鈴童の遊び
一日十句を千句詠む

(第2回)


季 語 作句日
1 水音で三頭大滝もみじ散る 紅葉散る 11.11.15.
2 跳ぶごとく山下る人冬もみじ 冬紅葉 11.11.15.
3 どれもほぼ裏返しなり朴落葉 朴落葉 11.11.15
4 「あれっ雪」と近づき見れば朴落葉 朴落葉 11.11.15.
5 老ひ認めつ山道下る冬初め 冬初め 11.11.15
6 濡れ落葉貼りつく岩間走る水 落葉 11.11.15
7 山道に線量装置冬もみじ 冬紅葉 11.11.15
8 返り花日替わりに咲く野朝顔 返り花 11.11.15
9 冬耕の仲間集ひて茶の時間 冬耕 11.11.15
10 冬うらら余命を削る砂時計 冬麗 11.11.15
11 厠から覗けば庭の花八手 花八手 11.11.16
12 ごみ捨てに通ふ道の端花八手 花八手 11.11.16
13 花八手褒め言葉なく咲いており
花八手 11.11.16
14 花八手花の色気と何か
花八手 11.11.16
15 花八手造形的に面白き 花八手 11.11.16
16 返り花咲くのは勝手と言ふごとく 返り花・
帰り花
11.11.16
17 ともかくも見つけてうれし帰り花 返り花・
帰り花
11.11.16
18 返り花真似るがごとく蝶舞へり 返り花・
帰り花
11.11.16
19 早速に虫を呼び込む返り花 返り花・
帰り花
11.11.16
20 帰り花なにか意思あるごとく咲く 返り花・
帰り花
11.11.16
21 営みの事情訊きたし帰り花 返り花・
帰り花
11.11.17
22 酒に良し茶飯で仕上げおでん食ふ おでん 11.11.17
23 あれとこれ迷い箸するおでん鍋 おでん 11.11.17
24 不意の客迷わず作るおでん鍋 おでん 11.11.17
25 お土産に坊ちゃん団子漱石忌 漱石忌 11.11.17
26 満員の車内の嚔(くさめ)顔が逃げ 嚏(くしゃみ) 11.11.17
27 パソコンに気を取られての湯ざめかな 湯ざめ 11.11.17
28 大根引き太く真っ直ぐ笑み浮かぶ 大根引 11.11.17
29 腰をバネに手ごたえ楽し大根引 大根引 11.11.17
30 大根を抜く瞬間のエクスタシー 大根引 11.11.17
31 謗られて嚔一回はて何を 嚏(くしゃみ) 11.11.18
32 笑われて嚔二回はてどこを 11.11.18
33 惚れられて嚔三回はて誰に 11.11.18
34 嚔四つこりゃ風邪引きの卵酒 11.11.18
35 加藤茶の持ち芸なりし嚔かな 11.11.18
36 踊り子の並ぶがごとき大根洗ふ 大根洗ふ 11.11.18
37 大根洗ふ日向の水のきらめけり 大根洗ふ 11.11.18
38 寒柝(かんたく)の音も廃れて夜長かな 寒柝 11.11.18
39 冬晴の里山温し赤蜻蛉
<あきる野市横沢入で 11.20.>
冬晴 11.11.18
40 里山の手入れ途絶えし冬紅葉 冬紅葉 11.11.18
41 里山の荒れて落葉に埋む道 落葉 11.11.19
42 里山の杣道埋む落葉落葉 落葉 11.11.19
43 集落の消えて里山冬もみじ 冬紅葉 11.11.19
44 山茶花の咲いて散り敷く花むしろ 山茶花 11.11.19
45 山茶花の咲き継ぐ樹下の花むしろ 山茶花 11.11.19
46 山茶花の散り敷く根方紅あかり 山茶花 11.11.19
47 山茶花や日向日陰を選ばずに 山茶花 11.11.19
48 山茶花のひっそりと散る夕間暮れ 山茶花 11.11.19
49 山茶花の花びら二片散りにけり
山茶花 11.11.19
50 山茶花や銀糸を揺らし散りゆけり 山茶花 11.11.19
51 山茶花の風の気配に散る二三片 山茶花 11.11.20
52 山茶花の花びら突如散りにけり 山茶花 11.11.20
53 山茶花や家建つる音響きけり 山茶花 11.11.20
54 山茶花の根方華やぐ花むしろ 山茶花 11.11.20
55 冬枯れの庭に紅白シクラメン 冬枯れ 11.11.20
56 大根洗ふ乙女のうなじほつれ髪 大根 11.11.20
57 賽銭の転がり響く冬の寺 11.11.20
58 粒状の寒肥撒けば葱ふとる 寒肥 11.11.20
59 寒肥は種蒔く人のごとく撒き 寒肥 11.11.20
60 手掴みで寒肥撒けるいい時代 寒肥 11.11.20
61 寒肥や霰はじけるごとく撒く 寒肥 11.11.21
62 黒土に霰のごとく寒肥撒く 寒肥 11.11.21
63 寒肥を手掴みで撒く気楽さよ 寒肥 11.11.21
64 鬼は外のごとくに撒く寒肥かな 寒肥 11.11.21
65 しゅるしゅると落葉を過ぎる長いもの 落葉 11.11.21
66 つくばいに揺るる影あり浮紅葉 紅葉 11.11.21
67 冬山路赤い実妖し蝮草 11.11.21
68 茶の花や蕊を残して末枯れけり 茶の花 11.11.21
69 山茶花の咲くと散るとが競ひけり 山茶花 11.11.21
70 冬耕(うな)ひ眠る蚯蚓を起こしけり 冬耕 11.11.21
71 切干の日毎に黄ばみ仕上がりぬ 切干 11.11.22
72 大根の太ぶとしくも抜かれけり 大根 11.11.22
73 大根の抜き穴暗く残りけり 大根 11.11.22
74 黒き穴ふやしてゆくや大根引 大根引 11.11.22
75 穴に土かけては次の大根引く 大根引 11.11.22
76 里山の日和愉しむ秋茜 秋茜 11.11.22
77 里山の日和に和して赤蜻蛉 赤蜻蛉
11.11.22
78 山茶花の次々と咲き散り落ちぬ 山茶花 11.11.22
79 喉仏見せて鯉来る冬の池 11.11.22
80 蕉門の人材豊か嵐雪忌 嵐雪忌 11.11.22
81 手際良く雪吊り仕上ぐ植木職 雪吊 11.11.23
82 名園の冬構なり藁ぼっち 冬構 11.11.23
83 庭園の花なきことも冬構 冬構 11.11.23
84 崖の上池の端にも石蕗の花 石蕗の花 11.11.23
85 花虻も花蝿も呼ぶ石蕗の花 石蕗の花 11.11.23
86 枯菊や親父の齢を十歳超え 枯訊く 11.11.23
87 冬の蝶うらら日の中逝かせたし 冬の蝶 11.11.23
88 凍蝶やうららの日中逝かせたし 凍蝶 11.11.23
89 山茶花は咲き散ることで忙しき 山茶花 11.11.23
90 山茶花は咲きちるうつつ抜かしおり 山茶花 11.11.23
91 欠礼のほどほどに来て十二月  十二月 11.11.24
92 わけもなく憂世と思ふ時雨かな 時雨 11.11.24
93 いまならば早逝と呼ぶ翁の忌 翁忌 11.11.24
94 しぐれても家建ち急ぐ槌の音 時雨 11.11.24
95 咲く花も散り敷く花もしぐれけり 時雨 11.11.24
96 冬めけば根深雑炊生姜酒 冬めく 11.11.24
97 湯豆腐のつるりつるりと滑りけり 湯豆腐 11.11.24
98 菜園の摘みし具ばかりけんちん汁 けんちん汁 11.11.24
99 風呂吹きやはふはふと食む慣ひなり 風呂吹 11.11.24
100 湯豆腐の角崩しつつ独り酒 湯豆腐 11.11.24
101 雨に濡れ花も葉もなき枯芙蓉 枯芙蓉 11.11.25
102 剣山のごとき根方や萩の跡 枯萩 11.11.25
103 鉄幹の一葉も無き寒さかな 寒さ 11.11.25
104 浮寝鳥脚は冷たくなかりしや 浮寝鳥 11.11.25
105 塾帰り走り行く子の白い息 息白し 11.11.25
106 冬木立五本並んで樹種も五種 冬木立 11.11.25
107 枯山吹葉を落とし切り青々と 枯山吹 11.11.25
108 枯茨赤い実だけで小鳥待つ 枯茨 11.11.25
109 枯菊の目立つや墓地の供へ花 枯菊 11.11.25
110 枯園にいまある赤は池の鯉 枯園 11.11.25
111 葱鮪(ねぎま)汁がぶりと食みて人心地 葱鮪汁 11.11.26
112 猫飯でかき込む汁はかぶら汁 蕪汁 11.11.26
113 粕汁で頬ほてらせる下戸の妻 粕汁 11.11.26
114 寄鍋や盃を片手に箸を出し 寄鍋 11.11.26
115 熱燗や声高き奴低き奴 熱燗 11.11.26
116 石蕗(つわ)の花端境守る自覚なり 石蕗の花 11.11.26
117 花八つ手見れば見るほど不思議花 花八手 11.11.26
118 花八つ手白き珊瑚と義きょうだい 花八手 11.11.26
119 冬めきてしゃこばさぼてん一気咲き 冬めく 11.11.26
120 ポインセチア花よりも葉が主役なり ポインセチア 11.11.26
121 侘助のそっと咲きたる風情なり 侘助 11.11.27
122 寒菊や凛と寒きに似合ふ花 寒菊 11.11.27
123 茶の花や乳房可愛ゆき女(ひと)想ふ 茶の花 11.11.27
124 鉄幹に銀滴並ぶ時雨かな 時雨 11.11.27
125 時雨には時雨の作法しのび降る 時雨 11.11.27
126 坂の上かかる雲あり漱石忌 漱石忌 11.11.27
127 木堂の置き名の酒や雪雀 11.11.27
128 寒菊や花の数なり人の数 寒菊 11.11.27
129 冬夕焼け人に言はない隠しごと 冬夕焼 11.11.27
130 ひと刷けの雲もなき朝冬日和 冬日和 11.11.27
131 用足しに財布たしかめ一葉忌 一葉忌 11.11.28
132 朱と赤の妍を競ひし冬紅葉 冬紅葉 11.11.28
133 雪吊や縄の生み出す風物詩 雪吊 11.11.28
134 雪吊の髷を結いたる小松かな 雪吊 11.11.28
135 朱と赤のいろはもみじや冬構 冬構 11.11.28
136 冬日浴び千成柿の朱が眩し 冬日 11.11.28
137 鉄幹の散り残る葉の寒さかな 寒さ 11.11.28
138 弧高なる役目担ふや木守柿 木守柿 11.11.28
