１日１０句１０００句を詠む第３８回

鈴童の遊び


1	花石蕗や杖立てかけし躙り口	花石蕗	冬	18.11.26.
2	躙り口杖立てかけて石蕗の花	石蕗の花	冬	18.11.27.
3	薄緑残す葉もあり銀杏散る	銀杏散る	冬	18.11.27.
4	キャンパスの並木明るく銀杏散る	銀杏散る	冬	18.11.27.
5	露座仏の丸い背中や冬霞	冬霞	冬	18.11.27.
6	露座仏の頬弛ませる小春かな	小春	冬	18.11.27.
7	冬の日や露座大仏の頬染むる	冬の日	冬	18.11.27.
8	栗鼠走り長谷大仏の小春かな	小春	冬	18.11.27.
9	露座仏の大きを仰ぎ石蕗の花	石蕗の花	冬	18.11.27.
10	凍て蜂をひそと呼び寄す石蕗の花	石蕗の花	冬	18.11.27.
11	甲羅干す親亀子亀石蕗の花	石蕗の花	冬	18.11.27.
12	露座仏の額光らせて冬日向	冬日向	冬	18.11.28.
13	切通し抜けし急坂石蕗咲けり	石蕗の花	冬	18.11.28.
14	散歩道けふも咲きをり石蕗の花	石蕗の花	冬	18.11.28.
15	マダム・ヴィオレ侯爵邸の冬薔薇	冬薔薇	冬	18.11.28.
16	ジーヴズの事件簿楽し小春かな	小春	冬	18.11.28.
17	美智子妃もジーヴズを繰る小春かな	小春	冬	18.11.28.
18	散りてなほ艶失はず柿落葉	柿落葉	冬	18.11.28.
19	一葉ごと色てんでんに柿落葉	柿落葉	冬	18.11.28.
20	踏み行けばかさと音立つ朴落葉	朴落葉	冬	18.11.28.
21	雑木山行けばかさりと朴落葉	朴落葉	冬	18.11.28.
22	山路来て雪かと寄れば朴落葉	朴落葉	冬	18.11.28.
23	木菟の森寂しめる声で鳴く	木菟	冬	18.11.28.
24	だんだんに妻尖り初む師走かな	師走	冬	18.11.28.
25	雪吊の少し傾げて仕上がりぬ	雪吊	冬	18.11.29.
26	朝練の一団走る冬木立	冬木立	冬	18.11.29.
27	朝練の走る一団冬木立	冬木立	冬	18.11.29.
28	くしゃみして老人ひょろと立去れり	くしゃみ	冬	18.11.29.
29	火灯窓燃え立たせをり櫨紅葉	櫨紅葉	秋	18.11.29.
30	火灯窓燃え立つ楓紅葉かな	楓紅葉	秋	18.11.29.
31	雪吊や男結びの縄の数	雪吊	冬	18.11.29.
32	枯木立明るき径となりにけり	枯木立	冬	18.11.29.
33	枯木立乳首尖りし乙女像	枯木立	冬	18.11.29.
34	寒林に鳥鳴く声もなかりけり	寒林	冬	18.11.29.
35	寒林や入日の映す長き影	寒林	冬	18.11.29.
36	ひひらぎの根方は白き花の屑	柊の花	冬	18.11.30.
37	実万両貧しき庭を引き立てり	実万両	冬	18.11.30.
38	日の射して赤い実ちらと藪柑子	藪柑子	冬	18.11.30.
39	枯はちす池面に油彩浮かびをり	枯蓮	冬	18.11.30.
40	大根引く穴深々と列をなす	大根	冬	18.11.30.
41	大根引く穴黒々と底見えず	大根	冬	18.11.30.
42	冬耕や入日に農夫影伸ばす	冬耕	冬	18.11.30.
43	頸筋をがしっと掴み大根引く	大根	冬	18.11.30.
44	洗ひたる大根どれも艶めけり	大根	冬	18.11.30.
45	ビニプール仮宿にして池普請	池普請	冬	18.11.30.
46	鳴り物はテープに委ね里神楽	里神楽	冬	18.11.30.
47	鳴り物はラジカセ頼り里神楽	里神楽	冬	18.11.30.
48	フルートを吹く子も混り里神楽	里神楽	冬	18.11.30.
49	襟首をがしっと掴み大根引く	大根	冬	18.11.30.
50	襟首を諸手で掴み大根引く	大根	冬	18.11.30.
51	洗ひたる大根どれも艶めかし	大根	冬	18.11.30.
52	寡婦となり命を繋ぐ冬の蜂	冬の蜂	冬	18.12.1.
53	凍ててなほ耐えて春待つ立羽蝶	凍蝶	冬	18.12.1.
54	凍ててなほ耐えて春待つ立羽かな	凍蝶	冬	18.12.1.
55	初めから枯れたままよと枯蟷螂	枯蟷螂	冬	18.12.1.
56	小春日や凍蝶出でて翅伸ばす	凍蝶	冬	18.12.1.
57	賓頭盧の頭で滑る冬の蠅	冬の蠅	冬	18.12.1.
58	賓頭盧の頭艶やか冬の蠅	冬の蠅	冬	18.12.1.
59	甲羅干す亀の背に乗る冬の蠅	冬の蠅	冬	18.12.1.
60	躑躅垣白き一輪返り花	返り花	冬	18.12.1.
61	冬の蠅ひょいと払ひし日向猫	冬の蠅	冬	18.12.1.
62	ぬくぬくと青空眩し師走入り	師走	冬	18.12.1.
63	カレンダー一枚となる師走かな	師走	冬	18.12.1.
64	木枯一号吹かぬまま入る師走かな（東京地方）	師走	冬	18.12.1.
65	数へ日のやいのやいと迫り来ぬ	数へ日	冬	18.12.1.
46	クリスマス口実にして騒ぐ夜	クリスマス	冬	18.12.1.
47	クリスマス騒ぎし次は初詣	クリスマス	冬	18.12.1.
48	ケーキ下げ家路急ひだクリスマス	クリスマス	冬	18.12.1.
49	巫女たちも緋袴脱いでクリスマス	クリスマス	冬	18.12.1.
50	独り酒あとは茶漬けのクリスマス	クリスマス	冬	18.12.1.
51	大絵馬の乾び薄るや枇杷の花	枇杷の花	冬	18.12.2.
52	虚飾なき意気を示すや冬木立	冬木立	冬	18.12.2.
53	裸一貫ことば懐かし冬木立	冬木立	冬	18.12.2.
54	再生の時待つこころ冬木立	冬木立	冬	18.12.2.
55	孤高とは吾らがことと冬木立	冬木立	冬	18.12.2.
56	裸一貫すっくと立ちし冬木かな	冬木	冬	18.12.2.
57	身に一物無き原点の冬木立	冬木立	冬	18.12.2.
58	枯木立ビュフェの描きし輪郭線	枯木立	冬	18.12.2.
59	ビュフェ描く太き黒線枯木立	枯木立	冬	18.12.2.
60	静けしや栗鼠走りたる枯木山	枯木山	冬	18.12.2.
61	一年の尻を拭いて除夜の鐘	除夜の鐘	冬	18.12.2.
62	義士会や吉良邸跡に井戸一基	義士会	冬	18.12.3.
63	義士会や其角にひょいと逢ひさうな	義士会	冬	18.12.3.
64	義士会や源吾其角の立ち話	義士会	冬	18.12.3.
65	義士会や其角源吾と立ち話	義士会	冬	18.12.3.
66	風呂吹の一口ずつを箸で切る	風呂吹	冬	18.12.3.
67	風呂吹の熱きを崩し食む夕餉	風呂吹	冬	18.12.3.
68	寄鍋の湯気に満ちたる夕餉かな	寄鍋	冬	18.12.3.
69	ちり鍋の湯気掻き分ける夕餉かな	ちり鍋	冬	18.12.3.
70	風呂吹きの無垢を汚せし味噌の垂れ	風呂吹	冬	18.12.3.
71	風呂吹の熱きを口にはふはふと	風呂吹	冬	18.12.3.
72	同じ向き穂先傾げし枯芒	枯芒	冬	18.12.4.
73	ろくろ首にゅっと出そうな枯芒	枯芒	冬	18.12.4.
74	夜目遠目おいでおいでと枯れ尾花	枯尾花	冬	18.12.4.
75	てんでんに風を宥める枯芒	枯芒	冬	18.12.4.
76	放棄田を埋めて銀波の枯尾花	枯芒	冬	18.12.4.
77	吉良邸跡一基の井戸や義士の会	義士会	冬	18.12.4.
78	鍋焼や窓外に舞ふ白きもの	鍋焼	冬	18.12.4.
79	物忘れ苦にしながらも忘年会	忘年会	冬	18.12.4.
80	数へ日にふと過ぎりたるわが余命	数へ日	冬	18.12.4.
81	煤逃げの吾を尖りし声が呼ぶ	煤逃げ	冬	18.12.4.
82	煤逃げの書斎に届く妻の声	煤逃げ	冬	18.12.4.
83	句会終え街は日暮れて日の短か	短日	冬	18.12.5.
84	短日やスマホ歩きを縫ふて行く	短日	冬	18.12.5.
85	短日や十六時には点く街灯	短日	冬	18.12.5.
86	集団で怨みを晴らす義士会かな	短日	冬	18.12.5.
87	短日の暮れて打ち鳴る山鹿流	短日	冬	18.12.5.
88	越冬の訳あり燕丸の内	越冬燕	冬	18.12.5.
89	静寂裂く黒き礫や冬の鵙	冬の鵙	冬	18.12.5.
90	残るにはふとした事情冬燕	冬燕	冬	18.12.5.
91	闇こそはわが白昼と鳴く梟	梟	冬	18.12.5.
92	かさこそと吾に囁く枯芙蓉	枯芙蓉	冬	18.12.5.
93	夕風にふと呟きし枯芙蓉	枯芙蓉	冬	18.12.6.
94	枯芙蓉卒塔婆と声を交はしをり	枯芙蓉	冬	18.12.6.
95	エルイーディ明るく灯し若井汲む	若井	新年	18.12.6.
96	老人は思えば寂し年暮れる	年の暮れ	冬	18.12.6.
97	厭世と言ふほどでなし年暮れる	年の暮れ	冬	18.12.6.
98	牡蠣酢食むするりと一つまた一つ	牡蠣	冬	18.12.6.
99	不用意に食んで舌焼く牡蠣フライ	牡蠣	冬	18.12.6.
100	異国語で声掛け合いし牡蠣割女	牡蠣割女	冬	18.12.6.
101	さよならと言って背を向け大くしゃみ	くしゃみ	冬	18.12.6.
102	風邪引きに囲まれて待つ診療所	風邪	冬	18.12.6.
103	湯ざめして肩まで浸かる二度湯かな	湯ざめ	冬	18.12.6.
104	散り咲きを一と冬通し姫椿	姫椿（＝山茶花）	冬	18.12.6.
105	ひとシーズン散り敷き騒ぐ姫椿	姫椿	冬	18.12.6.
106	欠礼状次つぎと来る十二月	十二月	冬	18.12.6.
