１日１０句１０００句詠む第３７回

鈴童の遊び


1	三日以後食めとメモあるラ・フランス	ラ・フランス	秋	18.9.22.
2	一陣の風爽やかを運び行く	爽やか	秋	18.9.23.
3	妻の声背に秋爽の庭仕事	秋爽	秋	18.9.23.
4	秋爽と筆太に書き九月尽	九月尽	秋	18.9.23.
5	秋冷の庭に錆びたる枯れ四葩	秋冷	秋	18.9.23.
6	雉鳩の声くぐもれど秋澄めり	秋澄む	秋	18.9.23.
7	さわやかに鈴の音響く札所かな	爽やか	秋	18.9.23.
8	秋冷や九十九に折れし遍路径	秋冷	秋	18.9.23.
9	秋冷や数えて登る磴百段	秋冷	秋	18.9.23.
10	秋冷や肌色白き藤田の絵	秋冷	秋	18.9.23.
11	朝寒や鈴の音響く遍路宿	朝寒	秋	18.9.23.
12	朝寒や句帖忘れず旅に発つ	朝寒	秋	18.9.23.
13	地芝居の子供歌舞伎は多国籍	地芝居	秋	18.9.23.
14	アフリカ系白塗りで出る村芝居	村芝居	秋	18.9.23.
15	手際よく花差し替へる菊人形	菊人形	秋	18.9.23.
16	勝ち越しにジョージアが沸く九月場所	九月場所	秋	18.9.23.
17	丈高き紫苑の花と背競べ	紫苑	秋	18.9.24.
18	てんでんに傾ぎ乱れし残り菊	残菊	秋	18.9.24.
19	旅立ちの吾を見送る十日菊	十日菊	秋	18.9.24.
20	畑隅で焚かる烟残り菊	残菊	秋	18.9.24.
21	一括りされて淋しき菊畑	菊	秋	18.9.24.
22	さいかちの黒き莢垂る朝ぼらけ	さいかち	秋	18.9.24.
23	秋深し新幹線は多国籍	秋深し	秋	18.9.24.
24	異国語も耳に飛び込む秋へんろ	秋遍路	秋	18.9.24.
25	秋の季と言ふには見事雲の峰	秋・雲の峰	秋・夏	18.9.24.
26	今年また路地埋め尽くす虚栗繰	虚栗（みなしぐり）	秋	18.9.24.
27	行違ひいろいろありて虚栗	虚栗	秋	18.9.24.
28	さらさらと茶漬けを食めばぎす鳴けり	きりぎりす	秋	18.9.24.
29	坊ちゃん列車よぎる濠端新松子	新松子	秋	18.9.24.
30	白鷺城仰ぐ天主を鳥渡る	鳥渡る	秋	18.9.24.
31	坂の上空いっぱいの鰯雲	鰯雲	秋	18.9.24.
32	瀬戸大橋響く鉄路や鳥渡る	鳥渡る	秋	18.9.24.
33	踏みしだく毬栗どれも実を持たず	毬栗	秋	18.9.25.
34	雑草を毟る手を止む蛍草	蛍草	秋	18.9.25.
35	蛍草抛れば少し後ろめく	蛍草	秋	18.9.25.
36	十六夜の照らす海原桂浜	十六夜	秋	18.9.25.
37	十六夜を竜馬と見上ぐ桂浜	十六夜	秋	18.9.25.
38	十六夜を真ッ正面に竜馬像	十六夜	秋	18.9.25.
39	十六夜や潮騒高き桂浜	十六夜	秋	18.9.25.
40	やはらかく風の遊ばす猫じゃらし	猫じゃらし	秋	18.9.25.
41	竜馬像すっくと立つや新松子	新松子	秋	18.9.25.
42	札所寺すすきの先は太平洋（３２番札所・禅師峰寺で)	芒	秋	18.9.25.
43	やはらかに芒の招く桂浜）	芒	秋	18.9.25.
44	国道のセンターゾーンや曼珠沙華	曼珠沙華	秋	18.9.25.
45	札所へのなぞへを染める曼珠沙華	曼珠沙華	秋	18.9.25.
46	男坂燃え立ち招く曼珠沙華	曼珠沙華	秋	18.9.25.
47	札所寺急磴燃ゆる曼珠沙華	曼珠沙華	秋	18.9.25.
48	脱藩の竜馬の路や曼珠沙華	曼珠沙華	秋	18.9.25.
49	新松子竜馬遊びし桂浜	新松子	秋	18.9.26.
50	曼珠沙華眼下に碧き吉野川	曼珠沙華	秋	18.9.26.
51	水碧き大歩危小歩危曼珠沙華	曼珠沙華	秋	18.9.26.
52	蔓橋左右に揺らり曼珠沙華	曼珠沙華	秋	18.9.26.
53	祖谷の里九十九の路や曼珠沙華	曼珠沙華	秋	18.9.26.
54	コスモスに少し離れて曼珠沙華	曼珠沙華	秋	18.9.26.
55	おいそれと鳴らぬがゆかしひょんの笛	ひょんの笛	秋	18.9.26.
56	ひょんの笛ドレミガ吹いて拍手取る	ひょんの笛	秋	18.9.26.
57	ひょんの笛雉鳩のごと鳴りにけり	ひょんの笛	秋	18.9.26.
58	ひょんの笛一音出れば拍手かな	ひょんの笛	秋	18.9.26.
59	一音の鳴りて拍手のひょんの笛	ひょんの笛	秋	18.9.26.
60	秋の日に頬を染めをり白鷺城	秋の日	秋	18.9.26.
61	翻る葉裏葉おもて真葛原	真葛原	秋	18.9.26.
62	風来れば風に盾突く真葛原	真葛原	秋	18.9.26.
63	風の来て細き影揺る吾亦紅	吾亦紅	秋	18.9.26.
64	点盛りの無声さみしきひょんの笛	ひょんの笛	秋	18.9.26.
65	草ひばり日暮れ呼び寄すごと鳴けり	草雲雀	秋	18.9.27.
66	水平線昇る朝日や草雲雀	草雲雀	秋	18.9.27.
67	日の昇り日の沈むとき草ひばり	草雲雀	秋	18.9.27.
68	河原道耳欹てん草ひばり	草雲雀	秋	18.9.27.
69	草の蔭ふぃりりふぃりりと草雲雀	草雲雀	秋	18.9.27.
70	金鈴の地から湧くかに草雲雀	草雲雀	秋	18.9.27.
71	黒潮の潮目鮮やか草ひばり	草雲雀	秋	18.9.27.
72	屋根付きの橋ある里や鵙日和	鵙日和	秋	18.9.27.
73	雲竜の型で乾びし鵙の贄	鵙の贄	秋	18.9.27.
74	暫の見得切るごとく鵙の贄	鵙の贄	秋	18.9.27.
75	山里の三連水車鵙猛る	鵙猛る	秋	18.9.27.
76	ラ・フランス届き三日後食めのメモ	ラ・フランス	秋	18.9.27.
77	穏やかに初鴨戻る野川かな	初鴨	秋	18.9.28.
78	初鴨や野川の流れ恙なし	初鴨	秋	18.9.28.
79	初鴨の加わり野川たゆたへり	初鴨	秋	18.9.28.
80	星月夜潮騒高き桂浜	星月夜	秋	18.9.28.
81	流星のショータイムらし桂浜	流星	秋	18.9.28.
82	星月夜黒々と立つ竜馬像	星月夜	秋	18.9.28.
83	洋上に十六夜浮かべ桂浜	十六夜	秋	18.9.28.
84	十六夜を竜馬目線で桂浜	十六夜	秋	18.9.28.
85	桂浜砂を踏みしめ九月尽	九月尽	秋	18.9.28.
86	行く秋や竜馬の文は行書体	行く秋	秋	18.9.28.
87	秋深し竜馬に浸る記念館	秋深し	秋	18.9.28.
88	五百羅漢五百の秋思それぞれに	秋思	秋	18.9.28.
89	阿修羅像秋思の眉を寄せにけり	秋思	秋	18.9.28.
90	不動尊秋思に遠き大目玉	秋思	秋	18.9.28.
91	不動尊秋思を叱る目玉かな	秋思	秋	18.9.28.
92	拾得の箒止まりし秋思かな	秋思	秋	18.9.28.
93	潦（にわたずみ）浮葉の上の秋の蝶	秋の蝶	秋	18.9.29.
94	鶏鳴を昼に聞きたり九月尽	九月尽	秋	18.9.29.
95	台風の近ずく昼や鶏鳴けり	台風	秋	18.9.29.
96	秋風を蹴飛ばして来る野分かな	秋風・野分	秋	18.9.29.
97	掌の零余子十粒を捨てかねる	零余子	秋	18.9.29.
98	捨てかねし零余子十粒に手の温み	零余子	秋	18.9.29.
99	八十路来て林檎がぶりと丸齧り	林檎	秋	18.9.29.
100	幸せは赤き林檎の丸齧り	林檎	秋	18.9.29.
101	ぱらぱらと塩振りかけし零余子食む	零余子	秋	18.9.29.
102	熱々の零余子肴にさて呑むか	零余子	秋	18.9.29.
103	銀杏をいくつ踏みしか並木道	銀杏	秋	18.9.29.
104	銀杏を殺めて通る並木道	銀杏	秋	18.9.29.
105	芋水車ひと息入れて回り出す	芋水車	秋	18.9.29.
106	ふと休みまたごとごとと芋水車	芋水車	秋	18.9.29.
107	主来ねば夜通し回る芋水車	芋水車	秋	18.9.29.
108	気ままなる水の速さや芋水車	芋水車	秋	18.9.29.
109	人影の無き山里や芋水車	芋水車	秋	18.9.29.
110	ごろごろとまたごろごろと芋水車	芋水車	秋	18.9.30.
111	芋水車走り抜け行く郵便車	芋水車	秋	18.9.30.
112	時々は止まることあり芋水車	芋水車	秋	18.9.30.
113	腹の芋磨きをかける芋水車	芋水車	秋	18.9.30.
114	止まりてはまた回り出す芋水車	芋水車	秋	18.9.30.
115	両乳房両膝に当て秋思かな	秋思	秋	18.9.30.
116	両ひざを抱いて少女の秋思かな	秋思	秋	18.9.30.
117	トトロの森やあと肩打つ木の実かな	木の実	秋	18.9.30.
118	艶やかに木の実敷き詰む山路ゆく	木の実	秋	18.9.30.
119	隠沼に音を作りし木の実かな	木の実	秋	18.9.30.
120	ほの温き幼のくれし木の実かな	木の実	秋	18.9.30.
121	木の実雨笑顔で浴びる百羅漢	木の実	秋	18.9.30.
