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鈴童の遊び

1	端にきて尺取可笑し徒手空拳	尺取虫	夏	17.5.5.
2	徒手空拳演じ尺取笑はせる	尺取虫	夏	17.5.5.
3	尺取やくの字くの字はお家芸	尺取虫	夏	17.5.5.
4	尺蠖のくの字で渡る世間かな	尺蠖(=尺取虫）	夏	17.5.6.
5	尺蠖の空を掴んで大慌て	尺蠖	夏	17.5.6.
6	尺蠖や空を掴んでさていかに	尺蠖	夏	17.5.6.
7	尺蠖のくの字で走る速さかな	尺蠖	夏	17.5.6.
8	尺蠖の巧みに渡る地雷原	尺蠖	夏	17.5.6.
9	尺蠖のさあ困ったと宙撫でる	尺蠖	夏	17.5.6.
10	枝先で尺蠖宙を撫でてをり	尺蠖	夏	17.5.6.
11	尺蠖は剽軽族の旗頭	尺蠖	夏	17.5.6.
12	尺蠖は剽軽族の血筋かな	尺蠖	夏	17.5.6.
13	尺蠖の棒立ちでつぐ一呼吸	尺蠖	夏	17.5.6.
14	尺蠖に列島測る大志あり	尺蠖	夏	17.5.6.
15	棒立ちの尺蠖これは逆立ちか	尺蠖	夏	17.5.6.
16	花植うる狭き庭ありすみれ草	菫	春	17.5.6.
17	長谷寺の長き石廊つばめ飛ぶ	燕	春	17.5.7.
18	水跳ねて子らずぶ濡れの夏の川	夏の川	夏	17.5.7.
19	膝捲り中州へ渡る夏の川	夏の川	夏	17.5.7.
20	調教の犬犬かきで夏の川	夏の川	夏	17.5.7.
21	夏の川やはり犬かき調教犬	夏の川	夏	17.5.7.
22	雪渓に響くせせらぎ日は真上	雪渓	夏	17.5.7.
23	列島を黄粉まぶしに黄砂降る	黄砂	夏	17.5.7.
24	Ｔシャツを濡らしキー打つ薄暑かな	薄暑	夏	17.5.7.
25	ノーブラが胸張って行く薄暑かな	薄暑	夏	17.5.7.
26	ノーブラの胸弾みゐる薄暑かな	薄暑	夏	17.5.7.
27	讃岐路や地場の粉になる麦の秋	薄暑	夏	17.5.7.
28	幕末を生きし浪士や樟若葉	樟若葉	夏	17.5.8.
29	スマホ手にバス待つ列や若葉風	若葉風	夏	17.5.8.
30	朱の眩し鳥居千本樟若葉	樟若葉	夏	17.5.8.
31	トトロの森隠沼光る樹の茂り	茂り	夏	17.5.8.
32	日の眩し季節となりぬ胡麻の花	胡麻の花	夏	17.5.8.
33	土白く乾きし畑の胡麻の花	胡麻の花	夏	17.5.8.
34	昼告げるサイレン鳴りぬ胡麻の花	胡麻の花	夏	17.5.8.
35	土ぼこり上がる山畑胡麻の花	胡麻の花	夏	17.5.8.
36	胡麻の花一茎手折り花活けに	胡麻の花	夏	17.5.8.
37	胡麻咲きし干天の畑土ぼこり	胡麻の花	夏	17.5.8.
38	三日見ぬ畑のをちこち滑莧（すべりひゆ）	滑莧	夏	17.5.8.
39	畑荒らす滑莧食む夕餉かな	滑莧	夏	17.5.8.
40	麦笛を吹いてすぐ飽きかくれんぼ	麦笛	夏	17.5.8.
41	麦笛を吹いて空襲体験談	麦笛	夏	17.5.8.
42	麦笛を吹き続けたる初デート	麦笛	夏	17.5.8.
43	母の日や宅急便でカーネーション	母の日	夏	17.5.8.
44	母の日や墓前に白きカーネーション	母の日	夏	17.5.8.
45	箱庭の路地の駄菓子屋もんじゃ焼き	箱庭	夏	17.5.8.
46	薫風や多情多感な仏たち	薫風	夏	17.5.9.
47	春愁ひ多情多感な仏たち	春愁ひ	春	17.5.9.
48	初夏の天高く舞ふ鳶の影	初夏	夏	17.5.9.
49	初夏の天高く舞ふ鳶一羽	初夏	夏	17.5.9.
50	初夏や鳶悠然と空を舞ふ	初夏	夏	17.5.9.
51	虹かかる富士を遠見にモノレール	虹	夏	17.5.9.
52	農小屋の屋根打つ雹の姦しき	雹	夏	17.5.9.
53	ぴょんぴょんと舗石に跳ねる霰かな	霰	夏	17.5.9.
54	明け七つ（午前四時）鳥鳴き初むる夏の朝	夏の朝	夏	17.5.9.
55	燕の子餌欲る声や明け七つ	燕の子	夏	17.5.9.
56	さやさやと葉擦れの音や麦の秋	麦秋	夏	17.5.9.
57	予讃線車窓に眩し麦の秋	麦秋	夏	17.5.9.
58	熊蜂やメタボ支えてホバリング	熊蜂	春	17.5.9.
59	風呼んで花を踊らす針えんじゅ	針槐	夏	17.5.9.
60	仄暗きなぞへにひそと咲く金蘭	金蘭	夏	17.5.9.
61	湧水の社前に肩寄せ猫の目草			17.5.9.
62	伽藍の軒飾る夢あり宝鐸草	宝鐸草	夏	17.5.9.
63	半鐘蔓花艶やかに竹の柵	半鐘蔓	夏	17.5.9.
64	気づかずに踏まる道端のすみれかな	菫	春	17.5.9.
65	名を守り武蔵野黄菅花灯す	黄菅	夏	17.5.10.
66	武蔵野の名を誇らかに黄菅咲く	黄菅	夏	17.5.10.
67	金蘭に呼び止められしなぞえ道	金蘭	夏	17.5.10.
68	金蘭に呼び止められしなぞえかな	金蘭	夏	17.5.10.
69	杳として金蘭の見ゆ木の間陰	金蘭	夏	17.5.10.
70	紫に根方染めたる桐の花	桐の花	夏	17.5.10.
71	紫に根方を染めて桐落花	桐の花	夏	17.5.10.
72	銀蘭と寄れば十薬知らぬ顔	銀蘭・十薬	夏	17.5.10.
73	何気なく過ぎしなぞへに苔の花	苔の花	夏	17.5.10.
74	姫女苑なぞえをちこち逞しき	姫女苑	夏	17.5.10.
75	風呼んで花房踊る針えんじゅ	針槐	夏	17.5.10.
76	針槐花の天婦羅食みにけり	針槐	夏	17.5.10.
77	針槐花の天婦羅載りし卓	針槐	夏	17.5.10.
78	針えんじゅ花の天婦羅卓に載る	針槐	夏	17.5.10.
79	名を守り武蔵野黄菅花明り	黄菅	夏	17.5.10.
80	金蘭の何恥じらふや樹々の陰	金蘭	夏	17.5.10.
81	武蔵野の名を持つ黄菅花明り	黄菅	夏	17.5.11.
82	踏みしめるなぞへの小道風薫る	風薫る	夏	17.5.11.
83	炎帝を逃れ浅間山木陰	炎帝	夏	17.5.11.
84	火襷も混ざる窯出し夏は来ぬ	夏	夏	17.5.11.
85	少年の顔で麦笛吹く八十路	麦笛	夏	17.5.11.
86	鳥どちの声増えゆかば花は葉に	花は葉に	夏	17.5.11.
87	己が声忘る画眉鳥夏木立	夏木立	夏	17.5.11.
88	朝露に濡れし武蔵野黄菅かな	黄菅	夏	17.5.11.
89	浦島草日がな釣り糸垂らしをり	浦島草	夏	17.5.11.
90	三杯酢天婦羅もよし針槐	針槐	夏	17.5.11.
91	日を透かす緑すがしく若楓	若楓	夏	17.5.11.
92	母の日や供花に加えしカーネーション	母の日	夏	17.5.12.
93	新茶汲むずしりと重き楽茶碗	新茶	夏	17.5.12.
94	手び練りの重き茶碗に新茶くむ	新茶	夏	17.5.12.
95	武骨なる大き湯呑に汲む新茶	新茶	夏	17.5.12.
96	武骨なる大き湯呑に新茶汲む	新茶	夏	17.5.12.
97	新茶汲む片手に持てぬ大茶碗	新茶	夏	17.5.12.
98	パソコン閉じ冷めし新茶の喉走る	新茶	夏	17.5.12.
99	パソコン閉じ冷めし新茶の碗啜る	新茶	夏	17.5.12.
100	パソコン閉じしみじみ啜る新茶かな	新茶	夏	17.5.12.
101	新茶汲む二合は入る楽茶碗	新茶	夏	17.5.12.
102	冷めてなほ旨しと思ふ新茶かな	新茶	夏	17.5.12.
103	冷めてなほ走り茶旨し楽茶碗	走り茶	夏	17.5.12.
104	楽茶碗冷めし新茶もまた旨し	新茶	夏	17.5.12.
105	大湯呑新茶啜りつ書くコラム	新茶	夏	17.5.12.
106	楽茶碗ビールなみなみ注いで飲む	ビール	夏	17.5.12.
107	国技館夕風涼しはね太鼓	涼し	夏	17.5.13.
108	大川端夕風涼しはね太鼓	涼し	夏	17.5.13.
109	浦島草日がな糸垂れなにを釣る	浦島草	夏	17.5.13.
110	栓を抜く音ぽんぽんとラムネ売り	ラムネ	夏	17.5.13.
111	懐かしやずしりと重きラムネ瓶	ラムネ	夏	17.5.13.
112	飲み終えてからから鳴らすラムネ玉	ラムネ	夏	17.5.13.
113	駄菓子屋や冷やしラムネの大盥	ラムネ	夏	17.5.13.
114	クリムソーダ突きつ女の長話	ソーダ水	夏	17.5.13.
115	ソーダ水緑に浮かぶさくらんぼ	ソーダ水	夏	17.5.13.
116	ソーダ水飲み干し取材終りけり	ソーダ水	夏	17.5.13.
117	クリムソーダ長柄の匙でこそげつつ	ソーダ水	夏	17.5.13.
118	クリムソーダ二つ並んで初デート	ソーダ水	夏	17.5.13.
119	ビニールの裂けし日除けやシャッター街	日除け	夏	17.5.14.
120	破れ日除け人影見えぬシャッター街	日除け	夏	17.5.14.
121	エアコンのよく効く部屋や青簾	青簾	夏	17.5.14.
122	古民家の軒に懸かりし古簾	古簾	夏	17.5.14.
123	葦簀張り西日を避ける生花店	葦簀張り	夏	17.5.14.
124	無人駅蠅取リボン揺らす風	蠅取リボン	夏	17.5.14.
125	新品の蠅帳懐かし合羽橋	蠅帳	夏	17.5.14.
126	白扇に草書で書かる涼一字	白扇	夏	17.5.14.
127	代議士のぱたぱた扇ぐ扇子かな	扇子	夏	17.5.14.
128	走馬灯鳥獣戯画の絵巻物	走馬灯	夏	17.5.14.
129	ひゅうどろどろお化け尽くしの走馬灯	走馬灯	夏	17.5.14.
130	追ひかけて追ひかけられて走馬灯	走馬灯	夏	17.5.14.
131	ぶらんこを揺らして止めてスマホかな	ぶらんこ	春	17.5.15.
132	板前は女ばかりや握りずし	鮨	夏	17.5.15.
133	柿の葉を重ねつ食みぬ吉野鮨	鮨	夏	17.5.15.
134	冷し中華始めましたと長寿庵	冷し中華	夏	17.5.15.
135	冷麦を蕎麦屋で食めば冷そうめん	冷麦・冷そうめん	夏	17.5.15.
136	赤と青二筋三すじ冷や素麺	冷や素麺	夏	17.5.15.