107	順番で言へば真っ先冬めけり	冬めく	冬	18.12.7.
108	通学路着ぶくれと行く薄着の子	着ぶくれ	冬	18.12.7.
109	熱燗でおでんを突く屋台かな	熱燗・おでん	冬	18.12.7.
110	湯豆腐に身をくねらせる花かつを	湯豆腐	冬	18.12.7.
111	スーパーの山積みで売る寒卵	寒卵	冬	18.12.7.
112	具は芋茎祖母の作りし納豆汁	納豆汁	冬	18.12.7.
113	はふはふと具も舌を焼く根深汁	根深汁	冬	18.12.7.
114	煮ゆるほど身の姿消す鮟鱇鍋	鮟鱇鍋	冬	18.12.7.
115	猫跨ぐほどの塩鮭懐かしむ	塩鮭	冬	18.12.7.
116	塩鮭で茶漬けさらさら懐かしき	塩鮭	冬	18.12.7.
117	牡蠣割女交す言葉は広東語	牡蠣割女	冬	18.12.7.
118	見る吾もうとうととなる浮寝鳥	浮寝鳥	冬	18.12.8.
119	見る吾も夢路に誘ふ浮寝鳥	浮寝鳥	冬	18.12.8.
120	見てをればついうとうとと浮寝鳥	浮寝鳥	冬	18.12.8.
121	うとうとと眠気誘はる浮寝鳥	浮寝鳥	冬	18.12.8.
122	眠りつつ日向外れぬ浮寝鳥	浮寝鳥	冬	18.12.8.
123	綿雲に乗りし夢見る浮寝鳥	浮寝鳥	冬	18.12.8.
124	夢から醒めまた夢に入る浮寝鳥	浮寝鳥	冬	18.12.8.
125	浮遊とは浮き寝の鳥の代名詞	浮寝鳥	冬	18.12.8.
126	平和とは浮き寝の鳥の代名詞	浮寝鳥	冬	18.12.8.
127	野鳥図鑑参照楽し浮寝鳥	浮寝鳥	冬	18.12.8.
128	隠沼や浮き寝の鳥の寝息かも	浮寝鳥	冬	18.12.8.
129	浮寝鳥夢は千切れ千切れかな	浮寝鳥	冬	18.12.8.
130	憂きことを忘れて憩ふ浮寝鳥	浮寝鳥	冬	18.12.8.
131	腹くちて心安すけき浮寝鳥	浮寝鳥	冬	18.12.8.
132	寒雷や鳩泰然と庇裏	寒雷	冬	18.12.9.
133	冬の波どれも三角尖り来る	冬の波	冬	18.12.9.
134	冬浪や揺るがぬ鉄鎖埋む鷗	冬浪	冬	18.12.9.
135	文豪は胃弱癇癪漱石忌	漱石忌	冬	18.12.9.
136	一本をぶつ切りにして根深汁	根深汁	冬	18.12.9.
137	舌焦がす熱きが取り柄根深汁	根深汁	冬	18.12.9.
138	花枇杷や毀誉褒貶と書ひてみる	花枇杷	冬	18.12.9.
139	花枇杷や毀誉褒貶と距離を置く	花枇杷	冬	18.12.9.
140	枯園や翁が独りゐるベンチ	枯園	冬	18.12.9.
141	水上バス見て見ぬふりの都鳥	都鳥	冬	18.12.9.
142	飼主も犬も着ぶくれ散歩道	着ぶくれ	冬	18.12.9.
143	隠沼や浮き寝の鳥の寝息聞く	浮寝鳥	冬	18.12.9.
144	だんだんに妻尖りくる師走かな	師走	冬	18.12.9.
145	寒雷や鳩の寄りふ庇裏	寒雷	冬	18.12.9.
146	寒柝の夜空に響く昭和かな	寒柝	冬	18.12.10.
147	火の用心路地にぎやかに昭和の子	火の用心	冬	18.12.10.
148	凍て道に寒柝響く昭和かな	寒柝	冬	18.12.10.
149	星空に寒柝冴ゆる昭和かな	寒柝	冬	18.12.10.
150	寒柝や子ら一団の火の用心	寒柝	冬	18.12.10.
151	火の用心路地巡り行く昭和の子	火の用心	冬	18.12.10.
152	火の用心声高らかに昭和の子	火の用心	冬	18.12.10.
153	集落がまた一つ消え冬の月	冬の月	冬	18.12.10.
154	女靴音高らかに寒昴	寒昴	冬	18.12.10.
155	凍星や路地に響きし女靴	凍星	冬	18.12.10.
156	年ごとに賀状減らして終活期	賀状	冬	18.12.10.
157	裂帛の声交差する寒稽古	寒稽古	冬	18.12.11.
158	裂帛の声掛け合いし寒稽古	寒稽古	冬	18.12.11.
159	口一文字弦引き絞る寒稽古	寒稽古	冬	18.12.11.
160	鶴の舞ふごとき乱取り寒稽古	寒稽古	冬	18.12.11.
161	フルートのロングトーンや寒稽古	寒稽古	冬	18.12.11.
162	ポインセチア赤き一鉢ある出窓	ポインセチア	冬	18.12.11.
163	出窓にはポインセチアが良く似合ふ	ポインセチア	冬	18.12.11.
164	ポインセチア買って微笑む母子かな	ポインセチア	冬	18.12.101
165	ポインセチア置いて華やぐ出窓かな	ポインセチア	冬	18.12.11.
166	列島も人も縮みし寒波かな	寒波	冬	18.12.11.
167	剣山のごとき大気や寒波来る	寒波	冬	18.12.11.
168	庭のない家の増えゆく初景色	初景色	新年	18.12.12.
169	庭の無き家々並ぶ初景色	初景色	新年	18.12.12.
170	また痩せし武甲の山の初景色	初景色	新年	18.12.12.
171	白銀の富士を遠見の初景色	初景色	新年	18.12.12.
172	スマホ歩き行き交う街や初景色	初景色	新年	18.12.12.
173	船絶えぬ浦賀水道初景色	初景色	新年	18.12.12.
174	手を打てば鳴き龍応ふ初景色	初景色	新年	18.12.12.
175	日溜りに何やら嬉し冬蒲公英	冬蒲公英	冬	18.12.12.
176	妻の声背なかで聞きつ年用意	年用意	冬	18.12.12.
177	妻の声響き気鬱な年用意	年用意	冬	18.12.12.
178	まぐわひの昂ぶりに似し大根引く	大根引く	冬	18.12.12.
179	まぐわひに似たる昂ぶり大根引く	大根引く	冬	18.12.12.
180	ばっこんとまたばっこんと大根引く	大根引く	冬	18.12.12.
181	ばっこんと抜く昂ぶりや大根引き	大根引く	冬	18.12.12.
182	ポインセチア置ひて華やぐ出窓かな	ポインセチア	冬	18.12.12.
183	花に化けポインセチアの高笑ひ	ポインセチア	冬	18.12.12.
184	賓頭盧の頭を撫ずる冬の蠅	冬の蠅	冬	18.12.12.
185	浮寝鳥垂らせし脚を潜る鯉	浮寝鳥	冬	18.12.12.
186	朝練の若者どれも白い息	息白し	冬	18.12.13.
187	朝練の若者走る白い息	息白し	冬	18.12.13.
188	白き息吐ひて元気な登校路	息白し	冬	18.12.13.
189	白き息吐きつ児ら行く登校路	息白し	冬	18.12.13.
190	寒鴉吾を一瞥飛び去れり	寒鴉	冬	18.12.13.
191	福寿草杯寄せ合って言祝げり	福寿草	新年	18.12.13.
192	福寿草ポインセチアと置き換わる	福寿草	新年	18.12.13.
193	目出度さを祝ふ家族や福寿草	福寿草	新年	18.12.13.
194	福寿草宅配便で届きけり	福寿草	新年	18.12.13.
195	年用意これも一鉢福寿草	福寿草	新年	18.12.13.
196	風邪の子の咳き込み続く待合室	風邪	冬	18.12.14.
197	風邪の子の先に呼ばるる診療所	風邪	冬	18.12.14.
198	蝋梅の黄の艶やかに空の青	蝋梅	冬	18.12.14.
199	蝋梅に足止めし人香を嗅げり	蝋梅	冬	18.12.14.
200	賀状書き今年も減らす終活期	賀状	冬	18.12.14.
201	雪囲男結びで仕上げゆく	雪囲	冬	18.12.14.
202	雪吊の男結びで仕上がりぬ	雪吊	冬	18.12.14.
203	車椅子並べホームの日向ぼこ	日向ぼこ	冬	18.12.14.
204	冬帽子被れば紛れなき翁	冬帽子	冬	18.12.14.
205	潤目鰯泣き腫らしたる網の上	潤目鰯	冬	18.12.14.
206	隠沼に白き靄立つ初茜	初茜	新年	18.12.15.
207	黒袴白衣の放つ弓始	弓始	新年	18.12.15.
208	初松籟海へ抜け行く切通	松籟	新年	18.12.15.
209	本名は小鬼田平子仏の座	仏の座	新年	18.12.15.
210	金メダル目指す五輪や福寿草	福寿草	新年	18.12.15.
211	とんとこと飴切る音や初大師（川崎大師）	初大師	新年	18.12.15.
212	軽やかに飴切る音や初大師	初大師	新年	18.12.15.
213	ござれ市続く参道初不動（高幡不動）	初不動	新年	18.12.15.
214	薄暗き堂内覗く初閻魔	初閻魔	新年	18.12.15.
215	黝ずみてぎょろ目の光る初閻魔	初閻魔	新年	18.12.15.
216	太鼓橋ゆるりと渡り初天神（亀戸天神）	初天神	新年	18.12.15.
217	塗り皿に載せて出されし切山椒	切山椒	新年	18.12.15.
218	正月にひょいと顔出す草石蚕（ちょろぎ）かな	草石蚕	新年	18.12.15.
219	輪飾を去年の鈎に掛けにけり	輪飾	新年	18.12.15.
220	数へ日や空にぽつんと昼の月	数へ日	冬	18.12.15.
221	冬木立初心に帰る無一物	冬木立	冬	18.12.15.
222	上水の底へ日を呼ぶ冬木立	冬木立	冬	18.12.15.
223	不夜城のごとき電飾冬木立	冬木立	冬	18.12.15.
224	電飾を纏ひ華やぐ冬木立	冬木立	冬	18.12.15.
225	電飾を纏ふ大路の冬木立	冬木立	冬	18.12.15.
226	電飾の衣煌々冬木立	冬木立	冬	18.12.15.
227	お節には難読文字の草石蚕かな	草石蚕（ちょろぎ）	冬	18.12.16.
228	できるならメールにしたき賀状書き	賀状書き	冬	18.12.16.
229	姿見の池に湯気立つ寒波かな	寒波	冬	18.12.16.
230	白銀の富士も朧に冬霞	冬霞	冬	18.12.16.
231	冬の虹気付けど告げる人をらず	冬の虹	冬	18.12.16.
232	訳ありて越冬決めし飛燕かな	越冬燕	冬	18.12.16.
