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鈴童の遊び

1	牡蠣尽くし広島の夜は更けにけり	牡蠣	冬	19.12.9.
2	海鼠腸（このわた）に海鼠子（このこ）も出でて海鼠の夜	海鼠	冬	19.12.9.
3	切られの与三共喰ひのごと海鼠食む	海鼠	冬	19.12.9.
4	やいお富振られ男が海鼠食む	海鼠	冬	19.12.9.
5	虫愛ずる姫部屋飼ひの冬の蝶	冬の蝶	冬	19.12.9.
6	うるめ焼き車座で呑む茶碗酒	潤目鰯	冬	19.12.9.
7	鱈と書き紛ふことなき雪の肌	鱈	冬	19.12.9.
8	坊ちゃんに癇癪託し漱石忌	漱石忌	冬	19.12.10.
9	スマホ繰る老若男女漱石忌	漱石忌	冬	19.12.10.
10	総勢がお出でおいでと枯芒	枯芒	冬	19.12.10.
11	息白き子ら次々と登校路	息白し	冬	19.12.10.
12	眠りつつ日差しに移る浮寝鳥	浮寝鶏	冬	19.12.10.
13	冬虹や山越えて行く送電線	冬虹	冬	19.12.10.
14	郵便の赤いバイクや冬の虹	冬虹	冬	19.12.10.
15	水車朽ち無人の里の枯芒	枯芒	冬	19.12.10.
16	雲低く街冷え冷えと冬の雷	冬の雷	冬	19.12.10.
17	ごろごろと鳴ってそのまま冬の雷	冬の雷	冬	19.12.10.
18	ごろごろと鳴ってそれきり冬の雷	冬の雷	冬	19.12.10.
19	いら立ちの少し薄れて冬の虹	冬虹	冬	19.12.10.
20	スーパーの入り口で売る注連飾り	注連飾り	冬	19.12.10.
21	レジ袋顔出してゐる注連飾り	注連飾り	冬	19.12.10.
22	見下して人見くびるや寒鴉	寒鴉	冬	19.12.11.
23	寒鴉人を食ったる面構へ	寒鴉	冬	19.12.11.
24	人を見て人と思はぬ寒鴉	寒鴉	冬	19.12.11.
25	木のてっぺん餌場を計る寒鴉	寒鴉	冬	19.12.11.
26	したり顔こにくらしきや寒鴉	寒鴉	冬	19.12.11.
27	見下ろして人品定め寒鴉	寒鴉	冬	19.12.11.
28	裏かけばその裏をかく寒鴉	寒鴉	冬	19.12.11.
29	人間と悪知恵競ふ寒鴉	寒鴉	冬	19.12.11.
30	七つの子流れる日暮れ寒鴉	寒鴉	冬	19.12.11.
31	コンビニの捨て場で肥ゆる寒鴉	寒鴉	冬	19.12.11.
32	企みを巡らしかあと寒鴉	寒鴉	冬	19.12.11.
33	二癖も三癖もありて寒鴉	寒鴉	冬	19.12.11.
34	視線合ひぷいと横向く寒鴉	寒鴉	冬	19.12.11.
35	スマホ繰る列に阿呆と勘鴉	寒鴉	冬	19.12.11.
36	コンビニの弁当飽きし寒鴉	寒鴉	冬	19.12.11.
37	白鷺や多摩の横山雪もよひ	雪催	冬	19.12.11.
38	えいやあと抜く子抜けぬ子大根引	大根引	冬	19.12.11.
39	欠航の佐渡は荒海虎落笛	虎落笛	冬	19.12.11.
40	風強き竜飛岬の虎落笛	虎落笛	冬	19.12.11.
41	欠航の佐渡の海風虎落笛	虎落笛	冬	19.12.12.
42	虎落笛すすり泣く音や佐渡情話	虎落笛	冬	19.12.12.
43	寝付かれぬ宿の枕辺虎落笛	虎落笛	冬	19.12.12.
44	寒月や鉄橋渡る貨車百輌	寒月	冬	19.12.12.
45	スマホ繰りつ凍て路過ぎ行く女靴	凍つ	冬	19.12.12.
46	スマホ繰りつ凍て路かたかた女靴	凍つ	冬	19.12.12.
47	寒満月森の暗さを照らし出す	寒満月	冬	19.12.12.
48	天突ひて雪吊雪を促せる	雪吊	冬	19.12.12.
49	雪吊の縄の新たに兼六園	雪吊	冬	19.12.12.
50	蒼天に雪吊凛と時待てり	雪吊	冬	19.12.12.
51	浪の花瘡蓋剥がす日本海	波の花	冬	19.12.12.
52	荒海や意気軒高の波の花	波の花	冬	19.12.12.
53	荒海の瘡蓋を剥ぐ浪の花	波の花	冬	19.12.12.
54	荒海の瘡蓋なりぬを浪の花	波の花	冬	19.12.12.
55	越前やしゃぼんだらけの波の花	波の花	冬	19.12.12.
56	浮寝鳥脚は冷たき水の中	浮寝鳥	冬	19.12.13.
57	大手濠浮寝の鴨の多種多様	鴨	冬	19.12.13.
58	肩に嘴埋めて眠る浮寝鳥	浮寝鳥	冬	19.12.13.
59	一群の安眠託す見張り鴨	鴨	冬	19.12.13.
60	両脚をブレーキにして鴨着水	鴨	冬	19.12.13.
61	水脈の山水脈の底にも都鳥	都鳥	冬	19.12.13.
62	大川を行き交う船や都鳥	都鳥	冬	19.12.13.
63	吾妻橋水脈幾筋も都鳥	都鳥	冬	19.12.13.
64	水に浮き水に守られ浮寝鳥	浮寝鳥	冬	19.12.13.
65	浮くことに飽きて潜るや鳰（かいつぶり）	鳰	冬	19.12.13.
66	腹空けばついと潜りし鳰	鳰	冬	19.12.13.
67	淡海をば己が生簀に鳰	鳰	冬	19.12.13.
68	掘炬燵恋の二人の足話かな	炬燵	冬	19.12.14
69	熱々が取り柄で啜る根深汁	根深汁	冬	19.12.14
70	根深汁舌焼きながら啜りけり	根深汁	冬	19.12.14
71	調理場の賄い飯や納豆汁	納豆汁	冬	19.12.14
72	根深汁ぶっかけにした少年期	根深汁	冬	19.12.14
73	客待ちつ英字紙を読む焼藷屋	焼藷	冬	19.12.14
74	鍋焼の出てくるまでの手酌かな	鍋焼	冬	19.12.14
75	鍋料理果てて出さるる牡蠣雑炊	雑炊	冬	19.12.14
76	欠航の佐渡延泊や寒卵	寒卵	冬	19.12.14
77	生醤油を落しかき混ぜ寒卵	寒卵	冬	19.12.14
78	熱々の飯炊き上がり寒卵	寒卵	冬	19.12.14
79	手をこすり首を竦めて寒の入り	寒の入り	冬	19.12.15
80	行き交う人みな前かがみ寒に入る	寒の入り	冬	19.12.15
81	遠見富士きりりと締まり寒に入る	寒の入り	冬	19.12.15
82	黒猫の狭庭過ぎ行く寒の入り	寒の入り	冬	19.12.15
83	鼻の頭冷えて涙目寒の入り	寒の入り	冬	19.12.15
84	畑隅でゆまる農夫や寒に入る	寒の入り	冬	19.12.15
85	はたはたとヘリ飛ぶ空や寒に入る	寒の入り	冬	19.12.15
86	寒に入る電子サインの宅配便	寒の入り	冬	19.12.15
87	寒の入り裸ぶつかる相撲部屋	寒の入り	冬	19.12.15
88	とんび舞ふ紺碧の空寒の入り	寒の入り	冬	19.12.15
89	凛として雪吊雪を待つ風情	雪吊	冬	19.12.15
90	凛として雪吊雪を待ちにけり	雪吊	冬	19.12.15
91	木枯やシャッター街の音寂し	木枯	冬	19.12.15
92	木枯や人そそくさと急ぎ足	木枯	冬	19.12.15
93	木枯の戸惑っている海の上	木枯	冬	19.12.15
94	木枯や腹を見透かす内視鏡	木枯	冬	19.12.15
95	木枯や石蹴りしつつ下校の子	木枯	冬	19.12.15
96	日溜りに肩寄せふくら雀かな	ふくら雀	冬	19.12.15
97	一握り米撒く庭に寒すずめ	寒雀	冬	19.12.15
98	米撒けば次々増ゆる寒雀	寒雀	冬	19.12.15
99	矢継ぎ早や米を啄ばむ寒すずめ	寒雀	冬	19.12.15
100	低く飛ぶ嘴太鴉雪もよひ	雪催ひ	冬	19.12.15
101	池の底鯉鎮まりて雪催ひ	雪催ひ	冬	19.12.15
102	街灯の早々灯る雪催ひ	雪催ひ	冬	19.12.15
103	豆腐屋の喇叭懐かし雪催ひ	雪催ひ	冬	19.12.15
104	崎陽軒弁当を食ふ雪催ひ	雪催ひ	冬	19.12.15
105	神木の幹に新し注連飾り	注連飾り	冬	19.12.15
106	狛犬の首にも新た注連飾り	注連飾り	冬	19.12.15
107	母呼びて誠悲しや虎落笛	虎落笛	冬	19.12.16
108	彼の地から母呼ぶ声や虎落笛	虎落笛	冬	19.12.16
109	啜り泣きときに悲鳴の虎落笛	虎落笛	冬	19.12.16
110	はたはたと戸を打つ風や虎落笛	虎落笛	冬	19.12.16
111	首里城の焼失悲し虎落笛	虎落笛	冬	19.12.16
112	首里城を偲ぶ夜ごとの虎落笛	虎落笛	冬	19.12.16
113	土砂投入続く辺野古や虎落笛	虎落笛	冬	19.12.16
114	北の海牙剥く岬虎落笛	虎落笛	冬	19.12.16
115	ひゅうひゅうと旅寝の宿の虎落笛	虎落笛	冬	19.12.16
116	北の果て旅寝の宿の虎落笛	虎落笛	冬	19.12.16
117	啜り泣き嗚咽も混ざる虎落笛	虎落笛	冬	19.12.16
118	母を恋ふ水子の夜泣き虎落笛	虎落笛	冬	19.12.16
119	母を恋ふ水子泣くかに虎落笛	虎落笛	冬	19.12.16
120	しみじみと旅の枕の虎落笛	虎落笛	冬	19.12.16
121	近頃はほんのお義理の注連飾	注連飾	冬	19.12.17
122	輪飾りをドアに懸けて年用意	年用意	冬	19.12.17
123	年用意朝から続く妻の下知	年用意	冬	19.12.17
124	白菜を丸ごと買ひて年用意	年用意	冬	19.12.17
125	日暮れなほ岬に踊る野水仙	水仙	冬	19.12.17