139 枯れ庭に朱一点の木守柿 木守柿 11.11.28
140 豆柿や鈴なりのまま木守柿 木守柿 11.11.28
141 引き抜いたばかりと見へじ蕪白し 11.11.29
142 引き抜いた蕪とは見へぬ白さかな 11.11.29
143 蕪抜けば土の汚れも無き白さ 11.11.29
144 蕪白し土の汚れも無きままに 11.11.29
145 ひたすらに実の柔らかき蕪汁 蕪汁 11.11.29
146 朝の膳実の柔らかき蕪汁 蕪汁 11.11.29
147 一吸ひで口に溶け入る蕪汁 蕪汁 11.11.29
148 採れたての蕪の数個をお裾分け 11.11.29
149 採れたての蕪の数個を手土産に 11.11.29
150 しぐるるや夕刊配る音響く 時雨 11.11.29
151 よろぼいつ吟行にゆく寒さかな
<11.12.8.殿ヶ谷戸庭園吟行会>
寒さ 11.11.30
152 よろぼいつ吟行の庭風邪心地 風邪心地 11.11.30
153 吟行の句作りするや障子内 障子 11.11.30
154 冬ざれや吟行の径よろぼいつ 冬ざれ 11.11.30
155 よろぼいつ冬の吟行子規想ふ 11.11.30
156 燃え立つやいろはもみじの冬構 冬構 11.11.30
157 つくばいを巧まず飾る散紅葉 散紅葉 11.11.30
158 つぃくばいを貼り絵に変へり散紅葉 散紅葉 11.11.30
159 風邪心地真珠湾から七十年 風邪心地 11.11.30
160 「十二月八日」はすでに七十年 十二月 11.11.30
161 忘らるる開戦の日や冬紅葉 冬紅葉 11.12.1
162 初雪やひらりひらりと地に消えて
<11.12.9.東京初雪>
初雪 11.12.1
163 初雪や霙となりて路地黙す 初雪 11.12.1
164 霧雨に白きが走る初の雪 初雪 11.12.1
165 寒き町寒きこころに相対す 寒し 11.12.1
166 菰巻や散歩の犬もちゃんちゃんこ 菰巻 11.12.1
167 枯木立立ち止まりたる我もまた 枯木立 11.12.1
168 枯木立見上げておりし我もまた 枯木立 11.12.1
169 道の端や実を爆ぜ終へし枯芙蓉 枯芙蓉 11.12.1
170 朱色の実やや煤けたる枯茨 枯茨 11.12.1
171 朱色の実煤けて残る枯茨 枯茨 11.12.2
172 枯蔓を引けども切れず繰り出せり 枯蔓 11.12.2
173 枯蔓の引いて手繰ればずるずると 枯蔓 11.12.2
174 寄鍋の湯気ほのぼのと友と飲む 寄鍋 11.12.2
175 寄鍋を取り分けられてちと不満 寄鍋 11.12.2
176 寄鍋や取り手の好みてんでんに 寄鍋 11.12.2
177 寄鍋や取り手の好みてんでんに 寄鍋 11.12.2
178 鍋焼や喉元くだる熱さかな 鍋焼 11.12.2
179 熱燗の喉焼く熱さ気にならず 熱燗 11.12.2
180 熱燗の二杯目ははや人肌に 熱燗 11.12.2
181 新走木の香とともに枡で呑む 新走(季語:秋) 11.12.3
182 枡の角口寄せてゆく新走 新走 11.12.3
183 寒禽の鋭き声や梢揺る 寒禽 11.12.3
184 寒の空ペンキ塗り立て日の眩し 寒空 11.12.3
185 日の眩しペンキ塗り立て寒の空 寒空 11.12.3
186 冬の空けふは陽なり日の眩し 冬空 11.12.3
187 冬の空けふは陰なり昼の灯 冬空 11.12.3
188 冠毛揺る金黒羽白冬の堀 11.12.3
189 月蝕の満月見上ぐ寒夜空 寒夜 11.12.3
190 満月の欠けて寒夜の幻月に 寒夜 11.12.3
191 満月の寒夜のショーや皆既月蝕 寒夜 11.12.4
192 満月の幻月となる寒夜空 寒夜 11.12.4
193 寒月の煌煌として蝕に入る 寒月 11.12.4
194 満月の蝕粛々と寒夜空 寒夜 11.12.4
195 満月の蝕を解かれて寒夜空 寒夜 11.12.4
196 地球こそ蝕まれおり寒月蝕 寒月 11.12.4
197 女房と口諍(いさか)いや冬うらら 冬麗 11.12.4
198 女房と諍ふ老いや冬日向 冬日和 11.12.4
199 諍ひつ老いし夫婦の寒日和 寒日和 11.12.4
200 冬ざれも日あらたまれば寒日和 冬ざれ・寒日和 11.12.4
201 トンネルの姿のままに萩枯るる 枯萩 11.12.5
202 藪がらし道連れにして枯葎 枯葎 11.12.5
203 枯蔦の手繰ればずると伸びにけり 枯蔦 11.12.5
204 枯蔓の三度手繰れば三度延ぶ 枯蔓 11.12.5
205 野朝顔咲き仕舞いたり漱石忌 漱石忌 11.12.5
206 冬薔薇赤い蕾の七日経つ 冬薔薇 11.12.5
207 山茶花の咲き疲れおり地も汚れ 山茶花 11.12.5
208 パソコンに向かひ居眠り漱石忌 漱石忌 11.12.5
209
雪吊の雪呼ぶ気配なき日和 雪吊 11.12.5
210 冬なれど「蝮に注意」の札怖し 11.12.5
211 冬空やザ・サードマンの曲流る 冬空 11.12.6
212 このごろは散歩の犬も霜囲 霜囲 11.12.6
213 数秒で読み捨てらるる賀状書く 賀状書く 11.12.6
214 あと一枚十一枚は古暦 古暦 11.12.6
215 美少女のくしゃみ可愛く二つせり くしゃみ 11.12.6
216 悴める指に息吐き芋を掘る 悴(かじか)む 11.12.6
217 針供養刺されし豆腐どう捨つる 針供養 11.12.6
218 浮く柚子の目線で浸かる湯船かな 柚子湯 11.12.6
219 ミニ熊手需めし後は縄のれん 熊手 11.12.6
220 時雨忌や風冷たくも日の眩し 時雨忌
(芭蕉忌・翁忌)
11.12.6
221 ひさし殿頭痛肩こり一葉忌
<井上ひさしに「頭痛肩こり樋口一葉」の戯曲がある>
一葉忌 11.12.7
222 酢牡蠣とり燗酒飲みし日懐かし 牡蠣 11.12.7
223 披講卓臆せず歩む冬の蠅 冬の蝿 11.12.7
224 湧水に濡れし巌の散紅葉 散紅葉 11.12.7
225 木の葉雨ときに音する気配あり 木の葉雨 11.12.7
226 寒林の葉散り尽し霞おり 寒林 11.12.7
227 葉牡丹や野菜に倦みて花となる 葉牡丹 11.12.7
228 葉牡丹の野菜に倦みて花稼業 葉牡丹 11.12.7
229 竜の玉瑠璃色深き涙とは 竜の玉 11.12.7
230 八日目に蕾を解きし冬薔薇 冬薔薇 11.12.7
231 ひなた道選んで咲けり冬すみれ 冬菫 11.12.8
232 枯道の日向にうれし冬すみれ 冬菫 11.12.8
233 日溜まりに三輪咲ける冬菫 冬菫 11.12.8
234 親きょうだい眠る墓の辺冬すみれ 冬菫 11.12.8
235 石蕗の花愛でつ伽羅蕗食む酒膳 石蕗の花 11.12.8
236 朴落葉遠目に雪のあるごとし 朴落葉 11.12.8
237 山の道雪かと寄れば朴落葉 朴落葉 11.12.8
238 歌の中だけで親しむ落葉焚き 落葉焚き 11.12.8
239 狐ゐて狸も居りし大都会 狐・狸 11.12.8
240 忘れしころ放射障害寅彦忌 寅彦忌 11.12.8
241 腹温む素朴の馳走大根焚 大根焚 11.12.9
242 霜焼もあかぎれもなく児らの声 霜焼・あかぎれ 11.12.9
243 胡乱の目見せて野良猫(のら)過ぐ冬日向 冬日向 11.12.9
244 これはこれこれまたこれで年の暮 年の暮 11.12.9
245 些事拾ひ言葉を紡ぐ日向ぼこ 日向ぼっこ 11.12.9
246 大根の重きを抱え笑み浮かぶ 大根 11.12.9
247 早よ抜けと土に浮き出す蕪かな 11.12.9
248 刀折れ矢尽きしごとき枯蓮田 枯蓮 11.12.9
249 湯豆腐や鍋に仕掛けの隠し味 湯豆腐 11.12.9
250 雪無けど義士討ち入りの日なりけり 義士討ち入り 11.12.9
251 風呂吹や俳句に似たる食味かな 風呂吹 11.12.10
252 手間かけぬ酒の肴の葱を焼く 11.12.10
253 根深汁これを貧しと思ひしや 根深汁 11.12.10
254 ブロッコリー大葉の陰のかくれんぼ ブロッコリー 11.12.10
255 セロリーをむしゃむしゃと食む楽しさよ セロリ 11.12.10
256 デザートは蜜柑一個の日が続き 蜜柑 11.12.10
257 菜園に具を求めたるけんちん汁 けんちん汁 11.12.10
258 けんちんや精進料理の工夫汁 けんちん 11.12.10
259 熱燗や外の寒さも他人事に 熱燗 11.12.10
260 熱燗で押し通したる友と飲む 熱燗 11.12.10
261 木の葉髪後頭はほぼ裸木なり 木の葉髪 11.12.11
262 目貼りより換気大事の家に住む 目貼り 11.12.11
263 賀状書く日を明日また明日とす 賀状 11.12.11
264 飲み会のへぎ蕎麦美味し十二月 十二月 11.12.11
265 膨れ面する間もなしの河豚の刺し 河豚 11.12.11
266 箸横に掬うは法度ふぐの刺し 河豚 11.12.11
267 河豚刺しは一片ずつを取るルール 河豚 11.12.11
268 鮟鱇鍋身を探す間に骨しゃぶり 鮟鱇鍋 11.12.11
269 寒鯉や洗ひとなりて氷水 寒鯉 11.12.11
270 鯉の洗ひ酢味噌の味や十二月 十二月 11.12.11
271 水底でゆらりゆらりと寒の鯉 寒鯉 11.12.12
272 海鼠腸(このわた)も海鼠子(このこ)も美味し海鼠食む 海鼠 11.12.12
273 河豚ならば築地明石町となりにけり 河豚 11.12.12
274 河豚の仔の釣られて堤に捨てらるる 河豚 11.12.12
275 冬鷺や影だけ供に餌を漁る 冬鷺 11.12.12
276 田雲雀とおぼしき声が飛び去れり 田雲雀 11.12.12.
