１日１０句以上１０００句詠む

鈴童の遊び


1	丈低く風遣り過す春竜胆	春竜胆	春	19.4.6.
2	せせらぎに尻付け静か座禅草	座禅草	春	19.4.6.
3	頑なと言ふほどでなく座禅草	座禅草	春	19.4.6.
4	足止めて人みな覗く座禅草	座禅草	春	19.4.6.
5	強き日に懐暗き座禅草	座禅草	春	19.4.6.
6	園児らとにらめっこする座禅草	座禅草	春	19.4.6.
7	無言の行ひねもす続く座禅草	座禅草	春	19.4.6.
8	せせらぎの音柔らかに座禅草	座禅草	春	19.4.6.
9	若き僧会釈して過ぐ座禅草	座禅草	春	19.4.6.
10	どの駅も桜咲きける青梅線	桜	春	19.4.6.
11	桜咲く駅を数へつ青梅線	桜	春	19.4.6.
12	汐干狩り縄文人の血を引きぬ	汐干狩り	春	19.4.6.
13	野に遊ぶ幼らの髪日の匂ひ	野遊び	春	19.4.6.
14	シクラメン出窓に置ひて手を振る子	シクラメン	春	19.4.6.
15	エリカ咲く句友の江利香七十歳	エリカ	春	19.4.6.
16	二輪草どちらが姉か妹か	二輪草	春	19.4.6.
17	一輪草風の強きに折れもせで	一輪草	春	19.4.6.
18	一片の桜花浮かびし湯舟かな	桜	春	19.4.7.
19	百千鳥お国言葉のシンフォニー	百千鳥	春	19.4.7.
20	百千鳥ブレグジットにさも似るか	百千鳥	春	19.4.7.
21	バベルの塔話懐かし百千鳥	百千鳥	春	19.4.7.
22	てんでんに情報交す百千鳥	百千鳥	春	19.4.7.
23	有季無季ありてうららの虚子忌かな	虚子忌	春	19.4.7.
24	花の寺巡る吟行けふ虚子忌	虚子忌	春	19.4.7.
25	太き棒貫き通す虚子忌かな	虚子忌	春	19.4.7.
26	囀りを補聴器無しに楽しめり	囀	春	19.4.7.
27	囀りや気付けば森の黙の中	囀	春	19.4.7.
28	囀りの止みて大樹に夜の静寂	囀	春	19.4.7.
29	帯解けば花びらこぼる花衣	花衣	春	19.4.7.
30	帯解けば花びら舞ひぬ花衣	花衣	春	19.4.7.
31	苧環の花と暮れ行く峡の里	苧環	春	19.4.7.
32	山独活をしゃきしゃき食みつ独り酒	独活	春	19.4.8.
33	しゃきしゃきと独活の歯触り酢味噌和へ	独活	春	19.4.8.
34	しゃきしゃきと歯触り楽し独活を食む	独活	春	19.4.8.
35	柚子味噌の香をしみじみと独活を食む	独活	春	19.4.8.
36	柚子味噌の香をしみじみと独活食めり	独活	春	19.4.8.
37	厨から独活の香りや夕刊来	独活	春	19.4.8.
38	クール便穂先揃ひし松葉独活	松葉独活（＝アスパラガス）	春	19.4.8.
39	山独活を手土産に来る碁の敵	独活	春	19.4.8.
40	妻がまた一つ歳取る仏生会	仏生会	春	19.4.8.
41	甘茶の味比べて寺を巡りけり	甘茶	春	19.4.8.
42	天を指し地を指し濡るる甘茶仏	甘茶仏	春	19.4.8.
43	平成の終りを告げて四月尽	四月尽	春	19.4.8.
44	トンカツにソースざぶりと四月尽	四月尽	春	19.4.8.
45	五月の空鷹を舞はせし修司も忌	修司忌	春	19.4.9.
46	五月の鷹舞ふ大空や修司の忌	修司忌	春	19.4.9.
47	五月の鷹悠然と舞ふ修司の忌	修司忌	春	19.4.9.
48	ダメ出しの訛り懐かし修司の忌	修司忌	春	19.4.9.
49	胸固く晒いなせに女子神輿	神輿	春	19.4.9.
50	倶利伽羅の刺青消えて夏祭	夏祭	春	19.4.9.
51	里帰り神輿を担ぐ同窓会	神輿	春	19.4.9.
52	担ぎ手のどれも新し祭足袋	祭足袋	春	19.4.9.
53	寅さんとすれ違ったぜ宵祭り	宵祭	春	19.4.9.
54	父と子と揃ひの祭衣装かな	祭衣装	春	19.4.9.
55	寅さんの声色聞ゆ宵祭	宵祭	春	19.4.9.
56	冷えびえと小糠雨なり春惜しむ	春惜しむ	春	19.4.10.
57	小糠雨冷えびえとして春惜しむ	春惜しむ	春	19.4.10.
58	新年号新札発表四月尽	四月尽	春	19.4.10.
59	深大寺蕎麦前の酒春惜しむ	春惜しむ	春	19.4.10.
60	しみじみと余命計りつ春惜しむ	春惜しむ	春	19.4.10.
61	十年も吹かぬフルート四月尽	四月尽	春	19.4.10.
62	惜しむこと数多ある中なか春惜しむ	春惜しむ	春	19.4.10.
63	惜しむこと無き身と言ひつ春惜しむ	春惜しむ	春	19.4.10.
64	独り酒喉走らせて春惜しむ	春惜しむ	春	19.4.10.
65	春惜しみ和尚と交す般若湯	春惜しむ	春	19.4.10.
66	平成の時代とともに四月尽	四月尽	春	19.4.10.
67	春眠の傾く客に肩を引く	春眠	春	19.4.10.
68	室の独活艶めく肌の白さかな	独活	春	19.4.10.
69	汐干狩り縄文人の血が滾る	汐干狩	春	19.4.10.
70	汐干狩り縄文人の家系かな	汐干狩	春	19.4.10.
71	汐干狩り縄文人の血が目覚む	汐干狩	春	19.4.10.
72	汐干狩り縄文人の血が踊る	汐干狩	春	19.4.10.
73	尻落とし尻突き出して潮干狩り	汐干狩	春	19.4.10.
74	だれもみな尻突き出して潮干狩り	汐干狩	春	19.4.10.
75	汐まねき総出で鋏振る汐干	汐干	春	19.4.10.
76	春眠の傾く客に肩を貸す	春眠	春	19.4.10.
77	春眠の女子高生に肩を貸す	春眠	春	19.4.10.
78	山独活を見つけて帰路は弾みけり	独活	春	19.4.10.
79	室の独活艶めく肌の白さかな	独活	春	19.4.10.
80	独活刻む厨の音や呑み始む	独活	春	19.4.10.
81	歯ざわりの誠によろし独活酢味噌	独活	春	19.4.10.
82	顔写真付き独活買へり道の駅	独活	春	19.4.10.
83	免許証返してそぞろ四月尽	四月尽	春	19.4.11.
84	免許証返し終活四月尽	四月尽	春	19.4.11.
85	免許証返し終活夕桜	桜	春	19.4.11.
86	あらの声土手のなぞへに土筆んぼ	土筆	春	19.4.11.
87	放棄畑目立つ山里つくづくし	土筆	春	19.4.11.
88	土筆野や後継ぎのなき放棄畑	土筆野	春	19.4.11.
89	見向かれず手持無沙汰の土筆んぼ	土筆	春	19.4.11.
90	摘まぬならとっとと行けと土筆かな	土筆	春	19.4.11.
91	摘む間にもへたり始めるつくづくし	土筆	春	19.4.11.
92	たんぽぽやぽぽのあたりの火事騒ぎ	たんぽぽ	春	19.4.11.
93	舶来が在来駆逐鼓草	鼓草（＝たんぽぽ）	春	19.4.11.
94	母子して白詰草の首飾り	白詰草	春	19.4.12.
95	クローバー四葉探しの始まりぬ	クローバー	春	19.4.12.
96	詰草やセスナ機飛びし飛行場	白詰草	春	19.4.12.
97	サルトルもカミユも遠しクローバー	クローバー	春	19.4.12.
98	クローバー大の字に寝て青春譜	クローバー	春	19.4.12.
99	クローバー編みしティアラの少女像	クローバー	春	19.4.12.
100	詰草のティアラにしなを作る女児	白詰草	春	19.4.12.
101	げんげ田を車窓に映しローカル線	げんげ田	春	19.4.12.
102	母と子が摘んで遊びしげんげ畑	げんげ畑	春	19.4.12.
103	ランドセルに背を押され行く入学児	入学	春	19.4.12.
104	ランドセルに圧し掛かられて入学児	入学	春	19.4.12.
105	鋤き込まるまでの華やぎげんげん田	げんげん田	春	19.4.12.
106	木漏れ日にぎくと足止む蝮蛇草	蝮蛇草	春	19.4.13.
107	薄暗き山路仕立てや蝮草	蝮蛇草	春	19.4.13.
108	雲水のひたひた行けり蝮蛇草	蝮蛇草	春	19.4.13.
109	暁闇に蛇紋浮かべて蝮蛇草	蝮蛇草	春	19.4.13.
110	靄立てる山路薄れて蝮蛇草	蝮蛇草	春	19.4.13.
111	金蘭の緩きなぞへに五輪ほど	金蘭	春	19.4.13.
112	熊谷草母衣ふくらませ風の中	熊谷草	春	19.4.13.
113	母衣なびく騎馬の武士（もののふ）熊谷草	熊谷草	春	19.4.13.
114	源平の戦場駆けり熊谷草	熊谷草	春	19.4.13.
115	春蘭のどれも舌出し咲きにけり	春蘭	春	19.4.13.
116	道の駅顔写真付き独活を買ふ	独活	春	19.4.13.
117	道の駅顔写真付き独活買へり	独活	春	19.4.13.
118	てんでんに尻突き出して汐干狩り	潮干狩り	春	19.4.13.
119	春眠の時計眺めつまた寝入る	春眠	春	19.4.13.
120	春眠の客の頭に肩を貸す	春眠	春	19.4.13.
121	担ぎ手に異人も混り荒神輿	荒神輿	夏	19.4.13.
122	担ぎ手に派遣加えて荒神輿	荒神輿	夏	19.4.13.
123	辛子利かせ一気に啜る心太	心太	夏	19.4.13.
124	一本箸操り食みし心太	心太	夏	19.4.13.
125	令和へと回る浮世の風車	風車	春	19.4.14.
126	四月尽さてどう変わる令和かな	四月尽	春	19.4.14.
127	修司忌や模倣剽窃罵詈讒謗	修司忌	春	19.4.14.
128	また一つ歳を加えて四月尽	四月尽	春	19.4.14.
129	駑馬となり駄句詠み重ね四月尽	四月尽	春	19.4.14.
130	短くも多彩華麗に修司の忌	修司忌	春	19.4.14.