233	梟の頸ひと巡り戻しけり	梟	冬	18.12.16.
234	白息を顔に纏ひつ立ち話	白息	冬	18.12.16.
235	枯鶏頭振り向く人の無き公園	枯鶏頭	冬	18.12.16.
236	老ひの身はかくのごとしと枯鶏頭	枯鶏頭	冬	18.12.16.
237	切通し抜ける急坂枯尾花	枯尾花	冬	18.12.16.
238	つくづくと顔の怖ろし初閻魔	初閻魔	新年	18.12.17.
239	あの世でも司法取引初閻魔	初閻魔	新年	18.12.17.
240	数へ日や火の粉のごとき妻の下知	数へ日	冬	18.12.17.
241	数へ日や終日続く妻の下知	数へ日	冬	18.12.17.
242	老妻と誤嚥気にしつ雑煮膳	雑煮	新年	18.12.17.
243	誤嚥なく食み終りたる雑煮かな	雑煮	新年	18.12.17.
244	丸餅の二つで済ます雑煮かな	雑煮	新年	18.12.17.
245	重詰の最後に残る草石蚕かな	草石蚕（ちょろぎ）	新年	18.12.17.
246	捲き癖を直しつ掛ける初暦	初暦	新年	18.12.17.
247	虫歯なく田作食みし八十路かな	田作	新年	18.12.17.
248	歳時記を開き詠み上ぐ初句かな	初句	新年	18.12.17.
249	数へ日や亭主追い立つ妻の声	数へ日	冬	18.12.17.
250	数へ日や空にのほほん昼の月	数へ日	冬	18.12.17.
251	数へ日も片手となりし句会かな	数へ日	冬	18.12.17.
252	数へ日の句会いささか煤逃げ風	数へ日	冬	18.12.17.
253	数へ日の煤逃げめたき句会かな	数へ日	冬	18.12.17.
254	数へ日の煤逃げめきし句会かな	数へ日	冬	18.12.18.
255	一羽飛び万羽従ふ鴨の陣	鴨の陣	冬	18.12.18.
256	木菟呼ぶや黄泉比良坂真暗がり	木菟	冬	18.12.18.
257	杣小屋の杣の鼾や五郎助ほう	吾郎助（＝梟）	冬	18.12.18.
258	野兎の跳ね飛んで消ゆ河原道	兎	冬	18.12.18.
259	難聴が顔を寄せ合ふ青畝の忌	青畝忌	冬	18.12.18.
260	秩父夜祭冷えしを匡す熱き盃	秩父夜祭	冬	18.12.18.
261	ぷかぷかと浮ぶ真中の柚子湯かな	柚子湯	冬	18.12.18.
262	鼻先に近寄り離る柚子湯かな	柚子湯	冬	18.12.18.
263	バス停にバス待つ列の息白し	息白し	冬	18.12.18.
264	薬味葱凹み煮え立つ泥鰌鍋	泥鰌鍋	夏	18.12.18.
265	鉄鍋の浅き煮え立つ泥鰌食む	泥鰌鍋	夏	18.12.18.
266	寒柝の夜道に響く昭和かな	寒柝	冬	18.12.18.
267	数へ日や亭主下知する古女房	数へ日	冬	18.12.18.
268	眠りしと思へばほつほつ冬木の芽	冬木の芽	冬	18.12.19.
269	眼を遣れば枝に犇めく冬芽かな	冬芽	冬	18.12.19.
270	どの枝も艶めく冬芽ひと並び	冬芽	冬	18.12.19.
271	背を丸め枝に列なす冬芽かな	冬芽	冬	18.12.19.
272	深鉢の酢海鼠とんと置かれけり	酢海鼠	冬	18.12.19.
273	気のせいか酢海鼠少し縮みけり	酢海鼠	冬	18.12.19.
274	切られたるままに置かれし海鼠かな	海鼠	冬	18.12.19.
275	喉越しをするりと走る酢牡蠣かな	酢牡蠣	冬	18.12.19.
276	生臭き仕事のにほい牡蠣割女	牡蠣割女	冬	18.12.19.
277	男らは酢牡蠣を当てにコップ酒	酢牡蠣	冬	18.12.19.
278	土手鍋の煮え立つ音や牡蠣踊る	牡蠣	冬	18.12.19.
279	賓頭盧の頭撫でゐる冬の蠅	冬の蠅	冬	18.12.19.
280	賓頭盧の頭撫でをり冬の蠅	冬の蠅	冬	18.12.19.
281	数へ日や亭主下知する妻の声	数へ日	冬	18.12.20.
282	漁師どちさあやるべえと鰤起し	鰤起し	冬	18.12.20.
283	藷粥や思へば遠き母の味	藷粥	冬	18.12.20.
284	ひらひらと風と遊ぶや枯柏	枯柏	冬	18.12.20.
285	朽ち果てる様を余さず枯芭蕉	枯芭蕉	冬	18.12.20.
286	裏ぶるるにはあらねども枯鶏頭	枯鶏頭	冬	18.12.20.
287	からからと乾びし音の枯芙蓉	枯芙蓉	冬	18.12.20.
288	かりかりとセロリを噛みし朝餉かな	セロリ	冬	18.12.20.
289	ぶつ切りが大椀泳ぐ根深汁	根深汁	冬	18.12.20.
290	七味掛け熱々啜る根深汁	根深汁	冬	18.12.20.
291	山小屋の丼で出る根深汁	根深汁	冬	18.12.20.
292	焼き葱を当てに始める独り酒	焼き葱	冬	18.12.20.
293	数へ日や亭主追い立て妻尖る	数へ日	冬	18.12.21.
294	冬木立抜ければ里の水車小屋	冬木立	冬	18.12.21.
295	屋根付きの橋在る里や冬木立	冬木立	冬	18.12.21.
296	数へ日となりて書き出す賀状かな	数へ日	冬	18.12.21.
297	数へ日やつくずく思ふわが余命	数へ日	冬	18.12.21.
298	数へ日や句会を一つ残すのみ	数へ日	冬	18.12.21.
299	数へ日となりて出かける句会かな	数へ日	冬	18.12.21.
300	柚子たわわいざ鎌倉の古道かな	柚子	秋	18.12.21.
301	吟行の野辺で見つけし冬苺	冬苺	冬	18.12.21.
302	吟行の句友分け合ふ冬苺	冬苺	冬	18.12.21.
303	貧惜しみ狭庭に眩し実万両	万両	冬	18.12.21.
304	侘助の開き切らずにひそと咲く	侘助	冬	18.12.21.
305	数へ日や終日続く妻の下知	数へ日	冬	18.12.21.
306	数へ日や終日止まぬ妻の下知	数へ日	冬	18.12.21.
307	賓頭盧の頭を擦る冬の蠅	冬の蠅	冬	18.12.21.
308	賓頭盧の頭を叩く冬の蠅	冬の蠅	冬	18.12.21.
309	賓頭盧の頭を滑る冬の蠅	冬の蠅	冬	18.12.21.
310	賓頭盧の頭で転ぶ冬の蠅	冬の蠅	冬	18.12.21.
311	賓頭盧の頭で遊ぶ冬の蠅	冬の蠅	冬	18.12.22.
312	ポインセチア一鉢置いてイブの宴	ポインセチア	冬	18.12.22.
313	ポインセチア聖しこの夜の軽い乗り	ポインセチア	冬	18.12.22.
314	まだ賀状書く気にならず青畝の忌	賀状・青畝忌	冬	18.12.22.
315	時雨来て傘出す厭ひ濡れにけり	時雨	冬	18.12.22.
316	数へ日は数日と決め本を読む	数へ日	冬	18.12.22.
317	数へ日やうつらうつらと部屋籠り	数へ日	冬	18.12.22.
318	細き葉の重なる隙間龍の玉	龍の玉	冬	18.12.22.
319	岩頭に音立て生まる波の花	波の花	冬	18.12.22.
320	岩頭に飛び散り積る波の花	波の花	冬	18.12.22.
321	荒みたる波頭吐き出す波の花	波の花	冬	18.12.22.
322	波の花べとつくものの代名詞	波の花	冬	18.12.22.
323	べっとりと岩場に積る波の花	波の花	冬	18.12.22.
324	冬の蠅ひょたりひょたりと日向ゆく	冬の蠅	冬	18.12.22.
325	冬の蠅ころりとよろけ立止る	冬の蠅	冬	18.12.22.
326	腹に子を抱へ春待つ冬の蜂	冬の蜂	冬	18.12.23.
327	腹の子を守り年越せ冬の蜂	冬の蜂	冬	18.12.23.
328	凍てるなよ命繋げよ冬雌蜂	冬の蜂	冬	18.12.23.
329	獄舎窓冬木は遠く靄の中	冬木	冬	18.12.23.
330	上水の長き連なり冬木立	冬木立	冬	18.12.23.
331	上水の四季を伝へて冬木立	冬木立	冬	18.12.23.
332	白銀の遠見の富士や冬木立	冬木立	冬	18.12.23.
333	朝練の一団過る冬木立	冬木立	冬	18.12.23.
334	わが頭加へ八個の柚子湯かな	柚子湯	冬	18.12.23.
335	寄り来るも遠のくもある柚子湯かな	柚子湯	冬	18.12.23.
336	柚子湯出て柚子を絞りしハイボール	柚子湯	冬	18.12.23.
337	小机に頬杖突くや蕪村の忌	蕪村忌	冬	18.12.23.
338	すっきりとし過ぎの気分冬木立	冬木立	冬	18.12.23.
339	断捨離の本家名乗りし冬木立	冬木立	冬	18.12.23.
340	断捨離の本家を名乗る冬木立	冬木立	冬	18.12.23.
341	うふふふとアダムとイヴの冬木立	冬木立	冬	18.12.23.
342	恥じらへりアダムとイヴの冬木立	冬木立	冬	18.12.23.
343	恥じらふやアダムとイヴの冬木立	冬木立	冬	18.12.23.
344	冬木立アダムとイヴの気分かと	冬木立	冬	18.12.23.
345	冬木立アダムとイヴの気分かな	冬木立	冬	18.12.23.
346	冬木立アダムとイヴの気分とも	冬木立	冬	18.12.23.
347	冬木立アダムとイヴの気分かも	冬木立	冬	18.12.23.
348	冬木立アダムとイヴの気分らし	冬木立	冬	18.12.23.
349	ごみ出しのわれを囃すかに鷦鷯	鷦鷯（＝三十三才）	冬	18.12.24.
350	気忙しき暮れ煽るかに三十三才	三十三才	冬	18.12.24.
351	曲終りしはぶき競ふかのホール	しはぶき	冬	18.12.24.
352	しはぶきの次々止みて幕揚がる	しはぶき	冬	18.12.24.
353	曲終り堰切る咳の大合唱	咳	冬	18.12.24.
354	周辺を凍らせてゐる大くしゃみ	くしゃみ	冬	18.12.24.
355	水洟をくしゅんとかみし女学生	水洟	冬	18.12.24.
356	水洟を拭ひもならず経の僧	水洟	冬	18.12.24.
357	水洟を衣で押さへ読経の僧	水洟	冬	18.12.24.