277 老童の持病告げ合ふ忘年会 忘年会 11.12.12.
278 老童の持病告げ合ふ年忘 年忘 11.12.12.
279 寒星やヒックス粒子と言はれても 寒星 11.12.12.
280 数へ日と下がり続ける株価かな 数へ日 11.12.12.
281 数へ日の減りて冬至の近づきぬ 数へ日 11.12.13.
282 数へ日の十日を割て冬至来る 数へ日 11.12.13.
283 食膳に南瓜の出でて冬至知る 冬至 11.12.13.
284 鉄幹の妖怪めきて枯木立 枯木立 11.12.13.
285 黒土の変じて美味し芋の味 芋・里芋 11.12.13.
286 枯れる蔦あれば緑の蔦もあり 枯蔦 11.12.13.
287 牡蠣食めるルージュの唇の艶めいて 牡蠣 11.12.13.
288 塩干の鱈を齧りつ熱き酒 11.12.13.
289 鴛鴦の後先替えて川面行く 鴛鴦 11.12.13.
290 雄鳥の並べば然り鴛鴦の沓 鴛鴦 11.12.13.
291 浮寝鳥脚はだらりと下げゐるや 浮寝鳥 11.12.14.
292 堀割の居場所定めて浮寝鳥 浮寝鳥 11.12.14.
293 枝低く寒鴉の視線どきりとす 寒鴉 11.12.14.
294 餅搗の野外パーティー賑やかに 餅搗 11.12.14.
295 煤逃げにほぼ当てはまる散歩かな 煤逃 11.12.14.
296 上水の浅き流れや寒の鯉 寒鯉 11.12.14.
297 紙衾字面だけでは寒そうな 紙衾 11.12.14.
298 ちゃんちゃんこ散歩の犬がもっぱらに ちゃんちゃんこ 11.12.14.
299 ねんねこの母子の姿街になし ねんねこ 11.12.14.
300 旅の宿他人の匂ひす褞袍着る 褞袍(どてら) 11.12.14.
301 角巻風ショールの目立つ朝の駅 角巻 11.12.15.
302 冬帽子耳まで被り畑仕事 冬帽子 11.12.15.
303 座席にもホットスポット暖房車 暖房車 11.12.15.
304 わが家にも自慢が一つ床暖房 暖房 11.12.15.
305 やわらかな湯たんぽ抱きて夢の中 湯たんぽ 11.12.15.
306 畑仲間四季振り返り年忘れ 年忘・忘年会 11.12.15.
307 達磨忌や皆起ち上がる力欲し 達磨忌 11.12.15.
308 一茶忌やウォーク仲間と蕎麦で締め 一茶忌 11.12.15.
309 廃村の主の蝮は冬眠中 冬眠 11.12.15.
310 一灯を燃え上がらせて冬薔薇 冬薔薇 11.12.15.
311 寒椿楚楚と侘助咲く古刹 寒椿・侘助 11.12.16.
312 花弁を散らせどその名寒椿
<園芸品種で山茶花のように花弁を散らす品種名「寒椿」あり>
寒椿 11.12.16.
313 山茶花や地上に意匠凝らしおり 山茶花 11.12.16.
314 寒木瓜の赤きが目立つ遊歩道 寒木瓜 11.12.16.
315 寒木瓜や火を点々と灯しゐる 寒木瓜 11.12.16.
316 枯園のベンチで女昼餉食む 枯園 11.12.16.
317 枯園にコンビニ弁当食む女 枯園 11.12.16.
318 枯園や女が独り摂る昼餉 枯園 11.12.16.
319 枯園やゲームに耽る男おり 枯園 11.12.16.
320 息白き児らに間もなく終業式 息白し 11.12.16.
321 一日に十句を課して年の暮 年の暮 11.12.17.
322 年忘れ小遣い制かと哀れまれ 年忘 11.12.17.
323 裸木でなお美しき樹もありぬ 裸木 11.12.17.
324 行く年や胸のふくらみ変らずに 行く年 11.12.17.
325 年逝きて新しき年来る道理 年逝く 11.12.17.
326 熱燗に白くぷっくり酢牡蠣食む 酢牡蠣 11.12.17.
327 白息の早朝ウォーカー会釈して 白息 11.12.17.
328 声かける早朝ウォーカー息白し 息白し 11.12.17.
329 日に光る床の銀糸も木の葉髪 木の葉髪 11.12.17.
330 湯ざめして入り直せし湯の温し 湯ざめ 11.12.17.
331 傍の人そっと顔反るくしゃみかな くしゃみ 11.12.18.
332 羽子板市話題は押し絵の時の人 羽子板市 11.12.18.
333 ミニ熊手ポケットに入れ縄のれん 熊手 11.12.18.
334 フルートの音では如何に神楽笛 神楽笛 11.12.18.
335 望遠のカメラ天突く鷹の舞 11.12.18.
336 果皮の裏ふわふわ温し朱欒剥く 朱欒 11.12.18.
337 文旦の黄金色なる重さかな 文旦 11.12.18.
338 文旦を左右に下げて長閑なり 文旦 11.12.18.
339 文旦を胸の左右に当ててみる 文旦 11.12.18.
340 床の間の座布団に載る朱欒かな 朱欒 11.12.18.
341 文旦をセーターに入れ孫うふふ 文旦 11.12.19.
342 意図せずと八つ手の上の散紅葉 散紅葉 11.12.19.
343 雪冠る奥も近きも山眠る 山眠る 11.12.19.
344 冬の川鯉の背鰭の見えるほど 冬の川 11.12.19.
345 冬日浴び瀬に立つ鷺の孤独癖 冬日 11.12.19.
346 末枯れたる川辺の淀の霜柱 霜柱 11.12.19.
347 粒状に細流凍てる蛍池 凍て 11.12.19.
348 このごろの犬は寒がりちゃんちゃんこ ちゃんちゃんこ 11.12.19.
349 すれ違ふ散歩の犬やちゃんちゃんこ ちゃんちゃんこ 11.12.19.
350 ちゃんちゃんこ嫌がりもせず散歩犬 ちゃんちゃんこ 11.12.19.
351 ちゃんちゃんこ次は靴だと散歩犬 ちゃんちゃんこ 11.12.20.
352 対面のシートや大根十二本 大根 11.12.20.
353 画面撫で指打つ読書一葉忌 一葉忌 11.12.20.
354 湯冷めして酒もさめたり二度風呂へ 湯冷め 11.12.20.
355 水洟のたれる間際に啜りおり 水洟 11.12.20.
356 水洟や泥手でかめず啜り上ぐ 水洟 11.12.20.
357 柚子たらし湯割り焼酎風呂も柚子 柚子風呂 11.12.20.
358 寒日和ブラザーズフォーの歌静か 寒日和 11.12.20.
359 冬構せめても庭の落葉掃く 冬構 11.12.20.
360 午後の日の赤い実照らす藪柑子 藪柑子 11.12.20.
361 白菜の外葉剥がせどなお重し 白菜 11.12.21.
362 冬菜七種揃い踏みする緑かな 冬菜 11.12.21.
363 冬の川背鰭突き立て鯉遡上 冬の川 11.12.21.
364 冬休み工作持ちて帰る児ら 冬休み 11.12.21.
365 エアコンの部屋に褞袍(どてら)の出番なし 褞袍 11.12.21.
366 軽鴨にパンやる児らの寒施行 寒施行 11.12.21.
367 晦日蕎麦食べて余命の縮みけり 晦日蕎麦 11.12.21.
368 年忘れ次々続く師走かな 年忘・師走 11.12.21.
369 白髪散るパソコン部屋の掃納め 掃納 11.12.21.
370 鉄幹の小枝に取らる冬帽子 冬帽子 11.12.21.
371 手袋の中に隠れし白き指 手袋 11.12.22.
372 白足袋を脱ぎし女の小股かな 白足袋 11.12.22.
373 寒肥を振り撒き土を寄せにけり 寒肥 11.12.22.
374 落葉からテニスボールの転げ出り 落葉 11.12.22.
375 年詰まり時計の針も足早に 年詰まる 11.12.22.
376 白マスク街に目につく世の不安 マスク 11.12.22.
377 白マスク男も隠すブルカかな マスク 11.12.22.
378 玉子酒卵を入れず薬酒とす 玉子酒 11.12.22.
379 切干や日焼けの色で仕上がれり 切干 11.12.22.
380 沢庵はやはりぽりぽり茶漬け食ふ 沢庵 11.12.22.
381 じじじじと咽ぶがごとく寒灯(かんともし) 寒灯 11.12.23.
382 リビングは床暖房とCM風 暖房 11.12.23.
383 裏路地に咽ぶがごとく寒灯り 寒灯 11.12.23.
384 焼芋屋鍾馗のごとき髭面で 焼芋屋 11.12.23.
385 焼芋屋仏頂面で客を待ち 焼芋屋 11.12.23.
386 浮寝鳥尻目に漁さる鷺一羽 浮寝鳥 11.12.23.
387 浮寝鳥尻目に漁(い)さる小鷺かな 浮寝鳥 11.12.23.
388 北風や干戈の響き伝うるな
<代替わりの北朝鮮の動きはいかに>
北風 11.12.23.
389 年の瀬や瀬の音までも慌ただし 年の瀬 11.12.23.
390 同じ道同じ姿で実千両 実千両 11.12.23.
391 着ぶくれの散歩の人や犬までも 着ぶくれ 11.12.24.
