣 13.6.5.
895 若葉風坊っちゃん団子旅土産 若葉風 13.6.5.
896 雉鳩の雌よぶ声や五月尽 五月尽 13.6.5.
897 茎太く大輪三花アマリリス アマリリス 13.6.5.
898 樟若葉佇立不動の親子鹿
(北条鹿島で)
樟若葉 13.6.5.
899 滴りの禊(みそぎ)の岩に貼り賽銭
(64番札所前神寺で)
滴り 13.6.5.
900 岩清水届くかぎりの貼り賽銭
(64番札所前神寺で)
岩清水 13.6.5.
901 葉柳や恋の一文字見へ隠れ 葉柳 13.6.6.
902 散松葉鹿島の鹿が踏みにけり 散松葉 13.6.6.
903 緑雨かと足元見れば散松葉 散松葉 13.6.6.
904 さらさらと緑の雨や松落葉 松落葉 13.6.6.
905 垣根道衝羽根空木続きけり 空木の花・卯の花 13.6.6.
906 青桐に傘のマークと二人の名 青桐 13.6.6.
907 遠目には紫煙たなびく花樗(あふち) 花樗(あふち) 13.6.6.
908 散歩道頭上げればえごの花 えごの花 13.6.6.
909 花柄下げ咲き揃ひたるえご白し えごの花 13.6.6.
910 白無垢の花嫁姿えごの花 えごの花 13.6.6.
911 水中花木のくせを知る職人技(わざ) 水中花 13.6.7.
912 流れ行く落葉の蟻や大あわて 13.6.7.
913 晩酌といふほどもなし缶ビール ビール 13.6.7.
914 自句自解こじつけ楽しビヤホール ビヤホール 13.6.7.
915 近頃は絶滅危惧種金魚売り 金魚売り 13.6.7.
916 捕虫網持ちて遊ぶ児いまいずこ 捕虫網 13.6.7.
917 端居せし縁先持たぬ家にゐる 端居 13.6.7.
918 乙女らは生足と呼ぶ素足来る 素足 13.6.7.
919 並ぶ句碑ふむと首振る子鹿かな 鹿 13.6.7.
920 昼寝より覚めて夢見の悪きこと 昼寝 13.6.7.
921 昼寝より覚めて戻れぬ夢の中 昼寝覚 13.6.8.
922 昼寝して違ふ娑婆での大苦労 昼寝 13.6.8.
923 守宮(やもり)ゐる牛皮のごとき肌をして 守宮 13.6.8.
924 控え目に親代々の守宮かな 守宮 13.6.8.
925 川の面を抜き手を切って蛇渡る 13.6.8.
926 無手勝で天地違へず蛇泳ぐ 13.6.8.
927 ほーほーと去りし連れ呼ぶ青葉木菟(あおばずく) 青葉木菟 13.6.8.
928 独り居の夜を寂しめる青葉木菟 青葉木菟 13.6.8.
929 鴉の子早や小賢しき面構へ 鴉の子 13.6.8.
930 かるの子の一列になり親を追ふ 軽鴨の子 13.6.8.
931 青鷺の居場所はいつも太い杭 青鷺 13.6.9.
932 無人駅改札過る夏燕 夏燕 13.6.9.
933 畑作業背を弓なりに夏燕 夏燕 13.6.9.
934 火鉢池めだか目ざとく泳ぐ首夏 首夏 13.6.9.
935 夏めきて乳房の谷に汗光る 夏めく 13.6.9.
936 唇(くち)合はせ胸あはせたる薄暑かな 薄暑 13.6.9.
937 さぼてんの花咲き花芯誘(いざな)へり さぼてんの花 13.6.9.
938 麦秋の黄金目眩むゴッホかな 麦秋 13.6.9.
939 黄金の地上絵描く麦の秋 麦秋 13.6.9.
940 身を包む衣捨て去る夏逢瀬 13.6.9.
941 照り付ける日輪たしか麦の秋 麦秋 13.6.10.
942 道の端に咲く昼顔の風に揺る 昼顔 13.6.10.
943 道の端に咲く昼顔や犬の尿(しと) 昼顔 13.6.10.
944 燃へる木の爆ぜる音する薪能 薪能 13.6.10.
945 月影と競ふ火の影薪能 薪能 13.6.10.
946 ざわめきの静寂(しじま)となりて薪能 薪能 13.6.10.
947 鴫焼で飯食ふ僧の作務衣かな 鴫焼 13.6.10.
948 青竹の杯涼やかに冷し酒 冷し酒 13.6.10.
949 華麗なる一日で逝く花さぼてん さぼてんの花 13.6.10.
950 叙勲者の家に続々胡蝶蘭 胡蝶蘭 13.6.10.