126	柊の花はらはらと香も零す	柊の花	冬	19.12.17
127	柊の零ちて白き花蓆	柊の花	冬	19.12.17
128	わが狭庭朴の木なくて朴落葉	朴落葉	冬	19.12.17
129	白珊瑚もどきにひそと花八つ手	花八つ手	冬	19.12.17
130	羽打ち合ひ猛禽のさが大白鳥	白鳥	冬	19.12.17
131	猛禽と化して諍ふ大白鳥	白鳥	冬	19.12.17
132	舞姫も大狂乱や大白鳥	白鳥	冬	19.12.18
133	クロネコは少し小走り雪催ひ	雪催	冬	19.12.18
134	宅配の少し小走り雪催ひ	雪催	冬	19.12.18
135	宅配の小走りで行く雪催ひ	雪催	冬	19.12.18
136	アトリエのモデル全裸で雪催ひ	雪催	冬	19.12.18
137	アトリエのヌードモデルや雪催ひ	雪催	冬	19.12.18
138	若者ら昭和のオーバー雪催ひ	雪催	冬	19.12.18
139	部屋飼いの犬きゃんきゃんと雪曇り	雪曇り	冬	19.12.18
140	雪催ひ半袖もゐる登校路	雪催	冬	19.12.18
141	雪催ひ鳥の声せぬ狭庭かな	雪催	冬	19.12.18
142	朝練の一番ノック雪催ひ	雪催	冬	19.12.18
143	朝練の百本ノック雪催ひ	雪催	冬	19.12.18
144	霜焼もあかぎれもなし令和の子	霜焼・あかぎれ	冬	19.12.18
145	早口で打合せして鷦鷯（みそさざい）	鷦鷯	冬	19.12.18
146	鶏頭の枯れて無残の立ち姿	枯鶏頭	冬	19.12.18
147	早よ抜けと呼びてゐるかに枯鶏頭	枯鶏頭	冬	19.12.18
148	枯鶏頭ごうごう燃ゆる焼却炉	枯鶏頭	冬	19.12.18
149	木枯やシャッター街の啜り泣き	木枯	冬	19.12.18
150	えいやあと抜けずねそかく大根引	大根引	冬	19.12.18
151	羽打ち合ひ猛禽と化す大白鳥	白鳥	冬	19.12.18
152	人生は儚きものと虎落笛	虎落笛	冬	19.12.19
153	人生の儚きに耐え虎落笛	虎落笛	冬	19.12.19
154	虎落笛旅の枕の子守歌	虎落笛	冬	19.12.19
155	風の子の吹き競ふかに虎落笛	虎落笛	冬	19.12.19
156	悲鳴あり啜り泣きあり虎落笛	虎落笛	冬	19.12.19
157	魂の寄り来て泣くや虎落笛	虎落笛	冬	19.12.19
158	音楽室子らの競ひし虎落笛	虎落笛	冬	19.12.19
159	哀しみを風に託して虎落笛	虎落笛	冬	19.12.19
160	北の海うねり立ちをり虎落笛	虎落笛	冬	19.12.19
161	読み聞かす戦争の悲話もがり笛	虎落笛	冬	19.12.19
162	臨時ニュース流るるラジオ開戦日	開戦日	冬	19.12.19
163	灯台に灯の入る岬雪もよひ	雪催	冬	19.12.19
164	雪もよひ半袖もゐる登校児	雪催	冬	19.12.19
165	「やきいもお」南部訛りの焼藷屋	焼藷	冬	19.12.20
166	寒の入この季語の句を一句詠む	寒の入	冬	19.12.20
167	街灯の早々灯り日の短か	日短	冬	19.12.20
168	気忙しさ募る一日日の短か	日短	冬	19.12.20
169	鳥どちの鋭き鳴き音寒に入る	寒の入	冬	19.12.20
170	底冷に身震ひ一つ雨戸引く	底冷	冬	19.12.20
171	底冷や全身毛皮の野良よぎる	底冷	冬	19.12.20
172	身じろぎもせずに大仏冬日向	冬日向	冬	19.12.20
173	木枯や旧街道の低き軒	木枯	冬	19.12.20
174	ただ見上げ眺めるだけの冬銀河	冬銀河	冬	19.12.20
175	頭にも肩にも霜載せ野の仏	霜	冬	19.12.20
176	完膚無きまでに食はるる海鼠かな	海鼠	冬	19.12.20
177	真海鼠の跡形もなく食はれたり	海鼠	冬	19.12.20
178	酒のあて三種の皿の海鼠かな	海鼠	冬	19.12.20
179	酢海鼠食み海鼠腸海鼠子啜る酒	海鼠	冬	19.12.20
180	酒のあて徹して旨き海鼠かな	海鼠	冬	19.12.20
181	酒のあて捨てるとこ無き海鼠かな	海鼠	冬	19.12.20
182	電柱にしたり顔して寒鴉	寒鴉	冬	19.12.21
183	人間の異形蔑む寒鴉	寒鴉	冬	19.12.21
184	吹き溜まる能登の荒磯の波の花	波の花	冬	19.12.21
185	東尋坊心泡立つ波の花	波の花	冬	19.12.21
186	逆巻きし荒磯降り積む波の花	波の花	冬	19.12.21
187	ひたぶるに怒りの礒の浪の花	浪の花	冬	19.12.21
188	吹き溜まり荒磯舞ひ飛ぶ浪の花	浪の花	冬	19.12.21
189	海昏し磯に飛び散る浪の花	浪の花	冬	19.12.21
190	吹き溜まる怒りとも見ゆ波の花	波の花	冬	19.12.21
191	ひたぶるに怒りの果ての浪の花	浪の花	冬	19.12.21
192	風しだき逆巻く荒磯浪の花	浪の花	冬	19.12.21
193	虫食ひの跡も絵になる柿落葉	柿落葉	冬	19.12.22
194	虫食ひも色に加えて柿落葉	柿落葉	冬	19.12.22
195	柿落葉風に吹かれて裏表	柿落葉	冬	19.12.22
196	柿落葉貼り付けしごと大絵皿	柿落葉	冬	19.12.22
197	石庭に吹き紛れたる柿落葉	柿落葉	冬	19.12.22
198	一枚に色多彩なり柿落葉	柿落葉	冬	19.12.22
199	飛び石もほどよく散らし柿落葉	柿落葉	冬	19.12.22
200	舞ひ散りて後に愛でらる柿落葉	柿落葉	冬	19.12.22
201	石庭に色を加えし柿落葉	柿落葉	冬	19.12.22
202	いましばし掃くを待たれよ柿落葉	柿落葉	冬	19.12.22
203	敷き詰むまで掃くを控えて柿落葉	柿落葉	冬	19.12.22
204	北の海時化の夜に聞く虎落笛	虎落笛	冬	19.12.23
205	虎落笛聞きつ夢路の北の宿	虎落笛	冬	19.12.23
206	北の海心して聞く虎落笛	虎落笛	冬	19.12.23
207	北辺の宿のウリなり虎落笛	虎落笛	冬	19.12.23
208	北の海吹き来る風や虎落笛	虎落笛	冬	19.12.23
209	能登人の寡黙に代はり虎落笛	虎落笛	冬	19.12.23
210	海の辺の水子地蔵や虎落笛	虎落笛	冬	19.12.23
211	水子らの母呼ぶ声や虎落笛	虎落笛	冬	19.12.23
212	山寺の背山夜泣きの虎落笛	虎落笛	冬	19.12.23
213	廃村を抜け行く風や虎落笛	虎落笛	冬	19.12.23
214	裏山の墓地に夜泣きの虎落笛	虎落笛	冬	19.12.23
215	灯台に灯の入る岬虎落笛	虎落笛	冬	19.12.23
216	過疎の浜寂しさ煽る虎落笛	虎落笛	冬	19.12.23
217	切れ切れの音こそ寂し虎落笛	虎落笛	冬	19.12.23
218	杣小屋でどぶろく酌めば虎落笛	虎落笛	冬	19.12.23
219	杣小屋でどぶろく酌む夜虎落笛	虎落笛	冬	19.12.23
220	金に縁薄き暮らしや一茶の忌	柚子湯	冬	19.12.24
221	ぽかりぽかり首の回りに柚子湯かな	柚子湯	冬	19.12.24
222	バスタブに柚子二つ浮く冬至風呂	冬至風呂	冬	19.12.24
223	冬の星見向きもせずにスマホ族	冬の星	冬	19.12.24
224	洗濯物取込み忘れ冬銀河	冬銀河	冬	19.12.24
225	廃集落光あまねく冬の月	冬の月	冬	19.12.24
226	霜柱大地押上げ交交はらず	霜柱	冬	19.12.24
227	朝採りの畑を歌はせ霜柱	霜柱	冬	19.12.24
228	見詰むほど神秘不思議の霜柱	霜柱	冬	19.12.24
229	黒猫のにゃおと啼けり冬銀河	冬銀河	冬	19.12.24
230	ジングルベル溢れし昭和の聖夜かな	聖夜	冬	19.12.24
231	ジングルベル聞かぬ令和の聖夜かな	聖夜	冬	19.12.24
232	ジングルベル昭和懐かし聖夜かな	聖夜	冬	19.12.24
233	隅田川着かず離れず福詣	福詣	新年	19.12.25
234	寺に神お在す不思議や福詣	福詣	新年	19.12.25
235	多国籍神々めぐる福詣	福詣	新年	19.12.25
236	一万歩超ゆる七福詣かな	福詣	新年	19.12.25
237	スカイツリーひょいと顔出す福詣	福詣	新年	19.12.25
238	墨堤を風の過ぎ行く福詣	福詣	新年	19.12.25
239	青い目も加はり巡る福詣	福詣	新年	19.12.25
240	青い目も仲間に巡る福詣	福詣	新年	19.12.25
241	福詣で終えて名題の餅を食ふ	福詣	新年	19.12.25
242	福詣終えて渡りし吾妻橋	福詣	新年	19.12.25
243	異教徒も楽しく巡る福詣	福詣	新年	19.12.25
244	多国籍仲良く巡る福詣	新年	新年	19.12.26
245	狐火と言ふ暗闇の無ひ都会	狐火	冬	19.12.26
246	狐火はやはり墓地かと来てみたが	狐火	冬	19.12.26
247	狐火を見た者をらずしらけけり	狐火	冬	19.12.26
248	狐火で問ひ詰めらるる理科教師	狐火	冬	19.12.26
249	狐火を楽しむ会もありぬべし	狐火	冬	19.12.26