358	わが冬帽昭和の響き正ちゃん帽	冬帽	冬	18.12.24.
359	ぎしぎしと足裏に鳴きぬ霜柱	霜柱	冬	18.12.24.
360	鳴き砂のごとき音立つ霜柱	霜柱	冬	18.12.24.
361	朝採りの足裏で歌ふ霜柱	霜柱	冬	18.12.24.
362	未だ残る緑さわやか敷松葉	敷松葉	冬	18.12.24.
363	元号を三代歩む年始め	年始め	冬	18.12.24.
364	虚礼廃止言葉懐かし賀状書く	賀状	冬	18.12.25.
365	肉筆はわが名と宛名賀状書く	賀状	冬	18.12.25.
366	老妻の叱咤受けつつ暦果つ	暦果つ	冬	18.12.25.
367	枝打ちの杣夫ひねもす急斜面	枝打ち	冬	18.12.25.
368	股火鉢しつつ客待つ飾売	飾売	冬	18.12.25.
369	街角に今年も仮設飾売	飾売	冬	18.12.25.
370	スーパーの入口占める飾売	飾売	冬	18.12.25.
371	海老天の大きが二匹晦日蕎麦	晦日蕎麦	冬	18.12.25.
372	をちこちに本積みしまま掃納め	掃納め	冬	18.12.25.
373	居酒屋でいと粛々と年忘れ	年忘れ	冬	18.12.25.
374	身を縮め骨に隠るる鮟鱇鍋	鮟鱇鍋	冬	18.12.25.
375	水洟を衣で拭ひ読経の僧	水洟	冬	18.12.25.
376	どの部屋も巻き癖残る新暦	新暦	冬	18.12.25.
377	駅弁に一つ加わる凍豆腐	凍豆腐	冬	18.12.25.
378	駅弁の煮付に混じる凍豆腐	凍豆腐	冬	18.12.25.
379	鳥羽殿のふぐりも縮む寒波かな	寒波	冬	18.12.25.
380	桂浜龍馬目線の初景色	初景色	新年	18.12.25.
381	目覚むれば白一色の初景色	初景色	新年	18.12.25.
382	砂まみれ湯気立つ部屋の初稽古	初稽古	新年	18.12.25.
383	投げられてまた投げられて初稽古	初稽古	新年	18.12.25.
384	講道館受け身百回初げい古	初稽古	新年	18.12.25.
385	柔道着洗濯したて初稽古	初稽古	新年	18.12.25.
386	繰り返しロングトーンの初稽古	初稽古	新年	18.12.25.
387	吹き初めはロングトーンの繰り返し	吹き初め	新年	18.12.25.
388	年明けの夜も更けぬれば姫始	年明け・姫始	新年	18.12.25.
389	いろいろのいろいろありて姫始	姫始	新年	18.12.25.
390	初売りの夜店懐かしカーバイド	初売り	新年	18.12.25.
391	野火止の底へ日を呼ぶ冬木立	冬木立	冬	18.12.25.
392	駄句添へて賀状認む日がなかな	賀状	新年	18.12.26.
393	駄句一句入れて仕上ぐる賀状かな	賀状	新年	18.12.26.
394	駄句一句添へて済ませる賀状かな	賀状	新年	18.12.26.
395	年明けてまた会う人に出す賀状	賀状	新年	18.12.26.
396	打ち止めを告げる賀状を増やしけり	賀状	新年	18.12.26.
397	空々しさの許さるる御慶かな	賀状	新年	18.12.26.
398	屠蘇散は太田胃散の味したり	屠蘇	新年	18.12.26.
399	メードイン・ベトナムとある松飾	松飾り	新年	18.12.26.
400	出窓から日を照り返す福寿草	福寿草	新年	18.12.26.
401	目出度しと人を仰ぐや福寿草	福寿草	新年	18.12.26.
402	里の径日向に眩し福寿草	福寿草	新年	18.12.26.
403	鳥羽殿もふぐり縮ます寒波かな	寒波	冬	18.12.26.
404	床の間の同じ位置占め福寿草	福寿草	新年	18.12.27.
405	ミニチュアの鉢に小さき福寿草	福寿草	新年	18.12.27.
406	寄せ植えて床の間淑と福寿草	福寿草	新年	18.12.27.
407	ひとしきり挨拶交す初句会	初句会	新年	18.12.27.
408	よそ行きの顔で始まる初句会	初句会	新年	18.12.27.
409	名乗り上げ無声免れ初句会	初句会	新年	18.12.27.
410	老人の頷き返す福寿草	福寿草	新年	18.12.27.
411	老人の独居の部屋に福寿草	福寿草	新年	18.12.27.
412	老人の独り飯食ふ福寿草	福寿草	新年	18.12.27.
413	賀状書く絵手紙流に福寿草	福寿草	新年	18.12.27.
414	賀状には絵手紙風の福寿草	福寿草	新年	18.12.27.
415	スーパーで買ひし小鉢の福寿草	福寿草	新年	18.12.27.
416	スーパーで買ひしミニ鉢福寿草	福寿草	新年	18.12.27.
417	雀色どき寒星一つ光りをり	寒星	冬	18.12.28.
418	雀色どき早や寒星の一つあり	寒星	冬	18.12.28.
419	雀色どきひそと戻りし寒鴉	寒鴉	冬	18.12.28.
420	雀色どき入日に染まる寒鴉	寒鴉	冬	18.12.28.
421	雀色時なに告げ合ふや寒鴉	寒鴉	冬	18.12.28.
422	雀色時なにを告げ合ふ寒鴉	寒鴉	冬	18.12.28.
423	重い腰上げて書き出す年賀状	年賀状	冬	18.12.28.
424	薄氷張りし池面の冬紅葉	薄氷・冬紅葉	冬	18.12.28.
425	御師の宿屋根に積もりし冬紅葉	冬紅葉	冬	18.12.28.
426	朝練の走る一団息白し	息白し	冬	18.12.28.
427	隣人と朝のあいさつ白い息	白い息	冬	18.12.29.
428	ごみ出しの朝のあいさつ白い息	白い息	冬	18.12.29.
429	白い息撒き散らし行く登校路	白い息	冬	18.12.29.
430	白い息吐いて元気な登校児	白い息	冬	18.12.29.
431	朝練の掛け声が吐く白い息	白い息	冬	18.12.29.
432	白い息吐きつ用足す散歩犬	白い息	冬	18.12.29.
433	消防署朝の点呼の息白し	息白し	冬	18.12.29.
434	朝採りや鳴き砂めきし霜柱	霜柱	冬	18.12.29.
435	霜柱融け出す前の畑仕事	霜柱	冬	18.12.29.
436	朝採りの足裏で鳴きぬ霜柱	霜柱	冬	18.12.29.
437	踏み方で鳴き砂になる霜柱	霜柱	冬	18.12.29.
438	枯芦の塒脹らむ谷津干潟	枯芦	冬	18.12.29.
439	鳥羽殿のふぐりも冷ゆる寒波かな	寒波	冬	18.12.29.
440	ポインセチア華やか過ぎて落ち着かず	ポｋンセチア	冬	18.12.29.
441	きりきりと弦引き絞る寒稽古	寒稽古	冬	18.12.29.
442	きりきりと矢を引き絞る寒稽古	寒稽古	冬	18.12.29.
443	きりきりと矢を引き絞り寒稽古	寒稽古	冬	18.12.30.
444	砂まみれ力士湯気立て初稽古	初稽古	新年	18.12.30.
445	眼を遣れば早やほつほつと冬木の芽	冬木の芽	冬	18.12.30.
446	箇条書すべてやり終え大晦日	大晦日	冬	18.12.30.
447	煤逃げもならず従ふ妻の下知	煤逃げ	冬	18.12.30.
448	水洗になりても名残り花八つ手	花八つ手	冬	18.12.30.
449	茶の花に冬越す虫の羽音かな	茶の花	冬	18.12.30.
450	裏木戸をくぐる右手に花八つ手	花八つ手	冬	18.12.30.
451	裏木戸を潜れば厠花八つ手	花八つ手	冬	18.12.30.
452	老夫婦誤嚥恐れつ雑煮食ぶ	雑煮	新年	18.12.30.
453	老夫婦誤嚥恐れつ食ぶ雑煮	雑煮	新年	18.12.30.
454	み仏は薄着に在わす大寒波	寒波	冬	18.12.31.
455	み仏に褞袍掛けたき寒波かな	寒波	冬	18.12.31.
456	寒椿ぽとりと落ちて静かなり	寒椿	冬	18.12.31.
457	竹筒に挿して廊下の寒椿	寒椿	冬	18.12.31.
458	竹筒に挿して風雅の寒椿	寒椿	冬	18.12.31.
459	半開を家訓としたる唐椿	寒椿	冬	18.12.31.
460	侘助はどれも家訓の半開き	侘助	冬	18.12.31.
461	クリオネのまこと剽軽立ち泳ぎ	クリオネ	冬	18.12.31.
462	クリオネの上昇下降休みなし	クリオネ	冬	18.12.31.
463	水槽のクリオネ見つめ猫不動	クリオネ	冬	18.12.31.
464	水槽の海鼠切られず年を越す	海鼠	冬	18.12.31.
465	湯気上げて力士組み合ふ初稽古	初稽古	新年	18.12.31.
466	竹筒に挿せば風雅に寒椿	寒椿	冬	18.12.31.
467	大仏に褞袍掛けたき寒波かな	褞袍・寒波	冬	18.12.31.
468	露座仏に褞袍掛けたき寒波かな	褞袍・寒波	冬	18.12.31.
469	鎮守社に硬貨握りて初詣	初詣	新年	19.1.1.
470	露座仏に褞袍の欲しい寒波かな	褞袍・寒波	冬	19.1.1.
471	的中に笑みで応える弓始	弓始	新年	19.1.1.
472	大振りの塗椀で出る雑煮かな	雑煮	新年	19.1.1.
473	初晴の雲一片も無き広さ	初晴	新年	19.1.1.
474	一月や売れ残りたる家二軒	一月	新年	19.1.1.
475	元朝や余命を思ふ八十路なり	元朝	新年	19.1.1.
476	去年今年蕎麦から雑煮繋ぎたり	去年今年・雑煮	新年	19.1.1.
477	朝刊のずしりと重き大旦	大旦	新年	19.1.1.
478	桂浜龍馬の像や初松籟	初松籟	新年	19.1.1.
479	屋外機静かに回る二日かな	二日	新年	19.1.2.
480	昨日今日空に雲無き二日かな	二日	新年	19.1.2.
481	トーストと野菜サラダの二日かな	二日	新年	19.1.2.
482	初富士の白銀眩し路地の奥	初富士	新年	19.1.2.
483	白銀の初富士仰ぐ路地の果て	初富士	新年	19.1.2.
484	若水と思へばすがし初洗顔	若水	新年	19.1.2.
485	爺婆と書いて年玉孫の手に	お年玉	新年	19.1.2.
486	点盛りの名乗りを賭けて初句会	初句会	新年	19.1.2.
487	和服着し姿はあらじ初句会	初句会	新年	19.1.2.