392 着ぶくれて糞取らす犬拾ふ主 着ぶくれ 11.12.24.
393 短日や茜の空の黒い富士 短日 11.12.24.
394 短日や電話する間に暮れなずむ 短日 11.12.24.
395 「かさッ」と言ひ「こそッ」と応ふ朴落葉 朴落葉 11.12.24.
396 ぼろ市やアクセサリ売るイラン人 ぼろ市 11.12.24.
397 年の瀬やチラシを配る印度人 年の瀬 11.12.24.
398 枝打ちのなき植林の山荒む 枝打 11.12.24.
399 このごろはエコ松飾りドアに吊り 松飾る 11.12.24.
400 畳替縁なき家やフローリング 畳替 11.12.24.
401 お袋と言ふ名の太き大根抜く 大根抜く 11.12.25.
402 ハケの水集めし野川春隣 春隣 11.12.25.
403 ハケの水瀬音も軽く春を待つ 待春 11.12.25.
404 瀬の音の伝ふるこころ春隣 春隣 11.12.25.
405 瀬の響き軽やかに聴き春を待つ 待春 11.12.25.
406 瀬の音に耳澄ましつつ春待てり 待春 11.12.25.
407 瀬の音の呟き聴きつ春を待つ 待春 11.12.25.
408 浮寝鳥ふわりふわりと夢の中 浮寝鳥 11.12.25.
409 浮寝鳥ふわりふわりと眠りこけ 浮寝鳥 11.12.25.
410 浮寝鳥眠りしままに位置正す 浮寝鳥 11.12.25.
411 舌打ちを二度三度して去ぬ笹子 笹子(冬の鶯) 11.12.26.
412 リボン付き太腿かじるクリスマス クリスマス 11.12.26.
413 エアコンの吹き出しから来サンタかな サンタクロース 11.12.26.
414 池の鯉鳥肌立つる寒さかな 寒さ 11.12.26.
415 茶渋色したる農夫の息白し 息白し 11.12.26.
416 風止みて梢の揺るる枯木立 枯木立 11.12.26.
417 萩刈りし根方の白き霜柱 霜柱 11.12.26.
418 枯芒無住の庭の穂を揺らす 枯芒 11.12.26.
419 枯園に常盤さんざし朱を止む 枯園 11.12.26.
420 枯菊のあちこち残る墓域かな 枯菊 11.12.26.
421 藪巻に木の腹巻と児ら囃し 藪巻 11.12.27.
422 寒林や落葉踏む音のみ聞こゆ 寒林 11.12.27.
423 枯木道ジョギングの人ひたひたと 枯木道 11.12.27.
424 裸木や青空に描くアラベスク 裸木 11.12.27.
425 端境の緑の嬉し冬菜畑 冬菜畑 11.12.27.
426 端境の緑守りし冬菜畑 冬菜畑 11.12.27.
427 お裾分け風呂吹きになる両隣 風呂吹 11.12.27.
428 凍豆腐食わず嫌いの若い人 凍豆腐 11.12.27.
429 察するに美人は着けぬマスクかな マスク 11.12.27.
430 紙マスクこれぞ日本のブルカかな マスク 11.12.27.
431 隠すこそマスク美人の狙ひかな マスク 11.12.28.
432 紙マスクこれぞ日本のブルカかな マスク 11.12.28.
433 菜畑に光こよなき十二月 十二月 11.12.28.
434 人が飢え犬は肥満の年暮るる 年暮る 11.12.28.
435 虎の尾に水久しぶり十二月 十二月 11.12.28.
436 寒暁や小走りで行く靴の音 寒暁 11.12.28.
437 なにもかも食われて果つる海鼠かな 海鼠 11.12.28.
438 すべて旨しなまここのわたこのこ食む 海鼠 11.12.28.
439 寄鍋を取り分く声のはずみけり
寄鍋 11.12.28.
440 金目鯛甘い煮付けで飯を食ふ 金目鯛 11.12.28.
441 ごきぶりや元気失せない冬の虫 冬の虫 11.12.29.
442 柔らかき湯たんぽ足で場所を替へ 湯たんぽ 11.12.29.
443 濡れ布巾使いて書斎掃納め 掃納 11.12.29.
444 瀬の音の響く川辺や霜柱 霜柱 11.12.29.
445 すべて旨しなまここのわたこのこ食む 海鼠 11.12.29.
446 花水木宝珠のごとき冬芽出 冬芽 11.12.29.
447 枝打のなき植林の荒みけり 枝打 11.12.29.
448 古暦わが一年のメモの跡 古暦 11.12.29.
449 行く年や背中を見せて立ち去れり 行年 11.12.29.
450 賀状書きまだまだと来て二十九日 賀状書き 11.12.29.
451 年重ね日の足早く暦果つ 暦果つ 11.12.30.
452 冷蔵庫ぎゅう詰めになる年用意 年用意 11.12.30.
453 わが書斎何もせざるが春仕度 春仕度 11.12.30.
454 孫の塾忙しくなる冬休 冬休 11.12.30.
455 御用納縁なくなりて懐かしき 御用納 11.12.30.
456 霜柱踏みしだき行く児らの影 霜柱 11.12.30.
457 福引の外れに賭けて験かつぎ 福引 11.12.30.
458 海鼠食む生きてるうちは及び腰 海鼠 11.12.30.
459 海鼠食み海鼠腸(このわた)啜る男酒 海鼠・海鼠腸 11.12.30.
460 餅つきや黄粉餡子にからみ餅 餅つき 11.12.30.
461 つくばいや沈める紅葉浮く紅葉 散紅葉 11.12.31.
462 ちゃんちゃんこ着た飼い犬に野良が吼え ちゃんちゃんこ 11.12.31.
463 切られれば痛みの走る海鼠かな 海鼠 11.12.31.
464 切られても慫慂として海鼠居る 海鼠 11.12.31.
465 のう海鼠ぬしはまさしく切られ与三 海鼠 11.12.31.
466 われこそが切られ与三よと海鼠言ひ 海鼠 11.12.31.
467 切り刻み食い尽さるる海鼠かな 海鼠 11.12.31.
468 暮れの鬱賀状書くのと煤払い 海鼠 11.12.31.
469 女房に叱られながら掃納む 掃納 11.12.31.
470 忘られぬ年大晦日ボレロ聴く 大晦日 11.12.31.
471 暁闇の境内埋めて初詣 初詣 12. 1. 1.
472 参道を二列で進む初詣 初詣 12. 1. 1.
473 鈴鳴らす紐も新し初詣 初詣 12. 1. 1.
474 初詣願い色々人の列 初詣 12. 1. 1.
475 神様もメモリー増やす初詣 初詣 12. 1. 1.
476 賽銭の色確かめて初詣 初詣 12. 1. 1.
477 初詣に蜜柑と酒を振舞われ 初詣 12. 1. 1.
478 元朝の新聞どさりと卓の上 元朝 12. 1. 1.
479 鎮守社に普段着ばかり初詣 初詣 12. 1. 1.
480 暗がりで挨拶し合ふ初社 初社 12. 1. 1.
481 快晴とキイで打ち込む初日記 初日記 12. 1. 2.
482 爺婆の列に身を置き福詣 福詣・七福神詣 12. 1. 2.
483 すらすらと口継ぎいずる御慶かな 御慶 12. 1. 2.
484 使わずもすらすらと出る御慶かな 御慶 12. 1. 2.
485 定型と言えどすらすら出る御慶 御慶 12. 1. 2.
486 憚らず大声で言ふ御慶かな 御慶 12. 1. 2.
487 母娘早ややっている初電話 初電話 12. 1. 2.
488 朝からの盃許さるる年の酒 年酒 12. 1. 2.
489 歯軋りで欠けし歯をもてごまめ噛む ごまめ 12. 1. 2.
490 サッシドアちょんと掛けたる松飾 松飾 12. 1. 2.
491 光陰の矢となりて去る初昔 初昔 12. 1. 3.
492 福笑い整い過ぎて座が白け 福笑 12. 1. 3.
493 返信の賀状書き足す三が日 三が日 12. 1. 3.
494 一瞥で読み捨てらるる賀状かな 賀状 12. 1. 3.
495 「おめでとう」交わすも御用始めまで 御用始 12. 1. 3.
496 山下る駅伝選手観る三日 三日 12. 1. 3.
497 菩提寺の名は泉竜寺初詣で 初詣 12. 1. 3.
498 買初の墓に供へる湯呑かな 買初 12. 1. 3.
499 買初の有田の湯呑墓に据へ 買初 12. 1. 3.
500 年礼の帰途ステーキを食ふ猪日(三日) 猪日(ちょじつ 
三日の異称)
12. 1. 3.
501 鬨の声聞くことなしに鶏日(元旦)来 鶏日(けいじつ) 12. 1. 4.
502 ジャケツ着せ犬の散歩の狗日(二日)かな 狗日(くじつ) 12. 1. 4.
503 ごみ出しが仕事始めの四日かな 仕事始 12. 1. 4.
504 ごみ出しの初日となりし羊の日(四日) 羊日(ようじつ) 12. 1. 4.
505 職場にも日常戻る牛日かな(五日) 牛日(ぎゅうじつ) 12. 1. 4.
506 早や馬日(六日)車の汚れ目立ちけり 馬日(ばじつ) 12. 1. 4.
507 人の日(七日)や菜園の菜で粥を炊き
<元旦=鶏日・鶏旦、狗日=二日、猪日=三日、羊日=四日、牛日=五日、馬日=六日、人日=七日 新年の季語>
人日(じんじつ) 12. 1. 4.
508 昨今は内裏さまだけ雛飾り  雛・内裏雛 12. 1. 4.
509  ★歳古りて持ち物欠ける雛も増へ 12. 1. 4.
510 ★内裏さま今年も供を休ませて
<上掲3句は「春耕」(3月号)用、課題詠(★印2句投稿)>
雛・内裏雛 12. 1. 4.
511 出初式使命のひと際重くなり 出初式 12. 1. 5.
512 はしご乗り光眩しく海老逸れる 梯子乗 12. 1. 5.
513 いつ観ても落ちる人なき梯子乗 梯子乗 12. 1. 5.
514 一瞬のひやりで見せる梯子乗 梯子乗 12. 1. 5.
515 きびきびと梯子の鯔背(いなせ)出初式 出初式 12. 1. 5.
516 きびきびと鯔背の見せる梯子乗 梯子乗 12. 1. 5.