250	狐火をテーマの吟行夜の墓地	狐火	冬	19.12.26
251	狐火やゆらゆら燃ゆるメタンガス	狐火	冬	19.12.26
252	狐火の正体見たりメタンガス	狐火	冬	19.12.26
253	狐火のとんと出ずなり墓マンション	狐火	冬	19.12.26
254	異教徒も嬉々と巡るや福詣	福詣	新年	19.12.26
255	クロネコ便いつも小走り雪もよひ	雪催	新年	19.12.26
256	異教徒も呉越同舟福詣	福詣	新年	19.12.26
257	多国籍嬉々と巡りし福詣	福詣	新年	19.12.26
258	冬晴や発破轟く石切り場	冬晴	冬	19.12.27
259	眠りつつ日向に移る浮寝鳥	浮寝鳥	冬	19.12.27
260	句仲間と巡る七福詣かな	七福詣	新年	19.12.27
261	賽銭用銅貨ずしりと福詣	福詣	新年	19.12.27
262	七福をめぐり仕上げの蕎麦屋酒	七福詣	新年	19.12.27
263	墨堤の名題の餅や福詣	福詣	新年	19.12.27
264	三囲の恵比寿で始む福詣	福詣	新年	19.12.27
265	異教徒も手を合せるや福詣	福詣	新年	19.12.27
266	立膝の弁財天や福詣	福詣	新年	19.12.27
267	一福ごと万歩計見る福詣	福詣	新年	19.12.27
268	巡るごと万歩計見る福詣	福詣	新年	19.12.27
269	七福神めぐりて旨し蕎麦屋酒	七福神巡り	新年	19.12.27
270	福詣終えれば旨し蕎麦屋酒	福詣	新年	19.12.27
271	鷽替へてなぜか苦笑の二人かな	鷽替	新年	19.12.27
272	鷽替へて今年の嘘のつき初め	鷽替	新年	19.12.27
273	鷽替へて指切りをする二人かな	鷽替	新年	19.12.27
274	過疎の里抜け行く風や虎落笛	虎落笛	冬	19.12.27
275	座敷童子啜り泣くかに虎落笛	虎落笛	冬	19.12.27
276	吹き抜けて木枯迷ふ海の上	木枯	冬	19.12.28
277	健脚のはしごして行く初詣	初詣	新年	19.12.28
278	咲き揃ふ一粒一花稲の花	稲の花	秋	19.12.28
279	路地奥の日溜り眩し初日かな	初日	新年	19.12.28
280	狭庭にもきりりと差しぬ初日かな	初日	新年	19.12.28
281	背の高き赤松の道初松籟	初松籟	新年	19.12.28
282	いまは細きお鷹の道や初松籟	初松籟	新年	19.12.28
283	お鷹の道音なき音や初松籟	初松籟	新年	19.12.28
284	二百歩の鎮守の杜へ初詣	初詣	新年	19.12.28
285	鐘の音遠くに聞きつ初詣	初詣	新年	19.12.28
286	熱々の甘酒賜ふ初詣	初詣	新年	19.12.28
287	数へ日や追ひ立てらるるばかりなり	数へ日	冬	19.12.29
288	矢継ぎ早妻の下知ある年の暮	年の暮	冬	19.12.29
289	年に一度食卓に載る草石蚕（ちょろぎ）かな	草石蚕	新年	19.12.29
290	あってよし無くてもよしの草石蚕かな	草石蚕	新年	19.12.29
291	難読の草石蚕と出合ふおせちかな	草石蚕	新年	19.12.29
292	重詰めに呪ひめきし草石蚕かな	草石蚕	新年	19.12.29
293	文字不思議読み面白き草石蚕かな	草石蚕	新年	19.12.29
294	草石蚕書け読めれば君も東大王	草石蚕	新年	19.12.29
295	超難読草石蚕読めれば東大王	草石蚕	新年	19.12.29
296	黒豆にあってよし無くて困らぬ草石蚕かな	草石蚕	新年	19.12.29
297	意味知らず意味なく食みし草石蚕かな	草石蚕	新年	19.12.29
298	重詰の空ければ草石蚕忘れられ	草石蚕	新年	19.12.29
299	老妻と誤嚥怖れつ雑煮食む	雑煮	新年	19.12.30
300	七周りせし干支や屠蘇祝ふ	屠蘇	新年	19.12.30
301	反省のポーズに拍手猿回し	猿回し	新年	19.12.30
302	反省のポーズで稼ぐ猿回し	猿回し	新年	19.12.30
303	手毬唄昭和とともに消えにけり	手毬唄	新年	19.12.30
304	早や遠き昭和となりぬ手毬唄	手毬唄	新年	19.12.30
305	独楽回す子らの昭和の遠きかな	独楽回し	新年	19.12.30
306	密封のプラスチックや鏡餅	鏡餅	新年	19.12.30
307	長命寺さくらもち食ふ福詣	福詣	新年	19.12.30
308	ほとんどが宛名ソフトの賀状来る	年賀状	新年	19.12.30
309	半世紀会はず賀状のお付き合ひ	年賀状	新年	19.12.30
310	一月の巻き癖残るカレンダー	一月	冬	19.12.31
311	一月やあっと言ふ間の月替り	一月	冬	19.12.31
312	一年の締めの夜に酌む濁り酒	大晦日	冬	19.12.31
313	指揮棒の止まる第九や除夜の鐘	除夜の鐘	新年	19.12.31
314	鮮やかにゴーン高飛び大晦日	大晦日	冬	19.12.31
315	ゴーン逃亡ニュースの走る大晦日	大晦日	冬	19.12.31
316	大晦日いつものごとく十句詠む	大晦日	冬	19.12.31
317	寒の入り始発のバスの客二人	寒の入	冬	19.12.31
318	寒の入り車内暖か始発バス	寒の入	冬	19.12.31
319	連凧の昇龍と化す冬日和	冬日和	冬	19.12.31
320	億光年てふ遠方や冬銀河	冬銀河	冬	19.12.31
321	七度目の年男なり次は無し	年男	冬	19.12.31
322	胎内で二・二六を聞く二月	二月	冬	19.12.31
323	年男背広の上に裃着	年男	冬	19.12.31
324	傘逆さ年の豆受く知恵者かな	年の豆	冬	19.12.31
325	年の豆齧りつ投げる男の子	年の豆	冬	19.12.31
326	鬼は内福は外てふ反抗期	鬼は外	冬	19.12.31
327	掃除するたびに出で来る年の豆	年の豆	冬	19.12.31
328	老妻の命に二言福は内	福は内	冬	19.12.31
329	年の豆買ひて鳩にもお裾分け	年の豆	冬	19.12.31
330	浅草寺鳩もたらふく年の豆	年の豆	冬	19.12.31
331	ご近所の静寂はばかり福は内	福は内	冬	19.12.31
332	冬桜近寄り見れば震へをり	冬桜	冬	19.12.31
333	河津桜咲くまで繋ぐ冬桜	冬桜	冬	19.12.31
334	アネモネの水吸へば上向きにけり	アネモネ	冬	19.12.31
335	頭頂の薄きを照らす寒満月	寒満月	冬	19.12.31
336	水餅の少し饐へたる香懐かしむ	水餅	冬	19.12.31
337	煮凝りや親父の齢をはるか越ゆ	煮凝り	冬	19.12.31
338	寒蜆売り来る声の朝ぼらけ	寒蜆	冬	19.12.31
339	砂吐ひて朝餉の椀の寒蜆	寒蜆	冬	19.12.31
340	ごみ袋突き蹴破る寒鴉	寒鴉	冬	19.12.31
341	年賀状スルー流行れどふん切れず	年賀状	新年	19.12.31
342	振り向けば長き道のり年の暮れ	年の暮れ	冬	19.12.31
343	生きて来たほんとにさうか年の暮れ	年の暮れ	冬	19.12.31
344	嬉しさや怒り哀しみ年の暮れ	年の暮れ	冬	19.12.31
345	俺は何果たしたか問ふ年の暮れ	年の暮れ	冬	19.12.31
346	浅草は遠くて近き街初観音	初観音	新年	19.12.31
347	哀れみは拒み凍蝶飛び去れり	凍蝶	新年	19.12.31
348	生きて来し一つの証年の暮れ	年の暮れ	冬	19.12.31
349	凍蝶の春待つ強き意志知るや	凍蝶	冬	19.12.31
350	凍蝶の生き抜く強き意志のあり	凍蝶	冬	19.12.31
351	閨房の文字懐かしき姫始	姫始	新年	20.1.1.
352	閨房の文字秘めやかに姫始	姫始	新年	20.1.1.
353	放水の五色高々出初式	出初式	新年	20.1.1.
354	くるりくるり鯔背の技や梯子乗り	梯子乗り	新年	20.1.1.
355	母ちゃん連放水見せる出初式	出初式	新年	20.1.1.
356	スーパーで買ひし七草セットかな	七草	新年	20.1.1.
357	七草粥薬餌のごとく啜りけり	七草粥	新年	20.1.1.
358	鎮守社や熱き甘酒初詣	初詣	新年	20.1.1.
359	鷽替の長き列なす天満宮	鷽替	新年	20.1.1.
360	鷽替や思ひそれぞれ大中小	鷽替	新年	20.1.1.
361	とんとこと飴切る音や初大師	初大師	新年	20.1.1.
362	福詣終えて名題のさくら餅	福詣	新年	20.1.1.
363	浅草の街は多言語初観音	初観音	新年	20.1.1.
364	こわごわと雑煮を食みし八十路かな	雑煮	新年	20.1.2.
365	初詠みや歳時記の文字霞けり	初詠	新年	20.1.2.
366	服薬の喉を過ぎ行く寒の水	寒の水	冬	20.1.2.
367	東京都水道局の寒の水	寒の水	冬	20.1.2.
368	水道の蛇口捻りて寒の水	寒の水	冬	20.1.2.
369	輪飾りの懸る蛇口や寒の水	寒の水	冬	20.1.2.
370	ペットボトル封切って飲む寒の水	寒の水	冬	20.1.2.
371	上水の浅き流れや寒の鯉	寒鯉	冬
372	背鰭出し上水走る寒の鯉	寒鯉	冬	20.1.2.