122	山猫亭ママは木の実のネックレス	木の実	秋	18.9.30.
123	ドレミファと木の実落ち来る六地蔵	木の実	秋	18.9.30.
124	子のくれしブレスレットは木の実製	木の実	秋	18.9.30.
125	月明に乳房を隠す全裸美女	月明	秋	18.9.30.
126	木の実雨どれも笑顔の百羅漢	木の実雨	秋	18.10.1.
127	猪垣を開け閉めしつつ里通過	猪垣	秋	18.10.1.
128	日に何度尻打ちつける添水かな	添水	秋	18.10.1.
129	親方も弟子も無口な松手入れ	松手入れ	秋	18.10.1.
130	白魚の指で注がる温め酒	温め酒	秋	18.10.1.
131	柿すだれ婆は元気の証しかな	柿簾	秋	18.10.1.
132	夕映えを照り返しをり柿すだれ	柿簾	秋	18.10.1.
133	柿すだれ山はそろそろ初冠雪	柿簾・雪	秋・冬	18.10.1.
134	柿吊るす閻魔の抜きし人の舌	吊し柿	秋	18.10.1.
135	柿干すや閻魔の抜きし人の舌	干し柿	秋	18.10.1.
136	スカイツリー遥か足下に鳥渡る	鳥渡る	秋	18.10.2.
137	人影の見えぬ山里鳥渡る	鳥渡る	秋	18.10.2.
138	徳問はる白亜の上を鳥渡る	鳥渡る	秋	18.10.2.
139	災害の続く列島鳥渡る	鳥渡る	秋	18.10.2.
140	また一つ消えし集落鳥渡る	鳥渡る	秋	18.10.2.
141	ラフランス五日眺めし後に食む	ラフランス	秋	18.10.2.
142	絵手紙のモデルは卓のラフランス	ラフランス	秋	18.10.2.
143	静物画描き終えて食むラフランス	ラフランス	秋	18.10.2.
144	宅配便友から届くラフランス	ラフランス	秋	18.10.2.
145	目に入りしことを呟き素十の忌	素十忌（１０月４日）	秋	18.10.2.
146	運動会金銀銅のメダルかな	運動会	秋	18.10.2.
147	金銀銅メダルを首に運動会	運動会	秋	18.10.2.
148	紙製のメダル誇らし運動会	運動会	秋	18.10.2.
149	表彰はメダルになりし運動会	運動会	秋	18.10.2.
150	雨音にあらず瀬音の秋の宿	秋	秋	18.10.2.
151	窓を開け潮騒を聞く宿の秋	秋	秋	18.10.2.
152	雨音にあらず瀬音の宿の秋	秋	秋	18.10.2.
153	竜馬像釣瓶落しの桂浜	釣瓶落し	秋	18.10.3.
154	駆け下る釣瓶落しの山路かな	釣瓶落し	秋	18.10.3.
155	釣瓶落し苦にせぬ主婦の立ち話	釣瓶落し	秋	18.10.3.
156	雁渡し円き乳房の乙女像	雁渡し	秋	18.10.3.
157	裸婦像の円き乳房や雁渡し	雁渡し	秋	18.10.3.
158	やはらかに風紋刻む雁わたし	雁渡し	秋	18.10.3.
159	竜馬像頬柔らかに雁渡し	雁渡し	秋	18.10.3.
160	竜馬像見つめる海や雁渡し	雁渡し	秋	18.10.3.
161	妙高の雲薄れゆく雁渡し	雁渡し	秋	18.10.3.
162	水鳥の水脈引く池や雁渡し	雁渡し	秋	18.10.3.
163	黒潮の潮目くっきり雁渡し	雁渡し	秋	18.10.3.
164	寄せる波引く波撫ずる雁渡し	雁渡し	秋	18.10.3.
165	十月や前掛け新た六地蔵	十月	秋	18.10.4.
166	十月の風十月の水清し	十月	秋	18.10.4.
167	十月の風十月の水澄めり	十月	秋	18.10.4.
168	スマホ手に媼も自撮る紅葉かな	紅葉	秋	18.10.4.
169	天高し薄々残る朝の月	天高し	秋	18.10.4.
170	制服の子らの声上ぐ赤い羽根	赤い羽根	秋	18.10.4.
171	百円で笑顔をもらふ赤い羽根	赤い羽根	秋	18.10.4.
172	バス停や誰も拾はぬ赤い羽根	赤い羽根	秋	18.10.4.
173	ラッシュアワー気付けば失せし赤い羽根	赤い羽根	秋	18.10.4.
174	小学生声を揃へて赤い羽根	赤い羽根	秋	18.10.4.
175	二日ほど挿して失せをり赤い羽根	赤い羽根	秋	18.10.4.
176	ラッシュ時のホームで踏まる赤い羽根	赤い羽根	秋	18.10.4.
177	超党派議員バッジと赤い羽根	赤い羽根	秋	18.10.4.
178	超党派バッジの横に赤い羽根	赤い羽根	秋	18.10.4.
179	やや寒やバス待つ列の手にスマホ	やや寒	秋	18.10.5.
180	うそ寒やだれも無言でバスを待つ	うそ寒	秋	18.10.5.
181	うそ寒やバス待つ人はみな無言	うそ寒	秋	18.10.5.
182	松手入脚立に見える跣足袋	松手入	秋	18.10.5.
183	松手入紺あざやかに跣足袋	松手入	秋	18.10.5.
184	姐さん被り女庭師の松手入	松手入	秋	18.10.5.
185	理髪屋の床思はせる松手入	松手入	秋	18.10.5.
186	庭師来てただ黙々と松手入	松手入	秋	18.10.5.
187	松手入女庭師の跣足袋	松手入	秋	18.10.5.
188	跣足袋紺鮮やかに松手入	松手入	秋	18.10.5.
189	藤の実の棚いっぱいに百花園	藤の実	秋	18.10.5.
190	廃屋や碧艶やか臭木の実	臭木の実	秋	18.10.5.
191	一枝を一輪挿しに式部の実	式部の実	秋	18.10.5.
192	一枝を一輪挿しに実むらさき	実むらさき	秋	18.10.5.
193	農の家間取り広々稲の秋	稲の秋	秋	18.10.6.
194	稲の香に分け入り走るコンバイン	稲	秋	18.10.6.
195	縦横に稲田を駈けるコンバイン	稲田	秋	18.10.6.
196	稲の香も取り入れてゆくコンバイン	稲	秋	18.10.6.
197	人の手がにぎやかに刈る棚田かな	稲田	秋	18.10.6.
198	さわさわと豊穣告ぐる稲穂波	稲穂波	秋	18.10.6.
199	寄せ来るは越後平野の稲穂波	稲穂波	秋	18.10.6.
200	夕映えて稲穂きらめく棚田かな	稲穂	秋	18.10.6.
201	稲穂波寄せては返す樽見線	稲穂波	秋	18.10.6.
202	単車輌踊らせるかに稲穂波	稲穂波	秋	18.10.6.
203	その昔日蔭の女茗荷花	茗荷の花	秋	18.10.6.
204	お妾のごとくに咲けり茗荷花	茗荷の花	秋	18.10.6.
205	人の眼を厭ふかに咲く茗荷花	茗荷の花	秋	18.10.6.
206	飾ろふにも飾れぬ淋し茗荷花	茗荷の花	秋	18.10.6.
207	竜馬像釣瓶落しの桂浜	釣瓶落し	秋	18.10.7.
208	竜馬像釣瓶落しの土佐の海	釣瓶落し	秋	18.10.7.
209	瀬戸大橋つるべ落としの海渡る	釣瓶落し	秋	18.10.7.
210	河原道はたはた飛べりまた飛べり	はたはた	秋	18.10.7.
211	草間からはたはた飛んで草に消ゆ	はたはた	秋	18.10.7.
212	甲高く日暮れの庭に添水鳴る	添水	秋	18.10.7.
213	庭園の闇を切り裂く鹿威し	鹿威し	秋	18.10.7.
214	夜の静寂裂きて石打つ鹿威し	鹿威し	秋	18.10.7.
215	青竹の色鮮やかに鹿威し	鹿威し	秋	18.10.7.
216	庭園に静寂を作る添水かな	添水	秋	18.10.7.
217	ぐいと尻上げて水吐く添水かな	添水	秋	18.10.7.
218	人の足ふと止めさせるばったんこ	ばったんこ	秋	18.10.7.
219	水加減違え柔らか今年米	今年米	秋	18.10.8.
220	一汁と一菜でよし今年米	今年米	秋	18.10.8.
221	妻と食む銀しゃり旨し今年米	今年米	秋	18.10.8.
222	急ぐ背を釣瓶落しに掴まれぬ	釣瓶落し	秋	18.10.8.
223	肩寄する釣瓶落しのベンチかな	釣瓶落し	秋	18.10.8.
224	釣瓶落し気にせぬ主婦の立ち話	釣瓶落し	秋	18.10.8.
225	補聴器を掛けねど聞ゆ秋の声	秋の声	秋	18.10.8.
226	半跏趺坐仏も聞けり秋の声	秋の声	秋	18.10.8.
227	入相の鐘に載り来る秋のこゑ	秋の声	秋	18.10.8.
228	黄昏の野道たどれば秋の声	秋の声	秋	18.10.8.
229	鰯雲海の仲間と話しをり	鰯雲	秋	18.10.8.
230	鰯雲いや鯖だよと兄妹	鰯雲	秋	18.10.8.
231	狸の列かと近寄れば箒草	箒草	秋	18.10.8.
232	あら狸列をなすかに箒草	箒草	秋	18.10.8.
233	一つずつ林檎を磨く青果店	林檎	秋	18.10.9.
