朝の陽が落ち葉を濡らし蕗の薹
蕗の薹さて何にして喰らわんか
蕗の薹あれかこれかで腹が鳴る
蕗の薹てんぷらで良し味噌で良し
蕗の薹採れたと友が飲みに来る
蕗の薹の味噌一匙で酒一合
鮮緑と苦さが旨し蕗の薹
蕗味噌でほろほろと飲む独り酒
フキノトウ(蕗の薹)
港区白金台の国立自然教育園で2月21日撮影
そこかしこ踏まずに歩め蕗の薹
あら嬉しわが家の庭にも蕗の薹
野良猫の通る片へに蕗の薹
フキノトウ
港区白金台の国立自然教育園で2月21日撮影



葉陰から雪割り一華這い出せり
ユキワリイチゲ(雪割り一華)
港区白金台の国立自然教育園で2月21日撮影
春の陽や雪割り一華眩しげなり
ユキワリイチゲ
港区白金台の国立自然教育園で2月21日撮影


河津咲けばさてと待たれる染井かな

カワヅザクラ(河津桜)
港区白金台の覚林寺で2月21日撮影
河津桜早咲きが売りさてわれは
カワヅザクラ
港区白金台の八芳園で2月21日撮影



ふらここや二つ並んで不動なり

ふらここは音面白く文字(鞦韆)難解

ふらここやたこ焼きを食う昼下がり

★黒柳徹子がインタービュアーを務めるテレビ朝日の名物長寿番組
『徹子の部屋』を見ていたとき、ゲストの小沢昭一が「仕舞屋…」と言っ
たら、「それ何?」と才女、物知りの徹子女史が聞き返えす場面があり
ました。

★現代の社会生活、日本語の中では「死語」になっている言葉だから
知らなくて恥ではないが、この才媛女優でも70年余の人生の過程で
出逢うことがなかった、出逢ってもそのとき「何?」と知的関心を持たず
にすれ違った言葉があるのだな、と妙な感動をしたのです。

★そんな体験から10日も経たずに、書くことを仕事にしてきたはずの
自分が「え、何?」と虚を突かれた思いで出逢ったのが「ふらここ」とい
う名詞。インターネットの俳句コーナーを見ていて出食わした1句 

 
ふらここや空の何処まで明日と言ふ
つつみ眞乃

★俳人なら「ふらここ」が春の季語だと言うことは常識と知ったが、何
せこちらは昨日今日になって俳句作りに興味を持ち始めたばかりの
駆け出し、では言い訳じみていささか恥ずかしい。

★徹子女史を引き合いに出すのも申し訳ないが、70余年も日本語の
中で生活し、文章を読み、物書きをしてきた長い人生の道中で、耳に
することはもちろん、目にすることもなかった「日本語」に突然出逢うっ
てことがあるんだ、と感慨を深くしている次第です。

★ところで日常生活、社会生活の中では、(俳句の世界は別にして)
「仕舞屋(しもたや)」以上に死語に近い「ふらここ」とは---

<ふらここ[
鞦韆](季語春)ブランコ。ぶらここ。>(広辞苑)そして、
次の例句が紹介されていました。


   
ふらここの会釈こぼるるや高みより 太祇

★同じ広辞苑で「ブランコ」引くと---

<ブランコ[balancoポルトガル・鞦韆]ゆさわり。ゆさぶり。ふらここ。
しゅうせん。>とあり、
鞦韆は、そのまま音読みで「しゅうせん」と使っ
たことが分かりました。




福生市・田村酒造で10.2.20.撮影
福生市・田村酒造で10.2.20.撮影



犬ふぐり青の版図を広げけり 犬ふぐり草叢に撒かれたしじみ汁
オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢) オオイヌノフグリ
ゴマノハグサ科クワガタソウ属 ゴマノハグサ科クワガタソウ属

さんしゅゆの黄金の花や飛行雲
さんしゅゆや黄金の花と飛行雲
サンシュユ(山茱萸 別名:ハルコガネバナ、アキサンゴ、ヤマグミ)
ミズキ科ミズキ属


ふうわりと毛布を被り凍る梅
★2月18日、目が覚めて雨戸を開けると、ふんわりと4cmほどの雪で
した。この雪も昼前には完全に消えました。やはり春の雪ですね。

積ってもうたかたの間や春の雪
★うたかたでも、出勤前にミニ雪だるまを作った優しいお父さんも。
淡雪やフェンスの上に小だるま5つ

★下の句は、杞憂となりました。
春の雪野の鳥たちの腹が鳴る

アート・ブレイキー

★ごみ出しは、年金生活者になってからのわが担当
やはり春「モーニン」聴いてごみ出しに

ごみ出しも楽しや春の深呼吸

グレン・ミラー楽団  梅見つつサックス吹きの音を聴く
春昏し意伝わらぬままジャズを聴く

梅木立繰り返し吹いてる2小節

われ思うゆえには遠き春の日々  都立小金井公園梅林(10.1.31.撮影)