137	冷奴だけで手酌の独り酒	冷奴	夏	17.5.15.
138	取り合へずそして終りもビールかな	ビール	夏	17.5.15.
139	鴫焼を食めば舌焼く夕餉かな	鴫焼	夏	17.5.15.
140	梅干を一つ落として湯割かな	梅干	夏	17.5.15.
141	五時までは半額うれし生ビール	ビール	夏	17.5.15.
142	焼酎を大ジョッキでやるハイボール	焼酎	夏	17.5.15.
143	かさぶたを剥がしてゐる子風薫る	風薫る	夏	17.5.15.
144	胴間声轟く恋の牛蛙	蛙	夏	17.5.15.
145	胴間声届けと恋の牛蛙	蛙	夏	17.5.15.
146	異国語の飛び交ふ三社祭かな	三社祭	夏	17.5.16.
147	倶利伽羅の絶えて三社の町神輿	三社祭	夏	17.5.16.
148	倶利伽羅の絶えて三社の荒神輿	三社祭	夏	17.5.16.
149	白も黒も混り三社の神輿ゆく	三社祭	夏	17.5.16.
150	三社さまお江戸名残りの荒神輿	三社祭	夏	17.5.16.
151	人人人人で埋まりし三社祭	三社祭	夏	17.5.16.
152	休暇取り鯔背に変る三社祭	三社祭	夏	17.5.16.
153	幼らも祭半纏三社さま	三社祭	夏	17.5.16.
154	担ぎ手の国籍多彩三社さま	三社祭	夏	17.5.16.
155	三社祭喉が渇けば神谷バー	三社祭	夏	17.5.16.
156	浅草が人で埋まる三社祭	三社祭	夏	17.5.16.
157	信心の無きも駆け付け三社祭	三社祭	夏	17.5.16.
158	浅草寺境内続き三社祭	三社祭	夏	17.5.16.
159	観音に詣で三社の荒神輿	三社祭	夏	17.5.16.
160	融通無碍神仏混淆三社祭	三社祭	夏	17.5.16.
161	花吹雪風の姿を教えけり	花吹雪	春	17.5.16.
162	牛蛙どすを効かせしラブコール	蛙	夏	17.5.16.
163	滑走路無心に過る黒揚羽	揚羽蝶	夏	17.5.16.
164	結社句会金魚の糞の一続き	金魚	夏	17.5.16.
165	手に重き楽の茶碗や麦の秋	麦の秋	夏	17.5.17.
166	壮年の風情残して夏落葉	夏落葉	夏	17.5.17.
167	緑葉のままで散り来る夏落葉	夏落葉	夏	17.5.17.
168	とんと背を突かれて果てる夏落葉	夏落葉	夏	17.5.17.
169	常緑の掟厳しく夏落葉	夏落葉	夏	17.5.17.
170	常緑の掟残酷夏落葉	夏落葉	夏	17.5.17.
171	病葉にあらねど追わる夏落葉	夏落葉	夏	17.5.17.
172	さり気なく命断たらる夏落葉	夏落葉	夏	17.5.17.
173	嫌も応もなしに追わるる夏落葉	夏落葉	夏	17.5.17.
174	輪廻とは便利な言葉夏落葉	夏落葉	夏	17.5.17.
175	緑葉の従容と散る夏落葉	夏落葉	夏	17.5.17.
176	理不尽も掟の内や夏落葉	夏落葉	夏	17.5.17.
177	無人駅木香ばらの咲き乱る	薔薇	夏	17.5.17.
178	Ｋ氏邸木香ばらの咲き乱る	薔薇	夏	17.5.17.
179	踏まれても良しとするかに桐の花	桐の花	夏	17.5.17.
180	紫の淡き舗道や桐の花	桐の花	夏	17.5.17.
181	つと拾ひ香を嗅ぐおみな桐の花	桐の花	夏	17.5.17.
182	踏まずして通れぬ小道桐の花	桐の花	夏	17.5.17.
183	散り敷きて足裏こそばゆ桐の花	桐の花	夏	17.5.17.
184	散り敷きて咲くを告ぐるや桐の花	桐の花	夏	17.5.17.
185	桐の花咲きて捨て去る無頓着	桐の花	夏	17.5.17.
186	桐の花散り敷く道の轍濃し	桐の花	夏	17.5.17.
187	触れたれば朴の香噎せる女身仏	朴の花	夏	17.5.17.
188	独り寝の故なき汗や女身仏	汗	夏	17.5.17.
189	羅に昂ぶり透けし女身仏	羅	夏	17.5.17.
190	青桐や相合傘の刻み跡	青桐	夏	17.5.18.
191	との曇る空見上げれば桐の花	桐の花	夏	17.5.18.
192	咲けば落ち踏まれて掃かる桐の花	桐の花	夏	17.5.18.
193	落花して愛でらる定め桐の花	桐の花	夏	17.5.18.
194	落ち転げ人に愛でらる桐の花	桐の花	夏	17.5.18.
195	吾見よとばかりに落ちる桐の花	桐の花	夏	17.5.18.
196	白壁の蔵より高く桐の花	桐の花	夏	17.5.18.
197	桐の花散らして静か山の墓地	桐の花	夏	17.5.18.
198	との曇る空に溶け込む桐の花	桐の花	夏	17.5.18.
199	並び建つ蔵を囲みて桐の花	桐の花	夏	17.5.18.
200	散り転げ足を止まらす桐の花	桐の花	夏	17.5.18.
201	垂直に高みを落ちる桐の花	桐の花	夏	17.5.18.
202	卓上に飾らるることなき桐の花	桐の花	夏	17.5.18.
203	蜜吸ひの虫連れ落下桐の花	桐の花	夏	17.5.18.
204	幼らが競ひて拾ふ桐の花	桐の花	夏	17.5.18.
205	尼寺の庫裡に背高き桐の花	桐の花	夏	17.5.18.
206	庫裡の窓さらに背高き桐の花	桐の花	夏	17.5.18.
207	新緑に呼ばれ歩きぬ一万歩	新緑	夏	17.5.19.
208	新緑の窓開け放ち田舎蕎麦	新緑	夏	17.5.19.
209	万緑や山彦返る渓深し	万緑	夏	17.5.19.
210	万緑や大吊橋の揺れ止まず	万緑	夏	17.5.19.
211	青葉闇まむし注意の札立てり	青葉闇	夏	17.5.19.
212	桐の花落ちて優しく拾はれぬ	桐の花	夏	17.5.19.
213	花いばら蜜吸う虫を集むかな	花茨	夏	17.5.19.
214	紫煙にも似たる霞や花あふち	花あふち	夏	17.5.19.
215	花あふち霞む道来る田舎バス	花あふち	夏	17.5.19.
216	見上ぐれば白き天井えごの花	えごの花	夏	17.5.19.
217	紅優しグラデーションや合歓の花	合歓の花	夏	17.5.19.
218	花も葉も朝露に濡れ夏椿	夏椿	夏	17.5.20.
219	朝露をこぼす鳥影夏椿	夏椿	夏	17.5.20.
220	純白の花初々し沙羅の花	沙羅の花（＝夏椿）	夏	17.5.20.
221	蹲踞に浮かぶ花あり夏椿	夏椿	夏	17.5.20.
222	白花の数かぞへる子夏椿	夏椿	夏	17.5.20.
223	桑の実の甘き香澱む放棄畑	桑の実	夏	17.5.20.
224	青桐や緑の幹の刀傷	青桐	夏	17.5.20.
225	瀬戸の島巡る渡船や花海桐	花海桐	夏	17.5.20.
226	潮騒の響く籬や花海桐	花海桐	夏	17.5.20.
227	テトラポット見ゆる庭先花海桐	花海桐	夏	17.5.20.
228	しめやかに舞へどかさりと竹落葉	竹落葉	夏	17.5.20.
229	海側に海桐咲きけり蜑の家	海桐の花	夏	17.5.21.
230	夏眩し朝一番の朗報来	夏	夏	17.5.21.
231	老竹と並び若竹撓りけり	若竹	夏	17.5.21.
232	若竹の清し緑や命満つ	若竹	夏	17.5.21.
233	若竹や天を突きをり撓りをり	若竹	夏	17.5.21.
234	生き生きと緑突き上ぐ今年竹	今年竹	夏	17.5.21.
235	濡れるほど紫冴ゆる杜若	杜若	夏	17.5.21.
236	燕子花八ツ橋渡る市女笠	燕子花（＝杜若）	夏	17.5.21.
237	凜として紫の濃し杜若	杜若	夏	17.5.21.
238	付けられし名の風雅なる花菖蒲	花菖蒲	夏	17.5.21.
239	風雅なる名も面白き花菖蒲	花菖蒲	夏	17.5.21.
240	風雅なる花の名辿る菖蒲苑	菖蒲苑	夏	17.5.21.
241	藁屋根に一八咲けり火伏花	一八	夏	17.5.22.
242	一叢のいちはつ風と遊びをり	一八	夏	17.5.22.
243	山芍薬白き大輪地に近し	芍薬	夏	17.5.22.
244	岩裾に山芍薬の花の笑み	芍薬	夏	17.5.22.
245	丈詰めて山芍薬の花大輪	芍薬	夏	17.5.22.
246	急なぞへ山芍薬と鉢合わせ	芍薬	夏	17.5.22.
247	笛の音を運ぶ風あり敦盛草	敦盛草	春	17.5.22.
248	笛の音を運ぶ夕風敦盛草	敦盛草	春	17.5.22.
249	嫋々と笛の音渡る敦盛草	敦盛草	春	17.5.22.
250	夕映えに母衣は血の色敦盛草	敦盛草	春	17.5.22.
251	直実に首刎ねられぬ敦盛草	敦盛草	春	17.5.22.
252	公達の母衣血に染めて敦盛草	敦盛草	春	17.5.22.
253	夕風に乗りし笛の音敦盛草	敦盛草	春	17.5.22.
254	従容と首刎ねられぬ敦盛草	敦盛草	春	17.5.22.
255	公達の面影伝ふ敦盛草	敦盛草	春	17.5.22.
256	悲話伝へ母衣艶やかに敦盛草	敦盛草	春	17.5.22.
257	飼主は歯抜け爺なり羽抜鶏	羽抜鶏（鳥）	夏	17.5.22.
258	まむし草するするすると動く影	蝮草	春	17.5.23.
259	するすると影走りたり蝮草	蝮草	春	17.5.23.
260	蝮草灰色の紐走りけり	蝮草	春	17.5.23.
261	木漏れ日にまだらの透ける蝮草	蝮草	春	17.5.23.
262	木下闇光る鹿の眼まむし草	蝮草	春	17.5.23.
263	蝮草葉陰に円き捨て鏡	蝮草	春	17.5.23.
264	火気注意札立つ山路杉落葉	杉落葉	夏	17.5.23.
265	山路来て聞き耳立てり松落葉	松落葉	夏	17.5.23.
267	諏訪の人一束くれし夏蕨	夏蕨	夏	17.5.23.
268	腰落し蕗採る鎌の音軽し	蕗	夏	17.5.23.
269	垣根越し庭採れの蕗もらいけり	蕗	夏	17.5.23.
270	花さぼてん華麗にひと日尽しけり	花仙人掌	夏	17.5.23.
271	一日に贅を尽くして花仙人掌	花仙人掌	夏	17.5.23.
272	羽抜鶏お前はいいよまた生える	羽抜鶏	夏	17.5.24.
273	摂理なりだからなんだと羽抜鶏	羽抜鶏	夏	17.5.24.
274	人間は抜ければ終り羽抜鶏	羽抜鶏	夏	17.5.24.
275	毛が生えて喜ぶ少女羽抜鶏	羽抜鶏	夏	17.5.24.
276	神鶏も鳥肌見せて羽抜鶏	羽抜鶏	夏	17.5.24.
277	水面をば突き破る夢みずすまし	水澄まし	夏	17.5.24.
278	水面ほど固きものなしあめんぼう	あめんぼう	夏	17.5.24.
279	溺れるてふ言葉を知らぬあめんぼう	あめんぼう	夏	17.5.24.