517 梯子乗り鳶が支える鯔背かな 梯子乗 12. 1. 5.
518 青竹の色清々し梯子乗 梯子乗 12. 1. 5.
519 木遣唄鯔背が歌ふ初出かな 初出 12. 1. 5.
520 寒の入り首を縮めて背も丸め 寒の入 12. 1. 5.
521 小寒の夜道を急かす冷気かな 小寒 12. 1. 6.
522 掛けたものひょいと外せば松納 松納 12. 1. 6.
523 七草粥薬と思ひ啜りけり 七草粥 12. 1. 6.
524 湯気上ぐる七草の粥みどり濃し 七草粥 12. 1. 6.
525 猪口置いて薺雑炊ふうふうと 薺雑炊 12. 1. 6.
526 鶏狗猪羊牛馬で七日かな 七日(人日) 12. 1. 6.
527 鷽替の願いを込めて木彫鳥 鷽替 12. 1. 6.
528 それぞれがそれぞれ願ひ鷽替へる 鷽替 12. 1. 6.
529 粒残す身内の囲む粥柱 粥柱 12. 1. 6.
530 寒参り墓の掃除をして戻る 寒参・寒詣 12. 1. 6.
531 太目でもすずしろと呼ぶ七日かな すずしろ 12. 1. 7.
532 冬木の芽身を引き締めつひと眠り 冬木の芽 12. 1. 7.
533 冬木の芽ひかりの中で夢心地 冬木の芽 12. 1. 7.
534 冬木の芽ねる子は育つ姿かな 冬木の芽 12. 1. 7.
535 冬木の芽ひかりの筆がそっと撫で 冬木の芽 12. 1. 7.
536 柊の花咲き散るや亭の庭 柊の花 12. 1. 7.
537 柊のひっそりと咲き散り敷けり 柊の花 12. 1. 7.
538 柊の香りほのかに咲き散れり 柊の花 12. 1. 7.
539 葉牡丹の花のごとくに置かれけり 葉牡丹 12. 1. 7.
540 葉牡丹の己は花と言ふ想ひ 葉牡丹 12. 1. 7.
541 蝋梅やひかり眩しく浴びにけり 蝋梅 12. 1. 8.
542 蝋梅や金鈴のごと咲き初めり 蝋梅 12. 1. 8.
543 蝋梅や微かに揺るる金の鈴 蝋梅 12. 1. 8.
544 蝋梅の花まぶしくて天冥し 蝋梅 12. 1. 8.
545 先触れの素心蝋梅咲く七日
<1月7日、都立小金井公園の素心蝋梅が数輪開花。>
蝋梅 12. 1. 8.
546 冬空に糸を伸ばして凧不動 冬空 12. 1. 8.
547 葉牡丹や野菜を辞めて花稼業 葉牡丹 12. 1. 8.
548 葉の頂に蝦蛄葉仙人掌火焔あげ 蝦蛄葉仙人掌 12. 1. 8.
549 鬨の声しやこばさぼてん火の海に 蝦蛄葉仙人掌 12. 1. 8.
550 われ先に蝦蛄葉さぼてん火を掲げ 蝦蛄葉仙人掌 12. 1. 8.
551 火の海のしゃこばさぼてん部屋にあり 蝦蛄葉仙人掌 12. 1. 9.
552 日はあれど冷たき風の福詣り 福詣・七福神詣 12. 1. 9.
553 寒風に鼻水垂らす福詣 福詣 12. 1. 9.
554 旧街道歴史散歩の七福神 福詣・七福神詣 12. 1. 9.
555 七福神拝むときだけマスク取り 福詣・七福神詣 12. 1. 9.
556 福詣り終へてうれしや縄のれん 福詣 12. 1. 9.
557 福詣り終へて繰りこむ縄のれん) 福詣 12. 1. 9.
558 体力の元気度計る福詣 福詣 12. 1. 9.
559 福詣り神も仏もおっとりと 福詣 12. 1. 9.
560 神仏に合わせて祈る福詣り 福詣 12. 1. 9.
561 何がしか幸せ祈る福詣り 福詣 12. 1. 10.
562 鮨つまみビールで仕上ぐ福詣 福詣 12. 1. 10.
563 正月の凧の唸りや竜の声 正月の凧 12. 1. 10.
564 初電車スマホ繰る人顔上げず 初電車 12. 1. 10.
565 初電車スマホ繰りての読書かな 初電車 12. 1. 10.
566 高架橋鳩一列に日向ぼこ 日向ぼこ 12. 1. 10.
567 毘沙門天赤い実光る藪柑子 藪柑子 12. 1. 10.
568 福詣り乳根を垂らす大銀杏 福詣 12. 1. 10.
569 福詣り大黒天に呼び込まれ 福詣 12. 1. 10.
570 鈴ヶ森刑場過ぎり福詣 福詣 12. 1. 10.
571 正直に人と交はる寒さかな 寒さ 12. 1. 11.
572 寒稽古リフティングする児らの声 寒稽古 12. 1. 11.
573 飛行機雲一筋伸びる鍬始 鍬始 12. 1. 11.
574 寺社七つ巡りし証し初写真 初写真 12. 1. 11.
575 福詣り宝探しに相似たり 福詣 12. 1. 11.
576 寒椿花美しもありふれて 寒椿 12. 1. 11.
577 蝋梅に鼻うごめかす女の児 蝋梅 12. 1. 11.
578 蝋梅や匂ふ匂ふと二人連れ 蝋梅 12. 1. 11.
579 蝋梅に老いも若きも鼻を寄せ 蝋梅 12. 1. 11.
580 自恃ゆへの素心蝋梅黄一色 素心蝋梅 12. 1. 11.
581 読初や久女の伝記読み継ぎて 読初 12. 1. 12.
582 寒林の敷き詰めしもの去年のまま 寒林 12. 1. 12.
583 電線に居並ぶ鳥や寒の暮 寒暮 12. 1. 12.
584 揺るぎなき山門仰ぐ淑気かな 淑気 12. 1. 12.
585 初東風の冷気に潜む温さかな 初東風 12. 1. 12.
586 寒月を目の端にしつ雨戸繰る 寒月 12. 1. 12.
587 背を丸め影まで急ぐ寒の月 寒月 12. 1. 12.
588 寒月や点滅激し街路灯 寒月 12. 1. 12.
589 寒月や池底に揺るる影ひとつ 寒月 12. 1. 12.
590 北風に浪立つ川辺芭蕉像
<隅田川右岸の江東区常盤の芭蕉庵史跡展望庭園に坐像>
北風 12. 1. 12.
591 侘助の咲く足元に一花臥す 侘助 12. 1. 13.
592 侘助や名を初雁の淡き紅 侘助 12. 1. 13.
593 侘助や名ぞ初雁の紅ぼかし 侘助 12. 1. 13.
594 寒月に「あい」「あい」と跳ぶ幼児かな 寒月 12. 1. 13.
595 大根引くすぽんすぽんと太めなり 大根引 12. 1. 13.
596 水仙や一輪もよし群れもよし 水仙 12. 1. 13.
597 花八つ手なぜかくしゃみを三つして 花八ッ手 12. 1. 13.
598 部屋に鉢元日草の名のゆへに 福寿草・元日草 12. 1. 13.
599 寒菊の咲く庭園の日向ゆく 寒菊 12. 1. 13.
600 葉の翳にブロッコリーのこぶし大 ブロッコリ 12. 1. 13.
601 羽衣の亭の名雅初句会 初句会 12. 1. 14.
602 華やげる和服もありて初句会 初句会 12. 1. 14.
603 畑隅に居残り決める霜柱 霜柱 12. 1. 14.
604 霜柱鋼のごとき歯を剥けり 霜柱 12. 1. 14.
605 さくさくと踏みしだき行く霜柱 霜柱 12. 1. 14.
606 霜柱ガラスの城を踏むごとく 霜柱 12. 1. 14.
607 朝の日にさよならを言ふ霜柱 霜柱 12. 1. 14.
608 歯並びの輝き眩し霜柱 霜柱 12. 1. 14.
609 力秘め従容と消ゆ霜柱 霜柱 12. 1. 14.
610 宝石もかく造られぬ霜柱 霜柱 12. 1. 14.
611 氷柱をさくさくと踏み土竜打 土竜打 12. 1. 15.
612 田起しは春の作業ぞ霜柱 霜柱 12. 1. 15.
613 日を浴びて川辺の道の初雀 初雀 12. 1. 15.
614 張出しに首おなじ向き初鳩ゐ 初鳩 12. 1. 15.
615 梅ぼしのずらりと並ぶ初句会 初句会 12. 1. 15.
616 われもまた梅ぼし爺や初句会 初句会 12. 1. 15.
617 釣り糸の絡み解けずや久女の忌 久女忌 12. 1. 15.
618 侘助やこころ鎮めるわびとさび 侘助 12. 1. 15.
619 初釜や侘助とある女文字 初釜・侘助 12. 1. 15.
620 姫はじめ記憶の彼方懐かしき 姫初 12. 1. 15.
621 茶の花や高き生垣人を避け 茶の花 12. 1. 16.
622 山茶花や萎れて散れぬ花あはれ 山茶花 12. 1. 16.
623 凍てし葉の野菜畑や寒旱 寒旱 12. 1. 16.
624 寒満月思はず伸ばす背筋かな 寒満月 12. 1. 16.
625 はしたなきほどに大きな冬満月 冬満月 12. 1. 16.
626 白き肌染めて睦むや事始 事始 12. 1. 16.
627 青年の指しなやかに毛糸編む 毛糸編む 12. 1. 16.
628 ニット帽似合ふ青年毛糸編む 毛糸編む 12. 1. 16.
629 毛糸編む青年独りゐるベンチ 毛糸編む 12. 1. 16.
630 毛糸編む編み込む文字に想ひ込め 毛糸編む 12. 1. 16.
631 編棒の動き続ける毛糸編み 毛糸編む 12. 1. 17.
632 蝋梅の黄一色に春を嗅ぐ 蝋梅 12. 1. 17.
633 暖房の便器静かな読書部屋 暖房 12. 1. 17.
634 息抜きの暖房トイレに籠もる孫 暖房 12. 1. 17.
635 暖房の便器昔の股火鉢 暖房 12. 1. 17.
636 暖房の便器に掛けてチェフォフ読む 暖房 12. 1. 17.
637 床に壁ピシッと鳴るや寒旱 寒旱 12. 1. 17.