234	一昨年の今年の簗の崩れをり	崩れ簗	秋	18.10.9
235	下り簗跳ねる魚影を手掴みに	下り簗	秋	18.10.9
236	鳩吹いてみたれど鳴らず雑木山	鳩吹く	秋	18.10.9
237	淡海や蘆刈る人の手際よき	蘆刈	秋	18.10.9
238	萩刈られ風の戸惑ふ萩の寺	萩刈る	秋	18.10.9
239	里人の老いの目立つや葛根掘り	葛根掘る	秋	18.10.9
240	受験子の追い込みこれも夜なべかな	夜なべ	秋	18.10.9
241	イヤホンを付けし庭師の松手入	松手入	秋	18.10.9
242	イヤホンを耳に庭師の松手入	松手入	秋	18.10.9
243	新蕎麦と筆太に書く長寿庵	新蕎麦	秋	18.10.9
244	蕎麦前を傾けて待つ走り蕎麦	走り蕎麦	秋	18.10.9
245	理髪師のごとく細やか松手入	松手入	秋	18.10.10
246	ちょきちょきとまたちょきちょきと松手入	松手入	秋	18.10.10
247	地下足袋の紺鮮やかに松手入	松手入	秋	18.10.10
248	古葉払い枝ため進む松手入	松手入	秋	18.10.10
249	電柱の鴉見守る松手入	松手入	秋	18.10.10
250	一日を脚立で暮らす松手入	松手入	秋	18.10.10
251	お運びの秋田訛りや菊膾	菊膾	秋	18.10.10
252	指先を少し汚して衣被	衣被	秋	18.10.10
253	一つずつ指先で剥き衣被	衣被	秋	18.10.10
254	芋水車潜らず出でし衣被	衣被	秋	18.10.10
255	麦飯の日々思い出すとろろ汁	とろろ汁	秋	18.10.10
256	大川や名題の店のとろろ汁	とろろ汁	秋	18.10.10
257	母偲び妻に作らす焼りんご	林檎	秋	18.10.10
258	信濃路やおらが林檎の揃い踏み	林檎	秋	18.10.10
259	信濃路やおらが林檎を観閲す	林檎	秋	18.10.10
260	信濃路や土産は重き林檎籠	林檎	秋	18.10.10
261	信濃路や林檎溢るる道の駅	林檎	秋	18.10.11
262	信濃路や赤き林檎が村埋む	林檎	秋	18.10.11
263	枝撓る赤き林檎の信州路	林檎	秋	18.10.11
264	信濃路や赤き林檎と茜雲	林檎	秋	18.10.11
265	信濃路の赤き林檎や素十の忌	林檎	秋	18.10.11
266	恬淡と咲ひて十月桜かな（府中郷土の森公園吟行）	十月桜	秋	18.10.11
267	ひそやかに咲きて十月桜かな	十月桜	秋	18.10.11
268	さわあさわと郷土の森の雁渡し	雁渡し	秋	18.10.11
269	薄靄のかかりし里や初紅葉	初紅葉	秋	18.10.11
270	芒根にひそと寄り添ふ思草	思草	秋	18.10.11
271	杜鵑草少しいじけて厠裏	杜鵑草	秋	18.10.11
272	藤袴風無きままに揺れにけり	藤袴	秋	18.10.11
273	柔らかに風の撫でゆく穭かな	穭	秋	18.10.11
274	花果てし萩のトンネル抜けてみる	萩	秋	18.10.12
275	末枯れやティラノサウルスの巨大像	末枯れ	秋	18.10.12
276	末枯れの園にリアルな恐竜像	末枯れ	秋	18.10.12
277	雷を呼びて孕むや稲の花	稲の花	秋	18.10.12
278	靄の径白き四葩の帰り花	四葩・返り花	夏・冬	18.10.12
279	おんぶ飛蝗逃げずに始むみそかごと	ばった	秋	18.10.12
280	ジンジャーの白き花房香を立てり	ジンジゃー	秋	18.10.12
281	末枯れの野を吟行の老一団	末枯れ	秋	18.10.12
282	一粒を育てる決意稲の花	稲の花	秋	18.10.12
223	しめやかに瑞穂の国の稲の花	稲の花	秋	18.10.12
284	一面に霜降るごとく稲の花	稲の花	秋	18.10.12
285	ジーゼル車単線を来る稲の花	稲の花	秋	18.10.12
286	森行かばつるりと赤き天狗茸	茸	秋	18.10.13
287	小人ども湧ひて出そうな天狗茸	茸	秋	18.10.13
288	蹴飛ばせば腹立ち裂きてけむり茸	茸	秋	18.10.13
289	ほくそめる輩が独り笑茸	茸	秋	18.10.13
290	神の留守預かり忙し恵比寿神	神の留守	冬	18.10.13
291	神鶏の群れて離れて神の留守	神の留守	冬	18.10.13
292	神鶏の走り縺れる神の留守	神の留守	冬	18.10.13
293	神の留守預かる恵比寿大あくび	神の留守	冬	18.10.13
294	柏手を打ちつ気付きし神の留守	神の留守	冬	18.10.13
295	とりどりのキャリーバッグや神の旅	神の旅	冬	18.10.13
296	神の留守恵比寿が務む縁結び	神の留守	冬	18.10.13
297	弁天に留守居託して神の旅	神の旅	冬	18.10.13
298	よろしくとだけ神頼み初紅葉	初紅葉	秋	18.10.13
299	よろしくとだけ拝みたり初紅葉	初紅葉	秋	18.10.13
300	よろしくと柏手二つ雁渡し	雁渡し	秋	18.10.13
301	山茶花や九九読む子らの声揃ふ	山茶花	冬	18.10.13
302	山茶花や子らは元気に三三が九	山茶花	冬	18.10.13
303	山茶花や山茶花究と言ふ役者	山茶花	冬	18.10.13
304	山茶花や宅配便の着払ひ	山茶花	冬	18.10.13
305	山茶花やピザ宅配のスクーター	山茶花	冬	18.10.13
306	山茶花や骨董店の鳩時計	山茶花	冬	18.10.13
307	山茶花や庫裡で始まる夕支度	山茶花	冬	18.10.13
308	山茶花や池面に白き花の影	山茶花	冬	18.10.13
309	山茶花や三四郎池一巡り	山茶花	冬	18.10.13
310	山茶花や塒に向かふ群雀	山茶花	冬	18.10.13
311	晩秋の葎に白き四葩咲く	晩秋・四葩	秋・夏	18.10.13
312	主役にはならず十月桜咲く	十月桜	秋	18.10.13
313	芭蕉忌やどんと置かれし叉焼麺	芭蕉忌	冬	18.10.13
314	叉焼麺汁も残さず芭蕉の忌	芭蕉忌	冬	18.10.13
315	旅重ね旅に果てたる芭蕉の忌	芭蕉忌	冬	18.10.13
316	芭蕉忌や池の静寂に小石蹴る	芭蕉忌	冬	18.10.14
317	芭蕉忌や池面に小石投げてみる	芭蕉忌	冬	18.10.14
318	非日常求め旅せん桃青忌	桃青忌	冬	18.10.14
319	脇役にもあらじ十月桜咲く	十月桜	秋	18.10.14
320	端境に咲きし十月桜かな	十月桜	秋	18.10.14
321	行く秋やカフェテラスには客一人	行く秋	秋	18.10.14
322	行く秋や乾びし魚板暮れ残る	行く秋	秋	18.10.14
323	行く秋や池面に小石投げてみる	行く秋	秋	18.10.14
324	行く秋や竜馬の像の影長し	行く秋	秋	18.10.14
325	登竜門大玉並ぶ運動会	運動会	秋	18.10.14
326	運動会走る子を追ふ自撮り棒	運動会	秋	18.10.14
327	色形モダンアートの毒茸	茸	秋	18.10.14
328	イースター玉子そっくり天狗茸	茸	秋	18.10.14
329	食べらると聞けど腰引く天狗茸	茸	秋	18.10.14
330	姿見の池に水音翁の忌	翁忌	冬	18.10.14
331	行く秋や溜息一つついてみる	行く秋	秋	18.10.14
332	行く秋に咳払ひしてゐる厠	行く秋	秋	18.10.14
333	行く秋にあっかんべーをしてみるか	行く秋	秋	18.10.14
334	松茸の紙ほど薄き土瓶蒸し	松茸	秋	18.10.14
335	運動会孫もいまでは大学生	運動会	秋	18.10.14
336	行く秋や花に訳あり四葩咲く	行く秋・四葩	秋	18.10.14
337	松茸の薄きを競ふ土瓶蒸し	松茸	秋	18.10.15
338	松茸の歯に挟まりし土瓶蒸し	松茸	秋	18.10.15
339	芭蕉忌や少し猫背の翁像	芭蕉忌	冬	18.10.15
340	芭蕉忌や駒形で食ふとろろ汁	芭蕉忌	冬秋	18.10.15
341	翁忌や静寂を作る鏡池	翁忌	秋	18.10.15
342	達筆の書状が来たり桃青忌	桃青忌	冬	18.10.15
343	枯枝に一輪白き帰り花	帰り花	冬	18.10.15
344	刈り込まれし垣根に一輪返り花	返り花	冬	18.10.15
345	どんなわけありて咲きしか返り花	返り花	冬	18.10.15
346	冬初めダウンのコート出してみる	冬初め	冬	18.10.15
347	潮騒も音程変える冬初め	冬初め	冬	18.10.15
348	潮騒の音程変る初冬かな	初冬	冬	18.10.15
349	松茸は親の仇の土瓶蒸し	松茸	秋	18.10.15
341	予告して松茸飯の夕餉かな	松茸	秋	18.10.15
342	土付かず工場出て行く貝割菜	貝割菜	秋	18.10.16
343	土付かず目指す力士や貝割菜	貝割菜	秋	18.10.16
344	才媛の像ある寺や式部の実（石山寺）	式部の実	秋	18.10.16
345	色鳥や栞に欲しき羽一葉	色鳥	秋	18.10.16
346	色鳥の水場に遺す靑き羽	色鳥	秋	18.10.16
347	龍馬像目線の先を鷹渡る	鷹渡る	秋	18.10.16
348	鷹渡る洋上見据え龍馬像	鷹渡る	秋	18.10.16
349	午後四時の路地の華やぐ夕化粧	夕化粧（＝白粉花）	秋	18.10.16
350	午後四時の路地華やげり夕化粧	夕化粧	秋	18.10.16
351	白粉の花色競ひ乱れ咲く	白粉花	秋	18.10.16
352	夕化粧花色競ひ乱れけり	夕化粧	秋	18.10.16
353	給仕女の秋田訛りや菊膾	菊膾	秋	18.10.16