280	滑るほか生きる道無きあめんぼう	あめんぼう	夏	17.5.24.
281	深入りはできぬ定めのあめんぼう	あめんぼう	夏	17.5.24.
282	一日に命尽して花さぼてん	花仙人掌	夏	17.5.24.
283	上っ面撫でて儚きあめんぼう	あめんぼう	夏	17.5.24.
284	滑っても転ばぬ備え水馬	水馬	夏	17.5.24.
285	己が影追いひつ追はれつ水馬	水馬	夏	17.5.24.
286	あめんぼう雲を揺らして遊びをり	あめんぼう	夏	17.5.24.
287	あめんぼう浮世暮らしの日がなかな	あめんぼう	夏	17.5.24.
288	浮世暮らし日々開陳のあめんぼう	あめんぼう	夏	17.5.24.
289	炎天下嬉々と蜜吸ふ夫婦蝶	炎天・夏蝶	夏	17.5.25.
290	夏蝶の豹紋嬉々と蜜吸へり	夏蝶	夏	17.5.25.
291	一点の曇りなき身の海月かな	海月	夏	17.5.25.
292	重なりつ縺れ月下の海月かな	海月	夏	17.5.25.
293	引く潮に乗り損ねたる海月の死	海月	夏	17.5.25.
294	命果て透身くすみし海月かな	海月	夏	17.5.25.
295	葦簀張り海月泳がす海の家	海月	夏	17.5.25.
296	烏の子人を見くびる目を持たず	烏の子	夏	17.5.25.
297	翡翠の沈思黙考凝視かな	翡翠	夏	17.5.25.
298	復活の余裕を見せて羽抜鶏	羽抜鶏	夏	17.5.25.
299	清流に生きる武骨や山椒魚	山椒魚	夏	17.5.25.
300	鉢合わせ蹲踞崩さぬ蟇の主	蝦蟇	夏	17.5.25.
301	熊笹を分けてのたりとひきがへる	蟇	夏	17.5.26.
302	やあとでも言ふ面構え庭の蟇	蟇	夏	17.5.26.
303	人こそが醜かも知れず蟇の恋	蟇	夏	17.5.26.
304	大蟇と根気比べの睨めっこ	蟇	夏	17.5.26.
305	横綱の風格見せて蟇蹲踞	蟇	夏	17.5.26.
306	蟇蹲踞がま口出して較べたり	蟇	夏	17.5.26.
307	蟇蹲踞円を描けば大相撲	蟇	夏	17.5.26.
308	喉ぼとけひくひくさせて蟇蹲踞	蟇	夏	17.5.26.
309	そろそろと思えば出でし庭の蟇	蟇	夏	17.5.26.
310	魚にはあらじと歩む山椒魚	山椒魚	夏	17.5.26.
311	はんざきもいけめんがゐてぶすがゐて	はんざき（＝山椒魚）	夏	17.5.26.
312	箱庭に昭和の子らの声響く	箱庭	夏	17.5.26.
313	箱庭の路地に昭和の子らの声	箱庭	夏	17.5.26.
314	箱庭に昭和の音もあらまほし	箱庭	夏	17.5.26.
315	茂りたる樹闇に鹿の眼の在りぬ	茂る	夏	17.5.26.
316	箱庭に入りて戻らぬ人いずこ	箱庭	夏	17.5.26.
317	箱庭に入りて戻らぬ人のあり	箱庭	夏	17.5.26.
318	箱庭に入りて戻らぬ人一人	箱庭	夏	17.5.26.
319	箱庭の奉安殿に御真影	箱庭	夏	17.5.26.
320	不意に揺れ唇奪ふ鶏頭花	鶏頭花	秋	17.5.27.
321	不意に揺れ唇を奪ひし鶏頭花	鶏頭花	秋	17.5.27.
322	風流の仲間に入りて蓮見舟	蓮見舟	夏	17.5.27.
323	箱庭に古刹もありて小さき鐘	箱庭	夏	17.5.27.
324	箱庭の火の見櫓に夕日射す	箱庭	夏	17.5.27.
325	箱庭に火の見櫓の昭和かな	箱庭	夏	17.5.27.
326	箱庭に小さき漱石佇ませ （菫程な小さき人に生れたし：漱石吟）	箱庭	夏	17.5.27.
327	箱庭に小さき漱石佇めり	箱庭	夏	17.5.27.
328	箱庭に小さき漱石佇みぬ	箱庭	夏	17.5.27.
329	濡れ鼠あとは野放図水遊び	水遊び	夏	17.5.27.
330	水鉄砲撃合ふ修羅場バスルーム	水鉄砲	夏	17.5.27.
331	水鉄砲阿鼻叫喚のバスルーム	水鉄砲	夏	17.5.27.
332	青桐や緑の幹に二人の名	青桐	夏	17.5.28.
333	青桐や緑の幹の相合傘	青桐	夏	17.5.28.
334	松落葉聞き耳立てる山路かな	松落葉	夏	17.5.28.
335	寅さんと肩を並べてラムネ飲む	ラムネ	夏	17.5.28.
336	差し入れは冷やしラムネの草野球	ラムネ	夏	17.5.28.
337	氷塊を盥に浮かべラムネ売り	ラムネ売り	夏	17.5.28.
338	ダボシャツの寅さんに似たラムネ売り	ラムネ売り	夏	17.5.28.
339	交番はいつも無人や火取虫	火取虫	夏	17.5.28.
340	青柿の転げ轢かるる時待てり	青柿	夏	17.5.28.
341	青柿や踏み潰されて道の染み	青柿	夏	17.5.28.
342	帰り道青柿すべて轢かれをり	青柿	夏	17.5.28.
343	青葉闇母鹿の眼に殺気あり	青葉闇	夏	17.5.28.
344	儚きをさぼてんの花凜と咲く	仙人掌の花	夏	17.5.28.
345	箱庭に小さき漱石らしき人	葉Kポ庭	夏	17.5.28.
346	ネモフィラの丘の真青や五月晴れ	五月晴れ	夏	17.5.29.
347	ネモフィラの丘の映せし五月晴れ	五月晴れ	夏	17.5.29.
348	腰痛の膏薬貼りし芒種かな	芒種	夏	17.5.29.
349	入道雲湧き立つ黙や八ヶ岳	入道雲	夏	17.5.29.
350	水平線幅いっぱいの雲の峰	雲の峰	夏	17.5.29.
351	寅さんに似た角顔のラムネ売り	ラムネ	夏	17.5.29.
352	Tシャツに寅さんの顔ラムネ売り	ラムネ	夏	17.5.29.
353	寅さんは神様と言ふラムネ売り	ラムネ	夏	17.5.29.
354	雉鳩の鳴き音くぐもる茅花風	知花風（＝知花流し）	夏	17.5.29.
355	薄き髪弄びゆく靑嵐	靑嵐	夏	17.5.29.
356	君がゐて僕がゐて後靑嵐	靑嵐	夏	17.5.29.
357	ローカル線レール凸凹風薫る	靑嵐	夏	17.5.29.
358	噴水の背伸びし過ぎて崩れけり	噴水	夏	17.5.29.
359	吊橋の真ん中に来て靑嵐	靑嵐	夏	17.5.29.
360	鷹女詠む突っ張り俳句靑嵐	靑嵐	夏	17.5.29.
361	突っ張りの鷹女俳句や青嵐	靑嵐	夏	17.5.29.
362	風鈴草出たくないよと河童の子	風鈴草＝蛍袋	夏	17.5.29.
363	花あふち紫霞む里のバス	あふちの花	夏	17.5.29.
364	庫裡の屋根さらに背高き桐の花	桐の花	夏	17.5.29.
365	箱庭に漱石に似た人をりぬ	箱庭	夏	17.5.30.
366	箱庭に漱石に似た人の影	箱庭	夏	17.5.30.
367	端居して腰に貼りたる大膏薬	端居	夏	17.5.30.
368	大膏薬腰に貼りたる端居かな	端居	夏	17.5.30.
369	走り来て動かずなりぬ靑蜥蜴	蜥蜴	夏	17.5.30.
370	触るるのは背筋の寒き蜥蜴かな	蜥蜴	夏	17.5.30.
371	ポケットから蜥蜴引き出す男の子	蜥蜴	夏	17.5.30.
372	兼題に出されて困るほととぎす	ほととぎす	夏	17.5.30.
373	夜の古刹仏法僧を聞かせけり	仏法僧	夏	17.5.30.
374	九ッや本堂で聞く仏法僧	仏法僧	夏	17.5.30.
375	ほーほーと夜を寂しめて青葉木莬	青葉木莬（あおばずく）	夏	17.5.30.
376	箱庭に尿してにゃあと猫の玉	箱庭	夏	17.5.30.
377	箱庭に玉の臭ひし落とし物	箱庭	夏	17.5.30.
378	大川端胡坐をかけば流し吹く	流し（＝茅花流し）	夏	17.5.30.
379	麦秋の中に一基の独り墓	麦秋	夏	17.5.31.
380	うどん県車窓に続く麦の秋	麦秋	夏	17.5.31.
381	麦刈や独り作業のトラクター	麦刈	夏	17.5.31.
382	人の手に残る作業の黒穂抜く	黒穂	夏	17.5.31.
383	練塀を跨ぎて咲けり利休梅	利休梅	夏	17.5.31.
384	奔放な恋もあるべし多佳子の忌	多佳子忌	夏	17.5.31.
385	じゅうじゅうと音立つ山女頬張りぬ	山女	夏	17.5.31.
386	甘垂れの蝦蛄ばかり食む女の子	蝦蛄	夏	17.5.31.
387	スーパーにパックで並ぶ初鰹	初鰹	夏	17.5.31.
388	両端のはみ出してゐる穴子丼	穴子	夏	17.5.31.
389	鱚天を出して親爺の目の会釈	鱚	夏	17.5.31.
390	ぶいぶいと海酸漿を鳴らす海女	海酸漿	夏	17.5.31.
391	〆鯖をぱくりぱくりと独り酒	鯖	夏	17.5.31.
392	飛魚の飛距離伸ばして逃避行	飛魚	夏	17.5.31.
393	雉鳩の鳴き音くぐもる流しかな	流し	夏	17.5.31.
394	すり寄られつい逃げ腰に羽抜鶏	羽抜鶏	夏	17.6.1.
395	濡るるほど紫を増す杜若	杜若	夏	17.6.1.
396	濡るるほど紫冴ゆる杜若	杜若	夏	17.6.1.
397	雨にこそ際立つ紫紺かきつばた	杜若	夏	17.6.1.
398	杜若八ツ橋屏風そのままに	杜若	夏	17.6.1.
399	池の面に影映しをり杜若	杜若	夏	17.6.1.
400	霧雨の池畔鮮やか杜若	杜若	夏	17.6.1.
401	凜の字の似合ふ紫かきつばた	杜若	夏	17.6.1.
402	音もなき雨にきりりと燕子花	燕子花（＝杜若）	夏	17.6.1.
403	凜として禁色ゆかし杜若	杜若	夏	17.6.1.
404	雨止んで雫転がす燕子花	燕子花	夏	17.6.1.
405	禁色の公達立てり燕子花	燕子花	夏	17.6.1.
406	蛇の目傘傾げし人や杜若	杜若	夏	17.6.1.
407	炎天でバス待つ人の白マスク	炎天・マスク	夏・冬	17.6.1.
408	歌舞伎座のロビー華やぐ夏衣	夏衣	夏	17.6.1.
409	青い目のすらりと纏ふ夏衣	夏衣	夏	17.6.1.
410	夏衣ついに縁なき八十路かな	夏衣	夏	17.6.1.
411	雅なる香焚きこめし夏衣	夏衣	夏	17.6.1.
412	僧正の袈裟も軽やか夏衣	夏衣	夏	17.6.1.
413	鰹節もワインも黴のビンテージ	黴	夏	17.6.1.
414	仁王像埃と黴と剥落と	黴	夏	17.6.1.
415	黴の香を嗅ひで回りし古書肆街	黴	夏	17.6.1.