638 軽鴨の岸辺で憩ふ冬の川 冬の川 12. 1. 17.
639 細りても鯉の留まる冬の川 冬の川 12. 1. 17.
640 水涸れて尻着けたまま鹿威 水涸る 12. 1. 17.
641 冬川や思案の態の小鷺かな 冬の川 12. 1. 18.
642 葱掘りや払子のごとき根も出ぬ 12. 1. 18.
643 蕉翁も馬上に氷る寒さかな
<冬の日や馬上に氷る影法師 芭蕉 に掛けて詠む>
寒さ 12. 1. 18.
644 飼い主も犬も着ぶくれ雪催 雪催 12. 1. 18.
645 硝子戸の中でたこ焼き雪催 雪催 12. 1. 18.
646 マスクして眼鏡の曇る雪催 雪催 12. 1. 18.
647 雲低く綿虫の飛ぶ午後三時
綿虫 12. 1. 18.
648 黙猫(もだしねこ)にゃんとも鳴かず冬の月 冬の月 12. 1. 18.
649 歌猫や春まだ遠し寒満月 寒満月 12. 1. 18.
650 水涸れてコトリともせぬ添水かな 水涸る 12. 1. 18.
651 冬薔薇真紅一輪衰へず 冬薔薇 12. 1. 19.
652 熱燗をきゅっと飲み干す手酌酒 熱燗 12. 1. 19.
653 シェリー酒の琥珀の揺れや雪催 雪催 12. 1. 19.
654 天ざるを並べ盃上ぐ新年会 新年会 12. 1. 19.
655 年明けてお詫びお詫びの世相かな 年明け 12. 1. 19.
656 世の中はお詫びの続く年の明け 年明け 12. 1. 19.
657 水餅の匂ひ懐かしパック餅 水餅 12. 1. 19.
658 徳利の武骨がうれし燗の酒 燗酒 12. 1. 19.
659 焼き竹輪齧りつ燗の留守居酒 燗酒 12. 1. 19.
660 思ひつめ我にかえれば久女の忌 久女忌 12. 1. 19.
661 奥宮の簡素に古ぶ冬の山 冬の山 12. 1. 20.
662 水涸れてコトリともせぬ添水かな 水涸る 12. 1. 20.
663 襤褸衣でも結社違へば花衣 花衣 12. 1. 20.
664 花衣結社違へば襤褸衣かな 久女忌 12. 1. 20.
665 取り巻きの狂女仕立てや久女の忌 久女忌 12. 1. 20.
666 厭はれて思慕募らせる久女の忌 久女忌 12. 1. 20.
667 嫌はれて嫌われて恋ふ久女の忌 久女忌 12. 1. 20.
668 厭はれてなほ一途なる久女の忌 久女忌 12. 1. 20.
669 濁飲まず人辟易の久女の忌 久女忌 12. 1. 20.
670 周到に王国築き椿壽の忌 久女忌 12. 1. 20.
671 俳界も組織勝負や椿壽の忌 椿壽忌 12. 1. 21.
672 弟子たちの頌句の並ぶ椿壽の忌
<以上10句は杉田久女の晩年を詠みし句なり>
久女忌 12. 1. 21.
673 寒旱続き続きて肌荒(すさ)む 寒旱 12. 1. 21.
674 蹲踞(つくばい)の紅葉散らせし氷面鏡 氷面鏡 12. 1. 21.
675 氷面鏡裏から見上ぐ池の鯉 氷面鏡 12. 1. 21.
676 堀割や氷でこける鴨可笑し 12. 1. 21.
677 こら坊や石を投げるな氷面の池 12. 1. 21.
678 腕白の礫走らす氷面の池 12. 1. 21.
679 釣り捨てし雑魚の骸に波の花 波の花 12. 1. 21.
680 鴉には素知らぬ顔で寒施行 寒施行 12. 1. 21.
681 合服ですまし冬服出番減り 冬服 12. 1. 22.
682 マスクかけ耳まで被る冬帽子 冬帽子 12. 1. 22.
683 白足袋を脱ぐや女の色気かな 白足袋 12. 1. 22.
684 白足袋を脱ぎし素足の爪に紅 白足袋 12. 1. 22.
685 母置きし葛湯の湯気や受験生 葛湯 12. 1. 22.
686 鯛焼のそこだけ固き薄い縁 鯛焼 12. 1. 22.
687 コーラーで鯛焼を食む女高生 鯛焼 12. 1. 22.
688 新海苔や二段重ねのドカ弁当 新海苔 12. 1. 22.
689 新海苔や焼き餅挟みぱりぱりと 新海苔 12. 1. 22.
690 きびきびと湯気と杜氏の寒造 寒造 12. 1. 22.
691 蹲踞に松葉散らしの板氷 12. 1. 23.
692 冬紅葉夕日を赤く染めたるや 冬紅葉 12. 1. 23.
693 サックスを吹いた日もあり寒日和 寒日和 12. 1. 23.
694 冬の虹ふたつの町を踏まえたり 冬の虹 12. 1. 23.
695 山並みの白きに映えて冬の虹 冬の虹 12. 1. 23.
696 被災地の復興景気や隙間風 隙間風 12. 1. 23.
697 寒鴉視線を逸らしついと去る 寒鴉 12. 1. 23.
698 寒鴉「かあ」と呼んだら首かしげ 寒鴉 12. 1. 23.
699 冬ざれや鎖の犬の吠え続く 冬ざれ 12. 1. 23.
700 冬ざれの畑で茶を飲む爺5人 冬ざれ 12. 1. 23.
701 白菜もキャベツも畑に凍てにけり 凍る 12. 1. 24.
702 白菜や凍て葉重ねて増す甘み 凍る 12. 1. 24.
703 畝も畦も土埃立つ寒旱 寒旱 12. 1. 24.
704 凍て畑で春蒔き思案始まれり 凍る 12. 1. 24.
705 寒九の雨降らぬまま六日過ぎ
<寒の入から9日目の19日に詠む。寒九の雨は豊作の前兆という。>
寒九 12. 1. 24.
706 雪雪雪旱(ひでり)の畑も雪雪雪
<1月20日、東京地方に初雪>
12. 1. 24.
707 雪雪雪旱の畑も雪埋む 12. 1. 24.
708 受験生雪踏む足で滑るなよ 12. 1. 24.
709 雪降りて寒の旱もひと区切り 雪・寒旱 12. 1. 24.
710 水仙の花紛れたり雪の庭 水仙・雪 12. 1. 24.
711 雪の朝家々の屋根ひとつ色 12. 1. 25.
712 どの屋根も同じ色なり雪の朝 12. 1. 25.
713 日がな雪〆は霙で日暮れけり 雪・霙 12. 1. 25.
714 初雪や薔薇一輪の赤々と 初雪 12. 1. 25.
715 めらめらと蝦蛄葉仙人掌咲き揃ふ 蝦蛄葉仙人掌 12. 1. 25.
716 大寒や雪に頚痛肩の凝り 大寒 12. 1. 25.
717 みぞれ日や氷雨は夏の季語なれど 12. 1. 25.
718 寒冷紗かまぼこ型に霜囲 霜囲 12. 1. 25.
719 雪吊も霙に濡れて震えけり 雪吊・霙 12. 1. 25.
720 白菜の凍て葉から落つ冬の蝶 冬の蝶 12. 1. 25.
721 白菜の枯葉に止まる冬の蝶 冬の蝶 12. 1. 26.
722 冬帽子奪いし小枝帽揺らす 冬帽子 12. 1. 26.
723 冬帽子ひょいと小枝に取られたり 冬帽子 12. 1. 26.
724 冬帽子ひったくり屋の枝に揺れ 冬帽子 12. 1. 26.
725 冬帽子ひょいと掴みし枝の技 冬帽子 12. 1. 26.
726 金屏風背に面映ゆく並ぶ顔 金屏風 12. 1. 26.
727 促がせばのこのこ歩む冬の蠅 冬の蠅 12. 1. 26.
728 大寒の雨冷え冷えと音もなく 大寒 12. 1. 26.
729 大寒の雪にもなれず雨陰々 大寒 12. 1. 26.
730 陰々と鉄幹濡らす寒の雨 寒の雨 12. 1. 26.
731 風情なくただ侘びしさの冬の雨 冬の雨 12. 1. 27.
732 雨加へ少し太りし寒の川 12. 1. 27.
733 闇汁にセシウム混じる恐ろしさ 闇汁 12. 1. 27.
734 闇汁やセシウムあるを怖れけり 闇汁 12. 1. 27.
735 寒灯を消して句を詠む夢の中 寒灯 12. 1. 27.
736 ひびあかぎれ死語となりての野良作業 12. 1. 27.
737 濡れそぼち花振わせる冬すみれ 冬菫 12. 1. 27.
738 知らぬ間に庭のあちこち藪柑子 藪柑子 12. 1. 27.
739 冬珊瑚三色の実の揃い踏み 冬珊瑚 12. 1. 27.
740 冬薔薇どぎつき紅の女かな 冬薔薇 12. 1. 27.
741 モンローの唇のマークや冬薔薇 冬薔薇 12. 1. 28.
742 野水仙剪らるることなく川の辺に 水仙 12. 1. 28.
743 仲見世の飴切る音や初大師 初大師 12. 1. 28.
744 大寒やビージーズ聴く翁あり 大寒 12. 1. 28.
745 侘助や雪中花と言ふ名も持ちぬ 侘助 12. 1. 28.
746 寒木瓜やモンローのキス雨あられ 寒木瓜 12. 1. 28.
747 青木の実啄ばむ鳥のあるやなしや 青木の実 12. 1. 28.
748 ポインセチア花にあらずも装飾花 ポインセチア 12. 1. 28.
749 トントコと飴切る音や初大師 初大師 12. 1. 28.
750 枯葎掘りて溺死の鼠埋む 枯葎 12. 1. 28.
751 枯蔦に緑の蔦も混じる庭 枯蔦 12. 1. 29.
752 寒林の走り根の意思肯へり 寒林 12. 1. 29.
753 走り根で多田羅踏みたり枯木立 枯木立 12. 1. 29.
754 巨樹支ふ板根不動雪の岩 12. 1. 29.
755 寒禽の鋭き声や龍の玉 寒禽 12. 1. 29.
756 ぼうぼうと灰神楽舞ふ火鉢かな 火鉢 12. 1. 29.
757 湯がこぼれ灰神楽舞ふ火鉢かな 火鉢 12. 1. 29.