373	野草派の友と野に出で若菜摘む	若菜	新年	20.1.2.
374	洗ひたる硬貨財布に初弁天	初弁天	新年	20.1.2.
375	池底に散らばる硬貨初弁天	初弁天	新年	20.1.2.
376	洗ひたる硬貨戻して初弁天	初弁天	新年	20.1.2.
377	神鶏のさっと遠のくどんどかな	どんど	新年	20.1.2.
378	囲む輪の少しずつ引くどんど焚き	どんど焚き	新年	20.1.2.
379	竹串の餅突き出してどんど焼き	どんど焼き	新年	20.1.2.
380	どんどの火大音響に崩れる輪	どんどの火	新年	20.1.2.
381	届きしを待ちて書き出す賀状かな	賀状	新年	20.1.3.
382	年賀メール増えて手書きを減らしけり	年賀	新年	20.1.3.
383	年賀メール動画添付で届きけり	年賀	新年	20.1.3.
384	年賀状当るは切手ばかりなり	年賀	新年	20.1.3.
385	一瞥で終わる命の賀状かな	年賀	新年	20.1.3.
386	姫始なき年月の長きかな	姫始	新年	20.1.3.
387	ビードロはただぽっぺんと鳴るばかり	ぽっぺん	新年	20.1.3.
388	ぽっぺんを鳴らし無聊の女かな	ぽっぺん	新年	20.1.3.
389	ぽっぺんを吹けばいや増す無聊かな	ぽっぺん	新年	20.1.3.
390	ぽっぺんを吹いて主待つ女かな	ぽっぺん	新年	20.1.3.
391	屠蘇一口顔紅潮の下戸の妻	屠蘇	新年	20.1.3.
392	どんどの火大音響に輪が崩れ	どんど	新年	20.1.3.
393	一瞥で終わる儚き賀状かな	賀状	新年	20.1.3.
394	一年ぶり草石蚕と出合ふせち料理	草石蚕	新年	20.1.3.
395	カピバラも猿も風呂好き寒の入り	寒の入	冬	20.1.3.
396	カピバラの初湯楽しむ子年かな	初湯	新年	20.1.3.
397	囲む輪の少しずつ引くどんどかな	どんど	新年	20.1.4.
398	初暦朗人の句から始まりぬ	初暦	新年	20.1.4.
399	初刷の朝刊届く三日かな	初刷	新年	20.1.4.
400	羽子つきも独楽打ちも無き路地静か	羽子つき・独楽打ち	新年	20.1.4.
401	正月の凧蒼天に不動なり	正月の凧	新年	20.1.4.
402	なまはげの靴脱ぎちらし暴れ込む	なまはげ	新年	20.1.4.
403	靴ベラを貸してなまはげ送り出す	なまはげ	新年	20.1.4.
404	初場所や憮然と下がる負け力士	初場所	新年	20.1.4.
405	初天守登り脚つる八十路かな	初天守	新年	20.1.4.
406	川辺埋め何ついばむや初雀	初雀	新年	20.1.4.
407	目が合ひてぷいと飛び去る初鴉	初鴉	新年	20.1.4.
408	楪や芭蕉辿りし道たどる	楪	新年	20.1.4.
409	野仏の面を汚せし初雀	初雀	新年	20.1.5.
410	野仏の慈愛の笑みや初雀	初雀	新年	20.1.5.
411	電線を横一列に初雀	初雀	新年	20.1.5.
412	ぺちゃくちゃと話しつ糞りぬ初雀	初雀	新年	20.1.5.
413	鳩来れば場所明け渡す初雀	初雀	新年	20.1.5.
414	鉄塔にかあと一鳴き初鴉	初鴉	新年	20.1.5.
415	濡れ羽色朝日に映ゆる初鴉	初鴉	新年	20.1.5.
416	日を浴びてなぞへに眩し福寿草	福寿草	新年	20.1.5.
417	端境の庭に黄金の福寿草	福寿草	新年	20.1.5.
418	鉢植えを出窓に移し福寿草	福寿草	新年	20.1.5.
419	固まりて日を眩しめる福寿草	福寿草	新年	20.1.5.
420	スーパーに並ぶ小鉢の福寿草	福寿草	新年	20.1.5.
421	峰二つ相呼応して初筑波	初筑波	新年	20.1.6.
422	垂れ下げし脚を錘に浮寝鳥	浮寝鳥	冬	20.1.6.
423	ウォーターベッドゆらら夢見る浮寝鳥	浮寝鳥	冬	20.1.6.
424	大手濠早寝始めし浮寝鳥	浮寝鳥	冬	20.1.6.
425	さまざまな鴨の肩寄す浮寝かな	浮寝鳥	冬	20.1.6.
426	さざ波を揺り籠にして浮寝鳥	浮寝鳥	冬	20.1.6.
427	岸からの距離を保ちつ浮寝鳥	浮寝鳥	冬	20.1.6.
428	夕日浴び夢路を辿る浮寝鳥	浮寝鳥	冬	20.1.6.
429	寝ずの番一羽残して浮寝鳥	浮寝鳥	冬	20.1.6.
430	浮寝鳥脚をだらりと夢の中	浮寝鳥	冬	20.1.6.
431	湖一つ広きベッドの浮寝鳥	浮寝鳥	冬	20.1.6.
432	昼下がり鴨早々と浮寝かな	浮寝鳥	冬	20.1.7.
433	隠沼や番の鴨の水脈二本	鴨	冬	20.1.7.
434	振った鴨振られた鴨も浮寝かな	浮寝鳥	冬	20.1.7.
435	振りし鴨振られし鴨も浮寝かな	浮寝鳥	冬	20.1.7.
436	どの鴨もどすんどすんと湖に着水	鴨	冬	20.1.7.
437	越し抜かすごと着水し鴨の陣	鴨	冬	20.1.7.
438	掌が痒し遠のく鴨の陣	鴨	冬	20.1.7.
439	尻もちを着くがごとくに鴨着水	鴨	冬	20.1.7.
440	濠深き半蔵門や鴨の陣	鴨	冬	20.1.7.
441	鴛鴦の着飾る夫に地味な妻	鴛鴦	冬	20.1.7.
442	先頭は自信に満ちて鴨の陣	鴨	冬	20.1.7.
443	振り向くも停滞も無し鴨の陣	鴨	冬	20.1.7.
444	囲む輪のだんだん伸びるどんどかな	どんど	新年	20.1.7.
445	竹串の餅差し伸べてどんど焼き	どんど	新年	20.1.7.
446	池底の鯉動き出す春隣	春隣	冬	20.1.8.
447	スキップして下校する女児春近し	春近し	冬	20.1.8.
448	マヌカンの白き全裸や春隣	春隣	冬	20.1.8.
449	一葉の井戸ほの温し春隣	春隣	冬	20.1.8.
450	長命寺さくら餅食む春近し	春近し	冬	20.1.8.
451	朝練の一団走る春隣	春隣	冬	20.1.8.
452	補聴器の電池取り換へ春近し	春近し	冬	20.1.8.
453	小便小僧光る放水春隣	春隣	冬	20.1.8.
454	土浴びをしてゐる雀春隣	春隣	冬	20.1.8.
455	釣り堀の人影増えて」春隣	春隣	冬	20.1.8.
456	大口を開けて鯉来る春隣	春隣	冬	20.1.8.
457	八幡宮長き参道実朝忌	実朝忌	春	20.1.8.
458	江ノ電で走る海辺や実朝忌	実朝忌	春	20.1.8.
459	人影の波乗り潜る実朝忌	実朝忌	春	20.1.8.
460	切通し抜ける急坂実朝忌	実朝忌	春	20.1.8.
461	露座仏の胎内めぐり実朝忌	実朝忌	春	20.1.8.
462	大仏の胎内広し実朝忌	実朝忌	春	20.1.8.
463	八幡宮朱色鮮やか実朝忌	実朝忌	春	20.1.8.
464	金槐集手に鎌倉へ実朝忌	実朝忌	春	20.1.8.
465	ワインバー赤は血の色実朝忌	実朝忌	春	20.1.8.
466	叔父を切る公暁の殺意実朝忌	実朝忌	春	20.1.8.
467	骨肉の恨み骨髄実朝忌	実朝忌	春	20.1.8.
468	赤椿ぽとりと落ちぬ実朝忌	実朝忌	春	20.1.8.
469	スキップして下校する子ら春近し	春近し	冬	20.1.8.
470	黄梅やちと大仰に迎春花	迎春花	春	20.1.9.
471	風そよぐことを伝へて迎春花	迎春花	春	20.1.9.
472	切通抜けて日向に迎春花	迎春花	春	20.1.9.
473	犬見上げ吾は見下ろす迎春花	迎春花	春	20.1.9.
474	黄梅の低きに咲きて春告げり	黄梅	春	20.1.9.
475	枝揺らす風に肯うふ迎春花	迎春花	春	20.1.9.
476	黄梅や派手な別の名迎春花	迎春花	春	20.1.9.
478	垣根越し黄花咲きをり迎春花	迎春花	春	20.1.9.
479	風そよろ揺るる小枝の迎春花	迎春花	春	20.1.9.
480	正月の開けて間のなき迎春花	迎春花	春	20.1.9.
481	暦まだ一枚目なり迎春花	迎春花	春	20.1.9.
482	登校の子らの目線に迎春花	迎春花	春	20.1.9.
483	狐火やそろそろ燃えてよき刻限	狐火	冬	20.1.10.
484	狐火や昭和は異界も近かった	狐火	冬	20.1.10.
485	狐火や卒塔婆傾ぐ墓地の黙	狐火	冬	20.1.10.
486	ラッシュアワー黒きマスクも流行りかな	狐火	冬	20.1.10.
487	冬萌や赤いバイクの郵便夫	狐火	冬	20.1.10.
488	冬萌や鳥の声聞く雑木山	狐火	冬	20.1.10.
489	早春賦歌ふ卒寿の媼かな	狐火	冬	20.1.10.
490	冬萌や瀬音優しき遍路道	冬萌	冬	20.1.10.
491	冬萌や水車の回る遍路道	冬萌	冬	20.1.10.
492	おもちゃのチャチャチャ歌ふ園児や冬木の芽	冬木の芽	冬	20.1.10.
493	冬萌や瀬音聞こゆる遍路道	冬萌	冬	20.1.10.
494	冬萌や瀬音ことこと遍路道	冬萌	冬	20.1.10.
495	スキップして下校する子ら春隣	春近し	冬	20.1.10.
496	狐火や異界の遠き令和かな	狐火	冬	20.1.10.