131	ダンディーの訛り懐かし修司の忌	修司忌	春	19.4.14.
132	ダンディーと訛りちぐはぐ修司の忌	修司忌	春	19.4.14.
133	竜巻のごとく捩れて鷹柱	鷹柱	秋	19.4.14.
134	早熟と老練統ぶる寺山忌	寺山忌	春	19.4.14.
135	汐干狩り縄文人は吾祖先	汐干狩	春	19.4.14.
136	汐干狩り縄文人は吾家系	汐干狩	春	19.4.14.
137	ダメを出す訛り懐かし修司の忌	修司忌	春	19.4.14.
138	面白や尻もいろいろ潮干狩	潮干狩	春	19.4.15.
139	日溜りに腰を下ろして初音聞く	初音	春	19.4.15.
140	隠沼へ下り行く道の初音かな	初音	春	19.4.15.
141	電動ソー途切れて聞ゆ初音かな	初音	春	19.4.15.
142	深大寺波郷の墓や初音聞く	初音	春	19.4.15.
143	ほーほけきょまたほーほけきょ雑木山	鶯	春	19.4.15.
144	峪深き吊り橋で聞く初音かな	初音	春	19.4.15.
145	足すくむ吊り橋で聞く初音かな	初音	春	19.4.15.
146	吊り橋に足すくませて初音聞く	初音	春	19.4.15.
147	廃校舎尊徳像と初音聞く	初音	春	19.4.15.
148	尊徳像初音を聞きつ歩き読み	初音	春	19.4.15.
149	尾根道や峪から昇る初音聞く	初音	春	19.4.15.
150	診療所窓越しに聞く初音かな	初音	春	19.4.15.
151	トトロの森木漏れ日射して初音聞く	初音	春	19.4.15.
152	深大寺なぞへの森の初音かな	初音	春	19.4.15.
153	深大寺蕎麦屋の水車初音聞く	初音	春	19.4.15.
154	鶯や人を足下にラブコール	鶯	春	19.4.15.
155	亀鳴くや長寿の里は一軒家	亀鳴く	春	19.4.16.
156	亀鳴くや名前連呼の地方選	亀鳴く	春	19.4.16.
157	亀鳴いて独居の老いに会話絶え	亀鳴く	春	19.4.16.
158	甲羅干し夢路たどりつ亀鳴けり	亀鳴く	春	19.4.16.
159	マイウエイ誰が歌ふか亀鳴けり	亀鳴く	春	19.4.16.
160	亀石に甲羅並べて亀鳴けり	亀鳴く	春	19.4.16.
161	亀鳴いて水車ごとんと止まりけり	亀鳴く	春	19.4.16.
162	ノートルダム寺院焼け落ち亀泣けり	亀鳴く	春	19.4.16.
163	ソプラノで亀が鳴いたとネット炎ゆ	亀鳴く	春	19.4.16.
164	声帯を亀に取り付け鳴かしけり	亀鳴く	春	19.4.16.
165	重なりて影を作らず柿若葉	柿若葉	夏	19.4.17.
166	柿若葉摩周ブルーと競ひけり	柿若葉	夏	19.4.17.
167	青空に光滴る柿若葉	柿若葉	夏	19.4.17.
168	艶やかに透きてしなやか柿若葉	柿若葉	夏	19.4.17.
169	しなやかに陰日なた無き柿若葉	柿若葉	夏	19.4.17.
170	天ぷらになりて曇らぬ柿若葉	柿若葉	夏	19.4.17.
171	真新しランドセルの子柿若葉	柿若葉	夏	19.4.17.
172	新しきランドセル行く柿若葉	柿若葉	夏	19.4.17.
173	柿若葉ステンドグラスにマリヤ像	柿若葉	夏	19.4.17.
174	柿若葉つぎつぎ通る登校児	柿若葉	夏	19.4.17.
175	日の眩し大路を走る散水車	散水車	夏	19.4.17.
176	若者の消えし団地や夏めけり	夏めく	夏	19.4.17.
177	面白や尻突合せ潮干狩	潮干狩	春	19.4.17.
178	里山の紫の靄藤の花	藤の花	春	19.4.17.
179	枯れたかと近づき見れば花青木	花青木	春	19.4.17.
180	コーヒーの粉撒く如く花青木	花青木	春	19.4.17.
181	蜜吸ひの虫のあるかと花青木	花青木	春	19.4.17.
182	満開に誰も気づかず花青木	花青木	春	19.4.17.
183	老眼に霞むばかりの花青木	花青木	春	19.4.17.
184	混み合へる耳鼻咽喉科花青木	花青木	春	19.4.17.
185	虫メガネ持ち出して見る花青木	花青木	春	19.4.17.
186	山独活に顔写真付け道の駅	独活	春	19.4.17.
187	道の駅顔写真付き独活を買ふ	独活	春	19.4.17.
188	酢味噌独活突出しで出る蕎麦前酒	独活	春	19.4.17.
189	しゃきしゃきと独活食む吾は日本人	独活	春	19.4.17.
190	山独活を見つけて帰路の足弾む	独活	春	19.4.17.
191	囀りの止みて大樹に夜の黙	囀り	春	19.4.18.
192	背にリュック裾たくし上げ汐干狩	汐干狩	春	19.4.18.
193	サンバイザー顔深々と汐干狩	汐干狩	春	19.4.18.
194	短パンの太腿まぶし汐干狩	汐干狩	春	19.4.18.
195	大干潟残る流れに鳥の列	干潟	春	19.4.18.
196	春眠や妻には言へぬ夢を見し	春眠	春	19.4.18.
197	ぶらんこに腰掛けスマホ繰る二人	ぶらんこ	春	19.4.18.
198	やや傾ぐほどのなぞへや蕨狩	蕨狩	春	19.4.18.
199	てんでんに背中を向けて蕨狩	蕨狩	春	19.4.18.
200	爪先の黒く染まりし蕨採り	蕨採り	春	19.4.18.
201	摘むうちに互ひに競ふ蕨狩	蕨狩	春	19.4.18.
202	軽やかに声掛け合ひて柿若葉	柿若葉	夏	19.4.18.
203	靴を脱ぎ素足で受ける春の波	春の波	春	19.4.19.
204	大川の岸辺ざぶりと春の波	春の波	春	19.4.19.
205	春の波岩に砕けて桂浜	春の波	春	19.4.19.
206	長靴の程よく潜る大干潟	干潟	春	19.4.19.
207	大鳥居潜る宮島大干潟	干潟	春	19.4.19.
208	薬箱底から出でし紙風船	風船	春	19.4.19.
209	越中の薬屋いまも紙風船	風船	春	19.4.19.
210	紙風船四角が丸く跳ねにけり	風船	春	19.4.19.
211	駄菓子屋に色だんだらの紙風船	風船	春	19.4.19.
212	風車競ひて回る水子寺	風船	春	19.4.19.
213	手作りの風車手に手に子ら走る	風船	春	19.4.19.
214	鋭き音発し雉笛吹かれけり	雉笛	春	19.4.19.
215	奪ひ取る恋とはいかに半仙戯	半仙戯（＝ぶらんこ）	春	19.4.19.
216	洗剤のボトル噴き出すしゃぼん玉	しゃぼん玉	春	19.4.19.
217	春眠や妻には言へぬ夢の中	春眠	春	19.4.20.
218	春眠や妻には言へぬ夢うふふ	春眠	春	19.4.20.
219	春眠やさっちゃんと呼び目が覚めた	春眠	春	19.4.20.
220	鳩時計鳩も朝寝を決め込みぬ	朝寝	春	19.4.20.
221	頻尿に朝寝の夢もままならず	朝寝	春	19.4.20.
222	尿意には朝寝の夢もままならず	朝寝	春	19.4.20.
223	独活を食むつくずく吾は日本人	独活	春	19.4.20.
224	目薬で凌ぎ切りたる花粉症	花粉症	春	19.4.20.
225	断崖の底覗き込む春の夢	春の夢	春	19.4.20.
226	ともかくも波瀾万丈春の夢	春の夢	春	19.4.20.
227	春愁や妊婦に似たる太鼓腹	春愁	春	19.4.20.
228	プラ製の雲古グッズや春愁ひ	春愁	春	19.4.20.
229	春眠や骨董店の鳩時計	春眠	春	19.4.20.
230	春眠や鳩顔出さぬ鳩時計	春眠	春	19.4.20.
231	春眠や鳩の出て来ぬ鳩時計	春眠	春	19.4.20.
232	五月の鷹大空を舞ふ修司の忌（目つむりていても吾を統ぶ五月の鷹修司）	五月の鷹・修司忌	夏・春	19.4.20.
233	五月の鷹大空舞へり修司の忌	五月の鷹・修司忌	夏・春	19.4.20.
234	倶利伽羅の刺青消えし夏祭	夏祭	夏	19.4.20.
235	蜂に綿付けて後追ふ信濃人	蜂	春	19.4.21.
236	どの蜂も脚を垂らしてホバリング	蜂	春	19.4.21.
237	どの花と決めかねてゐる蜂可笑し	蜂	春	19.4.21.
238	逸ノ城空飛ぶごとく熊ん蜂	蜂	春	19.4.21.
239	重力と翅で闘ふ熊ん蜂	蜂	春	19.4.21.
240	廃村の祠を守る遅桜	遅桜	春	19.4.21.
241	重た気に枝撓らせて八重桜	八重桜	春	19.4.21.
242	雅なる名も楽しみな八重桜	八重桜	春	19.4.21.
243	一斉に火焔噴きをり牡丹の芽	牡丹の芽	春	19.4.21.
244	仁王にも負けぬ朱色ぞ牡丹の芽	牡丹の芽	春	19.4.21.
245	胸騒ぎさせる朱色や牡丹の芽	牡丹の芽	春	19.4.21.
246	仁王さん目をむき出せり牡丹の芽	牡丹の芽	春	19.4.21.
247	畑を舞ふ蝶苦々し気に老農夫	蝶	春	19.4.21.
248	百の蝶群がるごとく花紫荊（はなずおう）	花紫荊	春	19.4.21.
249	廃村を守る決意の遅桜	遅桜	春	19.4.21.
250	廃村に見る人の無き遅桜	遅桜	春	19.4.21.
251	春眠や夫には言へぬ夢うふふ	春眠	春	19.4.22.
252	廃村の軒の古巣も朽ちにけり	古巣	春	19.4.22.
253	鉄工場音を気にせぬ燕の巣	燕の巣	春	19.4.22.
254	鉄工場音かまびすし燕の巣	燕の巣	春	19.4.22.
255	病棟に患者癒せし燕の巣	燕の巣	春	19.4.22.
256	神父さまミサで報告燕の巣	燕の巣	春	19.4.22.
257	拝殿の軒にぎやかに燕の巣	燕の巣	春	19.4.22.
258	空き室の目立つ団地や燕の巣	燕の巣	春	19.4.22.