951 血のしぶき想はせて咲く凌霄花 凌霄花 13.6.11.
952 宝鐸草花揺するほど風吹かず 凌霄花 13.6.11.
953 破れ傘柄さきに花の咲きにけり 破れ傘 13.6.11.
954 破れても後に花咲く破れ傘 破れ傘 13.6.11.
955 年・月・今日の夏のれん(ひばりが丘蕎麦店「ほしの」で) 夏のれん 13.6.11.
956 延々と茂みの道や上水路 茂る 13.6.11.
957 新緑の径(みち)新緑の風走る 新緑 13.6.11.
958 緑さす隧道なりし上水路 緑さす 13.6.11.
959 木漏れ日や行き交う人に緑さす 緑さす 13.6.11.
960 堂宇みな茂りの中に静まるる(64番札所前神寺で) 茂る 13.6.11.
961 草むせる松の廊下や夏燕(皇居東御苑で) 緑さす 13.6.12.
962 天守台ひょいと越え行く夏燕(皇居東御苑で) 緑さす 13.6.12.
963 花号を読みつつ巡る菖蒲園(東御苑二の丸公園で) 菖蒲園 13.6.12.
964 銀やんま二の丸の池初飛翔(東御苑二の丸公園で) 蜻蛉生る 13.6.12.
965 二の丸で世継ぎも見たり花菖蒲(東御苑二の丸公園で) 花菖蒲 13.6.12.
966 額の花雲をいざない雨となす 額の花・額紫陽花 13.6.12.
967 梅の実の取ってくれよと葉を揺すり 梅の実 13.6.12.
968 心太突きを抜け出て心太 心太 13.6.12.
969 心太辛子のつんと鼻を抜け 心太 13.6.12.
970 蜜豆にやあ兄弟と心太 心太 13.6.12.
971 澄子の句読んでふむふむ梅雨の入り 梅雨入り 13.6.13.
972 季蹴散らし想いのままに澄子の句 13.6.13.
973 梅雨入りの雲を尻目に茄子に水 梅雨入り・茄子 13.6.13.
974 もう掻かぬと頭を掻く梅雨の入り 梅雨入り 13.6.13.
975 頭掻きかさぶたはがす梅雨の入り 梅雨入り 13.6.13.
976 孫のやつ生えそろったと瓜の花 瓜の花 13.6.13.
977 夏の畑抜けども抜けど滑莧(すべりひゆ) 13.6.13.
978 夏蒲団撥ねてかならず目の覚むる 夏蒲団 13.6.13.
979 二十度と風心地よき梅雨の朝 梅雨 13.6.13.
980 海老カツといふコロッケや梅雨の入り 梅雨入り 13.6.13.
981 澄子の句洒脱闊達無軌道句 13.6.14.
982 株相場乱高下して梅雨の入り 梅雨入り 13.6.14.
983 花びらの道赤く染め垣の薔薇 薔薇 13.6.14.
984 短夜の遅寝早起き鳥の声 短夜 13.6.14.
985 草いきれ汗を流して乳房吸ふ 草いきれ 13.6.14.
986 玉葱はただ引き抜けばついてくる 玉葱 13.6.14.
987 手の桃のまるみ確かむ乳房かな 13.6.14.
988 白桃を乳房のごとく食む至福 白桃 13.6.14.
989 ちんちんを見せてとみっちゃん言ひし夏 13.6.14.
990 みっちゃんとお医者ごっこの遠い夏 13.6.14.
991 田植機の農夫独りでする田植 田植 13.6.15.
992 代田から植田青田と水豊か 代田・植田・青田 13.6.15.
993 ごきぶりやあっち向いてほい逃げにけり ごきぶり 13.6.15.
994 隙間さへあればごきぶり自由自在 ごきぶり 13.6.15.
995 逃げ足の速さ憎まる油虫 油虫 13.6.15.
996 逃げ足で主婦苛立たす油虫 油虫 13.6.15.
997 太古から逃げるが勝ちの油虫 油虫 13.6.15.
998 ごきぶりの翅堂々の艶と照り ごきぶり 13.6.15.
999 ごきぶりや親が走れば子も走り ごきぶり 13.6.15.
1000 蝗(いなご)食みごきぶり食めぬはずもなし 蝗・ごきぶり 13.6.15.

     
 「駄句も数のうち」と毎日10句を基準に詠み続け、上記のとおり「第7回」が1000句に到達できました。4か月弱での7000句目達成です。友人の1人が「鈴堂の千日回峰句」と言ってくれましたが、うれしい声援ととらえ、「第8回」のページを新たに開き、8000句到達を目指したいと思います。  第8回ページ
♪BGM:Chopin[Nocturne5]arranged by Pian♪
表紙へ 第6回

inserted by FC2 system