758 冬の雲日差しなきまま暮れなずむ 冬の雲 12. 1. 29.
759 橙の湯割りが旨し蕎麦焼酎 12. 1. 29.
760 低音でダミアの歌ふ寒夜かな 寒夜 12. 1. 29.
761 鉄幹の枝きらめきて雪雫 12. 1. 30.
762 雪晴の空寛恕たる風情なり 雪晴 12. 1. 30.
763 雪晴のひたすら眩し天と地と 雪晴 12. 1. 30.
764 寒詣少し剥がれし千社札 寒詣 12. 1. 30.
765 鈴緒振り頭を垂れる寒参 寒参 12. 1. 30.
766 大鈴をじゃらんと鳴らし寒参 寒参 12. 1. 30.
767 社にも寺にも鈴緒七福神 七福神 12. 1. 30.
768 雪凍てる道ぱりぱりと車ゆく 12. 1. 30.
769 百合鴎時計回りに巌に降り 百合鴎 12. 1. 30.
770 風邪ひくな落ち着いてやれ孫入試 風邪 12. 1. 30.
771 寒禽の声枝上の雪散らす 寒禽・雪 12. 2. 1.
772 鳥啼きて小枝の上の雪崩る 12. 2. 1.
773 結氷の池面を走る石たたき
(鶺鴒・石たたき
季語:秋)
12. 2. 1.
774 捨てられし愛の身代わり寒椿 寒椿 12. 2. 1.
775 紛らしく花びら散らす寒椿 寒椿 12. 2. 1.
776 血しぶきを花に変えたる寒椿 寒椿 12. 2. 1.
777 血しぶきと紛らわしくも寒椿 寒椿 12. 2. 1.
778 塵取りに掃き溜められし寒椿 寒椿 12. 2. 1.
779 紅のごみ生々し寒椿 寒椿 12. 2. 1.
780 奇樹怪樹氷川大社の冬欅 12. 2. 1.
781 寒梅の紅一輪を見つけたり 寒梅 12. 2. 2.
782 日に眩し盆栽村の寒桜 寒桜 12. 2. 2.
783 解けてなほ人ほほ笑ます雪達磨 雪達磨 12. 2. 2.
784 解けつつも人ほほ笑ます雪だるま 雪達磨 12. 2. 2.
785 解け出して笑みを誘ふや雪だるま 雪達磨 12. 2. 2.
786 雪達磨どれも円やか相似たり 雪達磨 12. 2. 2.
787 身を傾げ消え逝かんとす雪達磨 雪達磨 12. 2. 2.
788 童心の誘ひて作る雪だるま 雪達磨 12. 2. 2.
789 童心に誘はれ雪の達磨かな 雪達磨 12. 2. 2.
790 南天の髪飾り着け雪達磨 雪達磨 12. 2. 2.
791 紙コップの鼻高々雪達磨 雪達磨 12. 2. 3.
792 日脚伸ぶ夕焼け空の明るきこと 日脚伸ぶ 12. 2. 3.
793 日脚伸ぶ友の見舞いの帰り道 日脚伸ぶ 12. 2. 3.
794 バス待ちの人の列でき日脚伸ぶ 日脚伸ぶ 12. 2. 3.
795 寒夕焼来ぬバスを待つ人の列 寒夕焼 12. 2. 3.
796 路地奥に浮かぶ黒富士冬茜 冬茜 12. 2. 3.
797 冬茜黒富士浮かぶ路地の奥 冬茜 12. 2. 3.
798 冬夕焼薄れて光る星一つ 冬夕焼 12. 2. 3.
799 友見舞い星月冴ゆる道戻る 星冴ゆ・月冴ゆ 12. 2. 3.
800 友見舞い戻る夜道の月冴ゆる 月冴ゆ 12. 2. 3.
801 池底の寒鯉ときにゆらりとす 寒鯉 12. 2. 4.
802 大口で冬三日月のくしゃみかな 冬三日月 12. 2. 4.
803 探梅の足元を見ず転げかけ 探梅 12. 2. 4.
804 探梅をしつつ見つけし草の花 探梅行 12. 2. 4.
805 日向の樹ひなたの樹へと探梅行 探梅行 12. 2. 4.
806 探梅行早や昼時を迎えたり 探梅行 12. 2. 4.
807 早梅の数輪の下車座に 早梅 12. 2. 4.
808 一輪に声弾ませる探梅行 探梅行 12. 2. 4.
809 凍星の頭上高きに首縮め 凍星 12. 2. 4.
810 寒星の夜空広げし道遠し 寒星 12. 2. 4.
811 川越しにスカイツリーや初観音 初観音 12. 2. 5.
812 十両とは家主に似合ふ藪柑子 藪柑子 12. 2. 5.
813 葉牡丹の日時計の針正午指す 葉牡丹 12. 2. 5.
814 早梅の花少なきも賞でらるる 早梅 12. 2. 5.
815 寒椿葉の緑濃く花赤く 寒椿 12. 2. 5.
816 空の青染めて道端の犬ふぐり 犬ふぐり 12. 2. 5.
817 あらうれし一月尽に犬ふぐり 犬ふぐり 12. 2. 5.
818 冬と春綱引きをする犬ふぐり 犬ふぐり 12. 2. 5.
819 冬と春綱引き合ふて犬ふぐり 犬ふぐり 12. 2. 5.
820 刺す風に花振わせて犬ふぐり 犬ふぐり 12. 2. 5.
821 地が揺れて犬のふぐりの花も揺る 犬ふぐり 12. 2. 6.
822 花皮開けて蕾ふくらむ八重野梅 12. 2. 6.
823 梅林の口切り目指せ八重野梅 梅林 12. 2. 6.
824 満作や冬芽に覗く紅の色 満作 12. 2. 6.
825 山茱萸の冬芽が割れて黄花見ゆ 山茱萸の花 12. 2. 6.
826 塾終へて家路の児らに日脚伸ぶ 日脚伸ぶ 12. 2. 6.
827 巡視路や熊の寝息は空耳か
<奥多摩の山歩きでは、電力会社の送電線保守のための巡視路をよく利用した。奥多摩の山には月の輪熊が棲んでいる。>
12. 2. 6.
828 野原にも畑にも見えじ寒雀 寒雀 12. 2. 6.
829 蝋梅や化石のごとき実も一緒 蝋梅 12. 2. 6.
830 着ぶくれの犬に藁苞寒牡丹 寒牡丹 12. 2. 6.
831 つくばいに浮かび句になる冬紅葉 冬紅葉 12. 2. 7.
832 冬木の芽そっと蕾が覗きけり 冬木の芽 12. 2. 7.
833 白菜や枯葉で守る乙女肌 白菜 12. 2. 7.
834 寒禽の庭木の客は五種数ふ 寒禽 12. 2. 7.
835 池の鯉天井っこ張った氷越し 12. 2. 7.
836 寒あやめ花色薄く岩裾に 寒あやめ 12. 2. 7.
837 寒あやめ色ひかえめに岩裾に 寒あやめ 12. 2. 7.
838 梅はまだ道端に咲ける犬ふぐり 犬ふぐり 12. 2. 7.
839 山茱萸の冬芽わずかに開きけり 山茱萸・冬芽 12. 2. 7.
840 寒雀競ひて凍て土啄ばめり 寒雀 12. 2. 7.
841 地の凍る天空ゆるり鳶の舞ひ 凍る・鳶 12. 2. 8.
842 犬ふぐり咲く川辺道春隣 犬ふぐ利・春隣 12. 2. 8.
843 六連星寒波居座る空高く 六連星(寒昴)・寒波 12. 2. 8.
844 厳寒に成果を賭けて受験生 厳寒 12. 2. 8.
845 池の面走るがごとく凍てにけり 凍る 12. 2. 8.
846 水遣れば凍るを怖る冬菫 凍る・冬菫 12. 2. 8.
847 大寒を冬芽で凌ぐ梅林 大寒・冬芽 12. 2. 8.
848 人に似て吐く息白し寒鴉 息白し・寒鴉 12. 2. 8.
849 早梅や盆栽村の八重野梅 早梅 12. 2. 8.
850 蝋梅や花俯きて覗かしむ 蝋梅 12. 2. 8.
851 腰屈め見上げてこその蝋梅花 蝋梅 12. 2. 9.
852 孫二月少年となる入試かな 二月 12. 2. 9.
853 寒明けや孫の入試の朝ぼらけ
寒明け 12. 2. 9.
854 玉葱の苗根押し上ぐ霜柱 霜柱 12. 2. 9.
855 凍て畑や足跡ぬかる白菜抜き 凍て・白菜 12. 2. 9.
856 凍て畑にずしりと重き白菜抜く 凍て・白菜 12. 2. 9.
857 寒温み凍て土の畦を泥濘に 凍て 12. 2. 9.
858 ブロッコリー太き茎からざっくりと ブロッコリー 12. 2. 9.
859 凍て畑の葱泥つきで持ち帰り 凍て・葱 12. 2. 9.
860 葱焼いて食めばつるりと中が逃げ 12. 2. 9.
861 葱畑の表土が隠す霜柱 葱・霜柱 12. 2. 10.
862 立春と言へどいや増す寒さかな 立春 12. 2. 10.
863 近道やリンクのごときアイスバーン 12. 2. 10.
864 部屋内に豆二三粒鬼は外 鬼は外 12. 2. 10.
865 老夫婦小さき声で福は内 福は内 12. 2. 10.
866 鬼は内ふざけておらぶ児らの声 追儺 12. 2. 10.
867 追儺豆七と五に分け合わせ食む 追儺 12. 2. 10.
868 銀鼠に光まぶしき猫柳 猫柳 12. 2. 10.
869 猫柳冬にさよなら告げており 猫柳 12. 2. 10.
870 猫柳ひかり纏はる瀬音かな 猫柳 12. 2. 10.
871 カレンダー一枚剥いで寒明忌 寒明忌(2月1日:河東碧梧桐忌) 12. 2. 11.
872 春立つ日天底抜けに春の色 春立つ 12. 2. 11.
873 春立ちて冬芽名を変え木の芽満つ 春立つ 12. 2. 11.
874 ネクタイも花柄選び春立ちぬ 春立つ 12. 2. 11.
875 北からの風も春風春立ちぬ 春立つ 12. 2. 11.
876 バス待てば料峭の風顔撫でぬ 料峭 12. 2. 11.