259	ベランダに巣燕できて一家族	巣燕	春	19.4.22.
260	尼僧らの母性くすぐる燕の巣	燕の巣	春	19.4.22.
261	燕の巣できて老尼も弾みけり	燕の巣	春	19.4.22.
262	夕空を突き刺す梢鴉の巣	鴉の巣	春	19.4.22.
263	祭り人山車鈴なりに大路ゆく	山車	夏	19.4.22.
264	大路ゆく山車鈴なりの祭り人	山車	夏	19.4.22.
265	太腿の白き乱舞や女子神輿	神輿	夏	19.4.22.
266	山車の屋根カーブひらりと鳶の技	山車	夏	19.4.22.
267	倶利伽羅のいなせは去りし夏祭	夏祭	夏	19.4.23.
268	倶利伽羅のいなせの見えぬ夏祭	夏祭	夏	19.4.23.
269	病む友の口もどかしく夏きざす	夏兆す	夏	19.4.23.
270	ベランダに巣燕できて大家族	巣燕	春	19.4.23.
271	若葉風逆Uの字に背伸び猫	若葉風	夏	19.4.23.
272	入院の友を見舞へば若葉風	若葉風	夏	19.4.23.
273	若葉風抜け行く山門仁王像	若葉風	夏	19.4.23.
274	仁王像少しおどけし若葉風	若葉風	夏	19.4.23.
275	見守りは阿吽の仁王燕の子	燕の子	夏	19.4.23.
276	境内は若葉燃え立つ九品仏	若葉	夏	19.4.23.
277	ステンドのマリア像笑む柿若葉	柿若葉	夏	19.4.23.
278	巣燕の出入り忙しきチャペルかな	巣燕	春	19.4.23.
279	倶利伽羅のいなせ途絶えし夏祭	夏祭	夏	19.4.23.
280	吊り橋に足すくませて聞く郭公	遠郭公	夏	19.4.23.
281	足すくむ吊り橋で聞く遠郭公	遠郭公	夏	19.4.23.
282	足すくむ揺るる吊り橋遠郭公	遠郭公	夏	19.4.23.
283	足すくむ吊り橋の揺れ遠郭公	遠郭公	夏	19.4.23.
284	倶利伽羅のいなせ途絶えし祭かな	祭	夏	19.4.23.
285	倶利伽羅のいなせ懐かし祭かな	祭	夏	19.4.23.
286	倶利伽羅の裸衣装や夏祭	夏祭	夏	19.4.23.
287	鳶の者倶利伽羅競ふ荒神輿	神輿	夏	19.4.23.
288	倶利伽羅の裸見せ合ふ練り神輿	神輿	夏	19.4.23.
289	倶利伽羅の裸自慢や荒神輿	神輿	夏	19.4.23.
290	男伊達倶利伽羅競ふ祭かな	祭	夏	19.4.23.
291	倶利伽羅の半裸仕切りし夏祭	夏祭	夏	19.4.23.
292	若葉風逆Uの字に猫背伸び	若葉風	夏	19.4.23.
293	ステンドの聖母子像や柿若葉	柿若葉	夏	19.4.23.
294	聖母子のステンドグラス柿若葉	柿若葉	夏	19.4.23.
295	吊り橋の縦揺れ止まず遠郭公	遠郭公	夏	19.4.23.
296	吊り橋の波打つ揺れや遠郭公	遠郭公	夏	19.4.23.
297	葉の蔭に葉を押し退けて青胡桃	青胡桃	夏	19.4.24.
298	雨雲の深く垂れ来て遠郭公	遠郭公	夏	19.4.24.
299	峪深し揺るる吊り橋閑古鳥	遠郭公	夏	19.4.24.
300	老鶯の楷書のごとき鳴き音聞く	老鶯	夏	19.4.24.
301	老鶯の楷書のごとき鳴き音かな	老鶯	夏	19.4.24.
302	老鶯の格調高き鳴き音降る	老鶯	夏	19.4.24.
303	老鶯や享年二十歳の遭難碑	老鶯	夏	19.4.24.
304	駒鳥や馬嘶くかと聞けり	駒鳥	夏	19.4.24.
305	駒鳥の鳴き音に牧の馬応ふ	駒鳥	夏	19.4.24.
306	長き尾を跳ねつ雌呼ぶ三光鳥	三光鳥	夏	19.4.24.
307	千段の磴滑るかに岩つばめ（山寺で）	岩燕	夏	19.4.24.
308	千段の磴一閃の岩つばめ	岩燕	夏	19.4.24.
309	赤々と入日を映す植田かな	植田	夏	19.4.25.
310	さざ波にひらひら応ふ植田かな	植田	夏	19.4.25.
311	一株の乱れも見せぬ植田かな	植田	夏	19.4.25.
312	無人駅水の匂ひの植田かな	植田	夏	19.4.25.
313	柔らかに緑靄立つ植田かな	植田	夏	19.4.25.
314	家鴨どち日がな植田を縦横に	植田	夏	19.4.25.
315	水没の村にはあらじ植田映ゆ	植田	夏	19.4.25.
316	一村を水攻めめかす植田かな	植田	夏	19.4.25.
317	山里を水郷めかす植田かな	植田	夏	19.4.25.
318	自家用の植田残して過疎の村	植田	夏	19.4.25.
319	富士映す忍野の里の植田かな	植田	夏	19.4.25.
320	自家用の植田わずかに過疎の里	植田	夏	19.4.25.
321	耳遠の耳を澄まして河鹿聞く	河鹿	夏	19.4.26.
322	恋一途疲れを知らぬ河鹿笛	河鹿笛	夏	19.4.26.
323	空耳にあらず足止め河鹿聞く	河鹿	夏	19.4.26.
324	瀬の音に耳を澄ませば初河鹿	初河鹿	夏	19.4.26.
325	日暮れ来し瀬音に混じる初河鹿	初河鹿	夏	19.4.26.
326	瀬音縫ひ早瀬を渡る河鹿笛	河鹿笛	夏	19.4.26.
327	濡れ岩に張り付き恋の河鹿笛	河鹿笛	夏	19.4.26.
328	河鹿鳴き瀬音高まる日暮れかな	河鹿	夏	19.4.26.
329	瀬の音に耳を慣らせば河鹿笛	河鹿笛	夏	19.4.26.
330	釣り人の去りし川辺に河鹿聞く	河鹿	夏	19.4.26.
331	濡れ岩に河鹿張り付きラブコール	河鹿	夏	19.4.26.
332	早耳の連れが聞き止む初河鹿	初河鹿	夏	19.4.26.
333	瀬の音に慣るれば楽し河鹿笛	河鹿笛	夏	19.4.26.
334	濡れ岩で恋の矢を射る河鹿笛	河鹿笛	夏	19.4.26.
335	日暮れ来て喉研ぎ澄ます河鹿かな	河鹿	夏	19.4.26.
336	恋一途奏で続ける河鹿笛	河鹿笛	夏	19.4.26.
337	おならして席立つ小父さん夏帽子	夏帽子	夏	19.4.26.
338	放屁して親爺席立つ夏帽子	夏帽子	夏	19.4.26.
339	朽ち船を打つさざ波や蘆の角	蘆の角	夏	19.4.26.
340	どぶろくを呑みつ端居の至福かな	端居	夏	19.4.26.
341	日盛りや骨董店の鳩時計	日盛り	夏	19.4.26.
342	柿若葉古りし肩掛け鞄かな	柿若葉	夏	19.4.26.
343	ジャック追ひ豆の木上る蜥蜴の子	蜥蜴	夏	19.4.26.
344	空に伸ぶ豆の木上る蜥蜴の子	蜥蜴	夏	19.4.26.
345	月の出の無くて煌めく蛍かな	蛍	夏	19.4.26.
346	深き闇抜け出でて来し柿若葉	柿若葉	夏	19.4.26.
347	空蝉を形見に残し死出の旅	空蝉	夏	19.4.26.
348	空蝉を残し浮世の七日かな	空蝉	夏	19.4.26.
349	空蝉やわずか七日の死出の旅	空蝉	夏	19.4.26.
350	空蝉や死出の旅路の七日間	空蝉	夏	19.4.26.
351	柿若葉映して消えしにはたづみ	柿若葉	夏	19.4.26.
352	五月場所触れる太鼓やにはたづみ	五月場所	夏	19.4.26.
353	廃村の卯の花の道にはたづみ	卯の花	夏	19.4.26.
354	夏富士の忍野八海にはたづみ	夏富士	夏	19.4.26.
355	十連休句会で過ごす五月かな	五月	夏	19.4.26.
356	春うらら女化けゆくバス化粧	春うらら	春	19.4.26.
357	夏燕空切る速さ死の速さ	夏燕	夏	19.4.27.
358	耳澄ますもの疑わず河鹿笛	河鹿笛	夏	19.4.27.
359	日の落ちて河鹿競ひし恋の歌	河鹿	夏	19.4.27.
360	ひたすらに鉄塔上る蟻の影	蟻	夏	19.4.27.
361	牛蛙野太き声のラブコール	牛蛙	夏	19.4.27.
362	意表突く大音声や牛蛙	牛蛙	夏	19.4.27.
363	卯の花の匂ふ垣根を過りけり	卯の花	夏	19.4.27.
364	山里の早き日暮れや花卯木	花卯木	夏	19.4.27.
365	山里の日暮れは早し花卯木	花卯木	夏	19.4.27.
366	卯の花や雨後に残りしにはたづみ	卯の花	夏	19.4.27.
367	水量の多き疎水や花空木	花空木	夏	19.4.27.
368	卯の花の枝垂れて暗き川の面	卯の花	夏	19.4.27.
369	卯の花の垣根隔てて立ち話	卯の花	夏	19.4.27.
370	清流に竿差す人や花空木	花空木	夏	19.4.27.
371	清流の岩噛むあたり花卯木	花卯木	夏	19.4.27.
372	山里の小さきワイナリ花卯木	花卯木	夏	19.4.27.
373	植林の山路静まり夏落葉	夏落葉	夏	19.4.27.
374	作務衣の僧磴掃き下る杉落葉	杉落葉	夏	19.4.27.
375	植林の山路は暗し杉落葉	杉落葉	夏	19.4.27.
376	山路の黙時おり破る杉落葉	杉落葉	夏	19.4.27.
377	さらさらと瀬音にも似て松落葉	松落葉	夏	19.4.27.
278	さらさらと音立てるかに松落葉	松落葉	夏	19.4.27.
379	切株で聞き耳立てる松落葉	松落葉	夏	19.4.27.
380	てんでんに向きを違へて杉落葉	杉落葉	夏	19.4.27.
381	散りてなほ緑清しき松落葉	松落葉	夏	19.4.27.
382	潔く席を譲りて松落葉	松落葉	夏	19.4.27.
383	青々と散るを驚く松落葉	松落葉	夏	19.4.27.