416	古書店の黴に埋もれし店主かな	黴	夏	17.6.1.
417	雅なる名を競ひ合ふ花菖蒲	花菖蒲	夏	17.6.1.
418	木道の日傘も花の菖蒲苑	菖蒲園	夏	17.6.1.
419	巡りゆく日傘も多彩菖蒲園	菖蒲園	夏	17.6.1.
420	傘美人増ゆる卯の花腐しかな	卯の花腐し	夏	17.6.1.
421	雲海に首出し富士の湯浴みかな	雲海	夏	17.6.2.
422	雲海に首まで浸かる富士の影	雲海	夏	17.6.2.
423	雲海に首まで浸かる富士に立つ	雲海	夏	17.6.2.
424	雲海に響く歓呼の日の出かな	雲海	夏	17.6.2.
425	雲海を隔て下界はとの曇り	雲海	夏	17.6.2.
426	雲海の上で朝食国際線	雲海	夏	17.6.2.
427	雲海の上は快晴空の旅	雲海	夏	17.6.2.
428	雲海にカメラ構えて待つ日の出	雲海	夏	17.6.2.
429	網戸越し狭庭に光る獣の目	網戸	夏	17.6.2.
430	網戸越し風に乗り来る生活音	網戸	夏	17.6.2.
431	病葉の吹き溜まりたる厨裏	病葉	夏	17.6.2.
432	恋文となりし病葉転げゆく	病葉	夏	17.6.2.
433	道の端にぽつんぽつんと夏薊	夏薊	夏	17.6.3.
434	一輪挿し飾る道端の夏薊	夏薊	夏	17.6.3.
435	自転車を躱す歩行者夏薊	夏薊	夏	17.6.3.
436	さり気なく視界に入りし夏薊	夏薊	夏	17.6.3.
437	あっけなく刈り取られるも夏薊	夏薊	夏	17.6.3.
438	土砂降りに泰然と咲く夏薊	夏薊	夏	17.6.3.
439	夏薊一茎手折り持ち帰る	夏薊	夏	17.6.3.
440	雑草の故に刈られし夏薊	夏薊	夏	17.6.3.
441	夏薊手折り供花とす辻地蔵	夏薊	夏	17.6.3.
442	影連れて庭遊覧の揚羽かな	揚羽蝶	夏	17.6.3.
443	子を連れし母鹿の眼の殺気かな	鹿の子	夏	17.6.3.
444	草刈機唸る道の端草いきれ	草いきれ	夏	17.6.3.
445	万物みな病葉となる定めかな	病葉	夏	17.6.3.
446	病葉も身を置く場所のある地球	病葉	夏	17.6.3.
447	入れ込みの胡坐痺れし泥鰌鍋	泥鰌鍋	夏	17.6.4.
448	顔の汗拭いつ突く泥鰌鍋	汗・泥鰌鍋	夏	17.6.4.
449	薬味葱山盛りに載せ泥鰌鍋	葱・泥鰌鍋	冬・夏	17.6.4.
450	割り下を水をと加え泥鰌鍋	泥鰌鍋	夏	17.6.4.
451	早よ食へと追立て煮立つ泥鰌鍋	泥鰌鍋	夏	17.6.4.
452	滴るは涙にあらず泥鰌鍋	泥鰌鍋	夏	17.6.4.
453	薬味葱たちまち沈む泥鰌鍋	葱・泥鰌鍋	冬・夏	17.6.4.
454	女子会は裂き派が多し泥鰌鍋	泥鰌鍋	夏	17.6.4.
455	どぜう屋の暖簾跳ね上げ泥鰌鍋	泥鰌鍋	夏	17.6.4.
456	柳川で仕上げの飯に泥鰌鍋	柳川鍋・ 泥鰌鍋	夏	17.6.4.
457	蒲焼はとんとご無沙汰泥鰌鍋	泥鰌鍋	夏	17.6.4.
458	季重ねの汗滴らせ泥鰌鍋	汗・泥鰌鍋	夏	17.6.4.
459	時計草時を刻みつ咲きにけり	時計草	夏	17.6.5.
460	地球の時永遠に刻むや時計草	時計草	夏	17.6.5.
461	日時計に時を知らすや時計草	時計草	夏	17.6.5.
462	日時計と時を競ふや時計草	時計草	夏	17.6.5.
463	いまさらに巻き戻しせず時計草	時計草	夏	17.6.5.
464	チクタクの音懐かしや時計草	時計草	夏	17.6.5.
465	ひょっとしてサマータイムや時計草	時計草	夏	17.6.5.
466	サマータイム遠く懐かし時計草	時計草	夏	17.6.5.
467	時計草サマータイムを刻むかな	時計草	夏	17.6.5.
468	時計草一鉢飾る時計店	時計草	夏	17.6.5.
469	一鉢の時計草置き時計店	時計草	夏	17.6.5.
470	偲ぶ会遺影の横に時計草	時計草	夏	17.6.5.
471	ブラジルの太鼓のリズム時計草	時計草	夏	17.6.5.
472	ブラジルの時を刻むや時計草	時計草	夏	17.6.5.
473	つくずくと花の面見る時計草	時計草	夏	17.6.5.
474	昼の鐘響く校庭時計草	時計草	夏	17.6.5.
475	サマータイム流るカフエや時計草	時計草	夏	17.6.5.
476	サマータイム物憂く流れ時計草	時計草	夏	17.6.5.
477	寸刻も時を違へず時計草	時計草	夏	17.6.5.
478	地球の時永遠に刻むや時計草	時計草	夏	17.6.5.
479	日時計に時を知らすや時計草	時計草	夏	17.6.5.
480	日時計と時を競ふや時計草	時計草	夏	17.6.5.
481	いまさらに巻き戻しせず時計草	時計草	夏	17.6.5.
482	チクタクの音懐かしや時計草	時計草	夏	17.6.5.
483	ひょっとしてサマータイムや時計草	時計草	夏	17.6.5.
484	サマータイム遠く懐かし時計草	時計草	夏	17.6.5.
485	時計草サマータイムを刻むかな	時計草	夏	17.6.5.
486	時計草一鉢飾る時計店	時計草	夏	17.6.5.
487	一鉢の時計草置き時計店	時計草	夏	17.6.5.
488	偲ぶ会遺影の横に時計草	時計草	夏	17.6.5.
489	ブラジルの太鼓のリズム時計草	時計草	夏	17.6.5.
490	ブラジルの時を刻むや時計草	時計草	夏	17.6.5.
491	つくずくと花の面見る時計草	時計草	夏	17.6.5.
492	昼の鐘響く校庭時計草	時計草	夏	17.6.5.
493	サマータイム流るカフエや時計草	時計草	夏	17.6.5.
494	サマータイム物憂く流れ時計草	時計草	夏	17.6.5.
495	チクタクと音聞こえぬか時計草	時計草	夏	17.6.5.
496	雀より人驚かすニュー案山子	案山子	秋	17.6.5.
497	愛し焦がれ憎み嫌ふや花石榴	花石榴	夏	17.6.5.
498	エアーズロックぐらりと揺らす夏の蝶	夏蝶	夏	17.6.5.
499	水底の影にフェイント水馬	水馬	夏	17.6.5.
500	黴の香を嗅ぎつ巡るや古書肆街	黴	夏	17.6.5.
501	茉莉花を庭に下ろせどなほ噎せぬ	茉莉花	夏	17.6.6.
502	夜の庭にジャスミンの香の立て籠もる	ジャスミン（＝茉莉花）	夏	17.6.6.
503	すっと滑りすっと止まるや水馬	水馬	夏	17.6.6.
504	水くぐる夢ふくらませ水馬	水馬	夏	17.6.6.
505	軽佻浮薄おれのことかと水馬	水馬	夏	17.6.6.
506	滑り飽きついと飛び立つ水馬	水馬	夏	17.6.6.
507	次つぎと水輪重ねて水馬	水馬	夏	17.6.6.
508	隠沼の水面の黙や水馬	水馬	夏	17.6.6.
509	水底の影も滑らせ水馬	水馬	夏	17.6.6.
510	水底の影もシンクロあめんぼう	あめんぼ（＝水馬）	夏	17.6.6.
511	小節を刻みつ滑るあめんぼう	あめんぼう	夏	17.6.6.
512	山梔子の花の香重く鼻打てり	山梔子（＝梔子）	夏	17.6.7.
513	夜の道くちなしの香の襲ひ来る	山梔子	夏	17.6.7.
514	籬から花山梔子の香の澱み	山梔子	夏	17.6.7.
515	くちなしの重たき匂ひ夜の路地	山梔子	夏	17.6.7.
516	くちなしの花影に立つ浜のマリ	山梔子	夏	17.6.7.
517	くちなしや年増女の厚化粧	山梔子	夏	17.6.7.
518	梔子や度を過ぎし香を疎まる	山梔子	夏	17.6.7.
519	梔子の花の香疎み回り道	山梔子	夏	17.6.7.
520	儚きを精一杯に花さぼてん	花さぼてん	夏	17.6.7.
521	羽衣の化身とも見ゆ花さぼてん	花さぼてん	夏	17.6.7.
522	儚きを秘してふくよか花さぼてん	花さぼてん	夏	17.6.7.
523	儚きを秘めて美し花さぼてん	花さぼてん	夏	17.6.7.
524	ひと日経ち遺影となりぬ花さぼてん	花さぼてん	夏	17.6.7.
525	薄命の美姫に重なる花さぼてん	花さぼてん	夏	17.6.7.
526	優しくも咲いて儚き花さぼてん	花さぼてん	夏	17.6.7.
527	鵜の森や遠目に白き糞の樹々	蟻	夏	17.6.8.
528	蟻の道挙動怪しき奴のゐて	蟻	夏	17.6.8.
529	げじげじや三十本の脚悪寒	げじげじ	夏	17.6.8.
530	厨から主婦の悲鳴やあぶらむし	あぶらむし	夏	17.6.8.
531	まくなぎに突っ込んで行く自転車の子	まくなぎ	夏	17.6.8.
532	道を埋め池面を埋めて羽蟻の死	羽蟻	夏	17.6.8.
533	孑孑の上がり下がりし水溜り	孑孑	夏	17.6.8.
534	庭仕事腕に集まる蚊の速さ	蚊	夏	17.6.8.
535	黴の香を嗅ぎつ巡りし古書肆かな	黴	夏	17.6.8.
536	はよどけとカンカン照りに秋立ちぬ	立秋	秋	17.6.8.
537	貫入の音明瞭に秋に入る	秋に入る	秋	17.6.8.
538	貫入の響きの澄みて秋立ちぬ	立秋	秋	17.6.8.
539	秋立ちて貫入の音澄みにけり	立秋	秋	17.6.8.
540	貫入の音聴く夜や秋立ちぬ	立秋	秋	17.6.8.
541	予報士の薀蓄聞きぬ今朝の秋	今朝の秋	秋	17.6.8.
542	網戸越し風に乗り来る人の声	網戸	夏	17.6.9.
543	エアコンを網戸に替へてル・カレ読む	網戸	夏	17.6.9.
544	雲海に光さし初む御来迎	雲海	夏	17.6.9.
545	破れたる日除に西日シャッター街	日除	夏	17.6.9.
546	客の手で少し黒ずむ麻暖簾	麻暖簾	夏	17.6.9.
547	中央の黒光りせる縄のれん	縄暖簾	夏	17.6.9.
548	潜りしをぴたと頬打つ縄暖簾	縄暖簾	夏	17.6.9.
549	高下駄の板前が出て縄のれん	縄暖簾	夏	17.6.9.
550	犬の糞取りつ散歩の夏帽子	夏帽子	夏	17.6.9.
551	老妻の突き出す物は夏帽子	夏帽子	夏	17.6.9.
552	羽抜鶏きょとんと吾を見上げけり	羽抜鶏	夏	17.6.9.
553	バス降りる媼そろりと夏帽子	夏帽子	夏	17.6.10.
554	木斛（もっこく）の地を見下ろして花しずか	木斛の花	夏	17.6.10.