497	狐火や土葬時代の懐かしき	狐火	冬	20.1.11.
498	狐火や燃え続けよと金次郎	狐火	冬	20.1.11.
499	酒終えて上戸も啜る汁粉かな	汁粉	冬	20.1.11.
500	酒宴果て女子にぎやかに汁粉膳	汁粉	冬	20.1.11.
501	甘味屋の女子の弾みし汁粉会	汁粉	冬	20.1.11.
502	甘味屋で男ら啜る汁粉かな	汁粉	冬	20.1.11.
503	二日酔ひ醒めて戴く汁粉かな	汁粉	冬	20.1.11.
504	狐火や出たくて出れぬ火葬墓	狐火	冬	20.1.11.
505	狐火や骨壺かさと鳴る日暮	狐火	冬	20.1.11.
506	狐火や山野に燃えて火事も無し	狐火	冬	20.1.11.
507	狐火に思ひ委ねてみたき夜	狐火	冬	20.1.11.
508	狐火を理科室暗くして見たり	狐火	冬	20.1.11.
509	狐火を理科室暗くして実験	狐火	冬	20.1.11.
510	顔半分覆ふマスクの修道女	マスク	冬	20.1.11.
511	マスクして檀家めぐりのバイク僧	マスク	冬	20.1.11.
512	バス待つ身そうはしゃぐなよ春北風	春北風	春	20.1.11.
513	わが帽子攫って逃げる春北風	春北風	春	20.1.11.
514	マスクして舌打ち隠す女かな	マスク	冬	20.1.11.
515	マスクしてひそと舌打つ女かな	マスク	冬	20.1.11.
516	熱きキスそっと包みしマスクかな	マスク	冬	20.1.11.
517	熱ききす余韻を隠すマスクかな	マスク	冬	20.1.11.
518	マスクしてふんと一瞥スマホかな	マスク	冬	20.1.11.
519	マスクしてふんと一瞥スマホ繰る	マスク	冬	20.1.11.
520	マスクしてにたりと笑みし女かな	マスク	冬	20.1.11.
521	マスクしてころころ笑ふ女かな	マスク	冬	20.1.12.
522	マスクしてころころ笑ふ女高生	マスク	冬	20.1.12.
523	マスク取り車内化粧の女かな	マスク	冬	20.1.12.
524	マスク取り車内で化ける化粧かな	マスク	冬	20.1.12.
525	車内化粧だんだん化けてマスクする	マスク	冬	20.1.12.
526	車内化粧だんだん化けてマスクかな	マスク	冬	20.1.12.
527	車内化粧化け終えマスクする女	マスク	冬	20.1.12.
528	マスクする口裂け女かも知れず	マスク	冬	20.1.12.
529	モンローのキスマーク付きマスクして	マスク	冬	20.1.12.
530	モンローのキスマーク付きマスクする	マスク	冬	20.1.12.
531	モンローのキスマーク付きマスクかな	マスク	冬	20.1.12.
532	マスク取り馬面になる女かな	マスク	冬	20.1.12.
533	車内化粧終えてマスクの女かな	マスク	冬	20.1.12.
534	マスク取り車内で始む化粧かな	マスク	冬	20.1.12.
535	車内化粧だんだん化けてマスク懸く	マスク	冬	20.1.12.
536	狐火を理科室暗くして見た日	狐火	冬	20.1.12.
537	切通抜けし日溜り迎春花	迎春花	春	20.1.12.
538	ひょいひょいと風に跳ねをり迎春花	迎春花	春	20.1.12.
539	竹筒に一枝挿せり迎春花	迎春花	春	20.1.12.
540	スキップで下校する子ら春近し	春近し	冬	20.1.12.
541	隙間からこの世を覗く冬芽かな	冬芽	冬	20.1.13.
542	冬萌や五尺の雪に耐えながら	冬萌	冬	20.1.13.
543	冬萌の木々神妙に日を浴びぬ	冬萌	冬	20.1.13.
544	道問へば逃げる学童冬木の芽	冬木の芽	冬	20.1.13.
545	道問わばすっと逃げる子冬木の芽	冬木の芽	冬	20.1.13.
546	それぞれが満を持すかに冬木の芽	冬木の芽	冬	20.1.13.
547	寝たふりをして時稼ぐ冬芽かな	冬芽	冬	20.1.13.
548	野火止のせせらぎ静か冬木の芽	冬木の芽	冬	20.1.13.
549	解禁の日近し冬木の芽	冬木の芽	冬	20.1.13.
550	冬萌や光と風の交差点	冬萌	冬	20.1.13.
551	池底に鎮まる鯉や冬木の芽	冬木の芽	冬	20.1.13.
552	したたかに準備万端冬木の芽	冬木の芽	冬	20.1.13.
553	一斉に顔出す支度冬木の芽	冬木の芽	冬	20.1.13.
554	仙台堀過る地下鉄冬木の芽	冬木の芽	冬	20.1.13.
555	産土を日本に移し黄犬の忌	黄犬忌（ドナルド・キーン忌）	冬	20.1.13.
556	野火止のせせらぎ聞けり冬木の芽	冬木の芽	冬	20.1.14.
557	轟々と音の高まる野焼かな	野焼	春	20.1.14.
558	銭湯に一団で行く野焼あと	野焼	春	20.1.14.
559	煙の香纏ひて帰る野焼かな	野焼	春	20.1.14.
560	消防団晴の舞台の野焼かな	野焼	春	20.1.14.
561	燻製の匂ひ纏ひし野焼かな	野焼	春	20.1.14.
562	てんでんにテンション上がる野焼かな	野焼	春	20.1.14.
563	どの顔も煤にまみれし野焼かな	野焼	春	20.1.14.
564	消防車二台控へて野火走る	野火	春	20.1.14.
565	火が風を風が火を呼ぶ野焼かな	野焼	春	20.1.14.
566	気分はみな日本武尊の野焼かな	野焼	春	20.1.14.
567	火が走り人が走りし野焼かな	野焼	春	20.1.14.
568	地を焦がし天を焦がして野火走る	野火	春	20.1.14.
569	堤防に人垣できる野焼かな	野焼	春	20.1.14.
570	野火猛り多摩の横山霞けり	野火	春	20.1.14.
571	マヌカンの全裸艶やか春隣	春隣	冬	20.1.14.
572	マヌカンの全裸眩しき春隣	春隣	冬	20.1.14.
573	枝揺れて花も弾みし迎春花	迎春花	春	20.1.14.
574	枝揺れて花も弾みぬ迎春花	迎春花	春	20.1.14.
575	江ノ電の走る海辺や実朝忌	実朝忌	春	20.1.14.
576	落し穴踏み抜き落ちて冬木の芽	冬木の芽	冬	20.1.14.
577	落し穴踏み抜く熊や冬木の芽	冬木の芽	冬	20.1.14.
578	道問わば学童逃ぐる春立つ日	立春	春	20.1.14.
579	道問わば学童逃ぐる余寒かな	余寒	春	20.1.14.
580	溜息も吐息も詠句余寒かな	余寒	春	20.1.14.
581	老ひし日々詠句に縋り冬木の芽	冬木の芽	冬	20.1.14.
582	悟りたる振りする坊主春浅し	浅春	春	20.1.14.
583	モンローのキスマーク付きマスクせん	マスク	冬	20.1.14.
584	冬萌や五尺の雪に耐えてをり	冬萌	冬	20.1.15.
585	満を持し時待つ命冬木の芽	冬木の芽	冬	20.1.15.
586	合唱の如き響きや冬木の芽	冬木の芽	冬	20.1.15.
587	ひたすらに明日を信じて冬木の芽	冬木の芽	冬	20.1.15.
588	冬萌や大合唱の詰め急ぐ	冬萌	冬	20.1.15.
589	冬萌のラの音響く野に山に	冬萌	冬	20.1.15.
590	冬萌にラの音ひそと響きけり	冬萌	冬	20.1.15.
591	オーボエのラの音響く冬木の芽	冬木の芽	冬	20.1.15.
592	ラの音に調べ合せる冬芽かな	冬芽	冬	20.1.15.
593	冬萌の野山に響くラ音かな	冬萌	冬	20.1.15.
594	冬萌の野山に響くラの調音	冬萌	冬	20.1.15.
595	冬萌の野山を走るラの調音	冬萌	冬	20.1.15.
596	冬萌の野山を走るラ音かな	冬萌	冬	20.1.15.
597	冬萌の野山を走るラの響き	冬萌	冬	20.1.15.
598	冬萌や野山を走るラの響き	冬萌	冬	20.1.15.
599	冬萌や野山を走るラの調べ	冬萌	冬	20.1.15.
600	冬萌の野山を走るチューニング	冬萌	冬	20.1.15.
601	冬萌の野山に響くチューニング	冬萌	冬	20.1.15.
602	冬萌や大合奏のチューニング	冬萌	冬	20.1.15.
603	冬萌や大合奏へラの調べ	冬萌	冬	20.1.15.
604	冬萌や野山を走るラのピッチ	冬萌	冬	20.1.15.
605	冬萌や大合奏へラのピッチ	冬萌	冬	20.1.15.
606	ラの音にピッチ合せる冬芽かな	冬芽	冬	20.1.15.
607	野に山にピッチ合せる冬芽かな	冬芽	冬	20.1.15.
608	冬萌や大合奏へ音合せ	冬萌	冬	20.1.16.
609	春疾風寅さん像にレジ袋	春疾風	春	20.1.16.
610	どんど焼きじわりじわりと広がる輪	どんど焼き	新年	20.1.16.
611	庇裏肩寄す鳩や春北風	春北風	春	20.1.16.
612	自転車のドミノ倒しや春北風	春北風	春	20.1.16.
613	春北風や日の出の里の土煙	春北風	春	20.1.16.
614	小気味よく自転車倒す春疾風	春疾風	春	20.1.16.
615	違反車を追ふ白バイや春疾風	春疾風	春	20.1.16.
616	卒塔婆の打ち鳴る墓地や春疾風	春疾風	春	20.1.16.
617	池底の鯉揺り起こす春疾風	春疾風	春	20.1.16.
618	友眠る谷中の墓地や春北風	春疾風	春	20.1.16.
619	朱塗の塔風鐸響く春疾風	春疾風	春	20.1.16.
620	大合奏ラの音合わす冬芽かな	冬芽	冬	20.1.17.
621	野火止のせせらぎ弾む春隣	春隣	冬	20.1.17.
622	一葉の井戸ほの温し寒椿	寒椿	冬	20.1.17.