384	音立つるほどにもあらず杉落葉	」杉落葉	夏	19.4.27.
385	金魚玉軒に吊るせし昭和かな	金魚玉	夏	19.4.28.
386	抑揚を付けし売り声金魚売	金魚売	夏	19.4.28.
387	リヤカーの水跡続く金魚売	金魚売	夏	19.4.28.
388	金魚玉眼で涼取りし昭和かな	金魚玉	夏	19.4.28.
389	出目金の伸び縮みする金魚玉	出目金・金魚玉	夏	19.4.28.
390	下町の長屋の軒の金魚玉	金魚玉	夏	19.4.28.
391	庭隅に金魚弔ふ昭和の子	金魚	夏	19.4.28.
392	呼び出しの美声に似たる金魚売	金魚売	夏	19.4.28.
393	紺足袋に紺の腹掛け金魚売	金魚売	夏	19.4.28.
394	つと止まりつつと走りし熱帯魚	熱帯魚	夏	19.4.28.
395	出目金のユックリズムに諭される	出目金	夏	19.4.28.
396	紺の旅腹掛けいなせ金魚売	金魚売	夏	19.4.29.
397	稚児百合の頸うな垂れて四月尽	四月尽	春	19.4.29.
398	稚児百合のどれも淋し気四月尽	四月尽	春	19.4.29.
399	稚児百合は地を見るばかり岩つばめ	岩燕	春	19.4.29.
400	稚児百合に背伸びさせたき春の雲	春の雲	春	19.4.29.
401	頸細き稚児百合の面覗き見る		春	19.4.29.
402	万緑に花色合せ宝積草	万緑	春	19.4.29.
403	伽藍の軒飾るを夢見宝積草		春	19.4.29.
404	伽藍の軒飾る日あるや宝積草		春	19.4.29.
405	春風に素直に揺るる宝積草	春風	春	19.4.29.
406	出目金のもの言ひたげに寄り来る	出目金	夏	19.4.29.
407	吊り橋の足すくむ揺れ遠郭公	郭公	夏	19.4.30.
408	稚児百合や花に懺悔の影見ゆる		春	19.4.30.
409	稚児百合や花に懺悔の影のあり		春	19.4.30.
410	吊り橋に足をすくませ聞く郭公	郭公	夏	19.4.30.
411	螺髪のごとなぞへ鮮やか躑躅寺（青梅・七国山薬王寺）	躑躅	春	19.4.30.
412	螺髪のごとなぞへを埋む躑躅寺	躑躅	春	19.4.30.
413	濃淡の紅のなぞへや躑躅寺	躑躅	春	19.4.30.
414	杉木立透かし華やぐ躑躅寺	躑躅	春	19.4.30.
415	薬王寺なぞへ華やぐ躑躅かな	躑躅	春	19.4.30.
416	濃淡の躑躅華やぐ薬王寺	躑躅	春	19.4.30.
417	薬王寺つつじ燃え立つなぞへかな	躑躅	春	19.4.30.
418	薬王寺螺髪のごとく紅つつじ	躑躅	春	19.5.1.
419	雨上がりなぞへの躑躅歓喜天	躑躅	春	19.5.1.
420	上から見下から仰ぐつつじ山	躑躅	春	19.5.1.
421	令和明けなぞへ華やぐ躑躅寺	躑躅	春	19.5.1.
422	広東語スマホ自撮りのつつじ山	躑躅	春	19.5.1.
423	つつじ山燃え立つ中で令和明く	躑躅	春	19.5.1.
424	薬王寺つつじ言祝ぐ令和なる	躑躅	春	19.5.1.
425	たんぽぽや新天皇の車列行く	たんぽぽ	春	19.5.1.
426	五月晴れ父子相伝の令和明く	五月晴れ	夏	19.5.1.
427	五月晴れ洗濯日和に令和明く	五月晴れ	夏	19.5.1.
428	たんぽぽや牧に草食む鹿毛栗毛	たんぽぽ	春	19.5.1.
429	たんぽぽの絮舞ひ上がる草競馬	たんぽぽ	春	19.5.1.
430	母馬に乳欲る仔馬聖五月	聖五月	夏	19.5.1.
431	よく揺れる琴電過る麦の秋	麦の秋	夏	19.5.1.
432	麦の秋昼には讃岐うどん食ぶ	麦の秋	夏	19.5.1.
433	令和明く五月の鯉の吹き流し	五月	夏	19.5.1.
434	つつじ寺燃え立つなぞへ空海像	躑躅	夏	19.5.2.
435	なぞへ埋め紅濃淡のつつじ寺	躑躅	夏	19.5.2.
436	紅濃淡なぞへを埋むつつじ寺	躑躅	夏	19.5.2.
437	たんぽぽの絮舞ひ上がる草野球	たんぽぽ	春	19.5.2.
438	三代が揃ひ鎮守の初もうで	初もうで	新年	19.5.2.
439	山里は爺婆五人梅咲けり	梅	春	19.5.2.
440	お勝婆特養に入り桃の花	桃の花	春	19.5.2.
441	老四人地蔵ざくらの宴かな	桜	春	19.5.2.
442	捨て畑を紅に染む踊子草	踊子草	春	19.5.2.
443	水車朽ち連翹まぶしなぞへかな	連翹	春	19.5.2.
444	畑仕事する徳爺や遠郭公	遠郭公	夏	19.5.2.
445	俊爺の庭に上がりし鯉のぼり	鯉のぼり	夏	19.5.2.
446	木枯らしの里去る爺に婆握手	木枯らし	冬	19.5.2.
447	山里の無人となりて雪しんしん	雪	冬	19.5.2.
448	特養のお勝婆逝く寒の月	寒月	冬	19.5.2.
449	また一つ集落消えて寒夕焼	寒夕焼	冬	19.5.2.
450	雪やんで薄き足跡雪女	雪・雪女	冬	19.5.3.
451	炭焼きの捨て集落や遠郭公	郭公	夏	19.5.3.
452	梅の実のたわわを捥ぎて日の眩し	梅の実	夏	19.5.3.
453	どれもみな尻美しき実梅捥ぐ	実梅	夏	19.5.3.
454	脚立から届く範囲の実梅捥ぐ	梅の実	夏	19.5.3.
455	青梅捥ぐ吾を一瞥猫過る	青梅	夏	19.5.3.
456	捥ぎし梅妻はいそいそお裾分け	実梅	夏	19.5.3.
457	ざりがに釣り子より夢中の若き父	ざりがに	夏	19.5.3.
458	ちちぴんと鳴きて庭去る日雀かな	日雀	夏	19.5.3.
459	老鶯や吊り橋ゆれて足すくむ	老鶯	夏	19.5.3.
460	郵便車走る山里閑古鳥	閑古鳥	夏	19.5.3.
461	特養の庭に風呼ぶ鯉のぼり	鯉のぼり	夏	19.5.3.
462	百輌の貨車過ぎたれば河鹿笛	河鹿笛	夏	19.5.3.
463	鉄橋を貨車過ぐ川辺初河鹿	初河鹿	夏	19.5.3.
464	蹲踞してもの言ひたげに蟾蜍（ひきがえる）	蟾蜍	夏	19.5.3.
465	さらさらと音無き音や松落葉	松落葉	夏	19.5.3.
466	蟾蜍吾を諫めしことありや	蟾蜍	夏	19.5.3.
467	庭隅で久闊を叙す蟇と吾	蟇	夏	19.5.3.
468	愛想なき面で媾ふ蟇の婚	蟇	夏	19.5.3.
469	蹲踞の腰上げてのたりと蟇去りぬ	蟇	夏	19.5.3.
470	人間を醜怪視せし蟇の面	蟇	夏	19.5.3.
471	人間を醜怪視して蟇去れり	蟇	夏	19.5.3.
472	人間を醜怪視して蟇去りぬ	蟇	夏	19.5.3.
473	蟇はみな新大関を気取りをり	蟇	夏	19.5.3.
474	インターフォン会わずに済まし風薫る	風薫る	夏	19.5.4.
475	青梅の蔕（へた）取りをれば香の清し	青梅	夏	19.5.4.
476	落し穴その底に待つ蟻地獄	蟻地獄	夏	19.5.4.
477	本堂の下に点々蟻地獄	蟻地獄	夏	19.5.4.
478	待ちかねて底砂動く蟻地獄	蟻地獄	夏	19.5.4.
479	墓穴掘りその底に待つ蟻地獄	蟻地獄	夏	19.5.4.
480	御仏の御座す床下蟻地獄	蟻地獄	夏	19.5.4.
481	蟻地獄みずから襲ふことはなし	蟻地獄	夏	19.5.4.
482	のどけさに潜む殺意や蟻地獄	蟻地獄	夏	19.5.4.
483	蟻地獄平和に潜む殺意かな	蟻地獄	夏	19.5.4.
484	その仕掛け故に嫌はる蟻地獄	蟻地獄	夏	19.5.4.
485	蟻地獄摘み出されて後ずさり	蟻地獄	夏	19.5.4.
486	潮騒の聞ゆる祠蟻地獄	蟻地獄	夏	19.5.4.
487	平和主義隠す殺意や蟻地獄	蟻地獄	夏	19.5.4.
488	平和主義ゆへにおぞまし蟻地獄	蟻地獄	夏	19.5.4.
489	ひたすらに僥倖を待つ蟻地獄	蟻地獄	夏	19.5.4.
490	僥倖をはずれ飢え死ぬ蟻地獄	蟻地獄	夏	19.5.4.
491	待ち受けてなほ待ち受けて蟻地獄	蟻地獄	夏	19.5.4.
492	ひたすらに待つほかのなき蟻地獄	蟻地獄	夏	19.5.4.
493	窓開けて火取虫来ぬ不毛かな	誘蛾灯	夏	19.5.5.
494	誘蛾灯知らぬこら行く里の道	誘蛾灯	夏	19.5.5.
495	一茎の姉妹微笑むアマリリス	アマリリス	夏	19.5.5.
496	茎太く大輪咲けりアマリリス	アマリリス	夏	19.5.5.
497	一茎に大輪二輪アマリリス	アマリリス	夏	19.5.5.
498	少女の部屋出窓に赤きアマリリス	アマリリス	夏	19.5.5.
499	恋成就出窓を飾るアマリリス	アマリリス	夏	19.5.5.
500	腹減った餌欲り騒ぐ燕の子	燕の子	夏	19.5.5.
501	にぎやかに大口開ける燕の子	燕の子	夏	19.5.5.
502	餌取りにあぶれ口閉ずチビ燕	燕の子	夏	19.5.5.
503	上水の流れゆるやか太宰の忌	太宰忌	夏	19.5.5.
504	ベランダに鯉のぼりなし団地老ゆ	鯉のぼり	夏	19.5.5.
505	ベランダの鯉のぼり消え団地老ゆ	鯉のぼり	夏	19.5.5.
506	庭に降り探すほどなく蝸牛	蝸牛	夏	19.5.5.