555	さらさらと音あるごとく松落葉	松落葉	夏	17.6.10.
556	さらさらと緑の雨や松落葉	松落葉	夏	17.6.10.
557	松落葉緑の細雨となる山路	松落葉	夏	17.6.10.
558	音も無き緑の細雨松落葉	松落葉	夏	17.6.10.
559	人気なきなぞへの墓地や白日傘	白日傘	夏	17.6.10.
560	遠見せし棚田に動く麦藁帽	麦藁帽子	夏	17.6.10.
561	ががんぼの脚持て余し捨て行きぬ	ががんぼ（＝蚊とんぼ）	夏	17.6.10.
562	ががんぼの不要不急と言ふ存在	ががんぼ	夏	17.6.10.
563	ががんぼのひょいと捨てけり脚一本	ががんぼ	夏	17.6.10.
564	草かげろふ人力飛行見るごとし	ががんぼ	夏	17.6.10.
565	種なしを思ひ描きつ枇杷を食む	枇杷	夏	17.6.11.
566	朝露の光る野道や蛇苺	蛇苺	夏	17.6.11.
567	乳首ほどな紅あざやかに蛇苺	蛇苺	夏	17.6.11.
568	犬の尿平然と受け蛇苺	蛇苺	夏	17.6.11.
569	ままごとをする子もをらず蛇苺	蛇苺	夏	17.6.11.
570	トトロの森抜ければなぞへ蛇苺	蛇苺	夏	17.6.11.
571	活け花のオブジェとなりて蛇苺	蛇苺	夏	17.6.11.
572	湧水の速き小流れ蛇苺	蛇苺	夏	17.6.11.
573	湧水の走るなぞへや蛇苺	蛇苺	夏	17.6.11.
574	草を食む山羊の親子や蛇苺	蛇苺	夏	17.6.11.
575	金魚鉢浮かべてみたり蛇苺	蛇苺	夏	17.6.11.
576	若き女医宇蘭と名乗り蛇苺	蛇苺	夏	17.6.11.
577	生きものを飼へば死のあり金魚鉢	金魚鉢	夏	17.6.11.
578	金魚にもペットボトルの水与ふ	金魚	夏	17.6.12.
579	水割りのボトルの水を金魚にも	金魚	夏	17.6.12.
580	鮪より高き競り値や錦鯉	錦鯉	夏	17.6.12.
581	金魚死ぬそのたび増える庭の墓	金魚	夏	17.6.12.
582	金魚飼ふ減った数だけ買い足して	金魚	夏	17.6.12.
583	懲りもせず飼えばよく死ぬ金魚かな	金魚	夏	17.6.12.
584	ポリ袋脹らむ金魚持ち帰る	金魚	夏	17.6.12.
585	夜更かしの部屋の金魚も宵っ張り	金魚	夏	17.6.12.
586	モーターの音気にならぬかに熱帯魚	熱帯魚	夏	17.6.12.
587	静止して眠ることなし熱帯魚	熱帯魚	夏	17.6.12.
588	池の底悠々然と錦鯉	錦鯉	夏	17.6.12.
589	金魚にもボトルの水をお裾分け	金魚	夏	17.6.12.
590	名水に生き生き泳ぐ熱帯魚	熱帯魚	夏	17.6.12.
591	水割りも金魚の水も富士名水	金魚	夏	17.6.12.
592	針山に天の羽衣花さぼてん	花 仙人掌	夏	17.6.13.
593	一日に命尽すや花仙人掌	花 仙人掌	夏	17.6.13.
594	楊貴妃か王昭君か花仙人掌	花 仙人掌	夏	17.6.13.
595	針山に美姫咲き揃ふ花仙人掌	花 仙人掌	夏	17.6.13.
596	薄命を思へば愛し仙人掌花	花 仙人掌	夏	17.6.13.
597	針山にかくも香し仙人掌花	花 仙人掌	夏	17.6.13.
598	針山に羽化を終えたる花さぼてん	花 仙人掌	夏	17.6.13.
599	早暁に花さぼてんが羽化したり	花 仙人掌	夏	17.6.13.
600	たまきはるいのちひと日や花さぼてん	花 仙人掌	夏	17.6.13.
601	薄命の佳人儚し仙人掌咲く	仙人掌咲く	夏	17.6.13.
602	薄命を健気に咲けり花仙人掌	花 仙人掌	夏	17.6.13.
603	等々力の渓の瀬音や濃紫陽花	濃紫陽花	夏	17.6.13.
604	梅雨蕭々（しぃうしょう）仏訪ねて九品仏	梅雨	夏	17.6.13.
605	関西の友と久闊鱧料理	鱧	夏	17.6.14.
606	関西に来て有難く鱧料理	鱧	夏	17.6.14.
607	鱧尽し湯引き天婦羅握り食ふ	鱧	夏	17.6.14.
608	鱧食って関西人に仲間入り	鱧	夏	17.6.14.
609	鱧でいこ浪花の友に誘はれぬ	鱧	夏	17.6.14.
610	鱧でいこ浪花の友の声かかる	鱧	夏	17.6.14.
611	考へりゃ春夏秋冬暑気払ひ	暑気払ひ	夏	17.6.14.
612	句会終えけふもいそいそ暑気払ひ	暑気払ひ	夏	17.6.14.
613	都合よき大義名分暑気払ひ	暑気払ひ	夏	17.6.14.
614	声かかり二つ返事の暑気払ひ	暑気払ひ	夏	17.6.14.
615	最後までしらふの下戸や暑気払ひ	暑気払ひ	夏	17.6.14.
616	暑気下し薬は冷えた生にする	暑気下し	夏	17.6.14.
617	針山に長柄伸ばして花仙人掌	花仙人掌	夏	17.6.14.
618	針山に虎の尾伸ばし花仙人掌	花仙人掌	夏	17.6.14.
619	竜の口糸引き落つる行者滝	滝	夏	17.6.15.
620	緑なす苔を濡らして行者滝	滝	夏	17.6.15.
621	等々力の渓に二筋行者滝	滝	夏	17.6.15.
622	等々力の渓しめやかに行者滝	滝	夏	17.6.15.
623	しめやかに行者の滝の水飛沫	滝	夏	17.6.15.
624	竜口のまなこ黄色し行者滝	滝	夏	17.6.15.
625	崖線を滴り落ちて行者滝	滝	夏	17.6.15.
626	真青をなる崖線濡らし行者滝	滝	夏	17.6.15.
627	崖線を覆ふ緑や行者滝	滝	夏	17.6.15.
628	石穿つ二筋の糸行者滝	滝	夏	17.6.15.
629	行者滝いとしめやかに石穿つ	滝	夏	17.6.15.
630	右左糸二筋に行者滝	滝	夏	17.6.15.
631	崖線を糸二筋に行者滝	滝	夏	17.6.15.
632	等々力の渓の深きに行者滝	滝	夏	17.6.15.
633	崖線を糸引き落つる行者滝	滝	夏	17.6.15.
634	滴れる糸二筋の行者滝	滝	夏	17.6.15.
635	等々力の崖を滴る行者滝	滝	夏	17.6.15.
636	等々力の崖を二筋行者滝	滝	夏	17.6.15.
637	デジタルのカメラに収め燕子花	燕子花（＝杜若）	夏	17.6.15.
638	どの花も雅号を持ちぬ菖蒲園	菖蒲園	夏	17.6.15.
639	立札に雅なる名や花菖蒲	花菖蒲	夏	17.6.15.
640	毛筋ほど細き滝なり行者滝	滝	夏	17.6.16.
641	等々力の渓に寂しき梅雨の蝶	梅雨	夏	17.6.16.
642	お替りの茶碗差し出す豆の飯	豆飯	夏	17.6.16.
643	大皿も小皿も玻璃の夏料理	夏料理	夏	17.6.16.
644	きらきらとガラス器光る夏料理	夏料理	夏	17.6.16.
645	お運びの仲居小走り夏料理	夏料理	夏	17.6.16.
646	活け造り玻璃の大皿夏料理	夏料理	夏	17.6.16.
647	氷塊の音もひと品夏料理	夏料理	夏	17.6.16.
648	間合い良く飯台に載る握鮨	鮨	夏	17.6.16.
649	冷し中華卓に音立て女店員	冷し中華	夏	17.6.16.
650	冷し中華訛りの強き女店員	冷し中華	夏	17.6.16.
651	冷奴四角四角に食みつ呑む	冷し中華	夏	17.6.16.
652	かはたれの低き空舞ふ蚊喰鳥	蚊喰鳥	夏	17.6.17.
653	さうさうとかはたれの空蚊喰鳥	蚊喰鳥	夏	17.6.17.
654	宵闇に飛び立ち過る蚊喰鳥	蚊喰鳥	夏	17.6.17.
655	かはほりに面汚されし仁王像	かはほり（＝ 蚊喰鳥）	夏	17.6.17.
656	さはさはと風切る音や蚊喰鳥	蚊喰鳥	夏	17.6.17.
657	宵闇の空さはさはと蚊喰鳥	蚊喰鳥	夏	17.6.17.
658	ことごとく意表を突きて蚊喰鳥	蚊喰鳥	夏	17.6.17.
659	夕暮れのシャッター街や蚊喰鳥	蚊喰鳥	夏	17.6.17.
660	塾に行く子らの頭上を蚊喰鳥	蚊喰鳥	夏	17.6.17.
661	群れなしてかはたれの空蚊喰鳥	蚊喰鳥	夏	17.6.17.
662	空堀に風切る音や蚊喰鳥	蚊喰鳥	夏	17.6.17.
663	ひたすらに蚊で腹満たし蚊喰鳥	蚊喰鳥	夏	17.6.17.
664	握り飯齧りつ塾へ蚊喰鳥	蚊喰鳥	夏	17.6.17.
665	枯葉かと見れば蝙蝠日暮れ待つ	蝙蝠（＝ 蚊喰鳥）	夏	17.6.17.
666	手水舎に立てば過ぎ行く風涼し	涼し	夏	17.6.18.
667	石庭の白砂涼しき筋目かな	涼し	夏	17.6.18.
668	早暁の涼風入れて一眠り	涼風	夏	17.6.18.
669	朝まだき鳥の声載せ風涼し	涼し	夏	17.6.18.
670	朝涼や雨戸繰る音聞こえ初む	朝涼	夏	17.6.18.
671	神馬てふポニーの瞳涼しかり	涼し	夏	17.6.18.
672	勤行の堂内涼し朝の風	涼し	夏	17.6.18.
673	仏みな肌の透けたる夏衣	夏衣	夏	17.6.18.
674	仏みな纏ふは涼し薄衣	涼し	夏	17.6.18.
675	涼し気な薄物纏ひ半跏仏	涼し	夏	17.6.18.
676	山峡に鐘の音涼し札所かな	涼し	夏	17.6.18.
677	鴬張り廊下渡れば風涼し	涼し	夏	17.6.18.
678	涼風を呼びて昼寝の青畳	涼風	夏	17.6.18.
679	涼風を突きて自転車登校生	涼風	夏	17.6.18.
680	涼風の過る尾根道富士遠望	涼風	夏	17.6.18.
681	氷片の音もひと品夏料理	夏料理	夏	17.6.18.
682	梅雨寒やしら切る政治なほ寒し	梅雨寒	夏	17.6.18.
683	日向臭き少女の髪や敗戦忌	廃線忌	夏	17.6.19.
684	他に媚びず野路に佇立の夏薊	夏薊	夏	17.6.19.
685	野路にこそ道の端にこそ夏薊	夏薊	夏	17.6.19.
686	雨飛沫上がる野面や夏薊	夏薊	夏	17.6.19.
687	道祖神叩く雨粒夏薊	夏薊	夏	17.6.19.
688	ひた濡れてなほ泰然と夏薊	夏薊	夏	17.6.19.
689	泰然と毅然と咲けり夏薊	夏薊	夏	17.6.19.
690	武士の姿に似たる夏薊	夏薊	夏	17.6.19.
691	糞ひりつ大徳眺む夏薊	夏薊	夏	17.6.19.