623	三つ咲き一つ転げし寒椿	寒椿	冬	20.1.17.
624	落ちてなほ紅鮮やかな寒椿	寒椿	冬	20.1.17.
625	うつ伏せに落ちて悔しき寒椿	寒椿	冬	20.1.17.
626	用水路転げ去り行く寒椿	寒椿	冬	20.1.17.
627	売りに出し隣家の庭の寒椿	寒椿	冬	20.1.17.
628	寒椿池面押上ぐ鯉の群れ	寒椿	冬	20.1.17.
629	寒椿咲きたる庭や売り家札	寒椿	冬	20.1.17.
630	侘助のひそと咲きをり東慶寺	侘助	冬	20.1.17.
631	早梅に出合ひ香をかぐ散歩道	早梅	冬	20.1.17.
632	侘助や瀟洒な庭の門跡寺	侘助	冬	20.1.17.
633	早梅に出合ひ鼻寄す散歩道	早梅	冬	20.1.17.
634	早梅に出合ひ顔寄す散歩道	早梅	冬	20.1.17.
635	おもちゃのチャチャチャ歌ふ園児や冬萌ゆる	冬萌	冬	20.1.18.
636	蝋梅の光集めて香しき	蝋梅	冬	20.1.18.
637	蝋梅の花を傾がせ香りをり	蝋梅	冬	20.1.18.
638	蒼天に黄金眩しき蝋梅花	蝋梅	冬	20.1.18.
639	足を止め顔寄す人や蝋梅花	蝋梅	冬	20.1.18.
640	花芯傾げ蝋梅ほのと香を放つ	蝋梅	冬	20.1.18.
641	大寒や肩まで浸かる湯の温し	大寒	冬	20.1.18.
642	大寒や鯉の張り付く池の底	大寒	冬	20.1.18.
643	大寒や出窓に並ぶ花の鉢	大寒	冬	20.1.18.
644	大寒も店開け放つ生花店	大寒	冬	20.1.18.
645	大寒やラーメン店の長き列	大寒	冬	20.1.18.
646	大寒やフル回転の屋外機	大寒	冬	20.1.18.
647	白き息顔に纏ひつ来る一団	息白し	冬	20.1.18.
648	ＳＬのごとく馬吐く白き息	息白し	冬	20.1.18.
649	馬場駆ける調教の馬息白し	息白し	冬	20.1.18.
650	豪快にＳＬ吐けり白き息	息白し	冬	20.1.18.
651	ＳＬや豪快に吐く白き息	息白し	冬	20.1.18.
652	狐火や黄燐マッチ焔揺る	狐火	冬	20.1.18.
653	黄燐のゆらゆら燃えて狐の火	狐火	冬	20.1.18.
654	早梅に得したやうに足止めり	早梅	冬	20.1.18.
655	一期一会生くるも一度冬うらら	冬うらら	冬	20.1.18.
656	スキップしつ下校する子ら春近し	春近し	冬	20.1.18.
657	狐火や卒塔婆傾ぐ墓地の怪	狐火	冬	20.1.18.
658	狐火を作りし遠き理科授業	狐火	冬	20.1.18.
659	隙間からこの世を計る冬芽かな	冬芽	冬	20.1.18.
660	塩の香に甘さ引き立つ桜餅	桜餅	春	20.1.19.
661	墨堤の宴土産の桜餅	桜餅	春	20.1.19.
662	墨堤の花楽しんで桜餅	桜餅	春	20.1.19.
663	桜餅土産に渡る吾妻橋	桜餅	春	20.1.19.
664	一つ目は葉ごとむしゃむしゃ桜餅	桜餅	春	20.1.19.
665	長命寺詣でし後は桜餅	桜餅	春	20.1.19.
666	長命寺詣での狙ひ桜餅	桜餅	春	20.1.19.
667	桜餅下げて立ち寄る神谷バー	桜餅	春	20.1.19.
668	墨堤や花の宴に桜餅	桜餅	春	20.1.19.
669	大川に鴎舞ひをり桜餅	桜餅	春	20.1.19.
670	花の宴終えて手土産桜餅	桜餅	春	20.1.19.
671	塩漬けの葉ごとぱくりと桜餅	桜餅	春	20.1.19.
672	虚子三個子規なら五個か桜餅	桜餅	春	20.1.19.
673	女子会の花の宴に桜餅	桜餅	春	20.1.19.
674	恐ろしや頭突きでねだる安芸の鹿	鹿	秋	20.1.20.
675	栄螺食ふ壺焼きだけのレシピかな	栄螺	春	20.1.20.
676	壺焼きの一手貫く栄螺かな	栄螺	春	20.1.20.
677	春疾風寅さん像を煙に巻く	春疾風	春	20.1.20.
678	春北風や寅さん像に土煙	春北風	春	20.1.20.
679	竜巻になり損ねたる春疾風	春疾風	春	20.1.20.
680	春北風や竜巻もどき駆け巡る	春北風	春	20.1.20.
681	春北風や人を傾け歩かせる	春北風	春	20.1.20.
682	人傾ぎ面伏せ行く春疾風	春疾風	春	20.1.20.
683	朱の塔の風鐸鳴らす春疾風	春疾風	春	20.1.20.
684	土煙渦巻き走る春疾風	春疾風	春	20.1.20.
685	山里をセピアに染めて春北風	春北風	春	20.1.20.
686	残月と蝋梅色を競ひけり	蝋梅	冬	20.1.20.
687	蝋梅や光を浴びてこその花	蝋梅	冬	20.1.20.
688	蝋梅の花を越えゆく楕円球	蝋梅	冬	20.1.20.
689	残月と蝋梅色を比べをり	蝋梅	冬	20.1.21.
690	日溜りに少し小ぶりの帰り花	帰り花	冬	20.1.21
691	同じ場所なぞへにひょろと帰り花	帰り花	冬	20.1.21
692	読み違ひ花にもありて帰り花	帰り花	冬	20.1.21
693	しまったと言ふ風情なり帰り花	帰り花	冬	20.1.21
694	あらと足止める人あり帰り花	帰り花	冬	20.1.21
695	居心地の悪さうに咲く帰り花	帰り花	冬	20.1.21
696	読み違ひとはこのことか帰り花	帰り花	冬	20.1.21
697	ただ一花開き直りて帰り花	帰り花	冬	20.1.21
698	孤高とは少し大袈裟帰り花	帰り花	冬	20.1.21
699	行き帰り情の移りし帰り花	帰り花	冬	20.1.21
700	先走る意図はなさそな帰り花	帰り花	冬	20.1.21
701	読み違ひ花にもありて帰り花	帰り花	冬	20.1.21
702	蝋梅や蒼天高く楕円球	蝋梅	冬	20.1.21
703	日暮れ来て蝋梅ひそと寂び纏ふ	蝋梅	冬	20.1.21
704	蝋梅や色を競ひて昼の月	蝋梅	冬	20.1.21
705	野焼き跡早や野鼠の走りをり	野焼	春	20.1.21
706	冬萌や今も名残す西多摩郡	冬萌	冬	20.1.21
707	面白や日を股下に下げて春	春	春	20.1.21
708	三椏や青白銀の花芽どき	春	春	20.1.21
709	のどけしやいつも無人の駐在所	春うらら	春	20.1.22
710	江戸っ子はひとしあべこべ春うらら	春うらら	春	20.1.22
711	春うらら戦後懐かしぽん煎餅	春うらら	春	20.1.22
712	春うらら水上バスの太き水脈	春うらら	春	20.1.22
713	仏足石どれも大足春うらら	春うらら	春	20.1.22
714	鷹鳩と化し朝カフェのクロワッサン	鷹鳩と化す	春	20.1.22
715	地下鉄の下を地下鉄寒の入り	寒の入り	冬	20.1.22
716	大寒やどれも厚着の散歩犬	大寒	冬	20.1.22
717	露座仏の胎内巡る寒の入り	寒の入り	冬	20.1.22
718	寒凪や金波銀波の瀬戸の海	寒凪	冬	20.1.22
719	わが影の長く伸びをり寒夕焼け	寒夕焼	冬	20.1.22
720	寒夕焼けわが影長く伸びにけり	寒夕焼	冬	20.1.22
721	マスク剥ぎ車内で始む化粧かな	マスク	冬	20.1.23
722	寒月や大口揃へ鯉遡上	寒月	冬	20.1.23
723	寒の月閉め忘れたる雨戸かな	寒月	冬	20.1.23
724	寒月のただ煌々と桂浜	寒月	冬	20.1.23
725	寒月や人影消えし桂浜	寒月	冬	20.1.23
726	ラガー等のマウスピースの毒々し	ラガー	冬	20.1.23
727	荒ぶるを歌ふ早大ラガーマン	ラガーマン	冬	20.1.23
728	蒼天に蹴り上がりたる楕円球	楕円球	冬	20.1.23
729	キッカーの一蹴り高く楕円球	楕円球	冬	20.1.23
730	マウスピース外し握手のノーサイド	ノーサイド	冬	20.1.23
731	死闘果て握手を交すノーサイド	ノーサイド	冬	20.1.23
732	寒林の近道抜けし先は墓地	寒林	冬	20.1.23
733	寒林を抜ければハケの鏡池	寒林	冬	20.1.23
734	寒林や目の前過る栗鼠の影	寒林	冬	20.1.23
735	露座仏の胎内広し寒明くる	寒明け		20.1.23
736	露座仏の胎内広し春隣	春隣	冬	20.1.23
737	地下鉄の下を地下鉄寒明くる	寒明け		20.1.23
738	稲荷社の片へにひそと寒あやめ	寒あやめ	冬	20.1.24
739	露地奥に祠のありて寒あやめ	寒あやめ	冬	20.1.24
740	淡あはと紫薄き寒あやめ	寒あやめ	冬	20.1.24
741	百草園なじへの隅に寒あやめ	寒あやめ	冬	20.1.24
742	寒菊にやあと声かけ深呼吸	寒菊	冬	20.1.24
743	毅然とはかくのごとしと冬の菊	冬菊	冬	20.1.24
744	小兵よく大を這はせる初相撲	初相撲	冬	20.1.24
745	ぐわんぐわんと砕氷船の馬鹿力	砕氷船	冬	20.1.24
746	ラグビーのエイトもかくや砕氷船	砕氷船	冬	20.1.24
747	草野球外野の縁に冬すみれ	冬菫	冬	20.1.24
748	木漏れ日やなぞへ覆いし藪柑子	藪柑子	冬	20.1.24