354	巌門の波の轟き海桐の実	海桐の実	秋	18.10.16
355	巌門の波の響きや海桐の実	海桐の実	秋	18.10.16
356	浪しぶき赤き口裂く海桐の実	海桐の実	秋	18.10.16
357	赤があり黄色もありて靑林檎	隠語	秋	18.10.16
358	バーの椅子足宙に浮く冬初め	冬初め	冬	18.10.16
359	穴を出し蝉に七日の砂時計	蝉	夏	18.10.16
360	水を抜け空が蜻蛉の後半生	蜻蛉	夏	18.10.16
361	気取りなく咲ひて十月桜かな	十月桜	秋	18.10.16
362	しめやかに咲ひて十月桜かな	十月桜	秋	18.10.16
363	つつましく咲ひて十月桜かな	十月桜	秋	18.10.16
364	石蕗群れて咲けど自尊の距離保つ	石蕗の花	冬	18.10.16
365	石蕗群れて咲けど自尊の距離を置く	石蕗の花	冬	18.10.16
366	石蕗群れて咲けど自尊の距離置けり	石蕗の花	冬	18.10.16
367	蜜吸ひの虫を集めて石蕗の花	石蕗の花	冬	18.10.16
368	好き嫌い言われ恬淡石蕗の花	石蕗の花	冬	18.10.16
369	台湾閣映す池面や鵙高音（旧御涼亭で）	鵙高音	秋	18.10.16
370	鵙高音台湾閣の池面揺る	鵙高音	秋	18.10.16
371	それぞれが漕ぎ出す風情黄吊舟	黄吊舟	秋	18.10.16
372	てんでんに漕ぎ出す風情黄吊舟・	黄吊舟	秋	18.10.16
373	風来ればゆらり漕ぐかに黄吊舟	黄吊舟	秋	18.10.17
374	風来ればゆらり漕ぎゆく黄吊舟	黄吊舟	秋	18.10.17
375	山茶花の花びら食みし鯉の口	山茶花	冬	18.10.17
376	曇天に山茶花の白輝きぬ	山茶花	冬	18.10.17
377	山茶花や足し引き同じ花の数	山茶花	冬	18.10.17
378	日に向ひ花絶やさじと石蕗一群	石蕗の花	冬	18.10.17
379	面上げ花絶やさじと石蕗一群・	石蕗の花	冬	18.10.17
380	山茶花の一ひら零し咲き初むる	山茶花	冬	18.10.17
381	押しかけの恋罪深き思草（＝南蛮煙管）	思草	秋	18.10.17
382	押しかけの恋成就して思草	思草	秋	18.10.17
383	押しかけの恋の成就や思草	思草	秋	18.10.17
384	元寇の蒙古もかくや黄吊船	黄吊船	秋	18.10.17
385	句帖手に御苑渉猟秋惜しむ	」秋惜しむ	秋	18.10.18
386	山茶花の咲きては零す池畔かな	山茶花	冬	18.10.18
387	人の足止める十月桜かな	十月桜	秋	18.10.18
388	さざ波の光と遊ぶ赤とんぼ	赤とんぼ	秋	18.10.18
389	日の蔭に隠るる風情杜鵑草	杜鵑草	秋	18.10.18
390	人の眼にはにかむごとく時鳥草	時鳥草	秋	18.10.18
391	雲速し十月桜風のなか	十月桜	秋	18.10.18
392	山茶花の花びらぱくと鯉の口	山茶花	冬	18.10.18
393	露草の色確かめて露こぼる	露草	秋	18.10.18
394	曇天の雲の重さや蛍草	蛍草	秋	18.10.18
395	句帖手に老ひの一団返り花	返り花	冬	18.10.18
396	朝練の一団よぎる芒原	芒原	秋	18.10.19
397	朝練の列が凸凹芒原	芒原	秋	18.10.19
398	ろくろ首ひゅうと出さうな芒原	芒原	秋	18.10.19
399	手繰るほどずるりずるりと藪枯らし	藪枯らし	秋	18.10.19
400	手繰るほどしぶとく伸びる藪枯らし	藪枯らし	秋	18.10.19
401	藪枯らししてやったりと引き剥がす	藪枯らし	秋	18.10.19
402	空家の庭縦横無尽藪枯らし	藪枯らし	秋	18.10.19
403	藪枯らし引き抜きさまあみろと言ふ	藪枯らし	秋	18.10.19
404	茗荷の花ここよここよと教へをり	茗荷の花	秋	18.10.19
405	突き出しは茹でたる零余子十粒ほど	零余子	秋	18.10.19
406	零余子飯よきもの食はす山の宿	零余子	秋	18.10.19
407	夕焼けに黒き礫のばった飛ぶ	ばった	秋	18.10.20
408	鞍部越え大きく撓む鶸の帯	鶸	秋	18.10.20
409	ゆるやかにたわみ撓りて鶸の帯	鶸	秋	18.10.20
410	熱々の柚釜湯気立つ山の宿	柚釜	秋	18.10.20
411	一息をつくこと知らぬ石叩き	石叩き	秋	18.10.20
412	巣を去りて死出の旅へと秋の蜂	秋の鉢	秋	18.10.20
413	無患子の実を振り零し深大寺	無患子	秋	18.10.20
414	早よ食へと腹裂きて待つ通草かな	通草（あけび）	秋	18.10.20
415	無住持の色無き庭のカンナ映ゆ	カンナ	秋	18.10.20
416	紅葉せし山の茶店の五平餅	紅葉	秋	18.10.20
417	ふてぶてし野良大の字に芒原	芒原	秋	18.10.20
418	猫よぎる塀の高さに種瓢	種瓢	秋	18.10.20
419	青い目も音立て啜る走り蕎麦	走り蕎麦	秋	18.10.21
420	蕎麦前酒やりつ待ちをり走り蕎麦	走り蕎麦	秋	18.10.21
421	秋耕の音軽やかにトラクター	秋耕	秋	18.10.21
422	意を決し旅立つ蒲の穂絮かな	蒲の穂絮	秋	18.10.21
423	風呼んで蒲の穂絮の親離れ	蒲の穂絮	秋	18.10.21
424	蓮の実の飛んで池面に小さき輪	蓮の実	秋	18.10.21
425	刀折れ矢も尽きたると破芭蕉	破芭蕉	秋	18.10.21
426	敗残の姿かたちを破芭蕉	破芭蕉	秋	18.10.21
427	敗蓮の池面寂しき日暮れかな	敗蓮	秋	18.10.21
428	一万歩歩きし証し草虱	草虱	秋	18.10.21
429	休憩のベンチで剥がす草虱	草虱	秋	18.10.21
430	遍路道行けば脚絆にゐのこづち	ゐのこづち	秋	18.10.21
431	刀折れ矢尽きを見せる破芭蕉	破芭蕉	秋	18.10.21
432	たちまちに晩稲刈り上ぐコンバイン	晩稲	秋	18.10.21
433	お運びの山形訛り菊膾	菊膾	秋	18.10.21
434	手作りのメダル誇らし運動会	運動会	秋	18.10.22
435	蕎麦前の一献ありて走り蕎麦	走り蕎麦	秋	18.10.22
436	廃村の集落への径野紺菊	野紺菊	秋	18.10.22
437	林道の日溜りひそと野紺菊	野紺菊	秋	18.10.22
438	六地蔵供華筒どれも野紺菊	野紺菊	秋	18.10.22
439	傾ぎたる野菊を濡らす日照雨かな	野菊	秋	18.10.22
440	無人スタンド野菜と並ぶ野紺菊	野紺菊	秋	18.10.22
441	蒼天と色競ふかに野紺菊	野紺菊	秋	18.10.22
442	蒼天と色を競ひて野紺菊	野紺菊	秋	18.10.22
443	行きずりに媼のくれし野紺菊	野紺菊	秋	18.10.22
444	九九唱へ下校の子らや野紺菊	野紺菊	秋	18.10.22
445	朱蠟燭百本燃えて葛の花	葛の花	秋	18.10.22
446	朱蠟燭葉陰に燃ゆる葛の花	葛の花	秋	18.10.22
447	朱の房を天に突き立て葛の花	葛の花	秋	18.10.22
448	碁敵と一献の後きのこ飯	茸	秋	18.10.22
449	蹴飛ばせば噴煙吐きしほこり茸	茸	秋	18.10.22
455	豪快に松茸裂ひて杣の宴	松茸	秋	18.10.22
456	松茸飯腹一杯に杣の小屋	松茸	秋	18.10.22
457	焼き松茸裂ひて肴に杣の夜	松茸	秋	18.10.22
458	借り物に手間取りビリの運動会	運動会	秋	18.10.23
459	校長も選手姿の運動会	運動会	秋	18.10.23
460	借り物は美女と書かれし運動会	運動会	秋	18.10.23
461	走る子と自撮りの技の運動会	運動会	秋	18.10.23
462	昼食のから揚げ目立つ運動会	運動会	秋	18.10.23
463	昼休みから揚げ目立つ運動会	運動会	秋	18.10.23
464	青空に花火轟き運動会	運動会	秋	18.10.23
465	わが子へとスマホ突き出す運動会	運動会	秋	18.10.23
466	応援に趣向凝らして運動会	運動会	秋	18.10.23
467	女生徒の太腿白き運動会	運動会	秋	18.10.23
468	脚長き子ら走り行く運動会	運動会	秋	18.10.23
469	登竜門墨書鮮やか運動会	運動会	秋	18.10.23
470	行く秋や鯉の大口のど仏	行く秋	秋	18.10.24
471	行く秋やだれが撞くのか無住寺	行く秋	秋	18.10.24
472	行く秋や少し傾ぎし三角点	行く秋	秋	18.10.24
473	行く秋や物みな流れ吾もまた	行く秋	秋	18.10.24
474	小流れの瀬音変わりて秋の果て	秋	秋	18.10.24
475	行く秋や真っ先に見る訃報爛	行く秋	秋	18.10.24
476	行く秋に名残りの風情昼の月	行く秋	秋	18.10.24
477	秋惜しむかに懸かりたる昼の月	秋惜しむ	秋	18.10.24
478	鍬一打小石噛みたり秋の声	秋の声	秋	18.10.24
479	産直のたたみ鰯や鰯雲	鰯雲	秋	18.10.24
480	十三夜たたみ鰯をひと炙り	十三夜	秋	18.10.24
481	十三夜たたみ鰯を炙り呑む	十三夜	秋	18.10.24
482	独り酒空を蔽いし鰯雲	鰯雲	秋	18.10.24
483	鰯雲空いっぱいに小海線	鰯雲	秋	18.10.24
484	大方は鐘撞かぬ寺秋深し	秋深し	秋	18.10.24
485	鶏頭の寄り添ひて咲く赤黄色	鶏頭	秋	18.10.24
486	神々もキャリーバッグで旅支度	神の旅	冬	18.10.25
487	新幹線隣りはもしや神の席	神の旅	冬	18.10.25