692	大徳の糞ひる野づら夏薊	夏薊	夏	17.6.19.
693	雨雲のスピード速し夏薊	夏薊	夏	17.6.19.
694	武士や物に動ぜぬ夏薊	夏薊	夏	17.6.19.
695	山里に紫烟る花あふち	花樗	夏	17.6.19.
696	雲海をのっと突き出て富士の山	雲海	夏	17.6.19.
697	河原道行く手阻みし夏よもぎ	夏薊	夏	17.6.19.
698	放棄畑覆ひ闌けりし夏よもぎ	夏薊	夏	17.6.19.
699	武士や物に動ぜぬ夏薊	夏薊	夏	17.6.19.
700	実を抱きし小さき花びら山牛蒡	山牛蒡の花	夏	17.6.20.
701	庭隅に知らぬ間に咲く山牛蒡	山牛蒡の花	夏	17.6.20.
702	知らぬ間に咲きて実を抱く山牛蒡	山牛蒡の花	夏	17.6.20.
703	庭隅の花に早や実の山牛蒡	山牛蒡の花	夏	17.6.20.
704	花に実の野生逞し山牛蒡	山牛蒡の花	夏	17.6.20.
705	植えもせぬに実を抱く花や山牛蒡	山牛蒡の花	夏	17.6.20.
706	忍び入り庭に花咲く半夏生	半夏生草	夏	17.6.20.
707	九品仏雨呼んで咲く半夏生	半夏生草	夏	17.6.20.
708	池の辺に雨呼び濡るる半夏生	半夏生草	夏	17.6.20.
709	九品仏濡るる堂宇や半夏生	半夏生草	夏	17.6.20.
710	白塗りの刷毛を止めしか半夏生	半夏生草	夏	17.6.20.
711	梅雨蕭々上中下品九品仏	梅雨	夏	17.6.20.
712	梅雨蕭々巡る三堂九品仏	梅雨	夏	17.6.20.
713	梅雨蕭々暗き堂宇の九品仏	梅雨	夏	17.6.20.
714	折鶴に命託して原爆忌	原爆忌	夏	17.6.20.
715	折鶴に託す命や原爆忌	原爆忌	夏	17.6.20.
716	折鶴に祈る命や原爆忌	原爆忌	夏	17.6.20.
717	折鶴に命預けし原爆忌	原爆忌	夏	17.6.20.
718	折鶴に籠めたる祷り原爆忌	原爆忌	夏	17.6.21.
719	折鶴に籠めし祷りや原爆忌	原爆忌	夏	17.6.21.
720	折鶴を折りしオバマや原爆忌	原爆忌	夏	17.6.21.
721	折鶴を折り続けるや原爆忌	原爆忌	夏	17.6.21.
722	紫陽花の咲き満ち雨の色となる	紫陽花	夏	17.6.21.
723	雨もよし晴れもよしとし濃紫陽花	紫陽花	夏	17.6.21.
724	雨もよし晴れもよしとし四葩咲く	四葩（＝紫陽花）	夏	17.6.21.
725	世の移ろひ人の移ろいひ七変化	七変化（＝紫陽花）	夏	17.6.21.
726	蕭々と雨降る中の濃あじさゐ	紫陽花	夏	17.6.21.
727	あじさゐ寺花の名追ひて磴上る	紫陽花	夏	17.6.21.
728	僧正の緋衣眩し紫陽花寺	紫陽花	夏	17.6.21.
729	濡るるほど色鮮やかに手毬花	手毬花（＝紫陽花）	夏	17.6.21.
730	夜空にも地にも墨田の花火かな	墨田の花火（紫陽花）	夏	17.6.21.
731	雨に濡れ色染め揚ぐる七変化	七変化	夏	17.6.21.
732	放屁して臭ふかと問ふ仁王さん			17.6.22.
733	屁をこひて臭ふかと問ふ仁王かな			17.6.22.
734	仁王さん屁をこひて訊く臭ふかと			17.6.22.
735	勝手咲く鉢の片喰抜かれけり	方喰（＝酢漿草）	夏	17.6.22.
736	片喰（かたばみ）の酸っぱい記憶花黄色	片喰	夏	17.6.22.
737	浜昼顔砂地の先は日本海	浜昼顔	夏	17.6.22.
738	浜昼顔砂地を仕切るごとく咲く	浜昼顔	夏	17.6.22.
739	昼顔や砂地に古きブイ三個	昼顔	夏	17.6.22.
740	昼顔や砂地に転ぐ古きブイ	昼顔	夏	17.6.22.
741	海女小屋は浜昼顔の径伝ひ	浜昼顔	夏	17.6.22.
742	浜昼顔咲く近道の捨て小舟	浜昼顔	夏	17.6.22.
743	廃屋や宵待草の名の寂し	宵待草	夏	17.6.22.
744	宵待草思はず告げる月見草	宵待草・月見草	夏	17.6.22.
745	戯れし夜露の疲れ月見草	月見草	夏	17.6.22.
746	ピカドンの言葉忘れじ原爆忌	原爆忌	夏	17.6.23.
747	殺戮を折鶴に替え原爆忌	原爆忌	夏	17.6.23.
748	赤と緑二筋三筋冷そうめん	そうめん	夏	17.6.23.
749	病葉に託す情報ル．カレの書	病葉	夏	17.6.23.
750	病葉に託す命の落し文	病葉	夏	17.6.23.
751	病葉にあらず命の落し文	病葉	夏	17.6.23.
752	渓の瀬や病葉乗せて水速し	病葉	夏	17.6.23.
753	諍ひに負けて病葉蹴る子かな	病葉	夏	17.6.23.
754	雲海に転げ潜りてあと昼寝	雲海	夏	17.6.23.
755	二十余万無念に果てし沖縄忌	沖縄忌	夏	17.6.23.
756	不条理な戦忘るな沖縄忌	沖縄忌	夏	17.6.23.
757	弾が飛び火焔が走り沖縄忌	沖縄忌	夏	17.6.23.
758	無念の死刻みし礎沖縄忌	沖縄忌	夏	17.6.23.
759	砂糖黍畑火の雨沖縄忌	沖縄忌	夏	17.6.23.
760	シーサー（獅子）も木っ端みじんに沖縄忌	沖縄忌	夏	17.6.23.
761	雲海をのっと突き出し富士の首	雲海	夏	17.6.23.
762	馬鈴薯と茄子相似たり競ひ咲く	馬鈴薯・茄子	夏	17.6.24.
763	唐辛子茄子と似た花咲き競ふ	唐辛子・茄子	夏	17.6.24.
764	唐辛子茄子と似た花ほころびぬ	唐辛子・茄子	夏	17.6.24.
765	十薬と競ひはびこる鴨足草（ゆきのした）	十薬・鴨足草	夏	17.6.24.
766	毟りても狭庭に絶えぬ鴨足草	鴨足草	夏	17.6.24.
767	十薬としぶとさ競ふ鴨足草	十薬・鴨足草	夏	17.6.24.
768	仏みな襞柔らかな夏衣	夏衣	夏	17.6.24.
769	九品仏めぐる仏の夏衣	夏衣	夏	17.6.24.
770	瞑想の半跏の仏夏衣	夏衣	夏	17.6.24.
771	夕風や仏の纏ふ夏衣	夏衣	夏	17.6.24.
772	御仏はみな涼やかに薄衣	涼し	夏	17.6.24.
773	観世音胸ふくよかに夏衣	夏衣	夏	17.6.24.
774	風呼んでごろり昼寝の青畳	昼寝	夏	17.6.24.
775	窓開けてごろり昼寝の青畳	昼寝	夏	17.6.24.
776	雨しぶき浴びて泰然夏薊	夏薊	夏	17.6.24.
777	六月も白き筋引く五月富士	五月富士	夏	17.6.25.
778	残雪を詠めば季重ね五月富士（	五月富士	夏	17.6.25.
779	気付くたび蹴飛ばしてゐる夏布団	夏布団	夏	17.6.25.
780	知らぬ間に蹴飛ばしてゐる夏布団	夏布団	夏	17.6.25.
781	早暁に目覚めて探す夏布団	夏布団	夏	17.6.25.
782	蹴飛ばせし身に覚えなき夏布団	夏布団	夏	17.6.25.
783	目覚めては胸まで上げる夏布団	夏布団	夏	17.6.25.
784	足指でまさぐり探す夏布団	夏布団	夏	17.6.25.
785	ででぽぽと雉鳩鳴くや梅雨曇り	梅雨曇	夏	17.6.25.
786	梅雨寒や奪衣婆もゐる閻魔堂	梅雨寒	夏	17.6.25.
787	梅雨寒や薄着でおはす仏たち	梅雨寒	夏	17.6.25.
788	飛機の窓ただもこもこと雲の海	雲海	夏	17.6.25.
789	雲海の彼方一閃日の出初む	雲海	夏	17.6.26.
790	雲海にシャッター響く日の出かな	雲海	夏	17.6.26.
791	雲海を七色に染めビートルズ	雲海	夏	17.6.26.
792	雲海を潜るイエローサブマリン	雲海	夏	17.6.26.
793	木漏れ日や行者の滝に小さき虹	滝・虹	夏	17.6.26.
794	車両基地洗車の飛沫虹立てり	虹	夏	17.6.26.
795	眼鏡とりレンズ拭へど夏霞	夏霞	夏	17.6.26.
796	眼鏡とりレンズ拭へり夏霞	夏霞	夏	17.6.26.
797	佐渡島ぼおと滲ませ夏霞	夏霞	夏	17.6.26.
798	雲の峰ひと山掴みかき氷	雲の峰	夏	17.6.26.
799	やり投げの槍の飛び行く雲の峰	雲の峰	夏	17.6.26.
800	音もなく湧きて崩れて雲の峰	雲の峰	夏	17.6.26.
801	佐渡島島影滲む夏霞	夏霞	夏	17.6.26.
802	梅雨寒や余命数へて心急く	梅雨寒	夏	17.6.27.
803	梅雨寒や遣り残したること多し	梅雨寒	夏	17.6.27.
804	梅雨寒や焼売弁当食ふベンチ	梅雨寒	夏	17.6.27.
805	手に掬びごくりごくりと岩清水	岩清水	夏	17.6.27.
806	千年の泉ふつふつ泉龍寺	泉	夏	17.6.27.
807	西行も芭蕉も掬ぶ苔清水	苔清水	夏	17.6.27.
808	青柿の落ちて終りの定めかな	青柿	夏	17.6.27.
809	青柿になにの非のある落果かな	青柿	夏	17.6.27.
810	青柿や病む翳無くて放たるる	青柿	夏	17.6.27.
811	青柿のあもすもあらぬ落果かな	青柿	夏	17.6.27.
812	青柿をこぼす非情の掟あり	青柿	夏	17.6.27.
813	青柿の落ちれば終る定めとは	青柿	夏	17.6.27.
814	大徳の白き達磨や天花粉	天花粉（＝天瓜粉）	夏	17.6.28.
815	大徳のすっぽんぽんに天瓜粉	天瓜粉	夏	17.6.28.
816	大徳は衣脱ぎ捨て天瓜粉	天瓜粉	夏	17.6.28.
817	大徳の大の字書きし昼寝かな	昼寝	夏	17.6.28.
818	勤行の和尚透けすけ夏衣	夏衣	夏	17.6.28.
819	羅の墨染め軽ろし門跡尼	羅	夏	17.6.28.
820	座禅組む足の痺れと水虫と	水虫	夏	17.6.28.
821	カルテには暑気中りと書く老医かな	暑気中り	夏	17.6.28.
822	熱中症暑気中りと書く老医かな	暑気中り	夏	17.6.28.
823	カルテには暑気中り消え熱中症	暑気中り	夏	17.6.28.
824	痺れより水虫痒き座禅かな	水虫	夏	17.6.28.
825	鼠花火逃げ惑はせて止まりけり	鼠花火	夏	17.6.28.
826	暑気中り消えてカルテに熱中症	暑気中り	夏	17.6.28.
827	水中り恐れて買ひし水を飲む	水中り	夏	17.6.28.