749	航行の作法あべこべ砕氷船	砕氷船	冬	20.1.24
750	誇らかに早梅咲きし一樹かな	早梅	冬	20.1.25
751	早梅の名乗りを上げし野梅かな	早梅	冬	20.1.25
752	梅林に早梅二三樹人集む	早梅	冬	20.1.25
753	寒梅の紅眩し日和かな	寒梅	冬	20.1.25
754	切通ゆっくり抜ける探梅行	探梅行	冬	20.1.25
755	切通あったの声や探梅行	探梅行	冬	20.1.25
756	ＳＬの静止保存や寒桜	寒桜	冬	20.1.25
757	ＳＬの置かれし公園寒桜	寒桜	冬	20.1.25
758	ちじこまり寒さうに咲く冬桜	冬桜	冬	20.1.25
759	冬桜見上ぐる人の静かな	冬桜	冬	20.1.25
760	誰彼とスマホでショット冬桜	冬桜	冬	20.1.25
761	寒木瓜の続く片へや磴百段	寒木瓜	冬	20.1.25
762	粛々と見上ぐる人や寒桜	寒桜	冬	20.1.25
763	浮かれ出す人なく粛と寒桜	寒桜	冬	20.1.25
764	魁の誉も聞かずや冬桜	冬桜	冬	20.1.25
765	世をすねるほどにもあらじ冬桜	冬桜	冬	20.1.26
766	幕尻がトップ走りし初相撲	初相撲	冬	20.1.26
767	探梅の道で出合いし寒桜	寒桜	冬	20.1.26
768	早梅と近づき見れば冬桜	冬桜	冬	20.1.26
769	心なしこの世はばかる冬桜	冬桜	冬	20.1.26
770	この世をばはばかる風情冬桜	冬桜	冬	20.1.26
771	季節食む酒の肴の蕗の薹	蕗の薹	春	20.1.26
772	道の端に見つけて嬉し蕗の薹	蕗の薹	春	20.1.26
773	出を待ちし蕗の薹出る庭の隅	蕗の薹	春	20.1.26
774	まず一つ気付きそこここ蕗の薹	蕗の薹	春	20.1.26
775	呑兵衛の季節冥利や蕗の薹	蕗の薹	春	20.1.26
776	蕗の薹薄き衣や濁り酒	蕗の薹	春	20.1.26
777	ハンカチの四隅結びぬ蕗の薹	蕗の薹	春	20.1.26
778	缶ビール音立てて開け蕗の薹	蕗の薹	春	20.1.26
779	今年また秘密の野末蕗の薹	蕗の薹	春	20.1.26
780	散歩犬尿かけて行く蕗の薹	蕗の薹	春	20.1.26
781	蕗味噌を肴に始む夕餉かな	蕗味噌	春	20.1.26
782	蕗味噌は八十路を過ぎし妻の味	蕗味噌	春	20.1.26
783	蕗味噌を肴に食後呑み直す	蕗味噌	春	20.1.26
784	黄梅や名も大袈裟に迎春花	迎春花	春	20.1.26
785	汐見坂上り詰めれば蕗の薹	蕗の薹	春	20.1.26
786	狐火のゆらりゆらりとフラダンス	狐火	冬	20.1.26
787	狐火のゆらりゆらりと踊るフラ	狐火	冬	20.1.26
788	導火線点火の気配冬木の芽	冬木の芽	冬	20.1.26
789	冬萌や点火始まる導火線	冬萌	冬	20.1.26
790	冬萌や火を噴き初むる導火線	冬萌	冬	20.1.26
791	冬萌や火を噴き走る導火線	冬萌	冬	20.1.26
792	冬萌や次々点火導火線	冬萌	冬	20.1.26
793	導火線点火始まる冬芽かな	冬芽	冬	20.1.26
794	導火線次々点火冬萌ゆる	冬萌	冬	20.1.26
795	幕尻が賜杯抱きし初相撲	初相撲	冬	20.1.26
796	狐火を作る楽しき理科授業	狐火	冬	20.1.27
797	狐火をわいわい作る理科授業	狐火	冬	20.1.27
798	狐火を作って見せた理科授業	狐火	冬	20.1.27
799	ゆらゆらと狐火燃ゆる理科授業	狐火	冬	20.1.27
800	魚は氷に上り散歩の距離延びる	魚は氷に上る	春	20.1.27
801	魚は氷に上りバイクの郵便夫	魚は氷に上る	春	20.1.27
802	春立つや店先で食む焼き団子	立春	春	20.1.27
803	春立ちぬ滅多に聞かぬ早春賦	立春	春	20.1.27
804	春寒や股引はきし老和尚	春寒	春	20.1.27
805	家の風呂たわしで洗ふ余寒かな	余寒	春	20.1.27
806	八十路きて余命数へる余寒かな	余寒	春	20.1.27
807	一日をけふも生きたり春隣	春隣	冬	20.1.27
808	ふてぶてし面に淋しき寒鴉	寒鴉	冬	20.1.27
809	沈思する面が憎まる寒鴉	寒鴉	冬	20.1.27
810	生きる規範人と違へて寒鴉	寒鴉	冬	20.1.27
811	露座仏も一深呼吸春近し	春近し	冬	20.1.27
812	露座仏の背筋伸ばすや春隣	春隣	冬	20.1.27
813	露座仏や肩に止まりし鷦鷯	鷦鷯・三十三才	冬	20.1.27
814	首都の雪一日で消え草城忌	草城忌	冬	20.1.28
815	句会後の酒辞し帰る草城忌	草城忌	冬	20.1.28
816	足元のしんしん冷ゆる草城忌	草城忌	冬	20.1.28
817	しんしんと冷ゆる足元草城忌	草城忌	冬	20.1.28
818	ピザ囲み子らのはしゃぐやバレンタインの日	バレンタインの日	春	20.1.28
819	義理チョコの置かれし句会バレンタイン	バレンタインの日	春	20.1.28
820	殉教のバレンタインや義理のチョコ	バレンタインの日	春	20.1.28
821	早春賦祖母の遺愛のオルゴール	早春	春	20.1.28
822	口ずさむ卒寿の媼早春賦	早春	春	20.1.28
823	春疾風水上バスの太き水脈	春疾風	春	20.1.28
824	一夜の雪留めて明くる首都の朝	雪	春	20.1.28
825	冬萌や池面押上ぐ鯉の群れ	冬萌	冬	20.1.28
826	火が走り人を走らす野焼かな	野焼	春	20.1.28
827	マスク取り車内で化ける朝化粧	マスク	冬	20.1.28
828	マスクせず咳込む人に非難の目	マスク	冬	20.1.29
829	水車小屋ごとりごとりと早春賦	春	春	20.1.29
830	豊後梅紅艶やかに冬芽ふく	冬芽	冬	20.1.29
831	紅蓮の火気負ひ立ちたる野焼かな	野焼	春	20.1.29
832	天と地を焼ひて果てたる野焼かな	野焼	春	20.1.29
833	大いなる火遊び似て野焼果つ	野焼	春	20.1.29
834	草薙の剣の欲しい野焼かな	野焼	春	20.1.29
835	血沸き肉を躍らせ野火猛る	野火	春	20.1.29
836	野焼果て夕焼け空に星一つ	野焼	春	20.1.29
837	残り火の無きを確かめ野焼果つ	野焼	春	20.1.29
838	雪しろの岩食む川や気負ひ立つ	雪代	春	20.1.30
839	往生際良すぎて寂し海鼠かな	海鼠	冬	20.1.30
840	慫慂と食はれ果てゆく海鼠かな	海鼠	冬	20.1.30
841	日脚伸ぶ百本ノック続きをり	日脚伸ぶ	冬	20.1.30
842	日脚伸ぶ手持無沙汰の赤提灯	日脚伸ぶ	冬	20.1.30
843	赤提灯まだ灯の入らず日脚伸ぶ	日脚伸ぶ	冬	20.1.30
844	日脚伸ぶ夕日背にして畑仕事	日脚伸ぶ	冬	20.1.30
845	特打ちの二倍に増えて日脚伸ぶ	日脚伸ぶ	冬	20.1.30
846	日脚伸ぶ夕日眩しい一輌車	日脚伸ぶ	冬	20.1.30
847	日脚伸ぶ夕日を浴びて一輌車	日脚伸ぶ	冬	20.1.30
848	日脚伸び塒に帰る鳥の列	日脚伸ぶ	冬	20.1.30
849	暖房を付けずにゐたり春隣	春隣	冬	20.1.30
850	一月の早くも過ぎて春隣	春隣	冬	20.1.31
851	土手の道また追抜かれ春隣	春隣	冬	20.1.31
852	雪白に遡行の魚影走りけり	雪代	春	20.1.31
853	雪白に水深深む奥多摩湖	雪代	春	20.1.31
854	鷲掴みして浮上する海鼠海女	海鼠	冬	20.1.31
855	手漕ぎ舟大きく傾ぐ海鼠突き	海鼠	冬	20.1.31
856	手漕ぎ舟どれも傾がせ海鼠突き	海鼠	冬	20.1.31
857	両の手に海鼠掴んで海女浮上	海鼠	冬	20.1.31
858	小石でも拾ふがごとく海鼠海女	海鼠	冬	20.1.31
859	両の手に鷲掴みたる海鼠海女	海鼠	冬	20.1.31
860	両の手に掴んで戻る海鼠海女	海鼠	冬	20.1.31
861	箱眼鏡覗きつ突きぬ海鼠舟	海鼠	冬	20.1.31
862	手漕ぎ舟傾ぐ船べり海鼠突く	海鼠突く	冬	20.1.31
863	雑木山音無き音や冬萌ゆる	冬萌	冬	20.2.1
864	限界の里に種蒔く人のなし	種蒔く	春	20.2.1
865	学校田種蒔く子らの体操着	種蒔く	春	20.2.1
866	新しきブランド目指す種を蒔く	種蒔く	春	20.2.1
867	種蒔くや子らに後継ぐ気配なし	種蒔く	春	20.2.1
868	種蒔の段取り叩くキーボード	種蒔く	春	20.2.1
869	種蒔きつスマホ検索する農夫	種蒔く	春	20.2.1
870	後継ぎのをらず種蒔く爺と婆	種蒔く	春	20.2.1
871	種蒔の作業の笛や学校田	種蒔く	春	20.2.1
872	飯米の種蒔くと言ふ老農夫	種蒔く	春	20.2.1
873	飯米に絞り種蒔く老農夫	種蒔く	春	20.2.1
874	野焼果て入日の空に星一つ	野焼	春	20.2.1
875	野鼠の早や走り行く野焼き跡	野焼	春	20.2.1