877 春立つ日料峭の風つむじ風 料峭 12. 2. 11.
878 料峭や蒼天の月半身なり 料峭 12. 2. 11.
879 蒼天にはかなき月の余寒かな 余寒 12. 2. 11.
880 終日の雲なき空や春立ちぬ 春立つ 12. 2. 11.
881 昼の宴果てて家路の余寒かな 余寒 12. 2. 12.
882 雲垂るる街昏けれど寒の明け 寒明 12. 2. 12.
883 バレンタインデー重なる孫の誕生日 バレンタインの日 12. 2. 12.
884 春寒や庭の散り葉を掃き集む 春寒 12. 2. 12.
885 雲間から春寒緩む日の眩し 春寒 12. 2. 12.
886 春北風(はるならひ)なに企んで路地走る 春北風 12. 2. 12.
887 喉越しに白魚いくつ殺めしか 白魚 12. 2. 12.
888 白魚の踊り食ひせし河口の夜 白魚 12. 2. 12.
889 釜揚げをしらすおろしに春の味 12. 2. 12.
890 蕗の薹皇居の庭の片隅に 蕗の薹 12. 2. 12.
891 汐見坂登りし庭の蕗の薹 蕗の薹 12. 2. 13.
892 ベビーカー押すママの手に風車 風車 12. 2. 13.
893 入試突破十二の孫の春立ちぬ 春立つ 12. 2. 13.
894 合格の報告に行く孫の笑み 合格 12. 2. 13.
895 制服に夢ふくらます孫の春 12. 2. 13.
896 雪上に人立つ如く針供養(2月8日針供養) 針供養 12. 2. 13.
897 絵姿と言へど怖ろし踏み絵かな 踏み絵 12. 2. 13.
898 春遅しへくそかずらの枯実揺る 春遅し 12. 2. 13.
899 春浅し底魚のごとき池の魚 春浅し 12. 2. 13.
900 冴返る池底の魚身じろがず 冴返る 12. 2. 13.
901 野良失せて恋猫の声届かざり 恋猫 12. 2. 14.
902 春しぐれ投函延ばすことにして 春時雨 12. 2. 14.
903 春時雨ひなとの夢を見し朝(あした) 春時雨 12. 2. 14.
904 老いたれどひなとの夢や春時雨 春時雨 12. 2. 14.
905 バスの床濡れて黒々春しぐれ 春時雨 12. 2. 14.
906 川辺道ひと影もなし春時雨 春時雨
12. 2. 14.
907 音もなく池面を濡らす春しぐれ 春時雨
12. 2. 14.
908 パウチした朝刊届く春時雨 春時雨 12. 2. 14.
909 酒買いの足たたら踏む春時雨 春時雨 12. 2. 14.
910 止んだかと見れば降り継ぐ春しぐれ 春時雨 12. 2. 14.
911 川中で漁る白鷺春しぐれ 春時雨 12. 2. 15.
912 ひょいひょいと餌追ふ鷺や春時雨 春時雨 12. 2. 15.
913 艶めいて女の香残す花衣 花衣 12. 2. 15.
914 艶やかに女の香とどめ花衣 花衣 12. 2. 15.
915 衣更着(きさらぎ)と読みて納得けふ大安 衣更着 12. 2. 15.
916 如月を衣更着と書き頷けり 如月 12. 2. 15.
917 満作や紅いリボンの捻じれおり 満作 12. 2. 15.
918 ひこばえや大樹の根から天を突く ひこばえ 12. 2. 15.
919 黄梅や和服の女(ひと)の指触れぬ 黄梅 12. 2. 15.
920 引鴨も留まる鴨も光る瀬に 引鴨・残る鴨 12. 2. 15.
921 甲羅干す夢路の亀の鳴きにけり 亀鳴く 12. 2. 16.
922 蒟蒻の黒きに刺すや木綿針 針供養・針祭・針納 12. 2. 16.
923 さあ刺せと背中に受けし針千本 針供養・針祭・針納 12. 2. 16.
924 草餅のラップを取りてふた口で 草餅 12. 2. 16.
925 干鱈を摘まみて飲むや独り酒 干鱈 12. 2. 16.
926 目刺食むどの尾も焦げて皿に散り 目刺 12. 2. 16.
927 春めくや鯉の大口岸に寄す 春めく 12. 2. 16.
928 温む池鯉の大口寄せ来たり 温む池 12. 2. 16.
929 喉の奥見せて寄せ来る鯉の春 12. 2. 16.
930 水温み鯉の大口謂集せり 水温む 12. 2. 16.
931 春めくや大口で鯉餌をねだり 春めく 12. 2. 17.
932 口揃へ餌をねだり来る鯉の春 12. 2. 17.
933 水温み魚影素早く走り初む 水温む 12. 2. 17.
934 水温み魚影鋭く川を馳せ 水温む 12. 2. 17.
935 野川にも春の瀬音の高まれり 12. 2. 17.
936 光る瀬に魚影走らす柳鮠 柳鮠 12. 2. 17.
937 群れ走る魚影美し柳鮠 柳鮠 12. 2. 17.
938 帯となり瀬を柳鮠遊弋す 柳鮠 12. 2. 17.
939 鷺降りててんでんに散る鮠の群れ 12. 2. 17.
940 ひと網で掬いたくなる鮠の群れ 12. 2. 17.
941 一輪の花なきままに梅まつり 12. 2. 18.
942 さながらに探梅行の梅まつり 12. 2. 18.
943 一輪を探して歩く梅まつり 12. 2. 18.
944 あしたにはせめて一枝梅まつり 12. 2. 18.
945 あらさみし蕾のままの梅まつり 12. 2. 18.
946 一枝の花なきままに梅まつり 12. 2. 18.
947 寒明けど蕾のままの梅まつり 12. 2. 18.
948 満作や短冊崩しの花数輪 満作 12. 2. 18.
949 満作や数輪なれどほつれ咲く 満作 12. 2. 18.
950 恋猫や恋忘るれば老いし猫 恋猫 12. 2. 18.
951 春寒や猫の手募集てふ募集 春寒 12. 2. 19.
952 梅林の花の遅れし建国日 梅林・建国記念日 12. 2. 19.
953 梅まつり梅綻ばぬ建国日 梅・建国記念日 12. 2. 19.
954 土曜日の振り替えはなく建国日 建国記念日 12. 2. 19.
955 豪雪の横穴掘ればかまくらぞ かまくら 12. 2. 19.
956 家ごとのかまくらとなる豪雪禍 かまくら 12. 2. 19.
957 春の夢こころ和める女人はも 12. 2. 19.
958 春の鴨頸しなやかに捩じりけり 春鴨 12. 2. 19.
959 春鴨やお尻ぴょこりと直立し 春鴨 12. 2. 19.
960 風と言ふほどにもなくて梅枝揺る 梅枝 12. 2. 19.
961 亀鳴かせ蚯蚓も鳴かす俳の道 亀鳴く 12. 2. 20.
962 亀鳴くや季節違えば蚯蚓鳴く 亀鳴く 12. 2. 20.
963 よしとしたことをなじられ亀鳴けり 亀鳴く 12. 2. 20.
964 恋すれば高まる鼓動亀鳴けり 亀鳴く 12. 2. 20.
965 亀鳴くや恋の季節の息遣い 亀鳴く 12. 2. 20.
966 青春の猪突猛進亀鳴けり 亀鳴く 12. 2. 20.
967 生きる技悟らずに老ひ亀鳴けり 亀鳴く 12. 2. 20.
968 亀鳴くを聴く耳持てば悟りかな 亀鳴く 12. 2. 20.
969 亀鳴くやわが来た道の泣き笑ひ 亀鳴く 12. 2. 20.
970 亀に訊く鳴くにはあらぬ忍び泣き 亀鳴く 12. 2. 20.
971 春の空赤い塔立つ不動尊
<2.12.高幡不動での春耕新年俳句大会に参加>
春の空 12. 2. 21.
972 ほろほろと苦味走らせ蕗の薹 蕗の薹 12. 2. 21.
973 カルメンの春せえたあもありぬべし 12. 2. 21.
974 よろぼふて道行く人の余寒かな 余寒 12. 2. 21.
975 レジの娘の胸ほっこりと春セーター 12. 2. 21.
976 春光や身に厳しさも兼ね合わせ 春光 12. 2. 21.
977 うららかや犬の散歩の立ち話 うららか 12. 2. 21.
978 のどかさや入試終わりし孫の部屋 のどか 12. 2. 21.
979 竹林の奥に明るき春日かな 春の日 12. 2. 21.
980 春霞む淀に浮かみし花まわる 春霞 12. 2. 21.
981 春日受け自転車の人歩く人 春の日 12. 2. 22.
982 トラクター見遣りつ鍬で畑を打つ 畑打 12. 2. 22.
983 畑打てば土に跳ねいる赤きもの 畑打 12. 2. 22.
984 畑打てば土黒々と日の光 畑打 12. 2. 22.
985 畑打や力仕事の一つなり 畑打 12. 2. 22.
986 遊び心楽しむバレンタインの日 バレンタインの日 12. 2. 22.
987 愛なくも気軽に渡す愛のチョコ バレンタインの日 12. 2. 22.
988 恋人に口移しする愛のチョコ バレンタインの日 12. 2. 22.
989 愛のチョコ恋人だけは口移し バレンタインの日 12. 2. 22.
990 義理チョコや少々苦味つよいチョコ バレンタインの日 12. 2. 22.
991 義理チョコに義理でごめんの但し書き バレンタインの日 12. 2. 23.
992 手作りの失敗チョコも混ざりけり バレンタインの日 12. 2. 23.
993 チョコ食べつバレンタインてどんな人 バレンタインの日 12. 2. 23.
994 ココア飲むバレンタインの日なりせば バレンタインの日 12. 2. 23.
995 孫来たるバレンタインの日の生まれ バレンタインの日 12. 2. 23.
996 春の雨とは言へ冷へし小糠雨 春の雨 12. 2. 23.
997 ガレージに古着ならぶや獺祭 獺祭 12. 2. 23.
998 黄梅や犬の目線に花咲けり 黄梅 12. 2. 23.
999 四十雀花なき枝を見限るや 四十雀 12. 2. 23.
1000 四十雀その次の名は五十雀 四十雀・五十雀 12. 2. 23.


♪BGM:Chopin[Nocturne8]arranged by Pian♪

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第1回
千句を詠む
第3回
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第4回
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第5回
俳句目次

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