488	人食った所作で曳猿笑い取る	猿曳き	新年	19.1.2.
489	加賀様も金玉縮む寒波かな	寒波	冬	19.1.2.
490	正月も早や三日なりけふも晴れ	三日	新年	19.1.3.
491	鶏旦に狗日続きてけふ猪日	猪日	新年	19.1.3.
492	猪突せし若気懐かしけふ猪日	猪日	新年	19.1.3.
493	節料理早や喰い飽きし三日かな	三日	新年	19.1.3.
494	日向ぼこ死後に比べて短き生	日向ぼこ	冬	19.1.3.
495	世界規模荒みし中に年明ける	年明け	新年	19.1.3.
496	よき言葉巡り合せよ詠初め	詠初	新年	19.1.3.
497	生きるとは死出の道のり初閻魔	初閻魔	新年	19.1.3.
498	買初は足りなくなりし年賀状	年賀状	新年	19.1.3.
499	ベテランも無声をかこつ初句会	初句会	新年	19.1.3.
500	難読の文字の筆頭草石蚕食ふ	草石蚕	新年	19.1.3.
501	席題は草石蚕の掲示初句会	草石蚕・初句会	新年	19.1.3.
502	席題は草石蚕の三文字初句会	草石蚕・初句会	新年	19.1.3.
503	席題は草石蚕と書かれ初句会	草石蚕・初句会	新年	19.1.3.
504	席題の草石蚕難読初句会	草石蚕・初句会	新年	19.1.3.
505	砂まみれ湯気立つ力士初稽古	初稽古	新年	19.1.3.
506	初晴に露座の仏も舟を漕ぐ	初晴	新年	19.1.3.
507	初晴に露座の大仏舟を漕ぐ	初晴	新年	19.1.3.
508	初晴に露座の大仏舟漕げり	初晴	新年	19.1.3.
509	初晴に舟漕ぐ羅漢居たりけり	初晴	新年	19.1.3.
510	初晴に羅漢てんでに舟を漕ぐ	初晴	新年	19.1.3.
511	初晴に羅漢てんでに舟漕げり	初晴	新年	19.1.3.
512	砂まみれ湯気濛々と初稽古	初稽古	新年	19.1.3.
513	席題に草石蚕出されし初句会	初句会	新年	19.1.3.
514	決めつける詠句気になる初句会	初句会	新年	19.1.3.
515	凡庸の句を詠む男三が日	三が日	新年	19.1.3.
516	十円を百円に変え初詣	初詣	新年	19.1.3.
517	賽銭を百円にする初詣	初詣	新年	19.1.3.
518	凡庸の駄句しか詠めぬ三が日	三が日	新年	19.1.3.
519	凡庸の駄句を重ねし三が日	三が日	新年	19.1.3.
520	駄句ばかり詠んで淋しき三が日	三が日	新年	19.1.3.
521	詠めばみな駄句ぞ淋しき三が日	三が日	新年	19.1.3.
522	佳句詠みて余命を生きん年始め	年始め	新年	19.1.3.
523	三が日詠めば安らぐ俳句かな	三が日	新年	19.1.4.
524	思ふこと詠めばすずろや冬木立	冬木立	冬	19.1.4.
525	駄句なれど詠めば心の日向ぼこ	蜷田ぼこ	冬	19.1.4.
526	秩父には武甲山あり寒に入る	寒の入	冬	19.1.4.
527	秩父来て仰ぐは武甲寒に入る	寒の入	冬	19.1.4.
528	雲速し秩父往還寒に入る	寒の入	冬	19.1.4.
529	秩父路の山肌くすむ寒の入	寒の入	冬	19.1.4.
530	秩父路の山並み映ゆる寒の入	寒の入	冬	19.1.4.
531	武甲山秩父引き締め寒に入る	寒の入	冬	19.1.4.
532	新暦汚れし日々の無きことを	新暦	新年	19.1.4.
533	消防士朝の点呼に息白し	息白し	冬	19.1.4.
534	禁忌かな女はやらぬ梯子乗り	梯子乗り	新年	19.1.5.
535	消防艇五色の水の出初式	出初式	新年	19.1.5.
536	きびきびと技鮮やかに梯子乗り	梯子乗り	新年	19.1.5.
537	江戸火消心意気継ぐ梯子乗り	梯子乗り	新年	19.1.5.
538	鳶口が支え揺るがぬ梯子乗り	梯子乗り	新年	19.1.5.
539	消防団消えて中止の出初式	出初式	新年	19.1.5.
540	破魔矢掲げ自撮りの若き二人かな	破魔矢	新年	19.1.5.
541	蟇蛙人に生れて美男なり（季語：夏	蟇蛙	夏	19.1.5.
542	マフラーを若者風に捲いてみる	マフラー	冬	19.1.5.
543	マフラーを若者風に捲き街へ	マフラー	冬	19.1.5.
544	マフラーの一重結びを解ひて呑む	マフラー	冬	19.1.5.
545	破魔矢手に自撮りの若き二人かな	破魔矢	新年	19.1.5.
546	きびきびと女もすなり梯子乗り	梯子乗	新年	19.1.6.
547	出初式いろはにほへと江戸火消	出初式	新年	19.1.6.
548	江戸火消へ組は無くて出初かな	出初	新年	19.1.6.
549	江戸火消名残りのいろは梯子乗り	梯子乗	新年	19.1.6.
550	初弓の手応え確か的に音	初弓	新年	19.1.6.
551	的を射て的を外して弓始	弓始	新年	19.1.6.
552	道場の床艶やかに弓始	弓始	新年	19.1.6.
553	的を射て砂壁を射て弓始	弓始	新年	19.1.6.
554	的中も外れも無言弓始	弓始	新年	19.1.6.
555	しめやかに静寂の中の弓始	弓始	新年	19.1.6.
556	粛々と的に射初の白袴	射初	新年	19.1.6.
557	射手はみな口一文字弓始	弓始	新年	19.1.6.
558	何もかも豊洲市場の初景色	初景色	新年	19.1.6.
559	寒稽古うふふと笑ふ科学の目	寒稽古	冬	19.1.6.
560	寒稽古精神論で負けた国	寒稽古	冬	19.1.6.
561	寒稽古少し違和感ある時代	寒稽古	冬	19.1.6.
562	寒稽古では入れないランク入り	寒稽古	冬	19.1.6.
563	ポインセチア出窓に置ひて受験生	ポインセチア	冬	19.1.7.
564	ポインセチア追い込みかける受験生	ポインセチア	冬	19.1.7.
565	ポインセチア付き合ふ夜更け受験生	ポインセチア	冬	19.1.7.
566	ポインセチア目線の合ひし受験生	ポインセチア	冬	19.1.7.
567	江戸火消いろはの競ふ梯子乗り	梯子乗り	新年	19.1.7.
568	とんとこと音で飴売る初大師	初大師	新年	19.1.7.
569	重籐の太き弓持ち寒稽古	寒稽古	冬	19.1.7.
570	師範持つ弓は重籐寒稽古	寒稽古	冬	19.1.7.
571	重籐の一射で始む寒稽古	寒稽古	冬	19.1.7.
572	江戸三代豊洲市場の初景色	初景色	新年	19.1.7.
573	年越せばポインセチアは部屋の隅	ポインセチア	冬	19.1.7.
574	鶴の舞ふごとき乱取り初稽古	初稽古	新年	19.1.8.
575	結びしを解いて終る松納	松納	新年	19.1.8.
576	かろうじて無声免る初句会	初句会	新年	19.1.8.
577	日本髪とんと見かけぬ松の内	松の内	新年	19.1.8.
578	横一列粛と並びて弓始	弓始	新年	19.1.8.
579	的中も外れも静か弓始	弓始	新年	19.1.8.
580	的を射る音も静かに弓始	弓始	新年	19.1.8.
581	胸焼けを鎮めて旨しなづな粥	薺粥	新年	19.1.8.
582	厨から音軽やかに薺打ち	薺打ち	新年	19.1.8.
583	どんど焼き果ててホースの水踊る	どんど焼き	新年	19.1.8.
584	人の輪を後ずさりさせどんどの火	どんど	新年	19.1.8.
585	床の間に所を得たる福寿草	福寿草	新年	19.1.8.
586	江戸火消へらひん無くて梯子乗り	梯子乗り	新年	19.1.8.
587	黒文字で羊羹を食む冬灯	冬灯	冬	19.1.8.
588	スマホ繰り人待つ影や寒灯	寒灯	冬	19.1.8.
589	寒燈の届かぬ闇に波の音	寒燈	冬	19.1.8.
590	寒燈の蔭で客待つ占ひ師	寒燈	冬	19.1.8.
591	寒燈の光の端に街易者	寒燈	冬	19.1.8.
592	終バスの遠のく赤き冬灯	冬灯	冬	19.1.8.
593	冬の灯や路地に響きし女靴	冬灯	冬	19.1.8.
594	華やぐや雪見灯籠霜覆	霜覆	冬	19.1.9.
595	華やぎし雪見灯籠霜覆	霜覆	冬	19.1.9.
596	藁ぼっち庭師の技の霜囲	霜囲	冬	19.1.9.
597	骨しゃぶり啜る鮟鱇鍋怪々	鮟鱇鍋	冬	19.1.9.
598	霜除や瑞穂の国の藁ぼっち	霜除	冬	19.1.9.
599	霜除に日本のこころ藁ぼっち	霜除	冬	19.1.9.
600	冬晴や前垂れ踊る六地蔵	冬晴	冬	19.1.9.
601	冬晴や路地吹く風の尖りたる	冬晴	冬	19.1.9.
602	寒晴の川辺に立ちて影正す	寒晴	冬	19.1.9.
603	冬晴や夫婦まぐはふ道祖神	冬晴	冬	19.1.9.
604	冬晴や川底走る鮠の影	冬晴	冬	19.1.9.
605	鮠の影走る川底寒日和	寒日和	冬	19.1.9.
606	硬骨をしゃぶり啜りぬ鮟鱇鍋	鮟鱇鍋	冬	19.1.9.
607	山道に吾ただ一人ななかまど	ななかまど	秋	19.1.9.
608	骨しゃぶり地獄めきたる鮟鱇鍋	鮟鱇鍋	冬	19.1.9.
609	嬉々として骨しゃぶる夜や鮟鱇鍋	鮟鱇鍋	冬	19.1.9.
610	ぶち切られ煮られしゃぶられ鮟鱇忌	鮟鱇	冬	19.1.9.
611	年金でトホホの暮し実万両	実万両	冬	19.1.10.
612	鮟鱇鍋ぐつぐつ煮えて酒追加	鮟鱇鍋	冬	19.1.10.
613	個室風飲み屋で突く鮟鱇鍋	鮟鱇鍋	冬	19.1.10.
614	煮凝で飲みし親爺の齢を越え	煮凝	冬	19.1.10.
615	霜柱土を押上げ傾ぎをり	霜柱	冬	19.1.10.
616	ちちちちと如才なき影鷦鷯	鷦鷯	冬	19.1.10.
617	騙されてとまでは言はじ寒牡丹	寒牡丹	冬	19.1.10.