507	かたつむり紫陽花の木が好きらしい	蝸牛	夏	19.5.5.
508	どれもみな尻美しき実梅かな	実梅	夏	19.5.5.
509	無人駅水の匂ひの代田かな	代田	夏	19.5.6.
510	蹲踞してもの申した気ひきがえる	蟾蜍	夏	19.5.6.
511	矢車の音軽やかに飛行雲	矢車	夏	19.5.6.
512	風に乗る櫓太鼓や五月場所	五月場所	夏	19.5.6.
513	割り下を足しつはふはふ泥鰌鍋	泥鰌鍋	夏	19.5.6.
514	薬味葱山盛りに載せ泥鰌鍋	泥鰌鍋	夏	19.5.6.
515	どぜう鍋お運びはみな大年増	泥鰌鍋	夏	19.5.6.
516	割きと丸ふた手に分かれどぜう鍋	泥鰌鍋	夏	19.5.6.
517	噺家も力士もゐたり泥鰌鍋	泥鰌鍋	夏	19.5.6.
518	柳川で仕上げとしたり泥鰌鍋	泥鰌鍋	夏	19.5.6.
519	待つ間なくたちまち滾るどぜう鍋	泥鰌鍋	夏	19.5.6.
520	下足番声さわやかにどぜう鍋	泥鰌鍋	夏	19.5.6.
521	女子会の声弾みをりどぜう鍋	泥鰌鍋	夏	19.5.6.
522	女子会はワイン持参のどぜう鍋	泥鰌鍋	夏	19.5.6.
523	女子会は割き派が多しどぜう鍋	泥鰌鍋	夏	19.5.6.
524	鯉のぼりよりもスマホのゲームかな	鯉のぼり	夏	19.5.6.
525	峪深し揺るる吊り橋遠郭公	郭公	夏	19.5.7.
526	どれもみな尻美しき実梅かな	実梅	夏	19.5.7.
527	一撃で筍を掘る鍬さばき	筍	夏	19.5.7.
528	筍掘り足裏で探る名人芸	筍	夏	19.5.7.
529	筍の皮に包みし握り飯	筍	夏	19.5.7.
530	初心掘る筍深き鍬の傷	筍	夏	19.5.7.
531	筍掘り和尚作務衣で範を垂る	筍	夏	19.5.7.
532	竹林に筍掘りの活気かな	筍	夏	19.5.7.
533	筍を鍬一撃で掘る名人	筍	夏	19.5.7.
534	筍掘り和尚手練れの鍬振るう	筍	夏	19.5.7.
535	朝採りの庭の蕗炊く厨かな	蕗	夏	19.5.7.
536	そら豆の熱々当てに独り酒	空豆	夏	19.5.7.
537	えにしだやけふ一日の過ごし方	金雀枝	夏	19.5.8.
538	大空に笑み語るかに朴の花	朴の花	夏	19.5.8.
539	蜜吸ひの虫はるばると朴の花	朴の花	夏	19.5.8.
540	折を見て下界も覗け朴の花	朴の花	夏	19.5.8.
541	般若経下方に聞けり朴の花	朴の花	夏	19.5.8.
542	武田菱光る甍や朴咲けり	朴の花	夏	19.5.8.
543	参道に並ぶ石仏朴咲けり	朴の花	夏	19.5.8.
544	天見上ぐ朴大輪を人見上ぐ	朴の花	夏	19.5.8.
545	本読みつ歩く尊徳朴の花	朴の花	夏	19.5.8.
546	朴の花晴れて零せし雨しずく	朴の花	夏	19.5.8.
547	極楽の近くに咲くや朴大輪	朴の花	夏	19.5.8.
548	天空に刻限ありて朴散華	朴散華	夏	19.5.8.
549	天空に遊びし果ての朴散華	朴散華	夏	19.5.8.
550	あかときの静寂を破る朴散華	朴散華	夏	19.5.8.
551	芳香の流るへ寄れば朴の花	朴の花	夏	19.5.8.
552	塩焼きの岩魚いただく杣の小屋	岩魚	夏	19.5.8.
553	塩焼きの岩魚をあてに骨の酒	岩魚	夏	19.5.8.
554	岩魚食み骨酒旨し杣の小屋	岩魚	夏	19.5.8.
555	塩焼きの岩魚手づかみ薬缶酒	岩魚	夏	19.5.8.
556	塩焼きの岩魚を食みつ茶碗酒	岩魚	夏	19.5.8.
557	青竹の杯で骨酒岩魚食む	岩魚	夏	19.5.8.
558	瀧音を間近に食みし岩魚膳	岩魚	夏	19.5.8.
559	塩焼きの岩魚食らいて骨酒呑む	岩魚	夏	19.5.8.
560	逆さ富士映す忍野の代田かな	代田	夏	19.5.8.
561	逆さ富士映す忍野の植田かな	植田	夏	19.5.8.
562	逆さ富士忍野の里の植田かな	植田	夏	19.5.8.
563	瀧の音轟く峪に岩魚追ふ	岩魚	夏	19.5.9.
564	岩に乗り肺呼吸するゐもりかな（井の頭公園で）	ゐもり	夏	19.5.9.
565	朱塗映ゆ弁天堂や若葉風（同上、府中句会吟行）	若葉風	夏	19.5.9.
567	点々と武蔵黄菅の灯の映ゆる	黄菅	夏	19.5.9.
568	風あれば回る風情や風車草（かざぐるま）	風車	夏	19.5.9.
569	風あらば回って見せよ風車草	風車	夏	19.5.9.
570	浮かみ出て岩にのたりとゐもりかな	ゐもり	夏	19.5.9.
571	拾ふたが詠まずに戻す落し文	落し文	夏	19.5.9.
572	手を触れずそっと過ぎにし落し文	落し文	夏	19.5.9.
573	杭の上川鵜けろんと吾を見たり	鵜	夏	19.5.9.
574	濃淡の若葉緑や朱の御堂	若葉	夏	19.5.9.
575	水鳥の呉越同舟若葉風	若葉風	夏	19.5.9.
576	がま口のごとき口開け燕の子	燕の子	夏	19.5.10.
577	親去れば待ちのモードに燕の子	燕の子	夏	19.5.10.
578	廃校舎軒の燕も巣立ちけり	燕の子	夏	19.5.10.
579	老鶯に耳傾けば電子辞書	老鶯	夏	19.5.10.
580	老鶯や捨て畑目立つ里の道	老鶯	夏	19.5.10.
581	早口に特許許可局ほととぎす	ほととぎす	夏	19.5.10.
582	吊り橋や目まいして聞く遠郭公	郭公	夏	19.5.10.
583	縮緬じわ広がる池やほととぎす	ほととぎす	夏	19.5.10.
584	捌くには手間の省けし羽抜鶏	羽抜鶏	夏	19.5.10.
585	羽抜鶏歯抜け爺と禿げ爺	羽抜鶏	夏	19.5.10.
586	鳥肌を露はに見せて羽抜鶏	羽抜鶏	夏	19.5.10.
587	古き羽惜しげ無く捨て羽抜鶏	羽抜鶏	夏	19.5.10.
588	卯の花の匂ふ垣根や立ち話	卯の花	夏	19.5.10.
589	神鶏も羽抜けとなりし谷保天神	羽抜鶏	夏	19.5.10.
590	箱庭に遠き昭和の人の影	箱庭	夏	19.5.11.
591	箱庭のセピアに変る日暮れかな	箱庭	夏	19.5.11.
592	箱庭に古き昭和の時流る	箱庭	夏	19.5.11.
593	箱庭の大路を走るダットサン	箱庭	夏	19.5.11.
594	箱庭に寂寥走る日暮れかな	箱庭	夏	19.5.11.
595	箱庭や竹馬の子と放ち鶏	箱庭	夏	19.5.11.
596	箱庭の時を止めたる昭和かな	箱庭	夏	19.5.11.
597	箱庭に漱石がゐて虚子がゐて	箱庭	夏	19.5.11.
598	箱庭にセピアの昭和懐かしむ	箱庭	夏	19.5.11.
599	箱庭のセピアに染まる日暮れかな	箱庭	夏	19.5.11.
600	箱庭の人影伸びる日暮れかな	箱庭	夏	19.5.11.
601	箱庭や昭和懐かし街造り	箱庭	夏	19.5.11..
602	箱庭をリアルにしたる入日かな	箱庭	夏	19.5.11..
603	箱庭に漱石がゐて子規がゐて	箱庭	夏	19.5.11..
604	箱庭にミゼット走る昭和かな	箱庭	夏	19.5.11..
605	箱庭に右書き並ぶ街看板	箱庭	夏	19.5.11.
606	箱庭の釣師糸垂れ夜を明かす	箱庭	夏	19.5.11.
607	箱庭に孫が走らすNゲージ	箱庭	夏	19.5.11.
608	荒梅雨や番屋にぎやか昼の酒	荒梅雨	夏	19.5.12.
609	梅雨蕭々梅の新酒の味見する	梅雨	夏	19.5.12.
610	青梅雨や御苑の緑いや増せり	青梅雨	夏	19.5.12.
611	どぶろくを茶碗であおる梅雨番屋	梅雨	夏	19.5.12.
612	青梅雨や敢へて浸かりし露天風呂	青梅雨	夏	19.5.12.
613	青梅雨に山波烟る露天風呂	青梅雨	夏	19.5.12.
614	青梅雨や払子の瀧の白けむり	青梅雨	夏	19.5.12.
615	鉢物に勝手生えなり梅雨茸	梅雨茸	夏	19.5.12.
616	六地蔵並ぶがごとく梅雨茸	梅雨茸	夏	19.5.12.
617	梅雨茸生えて吉凶問ひにけり	梅雨茸	夏	19.5.12.
618	梅雨茸生えて吉凶かと思ふ	梅雨茸	夏	19.5.12.
619	夏蕨爪黒くして摘みにけり	夏蕨	夏	19.5.12.
620	ぽきぽきと爪先で摘む夏蕨	夏蕨	夏	19.5.12.
621	夏蕨なぞへを上へ競ひ摘む	夏蕨	夏	19.5.12.
622	摘むうちに互いに競ふ夏蕨	夏蕨	夏	19.5.12.
623	かくれんぼする子はをらず麦の秋	麦の秋	夏	19.5.13.
624	麦秋や赤いバイクの郵便夫	麦秋	夏	19.5.13.
625	放棄田の目立つ山里麦の秋	麦の秋	夏	19.5.13.
626	水道を行き交う船や麦の秋	麦の秋	夏	19.5.13.
627	十秒を切るアスリート麦の秋	麦の秋	夏	19.5.13.
628	空海と同行二人麦の秋	麦の秋	夏	19.5.13.
629	白装束すたすたと行く麦の秋	麦の秋	夏	19.5.13.
630	列島から姿消し行く麦の秋	麦の秋	夏	19.5.13.