488	ニライカナイからもはるばる神の旅	神の旅	冬	18.10.25
489	貧乏神夜行のバスで出雲入り	神の旅	冬	18.10.25
490	てんでんに出雲に向かふ神の旅	神の旅	冬	18.10.25
491	神池の鯉の大口神の留守	神の留守	冬	18.10.25
492	浅沓も忘れず入れて神の旅	神の旅	冬	18.10.25
493	駅弁を買って乗り込む神の旅	神の旅	冬	18.10.25
494	明治帝出雲へ向かふ神の旅	神の旅	冬	18.10.25
495	補聴器を持参出雲へ神の旅	神の旅	冬	18.10.25
496	神の留守神鶏遊ぶ谷保天神	神の留守	冬	18.10.25
497	緋袴の巫女大もての紙の留守	神の留守	冬	18.10.25
498	出雲入り神々啜る割子そば	神の旅	冬	18.10.25
499	神の旅富士には白き綿帽子	神の旅	冬	18.10.25
500	旅の神三杯目食ふ出雲そば	神の旅	冬	18.10.25
501	弁財天ゲストで呼ばれ神の旅	神の旅	冬	18.10.25
502	異国語の飛び交ふ神宮神の留守	神の留守	冬	18.10.25
503	神在月神と相席出雲そば	神在月	冬	18.10.25
504	ひとひらを零し山茶花咲き初めり	山茶花	冬	18.10.25
505	山茶花の散りては咲ひて日暮れけり	山茶花	冬	18.10.25
506	花びらの震へ小刻み冬桜	冬桜	冬	18.10.25
507	小刻みに花震へをり冬ざくら	冬桜	冬	18.10.25
508	異国語も飛び交ふ坩堝酉の市	酉の市	冬	18.10.26
509	宗教を超えて人呼ぶ酉の市	酉の市	冬	18.10.26
510	ミニ熊手飛ぶやうに売れ酉の市	酉の市	冬	18.10.26
511	大枚をはたいたんだと大熊手	熊手	冬	18.10.26
512	酉の市英語操る熊手売り	熊手	冬	18.10.26
513	あちこちで手締めにぎやか酉の市	酉の市	冬	18.10.26
514	裏道へ露店が伸びる酉の市	酉の市	冬	18.10.26
515	日の暮れて人波増える酉の市	酉の市	冬	18.10.26
516	異国語に囲まれ歩む酉の市	酉の市	冬	18.10.26
517	人波の渦巻き続く酉の市	酉の市	冬	18.10.26
518	一の酉行って来たよとミニ熊手	熊手	冬	18.10.26
519	人波の流れ教える大熊手	熊手	冬	18.10.26
520	鍬打てば小石噛みたり秋の声	秋の声	秋	18.10.26
521	神の留守なれど柏手打つ男	神の留守	冬	18.10.27
522	正月の準備忙し神の留守	神の留守	冬	18.10.27
523	神さまは今日はおらんと教える子	神の留守	冬	18.10.27
524	神在の居酒屋神も混りをり	神在	冬	18.10.27
525	馬跳びをする子もをらず冬立ぬ	立冬	冬	18.10.27
526	冬耕の鍬黙々と老農夫	冬耕	冬	18.10.27
527	音立てて煮え滾りをり芋煮会	芋煮会	秋	18.10.27
528	音立てて煮える大鍋芋煮会	芋煮会	秋	18.10.27
529	椀を手に列ができをり芋煮会	芋煮会	秋	18.10.27
530	晩酌は日本酒に替えおでん鍋	おでん鍋	冬	18.10.27
531	鉄鍋で滾る鍋焼啜る宵	鍋焼	冬	18.10.27
532	鍋焼で仕上げて帰る家路かな	鍋焼	冬	18.10.27
533	眼鏡取り鍋焼を食ふ漢かな	鍋焼	冬	18.10.27
534	眼鏡取り鍋焼食めば障りなし	鍋焼	冬	18.10.27
535	さり気なく頬に口づけ霧の辻	霧	秋	18.10.27
536	群れなしてイルカ跳び行く暮の秋	暮の秋	秋	18.10.27
537	凩や歌ひつ来り寒太郎	凩	冬	18.10.27
538	凩や歌声聞ゆ寒太郎	凩	冬	18.10.27
539	凩や江の島少し震へをり	凩	冬	18.10.27
540	凩や竜馬の像の毅然たる	凩	冬	18.10.27
541	凩や魚板の木づち壁を打つ	凩	冬	18.10.27
542	凩を阿吽で耐える仁王像	凩	冬	18.10.27
543	凩に吹くなら吹けと仁王像	凩	冬	18.10.27
544	凩の抜ける山門仁王像	凩	冬	18.10.28
545	凩やだれも猫背の街に変へ	凩	冬	18.10.28
546	凩にすっくと立てり龍馬像	凩	冬	18.10.28
547	凩や夕刊配るバイク音	凩	冬	18.10.28
548	凩を背に乗って来るバスの客	凩	冬	18.10.28
549	凩やスマホ歩きが行き交えり	凩	冬	18.10.28
550	凩を連れて戻りし寅次郎	凩	冬	18.10.28
551	凩や句会帰りの縄のれん	凩	冬	18.10.28
552	凩や辻に作りし旋風	凩	冬	18.10.28
553	凩と乗り込んで来るバスの客	凩	冬	18.10.28
554	凩や小石を蹴って下校の子	凩	冬	18.10.28
555	凩の街を疾駆の救急車	凩	冬	18.10.28
556	凩に眼光冴ゆる仁王像	凩	冬	18.10.28
557	凩や句会帰りの縄のれん	凩	冬	18.10.28
558	小春日や仁王の顔も弛びたり	小春日	冬	18.10.29
559	胸乳揺る女子ゴルファーや小六月	小六月	冬	18.10.29
560	冬立ぬ庭に重ねし植木鉢	立冬	冬	18.10.29
561	人影に鯉の大口冬に入る	冬	冬	18.10.29
562	積りたるうっぷん晴らす煙茸	茸	秋	18.10.29
563	独り居を淋しがらせてちちろ虫	ちちろ虫	秋	18.10.29
564	どれもみないびつを競ふ花梨かな	花梨	秋	18.10.29
565	榠樝の実すぐには食へぬ食わせ者	榠樝	秋	18.10.29
566	濃い女それそれと見る花カンナ	カンナ	秋	18.10.29
567	モンローの赤き唇花カンナ	カンナ	秋	18.10.29
568	馬面がぞろりと下がる糸瓜棚	糸瓜棚	秋	18.10.29
569	酒吹きて終日磨く瓢かな	瓢	秋	18.10.29
570	行く秋や客が一人のカフェテラス	行く秋	秋	18.10.29
571	晩酌に付け足しの飯暮の秋	暮の秋	秋	18.10.29
572	逝きしもの土に還りぬ花茗荷	花茗荷	秋	18.10.30
573	逝きしもの還りし土に花茗荷	花茗荷	秋	18.10.30
574	逝きしもの還りし土の花茗荷	花茗荷	秋	18.10.30
575	逝きしもの土に還りて花茗荷	花茗荷	秋	18.10.30
576	逝きしもの地に還りたり花茗荷	花茗荷	秋	18.10.30
577	逝きしもの還りし土や花茗荷	花茗荷	秋	18.10.30
578	逝きしもの土に還して花茗荷	花茗荷	秋	18.10.30
579	逝きしもの土に還りて石蕗の花	石蕗の花	秋	18.10.30
580	逝きしもの還りたる地に石蕗の花	石蕗の花	秋	18.10.30
581	逝きしもの還りたる地や石蕗の花	石蕗の花	秋	18.10.30
582	晩稲刈り列して帰るコンバイン	晩稲	秋	18.10.30
583	柔らかに風の撫で行く穭かな	穭	秋	18.10.30
584	穭の穂棚田を包む薄みどり	穭の穂	秋	18.10.30
585	しめやかに揺るる穭の日暮れかな	穭	秋	18.10.30
586	穭揺る命はかなき薄みどり	穭	秋	18.10.30
587	べったら市一切れ刺して試し食ひ	べったら市	秋	18.10.31
588	新藷と表記くっきり芋けんぴ	新藷	秋	18.10.31
589	草の絮噴き出すごとく風に乗る	草の絮	秋	18.10.31
590	草の絮風に背負われ旅立ちぬ	草の絮	秋	18.10.31
591	草の絮満を持すかに噴き上ぐる	草の絮	秋	18.10.31
592	風来ればどっと噴き上ぐ草の絮	草の絮	秋	18.10.31
593	風掴み他力の旅へ草の絮	草の絮	秋	18.10.31
594	紺青の空に噴き出す草の絮	草の絮	秋	18.10.31
595	煌めきて命ばら撒く草の絮	草の絮	秋	18.10.31
596	穂芒をざくと一束大花瓶	穂芒	秋	18.10.31
597	さあ食えと赤く透きたるおんこの実	おんこの実7（一位の実）	秋	18.10.31
598	鳥影や赤く透きたるおんこの実	おんこの実	秋	18.10.31
599	秋は春黄葉紅葉の花盛り	秋	秋	18.10.31
600	秋や春黄葉紅葉の花盛り	秋	秋	18.10.31
601	秋の春黄葉紅葉の花盛り	秋	秋	18.10.31
602	秋や春黄葉紅葉の花開く	秋	秋	18.10.31
603	秋も春黄葉紅葉の花盛り	秋	秋	18.10.31
604	神さまもキャリーバッグで旅立てり	神の旅	秋	18.11.1
605	一の酉詣でし後は蕎麦屋酒	一の酉	秋	18.11.1
606	一の酉詣でし証しミニ熊手	一の酉	秋	18.11.1
607	浅草の照る日曇るひ酉の市	酉の市	秋	18.11.1
608	青い目も手締めしてゐる酉の市（	酉の市	秋	18.11.1
609	青い目も黄色も黒も酉の市	酉の市	秋	18.11.1
610	一の酉詣で立ち寄る田原町	一の酉	秋	18.11.1
611	浅草で久闊を叙する一の酉	一の酉	秋	18.11.1
612	加太さんも平さんもゐぬ酉の市	酉の市	秋	18.11.1
613	一の酉詣で立ち寄る大根や	一の酉	秋	18.11.1
614	かぐはしき香に誘はれぬ枇杷枇杷の花	枇杷の花	秋	18.11.1
615	大絵馬の乾び薄れて枇杷の花	枇杷の花	秋	18.11.1
616	枇杷咲けりイサム・ノグチの石の庭	枇杷の花	秋	18.11.1
617	蜜吸ひの虫呼ぶ香り枇杷の花	枇杷の花	秋	18.11.1
618	自撮りする昔乙女ら枇杷の花	枇杷の花	秋	18.11.1