876	参道の長きを辿る実朝忌	実朝忌	春	20.2.1
877	池底の鯉揺り起こす春北風	春北風	春	20.2.1
878	手漕ぎ舟大きく傾ぎ海鼠突く	海鼠	冬	20.2.1
879	池底の鯉の目覚まし春北風（はるならひ）	春北風	春	20.2.1
880	冬うらら手ぐすね引きて待つ寒波	冬うらら・寒波	冬	20.2.2
881	冬うらら猫の気分で日の眩し	冬うらら	冬	20.2.2
882	冬うらら待ったのかかるへぼ将棋	冬うらら	冬	20.2.2
883	露座仏の胸の小窓や冬うらら	冬うらら	冬	20.2.2
884	鼻孔広げ嘶く馬や寒日和	寒日和	冬	20.2.2
885	冬萌のどこと限らずあそこここ	冬萌	冬	20.2.2
886	草の芽も木の芽もひそと冬萌ゆる	冬萌	冬	20.2.2
887	千を持し万を持したり冬萌ゆる	冬萌	冬	20.2.2
888	時々刻々万を持しつつ冬萌ゆる	冬萌	冬	20.2.2
889	刻々と歓喜膨らむ冬木の芽	冬木の芽	冬	20.2.2
890	千を持し万を持しをり冬木の芽	冬木の芽	冬	20.2.3
891	一葉の井戸ほの温し迎春花	迎春花	春	20.2.3
892	春うらら待ったのかかるへぼ将棋	春うらら	春	20.2.3
893	草萌ゆる光と風の交差点	草萌	春	20.2.3
894	春疾風池面押上ぐ鯉の群れ	春疾風	春	20.2.3
895	春北風多摩をセピアに土煙	春北風	春	20.2.3
896	土煙多摩を霞ませ春疾風	春疾風	春	20.2.3
897	春北風大波走る土煙	春北風	春	20.2.3
898	武蔵野を黄粉まぶしに春疾風	春疾風	春	20.2.3
899	草野球ナイン息止む春北風	春北風	春	20.2.3
900	春うらら鯉の大口寄せ来たる	春うらら	春	20.2.4
901	武田菱光る大寺や寒明くる	寒明け	春	20.2.4
902	春立ちぬ重低音の水車小屋	立春	春	20.2.4
903	刺抜き地蔵終日春の水しぶき	春	春	20.2.4
904	「はるほのか」加賀の干菓子や春立ちぬ	立春	春	20.2.4
905	朱の塔の風鐸鳴りぬ春北風	春北風	春	20.2.4
906	がばと鳴る鯉の大口寒明けり	寒明け	春	20.2.4
907	がばがばと鯉の大口寒明ける	寒明け	春	20.2.4
908	雅なる名札確かめ梅巡る	梅	春	20.2.4
909	枝垂れ梅掻き分けはしゃぐ幼かな	梅	春	20.2.4
910	梅林の一樹一樹に雅な名	梅林	春	20.2.4
911	お迎えのいつ来てもよし日向ぼこ	日向ぼこ	冬	20.2.4
912	蝋梅や鼻孔には香の届かずも	蝋梅	春	20.2.4
913	突く漁師突かれる海鼠波静か	海鼠	冬	20.2.5
914	考える葦か海鼠か幸せ度	海鼠	冬	20.2.5
915	時止める方途無きまま草萌ゆる	草萌	春	20.2.5
916	一秒も時は止まらず海鼠突く	海鼠	冬	20.2.5
917	紅椿ぽとりと落ちぬ実朝忌	椿・実朝忌	春・冬	20.2.5
918	マヌカンの裸身並ぶや春支度	春	春	20.2.5
919	マヌカンの白き裸身や春隣	春隣	春	20.2.5
920	一葉の井戸ほの温し迎春花	迎春花	春	20.2.5
921	ほとばしる一葉の井戸迎春花	迎春花	春	20.2.5
922	マヌカンの裸身艶やか春隣	春隣	春	20.2.5
923	マヌカンの裸身眩しき春隣	春隣	春	20.2.5
924	雑木山音無き音や草萌ゆる	草萌	春	20.2.5
925	列島の春が追ひ立て鳥帰る	鳥帰る	春	20.2.6
926	疫病の巨大客船鳥帰る	鳥帰る	春	20.2.6
927	兆す春逃ぐるがごとく鳥帰る	鳥帰る	春	20.2.6
928	雪代の川面過りて鳥帰る	鳥帰る	春	20.2.6
929	長き列空に描きて鳥帰る	鳥帰る	春	20.2.6
930	カレンダーあるがごとくに鳥帰る	鳥帰る	春	20.2.6
931	参勤の交代ににて鳥帰る	鳥帰る	春	20.2.6
932	巣箱には和毛遺して小鳥引く	小鳥引く	春	20.2.6
933	遭難碑遥か眼下に鳥帰る	鳥帰る	春	20.2.6
934	来たときと同じ空路や鳥帰る	鳥帰る	春	20.2.6
935	桜島噴煙越えて鳥帰る	鳥帰る	春	20.2.6
936	飛び立つ日告知の謎や鳥帰る	鳥帰る	春	20.2.6
937	海原を低く掠めて小鳥引く	小鳥引く	春	20.2.6
938	残雪の山稜越えて鳥帰る	鳥帰る	春	20.2.6
939	大空に緩き蛇行や鳥帰る	鳥帰る	春	20.2.6
940	発信器着けしも混り鳥帰る	鳥帰る	春	20.2.6
941	列島の春楽しまず鳥帰る	鳥帰る	春	20.2.6
942	クルーズ船さ迷ふ海を鳥帰る	鳥帰る	春	20.2.6
943	うららかや待った待ったのへぼ将棋	うららか	春	20.2.6
944	大空に長き帯引き鳥帰る	鳥帰る	春	20.2.6
945	閉じられてさてどうしやうラムネ玉	ラムネ	夏	20.2.6
946	封じられ出られぬままのラムネ玉	ラムネ	夏	20.2.6
947	カチカチと呼べど叫べどラムネ玉	ラムネ	夏	20.2.6
948	指揮者てふ仕上げのタクト草萌ゆる	草萌	春	20.2.6
949	早過ぎて良くも悪くもかの子の忌	かの子忌	春	20.2.6
950	そうなのかと言えばすむのを春疾風	春疾風	春	20.2.6
951	それぞれの空路違へず鳥帰る	鳥帰る	春	20.2.7
952	迷鳥もときにあるらし鳥帰る	鳥帰る	春	20.2.7
953	はぐれ鳥ときにあるらし鳥帰る	鳥帰る	春	20.2.7
954	雪代や多摩の横山靄立ちぬ	雪代	春	20.2.7
955	奔流となりて雪代岩揺する	雪代	春	20.2.7
956	雪代の奔流となり荒ぶれり	雪代	春	20.2.7
957	雪代の奔流となり谿揺する	雪代	春	20.2.7
958	雪代の奔流荒び谿揺する	雪代	春	20.2.7
959	雪代の奔流唸り轟けり	雪代	春	20.2.7
960	雪代の激流唸り轟けり	雪代	春	20.2.7
961	雪代の奔流過る魚影あり	雪代	春	20.2.7
962	雪代の激流捌くカヌーかな	雪代	春	20.2.7
963	種蒔きも育苗箱に変りけり	種蒔	春	20.2.7
964	大空に道あるごとく鳥帰る	鳥帰る	春	20.2.7
965	寄り道を楽しむ群や鳥帰る	鳥帰る	春	20.2.7
966	雪代の川猛々し轟けり	雪代	春	20.2.7
967	雪代や抗ふものを押し流す	雪代	春	20.2.7
968	雪代や抗ひ上る魚影あり	雪代	春	20.2.7
969	雪代や技鮮やかにカヌー行く	雪代	春	20.2.7
970	雪代の岩間抜け行くカヌーかな	雪代	春	20.2.7
971	白南風や海女あけすけの大乳房	白南風	夏	20.2.7
972	小鳥引き巣箱に遺る和毛（にこげ）かな	小鳥引く	春	20.2.7
973	雪代の奔流捌くカヌーかな	雪代	春	20.2.7
974	小鳥引き巣箱に和毛（にこげ）置き土産	小鳥引く	春	20.2.7
975	土浴びに励む雀や春隣	春隣	春	20.2.7
976	砂浴びに励む雀や春隣	春隣	春	20.2.7
977	六地蔵一輪ずつの黄水仙	黄水仙	春	20.2.8
978	虚無僧の昭和は遠く貝母咲く	貝母	春	20.2.8
979	しゃがみ込み貝母の花を覗き見る	貝母	春	20.2.8
980	砂浴びに嬉々と小雀春隣	春隣	春	20.2.8
981	春昼に嬉々と砂浴ぶ雀かな	春昼	春	20.2.8
982	マヌカンの裸身眩しき春日中	春日中	春	20.2.8
983	マヌカンのすっぽんぽんや春疾風	春疾風	春	20.2.8
984	マヌカンの無毛の裸体草萌ゆる	草萌	春	20.2.8
985	マヌカンの無毛のエロス草萌ゆる	草萌	春	20.2.8
986	マヌカンはどれもパイパン草萌ゆる	草萌	春	20.2.8
987	小鳥引き巣箱に和毛（にこげ）遺りけり	小鳥引く	春	20.2.8
988	蒼穹に惨の一文字原爆忌	原爆忌	夏	20.2.9
989	チューリップ描けぬ子は無し赤白黄	チューリップ	春	20.2.9
990	べた塗りに砺波平野のチューリップ	チューリップ	春	20.2.9
991	カラフルに砺波彩るチューリップ	チューリップ	春	20.2.9
992	夜目遠目知らぬ者なしチューリップ	チューリップ	春	20.2.9
993	花に美酒注ぎて呑まんチューリップ	チューリップ	春	20.2.9
994	花嫁が親に感謝のチューリップ	チューリップ	春	20.2.9
995	画用紙に赤黄犇めくチューリップ	チューリップ	春	20.2.9
996	砺波平野海へと続くチューリップ	チューリップ	春	20.2.9
997	園児らの嬉々と描きしチューリップ	チューリップ	春	20.2.9
998	細長き箱からどっとチューリップ	チューリップ	春	20.2.9
999	チューリップ日当たりの良き出窓かな	チューリップ	春	20.2.9
1000	チューリップ咲きて笑顔の狭庭かな	チューリップ	春	20.2.9

♪BGM:ショパン［夜想曲２番］arranged by Pian♪

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