631	ワイナリー三種試飲の麦の秋	麦の秋	夏	19.5.13.
632	初恋の少年少女麦の秋	麦の秋	夏	19.5.13.
633	悠然と鳶が輪を描く麦の秋	麦の秋	夏	19.5.13.
634	きりきりと冷えしが旨し麦の秋	麦の秋	夏	19.5.13.
635	コンバイン唸りを上げる麦の秋	麦の秋	夏	19.5.13.
636	薬缶から番茶ぐい飲み麦の秋	麦の秋	夏	19.5.13.
637	単車両エンジン吹かす麦の秋	麦の秋	夏	19.5.13.
638	麦わら帽子被りし農夫麦の秋	麦の秋	夏	19.5.13.
639	うどん県讃岐平野は麦の秋	麦の秋	夏	19.5.13.
640	能登瓦日を照り返す麦の秋	麦の秋	夏	19.5.13.
641	音ひそと丑三つ時の冷蔵庫	冷蔵庫	夏	19.5.14.
642	夜の厨寝ずの番する冷蔵庫	冷蔵庫	夏	19.5.14.
643	夜の厨不眠不休の冷蔵庫	冷蔵庫	夏	19.5.14.
644	冷蔵庫野菜の横に白ワイン	冷蔵庫	夏	19.5.14.
645	背を向けしとたんに唸る冷蔵庫	冷蔵庫	夏	19.5.14.
646	がたがたと何を怒るか冷蔵庫	冷蔵庫	夏	19.5.14.
647	妻のメモ見つつ開け閉め冷蔵庫	冷蔵庫	夏	19.5.14.
648	浜埋めて黒一色の昆布干し	昆布干し	夏	19.5.14.
649	刈り取りし昆布艶やか深緑	昆布刈る	夏	19.5.14.
650	一斉に昆布刈る日の出船かな	昆布刈る	夏	19.5.14.
651	幅広の昆布刈り取る力業	昆布刈る	夏	19.5.14.
652	どの舟も競ひ手繰りし昆布刈り	昆布刈る	夏	19.5.14.
653	喫水線たちまち上がる昆布刈り	昆布刈る	夏	19.5.14.
654	サイレンにスタートダッシュ昆布舟	昆布刈る	夏	19.5.14.
655	岩礁を囲み始まる昆布刈り	昆布刈る	夏	19.5.14.
656	関取のまわしの如き昆布刈る	昆布刈る	夏	19.5.14.
657	卯の花や三日続きの雨しずく	卯の花	夏	19.5.45.
658	人影に灯る門灯花空木	花空木	夏	19.5.14.
659	急流を下るカヌーや花空木	花空木	夏	19.5.14.
660	神社背に小さきチャペル花空木	花空木	夏	19.5.14.
661	雨しずく消えて香の立つ花空木	花空木	夏	19.5.14.
662	卯の花や赤いバイクの郵便夫	卯の花	夏	19.5.15.
663	卯の花の垣香しき民家園	卯の花	夏	19.5.15.
664	卯の花や鯉の水吐く音高し	卯の花	夏	19.5.15.
665	卯の花や鯉が音立て水吐きぬ	卯の花	夏	19.5.15.
666	卯の花の垣擦るかに荒川線	卯の花	夏	19.5.15.
667	さくらんぼ赤いダイヤの名は古りず	さくらんぼ	夏	19.5.15.
668	割当てはいつも一桁さくらんぼ	さくらんぼ	夏	19.5.15.
669	硝子器に赤き光のさくらんぼ	さくらんぼ	夏	19.5.15.
670	クール便うやうやしくもさくらんぼ	さくらんぼ	夏	19.5.56.
671	桜並木踏みしだかれしさくらんぼ	さくらんぼ	夏	19.5.15.
672	むしゃむしゃと一度食べたきさくらんぼ	さくらんぼ	夏	19.5.15.
673	さくらんぼと言へば缶詰幼き日	さくらんぼ	夏	19.5.56.
674	同じ数分けていただくさくらんぼ	さくらんぼ	夏	19.5.15.
675	山形の神々しくなるさくらんぼ	さくらんぼ	夏	19.5.15.
676	一粒ごとありがたく食むさくらんぼ	さくらんぼ	夏	19.5.15.
677	宅配も両手で渡すさくらんぼ	さくらんぼ	夏	19.5.15.
678	山寺に芭蕉偲びてさくらんぼ	さくらんぼ	夏	19.5.15.
679	箱横にできぬ土産のさくらんぼ	さくらんぼ	夏	19.5.15.
680	手から手にうやうやしくもさくらんぼ	さくらんぼ	夏	19.5.15.
681	古里の納税返しさくらんぼ	さくらんぼ	夏	19.5.15.
682	一撃で筍を掘る手練かな	筍	夏	19.5.16.
683	父の日と呟くだけで空々し	父の日	夏	19.5.16.
684	父の日の付け足しめきて影薄し	父の日	夏	19.5.16.
685	娘らから父の日の酒届きけり	父の日	夏	19.5.16.
686	父の日や親父の齢を二十越ゆ	父の日	夏	19.5.16.
687	酒届くだけの父の日さて呑むか	父の日	夏	19.5.16.
688	父の日や不満なぞなし独り酒	父の日	夏	19.5.16.
689	父の日や妻驚かすおおくしゃみ	父の日	夏	19.5.16.
690	父の日や孫から見れば爺の日	父の日	夏	19.5.16.
691	庭木の葉一枚ごとに雨蛙	雨蛙	夏	19.5.16.
692	ゴムまりで三角ベース青蛙	青蛙	夏	19.5.16.
693	青蛙ポケットから出し遊んだ日	青蛙	夏	19.5.16.
694	青蛙夜道に響く大合唱	青蛙	夏	19.5.16.
695	星空を映す田水や夏蛙	夏蛙	夏	19.5.16.
696	精巧な動くおもちゃや青蛙	青蛙	夏	19.5.16.
697	青嵐逆立ちで見る逆さ富士	青嵐	夏	19.5.17.
698	会釈され会釈を返す青嵐	青嵐	夏	19.5.17.
699	寸鉄も帯びぬ駿馬や青嵐	青嵐	夏	19.5.17.
700	全裸よし牧の駿馬や青嵐	青嵐	夏	19.5.17.
701	身一つの牧の駿馬や青嵐	青嵐	夏	19.5.17.
702	濃淡の森の緑や青嵐	青嵐	夏	19.5.17.
703	青嵐尾を立て過る野良の権	青嵐	夏	19.5.17.
704	捻る人詠む人がゐて青嵐	青嵐	夏	19.5.17.
705	タクラマカン沙漠を駆ける青嵐	青嵐	夏	19.5.17.
706	青嵐富士をぐるりと一巡り	青嵐	夏	19.5.17.
707	太平洋白波立つる青嵐	青嵐	夏	19.5.17.
708	青嵐もんしろちょうを吹き倒す	青嵐	夏春	19.5.17.
709	山川を総撫でにして青嵐	青嵐	夏	19.5.17.
710	焼きそばの露店に砂塵青嵐	青嵐	夏	19.5.17.
711	自転車を将棋倒しに青嵐	青嵐	夏	19.5.17.
712	急流を抜けるカヌーや青嵐	青嵐	夏	19.5.17.
713	母馬の乳欲る仔馬青嵐	青嵐	夏	19.5.17.
714	大楠の万葉踊る青嵐	青嵐	夏	19.5.17.
715	ぎいぎいと唸る桟橋青嵐	青嵐	夏	19.5.17.
716	青べらの釣れる突堤青嵐	青嵐	夏	19.5.17.
717	浮巣をば揺り籠めかす青嵐	青嵐	夏	19.5.17.
718	石鎚の雲を払ひて青嵐	青嵐	夏	19.5.17.
719	奥能登や植田段々海の辺へ	植田	夏	19.5.17.
720	一村を浮かべて暮るる植田かな	植田	夏	19.5.17.
721	雲速し植田に映る月の影	植田	夏	19.5.17.
722	空っぽのホテルの部屋の冷蔵庫	冷蔵庫	夏	19.5.18.
723	車のドア閉めるがごとく冷蔵庫	冷蔵庫	夏	19.5.18.
724	冷蔵庫ばたんばたんと日に何度	冷蔵庫	夏	19.5.18.
725	電源を切ることのない冷蔵庫	冷蔵庫	夏	19.5.18.
726	買った日から無休勤務の冷蔵庫	冷蔵庫	夏	19.5.18.
727	家十日空けてもオンの冷蔵庫	冷蔵庫	夏	19.5.18.
728	よく冷えたやつを取り出す冷蔵庫	冷蔵庫	夏	19.5.18.
729	製氷皿空の空しき冷蔵庫	冷蔵庫	夏	19.5.18.
730	製氷皿空で地団駄冷蔵庫	冷蔵庫	夏	19.5.18.
731	冷蔵庫開け閉め響く夕支度	冷蔵庫	夏	19.5.18.
732	膝付いて総出で畳む干昆布	昆布干し	夏	19.5.18.
733	軽やかに音立て畳む干昆布	昆布干し	夏	19.5.18.
734	卯の花の枝垂れて暗き神田川	卯の花	夏	19.5.18.
735	ぎいぎいと軋む桟橋青嵐	青嵐	夏	19.5.18.
736	蜩や豆腐屋の吹くトテラッパ	蜩	秋	19.5.19.
737	実桜の気にせず踏まる並木道	実桜	夏	19.5.19.
738	口に入れすぐ吐き出さる桜の実	実桜	夏	19.5.19.
739	世話せぬに狭庭に優し花うばら	花茨	夏	19.5.19.
740	新しき枝葉伸びのび濃紫陽花	紫陽花	夏	19.5.19.
741	熱帯魚脅して開く水中花	水中花	夏	19.5.19.
742	山峡の日暮れ数増す河鹿笛	河鹿笛	夏	19.5.19.
743	宿の窓開ければ恋の河鹿笛	河鹿笛	夏	19.5.19.
744	無農薬では済まされじ夜盗虫	夜盗虫	夏	19.5.19.
745	朝採りのたびに地団駄夜盗虫	夜盗虫	夏	19.5.19.
746	母が子の命託せし落し文	落し文	夏	19.5.19.
747	回る日を念じて咲くや風車草	風車	夏	19.5.19.
748	坂道を知らず暮らすに水馬	水馬	夏	19.5.19.
749	生れ出てまず斧かざす子かまきり	かまきり	夏	19.5.19.
750	ががんぼや破れかぶれの平和主義	ががんぼ	夏	19.5.19.
751	大なぞへ田水引き終ふ千枚田	田水引く	夏	19.5.19.
752	田水引き千枚の田に千の月	田水引く	夏	19.5.19.
753	千枚田田水引き終え千の月	田水引く	夏	19.5.19.
754	千枚の植田に浮かぶ千の月	植田	夏	19.5.19.
755	還暦を過ぎて矍鑠天草海女	天草海女	夏	19.5.19.