★5輪が初めて開花した庭の豊後梅ですが、2月11日以後、寒の戻りが続き、1週間後のきょう(17日)も大きく膨らんだ蕾が白い花弁の一部を覗かせたまま2番咲きはゼロ。やむを得ず小枝を切り、花瓶に挿して室内での開花で我慢の日が続いています。

寒去らず蕾開けかね豊後梅 豊後梅蕾のままで寒に耐え

寒戻り蕾固める庭の梅

ウメ(豊後梅) ウメ
バラ科サクラ属 バラ科サクラ属
瓶に挿す蕾満開豊後梅 瓶に挿し蕾孵(かえ)せばミニ梅林
春寒に室内咲きの梅もよし 寒戻り切り枝で咲かす庭の梅
ウメ(豊後梅) ウメ
バラ科サクラ属 バラ科サクラ属



★バレンタインデーの2月14日は、昼過ぎまで日差しはありましたが、雲が広がるにつれて寒い一日になりました。

★昼食後、太陽が顔を出しているうちにと多摩湖自転車道を西へ走って、東京都民の“水がめ”多摩湖(東京都水道局村山下貯水池)までサイクリング。走行距離は片道約8km、満開のカンザクラ、八重の枝垂れウメ、多摩湖名物の緑の丸屋根の取水塔などをショットしてきました。


春浅く梅に見紛う寒桜 紅梅と見紛う人や寒桜
紅梅と指す人もいる寒桜 春立ちて急ぎ咲き切る寒桜
カンザクラ(寒桜) カンザクラ
バラ科サクラ属 バラ科サクラ属
ほんのりと浮かぶ紅色八重枝垂れ 花笠の如く咲くなり枝垂れ梅
ヤエシダレ(八重枝垂れ) ヤエシダレ
バラ科サクラ属 バラ科サクラ属
艶やかに熟女の風情藪椿 薮椿落花の後の仇姿
ヤブツバキ(藪椿) ヤブツバキ
ツバキ科ツバキ属 ツバキ科ツバキ属
早春の湖面は固く静まれり 春寒し天空を舞う2羽の鳶

春浅く天空を舞う鳶悠然

多摩湖(村山下貯水池) トビ(鳶)
第1取水塔(右)・西武ドーム(中)・第2取水塔≪左) タカ科トビ属



★わが家の庭を占有している樹齢40年の遅咲き種、豊後梅が、建国記念日(2月11日)の寒い朝、5輪初咲きしました。昨年は実がほとんど付かない初めての裏年でしたが、今年は例年通りの豊作が期待できそうです。
頬染めて乙女の如き豊後梅 建国日初咲き5輪豊後梅
豊後梅 豊後梅
バラ科サクラ属 バラ科サクラ属





★恵方巻、恵方巻き(えほうまき)は、節分に食べると縁起が良いとされる太巻き寿司またはそれを食べる近畿地方を中心とした風習。「丸かぶり寿司」や「恵方寿司」とも呼ばれる。節分の夜にその年の恵方に向かって目を閉じて一言も喋らず、願い事を思い浮かべながら太巻きを丸かじり(丸かぶり)するのが習わしとされているが、恵方巻きブームのきっかけは関係業界の販売促進である。(wikipediaより参照)
豆を撒き恵方巻食い節分会(え) 恵方巻かぶりつきたり節分会
恵方巻食う方角も指定付き 恵方巻家族リレーでかぶりつき
恵方巻かぶりつきにも作法あり 恵方巻どっちを向けば恵方かな
口中に豆投げいれて福は内 恵方巻ハイチの飢えと重なりぬ
あばらやも歳徳神の御宿かな 一茶 恵方には歳徳神の女神さま
 小林一茶の肖像(村松春甫1772〜1858画)
      一茶記念館(長野県信濃町)蔵
(wikipediaから転借
恵方巻食う方角に歳徳神
★歳徳神(としとくじん、とんどさん)とは方位神の一つで、その年の
福徳を司る吉神である。年徳、歳神、正月さまなどとも言う。

★ ほとんどの暦では、最初の方のページに王妃のような姿の美しい
姫神の歳徳神を記載している。
(wikipediaから引用)
春立ちて節分草の季節なり 恵方巻今年の恵方は西南西
セツブンソウ(キンポウゲ科セツブンソウ属) 恵方巻恵方は5年の順送り
♪BGM:Chopin[Nocturne4]arranged by Yuuki Aizawa♪

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