828	水中り避けてごくりとハイボール	水中り	夏	17.6.28.
829	水中りせぬ用心のハイポール	水中り	夏	17.6.28.
830	夕凪や雨戸繰る手をふと止めぬ	夕凪	夏	17.6.29.
831	南風に揺るる戻りの紫木蓮	南風・木蓮	夏春	17.6.29.
832	雲海を下に日の出の富士山頂	雲海	夏	17.6.29.
833	雲海に旭光走る富士山頂	雲海	夏	17.6.29.
834	畑採りのままのトマトをがぶり食む	トマト	夏	17.6.29.
835	日向臭きトマトがぶりと畑作業	トマト	夏	17.6.29.
836	園児らの嬉々と頬張るミニトマト	トマト	夏	17.6.29.
837	綿菓子に子らの列なす納涼会	納涼	夏	17.6.29.
838	青柿の落ちて路面の染み増ゆる	青柿	夏	17.6.30.
839	青柿の落ちて無残な染みの数	青柿	夏	17.6.30.
840	落下して果て行く柿の青さかな	青柿	夏	17.6.30.
841	青柿を毅然と捨つる意志なるか	青柿	夏	17.6.30.
842	青柿のどこに瑕疵ある落果かな	青柿	夏	17.6.30.
843	青柿の何の咎ある落果かな	青柿	夏	17.6.30.
844	青柿や育ち盛りを捨てらるる	青柿	夏	17.6.30.
845	青柿の非情悲惨の落果かな	青柿	夏	17.6.30.
846	転げ落ちたちまち轢かる柿青し	青柿	夏	17.6.30.
847	艶やかな青柿落ちて轢かれけり	青柿	夏	17.6.30.
848	梅雨空やリーダーシップの軋み初む	梅雨	夏	17.6.30.
849	梅雨空や暗雲垂れしまつりごと	梅雨	夏	17.6.30.
850	果柄摘みぱくりぱくりとさくらんぼ	さくらんぼ	夏	17.6.30.
851	皿盛りをぱくりぱくりとさくらんぼ	さくらんぼ	夏	17.6.30.
852	茎摘み口寄せて食むさくらんぼ	さくらんぼ	夏	17.6.30.
853	ガラス器に露きらきらとさくらんぼ	さくらんぼ	夏	17.6.30.
854	コスモスのいやよいやよと言ふ風情	コスモス	秋	17.6.30.
855	浪に腹こすりつあごの飛び行けり	あご（＝飛魚）	夏	17.7.1.
856	小なれど刺立つつまの花胡瓜	胡瓜の花	夏	17.7.1.
857	デザートは四切れになりし大苺	苺	夏	17.7.1.
858	濡るるほど黄花鮮やか南瓜畑	南瓜の花	夏	17.7.1.
859	むさ苦し風情なれども胡麻の花	胡麻の花	夏	17.7.1.
860	ひそやかに聞こゆる瀬音花山葵	山葵の花	夏	17.7.1.
861	滝壺の流れを覆ひ花わさび	山葵の花	夏	17.7.1.
862	山路来て隠れ田のごと花山葵	山葵の花	夏	17.7.1.
863	そら豆の温き摘みつ大ジョッキ	蚕豆（空豆）	夏	17.7.1.
864	境内の筍が出る総代会	筍	夏	17.7.1.
865	炊き上げし蕗の皿来て呑み始む	蕗	夏	17.7.1.
866	湯気立ちし煮らっきょう出る夕餉かな	辣韭	夏	17.7.1.
867	パセリに塩振りかけてワイン干す	パセリ	夏	17.7.1.
868	トランペット吹くニニ・ロッソ大西日	大西日	夏	17.7.1.
869	涼風を呼びてごろ寝の青畳	涼風	夏	17.7.1.
870	金魚にもボトルの水を分け与ふ	金魚	夏	17.7.1.
871	山路来てごくりと旨し岩清水	岩清水	夏	17.7.1.
872	休診の札出し老医暑気中り	暑気中り	夏	17.7.1.
873	咲きて散りまた咲きて散る百日紅	百日紅	夏	17.7.2.
874	咲けば散り散ればまた咲く百日紅	百日紅	夏	17.7.2.
875	街道は紅白並木さるすべり	百日紅	夏	17.7.2.
876	紅白の並木咲き継ぐさるすべり	百日紅	夏	17.7.2.
877	晴れてなほ色鮮やかに濃あじさい	紫陽花	夏	17.7.2.
878	紫陽花寺拝まず帰る花見客	紫陽花	夏	17.7.2.
879	み仏を忘れ花見の紫陽花寺	紫陽花	夏	17.7.2.
880	参拝にあらず花見のあじさい寺	紫陽花	夏	17.7.2.
881	鞠花と額の花咲くわが狭庭	額の花	夏	17.7.2.
882	ゆらゆらと小枝撓らせ大手毬	大手毬	夏	17.7.2.
883	樹下行けばそっと髪撫ず大でまり	大手毬	夏	17.7.2.
884	高速道日がな揺れをり夾竹桃	夾竹桃	夏	17.7.2.
885	夾竹桃日がな大揺れ高速道	夾竹桃	夏	17.7.2.
886	散り敷けば拾得が掃く百日紅	百日紅	夏	17.7.2.
887	金雀枝（えにしだ）や鍵盤叩く調律師	金雀枝	夏	17.7.3.
888	白無垢が金婚色へ忍冬（すひかづら）	忍冬	夏	17.7.3.
889	散りてまた風情のゆかし針槐	針槐	夏	17.7.3.
890	さぼてんや命短き乙女花	仙人掌の花	夏	17.7.3.
891	佳人とはやはり薄命花さぼてん	花さぼてん	夏	17.7.3.
892	佳人には薄命似合ふ花さぼてん	花さぼてん	夏	17.7.3.
893	佳人なり薄命似合ふ花仙人掌	花さぼてん	夏	17.7.3.
894	さぼてんの花口深く蟲の影	花さぼてん	夏	17.7.3.
895	薄皮の饅頭一つ花さぼてん	花さぼてん	夏	17.7.3.
896	虎の尾の太きに咲けり女王花	女王花（＝仙人掌の花）	夏	17.7.3.
897	針山に月下美人の咲く夜更け	月下美人	夏	17.7.3.
898	余命をば思いつくぐる茅の輪かな	茅の輪	夏	17.7.3.
899	祓ひ給へ清め給へと茅の輪かな	茅の輪	夏	17.7.3.
900	うさぎ跳びして子ら潜る茅の輪かな	茅の輪	夏	17.7.3.
901	ぴょんぴょんと子らの潜りし茅の輪かな	茅の輪	夏	17.7.3.
902	ぴょんぴょんと子ら潜り行く茅の輪かな	茅の輪	夏	17.7.3.
903	仏みな纏ふは緩き薄衣	薄衣	夏	17.7.3.
904	風に縺れ風に解かるる秋桜	秋桜（＝コスモス）	秋	17.7.4.
905	伏し乱れ戻りて盛ん秋桜	秋桜	秋	17.7.4.
906	なんとまあ蛇を咥えし岩魚かな	岩魚	夏	17.7.4.
907	頼むよと釣果渡して岩魚宿	岩魚	夏	17.7.4.
908	串刺しの山女がぶりと背から食ふ	山女	夏	17.7.4.
909	串刺しの緩きSの字岩魚食ふ	岩魚	夏	17.7.4.
910	巌上に竿跳ね上げて岩魚釣り	岩魚	夏	17.7.4.
911	渓流の点景となり釣る岩魚	岩魚	夏	17.7.4.
912	魚篭明けて釣果数へる岩魚釣り	岩魚	夏	17.7.4.
913	指笛で竿を納める岩魚釣り	岩魚	夏	17.7.4.
914	魚篭渡し岩魚尽しの料理待つ	岩魚	夏	17.7.4.
915	蜑小屋は浜昼顔の径伝ひ	浜昼顔	夏	17.7.4.
916	縦縞の模様も粋に雪解富士	雪解富士	夏	17.7.5.
917	五合目を発ちてジグザグ雪解富士	雪解富士	夏	17.7.5.
918	雪解富士白髪まじりの遠見かな	雪解富士	夏	17.7.5.
919	かけて出で職質されるサングラス	サングラス	夏	17.7.5.
920	サングラス伊達にはあらず医師の指示	サングラス	夏	17.7.5.
923	謎めける女に変るサングラス	サングラス	夏	17.7.5.
924	帽子脱ぐごとくに外すサングラス	サングラス	夏	17.7.5.
925	サングラス掛けし女の手はスマホ	サングラス	夏	17.7.5.
926	立ち食ひの蕎麦食ふ男サングラス	サングラス	夏	17.7.5.
927	白バイの粋に掛けたるサングラス	サングラス	夏	17.7.5.
928	バスで会釈されて分らぬサングラス	サングラス	夏	17.7.5.
729	どれもみな水玉模様天道虫	天道虫	夏	17.7.5.
730	うさぎ跳びして子ら潜る茅の輪かな	茅の輪	夏	17.7.5.
931	うさぎ跳びして潜る子の茅の輪かな	茅の輪	夏	17.7.5.
932	うさぎ跳び子ら潜り行く茅の輪かな	茅の輪	夏	17.7.5.
933	鱧鍋に一汗かひて京の宿	鱧	夏	17.7.5.
934	鱧しゃぶを仕立てる仲居京ことば	鱧	夏	17.7.5.
935	鱧鍋に一汗かひて京の宿	鱧	夏	17.7.5.
936	鱧鍋に汗を拭へば鴨川（かも）の風	鱧	夏	17.7.5.
937	鱧鍋に汗を拭へば川床（ゆか）に風	鱧	夏	17.7.5.
938	夕顔の咲きて出勤夜の蝶	夕顔	夏	17.7.6.
939	羅に香焚きてゆく夜の蝶	羅	夏	17.7.6.
940	夕顔の咲ひて実を待つ農の畑	夕顔	夏	17.7.6.
941	夕顔や夜訪ね来るものの影	夕顔	夏	17.7.6.
942	夕顔や人目を忍ぶ訪ね人	夕顔	夏	17.7.6.
943	竹煮草視野に入れど無視さるる	竹煮草	夏	17.7.6.
944	捨て畑の荒みを見せて竹煮草	竹煮草	夏	17.7.6.
945	地上げして放置の宅地竹煮草	竹煮草	夏	17.7.6.
946	虎杖をすぽんと折りてああ酢っぱ	虎杖	夏	17.7.6.
947	虎杖を含み互ひにおちょぼ口	虎杖	夏	17.7.6.
948	虎杖を折ればすぽんと小気味よし	虎杖	夏	17.7.6.
949	虎の尾のお出でおいでと呼ぶ風情	虎の尾	夏	17.7.7.
950	虎の尾の垂れて動かぬ昼さがり	虎の尾	夏	17.7.7.
951	虎の尾の少し動きし山路かな	虎の尾	夏	17.7.7.
952	虎の尾と言ふより猫の尻尾かな	虎の尾	夏	17.7.7.
953	虎の子にあらず虎の尾咲く山路	虎の尾	夏	17.7.7.
954	虎の尾を踏みし山路やこともなし	虎の尾	夏	17.7.7.
955	掛筒に虎の尾挿せる茶室かな	虎の尾	夏	17.7.7.
956	虎の尾の咲く山路なり尾は踏まず	虎の尾	夏	17.7.7.
957	虎の尾の動かぬ山路との曇り	虎の尾	夏	17.7.7.
958	活け花にされることなき姫女苑	姫女苑	夏	17.7.7.
959	野も畑も埋め尽くすかに姫女苑	姫女苑	夏	17.7.7.
960	過疎の里埋め尽くすかに姫女苑	姫女苑	夏	17.7.7.
761	虎の尾でこちょこちょし合ふ母と子と	虎の尾	夏	17.7.7.
962	鱧食って京都の人になる一夜	鱧	夏	17.7.7.
963	鱧食って関西人になる夜かな	鱧	夏	17.7.7.
964	鱧食って今宵は吾も京の人	鱧	夏	17.7.7.