756	孫持ちの揃ひ踏みなり天草海女	天草海女	夏	19.5.19.
757	どこ見ても水満々の植田かな	植田	夏	19.5.19.
758	水生の昆虫はしゃぐ植田かな	植田	夏	19.5.19.
759	よき電話ありて揺れをり芥子の花	芥子の花	夏	19.5.20.
760	飛び火なり狭庭に芥子の花二輪	芥子の花	夏	19.5.20.
761	禁制の野芥子咲きをり告げず過ぐ	芥子の花	夏	19.5.20.
762	罌粟咲けり剃り跡青き修行僧	罌粟の花	夏	19.5.20.
763	弁財天胸ふくよかに芥子の花	芥子の花	夏	19.5.20.
764	大川のプロムナードに罌粟の花	罌粟の花	夏	19.5.20.
765	大川の岸辺打つ波罌粟の花	罌粟の花	夏	19.5.20.
766	アスファルト舗装の隙間芥子の花	芥子の花	夏	19.5.20.
767	国技館幟はためき罌粟の花	罌粟の花	夏	19.5.20.
768	雑草に混り朱色の芥子の花	芥子の花	夏	19.5.20.
769	列島に朱色目立たす芥子の花	芥子の花	夏	19.5.20.
770	野に咲ける芥子に混ざりし禁制種	芥子の花	夏	19.5.20.
771	鴎外の墓に尻向け桜桃忌	桜桃忌	夏	19.5.20.
772	黒生の缶確かめる冷蔵庫	冷蔵庫	夏	19.5.21.
773	夜の厨ひそとハミング冷蔵庫	冷蔵庫	夏	19.5.21.
774	妻の留守つまみを探す冷蔵庫	冷蔵庫	夏	19.5.21.
775	冷蔵庫早く閉めろの警告音	冷蔵庫	夏	19.5.21.
776	ちまちまと漢も匙で水羊羹	水羊羹	夏	19.5.21.
777	黒文字で切り取りつ食む水羊羹	水羊羹	夏	19.5.21.
778	初恋の二人が食みし水羊羹	水羊羹	夏	19.5.21.
769	涼しさを舌に載せたる水羊羹	水羊羹	夏	19.5.21.
780	呑兵衛も食はぬ由なし水羊羹	水羊羹	夏	19.5.21.
781	白玉のぜんざい食みし初デート	白玉	夏	19.5.21.
782	ネクタイを緩め蜜豆食む漢	蜜豆	夏	19.5.21.
783	辛子効かせ漢の啜る心太	心太	夏	19.5.21.
784	紫陽花のひと葉ひと葉に青蛙	青蛙	夏	19.5.21.
785	紫陽花の一葉ごと占め青蛙	青蛙	夏	19.5.21.
786	紫陽花の葉毎に蹲踞青蛙	青蛙	夏	19.5.21.
787	ビル群も富士も黒焦げ大夕焼	大夕焼	夏	19.5.21.
788	草野球終えて家路の大夕焼け	大夕焼	夏	19.5.21.
789	かき揚げのうどん啜れば橡の花	橡の花	夏	19.5.22.
790	見下すを嫌ふ泰山木の花	泰山木の花	夏	19.5.22.
791	雲速しひたと見据える朴の花	朴の花	夏	19.5.22.
792	天仰ぎ地を顧みぬ朴の花	朴の花	夏	19.5.22.
793	落花して地の在るを知る朴の花	朴の花	夏	19.5.22.
794	泰山木蓮の台のごとく咲く	泰山木の花	夏	19.5.22.
795	秩父路や白くっきりと山法師	山法師	夏	19.5.22.
796	山道の開けて眩し山法師	山法師	夏	19.5.22.
797	藪漕ぎの天女花（おほやまれんげ）牙剥けり	大山蓮華	夏	19.5.22.
798	大でまり枝を揺すれば弾みけり	おほでまり	夏	19.5.22.
799	なんとなく撫でて過りぬ大でまり	おほでまり	夏	19.5.22.
800	荒川線垣根の薔薇を揺すり行く	薔薇	夏	19.5.22.
801	桜の実ふふみて吐く子戸惑ふ子	桜の実	夏	19.5.23.
802	雅なる名を付けられし薔薇百花	薔薇	夏	19.5.23.
803	高貴あり妖艶ありて薔薇繚乱	薔薇	夏	19.5.23.
804	長谷寺や百妃千妃の牡丹咲く	牡丹	夏	19.5.23.
805	牡丹を振り分け長谷の屋根の磴	牡丹	夏	19.5.23.
806	シシュポスの神話懐かし鳥帰る	鳥帰る	春	19.5.23.
807	迷ふ道なき大空を鳥帰る	鳥帰る	春	19.5.23.
808	裸の子尻に懐かし蒙古班	裸	夏	19.5.23.
809	ちんちんの先つぼませて裸の子	裸	夏	19.5.23.
810	青蛙地を這ううちに地の色に	青蛙	夏	19.5.23.
811	白壁の土蔵見下ろす桐の花	桐の花	夏	19.5.23.
812	父の日や父の齢越え二十年	父の日	夏	19.5.24.
813	父の日や父ファーストは許されず	父の日	夏	19.5.24.
814	父の日の影薄けれど酒届く	父の日	夏	19.5.24.
815	父の日も変わりはなしに独り酒	父の日	夏	19.5.24.
816	父の日と言ふ曖昧さ独り酒	父の日	夏	19.5.24.
817	父の日や都電荒川線に乗る	父の日	夏	19.5.24.
818	父の日や深きを流る神田川	父の日	夏	19.5.24.
819	父の日の酒が届きて酒を呑む	父の日	夏	19.5.24.
820	雨蛙葉に飛び乗れば青蛙	青蛙	夏	19.5.24.
821	飛び込めば水色となる雨蛙	雨蛙	夏	19.5.24.
822	紫陽花の葉と色合す雨蛙	雨蛙	夏	19.5.24.
823	地を這へば地の色に化け雨蛙	雨蛙	夏	19.5.24.
824	雨蛙色を変へ分け世を渡る	雨蛙	夏	19.5.24.
825	ケロちゃんは葉っぱの上の青蛙	青蛙	夏	19.5.24.
826	卯の花の垣を撫で行く荒川線	卯の花	夏	19.5.24.
827	卯の花の垣根撫で行く荒川線	卯の花	夏	19.5.25.
828	美醜とはつくづく思ふ蝦蟇の面	蝦蟇（がま）	夏	19.5.25.
829	大口で過る虫食ふ蝦蟇の根	蝦蟇	夏	19.5.25.
830	無愛想な面でまぐはふ蟾蜍おかし	蟾蜍（ひきがえる）	夏	19.5.25.
831	蝦蟇の眼に映る醜き人の影	蝦蟇	夏	19.5.25.
832	首の無き自由不自由蟾蜍	蟾蜍	夏	19.5.25.
833	喜怒哀楽やはりあるらし蟾蜍	蟾蜍	夏	19.5.25.
834	蹲踞して人の世眺む蟾蜍	蟾蜍	夏	19.5.25.
835	蹲踞せし蟇を蹲踞で眺める子	蟇	夏	19.5.25.
836	ショートパンツ太腿白き乙女たち	ショートパンツ	夏	19.5.25.
837	路地裏をせばめて咲けり額の花	額の花	夏	19.5.25.
838	雨降ればひと際映ゆる濃紫陽花	濃紫陽花	夏	19.5.25.
839	雨を呼びひと際映ゆる濃紫陽花	濃紫陽花	夏	19.5.25.
840	蹲踞せし蟾を眺める蹲踞の子	蟾蜍	夏	19.5.25.
841	蹲踞せし蟾を見つめる蹲踞の子	蟾蜍	夏	19.5.25.
842	朝まだき庭に降りればさぼてん花	花さぼてん	夏	19.5.25.
843	虎の尾の斜に伸びて咲くさぼてん花	花さぼてん	夏	19.5.25.
844	楊貴妃も会釈するかにさぼてん花	花さぼてん	夏	19.5.25.
845	さぼてんの針山百花咲き揃ふ	花さぼてん	夏	19.5.25.
846	咲き揃ひ揃ひて萎るさぼてん花	花さぼてん	夏	19.5.25.
847	毛むくじゃら男に美女やさぼてん花	花さぼてん	夏	19.5.25.
848	針山に伸びる虎の尾さぼてん花	花さぼてん	夏	19.5.25.
849	一日に妍を競ひしさぼてん花	花さぼてん	夏	19.5.25.
850	さぼてんの一日を咲き咲き終えり	花さぼてん	夏	19.5.25.
851	さぼてんの花の命や死の匂ひ	花さぼてん	夏	19.5.25.
852	さぼてんの咲けば萎るる夕べかな	花さぼてん	夏	19.5.25.
853	さぼてんの花に咲く日の幸不幸	花さぼてん	夏	19.5.25.
854	さぼてんの咲くは一日死の長し	花さぼてん	夏	19.5.25.
855	一日の妍を競ひてさぼてん花	花さぼてん	夏	19.5.26.
856	一日の生と死を見せさぼてん花	花さぼてん	夏	19.5.26.
857	柄を伸ばしさぼてんの花揃ひ咲く	花さぼてん	夏	19.5.26.
858	さぼてんの花咲き切って萎みけり	花さぼてん	夏	19.5.26.
859	一日を咲き揃浸る花さぼてん	花さぼてん	夏	19.5.26.
860	萎むためひと日を咲くか花さぼてん	花さぼてん	夏	19.5.26.
861	針山の長き柄に咲く花さぼてん	花さぼてん	夏	19.5.26.
862	いっせいに咲き萎みたる花さぼてん	花さぼてん	夏	19.5.26.
863	さぼてんの花嫋やかに咲き揃ふ	花さぼてん	夏	19.5.26.
864	薄紅の色嫋やかに花さぼてん	花さぼてん	夏	19.5.26.
865	風呼んではにかむごとく花さぼてん	花さぼてん	夏	19.5.26.
866	嫋々と針山に咲く花さぼてん	花さぼてん	夏	19.5.26.
867	針山に上場と咲く花さぼてん	花さぼてん	夏	19.5.26.
868	今年また咲ひたと電話花さぼてん	花さぼてん	夏	19.5.26.
869	一日を咲き切り萎る花さぼてん	花さぼてん	夏	19.5.26.
870	でで虫となめくぢほたとすれ違ふ	蝸牛・なめくじ	夏	19.5.26.
871	同じ葉に載るでで虫となめくぢり	蝸牛・なめくじ	夏	19.5.26.
872	でで虫となめくぢやあとすれ違ふ	蝸牛・なめくじ	夏	19.5.27.
873	木道の視野広々と水芭蕉	水芭蕉	夏	19.5.27.
874	水芭蕉木道を行くボッカかな	水芭蕉	夏	19.5.27.
875	せせらぎの音は聞こえず水芭蕉	水芭蕉	夏	19.5.27.