619	青い目も手締めの中に酉の市	酉の市	冬	18.11.1
620	軽すぎるのりで騒ぐやハロウィン	ハロウィン	冬	18.11.1
621	ハロウィン由来も知らずはしゃぐかな	ハロウィン	冬	18.11.1
622	緋袴の巫女てきぱきと神の留守	神の留守	冬	18.11.1
623	出雲から遠隔操作神の留守	神の留守	冬	18.11.1
624	出雲からテレパシー来る神の留守	神の留守	冬	18.11.1
625	九九唱へ下校の子らや穭の穂	穭の穂	冬	18.11.1
626	山茶花やいろはにほへと散りて咲く	山茶花	冬	18.11.1
627	山茶花のはらりはらりと散りつ咲く	山茶花	冬	18.11.1
628	咲ひて散り散りつ咲き継ぐ姫椿	姫椿（＝山茶花）	冬	18.11.1
629	朝ぼらけどさと音して花梨落つ	花梨	秋	18.11.1
630	てんでんに落ちてなす術なき花梨	花梨	秋	18.11.1
631	持ち帰り自由と籠のかりんかな	花梨	秋	18.11.1
632	一日十句作り十年芭蕉の忌	芭蕉忌	冬	18.11.2
633	をちこちを歩き惑ひつ芭蕉の忌	芭蕉忌	冬	18.11.2
634	いろいろの道を巡りて翁の忌	翁忌	冬	18.11.2
635	山寺の磴千段や翁の忌	翁忌	冬	18.11.2
636	玉こんにゃく食みし山寺翁の忌	翁忌	冬	18.11.2
637	どのボタン掛け違へたか返り花	返り花	冬	18.11.2
638	概ねは奇人変人返り花	返り花	冬	18.11.2
639	返り花うんと頷き去りし人	返り花	冬	18.11.2
640	返り花うんと頷き人去りぬ	返り花	冬	18.11.2
641	幹桜一輪咲けり返り花	返り花	冬	18.11.2
642	剃り跡の青き雲水冬初め	冬初め	冬	18.11.2
643	雲水の白き脚絆や冬初め	冬初め	冬	18.11.2
634	登校路半袖もゐて冬はじめ	冬初め	冬	18.11.2
645	半袖も混り登校冬はじめ	冬初め	冬	18.11.2
646	青い目の托鉢僧や冬はじめ	冬初め	冬	18.11.2
647	辻立ちは青い目の僧冬初め	冬初め	冬	18.11.2
648	虚無僧が尺八吹きぬ冬はじめ	冬初め	冬	18.11.2
649	虚無僧が一節切吹く冬はじめ	冬初め	冬	18.11.2
650	立止まりしゃがむ人影帰り花	帰り花	冬	18.11.2
651	足止めてひとり頷く返り花	返り花	冬	18.11.2
652	穭の穂棚田を染めて薄みどり	穭の穂	秋	18.11.2
653	スマホ手にキャリーバッグの神の旅	神の旅	冬	18.11.3
654	スマホ手に出雲に向かふ神の旅	神の旅	冬	18.11.3
655	神々もスマホ手に持ち旅立ちぬ	神の旅	冬	18.11.3
656	枇杷の花女二人の長話	枇杷の花	冬	18.11.3
657	夢ならば覚めるはずだが枇杷の花	枇杷の花	冬	18.11.3
658	老人と自覚をせずに枇杷の花	枇杷の花	冬	18.11.3
659	老人の座りしベンチ枇杷の花	枇杷の花	冬	18.11.3
660	実も蓋もなき話聞き枇杷の花	枇杷の花	冬	18.11.3
661	老人の座りて匂ふ枇杷の花	枇杷の花	冬	18.11.3
662	実も蓋もなき話して枇杷の花	枇杷の花	冬	18.11.3
663	実も蓋もなき話終え枇杷の花	枇杷の花	冬	18.11.3
664	縁側で庭師と早指し小六月	小六月	冬	18.11.3
665	へぼ将棋庭師と指せり小六月	小六月	冬	18.11.3
666	目に止まる瞬間が良し返り花	返り花	冬	18.11.3
667	うたた寝をまたしてゐたり小六月	小六月	冬	18.11.3
668	うたた寝は至福の一つ小六月	小六月	冬	18.11.3
669	石刻むイサム・ノグチや枇杷の花	枇杷の花	冬	18.11.3
670	花びらを零し散らして姫椿	姫椿（＝山茶花）	冬	18.11.3
671	山茶花の零し足らずに咲き継げり	山茶花	冬	18.11.3
672	妻もまた老ひて小春のティータイム	小春	冬	18.11.3
673	裏路地へ露店の伸びる酉の市	酉の市	冬	18.11.3
674	参道は人の津波や酉の市	酉の市	冬	18.11.3
675	一年を経てごみになる熊手買ふ	熊手	冬	18.11.3
676	一年を経てごみになる大熊手	熊手	冬	18.11.3
677	すらすらと駄句を連ねし小六月	小六月	冬	18.11.3
678	精神科医おのれ探しの秋思かな（今井杏太郎全句集を読んで）	秋思	秋	18.11.3
679	駄句連ねてにをは探す暮れの秋	暮れの秋	秋	18.11.3
680	前後ろ人人人の酉の市	酉の市	冬	18.11.4
681	祈る間も押しくら饅頭一の酉	一の酉	冬	18.11.4
682	踊り子と並んで拝む一の酉	一の酉	冬	18.11.4
683	浅草も元気印の酉の市	酉の市	冬	18.11.4
684	浅草を元気印に酉の市	酉の市	冬	18.11.4
685	跡取りの専務が担ぐ大熊手	熊手	冬	18.11.4
686	酉の市あちこち伸びる自撮り棒	酉の市	冬	18.11.4
687	酉の市帰り吸ひ寄せ神谷バー	酉の市	冬	18.11.4
688	竜泉に足を延ばすや一の酉	一の酉	冬	18.11.4
689	流暢な英語あやつる熊手売り	熊手	冬	18.11.4
690	青い目が人力車で行く酉の市	酉の市	冬	18.11.4
691	をちこちを惑ひつ歩き芭蕉の忌	芭蕉忌	冬	18.11.4
692	登校路半袖もゐる冬はじめ	冬初め	冬	18.11.4
693	重詰の無ければ淋し草石蚕（ちょろぎ）かな	草石蚕	新年	18.11.4
694	庭に降り若水注ぐ植木鉢	若水	新年	18.11.５
695	直しても丸まる癖の初暦	初暦	新年	18.11.5
696	直してもすぐに丸まる初暦	初暦	新年	18.11.5
697	赤ペンで予定書き込む初暦	初暦	新年	18.11.5
698	赤ペンで予定埋まりし初暦	初暦	新年	18.11.5
699	赤ペンで予定次々初暦	初暦	新年	18.11.5
700	丸まりし癖残りたる初暦	初暦	新年	18.11.5
701	丸まりし癖の頑固に初暦	初暦	新年	18.11.5
702	丸まりし癖に舌打ち初暦	初暦	新年	18.11.5
703	初風呂に手足伸ばして無一物	初風呂	新年	18.11.5
704	メキシコから届く年賀の初メール	年賀	新年	18.11.5
705	頭髪をとほほと眺む初鏡	初鏡	新年	18.11.5
706	頭髪を眺めとほほの初鏡	初鏡	新年	18.11.5
707	初鏡長き睫毛の二三本	初鏡	新年	18.11.5
708	難読の草石蚕顔出すお節かな	草石蚕	新年	18.11.5
709	老妻に風呂入り告げて初湯かな	初湯	新年	18.11.5
710	老妻にはいると告げて初湯かな	初湯	新年	18.11.5
711	山茶花のはらりはらりと散りにけり	山茶花	冬	18.11.5
712	山茶花のまたもはらりと散りにけり	山茶花	冬	18.11.5
713	咲いて散り散りて咲き継ぐ姫椿	姫椿	冬	18.11.5
714	咲けば散り散りて咲き継ぐ姫椿	姫椿	冬	18.11.5
715	辻立ちの托鉢僧や冬初め	冬初め	冬	18.11.5
716	辻立ちの雲水不動冬初め	冬初め	冬	18.11.5
717	辻に立つ雲水不動冬初め	冬初め	冬	18.11.5
718	キャリーバッグごろごろ引いて神の旅	神の旅	冬	18.11.6
719	蕎麦前酒ひっかけて行く酉の市	酉の市	冬	18.11.6
720	柊の花を零して香のほのか	柊の花	冬	18.11.6
721	柊の花を零せし庭の黙	柊の花	冬	18.11.6
722	柊の花の零れし日暮れかな	柊の花	冬	18.11.6
723	柊の触るるを厭ひ花零す	柊の花	冬	18.11.6
724	切岸に花咲く石蕗の無頓着	石蕗の花	冬	18.11.6
725	禅寺の庭に毅然と石蕗咲けり	石蕗の花	冬	18.11.6
726	石蕗の花嫌ひし俳女もありぬべし	石蕗の花	冬	18.11.6
727	時雨忌や濡れて暮れゆく御師の宿	時雨忌	冬	18.11.6
728	濡れそぼつ多摩の横山翁の忌	翁忌	冬	18.11.6
729	句帖手に紅葉黄葉の池巡る	黄葉・紅葉	秋	18.11.6
730	見るよりも自撮り忙し紅葉狩り	紅葉	秋	18.11.6
731	冬耕のトラクター繰る八十路かな	冬耕	冬	18.11.6
732	桂浜石蕗の花咲く龍馬像	石蕗の花	冬	18.11.6
733	蕎麦前酒ひっかけて行く三の酉	三の酉	冬	18.11.6
734	去年今年境目もなく改まり	去年今年	新年	18.11.7
735	鎮守へは家から百歩初詣	初詣	新年	18.11.7
736	神さまの名は知らねども初詣	初詣	新年	18.11.7
737	八十路来て誤嚥怖ろし雑煮かな	雑煮	新年	18.11.7
738	小銭持ち鎮守の森へ初詣	初詣	新年	18.11.7
739	去年今年渡り廊下のごときとも	去年今年	新年	18.11.7
740	鎮守社へ犬抱く人も初詣	初詣	新年	18.11.7
741	振る舞ひの甘酒熱し初詣	初詣	新年	18.11.7
742	老夫婦餅二切れの雑煮かな	雑煮	新年	18.11.7
743	元旦やテレビニュースの禍々し	元旦	新年	18.11.7
744	初もうで善男善女ばかりなり	初詣	新年	18.11.7
745	若者のハンバーグと食む雑煮かな	雑煮	新年	18.11.7
746	鎮守社の神鈴響く初もうで	初詣	新年	18.11.7
747	鎮守社の神鈴止まぬ三が日	三が日	新年	18.11.7
748	禍々しテレビニュースで年明くる	年明け	新年	18.11.7
