鈴 童 一日一句春夏秋冬 (2011年版) |
<そのT> |
[春の部](2月〜4月) | ||||||||||||||||
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◆2月 |
1日 | 根菜の土寄せをして春を待つ | |
2日 | せせらぎの響きも弾み春隣 | |
3日 | 節分 | 節分や雨戸細めに鬼は外 |
4日 | 立春・寒明 | 恵方巻南南東に春立ちぬ |
5日 | いつまでも咳止まらざる余寒かな | |
6日 | 鴛鴦の紅ほのぼのと咲き初めり |
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7日 | 早春の川辺の路に花見えず |
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8日 | 針供養 | 針供養豆腐蒟蒻槍衾 |
9日 | 清澄の池舞う鴎春の雪 | |
10日 | 畑打ちや老爺仲間の季の初め | |
11日 | 牡丹雪終日舞いし建国日 |
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12日 | 春光に乳首撥ね上ぐ乙女像 | |
13日 | 春哀しホロコーストの殺処分 | |
14日 | バレンタインデー | 思いやりチョコという名で娘から |
15日 | 南天の枝を押し曲げ涅槃雪 | |
16日 | 紅梅の極めをつける紅千鳥 | |
17日 | 陽だまりに空を映して犬ふぐり | |
18日 | 春泥に足滑らせつ畝づくり | |
19日 | 箸先の蕗味噌ねぶり酒上々 | |
20日 | 畑先の野菜洗いも春の水 | |
21日 | 二畝の緑を残すほうれん草 | |
22日 | 絵を踏みつ祈り続けし隠れたち | |
23日 | 断面を利休鼠に薯を植ゆ | |
24日 | 襟高くデザインシャツに春の風 | |
25日 | 春一番 | 歩くひと頭突き出し春一番 |
26日 | 花弁を西日に染める豊後梅 | |
27日 | 春浅く節分草の咲く林地 | |
28日 | 霙から雪もちらほら二月尽 | |
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◆3月 |
1日 | ヒーターの目盛を上げて弥生入り | |
2日 | 紅色の滝流れ落つ枝垂れ梅 | |
3日 | 雛祭 | 内裏だけひっそり飾る老夫婦 |
4日 | 受験子の心狂わす携帯ネット | |
5日 | 春光の花の姿かミモザ咲く | |
6日 | 啓蟄 | 啓蟄や寝呆けまなこの蟇蛙 |
7日 | 啓蟄の虫驚かす雪化粧 | |
8日 | 春菊の葉を摘むほどに緑殖え | |
9日 | 満作の赤いリボンに東風吹けり 満作の花びら捩れ捩れたる |
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10日 | 春入日吉祥草の真紅の実 | |
11日 | 東日本大震災 | 秋津島捻じれのたうつ春惨禍 春の大地牙剥き走る黒津波 |
12日 | お水取り(修二会) | 水と火と修二会にあらじ大地震 |
13日 | 先駆けの寒緋桜に空青し | |
14日 | ごほごほと咳こみつつも春を吸う | |
15日 | 原発の神話吹き飛び春寒し | |
16日 | 小型機の機影過ぎ行き犬ふぐり | |
17日 | 風過ぎて群鈴揺れる花馬酔木 | |
18日 | 彼岸入り | 大津波町ひと呑みに彼岸入り |
19日 | 楽し気に花から花へ目白撥ね | |
20日 | 双葉出てかたかごの花待つばかり | |
21日 | 春分 | 放射能汚染に縮む春の中日 |
22日 | 春月や原発処理に祈りの目 | |
23日 | 停電に慣れつつ春の寒さかな |
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24日 | 彼岸明け | 大地震墓参延ばして彼岸明け |
25日 | 被災地に降るを怨むぞ斑雪 |
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26日 | 春の闇原発処理の男たち | |
27日 | 春の水野菜牛乳汚染列島 (線量にはらはらとして春の川) |
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28日 | 被災地を凍えさせるな涅槃雪 | |
29日 | プロメテの火に炙られる炉心事故 | |
30日 | 鎮魂の響きとぞ聴く春の雷 | |
31日 | 畑打ちの人影消えし汚染地区 |
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◆4月 |
1日 | 二輪草一輪ずつで咲き初めり | |
2日 | 花辛夷一筋の紅刷きにけり | |
3日 | 満開の桜ひと枝手向けたし | |
4日 | 青空を吸い取る如く咲く木蓮 | |
5日 | 三椏の光眩しき花手毬 | |
6日 | 年どしの桜と違う桜咲き | |
7日 | 三陸に思いの沈む花曇 | |
8日 | 仏生会 | 立像も余震に揺れる灌仏会 |
9日 | 東風の日の放射線量気にしつつ | |
10日 | 都知事選挙の日 | 自粛解き人人人の花の宴 (家族連れ目立つ今年の花見かな) |
11日 | 東日本大震災から 1ヶ月 |
地を揺する余震に舞いし花吹雪 |
12日 | 避難所にさくら一片舞い込めり | |
13日 | 風評に桜鯛まで売れ残り | |
14日 | 四弁花を風にそよがせ諸葛菜 | |
15日 | 春愁やどこ吹く風の孫の声 | |
16日 | 重たきに耐えて咲くなり紫木蓮 | |
17日 | 禁断の渥美芥子咲く道の端 | |
18日 | どの亀も鳴く間惜しんで甲羅干し | |
19日 | 黄沙降り磨きし車黄な粉餅 | |
20日 | 穀雨 | 放射塵濡れるを怖る穀雨かな |
21日 | 目を寄せばアオキの雄花ダンディズム | |
22日 | 道端のそのまた端に咲く野芥子 | |
23日 | 小松菜を採り残しての花菜かな | |
24日 | 梅の実に風のそよげる春の昼 | |
25日 | 連翹の撓み縺れて花明り | |
26日 | 鎮魂歌吹くが如くに喇叭水仙 | |
27日 | 茎立ちの目立ち始めし汚染畑 | |
28日 | 白蝶や姿紛らす花大根 | |
29日 | 昭和の日 | 摘草のはずが四つ葉をさがしおり |
30日 | 花種を蟹の歩みで蒔きにけり |
♪BGM:Chopin[Nocturne5]arranged by Pian♪ |
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