618	禁断の恋とはいかに寒牡丹	寒牡丹	冬	19.1.10.
619	めくるめく恋とはいかに寒牡丹	寒牡丹	冬	19.1.10.
620	いろいろの鴨を浮かべて大手濠	鴨	冬	19.1.10.
621	セーターの編目突き刺す寒波かな	寒波	冬	19.1.11.
622	セーターに剣山刺さる寒波かな	寒波	冬	19.1.11.
623	寒波の路地凍てて足取る潦	寒波	冬	19.1.11.
624	向ふ傷ひりりと痛し鎌鼬	鎌鼬	冬	19.1.11.
625	乙女の像突き出す胸に空っ風	空っ風	冬	19.1.11.
626	空っ風ふぐり縮ます紋次郎	空っ風	冬	19.1.11.
627	浪声（よがりごえ）上げて溶け行く雪女	雪女	冬	19.1.11.
628	雪女郎すすり泣くかに浪声	雪女郎	冬	19.1.11.
629	この乳房揉んでおくれと雪女	雪女	冬	19.1.11.
630	茶碗酒一気に干せり鰤起し	鰤起し	冬	19.1.11.
631	安曇野の枯野を行けば道祖神	枯野	冬	19.1.11.
632	枯野道夫婦まぐわふ道祖神	枯野	冬	19.1.11.
633	集落の灯りまばらに寒満月	寒満月	冬	19.1.12.
634	独りでも揺れる吊橋寒満月	寒満月	冬	19.1.12.
635	皓皓と集落照らす寒の月	寒月	冬	19.1.12.
636	倒れたるラガーに注ぐ大薬缶	ラガー	冬	19.1.12.
637	托鉢の僧も立ちをり初大師	初大師	新年	19.1.12.
638	喉越しをするりするりと石蓴汁	石蓴（あおさ）	冬	19.1.12.
639	海の香を吹き立て啜る石蓴汁	石蓴	冬	19.1.12.
640	味噌椀に潮の香立ちぬ石蓴汁	石蓴	冬	19.1.12.
641	荒々し風の岬や野水仙	野水仙	冬	19.1.12.
642	海風の恣意に逞し野水仙	野水仙	冬	19.1.12.
643	売り物件幡立つ庭の落葉かな	落葉	冬	19.1.12.
644	おお寒っ律儀にけふは寒の入	寒の入	冬	19.1.12.
645	寒旱人のこころもささくれぬ	寒旱	冬	19.1.12.
646	雅なる名を認めし寒牡丹	寒牡丹	冬	19.1.12.
647	雅なる名と見比べつ寒牡丹	寒牡丹	冬	19.1.12.
648	霜柱溶けぬ間にする畑仕事	霜柱	冬	19.1.13.
649	枯芦の向ふに淡海たゆたへり	枯芦	冬	19.1.13.
650	限界の集落抱き山眠る	山眠る	冬	19.1.13.
651	冬眠の熊の鼾や山眠る	山眠る	冬	19.1.13.
652	寝そびれし熊も寝入りて山は雪	雪	冬	19.1.13.
653	鉄橋は真紅のアーチ山眠る	山眠る	冬	19.1.13.
654	山眠りかたりことりと水車小屋	山眠る	冬	19.1.13.
655	山眠り寝返りし合ふ熊親子	山眠る	冬	19.1.13.
656	今年また同じ所に狗ふぐり	犬ふぐり	冬	19.1.13.
657	雪面を兎走らせ山眠る	山眠る	冬	19.1.13.
658	雪こんこんがたりごとりと水車小屋	雪	冬	19.1.13.
659	こんこんと雪降り積り山眠る	雪・山眠る	冬	19.1.13.
660	白い息吐いて駆け出す登校児	息白し	冬	19.1.13.
661	雪山を駈くるマタギの手にスマホ	雪山	冬	19.1.13.
662	朝採りや鳴き砂めきぬ霜柱	霜柱	冬	19.1.13.
663	小走ればついジグザグに磯千鳥	磯千鳥	冬	19.1.14.
664	世話しなく左右に寄れて浜千鳥	釜千鳥	冬	19.1.14.
665	よろけてもこけるものなし磯千鳥	磯千鳥	冬	19.1.14.
666	着ぶくれのもたれ合ひたるラッシュかな	着ぶくれ	冬	19.1.14.
667	全身を包むショールの女行く	ショール	冬	19.1.14.
668	お運びの女の足袋の白さかな	足袋	冬	19.1.14.
669	白足袋の足裏清しき茶の湯かな	白足袋	冬	19.1.14.
670	白足袋の足裏汚れる長廊下	白足袋	冬	19.1.14.
671	白足袋の足裏気になる長廊下	白足袋	冬	19.1.14.
672	煮凝の四角の中に小雪舞ふ	煮凝	冬	19.1.14.
673	煮凝を置きし女将の白き指	煮凝	冬	19.1.14.
674	霜柱見つけ踏み行く登校児	霜柱	冬	19.1.14.
675	初せりや大間の鮪三億円	初せり	冬	19.1.15.
676	大鍋の汁粉湯気立つ寒泳ぎ	寒泳ぎ	冬	19.1.15.
677	寒声を使ひ経上ぐ僧一団	寒声	冬	19.1.15.
678	寒鮒の食ひに賭けたる待ち時間	寒鮒	冬	19.1.15.
679	立膝の少し動くや初弁天	初弁天	冬	19.1.15.
680	眼を開けしままで祈りぬ初弁天	初弁天	冬	19.1.15.
681	つくづくと女体艶めく初弁天	初弁天	冬	19.1.15.
682	洞奥に女体艶めく初弁天	初弁天	冬	19.1.15.
683	立膝のまこと艶めく初弁天	初弁天	冬	19.1.15.
684	切通し長き列なす初弁天	初弁天	冬	19.1.15.
685	初場所や桝に正座の美人客	初場所	冬	19.1.15.
686	料峭や上五なにやら隠語めき	料峭	冬	19.1.16.
687	料峭と詠み出す上五符丁めき	料峭	冬	19.1.16.
688	料峭と能筆の書く春便り	料峭	冬	19.1.16.
689	料峭と墨書の手紙書き出せり	料峭	冬	19.1.16.
690	料峭や高原を行く小海線	料峭	冬	19.1.16.
691	料峭や松本城の急階段	料峭	冬	19.1.16.
692	料峭や半身を削る武甲山	料峭	冬	19.1.16.
693	料峭やすべて首無き六地蔵	料峭	冬	19.1.16.
694	料峭や磴千段の第一歩	料峭	冬	19.1.16.
695	料峭や磴千段の一歩踏む	料峭	冬	19.1.16.
696	料峭や小魚遊ぶ忘れ潮	料峭	冬	19.1.16.
697	料峭や水車ごとりと止まりけり	料峭	冬	19.1.16.
698	料峭やたこ焼返す錐さばき	料峭	冬	19.1.16.
699	料峭や熱きたこ焼頬張れり	料峭	冬	19.1.16.
700	料峭や草田男眠る耶蘇の墓	料峭	冬	19.1.16.
701	料峭と書きてつくづく春寒し	料峭・春寒し	冬	19.1.16.
702	料峭や釣堀の客けふ独り	料峭	冬	19.1.16.
703	料峭や愛誦の句を呟きぬ	料峭	冬	19.1.16.
704	恋文をそっと投げ入れどんどの火	どんど	正月	19.1.16.
705	料峭や軒に去年の枯糸瓜（子規庵で)	料峭	冬	19.1.16.
706	料峭やぽっぺんを吹く遊女の絵	料峭	冬	19.1.16.
707	料峭やぽっぺん吹けば響きけり	料峭	冬	19.1.16.
708	料峭や没日に染まる子規の墓 (田端・大龍寺で）	料峭	冬	19.1.16.
709	ぽぺぽぺと響くぽっぺん寒波来る	寒波	冬	19.1.16.
710	ぶち切られ煮られしゃぶられ鮟鱇果つ	鮟鱇	冬	19.1.17.
711	霜除に片脚上げる散歩犬	霜除	冬	19.1.17.
712	霜除に尿掛けて行く散歩犬	霜除	冬	19.1.17.
713	寒冷紗かぶせて菜畑霜囲	霜囲	冬	19.1.17.
714	大川のたゆたふ川面都鳥	都鳥	冬	19.1.17.
715	都鳥行き交ふ船に驚かず	都鳥	冬	19.1.17.
716	冬晴や川辺に坐する翁像	冬晴	冬	19.1.17.
717	航跡の深み深みに百合鴎	百合鴎	冬	19.1.17.
718	蝋梅と季を先触れて犬ふぐり	蝋梅・犬ふぐり	冬	19.1.17.
719	蝋梅の花艶やかに空の青	蝋梅	冬	19.1.17.
720	野水仙終日風の岬かな	野水仙	冬	19.1.17.
721	煮ゆるほど身の縮みゆく鮟鱇鍋	鮟鱇	冬	19.1.17.
722	願わくば心悴むことなかれ	悴む	冬	19.1.17.
723	料峭や草書薄れて読めぬ句碑	料峭	冬	19.1.17.
724	霜焼も胼（ひび）の子もゐぬ通学路	霜焼・胼	冬	19.1.17.
725	日溜りに肩寄せ合ふて冬菫	冬菫	冬	19.1.18.
726	日溜りに足を止めれば冬菫	冬菫	冬	19.1.18.
727	野仏の脇にちょこんと冬菫	冬菫	冬	19.1.18.
728	日溜りや恥じらふやうに冬菫	冬菫	冬	19.1.18.
729	廃線路揺るるものあり冬菫	冬菫	冬	19.1.18.
730	仁王像目線の先に冬すみれ	冬菫	冬	19.1.18.
731	中洲へは飛び石伝ひ冬すみれ	冬菫	冬	19.1.18.
732	ラジコン機唸る広場や冬すみれ	冬菫	冬	19.1.18.
733	紫をほのとぼかして冬すみれ	冬菫	冬	19.1.18.
734	舗装路の割れ目に咲けり冬菫	冬菫	冬	19.1.18.
735	一輌車過ぎし路床に冬すみれ	冬菫	冬	19.1.18.
736	料峭や雁坂峠越へれば甲斐	料峭	冬	19.1.18.
737	料峭や峠の茶屋のうどん食ふ	料峭	冬	19.1.18.
738	料峭や雲なき空を鳥過る	料峭	冬	19.1.18.
739	料峭や里道走る郵便車	料峭	冬	19.1.18.
740	料峭や日蔭日向のくっきりと	料峭	冬	19.1.19.
741	鳥どちのついと啄む冬珊瑚	冬珊瑚	冬	19.1.19.
742	冬珊瑚紅艶やかに鳥を呼ぶ	冬珊瑚	冬	19.1.19.
743	赤き実の日を照り返す青木かな	青木の実	冬	19.1.19.
744	木漏れ日や紅艶やかに青木の実	青木の実	冬	19.1.19.
745	コンクール目指す女声や冬すみれ	冬菫	冬	19.1.19.
746	藁ぼっち背に妍競ふ寒牡丹	寒牡丹	冬	19.1.19.