749	山茶花や鳩時計鳴る午後三時	山茶花	冬	18.11.7
750	廃屋で時計鳴る音冬初め	冬初め	冬	18.11.7
751	廃屋で時計鳴りをり木の葉雨	木の葉雨	冬	18.11.7
752	廃屋で時計鳴りをり朴落葉	朴落葉	冬	18.11.7
753	冬空やスカイツリーの避雷針	冬空	冬	18.11.7
754	雄雌のころ懐かしや冬に入る	冬に入る	冬	18.11.8
755	何もかも不如意のとほほ冬立ちぬ	立冬	冬	18.11.8
756	かしは手に鳴き龍応ふ淑気かな	淑気	新年	18.11.8
757	家々の肩を並べる淑気かな	淑気	新年	18.11.8
758	若者の箸素通りのちょろぎかな	ちょろぎ（草石蚕）	新年	18.11.8
759	初富士の誠絵のごと浮かびをり	初富士	新年	18.11.8
760	冬ざれや水車止まりて拝みたり	冬ざれ	冬	18.11.8
761	重詰に見つけて安堵紅ちょろぎぎ	ちょろぎ	新年	18.11.8
762	重詰の点睛つとむちょろぎかな	ちょろぎ	新年	18.11.8
763	御用始なき身となりて早や幾とせ	御用始め	新年	18.11.8
764	重詰にちょろぎ加えて仕上げかな	ちょろぎ	新年	18.11.9
765	年一度やあと取り分くちょろぎかな	ちょろぎ	新年	18.11.9
766	駄句迷句句帳に記す初詠かな	初詠	新年	18.11.9
767	冬ざれのよく似合ひたるシャッター街	冬ざれ	冬	18.11.9
768	冬ざれや水車止まりし過疎の里	冬ざれ	冬	18.11.9
769	冬ざれの野の果て広き太平洋	冬ざれ	冬	18.11.9
770	冬ざれや鉄橋渡る貨車の音	冬ざれ	冬	18.11.9
771	冬ざれやぽつんと一つ道祖神	冬ざれ	冬	18.11.9
772	足止めてやあと声掛く返り花	返り花	冬	18.11.9
773	雲水の辻に立ちたる冬初め	冬初め	冬	18.11.9
774	雲水の辻に不動の冬初め	冬初め	冬	18.11.9
775	托鉢僧一列に行く冬初め	冬初め	冬	18.11.9
776	辻立ちの托鉢僧や冬初め	冬初め	冬	18.11.10
777	足止めて後戻りする返り花	返り花	冬	18.11.10
778	生垣に一輪白き帰り花	返り花	冬	18.11.10
779	雨後の径白き四葩の帰り花	返り花	冬	18.11.10
780	雨蕭々四葩の白く帰り咲く	返り花	冬	18.11.10
781	幹に咲く桜一輪返り花	返り花	冬	18.11.10
782	目覚ましの予約間違へ返り花	返り花	冬	18.11.10
783	目覚ましの予約違へて返り花	返り花	冬	18.11.10
784	托鉢の鉄鉢重し冬初め	冬初め	冬	18.11.10
785	雀蜂巣を空にして冬に入る	冬に入る	冬	18.11.10
786	ニライカナイ神さま立ちて留守居番	神の留守	冬	18.11.10
787	返り花風の信濃の道祖神	返り花	冬	18.11.10
788	返り花風の信濃に道祖神	返り花	冬	18.11.10
789	返り花風の信濃となりにけり	返り花	冬	18.11.10
790	信濃には深き峪あり返り花	返り花	冬	18.11.10
791	軽井沢人影減りて冬に入る	冬に入る	冬	18.11.10
792	軽井沢人影減れば冬に入る	冬に入る	冬	18.11.10
793	冬はじめ風の信濃に道祖神	冬初め	冬	18.11.10
794	初冬や風の信濃の五平餅	初冬	冬	18.11.10
795	口笛は北風小僧の寒太郎	北風	冬	18.11.10
796	もう少しこの世がよしと小六月	小六月	冬	18.11.11
797	雪吊を仕立てる鳶や冬麗	冬麗	冬	18.11.11
798	綿虫の日暮れ儚くして飛べり	綿虫	冬	18.11.11
799	大綿は触るれば死ぬと多佳子言ひ	大綿	冬	18.11.11
800	コンプレッサー唸りを上げる蓮根掘り	蓮根掘り	冬	18.11.11
801	托鉢の白き脚絆や冬初め	冬初め	冬	18.11.11
802	農小屋の扉の軋む冬はじめ	冬初め	冬	18.11.11
803	山茶花の散るを許して寺暮るる	山茶花	冬	18.11.11
804	茶の花に冬越す蜂の羽音して	茶の花	冬	18.11.11
805	新海苔の手巻きぱりっと食みにけり	新海苔	冬	18.11.11
806	新海苔の手巻きの寿司を競ひ食む	新海苔	冬	18.11.11
807	散りぬればとことん散れよ姫椿	姫椿	冬	18.11.11
808	咲ひて散り散りてまた咲くつばき	姫椿	冬	18.11.11
809	咲き散りの合せ技見せ姫椿	姫椿	冬	18.11.11
810	初しぐれ傘に見つけし小さき穴	初時雨	冬	18.11.12
811	初しぐれ傘に小さき穴一つ	初時雨	冬	18.11.12
812	枇杷の花ふっと触れたり白き指	枇杷の花	冬	18.11.12
813	仄かなる香に顔上ぐる枇杷の花	枇杷の花	冬	18.11.12
814	水盤に浮かせし枇杷の花ほのか	枇杷の花	冬	18.11.12
815	寄鍋や妻と二人の夕餉かな	寄鍋	冬	18.11.12
816	鍋焼に眼鏡外して挑みけり	鍋焼	冬	18.11.12
817	鍋焼きの滾り見届け箸を取る	鍋焼	冬	18.11.12
818	茹で卵薄く染まりしおでん鍋	おでん	冬	18.11.12
819	竹輪麩は水団の味おでん鍋	おでん	冬	18.11.12
820	どれもみな符丁で頼むおでんかな	おでん	冬	18.11.12
821	すき焼の鍋の浅きに酒注ぐ	すき焼	冬	18.11.12
822	ちり鍋の白身掬へば菜の緑	ちり鍋	冬	18.11.13
823	ちり鍋を湯気といただく夕餉かな	ちり鍋	冬	18.11.13
824	湯の滾るちり鍋囲む夕餉かな	ちり鍋	冬	18.11.13
825	ちり鍋の湯気を分け合ふ夕餉かな	ちり鍋	冬	18.11.13
826	ちり鍋を囲めばだれも饒舌に	ちり鍋	冬	18.11.13
827	ちり鍋の濁ることなき湯の滾り	ちり鍋	冬	18.11.13
828	ちり鍋の湯気の向かうに妻の顔	ちり鍋	冬	18.11.13
829	鮟鱇鍋煮立つころには身の細り	鮟鱇鍋	冬	18.11.13
830	寄鍋の湯気も具材のひとつにて	寄鍋	冬	18.11.13
831	滾る湯に白菜泳ぐ土鍋かな	白菜	冬	18.11.13
832	風呂吹を箸で刻みつ食む夕餉	風呂吹き	冬	18.11.13
833	義士の日は香煙烟る泉岳寺	義士の日	冬	18.11.13
834	義士会の吟行終えて蕎麦屋酒	義士会	冬	18.11.13
835	このあたり黄泉比良坂木菟鳴けり	木菟	冬	18.11.13
836	木菟鳴ひて青木ヶ原の闇深し	木菟	冬	18.11.13
837	暮れなずむ山路急かして木菟鳴けり	木菟	冬	18.11.13
838	山里の夜を寂しめ青葉木菟	青葉木菟	冬	18.11.13
839	冬の雷これも一つの返り花	冬の雷	冬	18.11.13
840	平和呆け叱りて鳴るや冬の雷	冬の雷	冬	18.11.13
841	平和呆け叱るかに鳴る冬の雷	冬の雷	冬	18.11.13
842	寒雷に鳩泰然と庇裏	寒雷	冬	18.11.14
843	元朝の家族なにやら芝居じみ	元朝	新年	18.11.14
844	春一番磴駈け上り駆け下る	春一番	春	18.11.14
845	柊の花を零して香の立てり	柊の花	冬	18.11.14
846	木漏れ日の日当たる池面浮寝鳥	浮ね鳥	冬	18.11.14
847	頸捩り浅き夢見し浮寝鳥	浮ね鳥	冬	18.11.14
848	日の翳るあたりに一羽浮寝鳥	浮ね鳥	冬	18.11.14
849	羽交に嘴を隠して浮寝鳥	浮ね鳥	冬	18.11.14
850	ジングルベル街掻き立てる師走かな	師走	冬	18.11.14
851	年寄のよたよた歩む師走かな	師走	冬	18.11.14
852	街中が少し苛立つ師走かな	師走	冬	18.11.14
853	宅配の小走り目立つ師走かな	師走	冬	18.11.14
854	同じ場所律儀に咲きぬ犬ふぐり	犬ふぐり	春	18.11.14
855	同じ場所色鮮やかに犬ふぐり	犬ふぐり	春	18.11.14
856	鶉にはなれず老ひたる鼠かな（季語：春　田鼠化して鶉となる）	田鼠化して鶉となる	春	18.11.14
857	雨蕭々白き四葩の帰り咲く	帰り花	冬	18.11.14
858	幹咲きの桜一輪返り花	返り花	冬	18.11.14
859	雨蕭々白き四葩の帰り花	帰り花	冬	18.11.15
860	柊の花を零して香の立ちぬ	柊の花	冬	18.11.15
861	蕭々と風の信濃や返り花	返り花	冬	18.11.15
862	くたくたと煮ゆる鮟鱇骨しゃぶる	鮟鱇	冬	18.11.15
863	鮟鱇鍋骨に張り付く身をしゃぶる	鮟鱇	冬	18.11.15
864	ちり鍋の湯気掻き分けて鱈掬ふ	ちり鍋	冬	18.11.15
865	ちり鍋や口はふはふと鱈を食む	ちり鍋	冬	18.11.15
866	寒晴の雲無き空の怖ろしき	寒晴	冬	18.11.15
867	ほーほーと鳴く鳥の声冬の月	冬の月	冬	18.11.15
868	冬満月路地一直線を見通せり	冬満月	冬	18.11.15
869	パンフルート合の手入れる虎落笛	虎落笛	冬	18.11.15
870	越冬の蜂を呼び寄せ枇杷の花	枇杷の花	冬	18.11.15
871	越冬の蜂ねんごろに枇杷の花	枇杷の花	冬	18.11.15
872	ちり鍋や口はふはふと熱き食む	ちり鍋	冬	18.11.16
793	慎ましくくしゅと嚏の淑女かな	くしゃみ	冬	18.11.16
874	どれもみな頸捻じ曲げて浮寝鳥	浮寝鳥	冬	18.11.16
875	止まり木に木菟並びをり鎖付き	木菟	冬	18.11.16