965	しっかりとスマホ握りて三尺寝	三尺寝	夏	17.7.8.
966	スマホ手にイヤホン耳に三尺寝	三尺寝	夏	17.7.8.
967	風死してなほ動くもの蟻の列	風死す・蟻	夏	17.7.8.
968	風死んで重低音の室外機	風死す	夏	17.7.8.
969	風死んで音掻き立てる室外機	風死す	夏	17.7.8.
970	朝焼や遠見の富士も茜色	朝焼	夏	17.7.8.
971	朝焼やみんな座れる始発駅	朝焼	夏	17.7.8.
972	朝焼や灯りしままの玄関燈	朝焼	夏	17.7.8.
973	夕焼や遠見の富士はシルエット	夕焼	夏	17.7.8.
974	浮雲や稲青々と田水沸く	田水沸く	夏	17.7.8.
975	舗装せし農道行けば田水沸く	田水沸く	夏	17.7.8.
976	室外機唸る苫屋や夏の海	夏の海	夏	17.7.8.
977	異界とはこちらのことか暴れ梅雨	梅雨	夏	17.7.8.
978	山路来てごくりごくりと岩清水	岩清水	夏	17.7.8.
979	懐の涼し年金暮らしかな	涼し	夏	17.7.8.
980	人も世も移ろひ行くや七変化	七変化	夏	17.7.8.
981	猛暑日や南洋場所の初日開く	猛暑日	夏	17.7.9.
982	船虫や総退却の身のこなし	船虫	夏	17.7.9.
983	船虫の縺れも見せず散りにけり	船虫	夏	17.7.9.
984	船虫の犇めく岩に波しぶき	船虫	夏	17.7.9.
985	浜木綿の咲ひて淋しき海岸線	浜木綿	夏	17.7.9.
986	浜木綿や船影見えぬ船溜まり	浜木綿	夏	17.7.9.
987	浜木綿の咲ひて淋しき漁師墓地	浜木綿	夏	17.7.9.
988	浜木綿の花咲くなぞえ猟師墓地	浜木綿	夏	17.7.9.
989	浜木綿や湾曲したる海岸線	浜木綿	夏	17.7.9.
990	浜木綿の白き花咲く船溜まり	浜木綿	夏	17.7.9.
991	海を向く海難の碑や浜万年青	浜万年青	夏	17.7.9.
992	流木を焚く男らや浜万年青	浜万年青	夏	17.7.9.
993	道のべに背筋伸ばして夏薊	夏薊	夏	17.7.9.
994	核禁の条約をパス原爆忌	原爆忌	夏	17.7.9.
995	風鈴を下げし検番昼の三味	風鈴	夏	17.7.10.
996	風鈴の音にぎやかに花電車	風鈴	夏	17.7.10.
997	天井のゆらりゆらりと扇風機	扇風機	夏	17.7.10.
998	風そよろ肌に優しき扇風機	扇風機	夏	17.7.10.
999	うたた寝の背に風優し扇風機	扇風機	夏	17.7.10.
1000	猛暑日や鳩も木陰で餌を拾ふ	猛暑日	夏	17.7.10.
1001	玻璃皿に氷加わる夏料理	夏料理	夏	17.7.10.
1002	お運びも小走りになる夏料理	夏料理	夏	17.7.10.
1003	炎昼や五分遅れのバス来たり	炎昼	夏	17.7.10.
1004	炎昼やベンダー唸る停留所	炎昼	夏	17.7.10.
1005	炎昼や弱冷房車空いてをり	炎昼	夏	17.7.10.
1006	片蔭に肩を並べてバスを待つ	片蔭	夏	17.7.10.
1007	夏薊雪解の富士によく似合ふ	夏薊	夏	17.7.11.
1008	しゃんとして潔き花夏薊	夏薊	夏	17.7.11.
1009	雲上に首出す富士や夏薊	夏薊	夏	17.7.11.
1010	へこたれし姿を見せぬ夏薊	夏薊	夏	17.7.11.
1011	確信を持ちて咲くかに夏薊	夏薊	夏	17.7.11.
1012	口をつく♪あざみの歌や夏薊	夏薊	夏	17.7.11.
1013	泰然と雨に濡るるや夏薊	夏薊	夏	17.7.11.
1014	夏薊手向ける農婦地蔵堂	夏薊	夏	17.7.11.
1015	雨に濡れ日に耐え静か夏薊	夏薊	夏	17.7.11.
1016	三十度越えし野面に夏薊	夏薊	夏	17.7.11.
1017	厳格の花言葉あり夏薊	夏薊	夏	17.7.11.
1018	三輪の花咲く狭庭夏あざみ	夏薊	夏	17.7.11.
1019	口にせしこころの花や夏薊	夏薊	夏	17.7.11.
1020	山の愁ひ海の悲しみ夏薊	夏薊	夏	17.7.11.
1021	山に愁ひ海に悲しみ夏薊	夏薊	夏	17.7.11.
1022	夏薊こころに香る花とかや	夏薊	夏	17.7.11.
1023	夏薊こころに香る花もよし	夏薊	夏	17.7.11.
1024	夏薊こころに香る花のあり	夏薊	夏	17.7.11.
1025	夏薊こころに香る花なりき	夏薊	夏	17.7.11.
1026	山に愁ひ海は悲しと夏あざみ	夏薊	夏	17.7.11.
10827	やはらかに薄衣まとふ仏たち	薄衣	夏	17.7.12.
1028	うらやまし仏のまとふ薄衣	薄衣	夏	17.7.12.
10829	早暁や読経の僧の薄衣	薄衣	夏	17.7.12.
1030	涼風の運ぶ木魚の音高し	涼風	夏	17.7.12.
1031	風涼し木魚の連打ふと止まる	涼し	夏	17.7.12.
1032	四万六千日功徳いただき神谷バー	四万六千日	夏	17.7.12.
1033	レンタルの浴衣姿や浅草寺	浴衣	夏	17.7.12.
1034	梅雨晴間仲見世裏も人の波	梅雨晴間	夏	17.7.12.
1035	夏蝶や荷風の渡る吾妻橋	夏蝶	夏	17.7.12.
1036	吾妻橋雲古マークのビヤホール	ビヤホール	夏	17.7.12.
1037	お運びはみんな年増や泥鰌鍋	泥鰌鍋	夏	17.7.12.
1038	大の付く年増の運ぶ泥鰌鍋	泥鰌鍋	夏	17.7.12.
1039	夏蝶や荷風渡りし吾妻橋	夏蝶	夏	17.7.12.
1040	船虫の縺れも見せず散る速さ	舟虫	夏	17.7.12.
1041	ふと浮かぶ♪あざみの歌や夏薊	夏薊	夏	17.7.12.
1042	うらやまし仏のまとふ薄衣	薄衣	夏	17.7.12.
1043	吾も欲し仏のまとふ薄衣	薄衣	夏	17.7.12.
1044	傍若に他を覆ひたる真葛原	葛	夏	17.7.13.
1045	うらみたること無きにしも葛葉揺る	葛	夏	17.7.13.
1046	猛々し真葛が原の葉のさわぎ	葛	夏	17.7.13.
1047	ざわざわと葉裏逆巻く真葛原	葛	夏	17.7.13.
1048	荒みたる真葛が原の裏見風	葛	夏	17.7.13.
1049	風さわぎ葉裏逆立つ真葛原	葛	夏	17.7.13.
1050	瀬の音を伝へる崖の葛かづら	葛	夏	17.7.13.
1051	捨て畑やここぞとばかり葛かづら	葛	夏	17.7.13.
1052	人さらふ真葛が原の怪奇譚	葛	夏	17.7.13.
1053	紅白の花の並木や百日紅	百日紅	夏	17.7.13.
1054	ぴょんぴょんと子ら潜り行く茅の輪かな	茅の輪	夏	17.7.13.
1055	折鶴に命の祈り原爆忌	原爆忌	夏	17.7.13.
1056	忘れまじ六日九日原爆忌	原爆忌	夏	17.7.13.
1057	オバマ来て折鶴置きし原爆忌	原爆忌	夏	17.7.13.
1058	納涼の牡丹灯籠聞く本堂	納涼	夏	17.7.14.
1059	虫除けのスプレーを手に夕涼み	夕涼み	夏	17.7.14.
1060	納涼会夜空に響くハワイアン	納涼	夏	17.7.14.
1061	だれも言はぬ昭和懐かし巴里祭	巴里祭	夏	17.7.14.
1062	巴里祭言葉懐かし昭和かな	巴里祭	夏	17.7.14.
1063	マドモアゼル・オルタンシアや巴里祭	巴里祭	夏	17.7.14.
1064	大川をセーヌに見立て巴里祭	巴里祭	夏	17.7.14.
1065	シャンソンの流るる銀座巴里祭	巴里祭	夏	17.7.14.
1066	行けぬならせめて銀座の巴里祭	巴里祭	夏	17.7.14.
1067	巴里祭遠き昭和の記憶かな	巴里祭	夏	17.7.14.
1068	朝露に濡れつ捥ぎゆくトマトかな	トマト	夏	17.7.14.
1069	朝採りの青さの残るトマトかな	トマト	夏	17.7.14.
1070	身の程を忘れてたわわトマト捥ぐ	トマト	夏	17.7.14.
1071	完熟のトマトがぶりと日の匂ひ	トマト	夏	17.7.14.
1072	トマト捥ぎ一つをがぶり日の匂ひ	トマト	夏	17.7.14.
1073	あじさい娘歌ふジローや巴里祭	巴里祭	夏	17.7.14.
1074	バス待てば南風（みなみ）の熱き火熨斗かな	南風	夏	17.7.15.
1075	バス待てば火熨斗のごとき南風	南風	夏	17.7.15.
1076	南風や溶融廃炉の劫火燃ゆ	南風	夏	17.7.15.
1077	南風や廃炉の底にのたうつ火	南風	夏	17.7.15.
1078	南風や廃炉の業火のたうてり	南風	夏	17.7.15.
1079	大南風炉心のたうつ地獄の火	大南風	夏	17.7.15.
1080	溶融の業火の色のトマトかな	トマト	夏	17.7.15.
1081	完熟のトマトに残る日向の香	トマト	夏	17.7.15.
1082	溶融の炉心思ひつトマト食む	トマト	夏	17.7.15.
1083	手際よく天婦羅揚がる納涼船	納涼船	夏	17.7.15.
1084	デキシージャズ夜空に響く納涼会	納涼会	夏	17.7.15.
1085	本堂にジャズの音響く納涼会	納涼会	夏	17.7.15.
1086	句会後の小酌楽し大西日	大西日	夏	17.7.15.
1087	はぐれ火ののたうつ炉心夏の蝶	夏の蝶	夏	17.7.15.
1088	黒揚羽融けし炉心の火の呻き	黒揚羽	夏	17.7.15.
1089	夏霞融けし炉心の火の呻き	夏霞	夏	17.7.15.
1090	火の呻く融けし炉心や南風吹く	南風	夏	17.7.15.
1091	溶融の炉心の業火南風吹く	南風	夏	17.7.15.
1092	職人らスマホ握りつ三尺寝	三尺寝	夏	17.7.15.
1093	願いごと託す間のなき流れ星	流れ星	夏	17.7.16.
1094	ベランダに陣取り数ふ流れ星	流れ星	夏	17.7.16.
1095	流れ星願いごと止めただ見つむ	流れ星	夏	17.7.16.
1096	流れ星斜線となりてまた一つ	流れ星	夏	17.7.16.
1097	燃え尽きてこそ美しき流れ星	流れ星	夏	17.7.16.
1098	隕石となりて鎮座の流れ星	流れ星	夏	17.7.16.
1099	つぎつぎと追えばきり無し流れ星	流れ星	夏	17.7.16.
1100	救急車走り行きけり流れ星	流れ星	夏	17.7.16.

★第29回句集の84２句から941句まで101句がノンブルの飛ばしで欠落したため、第３０回句集を1101句、3万句達成とします。 ♪ＢＧＭ：Chopin［Piano concert1］arranged by Reinmusik♪

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