876	どこまでも木の道続き水芭蕉	水芭蕉	夏	19.5.27.
877	木道を人行き交いて水芭蕉	水芭蕉	夏	19.5.27.
878	這松の凹みしところ水芭蕉	水芭蕉	夏	19.5.27.
879	這松の山路の水場水芭蕉	水芭蕉	夏	19.5.27.
880	這松の山路に二輪水芭蕉	水芭蕉	夏	19.5.27.
881	水湧きしガレ場にみやび水芭蕉	水芭蕉	夏	19.5.27.
882	木道に死の影はなし水芭蕉	水芭蕉	夏	19.5.27.
883	髭の濃きボッカの影や水芭蕉	水芭蕉	夏	19.5.27.
884	水芭蕉左右に分けてボッカ行く	水芭蕉	夏	19.5.27.
885	ボッカをば先に通して水芭蕉	水芭蕉	夏	19.5.27.
886	ボッカ行く木道分けて水芭蕉	水芭蕉	夏	19.5.27.
887	木道のスマホの自撮り水芭蕉	水芭蕉	夏	19.5.27.
888	峪深し吊り橋揺れて遠郭公	郭公	夏	19.5.28.
889	老鶯や捨て畑多き里の道	老鶯	夏	19.5.28.
890	久々に豆飯の膳母の味	豆飯	夏	19.5.28.
891	一汁に一菜でよし豆の飯	豆飯	夏	19.5.28.
892	空豆の熱々あてに独り酒	空豆	夏	19.5.28.
893	空豆は熱々がよし独り酒	空豆	夏	19.5.28.
894	突出しは青瑞々しはじき豆	はじき豆（＝空豆）	夏	19.5.28.
895	鉄網の囲ひ二重に罌粟大輪	罌粟の花	夏	19.5.28.
896	物知りの紙魚走りたる大百科	紙魚	夏	19.5.28.
897	紙魚走る四十八手の和綴じ本	紙魚	夏	19.5.28.
898	里道や紫煙たなびく花樗（あふち）	樗の花	夏	19.5.28.
899	稀覯本紙魚はおまけと古書店主	紙魚	夏	19.5.28.
900	花屑を百日散らしさるすべり	百日紅	夏	19.5.28.
901	紫陽花の雨潜るたび鮮やかに	紫陽花	夏	19.5.28.
902	雨を呼び雨に遊ぶや濃紫陽花	紫陽花	夏	19.5.28.
903	娘らも初老となりぬ額の花	紫陽花	夏	19.5.28.
904	雨無くも色鮮やかに濃紫陽花	紫陽花	夏	19.5.28.
905	蹲踞せし蟾を蹲踞で見つめる子	蟾蜍	夏	19.5.29.
906	風を呼び葉をそよがせる青田かな	青田	夏	19.5.29.
907	水の香の確かにありぬ青田道	青田	夏	19.5.29.
908	青田一枚縄張りのごと鷺佇立	青田	夏	19.5.29.
909	千枚田海へと走る青田風	青田風	夏	19.5.29.
910	風呼んで踊りつ育つ青田かな	青田	夏	19.5.29.
911	青田風吹き来る道や深呼吸	青田風	夏	19.5.29.
912	青田風心地よく吹き深呼吸	青田風	夏	19.5.29.
913	青田風ディーゼルカーに道譲る	青田風	夏	19.5.29.
914	そよ風に守られ育つ青田かな	青田	夏	19.5.29.
915	風の道教へてくれる青田かな	青田	夏	19.5.29.
916	手の届く高さから捥ぐ実梅かな	実梅	夏	19.5.30.
917	青梅のずしりと重きレジ袋	青梅	夏	19.5.30.
918	青梅や厨に並ぶガラス瓶	青梅	夏	19.5.30.
919	聞き耳を立てて河鹿の声を聴く（秋川吟行）	河鹿	夏	19.5.30.
920	轟々の瀬音に混じる河鹿笛	河鹿笛	夏	19.5.30.
921	渓流をまたぐ吊り橋河鹿聴く	河鹿笛	夏	19.5.30.
922	渓流の瀬音と競ふ河鹿笛	河鹿笛	夏	19.5.30.
923	日の盛り恋の喉研ぐ河鹿かな	河鹿	夏	19.5.30.
924	老鶯にいざなはれ来ぬ禅の寺	老鶯	夏	19.5.30.
925	警策を背にいただいて若葉風	若葉風	夏	19.5.30.
926	山峡の禅寺の黙山法師	山法師	夏	19.5.30.
927	桑の実の黒きをふふみ舌紅し	桑の実	夏	19.5.30.
928	座禅堂沈思の耳に河鹿笛	河鹿笛	夏	19.5.31.
929	座禅堂そよろの風に河鹿聴く	河鹿	夏	19.5.31.
930	渓流の瀬音に混じる河鹿笛	河鹿笛	夏	19.5.31.
931	座禅堂川瀬に混じる河鹿笛	河鹿笛	夏	19.5.31.
932	花栗の重き香を抜け座禅堂	花栗	夏	19.5.31.
933	山峡に重き香ありぬ栗の花	栗の花	夏	19.5.31.
934	放下説く座禅の僧や栗の花	栗の花	夏	19.5.31.
935	座禅堂放下の耳に河鹿聴く	河鹿	夏	19.5.31.
936	煩悩の多き青春栗の花	栗の花	夏	19.5.31.
937	日の暮れて匂ひ増すかに栗の花	栗の花	夏	19.5.31.
938	ふつふつと滾る青春栗の花	栗の花	夏	19.5.31.
939	禅堂に喝の一文字栗の花	栗の花	夏	19.5.31.
940	ひらひらと舞ひて納める竹落葉	竹落葉	夏	19.5.31.
941	座禅堂放下の耳に河鹿聴く	河鹿	夏	19.5.31.
942	座禅堂放下の耳に河鹿笛	河鹿笛	夏	19.5.31.
943	座禅堂結跏趺坐して河鹿聴く	河鹿	夏	19.5.31.
944	渓流に恋の喉研ぐ河鹿かな	河鹿	夏	19.5.31.
945	渓流に恋の笛吹く河鹿かな	河鹿	夏	19.5.31.
946	白波にサーファーの舞ふ青嵐	青嵐	夏	19.6.1.
947	音秘めて丑三つ時の冷蔵庫	冷蔵庫	夏	19.6.1.
948	ぎいぎいと軋む桟橋青嵐	青嵐	夏	19.6.1.
949	呑み直すあて物色の冷蔵庫	冷蔵庫	夏	19.6.1.
950	寝そびれてあて物色の冷蔵庫	冷蔵庫	夏	19.6.1.
951	丑三つ時ひそとハミング冷蔵庫	冷蔵庫	夏	19.6.1.
952	丑三つ時ハミングしをり冷蔵庫	冷蔵庫	夏	19.6.1.
953	丑三つにハミング聞こゆ冷蔵庫	冷蔵庫	夏	19.6.1.
954	ぎいぎいと桟橋軋む青嵐	青嵐	夏	19.6.1.
955	老鶯の鳴き音うれしき九十九折	老鶯	夏	19.6.1.
956	老鶯の正調楽し九十九折	老鶯	夏	19.6.1.
957	老鶯を道案内に峪を行く	老鶯	夏	19.6.1.
958	老鶯を道案内に峪渡る	老鶯	夏	19.6.1.
959	老鶯の語りかけ来る座禅堂	老鶯	夏	19.6.1.
960	老鶯の語りかけ来る九十九折	老鶯	夏	19.6.1.
961	老鶯や警策響く座禅堂	老鶯	夏	19.6.1.
962	大皿に鰹のたたき土佐を食ふ	鰹	夏	19.6.2.
963	さあ食えと鰹のたたき大皿に	鰹	夏	19.6.2.
964	はちきんも車座に入り鰹食ふ	鰹	夏	19.6.2.
965	一本釣り空に弧を描く鰹かな	鰹	夏	19.6.2.
966	初鰹皿鉢のたたき食む宴	鰹	夏	19.6.2.
967	炙られし厚き切り身の鰹食ふ	鰹	夏	19.6.2.
968	初鰹どれも小太り糶られけり	鰹	夏	19.6.2.
969	糶り人の濁声響く初鰹	鰹	夏	19.6.2.
970	土佐の宿皿鉢で出し初鰹	鰹	夏	19.6.2.
971	声高に皿鉢の鰹食む宴	鰹	夏	19.6.2.
972	喫水線上げて帰港の鰹船	鰹	夏	19.6.2.
973	大皿の鰹に似合ふ男箸	鰹	夏	19.6.2.
974	長谷寺は百妃千妃の牡丹かな	鰹	夏	19.6.2.
975	滴りに苔むす石となりにけり	鰹	夏	19.6.2.
976	卯の花腐し重箱の隅つつくかに選句評	卯の花腐し	夏	19.6.3.
977	卯の花や水白粉を塗る舞妓	卯の花	夏	19.6.3.
978	悠久の時を滴る鍾乳洞	滴り	夏	19.6.3.
979	悠久を刻む滴り鍾乳洞	滴り	夏	19.6.3.
980	悠久を刻む滴り秋芳洞	滴り	夏	19.6.3.
981	青梅の尻美しき蒙古班	青梅	夏	19.6.3.
982	どれもみな尻美しき実梅かな	実梅	夏	19.6.3.
983	脚立立て尻美しき実梅捥ぐ	実梅	夏	19.6.3.
984	青梅の緑のジャムの朝餉かな	青梅	夏	19.6.3.
985	土佐造り鰹のたたき食む夕餉	鰹	夏	19.6.3.
986	大漁旗なびかせ帰港鰹船	鰹	夏	19.6.4.
987	鰹船鴎引き連れ帰り来ぬ	鰹	夏	19.6.4.
988	大漁に船足重き鰹船	鰹	夏	19.6.4.
989	犇めける皿鉢の鰹土佐造り	鰹	夏	19.6.4.
990	はちきんも加わる宴初鰹	鰹	夏	19.6.4.
991	川石の苔に食み跡鮎上る	鮎	夏	19.6.4.
992	空を切る一本釣りの鰹かな	鰹	夏	19.6.4.
993	海面を埋めし鰹の一本釣り	鰹	夏	19.6.4.
994	土佐造り腹一杯に鰹食む	鰹	夏	19.6.4.
995	江戸っ子に皿鉢の鰹食はす夢	鰹	夏	19.6.4.
996	青梅の捥ぎどき伝え落ち初む	青梅	夏	19.6.4.
997	滴りを両の手に受く山路かな	滴り	夏	19.6.4.
998	女房を質に入れずに初鰹	鰹	夏	19.6.4.
999	豪快に皿鉢の鰹食む宴	鰹	夏	19.6.4.
1000	放物線描き釣らるる鰹かな	鰹	夏	19.6.4.

♪BGM:［Arabesque］arrangedbyPian♪


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