鈴童
一日一句春夏秋冬

(2011年版)

        

<そのV>

[夏・秋の部](8月〜10月)


アサガオ ボタンクサギ ノカンゾウ フヨウ
クサギ ギボウシ ムクゲ サルスベリ
◆8月
1日 葉の陰に頑固一徹石榴の実
2日 青森ねぶた祭 凌霄の仇な女のごとく咲く
3日 秋田竿灯祭 ふんわりと牡丹臭木の花の群れ
4日 えごの木や花の数だけ実を下げて
5日 あちこちでめらめらと咲く百日紅
6日 広島原爆の日
仙台七夕祭
原発の汚染に怯え原爆忌
7日 花木槿一片ずつに紅刷けり
8日 立秋 破れ翅や逝く場所探す母の蝶
9日 長崎原爆の日 プロメテの轍を踏みたる原発禍
10日 初蝉のじじっと鳴いて逃げにけり
11日 水遣りの小さな虹や日の眩し
12日 阿波踊り 六分の一切れで買ふ西瓜かな
13日 大輪の芙蓉の紅に惑いけり
14日 旧盆・満月 どぜう鍋食う間も煮立つ気ぜわしさ
15日 月遅れ盆
終戦の日
玉音の甲高き声終戦日
16日 京都・箱根大文字 大文字の割木も駄目と被災松
17日 ずずずっといなせが喰らう心太
18日 孫鉄は鈍行で行く夏休み
19日 灸花(やいとばな)貼り付く荒家熱かりき
20日 濃い美女の暑きに似たる舌切草(したきそう)
21日 窓開けて招き入るるや処暑の風
22日 水引や紅の雫を連ねをり
23日 処暑 凌霄花(のうぜんか)風なきままにきょうは処暑
24日 羅(うすもの)のカーテン揺れて処暑の風
25日 エコ簾(すだれ)もいで食らいしごーやかな
26日 うつらうつら夢路に辿る秋へんろ
27日 蚰蜒(げじ)蚯蚓(みみず)慌てふためく畑起こし
28日 どんと鳴る昼の花火や韮の花
29日 (旧8月1日) 一夜明け濡れて萎める月見草
30日 揃い立ち誰迎えるや玉すだれ
31日 一日に命燃やして花さぼてん

◆9月
1日 二百十日・風の盆 水引や紅い雫を連ねをり
2日 花色の暑さ?き立つ凌霄花
3日 溝蕎麦(みぞそば)の淡き紅色瀬音聞く
4日 耳鳴りか耳を澄ませば螻蛄(おけら)鳴く
5日 若栗の鮮緑色に転がりて
6日 つつつつつ つつつと走る黄鶺鴒(きせきれい)
7日 乙女の胸触れて閉じたる含羞草(おじぎそう)
8日 白露 秋の蝶わが頬に触れ飛び去りぬ
9日 重陽 死の灰の広がり憂ふ米の穫り入れ
10日 秋の蚊の腕に止まるを吹いて追い
11日 二百二十日 塾終えて無月の道を走る子ら
12日 十五夜・満月 兼好の月翫(もてあそ)ぶ良夜かな
13日 てんでんに尻尾振りおり猫じゃらし
14日 露草や藍鮮やかに色仕掛け
15日 秋の日や金水引の花眩し
16日 ごーや下げ青々茂る秋簾
17日 鶏頭や情痴の態で生々し
18日 秋の蚊や水撒く腕に五六匹
19日 敬老の日 軽老も楽しからずや敬老の日
20日 秋彼岸入り 蛇穴や絡まり眠る山楝蛇(やまかがし)
21日 畑作業汗を拭えば鰯雲
22日 「取り合えずビール枝豆」と声かけて
23日 秋分 秋茄子の小粒ながらも艶々と
24日 聞こえるや釣鐘人参秋の音
25日 優曇華(うどんげ)や草蜉蝣に化けにけり
26日 秋彼岸明け 鬼やんま武将のごとき面構え
27日 食害の飛蝗(ばった)はすべて疎ましき
28日 酒飲みに鏡のごとき酔芙蓉
29日 大いなる雫の形ラフランス
30日 ひややかに胃袋探る内視鏡

♪BGM:文部省唱歌[虫の声]arranged by Ripple♪


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