747	どちらかと言へば妖艶寒牡丹	寒牡丹	冬	19.1.19.
748	妖艶を競ふかさねや寒牡丹	寒牡丹	冬	19.1.19.
749	小公園花壇の隅に寒あやめ	寒あやめ	冬	19.1.19.
750	あらと足止めさせてゐる寒あやめ	寒あやめ	冬	19.1.19.
751	紫の薄き花揺れ寒あやめ	寒あやめ	冬	19.1.19.
752	お菰さん化けたぜ化けた寒牡丹	寒牡丹	冬	19.1.19.
753	雲速し東照宮の寒牡丹	寒牡丹	冬	19.1.19.
754	韋駄天の雲つぎつぎと冬牡丹	冬牡丹	冬	19.1.19.
755	料峭や雁坂峠越へる風	料峭	冬	19.1.19.
756	料峭や尻を落として雉を撃つ	料峭	冬	19.1.19.
757	料峭や雉撃ち中の山ガール	料峭	冬	19.1.19.
758	のほほんと雲浮かびをり寒牡丹	寒牡丹	冬	19.1.19.
759	一輌車過ぎし鉄路や冬すみれ	冬菫	冬	19.1.19.
760	一輌車走る鉄路や冬すみれ	冬菫	冬	19.1.19.
761	朝練の掛け声のたび息白し	白息	冬	19.1.19.
762	霜柱踏み締めて行く受験生	霜柱	冬	19.1.19.
763	受験子の踏み締めて行く霜柱	霜柱	冬	19.1.19.
764	霜柱足跡残し受験生	霜柱	冬	19.1.19.
765	大寒の湖畔の宿は二十五度	大寒	冬	19.1.20.
766	大寒や頬に跳ねたる縄のれん	大寒	冬	19.1.20.
767	大寒やブルゾン着たる散歩犬	大寒	冬	19.1.20.
768	大寒やゆらりと揺れし池の鯉	大寒	冬	19.1.20.
769	大寒や札所に響く般若経	大寒	冬	19.1.20.
770	大寒や駅弁買って信濃路へ	大寒	冬	19.1.20.
771	大寒や湯気立つ蒸篭中華街	大寒	冬	19.1.20.
772	大寒や甲斐の山々揺ぎ無し	大寒	冬	19.1.20.
773	大寒や蕎麦屋競はせ深大寺	大寒	冬	19.1.20.
774	大寒や眼鏡曇らすマグカップ	大寒	冬	19.1.20.
775	大寒や結露の走るガラス窓	大寒	冬	19.1.20.
776	己が陰抉るかに見ゆ牡蠣割女	牡蠣割女	冬	19.1.20.
777	己が陰抉るごとくに牡蠣割女	牡蠣割女	冬	19.1.20.
778	抉りては殻投げる音牡蠣割女	牡蠣割女	冬	19.1.20.
779	抉られて啜られ果てる女牡蠣かな	牡蠣	冬	19.1.20.
780	一言を交はすを惜しみ牡蠣割女	牡蠣割女	冬	19.1.20.
781	胡坐かく様で牡蠣剥く牡蠣割女	牡蠣割女	冬	19.1.20.
782	牡殻の山を築ひて牡蠣割女	牡蠣割女	冬	19.1.20.
783	生臭き小屋で終日牡蠣割女	牡蠣割女	冬	19.1.20.
784	牡蠣割女時々交す広東語	牡蠣割女	冬	19.1.20.
785	抉られて殻捨てらるる牡蠣の果て	牡蠣	冬	19.1.20.
786	電柱の頂に居て寒鴉	寒鴉	冬	19.1.21.
787	一瞥し後はシカトの寒鴉	寒鴉	冬	19.1.21.
788	何もかも心得顔で寒鴉	寒鴉	冬	19.1.21.
789	かあと鳴きかあと応えし寒鴉	寒鴉	冬	19.1.21.
790	人食った小癪な風情寒鴉	寒鴉	冬	19.1.21.
791	人様を舐めたる目つき寒鴉	寒鴉	冬	19.1.21.
792	公園の砥ぎ屋見下ろす寒鴉	寒鴉	冬	19.1.21.
793	寒鴉独りで遊ぶ小公園	寒鴉	冬	19.1.21.
794	寒鴉小首傾げてついと去る	寒鴉	冬	19.1.21.
795	かあかあと墓地で会議か寒鴉	寒鴉	冬	19.1.21.
796	枯芦の葉擦れ伝ゆる湖の風	枯芦	冬	19.1.21.
797	枯芦の葉擦れの運ぶ湖の風	枯芦	冬	19.1.21.
798	枯芦の葉擦れさやぎし日暮れかな	枯芦	冬	19.1.21.
799	枯芦や湖西を京へ鯖街道	枯芦	冬	19.1.21.
800	枯芦や湖西に遺る鯖街道	枯芦	冬	19.1.21.
801	枯芦や湖西を走る鯖街道	枯芦	冬	19.1.21.
802	枯芦や韋駄天で行く鯖街道	枯芦	冬	19.1.21.
803	枯芦や西日眩しき浮御堂	枯芦	冬	19.1.21.
804	白い息吐いて駆け行く登校児	白息	冬	19.1.21.
805	舌打ちし見上げし空に寒昴	枯芦	冬	19.1.21.
806	舌打ちし見上げし星は寒昴	枯芦	冬	19.1.21.
807	通学路白息交し子ら続く	白息	冬	19.1.22.
808	ぺちゃくちゃと白息続く通学路	白息	冬	19.1.22.
809	枯芦の風を捉へてさやぎけり	枯芦	冬	19.1.22.
810	モンローの唇に似て冬薔薇	冬薔薇	冬	19.1.22.
811	モンローのルージュ鮮やか冬薔薇	冬薔薇	冬	19.1.22.
812	花筒は白磁のニンフ冬薔薇	冬薔薇	冬	19.1.22.
813	料峭や稜線越ゆる鳥一群	料峭	冬	19.1.22.
814	白菜の艶よき尻を撫でて買ふ	白菜	冬	19.1.22.
815	木漏れ日にちらと見つけし冬苺	冬苺	冬	19.1.22.
816	寒夕焼遠見の富士のシルエット	寒夕焼	冬	19.1.22.
817	富士一つ黒焦げにして冬夕焼	冬夕焼	冬	19.1.22.
818	ひと筆で富士を描きし寒夕焼	寒夕焼	冬	19.1.22.
819	風捉へ枯芦さやぐ湖畔かな	枯芦	冬	19.1.23.
820	ヘリコプター見送る野道冬苺	冬苺	冬	19.1.23.
821	急登の札所の道や冬苺	冬苺	冬	19.1.23.
822	木漏れ日に赤きものあり冬苺	冬苺	冬	19.1.23.
823	母山羊に纏はる仔山羊冬苺	冬苺	冬	19.1.23.
824	雉走るなぞへの里や冬苺	冬苺	冬	19.1.23.
825	偏屈庵と書かれし小屋や冬苺	冬苺	冬	19.1.23.
826	冬苺見つけ句帳に書く一句	冬苺	冬	19.1.23.
827	山里をバイクの僧や冬苺	冬苺	冬	19.1.23.
828	吟行の山路に嬉し冬苺	冬苺	冬	19.1.23.
829	酒呑童子伝説の里冬いちご	冬苺	冬	19.1.23.
830	冬苺半分残し山路ゆく	冬苺	冬	19.1.23.
831	腑に落ちぬことのあるかに寒鴉	寒鴉	冬	19.1.23.
832	首傾げ腑に落ちぬのか寒鴉	寒鴉	冬	19.1.23.
833	大寒や唸りを上げる屋外機	屋外機	冬	19.1.24.
834	大寒や大合唱の屋外機	屋外機	冬	19.1.24.
835	蝋梅を終日囲む自撮りの輪	蝋梅	冬	19.1.24.
836	侘助の開き切らずに奥ゆかし	侘助	冬	19.1.24.
837	侘助を一輪挿して卓上花	侘助	冬	19.1.24.
838	有髪の僧の法話や草城忌	草城忌	冬	19.1.24.
839	ひたむきに生きて死ぬべし久女の忌	久女忌	冬	19.1.24.
840	頭掻き瘡蓋剥がす蕪村の忌	蕪村忌	冬	19.1.24.
841	髙きから田打ち始まる棚田かな	田打ち	春	19.1.24.
842	侘助の咲きて静けき門跡寺	侘助	冬	19.1.24.
843	トラクター行きつ戻りつ畑返す	畑返す	春	19.1.24.
844	夜の厨あしたを知らず寒蜆	寒蜆	冬	19.1.25.
845	舞ひ降りてちとよろけたる寒雀	寒雀	冬	19.1.25.
846	餌台に今朝も二羽ゐる寒雀	寒雀	冬	19.1.25.
847	枯芝を埋めて朝餌の寒雀	寒雀	冬	19.1.25.
848	電線に羽ふくらませ寒雀	寒雀	冬	19.1.25.
849	校庭に独り遊びの寒鴉	寒鴉	冬	19.1.25.
850	沈下橋行きつ戻りつ寒鴉	寒鴉	冬	19.1.25.
851	さまざまな言語飛び交ふ初観音	初観音	冬	19.1.25.
852	仲見世は人種の坩堝初観音	初観音	冬	19.1.25.
853	紅の姿崩さず冬薔薇	冬薔薇	冬	19.1.25.
854	ひと波乱あるかも知れず冬薔薇	冬薔薇	冬	19.1.25.
855	まぐはひの後のほてりや冬薔薇	冬薔薇	冬	19.1.25.
856	踏み行けば鳴き砂めきぬ霜柱	霜柱	冬	19.1.25.
857	朝採りやきゅっきゅと応ふ霜柱	霜柱	冬	19.1.25.
858	くしゃみして白ひ目を買う車内か	くしゃみ	冬	19.1.25.
859	くしゃみして白ひ目の射す車内かな	くしゃみ	冬	19.1.25.
860	白ひ目を集めて二度のくしゃみかな	くしゃみ	冬	19.1.25.
861	老妻と小さな声で鬼は外	鬼は外	冬	19.1.26.
862	豆十粒狭庭の闇に鬼は外	鬼は外	冬	19.1.26.
863	年長組ふざけて叫ぶ鬼は内	鬼は外	冬	19.1.26.
864	てんでんに帽子で受くる追儺豆	追儺豆	冬	19.1.26.
865	豆撒や人気力士は掛け持ちで	豆撒	冬	19.1.26.
866	寺巡る人気力士の追儺かな	追儺	冬	19.1.26.
867	燃えさしの卒塔婆けぶり冬終る	冬終る	冬	19.1.26.
868	大菩薩峠に日差し冬終る	冬終る	冬	19.1.26.
869	戸袋のかたりことりと春隣	春隣	冬	19.1.26.
870	文机に片肘つけり蕪村の忌	蕪村忌	冬	19.1.26.
871	濁酒（どぶろく）をぐびりと呑めり蕪村の忌	蕪村忌	冬	19.1.26.
872	くしゃみして白ひ目刺さるバスの中	くしゃみ	冬	19.1.26.