876	客寄せの木菟店先に鎖付き	木菟	冬	18.11.16
877	木菟の頸ひと捩りして戻しけり	木菟	冬	18.11.16
878	嚏三度白い目増やすバスの中	くしゃみ	冬	18.11.16
879	越冬の燕飛びをり丸の内	越冬燕	冬	18.11.16
880	冬の鵙切り裂く叫び衰へず	冬の鵙	冬	18.11.16
881	雑木山静寂破りし冬の鵙	冬の鵙	冬	18.11.16
882	冬雲雀空を突き上げ叱咤せり	冬雲雀	冬	18.11.16
883	アミ食めば鯨の気分春怒涛	春	春	18.11.16
884	かたくりの花韋駄天のポーズして	片栗の花	春	18.11.16
885	小春日の川水澄みて鮠の影	小春日	冬	18.11.16
886	小春日の川水澄みて鮠走る	小春日	冬	18.11.16
887	小春日や一人五役の大道芸	小春日	冬	18.11.16
888	玉子かけご飯の昼や小六月	小六月	冬	18.11.16
889	小春日や白いピアノの小ホール	小春日	冬	18.11.17
890	教会のオルガン聞ゆ小春かな	小春	冬	18.11.17
891	サーファーの波と遊びし小春かな	小春	冬	18.11.17
892	サーファーの波と戯る小春かな	小春	冬	18.11.17
893	水切りを九まで伸ばす小春かな	小春	冬	18.11.17
894	水切りを九まで数へ小六月	小六月	冬	18.11.17
895	水切りの石跳ねてゆく小六月	小六月	冬	18.11.17
896	山里は小春日和の中にあり	小春日和	冬	18.11.17
897	小春日を弄ぶにはあらねども	小春日	冬	18.11.17
898	小春日に弄ばれてまたうつら	小春日	冬	18.11.17
899	デイケアで童謡歌ふ小春かな	小春	冬	18.11.17
900	蕎麦屋酒ひっかけて行く三の酉	三の酉	冬	18.11.17
901	青春の彷徨かとも蜷の道	蜷の道	春	18.11.17
902	青春の彷徨に似て蜷の道	蜷の道	春	18.11.17
903	青春の彷徨刻む蜷の道	蜷の道	春	18.11.17
904	小春日や葉陰にひそとかたつむり	小春日	冬	18.11.18
905	小春日や季を違へたる蜆蝶	小春日	冬	18.11.18
906	引き籠る犬猫増えて小六月	小六月	冬	18.11.18
907	日蔭など気にせぬ風情花八つ手	花八つ手	冬	18.11.18
908	昭和には厠守りし花八つ手	花八つ手	冬	18.11.18
909	突き出しの煮凝ぷると揺れにけり	煮凝	冬	18.11.18
910	煮凝の突き出しとんと置かれたり	煮凝	冬	18.11.18
911	煮凝や雪降る夜を皿に載せ	煮凝	冬	18.11.18
912	新暦目立つほど増ゆ三連休	新暦	新年	18.11.18
913	三連休やたらに増えし新暦	新暦	新年	18.11.18
914	風呂吹の湯気ほのと揺る夕餉かな	風呂吹	冬	18.11.19
915	風呂吹を箸で崩せば味噌流る	風呂吹	冬	18.11.19
916	風呂吹の誠に優し味噌の味	風呂吹	冬	18.11.19
917	風呂吹の風味引き出す金山寺	風呂吹	冬	18.11.19
918	風呂吹を食みし老尼の歯の白き	風呂吹	冬	18.11.19
919	風呂吹を湯気といただく夕餉かな	風呂吹	冬	18.11.19
920	風呂吹の柚子味噌薫る夕餉かな	風呂吹	冬	18.11.19
921	鰭酒やほのと炎の上りけり	鰭酒	冬	18.11.19
922	鰭酒の一つ一つの炎かな	鰭酒	冬	18.11.19
923	鰭酒に仲居手練れの点火かな	鰭酒	冬	18.11.19
924	鰭酒に「効くう」の声の上がりけり	鰭酒	冬	18.11.19
925	教会の讃美歌聞ゆ小春かな	小春	冬	18.11.19
926	一茶忌やとんと見かけぬ雀どち	一茶忌	冬	18.11.20
927	一茶忌の庭に雀の来ずなりぬ	一茶忌	冬	18.11.20
928	咲き続く宿根朝顔空也の忌	空也忌	冬	18.11.20
929	エアコンの煤を払ひて一茶の忌	一茶忌	冬	18.11.20
930	空耳か駒下駄の音一葉忌	一葉忌	冬	18.11.20
931	山茶花の花びら散らす波郷の忌	波郷忌	冬	18.11.20
932	小首傾げ吾を見下ろす寒鴉	寒鴉	冬	18.11.20
933	多種多彩平川濠の浮寝鳥	浮寝鳥	冬	18.11.20
934	浮寝鳥離れて遊ぶ鵜が一羽	浮寝鳥	冬	18.11.20
935	木漏れ日の日の輪に集ふ浮寝鳥	浮寝鳥	冬	18.11.20
936	小春日や頸に刺青のある女	小春日	冬	18.11.21
937	逆流性食道炎や小六月	小六月	冬	18.11.21
938	笑ふ子とべそ掻く子ゐる小六月	小六月	冬	18.11.21
939	小春日や待ったの多いへぼ将棋	小春日	冬	18.11.21
940	小走りで宅配の行く小春かな	小春	冬	18.11.21
941	シルバーパス見せて礼言ふ小春かな	小春	冬	18.11.21
942	冬晴や赤い頭巾の六地蔵	冬晴	冬	18.11.21
943	冬うらら一円玉を拾ひけり	冬麗	冬	18.11.21
944	電柱の鴉があくび冬うらら	冬麗	冬	18.11.21
945	園庭に園児跳び跳ね冬日和	冬日和	冬	18.11.21
946	冬帽子被れば吾も好々爺	冬帽子	冬	18.11.21
947	山宿のしぐれて今夜客三組	時雨	冬	18.11.22
948	関所跡しぐれて峡は眠りけり	時雨	冬	18.11.22
949	菊坂のカーブ緩やか一葉忌	一葉忌	冬	18.11.22
950	柊の根方は白き花の塵	柊の花	冬	18.11.22
951	柊の散りし花屑香の微か	柊の花	冬	18.11.22
952	銀杏散るああ玉杯の並木道（東大駒場キャンパスで）	銀杏散る	秋	18.11.22
953	花頭窓透かして燃ゆる櫨紅葉（駒場前田邸で）	櫨紅葉	冬	18.11.22
954	錦鯉楓もみじと彩競ふ（同上）	楓紅葉	冬	18.11.22
955	移り気は俺の性さと初時雨	時雨	冬	18.11.23
956	梟の森寂しめる声で鳴く	梟	冬	18.11.23
957	森深く梟鳴けり夜の闇	梟	冬	18.11.23
958	静寂切る声の鋭き冬の鵙	冬の鵙	冬	18.11.23
959	雑木山声猛々し冬の鵙	冬の鵙	冬	18.11.23
960	笹鳴に吾舌打ちの被されり	笹鳴	冬	18.11.23
961	電線に肩を寄せ合ふ冬雀	冬雀	冬	18.11.23
962	同じ向き横一列に寒雀	寒雀	冬	18.11.23
963	隠沼の日の輪選んで浮寝鳥	浮寝鳥	冬	18.11.23
964	鴛鴦の沓音を立てずに滑りゆく	鴛鴦の沓	冬	18.11.23
965	かいつぶり潜り浮き出てまた潜り	かいつぶり	冬	18.11.23
966	見下ろせば瀬戸は凪をり枇杷の花	枇杷の花	冬	18.11.23
967	冬の蜂蜜吸ひに来る枇杷の花	枇杷の花	冬	18.11.23
968	芋水車入りたる思ひ酉の市	酉の市	冬	18.11.24
969	芋水車入りたる心地酉の市	酉の市	冬	18.11.24
970	酉の市揉まれ駆け込む蕎麦屋酒	酉の市	冬	18.11.24
971	人波にからだ預けて酉の市	酉の市	冬	18.11.24
972	酉の市揉まれた後は縄のれん	酉の市	冬	18.11.24
973	酉の市揉まれ疲れて縄のれん	酉の市	冬	18.11.24
974	三の酉願いごと終え縄のれん	三の酉	冬	18.11.24
975	柏手を打って十秒三の酉	三の酉	冬	18.11.24
976	多言語の願ひ聞き分けお酉さま	お酉さま	冬	18.11.24
977	焼きそばのソースの匂ふ酉の市	酉の市	冬	18.11.24
978	軋みつつ回る水車や小六月	小六月	冬	18.11.25
979	梟の物言いたげに吾を見し	梟	冬	18.11.25
980	フレデリクうーと唸りし小六月	小六月	冬	18.11.25
981	フレデリク呼ばれ尾を振る小六月	小六月	冬	18.11.25
982	二月堂修二会の僧の紙衣かな	紙衣	冬	18.11.25
983	練行衆紙衣を着たる修二会かな	紙衣	冬	18.11.25
984	着ぶくれて角の取れたる通勤車	着ぶくれ	冬	18.11.25
985	着ぶくれがさっと全裸になるモデル	着ぶくれ	冬	18.11.25
986	着ぶくれのカメラの囲むヌードかな	着ぶくれ	冬	18.11.25
987	着ぶくれて長き列なすラーメン店	着ぶくれ	冬	18.11.25
988	通学路着ぶくれの児は見つからず	着ぶくれ	冬	18.11.25
989	はしゃぐでも媚びるでもなし石蕗の花	石蕗の花	冬	18.11.26
990	華やぎは葉に委ねたる石蕗の花	石蕗の花	冬	18.11.26
991	禅寺の渡り廊下や石蕗の花	石蕗の花	冬	18.11.26
992	越冬の蜂立ち寄りぬ石蕗の花	石蕗の花	冬	18.11.26
993	毀誉褒貶ありて恬淡石蕗の花	石蕗の花	冬	18.11.26
994	石庭に一叢咲きぬ石蕗の花	石蕗の花	冬	18.11.26
995	茶室への飛び石伝ひ石蕗の花	石蕗の花	冬	18.11.26
996	吉良邸跡一基の井戸や石蕗の花	石蕗の花	冬	18.11.26
997	海洞に轟く波濤石蕗の花	石蕗の花	冬	18.11.26
998	端境の季節を守る石蕗の花	石蕗の花	冬	18.11.26
999	花石蕗や杖立てかけし躙り口	花石蕗	冬	18.11.26
1000	冬耕の鍬に飛び出す蚯蚓かな	冬耕・蚯蚓	冬・夏	18.11.26

♪BGM:Debussy[月光] arranged by Reinmusik♪


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