873	朝採りや足裏で歌ふ霜柱	霜柱	冬	19.1.26.
874	参道の露店にぎやか初不動	初不動	冬	19.1.26.
875	てんでんに帽子突き出す追儺豆	追儺豆	冬	19.1.26.
876	老夫婦呟くやうに福は内	福は内	冬	19.1.26.
877	園長の鬼に園児ら鬼は外	鬼は外	冬	19.1.26.
878	城下往く坊ちゃん列車風光る	風光る	春	19.1.26.
879	城下往く坊ちゃん列車春一番	春一番	春	19.1.26.
880	校庭に独り遊ぶや寒鴉	寒鴉	冬	19.1.26.
881	白銀の富士に雪解の始まりぬ	雪解	春	19.1.27.
882	野も山も春の支度に騒めきぬ	春支度	冬	19.1.27.
883	野も山も雪解を待てぬ春支度	春支度	冬	19.1.27.
883	輪を描く春立つ空の鳶かな	立春	春	19.1.27.
885	冬薔薇漢は引かぬルージユかな	冬薔薇	冬	19.1.27.
886	冬薔薇朝日に真紅紛れなし	冬薔薇	冬	19.1.27.
887	冬薔薇紅き二輪の咲き続く	冬薔薇	冬	19.1.27.
888	冬たんぽぽ足止める人止めぬ人	冬たんぽぽ	冬	19.1.27.
889	寒菊の香り満ちたる仏間かな	寒菊	冬	19.1.27.
890	寒菊の崩れゆるさぬ香気かな	寒菊	冬	19.1.27.
891	ベランダに黒きブラジャー春疾風	春疾風	春	19.1.27.
892	手の届くところに春の女身仏	春	春	19.1.27.
893	春の塵日差しに舞へり女身仏	春塵	春	19.1.27.
894	まんさくや七里ガ浜は波静か	まんさく	春	19.1.28.
895	まんさくや石垣そそる江戸城址	まんさく	春	19.1.28.
896	まんさくのリボン解れるほどの風	まんさく	春	19.1.28.
897	まんさくのリボン捩れて解れけり	まんさく	春	19.1.28.
898	四十雀狭庭で今朝もひと騒ぎ	四十雀	春	19.1.28.
899	早口の掛け合いしばし四十雀	四十雀	春	19.1.28.
900	洋服に裃着けて鬼やらひ	鬼やらひ	冬	19.1.28.
901	序の口も地元の名士鬼やらふ	鬼やらひ	冬	19.1.28.
902	柊を挿して煮干しの頭添ふ	柊挿す	冬	19.1.28.
903	受けるより踏む豆多し鬼やらひ	鬼やらひ	冬	19.1.28.
904	春風や撥ね留め踊る能書かな	春風	春	19.1.28.
905	一斉に白い目集むくしゃみかな	くしゃみ	冬	19.1.29.
906	早春の山路を行けば滝氷柱	早春・氷柱	春・冬	19.1.29.
907	早春の渓を辿れば滝氷柱	早春・氷柱	春・冬	19.1.29.
908	立春と言へど頬刺す風の街	立春	春	19.1.29.
909	立春や三頭の滝は凍てしまま	立春	春	19.1.29.
910	袋田の滝の響きも春立ちぬ	立春	春	19.1.29.
911	春立ちぬなべてものみな美しき	立春	春	19.1.29.
912	厨から皿割れる音春立ちぬ	立春	春	19.1.29.
913	春立てど唸りを上げる屋外機	立春	春	19.1.29.
914	早春賦知らぬ子ばかりけふ立春	立春	春	19.1.29.
915	春立ちぬたこ焼返す錐一丁	立春	春	19.1.29.
916	春立ちぬたこ焼返す錐捌き	立春	春	19.1.29.
917	鮟鱇のどぶ汁美味し五浦の夜	鮟鱇	冬	19.1.30.
918	煮立つほど嵩の減りゆく鮟鱇鍋	鮟鱇鍋	冬	19.1.30.
919	鮟鱇を捌く板場に殺気あり	鮟鱇	冬	19.1.30.
920	鮟鱇の腹裂き抜きし太き肝	鮟鱇	冬	19.1.30.
921	煮立ちたる鮟鱇鍋に身を探す	鮟鱇鍋	冬	19.1.30.
922	鮟鱇鍋すべて雌とは知らざるや	鮟鱇鍋	冬	19.1.30.
923	鮟鱇鍋七つ道具を食み終えり	鮟鱇鍋	冬	19.1.30.
924	骨以外食めぬ部位なし鮟鱇鍋	鮟鱇鍋	冬	19.1.30.
925	吊るされて鮟鱇肝を抜かれけり	鮟鱇鍋	冬	19.1.30.
926	鮟鱇の大顎捨てしポリバケツ	鮟鱇	冬	19.1.30.
927	煮ゆるほど身を探しあぐ鮟鱇鍋	鮟鱇鍋	冬	19.1.30.
928	おでん酒葛根湯のつもりなり	おでん酒	冬	19.1.31.
929	葛根湯買ふのをやめておでん酒	おでん酒	冬	19.1.31.
930	牡丹鍋猪屋秘伝の合せ味噌	牡丹鍋	冬	19.1.31.
931	鮟鱇鍋果てて残りし骨の山	鮟鱇鍋	冬	19.1.31.
932	風邪っ引きしみじみ啜る根深汁	根深汁	冬	19.1.31.
933	食欲のなけれど啜る根深汁	根深汁	冬	19.1.31.
934	風邪引けば薬湯熱き燗一本	風邪・燗酒	冬	19.1.31.
935	風邪ごころ葛根湯やめ燗一本	風邪・燗酒	冬	19.1.31.
936	フルートに息吹き入れて寒稽古	燗稽古	冬	19.1.31.
937	懸大根むちむち白き農の軒	懸大根	冬	19.1.31.
938	池の底水噴射して蓮根掘	蓮根掘	冬	19.1.31.
939	蓮根掘始まり鯉の阿鼻叫喚	蓮根掘	冬	19.1.31.
940	水洟の終日溢れ天仰ぐ	水洟	冬	19.2.1.
941	うぐいす餅黄粉まぶして薄緑	うぐいす餅	冬	19.2.1.
942	校庭に独り遊びし寒鴉	寒鴉	冬	19.2.1.
943	校庭に独り遊ぶや寒鴉	寒鴉	冬	19.2.1.
944	枯芦に残照眩し湖畔かな	枯芦	冬	19.2.1.
945	近道の墓地をよぎれば枯尾花	枯尾花	冬	19.2.1.
946	荒涼の河原仕立てる枯尾花	枯尾花	冬	19.2.1.
947	首根っこ掴み一気に大根抜く	大根	冬	19.2.1.
948	妻の留守焼き葱で呑む独り酒	焼き葱	冬	19.2.1.
949	焼き葱を肴に加へ友と飲む	焼き葱	冬	19.2.1.
950	葱焼いてするめを炙り男酒	焼き葱	冬	19.2.1.
951	蕪畑拾ふがごとく採り進む	蕪	冬	19.2.1.
952	熱々に味噌垂れ掛けて蕪蒸	蕪	冬	19.2.2.
953	白菜は客に尻向け売られけり	白菜	冬	19.2.2.
954	寂しきは日暮れの風の枯蓮	枯蓮	冬	19.2.2.
955	刀折れ矢尽きし態に枯蓮田	枯蓮田	冬	19.2.2.
956	枯菊や火勢強める焼却炉	枯菊	冬	19.2.2.
957	葉隠れに垂れても目立つ実万両	実万両	冬	19.2.2.
958	海風にしなやかに耐え野水仙	野水仙	冬	19.2.2.
959	路地裏に恬淡と咲く野水仙	野水仙	冬	19.2.2.
960	寒菊の葉を枯色に咲きにけり	寒菊	冬	19.2.2.
961	黄葉の寒菊一輪挿す風雅	寒菊	冬	19.2.2.
962	黄葉の寒菊一輪挿す茶室	寒菊	冬	19.2.2.
963	風絶えぬ岬に踊る野水仙	野水仙	冬	19.2.2.
964	米中露我を張合ひし余寒かな	余寒	冬	19.2.2.
965	散歩犬尿放ちたり犬ふぐり	犬ふぐり	冬	19.2.2.
966	アスファルト舗装の隙間いぬふぐり	犬ふぐり	冬	19.2.2.
967	客人の余寒持ち込む躙り口	余寒	冬	19.2.2.
968	客人と余寒入り来る躙り口	余寒	冬	19.2.2.
969	頬弛む舗装の隙間いぬふぐり	犬ふぐり	冬	19.2.2.
970	健気なり舗装の隙間いぬふぐり	犬ふぐり	冬	19.2.2.
971	逞しく舗装の隙間いぬふぐり	犬ふぐり	冬	19.2.2.
972	寒明くる暦に律儀温きけさ	寒明	春	19.2.3.
973	寒明くる暦に律儀温き朝	寒明	春	19.2.3.
974	朝温し暦に律儀寒明くる	寒明	春	19.2.3.
975	寒明けや頭痛肩こり薄れたり	寒明	春	19.2.3.
976	寒明けや厨で妻の早春賦	寒明	春	19.2.3.
977	寒明けや妻の鼻歌早春賦	寒明	春	19.2.3.
978	肩こりの少し弛みし寒の明け	寒明	春	19.2.3.
979	書き出しに料峭とある便り来る	料峭	春	19.2.3.
980	寒明けや秩父往還関所跡	寒明	春	19.2.3.
981	弁天の立膝緩む寒の明け	寒明	春	19.2.3.
982	春風を受けて八十路の背を伸ばす	春風	春	19.2.3.
983	料峭や磴千段の一歩踏む（山形県山寺で）	料峭	春	19.2.4.
984	仁王像やあと目を剥く冬すみれ	冬すみれ	冬	19.2.4.
985	枯芦の葉擦れさやぎし湖暮るる	枯芦	冬	19.2.4.
986	張り倒したき親子連れ春来たる	春	春	19.2.4.
987	絵踏して子孫に残す秘の口伝	絵踏	春	19.2.4.
988	絵踏して棄教はせぬと主に誓ひ	絵踏	春	19.2.4.
989	絵踏して隠れで生きし切支丹	絵踏	春	19.2.4.
990	初午や屋敷稲荷に油揚	初午	春	19.2.4.
991	句会でもバレンタインのチョコレート	バレンタインデー	春	19.2.4.
992	雪解けて舗道の凹み潦（にはたづみ）	雪解	春	19.2.4.
993	雪解けて舗道をちこち潦	雪解	春	19.2.4.
994	戸袋を鳴らし続けし春一番	春一番	春	19.2.4.
995	戸袋のひねもすなりぬ春一番	春一番	春	19.2.4.
996	校庭を春一番の砂嵐	春一番	春	19.2.4.
997	校庭に春一番の砂ぼこり	春一番	春	19.2.4.
998	校庭に独り遊びの春一番	春一番	春	19.2.4.
999	校庭に砂塵踊らせ春一番	春一番	春	19.2.4.
1000	鈍足のバスを追越す春一番	春一番	春	19.2.4.


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